特許文献1は、リレーの励磁コイルに供給する電圧を時間とともに変化させて騒音を少なくする技術を記載する。このリレーは、励磁コイルに供給する電圧で可動接点の動きを制御して騒音を低減する。
特許文献2は、リレーの励磁コイルと並列に、ダイオードとツェナーダイオードの直列回路を接続し、ツェナーダイオードの両端にスイッチング素子を接続している。このリレーは、励磁コイルと並列に接続するダイオードやツェナーダイオードでもって、励磁コイルの電流の減衰状態をコントロールする。すなわち、磁性コイルの電流を遮断するときに、励磁コイルの電流を、これと並列に接続しているダイオードやツェナーダイオードにバイパスして電流の遮断時間を長くする。励磁コイルの電流がゆっくりと減衰することで、オン状態にある可動接点がオフ状態になる速度を制限して騒音を低減する。このリレー回路は、可動接点を固定接点から分離してオフ状態に切り換えるタイミングでは騒音レベルを低下できる。
さらに、特許文献3は、リレーをオンするタイミングにおいて、最初に励磁コイルに規定電圧のパルス波を印加し、その後パルス波のオフ状態を設けて、一定の時間後に励磁コイルにパルス波を再入力して、可動接点が勢いよく固定接点に衝突するのを防止して騒音レベルを低くしている。
以上のリレーは、可動接点が移動する速度、とくにオンオフに切り換えられるときに衝突する速度を遅くして、騒音レベルを低減する。可動接点の移動速度を遅くすることは、騒音レベルの低減に効果があるが、大電流のリレーは、可動接点の移動速度が遅いと寿命が短くなる欠点がある。それは、接点のオンオフを切り換える時に、接点間にアークが発生しやすく、アークが接点を損傷させるからである。
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、リレーの切り換え時における騒音レベルを低減しながらリレーの接点の損傷を効果的に防止できる車両用の電源装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の車両用の電源装置は、車両を走行させるモータ33に電力を供給する走行用バッテリ1と、この走行用バッテリ1の正負の出力側を車両側負荷30に接続する第1リレー2A及び第2リレー2Bと、第1リレー2Aと並列に接続されて車両側負荷30のコンデンサー32をプリチャージするプリチャージリレー2Cと、このプリチャージリレー2Cと第1リレー2A及び第2リレー2Bをオンオフに制御する制御回路3、43、53とを備えている。リレー2は、励磁コイル20の通電状態で可動接点22を移動させて接点をオンオフに切り換えるリレーで、制御回路3、43、53は、第2リレー2Bとプリチャージリレー2Cをオン状態に切り換えて車両側負荷30のコンデンサー32をプリチャージし、コンデンサー32がプリチャージされた状態で第1リレー2Aをオンに切り換えて、走行用バッテリ1を車両側負荷30に接続している。車両用の電源装置は、第2リレー2Bとプリチャージリレー2Cのいずれかであって、最初にオフ状態からオン状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くする遅延切換回路7、47、57を備えており、遅延切換回路7、47、57が、最初にオフ状態からオン状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くしている。
以上の車両用の電源装置は、リレーの切り換え時における騒音レベルを低減しながらリレーの接点の損傷を効果的に防止できる特徴がある。それは、オフ状態からオン状態に切り換えてアークの発生しない、すなわちオフからオンの切り換え時に接点に電流が流れない最初にオンに切り換えられるリレーを、切り換えに要する時間間隔を長くしてオフ状態からオン状態に切り換えるからである。
本発明の車両用の電源装置は、制御回路3、43、53が、プリチャージリレー2Cを最初にオフ状態からオン状態に切り換えると共に、遅延切換回路7、47、57が、プリチャージリレー2Cの切り換えに要する時間間隔を長くしてオフ状態からオン状態に切り換えることができる。
以上の電源装置は、プリチャージリレーの騒音レベルを低減してオフ状態からオン状態に切り換えできる。
本発明の車両用の電源装置は、制御回路3、43、53が、第2リレー2Bを最初にオフ状態からオン状態に切り換えると共に、遅延切換回路7、47、57が、第2リレー2Bの切り換えに要する時間間隔を長くしてオフ状態からオン状態に切り換えることができる。
以上の電源装置は、第2リレーの騒音レベルを低減してオフ状態からオン状態に切り換えできる。
本発明の車両用の電源装置は、制御回路3、43、53が、リレー2の励磁コイル20の通電を制御するスイッチング素子6を備えると共に、遅延切換回路7、47、57が、スイッチング素子6の入力側にPWM変調された制御信号を入力して、接点状態の切り換えに要する時間間隔を長くしてオフ状態からオン状態に切り換えることができる。
以上の電源装置は、理想的な状態でオフ状態からオン状態に切り換えて騒音レベルを低減できる特徴がある。それは、PWM変調された制御信号のデューティーを制御して、リレーの騒音レベルをコントロールできるからである。
本発明の車両用の電源装置は、遅延切換回路7、47、57が、最初にオフ状態からオン状態に切り換えられるリレー2の励磁コイル20に接続しているスイッチング素子6の入力側にPWM変調された制御信号を入力して、オフ状態からオン状態への切り換えに要する時間間隔を長くし、その他のリレー2の励磁コイル20に接続しているスイッチング素子6の入力側には、一定電圧の制御信号を入力して、オフ状態からオン状態に切り換えることができる。
以上の電源装置は、最初にオンに切り換えられるリレーの騒音レベルを低減しながら、他のリレーを速やかにオフ状態からオン状態に切り換えできる。
本発明の他の側面にかかる車両用の電源装置は、車両を走行させるモータ33に電力を供給する走行用バッテリ1と、この走行用バッテリ1の正負の出力側を車両側負荷30に接続する第1リレー2A及び第2リレー2Bと、第1リレー2A及び第2リレー2Bをオンオフに制御する制御回路3、43、53とを備えており、リレー2が、励磁コイル20の通電状態で可動接点22を移動させて接点をオンオフに切り換えるリレーで、制御回路3、43、53が、第1リレー2Aと第2リレー2Bをオン状態からオフ状態に切り換えて、走行用バッテリ1を車両側負荷30から電気的に切り離している。車両用の電源装置は、第1リレー2Aと第2リレー2Bのいずれかであって、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くする遅延切換回路7、47、57、67を備えており、遅延切換回路7、47、57、67でもって、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くしている。
