JP5892086B2 - 真空成膜装置と成膜方法および金属膜付長尺樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

真空成膜装置と成膜方法および金属膜付長尺樹脂フィルムの製造方法 Download PDF

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本発明は、真空チャンバー内においてロール・ツー・ロール方式で搬送される長尺樹脂フィルムを冷却キャンロール外周面に巻き付けてスパッタリング等の成膜を行う真空成膜装置と成膜方法に係り、特に、成膜中の長尺樹脂フィルムにおける幅方向の走行ズレ並びに成膜エリアの位置ズレを検出できる真空成膜装置と成膜方法、および、この真空成膜装置を用いて金属膜付長尺樹脂フィルムを製造する方法に関するものである。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話等には、フレキシブル配線基板が用いられている。フレキシブル配線基板は、耐熱性樹脂フィルムの片面若しくは両面に金属膜を成膜した金属膜付耐熱性樹脂フィルムから作製される。近年、フレキシブル配線基板に形成される配線パターンはますます微細化、高密度化しており、金属膜付耐熱性樹脂フィルム自体が皺等のない平滑なものであることが重要になってきている。
この種の金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造方法としては、接着剤により金属箔を耐熱性樹脂フィルムに貼り付けて製造する方法(3層基板の製造方法と称される)、金属箔に耐熱性樹脂溶液をコーティングした後、乾燥させて製造する方法(キャスティング法と称される)、乾式めっき法(真空成膜法)若しくは乾式めっき法(真空成膜法)と湿式めっき法との組み合わせにより耐熱性樹脂フィルムに金属膜を成膜して製造する方法(メタライジング法と称される)等が従来から知られている。また、メタライジング法における上記乾式めっき法(真空成膜法)には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等がある。
上記メタライジング法については、特許文献1に、ポリイミド絶縁層上にクロムをスパッタリングした後、銅をスパッタリングしてポリイミド絶縁層上に導体層を形成する方法が開示されている。また、特許文献2に、銅ニッケル合金をターゲットとするスパッタリングで形成した第一の金属薄膜と、銅をターゲットとするスパッタリングで形成した第二の金属薄膜とが、この順でポリイミドフィルム上に積層されたフレキシブル回路基板用材料(すなわち、銅張積層樹脂フィルム基板)が開示されている。
尚、ポリイミドフィルムのような耐熱性樹脂フィルムに真空成膜を行って金属膜付耐熱性樹脂フィルム(以下、金属膜付樹脂フィルムと略称する場合がある)を製造する場合、スパッタリングウェブコーターを用いることが一般的である。以下、図1を用いこの種のスパッタリングウェブコーターについて簡単に説明する。
スパッタリングウェブコーター50は、減圧室(真空チャンバー)内に、図1に示すように長尺の耐熱性樹脂フィルム(以下、長尺樹脂フィルムと略称する)52を巻き出す巻出ロール51と、長尺樹脂フィルム52を巻き取る巻取ロール64と、巻出ロール51と巻取ロール64間に設けられかつ外部で温調された冷媒が循環していると共にモータにより回転駆動される冷却キャンロール56と、冷却キャンロール56の上流側に設けられ巻出ロール51から供給された長尺樹脂フィルム52を冷却キャンロール56に搬入させるモータ駆動の前フィードロール55と、冷却キャンロール56の下流側に設けられ冷却キャンロール56から送り出される長尺樹脂フィルム52を上記巻取ロール64側へ搬出させるモータ駆動の後フィードロール61が配置された構造を有しており、かつ、成膜手段として、マグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60が冷却キャンロール56の対向側で冷却キャンロール56の外周面近傍に沿って設けられている。
また、上記巻出ロール51から冷却キャンロール56までの上流側搬送路上には、長尺樹脂フィルム52を案内するフリーロール53と、長尺樹脂フィルム52の張力測定を行う張力センサーロール54と、上記前フィードロール55がそれぞれ(これ等のロールを、以下、上流側ロール群と称する場合がある)配置されており、モータ駆動の冷却キャンロール56に対しその周速度が遅くなるよう調整された前フィードロール55の作用により張力センサーロール54から送り出された長尺樹脂フィルム52が冷却キャンロール56の外周面に密着し搬送されるようになっている。
また、冷却キャンロール56から巻取ロール64までの下流側搬送路上にも、上記後フィードロール61と、長尺樹脂フィルム52の張力測定を行う張力センサーロール62と、長尺樹脂フィルム52を案内するフリーロール63がそれぞれ(これ等のロールを、以下、下流側ロール群と称する場合がある)配置されており、モータ駆動の冷却キャンロール56に対しその周速度が同一若しくは速くなるよう調整された後フィードロール61の作用により、冷却キャンロール56から巻取ロール64側に向けて長尺樹脂フィルム52が排出されるようになっている。
尚、例示したスパッタリングウェブコーターには、モータ駆動の前フィードロール55と後フィードロール61がそれぞれ組み込まれているが、必ずしも駆動ロールで構成する必要はなく、上記前フィードロール55と後フィードロール61については、フリーロール若しくは張力センサーロールで構成してもよい。
また、上記巻出ロール51と巻取ロール64では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって長尺樹脂フィルム52の張力バランスが保たれるようになっている。更に、モータ駆動の冷却キャンロール56の回転とこれに連動して回転するモータ駆動の前フィードロール55と後フィードロール61の作用により、巻出ロール51から長尺樹脂フィルム52が巻き出されて上記巻取ロール64に巻き取られるようになっている。
そして、スパッタリング成膜に際しては、スパッタリングウェブコーター50の減圧室(真空チャンバー)内を到達圧力10-4Pa程度まで減圧した後、スパッタリングガスの導入により0.1〜10Pa程度の圧力調整が行われる。スパッタリングガスにはアルゴン等公知のガスが使用され、目的に応じて更に酸素等のガスが添加される。スパッタリングウェブコーター50の形状や材質に関しては、減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく、種々のものが使用される。また、スパッタリングウェブコーター50における減圧室(真空チャンバー)内の減圧状態を維持するため、スパッタリングウェブコーター50には、図示しないドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置が付設されている。
ところで、乾式めっき法(真空成膜法)と湿式めっき法を組み合わせて長尺の金属膜付耐熱性樹脂フィルム(金属膜付長尺樹脂フィルム)を製造する上記メタライジング法においては、スパッタリング等の真空成膜法により長尺樹脂フィルムの幅方向両端部を含めたフィルム全面に亘って金属膜が成膜された場合、この金属膜に対し湿式めっきを施すときに長尺樹脂フィルム裏面との電気的な短絡が懸念されることから、長尺樹脂フィルムの幅方向両端側にベアエリア(bare area)と称する未成膜領域を設けることがあり、このベアエリア(未成膜領域)は、冷却キャンロールに巻き付けられる長尺樹脂フィルムと成膜手段であるスパッタリングターゲットとの間に成膜領域を規制する遮蔽マスクを介在させて形成されている。具体的には、図2(A)(B)に示すように、冷却キャンロール100の外周面に巻き付けられる長尺樹脂フィルム101と、スパッタリングターゲット106との間に、成膜領域を規制する遮蔽マスク102を介在させて、図2(B)に示すように長尺樹脂フィルム101の幅方向両端側にベアエリア(未成膜領域)103、104が形成されている。
