JP5892806B2 - 絶縁性の良好な表面処理鋼板およびその製造法 - Google Patents
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Description
前記の組成を有する溶融Al系めっき浴を用いて基材鋼板の表面にAl−Fe−Si系合金層を介するAl系めっき層を形成する工程、
前記Al系めっき層を形成した鋼板を加熱温度250〜570℃、保持時間0.5〜50hの条件範囲で加熱処理することにより、Al系めっき層中に存在するSi相を球状化し、板厚方向に平行な断面において板厚方向長さが10μm以上であるSi相粒子の存在量を基材鋼板表面に平行方向の単位長さあたり100個/mm以下に調整する工程、
前記加熱処理後のAl系めっき層を陽極酸化処理することにより陽極酸化皮膜を形成する工程、
を有する製造法が提供される。
図4に、めっき層中のSi相粒子の形態が所定形状に調整された、本発明に適用可能な溶融Al系めっき鋼板の断面構造を模式的に示す。基材鋼板1の表面上にAl−Fe−Si系合金層2を介してAl系めっき層3を有している点は図1に示した従来一般的な溶融Al系めっき鋼板と同様である。しかし、Al系めっき層3の中に分散しているSi相4の粒子形態が相違する。本発明に従うもの(図4)はSi相4の粒子が球状化しており、個々のSi相4の粒子について図中にdtと示した板厚方向長さを測定したとき、当該板厚方向長さdtが10μm以上と長い粒子の存在量が、板厚方向に平行な断面において基材鋼板表面に平行方向の単位長さあたり100個/mm以下に調整されている。前記存在量は、図4に例示したような板厚方向に平行な断面について、基材鋼板1の表面に平行な方向に1000μm以上の長さに渡ってめっき層3の全厚さ内を測定することによって求めることができる。Al系めっき層3の平均厚さは10μm超えとすることが望ましく、15μm以上に管理してもよい。Al系めっき層3が薄過ぎると、陽極酸化処理においてAlめっき層3を十分に残したまま安定して絶縁性に優れた陽極酸化皮膜を形成することが難しくなる場合がある。
基材鋼板としては、従来から溶融Al系めっき鋼板のめっき原板として適用されている鋼種をはじめ、用途に応じて種々の鋼種が対象となる。耐食性を重視する用途ではステンレス鋼を適用すればよい。ただし、成膜基板に用いる場合は熱膨張係数の観点からオーステナイト系ステンレス鋼よりフェライト系ステンレス鋼の方が有利となる。なお、上述のAlN濃化帯によるAl−Fe−Si合金層の成長抑制効果を期待する場合には、N含有量が0.002〜0.020質量%である鋼板を使用する。これよりN含有量が少ないとAl系めっき層中のSi相を球状化させるための熱処理によってAlN濃化帯を十分に形成することが難しい。逆にN含有量が過剰になると鋼が硬質化するので好ましくない。
本発明で適用対象とする溶融Al系めっき鋼板は、めっき層中のSi含有量が3.0〜15.0質量%のものである。溶融Al系めっき浴の組成は概ねそのまま溶融Al系めっき層の組成に反映される。Si含有量が少なすぎると溶融めっき時に形成されるAl−Fe(−Si)系合金層が厚くなりやすく、加工時にAl−Fe(−Si)系合金層の部分で割れが生じやすくなる。また、Si添加によるAl系めっき浴の液相線温度の低下効果が少なくなり、めっき浴温を高く維持するためのコストが増大する。一方、Si含有量が多くなりすぎると、共晶組成を超えて再び液相線温度が高くなるとともに、Si相が初晶として粗大化してめっき層自体の加工性を損なう。Al系めっき層中のSi含有量は5.0〜13.0質量%とすることがより好ましい。
素材となるSi含有溶融Al系めっき鋼板は従来一般的な手法により得ることができる。溶融Al系めっき浴中のSi含有量は上述のように3.0〜15.0質量%とし、必要に応じてSr、Na、Ca、Sb、P、Mg、Cr、Mn、Ti、Zr、V、Bの1種以上を上記の範囲で含有させる。陽極酸化処理を施す側のめっき付着量(めっき層平均厚さ)は10μm超えとすることが望ましく、15μm以上に管理してもよい。