以上の車両用の電源装置は、最後にオン状態からオフ状態へと切り換えるリレーの騒音レベルを低減しながら、リレーの接点の損傷を効果的に防止できる特徴がある。それは、オン状態からオフ状態に切り換えてアークの発生しない、すなわちオンからオフの切り換え時に接点に電流が流れない最後にオフ状態に切り換えられるリレーを、切り換えに要する時間間隔を長くしてオン状態からオフ状態に切り換えるからである。
本発明の車両用の電源装置は、制御回路3、43、53が、リレー2の励磁コイル20の通電を制御するスイッチング素子6を備えると共に、遅延切換回路7、47、57が、スイッチング素子6の入力側にPWM変調された制御信号を入力して、切り換えに要する時間間隔を長くしてオン状態からオフ状態に切り換えることができる。
以上の電源装置は、理想的な状態でオン状態からオフ状態に切り換えて騒音レベルを低減できる特徴がある。それは、PWM変調された制御信号のデューティーを制御して、リレーの騒音レベルをコントロールできるからである。
本発明の車両用の電源装置は、遅延切換回路7、47、57が、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレー2の励磁コイル20に接続しているスイッチング素子6の入力側にPWM変調された制御信号を入力して、オン状態からオフ状態への切り換えに要する時間間隔を長くし、その他のリレー2の励磁コイル20に接続しているスイッチング素子6の入力側には、一定電圧の制御信号を入力して、オン状態からオフ状態に切り換えることができる。
以上の電源装置は、理想的な状態でオン状態からオフ状態に切り換えて騒音レベルを低減できる特徴がある。それは、PWM変調された制御信号のデューティーを制御して、リレーの騒音レベルをコントロールできるからである。
本発明の車両用の電源装置は、遅延切換回路67を、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレー2の励磁コイル20と並列に接続してなる並列回路64とすることができる。
この電源装置は、簡単な回路構成で、最後にオン状態からオフ状態に切り換えるリレーの切り換えに要する時間間隔を長くできる。
本発明の他の側面にかかる車両用の電源装置は、車両を走行させるモータ33に電力を供給する走行用バッテリ1と、この走行用バッテリ1の正負の出力側を車両側負荷30に接続する第1リレー2A及び第2リレー2Bと、第1リレー2Aと並列に接続されて車両側負荷30のコンデンサー32をプリチャージするプリチャージリレー2Cと、このプリチャージリレー2Cと第1リレー2A及び第2リレー2Bをオンオフに制御する制御回路3、43、53とを備えて、リレー2が、励磁コイル20の通電状態で可動接点22を移動させて接点をオンオフに切り換えるリレーで、制御回路3、43、53が、第2リレー2Bとプリチャージリレー2Cをオン状態に切り換えて車両側負荷30のコンデンサー32をプリチャージし、コンデンサー32がプリチャージされた状態で第1リレー2Aをオンに切り換えて、走行用バッテリ1を車両側負荷30に接続する。車両用の電源装置は、第2リレー2Bとプリチャージリレー2Cのいずれかであって、最初にオフ状態からオン状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くすると共に、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くする遅延切換回路7、47、57、67を備えて、遅延切換回路7、47、57、67が、最初にオフ状態からオン状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くすると共に、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くすることができる。
以上の車両用の電源装置は、最初にオフ状態からオン状態に切り換えられるリレーと、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレーの切り換え時における騒音レベルを低減しながら、リレーの接点の損傷を効果的に防止できる特徴がある。それは、オンオフの切り換え時にアークの発生しないリレーの切り換えに要する時間間隔を長くしてオンオフに切り換えるからである。
本発明の車両用の電源装置は、制御回路3、43、53が、リレー2の励磁コイル20の通電を制御するスイッチング素子6を備えて、遅延切換回路7、47、57が、スイッチング素子6の入力側にPWM変調された制御信号を入力して、切り換えに要する時間間隔を長くしてオフ状態からオン状態に、またオン状態からオフ状態に切り換えることができる。
以上の電源装置は、理想的な状態でオン状態からオフ状態に、またオフ状態からオン状態に切り換えて騒音レベルを低減できる特徴がある。それは、PWM変調された制御信号のデューティーを制御して、リレーの騒音レベルをコントロールできるからである。
本発明の車両用の電源装置は、遅延切換回路67を、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレー2の励磁コイル20と並列に接続してなる並列回路64とすることができる。
以上の電源装置は、簡単な回路構成で、最後にオン状態からオフ状態に切り換えるリレーの切り換えに要する時間間隔を長くできる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車両用の電源装置を例示するものであって、本発明は車両用の電源装置を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図1に示す車両用の電源装置は、車両を走行させるモータ33に電力を供給する走行用バッテリ1と、この走行用バッテリ1の正負の出力側を車両側負荷30に接続する第1リレー2A及び第2リレー2Bと、第1リレー2Aと並列に接続されて車両側負荷30のコンデンサー32をプリチャージするプリチャージリレー2Cと、このプリチャージリレー2Cと第1リレー2A及び第2リレー2Bをオンオフに制御する制御回路3とを備えている。リレー2は、励磁コイル20の通電状態で可動接点を移動させて接点をオンオフに切り換えるリレーである。
走行用バッテリ1は、充電できる複数の電池10を直列に接続して出力電圧を高く、たとえば、100V〜300Vとしている。また、複数の電池を並列に接続して電流容量を大きくすることもできる。走行用バッテリ1は、車両を走行させる状態、すなわちキースイッチ35をオンに切り換える状態で、リレー2をオン状態として車両側負荷30に接続され、キースイッチ35がオフに切り換えられる状態では、リレー2をオフ状態として車両側負荷30から電気的に切り離される。