そして、長尺樹脂フィルム101の幅方向両端側に幅寸法が同一若しくは略同一のベアエリア(未成膜領域)103、104を連続して形成させるには、長尺樹脂フィルム101の搬送ラインを指定位置に設定しかつ蛇行させずに搬送させること、および、ベアエリア(未成膜領域)を形成する遮蔽マスク102の介在位置をそれぞれ正確に合わせることが必要(図1において符号57、58、59、60で示すように、通常、冷却キャンロール56の外周面近傍に沿って複数のスパッタリングターゲットが配置されるため、各遮蔽マスクの介在位置を正確に合わせる必要がある)となる。しかし、成膜時における真空チャンバー内においては、非成膜時と比較して上記遮蔽マスクや長尺樹脂フィルムが高温に曝されるため、搬送ラインの指定位置や遮蔽マスクの介在位置が初期状態から変動し易いことから、長尺樹脂フィルムの幅方向両端側に幅寸法が同一若しくは略同一のベアエリア(未成膜領域)を連続して形成させるには、搬送中における長尺樹脂フィルム101の幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルム101に成膜された金属膜等の幅方向両端における各端部位置をそれぞれ測定し、搬送ラインの修正や遮蔽マスクの位置修正を行いながら成膜を行なうことが必要となる。
そして、上記長尺樹脂フィルムの幅方向端部位置を測定する測定方法として、従来、特許文献3や特許文献4に記載の投光部と受光部から成るウェブ端縁検出装置が知られている。すなわち、このウェブ端縁検出装置は、搬送ロールやガイドロール等の外周面と接触していない状態にある移送中のウェブに対し、断面略コ字形状を有する装置本体をウェブ端縁の上下から挟むように配置し、投光部からウェブ端縁へ向けて光を照射しかつウェブ端縁を介した光信号を受光部で検知してウェブの端縁位置を測定するものであった。
しかし、特許文献3や特許文献4に記載のウェブ端縁検出装置は、断面略コ字形状の装置本体をウェブ端縁の上下から挟んで配置される構造上の制限から、搬送ロールやガイドロール等の外周面と接触していない状態にある移送中のウェブを測定する装置となるため、膜厚の薄い長尺の耐熱性樹脂フィルム等を測定対象とした場合、フィルムの幅方向端部がカールし、あるいは、フィルム搬送時におけるフィルムの振動等が誤差原因となって正確な位置測定を行なうことが困難となる問題を有していた。
特開平2−98994号公報(特許請求の範囲参照) 特許第3447070号公報(段落0008参照) 実開昭62−147646公報(第1図参照) 実開昭62−2558公報(第1図参照)
膜厚の薄い耐熱性樹脂フィルムの幅方向端部がカールし、あるいは、フィルム搬送時におけるフィルムの振動等を原因とする測定誤差を低減させるには、搬送ロールやガイドロール等の外周面上において上記測定を行うことが望ましい。すなわち、薄い耐熱性樹脂フィルムが搬送ロール等の外周面上を搬送される場合、耐熱性樹脂フィルムは搬送ロール等の外周面に密着した状態となるため幅方向端部側のカールが起こり難く、また、フィルム搬送時におけるフィルムの振動等も少ないからである。そして、搬送ロール等の外周面上を搬送される薄い耐熱性樹脂フィルムに対して光を照射し、フィルムの連続反射率を測定しあるいはカメラ画像を解析する等して、フィルムの幅方向端部位置や成膜された金属膜等薄膜の幅方向端部位置を正確に測定することは可能である。
ところで、図1に示すスパッタリングウェブコーターにおいて上記搬送ラインの修正や遮蔽マスクの位置修正等を行う場合、金属膜等薄膜が形成された直後においてその幅方向両端における各端部位置の測定を行い、測定されたデータに基づき上記修正を速やかに行うことが精度的には望ましい。そのためには、上記金属膜等薄膜の幅方向両端における各端部位置の測定について、金属膜等薄膜が形成される冷却キャンロール56の直近位置に設けられた後フィードロール61上において速やかに行う必要がある。
しかし、図1に示したスパッタリングウェブコーターの構造から分かるように、冷却キャンロール56に巻き付けられた長尺樹脂フィルム52の表面側に形成された金属膜等の薄膜は、冷却キャンロール56の直近位置に設けられる後フィードロール61に対し内側に存在する位置関係(すなわち、長尺樹脂フィルム52の薄膜形成面は後フィードロール61の外周面と接する位置関係)となり、長尺樹脂フィルム52の薄膜形成面が表面側に露出しないため、後フィードロール61上に存在する長尺樹脂フィルム52に対しロールの外側からベアエリア(未成膜領域)の端部位置を測定し、あるいは、長尺樹脂フィルム52表面に形成された金属膜等薄膜の端部位置を測定することは構造的に不可能となる。
尚、上記後フィードロール61より下流側に配置される下流側ロール群の張力センサーロール62においては、長尺樹脂フィルム52の薄膜形成面が張力センサーロール62の外周面と接触しない位置関係(長尺樹脂フィルム52の裏面側が上記張力センサーロール62の外周面と接触し上記薄膜形成面は表面側に露出する位置関係)になるため、張力センサーロール62上に存在する長尺樹脂フィルム52に対してロールの外側からベアエリア(未成膜領域)の端部位置、あるいは、長尺樹脂フィルム52表面に形成された金属膜等薄膜の端部位置を測定することは可能である。但し、冷却キャンロール56から離れるに従い上記端部位置を測定するタイミングが遅くなり、その分、上述した搬送ラインの修正や遮蔽マスクの位置修正等を行うタイミングも遅くなってしまう。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、長尺樹脂フィルムの幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルムに形成された薄膜の幅方向両端における各端部位置を正確に測定でき、かつ、薄膜が形成された直後における長尺樹脂フィルムに対し上記幅方向両端における各端部位置の測定が可能となる真空成膜装置と成膜方法を提供し、併せて、真空成膜装置を用いた金属膜付長尺樹脂フィルムの製造方法を提供することにある。
すなわち、請求項1に係る発明は、
長尺樹脂フィルムを巻き出す巻出ロールと、長尺樹脂フィルムを巻き取る巻取ロールと、巻出ロールと巻取ロールとの間に設けられ回転駆動される冷却キャンロールと、冷却キャンロールと巻出ロールとの間および冷却キャンロールと巻取ロールとの間にそれぞれ設けられた複数の上流側並びに下流側ロール群と、冷却キャンロールの外周面近傍に沿って設けられ上流側ロール群を介し冷却キャンロールに搬入されかつ冷却キャンロールの外周面に巻き付けられる長尺樹脂フィルムの上記外周面と接しない表面側に薄膜を形成する成膜手段と、冷却キャンロールと上記成膜手段との間に設けられ長尺樹脂フィルムにおける薄膜の形成領域を規制して長尺樹脂フィルムの幅方向両端側に長尺樹脂フィルムの長さ方向に亘り未成膜領域を形成させる遮蔽マスクとを真空チャンバー内に備える真空成膜装置において、
上記長尺樹脂フィルムの薄膜形成面に外周面が接すると共に回転可能に設けられた円筒状本体と、円筒状本体外周面における上記長尺樹脂フィルムの幅方向両端近傍に対応する部位に開設された少なくとも一対の開口部と、円筒状本体内における上記開口部に対応する部位に設けられかつ開口部へ向け光を照射する発光部と開口部からの反射光が入射される受光部を有するセンサーヘッドとを備え、長尺樹脂フィルムの幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルムに形成された薄膜の幅方向両端における各端部位置を検出する位置センサーロールが冷却キャンロールと巻取ロールとの間に設けられていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る真空成膜装置において、
上記位置センサーロールが、冷却キャンロールの近傍に設けられかつ冷却キャンロールから送り出される長尺樹脂フィルムを上記巻取ロール側へ搬出させる後フィードロールにより構成されていることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1または2に記載の発明に係る真空成膜装置において、
上記位置センサーロールの円筒状本体が固定軸により回転可能に支持され、かつ、位置センサーロールのセンサーヘッドが上記固定軸若しくは固定軸に設けられた取付け部材に固定されていることを特徴とし、