Si含有量が9.0質量%である溶融Al系めっき鋼板を陽極酸化処理して得られた材料の板厚方向に平行かつ圧延方向に垂直な断面(C断面)の光学顕微鏡写真を図8〜図14に例示する。陽極酸化処理を施す前のAl系めっき層の平均厚さはいずれも37μm(めっき付着量100g/m2)である。陽極酸化処理条件は以下の通りである。
(陽極酸化処理条件)
・処理液:硫酸150g/L+アルミニウム5g/L
・処理温度:40℃
・電流密度:5.0A/dm2
表1に示す鋼を溶製し、熱間圧延、冷間圧延を含む工程により板厚0.8mmの冷延焼鈍鋼板を得た。
表4、表5に結果を示す。表4、表5中、加工性評価は上記素材の曲げ試験にてAl系めっき層の剥離が認められなかったものを○(加工性良好)、それ以外を×(加工性不良)としたものである。
実施例1で作製した陽極酸化処理済みの供試材のうち、表2に示したいくつかの試料と、表3に示したNを含有する基材鋼板を用いた試料について550℃×60minの加熱試験を行った。加熱試験前および後の試料について断面観察を行い、Al−Fe−Si系合金層の平均厚さの変化を調べた。結果を表6に示す。
2 Al−Fe−Si系合金層
3 Al系めっき層
4 Si相
5 陽極酸化皮膜
6 AlN濃化帯
Claims (6)
- めっき層中のSi含有量が5.0〜15.0質量%である溶融Al系めっき鋼板の当該めっき層表層部を陽極酸化処理した表面処理鋼板であって、基材鋼板の表面に、Al−Fe−Si系合金層、Al系めっき層および陽極酸化皮膜を順次有し、Al系めっき層および陽極酸化皮膜中にはSi相の粒子が分散しており、板厚方向に平行な断面においてAl系めっき層および陽極酸化皮膜中の板厚方向長さが10μm以上であるSi相粒子の存在量が基材鋼板表面に平行方向の単位長さあたり100個/mm以下に調整されている絶縁性の良好な表面処理鋼板。
- Al系めっき層は、質量%でSi:5.0〜15.0%、Sr:0〜0.2%、Na:0〜0.1%、Ca:0〜0.1%、Sb:0〜0.6%、P:0〜0.2%、Mg:0〜5.0%、Cr:0〜1.0%、Mn:0〜2.0%、Ti:0〜0.5%、Zr:0〜0.5%、V:0〜0.5%、B:0〜0.10%、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有するものである請求項1に記載の絶縁性の良好な表面処理鋼板。
- 基材鋼板としてN含有量が0.002〜0.020質量%である鋼板を使用し、基材鋼板とAl−Fe−Si系合金層の間にAlNが析出している請求項1または2に記載の絶縁性の良好な表面処理鋼板。
- Si含有量が5.0〜15.0質量%である溶融Al系めっき浴を用いて基材鋼板の表面にAl−Fe−Si系合金層を介するAl系めっき層を形成する工程、
前記Al系めっき層を形成した鋼板を加熱温度250〜570℃、保持時間0.5〜50hの条件範囲で加熱処理することにより、Al系めっき層中に存在するSi相を球状化し、板厚方向に平行な断面において板厚方向長さが10μm以上であるSi相粒子の存在量を基材鋼板表面に平行方向の単位長さあたり100個/mm以下に調整する工程、
前記加熱処理後のAl系めっき層を陽極酸化処理することにより陽極酸化皮膜を形成する工程、
を有する絶縁性の良好な表面処理鋼板の製造法。 - 前記溶融Al系めっき浴は、質量%でSi:5.0〜15.0%、Sr:0〜0.2%、Na:0〜0.1%、Ca:0〜0.1%、Sb:0〜0.6%、P:0〜0.2%、Mg:0〜5.0%、Cr:0〜1.0%、Mn:0〜2.0%、Ti:0〜0.5%、Zr:0〜0.5%、V:0〜0.5%、B:0〜0.10%り、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有するものである請求項4に記載の絶縁性の良好な表面処理鋼板の製造法。
- 基材鋼板としてN含有量が0.002〜0.020質量%である鋼板を使用し、前記加熱処理を利用して基材鋼板とAl−Fe−Si系合金層の間にAlNを析出させる請求項4または5に記載の絶縁性の良好な表面処理鋼板の製造法。
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