車両側負荷30は、例えば、静電容量を3000μF〜5000μFとする大容量のコンデンサー32を負荷のDC/ACインバータ31と並列に接続している。このコンデンサー32が完全に放電される状態で、第1リレー2Aと第2リレー2Bがオン状態に切り換えられると、コンデンサー32を充電するために、瞬間的に極めて大きなチャージ電流が流れる。チャージ電流はリレー2の接点を損傷させる原因となるので、チャージ電流による弊害を防止するために、プリチャージ回路4を設けている。図1の電源装置は、第1リレー2Aと並列にプリチャージ回路4を設けている。プリチャージ回路4は、コンデンサー32のチャージ電流を制限するために、プリチャージリレー2Cと直列にプリチャージ抵抗5を接続している。プリチャージ抵抗5は、プリチャージリレー2Cをオンに切り換える状態で、コンデンサー32の充電電流を小さく制限する。
車両側負荷30は、DC/ACインバータ31を介して走行用バッテリ1をモータ33と発電機34とに接続している。DC/ACインバータ31は、走行用バッテリ1の直流を交流に変換してモータ33に供給し、発電機34の交流を直流に変換して走行用バッテリ1を充電する。図1は、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーを示している。発電機を装備しない電気自動車は、DC/ACインバータを介してモータに電力を供給し、回生制動時には、モータを発電機とし、あるいは別に設けている発電機で走行用バッテリを充電する。なお、本実施例では、DC/ACインバータを用いているが、DC/DCコンバータでも構わない。
以上の電源装置は、プリチャージリレー2Cと第2リレー2Bとを制御回路3でオン状態に切り換えてコンデンサー32をプリチャージする。コンデンサー32がプリチャージされた後、第1リレー2Aをオンに切り換えて、第1リレー2Aがコンデンサー32のチャージ電流で損傷するのを防止している。制御回路3は、リレー2の励磁コイル20の通電を制御するスイッチング素子6をオンオフに切り換えて、リレー2をオンオフに切り換える。
図2と図3は、制御回路3がリレー2を切り換える状態を示している。図2は、リレー2をオン状態に切り換えるタイミングを、図3はリレー2をオフ状態に切り換えるタイミングを示している。車両のキースイッチ35がオンに切り換えられると、制御回路3は図2に示すように、第2リレー2Bとプリチャージリレー2Cをオン状態に切り換えて車両側負荷30のコンデンサー32をプリチャージし、コンデンサー32がプリチャージされた状態で、第1リレー2Aをオンに切り換えて、走行用バッテリ1を車両側負荷30に接続する。制御回路3は、図2に示すように、プリチャージリレー2Cを先にオンに切り換えた後、第2リレー2Bをオンに切り換えてコンデンサー32をプリチャージし、あるいは、図示しないが、第2リレー2をオンに切り換えた後、プリチャージリレー2をオンに切り換えてコンデンサーをプリチャージすることもできる。制御回路3は、所定の時間が経過するとコンデンサー32のプリチャージが完了したと判定し、あるいはプリチャージ電流が所定の電流値まで減少する状態、またはコンデンサーの電圧が所定の状態まで増加した状態でコンデンサー32がプリチャージされたと判定し、第1リレー2Aをオンに切り換える。第1リレー2Aをオンに切り換えた後、プリチャージリレー2Cをオフに切り換える。
さらに、制御回路3は、車両のキースイッチ35がオフに切り換えられると、第1リレー2Aと第2リレー2Bを順番にオフに切り換える。図3は、第1リレー2Aを先にオフに切り換えた後、第2リレー2Bをオフに切り換える状態を示している。ただ、制御回路は、図示しないが、第2リレー2をオフに切り換えた後、第1リレー2をオフに切り換えることもできる。
ところで、車両用の電源装置が装備するリレーは、大電流が流れるので電流容量の大きい、すなわち大きな可動接点のものが使用される。また、走行用バッテリの高電圧を遮断するために可動接点のストロークが大きく、かつ可動接点が速やかに移動するものが使用される。このリレーは、オンオフに切り換えるときに、大きな騒音を発生する。オンに切り換えられるときは、可動接点が固定接点に勢いよく衝突して騒音を発生する。また、オフに切り換えられるときには、可動接点が固定接点から離れてストッパに衝突して大きな騒音が発生する。
図4は、リレー2の原理図を示している。このリレー2は、往復運動する可動接点22を支持している可動片21と、この可動片21の可動接点22と対向する位置に配置している固定接点23と、可動片21をオフ状態、すなわち可動接点22を固定接点23から離す方向に弾性的に移動させている弾性体24と、可動片21を磁気的な吸引力で吸引して、可動接点22を固定接点23に接触させる励磁コイル20と、可動接点22をオフ位置に停止させるストッパ25とを備えている。このリレー2は、励磁コイル20の通電を制御して可動片21を往復運動させる。すなわち、可動片21で可動接点22を往復運動させて、接点をオンオフに切り換える。励磁コイル20に通電されると励磁コイル20が可動片21を吸引して可動接点22を固定接点23に接触させてオン状態に、励磁コイル20の電流を遮断する状態では、可動片21を弾性体24が引っ張って可動接点22を固定接点23から離してオフ状態となる。可動片21は、励磁コイル20でオン方向に、弾性体24でオフ方向に引っ張られる。
この構造のリレー2は、励磁コイル20に通電されて可動片21が励磁コイル20に吸引されるとき、可動接点22が固定接点23に衝突して騒音が発生し、また、励磁コイル20の電流が遮断されるとき、可動接点22が固定接点23から離れて可動片21がストッパ25に衝突して騒音が発生する。騒音レベルは、可動接点22が固定接点23に衝突する速度、また可動片21がストッパ25に衝突する速度で変化し、衝突速度が速いと騒音レベルが高く、衝突速度が遅いと騒音レベルは低くなる。
制御回路が図2で示すタイミングでリレーをオフ状態からオン状態に切り換え、また、図3に示すタイミングでオン状態からオフ状態に切り換えるとき、リレーは大きな騒音を発生する。リレーは、可動接点の動きを遅くして、衝突の衝撃を小さくし、すなわち、可動接点の動きを遅くして、切り換えに要する時間間隔を長くして、騒音レベルを低くできる。ただ、リレーは、切り換えに要する時間間隔を長くして可動接点の動きを遅くすると、可動接点が固定接点に接触する瞬間で、あるいは離れる瞬間に、接点間に発生したアークが割りと長時間滞在するために接点を大きく損傷する弊害がある。