請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の発明に係る真空成膜装置において、
先端を開口部側へ向けると共に光源に接続された発光用の光ファイバーによりセンサーヘッドの上記発光部が構成され、先端を開口部側へ向けると共に受光素子に接続された受光用の光ファイバーによりセンサーヘッドの上記受光部が構成されていることを特徴とし、
請求項5に係る発明は、
請求項4に記載の発明に係る真空成膜装置において、
上記発光用の光ファイバーと受光用の光ファイバーとを束ねて成るファイバーバンドルを2組以上組み合わせてセンサーヘッドの上記発光部と受光部が構成されていることを特徴とし、
請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の発明に係る真空成膜装置において、
長方形状の開放部を有する箱型ケースと、この箱型ケース内に千鳥状に配置された複数のファイバーバンドルと、各ファイバーバンドルの先端にそれぞれ取付けられたマイクロレンズとで上記センサーヘッドが構成されていることを特徴とし、
請求項7に係る発明は、
請求項4に記載の発明に係る真空成膜装置において、
長方形状の開放部を有する箱型ケースと、この箱型ケース内に長さ方向に亘って互いに平行に配列された発光用の光ファイバー群並びに受光用の光ファイバー群と、上記箱型ケースの開放部に取付けられたシリンドルカルレンズとで上記センサーヘッドが構成されていることを特徴とし、
請求項8に係る発明は、
請求項1〜7のいずれかに記載の発明に係る真空成膜装置において、
上記成膜手段が、マグネトロンスパッタリングカソードであることを特徴とする。
次に、請求項9に係る発明は、
長尺樹脂フィルムを巻き出す巻出ロールと、長尺樹脂フィルムを巻き取る巻取ロールと、巻出ロールと巻取ロールとの間に設けられ回転駆動される冷却キャンロールと、冷却キャンロールと巻出ロールとの間および冷却キャンロールと巻取ロールとの間にそれぞれ設けられた複数の上流側並びに下流側ロール群と、冷却キャンロールの外周面近傍に沿って設けられかつ冷却キャンロールの外周面に巻き付けられる長尺樹脂フィルムの上記外周面と接しない表面側に薄膜を形成する成膜手段と、冷却キャンロールと成膜手段との間に設けられかつ長尺樹脂フィルムにおける薄膜の形成領域を規制する遮蔽マスクとを真空チャンバー内に備え、長尺樹脂フィルムの幅方向両端側に長尺樹脂フィルムの長さ方向に亘り未成膜領域を残しながら薄膜を形成する成膜方法において、
上記長尺樹脂フィルムの薄膜形成面に外周面が接すると共に回転可能に設けられた円筒状本体と、円筒状本体外周面における上記長尺樹脂フィルムの幅方向両端近傍に対応する部位に開設された少なくとも一対の開口部と、円筒状本体内における上記開口部に対応する部位に設けられかつ開口部へ向け光を照射する発光部と開口部からの反射光が入射される受光部を有するセンサーヘッドを備えた位置センサーロールを冷却キャンロールと巻取ロールとの間に配設し、位置センサーロール上を搬送される長尺樹脂フィルムの幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルムに形成された薄膜の幅方向両端における各端部位置が検出されるようにしたことを特徴とする。
また、請求項10に係る発明は、
請求項9に記載の発明に係る成膜方法において、
上記位置センサーロールが、冷却キャンロールの近傍に設けられかつ冷却キャンロールから送り出される長尺樹脂フィルムを上記巻取ロール側へ搬出させる後フィードロールにより構成されていることを特徴とし、
請求項11に係る発明は、
請求項9または10に記載の発明に係る成膜方法において、
先端を開口部側へ向けると共に光源に接続された発光用の光ファイバーによりセンサーヘッドの上記発光部が構成され、先端を開口部側へ向けると共に受光素子に接続された受光用の光ファイバーによりセンサーヘッドの上記受光部が構成されていることを特徴とし、
請求項12に係る発明は、
請求項11に記載の発明に係る成膜方法において、
上記発光用の光ファイバーと受光用の光ファイバーとを束ねて成るファイバーバンドルを2組以上組み合わせてセンサーヘッドの上記発光部と受光部が構成されていることを特徴とし、
請求項13に係る発明は、
請求項12に記載の発明に係る成膜方法において、
長方形状の開放部を有する箱型ケースと、この箱型ケース内に千鳥状に配置された複数のファイバーバンドルと、各ファイバーバンドルの先端にそれぞれ取付けられたマイクロレンズとで上記センサーヘッドが構成されていることを特徴とし、
請求項14に係る発明は、
請求項11に記載の発明に係る成膜方法において、
長方形状の開放部を有する箱型ケースと、この箱型ケース内に長さ方向に亘って互いに平行に配列された発光用の光ファイバー群並びに受光用の光ファイバー群と、上記箱型ケースの開放部に取付けられたシリンドルカルレンズとで上記センサーヘッドが構成されていることを特徴とし、
請求項15に係る発明は、
請求項9〜14のいずれかに記載の発明に係る成膜方法において、
上記成膜手段が、マグネトロンスパッタリングカソードであることを特徴とする。
更に、請求項16に係る発明は、
金属膜付長尺樹脂フィルムの製造方法において、
請求項1〜8のいずれかに記載の真空成膜装置を用いて、幅方向両端側に未成膜領域が残された金属膜付長尺樹脂フィルムを製造することを特徴とする。
本発明に係る真空成膜装置並びに成膜方法によれば、
長尺樹脂フィルムの薄膜形成面に外周面が接すると共に回転可能に設けられた円筒状本体と、円筒状本体外周面における長尺樹脂フィルムの幅方向両端近傍に対応する部位に開設された少なくとも一対の開口部と、円筒状本体内における上記開口部に対応する部位に設けられかつ開口部へ向け光を照射する発光部と開口部からの反射光が入射される受光部を有するセンサーヘッドを備える位置センサーロールを、真空チャンバー内の冷却キャンロールと巻取ロールとの間に配設するため、位置センサーロール上を搬送される長尺樹脂フィルムの幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルムに形成された薄膜の幅方向両端における各端部位置を正確に測定することが可能となる効果を有する。
特に、上記位置センサーロールを、冷却キャンロールの近傍に設けられかつ冷却キャンロールから送り出される長尺樹脂フィルムを巻取ロール側へ搬出させる後フィードロールで構成することにより、薄膜が形成された直後における長尺樹脂フィルムに対して薄膜の幅方向両端における各端部位置を速やかに測定することが可能となる効果を有する。
更に、本発明に係る金属膜付長尺樹脂フィルムの製造方法によれば、
幅方向両端側に未成膜領域が残された高品質の金属膜付長尺樹脂フィルムを効率的に製造できる効果を有している。
真空成膜装置(スパッタリングウェブコーター)の構成説明図。 図2(A)は冷却キャンロールの外周面に巻き付けられた長尺樹脂フィルムとスパッタリングターゲットとの間に成膜領域を規制する遮蔽マスクを介在させて長尺樹脂フィルムの幅方向両端側に形成されるベアエリア(未成膜領域)の概略平面説明図、図2(B)はその概略断面説明図。 後フィードロールにより位置センサーロールが構成された実施の形態に係る真空成膜装置の主要部(冷却キャンロール、前フィードロール並びに後フィードロール)を示す概略斜視図。 実施の形態に係る真空成膜装置の位置センサーロールとこのロール上を搬送される長尺樹脂フィルムとの関係を示す概略平面図。 実施の形態に係る真空成膜装置における位置センサーロールの円筒状本体が固定軸により回転可能に支持されかつ位置センサーロールのセンサーヘッドが上記固定軸に設けられた取付け部材に固定されている状態を示す概略断面説明図。 図6(A)は長方形状の開放部を有する箱型ケースとこの箱型ケース内に千鳥状に配置された複数のファイバーバンドルと各ファイバーバンドルの先端にそれぞれ取付けられたマイクロレンズとで構成されたセンサーヘッドの正面図、図6(B)はマイクロレンズの図示を省略したセンサーヘッドの平面図、図6(C)はセンサーヘッドの右側側面図。 