この弊害を阻止するために、本発明の電源装置は、オフ状態からオン状態に切り換えるタイミングにおいては、第2リレー2Bとプリチャージリレー2Cのいずれかであって、最初にオフ状態からオン状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を遅延切換回路7で長くする。遅延切換回路7が、最初にオフ状態からオン状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くすることで、可動接点22が衝突する衝撃を緩和して、騒音レベルを低減する。最初にオンに切り換えられるリレー2は、例えば第2リレー2Bが始めにオフ状態からオン状態に切り換えられても、プリチャージリレー2Cや第1リレー2Aがオン状態にないので電流が流れない。したがって、この最初にオンに切り換えられるリレー2は、可動接点22が固定接点23に接触するタイミングでアークが発生して接点が損傷されることがない。このため、このリレー2は、遅延切換回路7でもって、切り換えに要する時間間隔を長くしても、接点が損傷することはない。
図2でリレー2をオフ状態からオン状態に切り換える制御回路3は、プリチャージリレー2Cが最初にオンに切り換えられるので、プリチャージリレー2Cをオフ状態からオン状態に切り換える切り換えに要する時間間隔を遅延切換回路7で長くする。図示しないがが、制御回路が第2リレーを先にオンに切り換えた後、プリチャージリレーをオンに切り換えてコンデンサーをプリチャージする回路構成にあっては、最初にオンに切り換えられる第2リレーが、遅延切換回路でもって、切り換えに要する時間間隔を長くしてオン状態に切り換えられる。
さらに、本発明の電源装置は、オン状態からオフ状態に切り換えるタイミングにおいては、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を遅延切換回路7で長くする。遅延切換回路7が、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くすることで、可動接点22がストッパ25に衝突する衝撃を緩和して、騒音レベルを低減する。最後にオフに切り換えられるリレー2は、オン状態からオフ状態に切り換えられても、すでに先にオフ状態に切り換えられる他のリレー2によって電流を遮断しているので、このリレー2で電流を遮断する必要がない。したがって、最後にオフに切り換えられるリレー2の可動接点22が固定接点23から離れるときに、接点間にアークが発生して接点を損傷することがない。このため、このリレー2は、遅延切換回路7でもって、切り換えに要する時間間隔を長くしても、接点が損傷することはない。
図3で示すように、リレー2をオン状態からオフ状態に切り換える制御回路3は、第2リレー2Bを最後にオフに切り換えるので、第2リレー2Bをオン状態からオフ状態に切り換える切り換えに要する時間間隔を遅延切換回路7で長くする。図示しないが、制御回路が第2リレーを先にオフに切り換えた後、第1リレーをオフに切り換える回路構成にあっては、最後にオフに切り換えられる第1リレーが、遅延切換回路でもって、切り換えに要する時間間隔を長くしてオフ状態に切り換えられる。
制御回路3は、励磁コイル20の通電を制御して、切り換えに要する時間間隔を長くする。制御回路3は、切り換えに要する時間間隔を長くし、衝突の衝撃を少なくして切り換え時の騒音レベルを低減する。図5は、リレー2をオフからオンに切り換えるタイミングにおいて、騒音レベルを低減するために、可動接点22が固定接点23に向かって移動する理想的な速度特性を示している。この図に示すように、オフからオンの状態に切り換えられる可動接点22は、最初に速やかに加速されて固定接点23に向かって移動し、その後、次第に速度が遅くなり、固定接点23に接触する状態での速度を遅くして騒音レベルを低減する。可動接点22は励磁コイル20に通電されて、すなわち励磁コイル20に吸引されて移動する速度が加速される。反対に、可動接点22は弾性体24に引っ張られて固定接点23に向かって移動する速度が減速される。弾性体24は、可動接点22を固定接点23から離す方向に付勢し、励磁コイル20は、可動接点22を固定接点23に向かって吸引しているので、励磁コイル20の吸引力、すなわち励磁コイル20の通電をコントロールして、可動接点22の速度はコントロールできる。
また、オン状態の可動接点22が固定接点23から離れてオフ状態に切り換えられる状態においても、図5に示すように、最初は速やかにオフ方向に加速して、可動片21がストッパ25に衝突する直前では速度を遅くして騒音レベルを低下できる。このとき、可動片21は、弾性体24でオフ方向に加速され、励磁コイル20の吸引力で減速される。したがって、オフ状態に切り換えられるとき、可動片21がオフ方向に移動する速度を、弾性体24の引っ張り力と励磁コイル20の吸引力とのバランスをコントロールすることで調整して、図5に示すカーブで可動片21を移動させて騒音レベルを低減できる。
リレー2は、オンオフの切り換え時に、励磁コイル20の通電を制御するスイッチング素子6の入力側に、PWM変調された制御信号を入力して、可動接点22の移動速度を、図5に示すカーブに接近させるように制御して騒音レベルを低減する。この制御回路3は、リレー2の切り換えに要する時間間隔を長くするための遅延切換回路7と、リレー2を通常の速度でオンオフに切り換えるノーマル切換回路8とを入力回路9に接続している。入力回路9は、遅延切換回路7とノーマル切換回路8とを選択して、スイッチング素子6に入力する。この制御回路3は、励磁コイル20の電流を制御するスイッチング素子6に制御信号を入力する入力回路9に、遅延切換回路7とノーマル切換回路8とを接続している。遅延切換回路7は、特定のリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くしてオンオフに切り換え、ノーマル切換回路8は他のリレー2を速やかにオンオフに切り換える。
スイッチング素子6はFETやトランジスタからなる半導体スイッチング素子で、入力側の信号でオンオフに切り換えられる。入力回路9は、FETのスイッチング素子6をゲート電圧で、トランジスタのスイッチング素子をベース電流でオンオフに切り換える。
入力回路9は、スイッチング素子6の入力側に入力する制御信号でスイッチング素子6をオンオフに制御して、励磁コイル20の通電を制御してリレー2のオンオフ状態を切り換える。入力回路9は、切り換えに要する時間間隔を長くして切り換えるリレー2のスイッチング素子6の入力側には、遅延切換回路7から入力される制御信号を入力して切り換えに要する時間間隔を長くし、切り換えに要する時間間隔を長くしないで切り換えるリレー2に接続しているスイッチング素子6の入力側には、ノーマル切換回路8から入力される制御信号を入力してオンオフに切り換える。
遅延切換回路7は、PWM変調された制御信号を、入力回路9を介してスイッチング素子6に入力して、リレー2の切り換えに要する時間間隔を長くする。遅延切換回路7は、PWM変調された制御信号のパルス幅を広くして励磁コイル20の吸引力を大きく、反対にパルス幅を狭くして励磁コイル20の吸引力を弱くできる。
遅延切換回路7は、励磁コイル20の電流を検出してPWM変調された制御信号をコントロールし、あるいは、励磁コイル20の供給電圧を検出してPWM変調された制御信号をコントロールし、さらに、可動接点22のチャタリングを検出してPWM変調された制御信号をコントロールして、リレー2の騒音レベルを理想的な状態で低減できる。ただし、遅延切換回路は、必ずしも電流や電圧、あるいはチャタリングを検出してPWM変調したパルス幅を調整する必要はなく、一定のPWM変調された制御信号を、入力回路を介してスイッチング素子に入力して切り換えに要する時間間隔を長くすることもできる。
励磁コイル20の電流を検出してPWM変調された制御信号のパルス幅を調整する遅延切換回路7は、図6に示すように、スイッチング素子6をオンとする状態で、励磁コイル20に流れる電流を検出する電流検出回路11と、検出電流に対する制御信号を記憶する記憶回路12と、電流検出回路11で検出される励磁コイル20の電流と、記憶回路12に記憶している記憶データから制御信号を特定して入力回路9に入力するコントロール回路13とを備えている。この遅延切換回路7は、コントロール回路13が、記憶回路12に記憶している制御信号を、電流検出回路11が検出する検出電流に基づいて特定して入力回路9に入力する。入力回路9は、遅延切換回路7から入力される制御信号をスイッチング素子6の入力側に入力して、スイッチング素子6でもって励磁コイル20の電流を制御してリレー2のオンオフ状態を制御する。遅延切換回路7は、PWM変調された制御信号を入力回路9を介してスイッチング素子6の入力側に入力して、スイッチング素子6のオンオフを制御する。
遅延切換回路7は、電流に対するPWM変調された制御信号を特定するために、励磁コイル20の電流を電流検出回路11で検出する。この電流検出回路11は、図6に示すように、励磁コイル20に通電される最初のパルスのタイミングで初期電流を検出する。この電流検出回路11は、スイッチング素子6の入力側に、PWM変調された制御信号を入力する状態で、最初のパルスのオン時間内において、励磁コイル20の初期電流を検出する。この電流検出回路11は、最初のパルスの立ち上がり時間に同期して、励磁コイル20の電流を検出するA/Dコンバータ(図示せず)を入力側に設けている。このA/Dコンバータは、初期パルスで励磁コイル20に流れる電流をデジタル信号に変換してコントロール回路13に出力する。
電流検出回路11は、リレー2をオフ状態にしている時間帯において、所定のサンプリング周期(たとえば、10秒〜10分のサンプリング周期)で、リレー2をオン状態に切り換える最低電圧よりも低い電圧を励磁コイル20に供給し、あるいは可動接点22をオンに切り換えるよりも短いパルス幅で励磁コイル20に通電して、励磁コイル20の電流を検出することもできる。この電流検出回路11は、励磁コイル20が通電され、オン状態へ移行する以前に励磁コイル20の電流を検出して、検出電流をA/Dコンバータでデジタル信号に変換してコントロール回路13に出力する。
検出電流に基づいて騒音レベルを低減するPWM変調された制御信号は、記憶回路12に記憶している。記憶回路12は、励磁コイル20の電流に対して、騒音レベルを最も低減できるPWM変調された制御信号を記憶している。記憶回路12は、ルックアップテーブルとして、又は関数として、励磁コイル11の電流に対するPWM変調された制御信号を記憶している。リレー2は、可動接点22をオフからオンに切り換える時間帯において、図7の(a)の曲線Aで示すように、可動接点22の移動速度をコントロールして騒音レベルを低減しながらオン状態に切り換えできる。可動接点22をオンに切り換える制御信号は、図7の(b)に示すように、可動接点22が固定接点23に接近するにしたがって、パルス幅を狭くするようにPWM変調されてスイッチング素子6に入力される。このとき、可動接点22は、図7の(a)の曲線Aで示すように、最初には励磁コイル20に吸引されて速やかに加速され、その後、励磁コイル20の吸引力を少なくして速度を低下し、固定接点23に衝突するときの速度を低減して、騒音レベルを低減できる。励磁コイル11の温度に対する最適な制御信号は、あらかじめリレー2に通電して測定され、測定結果から励磁コイル20の電流、すなわち電気抵抗に対して最適にPWM変調された制御信号として記憶回路12に記憶される。
励磁コイル20にPWM変調された制御信号を入力してスイッチング素子6をオンオフに切り換えると、励磁コイル20の電気抵抗が小さい状態、すなわち励磁コイル20の電流が増加する状態では可動接点22が固定接点23に衝突する速度が速くなる。この状態を図7の(a)の曲線Bで示している。この状態は、励磁コイル20の吸引力が大きくなって、可動接点22が固定接点23に向かって接近する速度、すなわち、この方向の加速力が大きくなる。反対に励磁コイル20の電気抵抗が大きくなる状態、すなわち、励磁コイル20の電流が減少する状態では、可動接点22が固定接点23に向かって移動する速度が遅くなって正常にオン状態に切り換えできなくなる。この状態を図7の(a)の曲線Cで示している。この状態は、励磁コイル20の吸引力が弱くなって、可動接点22が固定接点23に向かって接近する速度、すなわちこの方向の加速力が小さくなってPWM変調された制御信号の時間最中に固定接点23に接触できなくなり、PWM変調された制御信号の入力が終わり一定の制御信号が入力されたさいに、騒音が低減されない状態で固定接点23に接触する。
記憶回路12は、図7の(a)の曲線Aで示す理想的な速度で可動接点22が固定接点23に向かって移動できるように、励磁コイル20の電流に対する、すなわち励磁コイル20の電気抵抗に対するPWM変調された制御信号を記憶している。励磁コイル20の電流が大きくなって電気抵抗が小さくなると、同じパルス幅の制御信号では励磁コイル20の吸引力が増加するので、記憶回路12は励磁コイル20の電流が増加すると、パルス幅を狭くするようにPWM変調された制御信号を記憶している。
コントロール回路13は、電流検出回路11で励磁コイル20の電流が検出されると、この検出電流から記憶回路12に記憶しているPWM変調された制御信号を選択し、選択された制御信号を入力回路9に入力する。入力回路9は、コントロール回路13から入力された制御信号をスイッチング素子6の入力側に入力して、スイッチング素子6をオンオフに切り換え、励磁コイル20の吸引力をコントロールして、可動接点22をオフからオンに切り換える。