図7(A)は長方形状の開放部を有する箱型ケースとこの箱型ケース内に長さ方向に亘って互いに平行に配列された発光用の光ファイバー群並びに受光用の光ファイバー群と上記箱型ケースの開放部に取付けられたシリンドルカルレンズとで構成されたセンサーヘッドの正面図、図7(B)はシリンドルカルレンズの図示を省略したセンサーヘッドの平面図、図7(C)はセンサーヘッドの右側側面図。 発光用の光ファイバーと受光用の光ファイバーとを束ねて成るファイバーバンドル群と、各ファイバーバンドルに接続されかつ光源と受光素子を備える光アンプと、各光アンプに接続された信号線とを有するセンサーヘッドの構成説明図。 互いに平行に配列された発光用の光ファイバー群並びに受光用の光ファイバー群と、各発光用の光ファイバーに接続された光源と、各受光用の光ファイバーに接続されかつ受光素子を備える光アンプと、各光アンプに接続された信号線とを有するセンサーヘッドの構成説明図。 図10(A)は位置センサーロールに設けられた一対の開口部と長尺樹脂フィルムの幅方向両端部との位置関係を示す説明図、図10(B)は薄膜が形成された長尺樹脂フィルムにおける搬送方向左側に位置する左側端部の概略断面と上記左側端部からの反射光強度を示す説明図、図10(C)は薄膜が形成された長尺樹脂フィルムにおける搬送方向右側に位置する右側端部の概略断面と上記右側端部からの反射光強度を示す説明図。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(1)真空成膜装置
実施の形態に係る真空成膜装置は、上述したスパッタリングウェブコーターと略同一構造を有しており、図1に示すように、長尺樹脂フィルム52を巻き出す巻出ロール51と、長尺樹脂フィルム52を巻き取る巻取ロール64と、巻出ロール51と巻取ロール64との間に設けられかつモータにより回転駆動される冷却キャンロール56と、冷却キャンロール56と巻出ロール51との間の搬送路上に設けられた上流側ロール群(フリーロール53、張力センサーロール54、前フィードロール55)と、冷却キャンロール56と巻取ロール64との間の搬送路上に設けられた下流側ロール群(後フィードロール61、張力センサーロール62と、フリーロール63)と、冷却キャンロール56の外周面近傍に沿って設けられ上記上流側ロール群を介し冷却キャンロール56に搬入されかつ冷却キャンロール56の外周面に巻き付けられる長尺樹脂フィルム52の上記外周面と接しない表面側に薄膜(金属膜)を形成する成膜手段(マグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60)と、冷却キャンロール56と成膜手段との間に設けられ長尺樹脂フィルム52における薄膜の形成領域を規制して長尺樹脂フィルム52の幅方向両端側に長尺樹脂フィルム52の長さ方向に亘り未成膜領域(ベアエリア)を形成させる遮蔽マスク(図1においては図示せず。図2の符号102参照)を真空チャンバー内に備え、かつ、位置センサーロールが上記後フィードロール61にて構成されている。
すなわち、図3の概略斜視図に示すように、冷却キャンロール10に対し直近の上流側には前フィードロール11が配置され、冷却キャンロール10に対し直近の下流側には位置センサーロールを構成する後フィードロール12が配置されており、長尺樹脂フィルム13は、前フィードロール11を介して冷却キャンロール10に搬入され、かつ、冷却キャンロール10上において成膜手段(図示せず)により成膜がなされた後、後フィードロール(位置センサーロール)12を介して巻取ロール(図示せず)側へ搬出される。
尚、実施の形態に係る真空成膜装置においては、上記前フィードロール11と後フィードロール(位置センサーロール)12はモータ駆動の駆動ロールで構成されているが、フリーロールあるいは張力センサーロールで構成してもよく任意である。
また、後フィードロール(位置センサーロール)12の外周面は、直近の冷却キャンロール10上において成膜された長尺樹脂フィルム13の薄膜形成面側に接しており、後フィードロール(位置センサーロール)12の外周面に設けられた少なくとも一対の開口部(スリット)14、15を介し薄膜(金属膜)の幅方向両端における各端部位置を測定(検出)できるようになっている。
そして、この真空成膜装置においては、位置センサーロールを構成する後フィードロール12が冷却キャンロール10の直近に配置されていることから、薄膜形成直後における幅方向両端の各端部位置をすばやく測定(検出)できるため、測定(検出)データに基づき搬送ラインの修正や遮蔽マスクの位置修正等を速やかに行なうことが可能となる。
尚、上記位置センサーロールについては、ロールの外周面が長尺樹脂フィルムの薄膜形成面側と接する下流側のフリーロール(図1の符号63参照)で構成してもよい。但し、後フィードロールで位置センサーロールが構成される場合と比較し、図1に示すように上記フリーロールの設置位置は冷却キャンロールから離れているため、薄膜の幅方向両端における各端部位置を測定(検出)するタイミングが若干遅くなる。
ここで、薄膜(金属膜)のスパッタリング成膜は、図1に示すように板状のターゲットを使用することができるが、板状ターゲットを用いた場合、ターゲット上にノジュール(異物の成長)が発生することがある。これが問題となる場合には、ノジュールの発生がなく、ターゲットの使用効率が高い円筒形のロータリーターゲットを使用することが好ましい。また、図1に示すスパッタリングウェブコーター(真空成膜装置)50では、マグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60が示されているが、成膜手段が蒸着等他のものである場合は、板状ターゲットに代えて他の真空成膜手段が設けられる。尚、他の真空成膜手段として、CVD(化学的気相成長)や真空蒸着等が例示される。
(2)位置センサーロール
図3に示す冷却キャンロール10と巻取ロール(図示せず)との間に設けられる位置センサーロール(後フィードロール)12は、長尺樹脂フィルム13の薄膜形成面に外周面が接すると共に回転可能に設けられた円筒状本体と、円筒状本体外周面における上記長尺樹脂フィルム13の幅方向両端近傍に対応する部位に開設された少なくとも一対の開口部(スリット)14、15と、円筒状本体内における上記開口部(スリット)14、15に対応する部位に設けられかつ開口部(スリット)14、15へ向け光を照射する発光部と開口部(スリット)14、15からの反射光が入射される受光部を有するセンサーヘッドとでその主要部が構成されている。
また、図4に示すように、位置センサーロール(後フィードロール)の円筒状本体20は、通常のロール構造と同様、固定軸21が挿入され、ベアリング22を介して上記固定軸21に回転可能に支持されている。また、円筒状本体20外周面における長尺樹脂フィルム25の幅方向両端近傍に対応する部位には、少なくとも一対の開口部(スリット)23、24が開設されている。尚、上記開口部(スリット)については、円筒状本体20外周面の周方向に亘り適宜間隔を介し二対、三対、四対等、複数対開設してもよい。
更に、センサーヘッドも含めた位置センサーロールの構造を具体的に説明すると、上記位置センサーロールは、図5に示すようにベアリング32を介し固定軸31に回転可能に支持された円筒状本体30と、円筒状本体30外周面における長尺樹脂フィルム35の幅方向両端近傍に対応する部位に開設された少なくとも一対の開口部(スリット)33、34と、円筒状本体30内の上記開口部(スリット)33、34に対応する部位に設けられかつ開口部(スリット)33、34へ向け光を照射する発光部と開口部(スリット)33、34からの反射光が入射される受光部を有する一対のセンサーヘッド36、37とでその主要部が構成されており、各センサーヘッド36、37は、固定軸31に設けられた取付け部材105に固定されかつ光源と受光素子(共に図示せず)に接続された光ファイバー38、39を有している。
尚、実施の形態に係る真空成膜装置において、上記センサーヘッド36、37を構成する発光部または受光部の一方を円筒状本体30の外部側に配置する「透過型」とせずに「反射型」構造にしている理由は、位置センサーロール(後フィードロール)における取り外しの利便性を考慮したためである。