遅延切換回路7は、最初のパルス波で励磁コイル20に流れる初期電流を検出し、あるいはオフ状態で検出された検出電流で記憶回路12に記憶している制御信号を選択する。初期電流で制御信号を特定する遅延切換回路7は、励磁コイル20に最初のパルス波を入力して励磁コイル20の電流を電流検出回路11で検出した後、検出電流でもって、その後のパルス幅を記憶回路12に記憶する記憶データから特定し、PWM変調された制御信号を、入力回路9を介してスイッチング素子6の入力側に入力する。電流検出回路11がオフ状態で励磁コイル20の電流を検出する制御回路3は、オン状態へと移行しない検出電流でもって記憶回路12の記憶データからPWM変調された制御信号を特定し、その後に励磁コイル20に通電される状態において、特定された制御信号をスイッチング素子6の入力側に入力して可動接点22をオフからオンに切り換える。可動接点22を固定接点23に接触させてオン状態となった後は、励磁コイル20に通電する状態に保持してオン状態に保持される。
以上は、可動接点22をオフからオンに切り換える状態を詳述したが、可動接点22をオンからオフに切り換える状態も同じように、PWM変調された制御信号をスイッチング素子6に入力して騒音レベルを低減しながら可動接点22をオフに切り換えできる。この状態を図8の(a)に示している。オンからオフに切り換えられる可動接点22は、騒音レベルを低減するために、ストッパ25に衝突する速度を遅くする。オフ状態に切り換えられる可動接点22は、弾性体24でオフ方向に加速され、励磁コイル20で反対方向に引っ張られる。したがって、オフに切り換えられる可動接点22は、オンに切り換えられる状態とは反対に、可動接点22、正確には可動片21がストッパ25に接近するにしたがって、励磁コイル20の吸引力を大きくして可動接点22の速度を減速する必要がある。オフ方向に移動する可動接点22は、励磁コイル20の吸引力で減速されるからである。したがって、図8の(b)に示すように、可動接点22をオフに切り換える制御信号は、可動接点22が固定接点23から離れるにしたがって、パルス幅を広くするようにPWM変調されてスイッチング素子6に入力される。この制御信号も記憶回路12に記憶される。すなわち、記憶回路12は、可動接点22をオフに切り換える状態においても、励磁コイル20の電流に最適なPWM変調された制御信号をあらかじめ測定して記憶している。可動接点22がオフに切り換えられた後は、励磁コイル20の電流を遮断してオフ状態に保持される。可動接点22をオフ状態に切り換えるとき、コントロール回路13は、オフ状態に切り換える直前の励磁コイル20の電流から、制御信号を選択する。
さらに、図9の制御回路43は、遅延切換回路47に、励磁コイル20の供給電圧を検出する電圧検出回路14を備えている。この制御回路43は、励磁コイル20の電流を制御するスイッチング素子6と、スイッチング素子6の入力側に制御信号を入力して、スイッチング素子6のオン状態を制御する入力回路9と、励磁コイル20の電圧を検出してリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くする制御信号を入力回路9に入力する遅延切換回路47と、リレー2を通常の速度でオンオフに切り換えるノーマル切換回路8とを備えている。この遅延切換回路47は、電圧検出回路14で検出される電圧に対応して、スイッチング素子6に入力するPWM変調された制御信号を記憶している記憶回路12と、電圧検出回路14で検出される励磁コイル20の電圧と、記憶回路12に記憶している記憶データから制御信号を特定して入力回路9に入力するコントロール回路13とを備えている。
遅延切換回路47は、コントロール回路13が、記憶回路12に記憶している制御信号を、電圧検出回路14で検出する検出電圧に基づいて特定して入力回路9に入力する。入力回路9は、遅延切換回路47から入力される制御信号をスイッチング素子6の入力側に入力して、スイッチング素子6でもって励磁コイル20の電流を制御してリレー2のオンオフ状態を制御する。遅延切換回路47は、PWM変調された制御信号を、入力回路9を介してスイッチング素子6の入力側に入力して、スイッチング素子6のオンオフを制御する。
遅延切換回路47は、コントロール回路13が電圧に対する制御信号を特定するために、励磁コイル20の供給電圧を電圧検出回路14で検出する。この電圧検出回路14は、励磁コイル20に通電される状態で、あるいは通電する以前に供給電圧を検出して、検出する電圧をデジタル信号に変換してコントロール回路13に出力する。
検出電圧から騒音レベルを低減するPWM変調された制御信号は、記憶回路12に記憶している。記憶回路12は、励磁コイル20の供給電圧に対して、騒音レベルを最も低減できるPWM変調された制御信号を記憶している。このリレー2は、可動接点22をオフからオンに切り換える時間帯において、図7の(a)の曲線Aで示すように可動接点22の移動速度をコントロールして騒音レベルを低減しながらオン状態に切り換えできる。可動接点22をオンに切り換える制御信号は、図7の(b)に示すように、可動接点22が固定接点23に接近するにしたがって、パルス幅を狭くするようにPWM変調されてスイッチング素子6に入力される。このとき、可動接点22は、図7の(a)の曲線Aで示すように、最初には励磁コイル20に吸引されて速やかに加速され、その後、励磁コイル20の吸引力を少なくして速度を低下し、固定接点23に衝突するときの速度を低減して、騒音レベルを低減できる。供給電圧に対する最適な制御信号は、あらかじめリレー2に所定の供給電圧を印加して測定され、測定結果から励磁コイル20の供給電圧に対して最適にPWM変調された制御信号が記憶回路12に記憶される。
励磁コイル20にPWM変調された制御信号を入力してスイッチング素子6をオンオフに切り換えると、励磁コイル20の供給電圧が高い状態では可動接点22が固定接点23に衝突する速度が速くなる。この状態を図7の(a)の曲線Bで示している。この状態は、励磁コイル20の吸引力が大きくなって、可動接点22が固定接点23に向かって接近する速度、すなわち、この方向の加速力が大きくなる。反対に励磁コイル20の供給電圧が低下する状態では、可動接点22が固定接点23に向かって移動する速度が遅くなって正常にオン状態に切り換えできなくなる。この状態を図7の(a)の曲線Cで示している。この状態は、励磁コイル20の吸引力が弱くなって、可動接点22が固定接点23に向かって接近する速度、すなわちこの方向の加速力が小さくなってPWM変調された制御信号の時間最中に固定接点23に接触できなくなり、PWM変調された制御信号の入力が終わり一定の制御信号が入力された際に、騒音が低減されない状態で固定接点23に接触する。
記憶回路12は、図7の(a)の曲線Aで示す理想的な速度で可動接点22が固定接点23に向かって移動できるように、励磁コイル20の供給電圧に対するPWM変調された制御信号を記憶している。励磁コイル20の供給電圧が高くなると、同じパルス幅の制御信号では励磁コイル20の吸引力が増加するので、記憶回路12は励磁コイル20の供給電圧が高くなると、パルス幅を狭くするようにPWM変調された制御信号を記憶している。
コントロール回路13は、電圧検出回路14で検出される検出電圧から記憶回路12に記憶しているPWM変調された制御信号を選択し、選択された制御信号を入力回路9に入力する。入力回路9は、コントロール回路13から入力された制御信号をスイッチング素子6の入力側に入力して、スイッチング素子6を切り換え、励磁コイル20の吸引力をコントロールして、可動接点22をオフからオンに切り換える。
遅延切換回路47は、可動接点22をオンに切り換える直前のタイミングで検出した検出電圧で記憶回路12に記憶している制御信号を選択する。電圧検出回路14は、例えば抵抗を基準電位との間に用いて、その端子間電圧を測定する機構を有している(図示せず)。この遅延切換回路47は、検出電圧でもって、記憶回路12に記憶する記憶データから制御信号を特定し、PWM変調された制御信号を、入力回路9を介してスイッチング素子6の入力側に入力する。可動接点22を固定接点23に接触させてオン状態となった後は、励磁コイル20に通電する状態に保持してオン状態に保持される。
以上は、可動接点22をオフからオンに切り換える状態を詳述したが、可動接点22をオンからオフに切り換える状態も同じように、PWM変調された制御信号をスイッチング素子6に入力して騒音レベルを低減しながら可動接点22をオフに切り換えできる。この状態を図8の(a)に示している。オンからオフに切り換えられる可動接点22は、騒音レベルを低減するために、ストッパ25に衝突する速度を遅くする。オフ状態に切り換えられる可動接点22は、弾性体24でオフ方向に加速され、励磁コイル20で反対方向に引っ張られる。したがって、オフに切り換えられる可動接点22は、オンに切り換えられる状態とは反対に、可動接点22、正確には可動片21がストッパ25に接近するにしたがって、励磁コイル20の吸引力を大きくして可動接点22の速度を減速する必要がある。オフ方向に移動する可動接点22は、励磁コイル20の吸引力で減速されるからである。したがって、図8の(b)に示すように、可動接点22をオフに切り換える制御信号は、可動接点22が固定接点23から離れるにしたがって、パルス幅を広くするようにPWM変調されてスイッチング素子6に入力される。この制御信号も、供給電圧に最適なPWM変調されたパルス信号として記憶回路12に記憶される。すなわち、記憶回路12は、可動接点22をオフに切り換える状態においても、励磁コイル20の供給電圧に最適なPWM変調された制御信号をあらかじめ測定して記憶している。可動接点22がオフに切り換えられた後は、励磁コイル20の電流を遮断してオフ状態に保持される。可動接点22をオフ状態に切り換えるとき、コントロール回路13は、オフ状態に切り換える直前に検出した励磁コイル20の検出電圧から、制御信号を選択する。
さらに、図10の制御回路53は、遅延切換回路57に可動接点22のチャタリングを検出するチャタリング検出回路15を備えている。この制御回路53は、励磁コイル20の電流を制御するスイッチング素子6と、スイッチング素子6の入力側に制御信号を入力して、スイッチング素子6のオン状態を制御する入力回路9と、可動接点22のチャタリングを検出してリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くする制御信号を入力回路9に入力する遅延切換回路57と、リレー2を通常の速度でオンオフに切り換えるノーマル切換回路8とを備えている。
遅延切換回路57は、可動接点22をオンに切り換えるタイミングで発生するチャタリングを検出するチャタリング検出回路15と、このチャタリング検出回路15で検出されるチャタリング波形に対応して、スイッチング素子6に入力する制御信号を記憶している記憶回路12と、チャタリング検出回路15で検出されるチャタリング波形と、記憶回路12に記憶している記憶データから制御信号を特定して入力回路9に入力するコントロール回路13とを備えている。
遅延切換回路57は、コントロール回路13が、記憶回路12に記憶している制御信号を、チャタリング検出回路15で検出するチャタリング波形に基づいて特定して入力回路9に入力する。入力回路9は、遅延切換回路57から入力される制御信号をスイッチング素子6の入力側に入力して、スイッチング素子6でもって励磁コイル20の電流を制御してリレー2のオンオフ状態を制御する。遅延切換回路57は、PWM変調された制御信号を、入力回路9を介してスイッチング素子6の入力側に入力して、スイッチング素子6のオンオフを制御する。
遅延切換回路57は、コントロール回路13が、チャタリングから推定する機械的可動部分の変化に対する制御信号を特定するために、可動接点22をオンに切り換えるタイミングで可動接点22のチャタリング波形をチャタリング検出回路15で検出する。このチャタリング検出回路15は、可動接点22をオフからオンに切り換えて発生するチャタリング波形を検出する。チャタリング波形は、所定のサンプリング周期で、可動接点22と固定接点23との間の電圧を検出して検出される。可動接点22と固定接点23との間にチャタリングが発生すると、図11に示すように、可動接点22の固定接点23との間の電圧が連続して0Vとならず、可動接点22が固定接点23から離れて複数の電圧波形が発生する。チャタリング検出回路15は、所定のサンプリング周期で、可動接点22と固定接点23の電圧を検出し、検出する電圧が所定のレベル範囲となる回数、図11においては3回を検出して、チャタリング波形を検出する。可動接点22が勢いよく固定接点23に衝突すると、すなわち騒音レベルが高いと、衝突速度が速いので、固定接点23に衝突してから反発する回数が多く、すなわちチャタリング回数が多くなる。したがって、チャタリング回数が多くなるチャタリング波形を検出すると、PWM変調された制御信号のパルス幅を狭くして、チャタリングを少なく、すなわち騒音レベルを低減できる。
この遅延切換回路57は、可動接点22をオフからオンに切り換えてチャタリング波形を検出すると、このチャタリング波形から、次に可動接点22を切り換える制御信号を特定する。チャタリング波形からチャタリング回数が多い状態は、可動接点22が固定接点23に高速で衝突したことになるので、チャタリング回数が多いと、PWM変調された制御信号のパルス幅を狭くして、チャタリング回数を少なく、すなわち、騒音レベルを低減するように励磁コイル20に通電する。検出されるチャタリング波形から、騒音レベルを低減するPWM変調された制御信号は、記憶回路12に記憶される。記憶回路12は、励磁コイル20のチャタリング波形に対して、騒音レベルを最も低減できるPWM変調された制御信号を記憶している。