また、実施の形態に係る真空成膜装置において、上記開口部(スリット)33、34には透明ガラスやプラスチック部材等が嵌め込まれておらず開放されている。開口部(スリット)33、34に透明ガラス等を嵌め込んだ場合、透明ガラス等からの光の反射や減衰に起因し検出結果に影響を及ぼすことがあるからである。但し、透明ガラスやプラスチック部材等に反射防止処理が施された場合には当然のことながら適用してもよい。
そして、上記開口部(スリット)33、34の寸法は、スリットの加工性や円筒状本体30外周面の機械的強度等から適宜設定できる。例えば、幅3mm〜7mm、長さ15mm〜25mmならば容易に加工可能である。また、開口部(スリット)33、34の角部で長尺樹脂フィルムに傷が付かないようにするため上記角部をR加工してもよい。
(3)センサーヘッド
光源に接続されかつ先端を開口部側へ向けた光ファイバー(発光用光ファイバー)により上記発光部が構成され、受光素子に接続されかつ先端を開口部側へ向けた光ファイバー(受光用光ファイバー)により受光部が構成された実施の形態に係るセンサーヘッドについて、以下、図面を用いて具体的に説明する。
まず、図6(B)に示すファイバーバンドル41が適用されたセンサーヘッドについて説明する。尚、ファイバーバンドル41は、1本の受光用光ファイバー43を中央にしてその周囲を6本の発光用光ファイバー42で束ねて成るものである。
そして、一例目のセンサーヘッドは、図6(A)〜(C)に示すように長方形状の開放部を有する箱型ケース40と、この箱型ケース40内に千鳥状に配置された複数のファイバーバンドル41と、各ファイバーバンドル41の先端にそれぞれ取付けられたマイクロレンズ44とでセンサーヘッド45の主要部が構成されているものである。
尚、上記箱型ケース40内に複数のファイバーバンドル41を千鳥状に配置している理由は、各ファイバーバンドル41の位置精度を高めるためである。また、このセンサーヘッド45において上記ファイバーバンドル41が、受光用光ファイバー43を中央にしてその周囲を発光用光ファイバー42で束ねた構造になっているが、発光用光ファイバー42を中央にしてその周囲を受光用光ファイバー43で束ねた構造にしてもよい。
そして、各ファイバーバンドル80は、図8に示すように光ファイバー81を介し光源と受光素子(共に図示せず)を備える光アンプ82にそれぞれ接続されており、位置センサーロールの上記開口部(スリット)からの反射光強度に応じた電気信号が信号線83から出力されて、長尺樹脂フィルムの幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルムに形成された薄膜の幅方向両端における各端部位置がそれぞれ測定(検出)されるようになっている。
また、二例目のセンサーヘッドは、図7(A)〜(C)に示すように長方形状の開放部を有する箱型ケース70と、この箱型ケース70内に長さ方向に亘って互いに平行に配列された発光用光ファイバー71群並びに受光用光ファイバー72群と、上記箱型ケース70の開放部に取付けられたシリンドルカルレンズ73とでセンサーヘッド74の主要部が構成されているものである。
そして、センサーヘッド90の各発光用光ファイバー71は、図9に示すように光ファイバー91を介して光源92に接続され、各受光用の光ファイバー72は、図9に示すように光ファイバー93を介し受光素子(図示せず)を備える光アンプ94にそれぞれ接続されており、位置センサーロールの上記開口部(スリット)からの反射光強度に応じた電気信号が信号線95から出力されて、長尺樹脂フィルムの幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルムに形成された薄膜の幅方向両端における各端部位置がそれぞれ測定(検出)されるようになっている。
(4)端部位置の測定(検出)
図10(A)の説明図は、位置センサーロールに設けられた一対の開口部(スリット)112、111と長尺樹脂フィルム110の幅方向両端部との位置関係を示し、図10(B)の説明図は、薄膜114が形成された長尺樹脂フィルム113における搬送方向左側に位置する左側端部の概略断面と上記左側端部からの反射光強度を示し、また、図10(C)の説明図は、薄膜116が形成された長尺樹脂フィルム115における搬送方向右側に位置する右側端部の概略断面と上記右側端部からの反射光強度を示している。
尚、上記薄膜114、116の成膜エリアは、図2に示した遮蔽マスク102を介して形成されるため、図10(B)と図10(C)に示すようにその厚さが徐々に変化している。
そして、上記開口部(スリット)の長尺樹脂フィルム113、115が存在しない部位からの反射率は図10(B)と図10(C)に示すように極端に低く、上記開口部(スリット)の長尺樹脂フィルム113、115表面からの反射率は5〜10%程度であり、また、成膜エリアの薄膜(金属面)114、116からの反射率は80%近くあるため、受光部の反射光強度に対応した強度信号変化から、長尺樹脂フィルム113、115の幅方向両端における各端部位置と、長尺樹脂フィルム113、115に形成された薄膜(金属面)114、116の幅方向両端における各端部位置を同時に測定(検出)することが可能となる。
そして、長尺樹脂フィルム113、115の幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルム113、115に形成された薄膜(金属面)114、116の幅方向両端における各端部位置の測定(検出)結果をフィードバック信号に利用することで、巻出ロールの位置を変化させ、あるいは、中間ロール(上流側並びに下流側ロール群で構成される中間ロール)を傾ける等して長尺樹脂フィルム113、115の走行ラインを当初指定の位置に修正することが可能となる。更に、遮蔽マスクの位置修正に関しても、成膜中において真空マニピュレーター等による外部調整が可能となる。
(5)金属膜付耐熱性樹脂フィルム(金属膜付長尺樹脂フィルム)
実施の形態に係る真空成膜装置を用いて、金属膜付耐熱性樹脂フィルム(金属膜付長尺樹脂フィルム)を製造することができる。
そして、上記金属膜付耐熱性樹脂フィルム(金属膜付長尺樹脂フィルム)としては、耐熱性樹脂フィルム表面にNi系合金等から成る下地金属層と、下地金属層の表面に積層された銅薄膜層(Cu膜)とで構成された構造体が例示される。このような構造を有する金属膜付耐熱性樹脂フィルムは、サブトラクティブ法によりフレキシブル配線基板に加工される。ここで、サブトラクティブ法とは、レジストで覆われていない金属膜(例えば、上記Cu膜)をエッチングにより除去してフレキシブル配線基板を製造する方法である。
上記Ni系合金等からなる層はシード層(下地金属層)と呼ばれ、金属膜付耐熱性樹脂フィルムの電気絶縁性や耐マイグレーション性等の所望の特性によりその組成が選択される。そして、シード層には、Ni−Cr合金またはインコネル、コンズタンタンやモネル等の各種公知の合金を用いることができる。また、上記金属膜付耐熱性樹脂フィルムの金属膜(Cu膜)を更に厚くしたい場合は、湿式めっき法を用いて金属膜を形成することがある。そして、電気めっき処理(すなわち、電解めっき処理)のみで金属膜を形成する場合と、一次めっきとして無電解めっき処理を行い、二次めっきとして電解めっき処理等の湿式めっき法を組み合わせて行う場合もある。湿式めっき処理は、常法による湿式めっき法の諸条件を採用すればよい。
また、上記金属膜付耐熱性樹脂フィルムに用いる耐熱性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルムまたは液晶ポリマー系フィルムから選ばれる樹脂フィルムが挙げられ、金属膜付耐熱性樹脂フィルムとしての柔軟性、実用上必要な強度、配線材料として好適な電気絶縁性を有する点から好ましい。
尚、上記金属膜付耐熱性樹脂フィルムとして、長尺耐熱性樹脂フィルムにNi-Cr合金やCu等の金属膜を積層した構造体を例示したが、上記金属膜以外に、目的に応じて酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜等を用いることも可能である。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
図1に示す真空成膜装置(スパッタリングウェブコーター)50を用い、また、長尺樹脂フィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52には、幅500mm、長さ1000m、厚さ12.5μmの東レ・デュポン株式会社製の耐熱性ポリイミドフィルム「カプトン(登録商標)」を使用した。
冷却キャンロール56は、直径800mm、幅800mmで、キャンロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。前フィードロール55と後フィードロール61は、それぞれ、直径が150mm、有効幅500mmである。
また、位置センサーロールは、上記後フィードロール61で構成されている。
すなわち、位置センサーロールは、図5に示すようにベアリング32を介し固定軸31に回転可能に支持された円筒状本体30と、円筒状本体30外周面における長尺樹脂フィルム35の幅方向両端近傍に対応する部位に開設された一対の開口部(スリット)33、34と、円筒状本体30内の上記開口部(スリット)33、34に対応する部位に設けられかつ開口部(スリット)33、34へ向けて光を照射する発光部と開口部(スリット)33、34からの反射光が入射される受光部を有する一対のセンサーヘッド36、37とでその主要部が構成され、各センサーヘッド36、37は、固定軸31に設けられた取付け部材105に固定されかつ光源と受光素子(共に図示せず)に接続された光ファイバー38、39を有している。
尚、上記開口部(スリット)33、34の寸法は、指定された走行ラインを走行する長尺樹脂フィルム35の幅方向両端から内側へそれぞれ15mm、上記両端から外側へそれぞれ5mmの位置に相当する長さ寸法20mm、幅寸法3mmに設定されている。
そして、長尺樹脂フィルム35が指定された走行ラインを通過していれば、図5に示すように上記開口部(スリット)33、34の内側15mmの領域が長尺樹脂フィルム35により覆われることになる。このため、上記開口部(スリット)33、34の長尺樹脂フィルム35で覆われていない領域からの反射は殆どない。
また、上記開口部(スリット)33、34を覆う長尺樹脂フィルム35の幅方向両端は以下のようになっている。すなわち、反射率が低いベアエリア(bare area)と称する未成膜領域は上記幅方向両端から内側3mmに設定され、膜厚が徐々に大きくなって反射率が増加する成膜エリアの領域は2mmに設定され、これより内側に略一定の反射率を有する膜厚の大きい成膜エリアになっている。
また、図5に示す位置センサーロールの円筒状本体30内に設けられる一対のセンサーヘッド36、37は、図6(A)〜(C)に示すように長方形状の開放部を有する箱型ケース40と、この箱型ケース40内に2列×10本(合計20本)を千鳥状に配置させた直径2mmのファイバーバンドル41と、各ファイバーバンドル41の先端にそれぞれ取付けられたマイクロレンズ44とでその主要部が構成されている。尚、各ファイバーバンドル41は、1本の受光用光ファイバー43を中央にしてその周囲を6本の発光用光ファイバー42で束ねたものである。そして、ファイバーバンドル41を千鳥状に配置することにより反射率の位置精度が2倍の1mm間隔に向上している。
また、上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52に成膜される金属膜はシード層であるNi−Cr膜の上にCu膜を成膜するものとし、かつ、マグネトロンスパッタターゲット57にはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲット58、59、60にはCuターゲットを用い、更に、アルゴンガスを300sccm導入し、各カソードへの印加電力は電力制御で成膜を行った。
また、上記巻出ロール51と巻取ロール64の張力は100Nとした。巻出ロール51に上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52をセットし、かつ、冷却キャンロール56を経由して上記耐熱性ポリイミドフィルム52の先端部を巻取ロール64に取り付けた。
また、減圧室(真空チャンバー)を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10-3Paまで排気した。
そして、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52の搬送速度を設定した後、各マグネトロンスパッタカソード57、58、59、60にアルゴンガスを導入して電力を印加し、シード層を構成するNi−Cr膜と、このNi−Cr膜上に形成するCu膜の成膜を開始した。
そして、上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52の走行中における光ファイバーバンドル41からの反射光強度を測定したところ、図10(B)(C)に示すような反射光強度が得られた。すなわち、長尺樹脂フィルム113における搬送方向左側に位置し反射光強度が殆ど0である長尺樹脂フィルム113の幅方向左端が3mm、上記搬送方向右側に位置し反射光強度が殆ど0である長尺樹脂フィルム115の幅方向右端が7mmであった。よって、長尺耐熱性樹脂フィルム52の走行ラインは左側に2mm寄っていることが確認された。
一方、ベアエリア(bare area)の幅(反射光強度が殆ど0である長尺耐熱性樹脂フィルム端部から、Cu膜が完全成膜されている反射光強度が高いフィルム端部寄りの位置とCu膜が成膜されていないベアエリアの反射光強度が低いCu膜端部寄りの位置との中間までの距離、すなわち、Cu膜の膜厚が徐々に大きくなる成膜エリア領域の中間点から長尺耐熱性樹脂フィルム端部までの距離をベアエリアの幅と定義する)は、左端側が6mm、右端側が4mmであった。よって、遮蔽マスクは左側に1mm寄っていることが確認された。
[実施例2]
図1に示す真空成膜装置(スパッタリングウェブコーター)50を用い、また、長尺樹脂フィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52には、幅500mm、長さ1000m、厚さ12.5μmの東レ・デュポン株式会社製の耐熱性ポリイミドフィルム「カプトン(登録商標)」を使用した。
冷却キャンロール56は、直径800mm、幅800mmで、キャンロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。前フィードロール55と後フィードロール61は、それぞれ、直径が150mm、有効幅500mmである。
また、位置センサーロールは、上記後フィードロール61で構成されている。
すなわち、位置センサーロールは、図5に示すようにベアリング32を介し固定軸31に回転可能に支持された円筒状本体30と、円筒状本体30外周面における長尺樹脂フィルム35の幅方向両端近傍に対応する部位に開設された一対の開口部(スリット)33、34と、円筒状本体30内の上記開口部(スリット)33、34に対応する部位に設けられかつ開口部(スリット)33、34へ向けて光を照射する発光部と開口部(スリット)33、34からの反射光が入射される受光部を有する一対のセンサーヘッド36、37とでその主要部が構成され、各センサーヘッド36、37は、固定軸31に設けられた取付け部材105に固定されかつ光源と受光素子(共に図示せず)に接続された光ファイバー38、39を有している。
尚、上記開口部(スリット)33、34の寸法は、指定された走行ラインを走行する長尺樹脂フィルム35の幅方向両端から内側へそれぞれ15mm、上記両端から外側へそれぞれ5mmの位置に相当する長さ寸法20mm、幅寸法3mmに設定されている。
そして、長尺樹脂フィルム35が指定された走行ラインを通過していれば、図5に示すように上記開口部(スリット)33、34の内側15mmの領域が長尺樹脂フィルム35により覆われることになる。このため、上記開口部(スリット)33、34の長尺樹脂フィルム35で覆われていない領域からの反射は殆どない。
また、上記開口部(スリット)33、34を覆う長尺樹脂フィルム35の幅方向両端は以下のようになっている。すなわち、反射率が低いベアエリア(bare area)と称する未成膜領域は上記幅方向両端から内側3mmに設定され、膜厚が徐々に大きくなって反射率が増加する成膜エリアの領域は2mmに設定され、これより内側に略一定の反射率を有する膜厚の大きい成膜エリアになっている。