リレー2は、可動接点22をオフからオンに切り換える時間帯において、図7の(a)の曲線Aで示すように、可動接点22の移動速度をコントロールして騒音レベルを低減しながらオン状態に切り換えできる。可動接点22をオンに切り換える制御信号は、図7の(b)に示すように、可動接点22が固定接点23に接近するにしたがって、パルス幅を狭くするようにPWM変調されてスイッチング素子6に入力される。このとき、可動接点22は、図7の(a)の曲線Aで示すように、最初には励磁コイル20に吸引されて速やかに加速され、その後、励磁コイル20の吸引力を少なくして速度を低下し、固定接点23に衝突するときの速度を低減して、チャタリングを少なくして騒音レベルを低減する。チャタリング波形に対する最適なPWM変調された制御信号は、リレー2のチャタリングからあらかじめ測定され、測定結果からチャタリング波形に対して最適にPWM変調された制御信号が記憶回路12に記憶される。
励磁コイル20にPWM変調された制御信号を入力してスイッチング素子6をオンオフに切り換えると、チャタリングが多い状態では可動接点22が固定接点23に衝突する速度が速くなる。この状態を図7の(a)の曲線Bで示している。この状態は、可動片21の機械的可動部分の変化が大きくなって、可動接点22が固定接点23に向かって接近する速度、すなわちこの方向の加速力が大きくなる。
記憶回路12は、図7の(a)の曲線Aで示す理想的な速度で可動接点22が固定接点23に向かって移動してチャタリングが発生しないように、可動片21の機械的可動部分の変化に対するPWM変調された制御信号を記憶している。可動片21の機械的可動部分の変化が大きくなり、チャタリングが激しくなると、このことをチャタリング検出回路15で検出して、コントロール回路13は、記憶回路12に記憶される制御信号でもって、パルス幅を狭くするようにPWM変調された制御信号をスイッチング素子6の入力側に入力して、スイッチング素子6のオンオフを制御する。
遅延切換回路57は、チャタリング検出回路15で検出されるチャタリング波形から記憶回路12に記憶しているPWM変調された制御信号を選択し、選択された制御信号を、入力回路9を介してスイッチング素子6の入力側に入力して、スイッチング素子6を切り換え、励磁コイル20の吸引力をコントロールして、可動接点22をオフからオンに切り換える。
コントロール回路13は、前回に可動接点22をオンに切り換えるタイミングで検出したチャタリング波形で、次に可動接点22をオン状態に切り換える制御信号を記憶回路12に記憶している制御信号から選択する。このコントロール回路13は、チャタリング波形でもって、記憶回路12に記憶する記憶データから制御信号を特定し、PWM変調された制御信号を、入力回路9を介してスイッチング素子6の入力側に入力する。可動接点22を固定接点23に接触させてオン状態となった後は、励磁コイル20に通電する状態に保持してオン状態に保持される。
また、可動接点22をオンからオフ状態に切り換えるときも、直前にオンされたときのチャタリング波形より特定された制御信号の相関を取り、この相関結果の制御信号を記憶回路12に記憶している。コントロール回路13、記憶回路12に記憶された制御信号によりPWM変調された制御信号を、入力回路9を介してスイッチング素子6の入力側に入力し、可動接点22をオンからオフに切り換える。なお、相関結果の制御信号は、別の記憶回路に記憶させることも可能である。
さらに、遅延切換回路67は、図12に示すように、最後にオン状態からオフ状態に切り換えられるリレー2の励磁コイル20と並列に接続している並列回路64とすることができる。この遅延切換回路67は、励磁コイル20と並列に接続している並列回路64でもって、励磁コイル20に流れていた電流をゆっくりと減衰させて、オフ状態の切り換えに要する時間間隔を長くする。並列回路64は、リレー2をオン状態からオフ状態に切り換える切り換えに要する時間間隔を長くするので、最後にオフに切り換えられるリレー2の励磁コイル20と並列に接続される。
励磁コイル20はスイッチング素子6がオフに切り換えられた状態で、電流のエネルギーを蓄えている。このエネルギーは、電流の二乗と励磁コイル20のインダクタンスの積の1/2となる。このエネルギーを減衰させるために、矢印Aで示すように並列回路64に電流が流れるので、この電流をダイオード65とツェナーダイオード66とで減衰させて、オフ状態に切り換えられる切り換えに要する時間間隔を長くすることができる。図の並列回路64は、ダイオード65とツェナーダイオード66の直列回路で実現している。ただ、並列回路は、ダイオードと抵抗器との直列回路、ツェナーダイオードのみ、ダイオードのみ、ツェナーダイオードと抵抗器との直列回路、ダイオードとツェナーダイオードと抵抗器との直列回路とすることもできる。例えば図13に示すように、並列回路をダイオード65Bのみで構成する場合は、図12に示すダイオード65とツェナーダイオード66の直列回路と比較して、復帰速度が遅くなり、オフ状態に切り換える際の騒音レベルを低減できる。またツェナーダイオードを使用しない分だけ、製造コストを低減できる利点も得られる。一方で、図13の回路例では復帰速度が遅くなる分、回路の遮断に要する時間が長くなるが、このような反応速度でも対応できる部所に使用すれば足りる。例えば図1の回路例において、第1リレー2Aと第2リレー2Bを共にオンした状態から、第1リレー2Aをオフした後に遅れて第2リレー2Bをオフする場合、後からオフされる第2リレー2Bにはアークが発生しないので、第2リレー2Bの励磁コイル20に図13の並列回路を適用して、騒音レベルを低減しながらリレーの接点の損傷を防止できる。また同様に、第1リレーと第2リレーを共にオフした状態から、先にオフ状態からオン状態に切り換えるリレーには、電流が流れずアークが発生しないため、このリレーの励磁コイルに図13の並列回路を適用して、騒音レベルを低減しつつリレーの接点の損傷を防止できる。
本発明は、最初にオンに切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くし、さらに、好ましくは最後にオフに切り換えられるリレー2の切り換えに要する時間間隔を長くして、このリレー2の切り換え時の騒音レベルを低減するが、リレーの切り換えに要する時間間隔を長くする回路やその構造を特定するものではなく、このことを実現する回路や構造は、すでに開発され、あるいはこれから開発される全ての回路や構造とすることができる。