また、図5に示す位置センサーロールの円筒状本体30内に設けられる一対のセンサーヘッド36、37は、図7(A)〜(C)に示すように長方形状の開放部を有する箱型ケース70と、この箱型ケース70内に長さ方向に亘って平行かつ41本×2列で配列された直径0.5mmの発光用光ファイバー71群と、配列された発光用光ファイバー72群の間に設けられかつ40本×1列で配列された直径0.5mmの受光用の光ファイバー72群と、上記箱型ケース70の開放部に取付けられたシリンドルカルレンズ73とでセンサーヘッド74の主要部が構成されている。
また、上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52に成膜される金属膜はシード層であるNi−Cr膜の上にCu膜を成膜するものとし、かつ、マグネトロンスパッタターゲット57にはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲット58、59、60にはCuターゲットを用い、更に、アルゴンガスを300sccm導入し、各カソードへの印加電力は電力制御で成膜を行った。
また、上記巻出ロール51と巻取ロール64の張力は100Nとした。巻出ロール51に上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52をセットし、かつ、冷却キャンロール56を経由して上記耐熱性ポリイミドフィルム52の先端部を巻取ロール64に取り付けた。
また、減圧室(真空チャンバー)を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10-3Paまで排気した。
そして、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52の搬送速度を設定した後、各マグネトロンスパッタカソード57、58、59、60にアルゴンガスを導入して電力を印加し、シード層を構成するNi−Cr膜と、このNi−Cr膜上に形成するCu膜の成膜を開始した。
そして、上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52の走行中における受光用光ファイバー72からの反射光強度を測定したところ、図10(B)(C)に示すような反射光強度が得られた。すなわち、長尺樹脂フィルム113における搬送方向左側に位置し反射光強度が殆ど0である長尺樹脂フィルム113の幅方向左端が3mm、上記搬送方向右側に位置し反射光強度が殆ど0である長尺樹脂フィルム115の幅方向右端が7mmであった。よって、長尺耐熱性樹脂フィルム52の走行ラインは左側に2mm寄っていることが確認された。
一方、ベアエリア(bare area)の幅(反射光強度が殆ど0である長尺耐熱性樹脂フィルム端部から、Cu膜が完全成膜されている反射光強度が高いフィルム端部寄りの位置とCu膜が成膜されていないベアエリアの反射光強度が低いCu膜端部寄りの位置との中間までの距離、すなわち、Cu膜の膜厚が徐々に大きくなる成膜エリア領域の中間点から長尺耐熱性樹脂フィルム端部までの距離をベアエリアの幅と定義する)は、左端側が6mm、右端側が4mmであった。よって、遮蔽マスクは左側に1mm寄っていることが確認された。
[比較例]
図1に示す真空成膜装置(スパッタリングウェブコーター)50を用い、また、長尺樹脂フィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52には、幅500mm、長さ1000m、厚さ12.5μmの東レ・デュポン株式会社製の耐熱性ポリイミドフィルム「カプトン(登録商標)」を使用した。
冷却キャンロール56は、直径800mm、幅800mmで、キャンロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。前フィードロール55と後フィードロール61は、それぞれ、直径が150mm、有効幅500mmである。
また、比較例では、後フィードロール61で構成される実施例1〜2の位置センサーロールは適用されておらず、特許文献3〜4に記載された投光部と受光部から成るウェブ端縁検出装置が適用されている。
すなわち、図1に示した後フィードロール61と張力センサーロール62間における搬送路中間に、断面略コ字形状を有するウェブ端縁検出装置の本体を長尺樹脂フィルム52端縁上下から挟むように配置している。尚、このウェブ端縁検出装置は、本体上側に受光部としての受光素子アレイ(若しくはCCDアレイ)が配置され、本体下側に投光部としてのLED照明アレイが配置された構造を有しており、長尺樹脂フィルム52端縁が光を遮蔽して上記端縁位置が検出される「透過型」である。
また、上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52に成膜される金属膜はシード層であるNi−Cr膜の上にCu膜を成膜するものとし、かつ、マグネトロンスパッタターゲット57にはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲット58、59、60にはCuターゲットを用い、更に、アルゴンガスを300sccm導入し、各カソードへの印加電力は電力制御で成膜を行った。
また、上記巻出ロール51と巻取ロール64の張力は100Nとした。巻出ロール51に上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52をセットし、かつ、冷却キャンロール56を経由して上記耐熱性ポリイミドフィルム52の先端部を巻取ロール64に取り付けた。
また、減圧室(真空チャンバー)を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10-3Paまで排気した。
そして、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)52の搬送速度を設定した後、各マグネトロンスパッタカソード57、58、59、60にアルゴンガスを導入して電力を印加し、シード層を構成するNi−Cr膜と、このNi−Cr膜上に形成するCu膜の成膜を開始した。
そして、上記ウェブ端縁検出装置を用いて走行中における長尺樹脂フィルム52の端縁位置を測定したが、12.5μm厚の薄い樹脂フィルムは走行中に端部がカールしてしまい、正確な位置検出は困難であった。
本発明に係る真空成膜装置並びに成膜方法によれば、位置センサーロール上を搬送される長尺樹脂フィルムの幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルムに形成された薄膜の幅方向両端における各端部位置を正確に測定することが可能となるため、液晶テレビ、携帯電話等のフレキシブル配線基板に用いられる銅張積層樹脂フィルム(金属膜付耐熱性樹脂フィルム)の製造法として適用される産業上の利用可能性を有している。
10 冷却キャンロール
11 前フィードロール
12 位置センサーロール(後フィードロール)
13 長尺樹脂フィルム
14 開口部(スリット)
15 開口部(スリット)
20 円筒状本体
21 固定軸
22 ベアリング
23 開口部(スリット)
24 開口部(スリット)
25 長尺樹脂フィルム
30 円筒状本体
31 固定軸
32 ベアリング
33 開口部(スリット)
34 開口部(スリット)
35 長尺樹脂フィルム
36 センサーヘッド
37 センサーヘッド
38 光ファイバー
39 光ファイバー
40 箱型ケース
41 ファイバーバンドル
42 発光用光ファイバー
43 受光用光ファイバー
44 マイクロレンズ
45 センサーヘッド
50 真空成膜装置(スパッタリングウェブコーター)
51 巻出ロール
52 長尺樹脂フィルム
53 フリーロール
54 張力センサーロール
55 前フィードロール
56 冷却キャンロール
57 マグネトロンスパッタリングカソード
58 マグネトロンスパッタリングカソード
59 マグネトロンスパッタリングカソード
60 マグネトロンスパッタリングカソード
61 後フィードロール
62 張力センサーロール
63 フリーロール
64 巻取ロール
70 箱型ケース
71 発光用光ファイバー
72 受光用光ファイバー
73 シリンドリカルレンズ
74 センサーヘッド
80 ファイバーバンドル
81 光ファイバー
82 光アンプ
83 信号線
90 センサーヘッド
91 光ファイバー
92 光源
93 光ファイバー
94 光アンプ
95 信号線
100 冷却キャンロール
101 長尺樹脂フィルム
102 遮蔽マスク
103 ベアエリア(未成膜領域)
104 ベアエリア(未成膜領域)
105 取付け部材
106 スパッタリングターゲット
110 長尺樹脂フィルム
111 開口部(スリット)
112 開口部(スリット)
113 長尺樹脂フィルム
114 薄膜(金属面)
115 長尺樹脂フィルム
116 薄膜(金属面)

Claims (16)

  1. 長尺樹脂フィルムを巻き出す巻出ロールと、長尺樹脂フィルムを巻き取る巻取ロールと、巻出ロールと巻取ロールとの間に設けられ回転駆動される冷却キャンロールと、冷却キャンロールと巻出ロールとの間および冷却キャンロールと巻取ロールとの間にそれぞれ設けられた複数の上流側並びに下流側ロール群と、冷却キャンロールの外周面近傍に沿って設けられ上流側ロール群を介し冷却キャンロールに搬入されかつ冷却キャンロールの外周面に巻き付けられる長尺樹脂フィルムの上記外周面と接しない表面側に薄膜を形成する成膜手段と、冷却キャンロールと上記成膜手段との間に設けられ長尺樹脂フィルムにおける薄膜の形成領域を規制して長尺樹脂フィルムの幅方向両端側に長尺樹脂フィルムの長さ方向に亘り未成膜領域を形成させる遮蔽マスクとを真空チャンバー内に備える真空成膜装置において、
    上記長尺樹脂フィルムの薄膜形成面に外周面が接すると共に回転可能に設けられた円筒状本体と、円筒状本体外周面における上記長尺樹脂フィルムの幅方向両端近傍に対応する部位に開設された少なくとも一対の開口部と、円筒状本体内における上記開口部に対応する部位に設けられかつ開口部へ向け光を照射する発光部と開口部からの反射光が入射される受光部を有するセンサーヘッドとを備え、長尺樹脂フィルムの幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルムに形成された薄膜の幅方向両端における各端部位置を検出する位置センサーロールが冷却キャンロールと巻取ロールとの間に設けられていることを特徴とする真空成膜装置。
  2. 上記位置センサーロールが、冷却キャンロールの近傍に設けられかつ冷却キャンロールから送り出される長尺樹脂フィルムを上記巻取ロール側へ搬出させる後フィードロールにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の真空成膜装置。
  3. 上記位置センサーロールの円筒状本体が固定軸により回転可能に支持され、かつ、位置センサーロールのセンサーヘッドが上記固定軸若しくは固定軸に設けられた取付け部材に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の真空成膜装置。
  4. 先端を開口部側へ向けると共に光源に接続された発光用の光ファイバーによりセンサーヘッドの上記発光部が構成され、先端を開口部側へ向けると共に受光素子に接続された受光用の光ファイバーによりセンサーヘッドの上記受光部が構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の真空成膜装置。
  5. 上記発光用の光ファイバーと受光用の光ファイバーとを束ねて成るファイバーバンドルを2組以上組み合わせてセンサーヘッドの上記発光部と受光部が構成されていることを特徴とする請求項4に記載の真空成膜装置。
  6. 長方形状の開放部を有する箱型ケースと、この箱型ケース内に千鳥状に配置された複数のファイバーバンドルと、各ファイバーバンドルの先端にそれぞれ取付けられたマイクロレンズとで上記センサーヘッドが構成されていることを特徴とする請求項5に記載の真空成膜装置。
  7. 長方形状の開放部を有する箱型ケースと、この箱型ケース内に長さ方向に亘って互いに平行に配列された発光用の光ファイバー群並びに受光用の光ファイバー群と、上記箱型ケースの開放部に取付けられたシリンドルカルレンズとで上記センサーヘッドが構成されていることを特徴とする請求項4に記載の真空成膜装置。
  8. 上記成膜手段が、マグネトロンスパッタリングカソードであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の真空成膜装置。
  9. 長尺樹脂フィルムを巻き出す巻出ロールと、長尺樹脂フィルムを巻き取る巻取ロールと、巻出ロールと巻取ロールとの間に設けられ回転駆動される冷却キャンロールと、冷却キャンロールと巻出ロールとの間および冷却キャンロールと巻取ロールとの間にそれぞれ設けられた複数の上流側並びに下流側ロール群と、冷却キャンロールの外周面近傍に沿って設けられかつ冷却キャンロールの外周面に巻き付けられる長尺樹脂フィルムの上記外周面と接しない表面側に薄膜を形成する成膜手段と、冷却キャンロールと成膜手段との間に設けられかつ長尺樹脂フィルムにおける薄膜の形成領域を規制する遮蔽マスクとを真空チャンバー内に備え、長尺樹脂フィルムの幅方向両端側に長尺樹脂フィルムの長さ方向に亘り未成膜領域を残しながら薄膜を形成する成膜方法において、
    上記長尺樹脂フィルムの薄膜形成面に外周面が接すると共に回転可能に設けられた円筒状本体と、円筒状本体外周面における上記長尺樹脂フィルムの幅方向両端近傍に対応する部位に開設された少なくとも一対の開口部と、円筒状本体内における上記開口部に対応する部位に設けられかつ開口部へ向け光を照射する発光部と開口部からの反射光が入射される受光部を有するセンサーヘッドを備えた位置センサーロールを冷却キャンロールと巻取ロールとの間に配設し、位置センサーロール上を搬送される長尺樹脂フィルムの幅方向両端における各端部位置と長尺樹脂フィルムに形成された薄膜の幅方向両端における各端部位置が検出されるようにしたことを特徴とする成膜方法。
  10. 上記位置センサーロールが、冷却キャンロールの近傍に設けられかつ冷却キャンロールから送り出される長尺樹脂フィルムを上記巻取ロール側へ搬出させる後フィードロールにより構成されていることを特徴とする請求項9に記載の成膜方法。
  11. 先端を開口部側へ向けると共に光源に接続された発光用の光ファイバーによりセンサーヘッドの上記発光部が構成され、先端を開口部側へ向けると共に受光素子に接続された受光用の光ファイバーによりセンサーヘッドの上記受光部が構成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の成膜方法。
  12. 上記発光用の光ファイバーと受光用の光ファイバーとを束ねて成るファイバーバンドルを2組以上組み合わせてセンサーヘッドの上記発光部と受光部が構成されていることを特徴とする請求項11に記載の成膜方法。
  13. 長方形状の開放部を有する箱型ケースと、この箱型ケース内に千鳥状に配置された複数のファイバーバンドルと、各ファイバーバンドルの先端にそれぞれ取付けられたマイクロレンズとで上記センサーヘッドが構成されていることを特徴とする請求項12に記載の成膜方法。
  14. 長方形状の開放部を有する箱型ケースと、この箱型ケース内に長さ方向に亘って互いに平行に配列された発光用の光ファイバー群並びに受光用の光ファイバー群と、上記箱型ケースの開放部に取付けられたシリンドルカルレンズとで上記センサーヘッドが構成されていることを特徴とする請求項11に記載の成膜方法。
  15. 上記成膜手段が、マグネトロンスパッタリングカソードであることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の成膜方法。
  16. 請求項1〜8のいずれかに記載の真空成膜装置を用いて、幅方向両端側に未成膜領域が残された金属膜付長尺樹脂フィルムを製造することを特徴とする金属膜付長尺樹脂フィルムの製造方法。
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