JP5888224B2 - レーザ加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ光を走査するガルバノスキャナを備えたレーザ加工装置に関するものであり、特にガルバノミラーの面倒れの防止に関する。
被加工物へのレーザ加工を行うレーザ加工装置は、ガルバノスキャナによって被加工物へのレーザ光照射位置(加工位置)を制御している。ガルバノスキャナの面倒れ現象は、スキャナの軸を回転駆動するときに、振れ回り現象により、軸の回転方向のトルクが軸の倒れ方向の力に変換され、軸の撓み現象が発生することで生じる。特に、軸の回転駆動が周期的で、その周波数が軸の撓みモードの固有振動数と一致するときや、軸の駆動周期の周波数のN倍の高調波周波数が軸の撓みモードの固有振動数と一致するときに、固有振動が強調され大きな軸の振れ、すなわち面倒れの共振現象となって現れる。そして、共振が発生すると、ガルバノスキャナによる加工位置の移動方向と直交する方向に加工位置の位置ずれが生じる。
このような、ガルバノスキャナの面倒れによる加工位置のずれを防止するには、加工位置のずれを検出し補正すればよい。ところが、エンコーダによるガルバノスキャナの角度位置検出だけでは、面倒れ共振現象を検出することができない。そのため、面倒れ共振を検出する方法として、レーザ光のビーム位置に基づいて面倒れ共振を検出する方法がある(例えば、特許文献1,2参照)。
特開昭63−285512号公報 特開昭61−128222号公報
しかしながら、上記前者および後者の従来技術では、レーザ光のビーム位置を検出する装置の構成が複雑で高価になるので、実際にガルバノミラーの面倒れを検出することは困難であるという問題があった。また、検出した面倒れによる加工位置のずれを補正する制御も、リアルタイムに行わなくてはならず、制御が困難であるという問題があった。また、根本的に面倒れの発生を抑制すべく、ガルバノミラーの背面にアルミシート等を貼付けてバランス調整を行うことも検討されている。しかし、バランス調整では、軸の駆動により発生する振れ回り現象を抑えることができるが、調整に限度があり、ガルバノの駆動速度が大きくなり加速度も大きくなると、結局、撓み現象が完全には抑えられない。近年、微細な孔開けレーザ加工機では、ガルバノスキャナの高速化が求められてきており、発生した軸の撓み共振によるガルバノミラーの面倒れを積極的に消失させる方法が必須となってきている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で容易にガルバノミラーの面倒れを抑制することができるガルバノスキャナを備えたレーザ加工装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、導電性のガルバノミラーの背面側近傍に磁石を配置したものである。また、ガルバノミラーに固定された導電性部材の近傍に磁石を配置したものである。
本発明によれば、導電性のガルバノミラーの背面側近傍に磁石を配置することで、またはガルバノミラーに固定した導電性部材の近傍に磁石を配置することで、ガルバノミラーに面倒れが発生した場合、ガルバノミラーと磁石との距離が変化しガルバノミラー内の磁束密度が変化することでガルバノミラー内に誘導電流が発生し、面倒れの方向とは逆向きの磁力がガルバノミラーに働き、面倒れを抑制することが可能になるという効果を奏する。
この発明の実施の形態1を示すレーザ加工装置の構成を示す図である。 この発明の実施の形態1におけるガルバノミラーおよびガルバノスキャナの構成を示す側面図および断面図である。 この発明の実施の形態1におけるガルバノミラーの断面図であり、ガルバノミラー周囲および内部の磁束密度を示した図である。 この発明の実施の形態1におけるガルバノミラーの断面図および斜視図であり、ガルバノミラーに流れる渦電流とガルバノミラーに働くローレンツ力等を示した図である。 この発明の実施の形態2におけるガルバノミラーの断面図であり、ガルバノミラー周囲および内部の磁束密度を示した図である。 この発明の実施の形態2におけるガルバノミラーの断面図および斜視図であり、ガルバノミラーに流れる渦電流とガルバノミラーに働くローレンツ力等を示した図である。 この発明の実施の形態3におけるガルバノミラーの断面図および、面倒れ速度変位成分、磁束密度、渦電流の電流密度およびローレンツ力を示した図である。 この発明の実施の形態4におけるガルバノミラーおよびガルバノスキャナの構成を示す側面図および断面図である。 この発明の実施の形態5におけるガルバノミラーの断面図および斜視図であり、ガルバノミラーに流れる渦電流とガルバノミラーに働くローレンツ力等を示した図である。 この発明の実施の形態6におけるガルバノミラーの構成を示す斜視図である。 この発明の実施の形態7におけるガルバノミラーの構成を示す断面図および側面図である。 この発明の実施の形態7におけるガルバノミラーの断面図であり、ガルバノミラーに流れる渦電流とガルバノミラーに働くローレンツ力等を示した図である。 この発明の実施の形態8におけるガルバノミラーの断面図であり、ガルバノミラーに流れる渦電流とガルバノミラーに働くローレンツ力等を示した図である。 この発明の実施の形態8におけるガルバノミラーの断面図であり、ガルバノミラーに流れる渦電流とガルバノミラーに働くローレンツ力等を示した図である。
以下に、本発明の実施の形態に係るガルバノスキャナ、および当該ガルバノスキャナを備えたレーザ加工装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係るレーザ加工装置の構成を示す図である。レーザ加工装置100は、レーザ光Lの照射によって被加工物4に微細穴41を穴開け加工する装置である。レーザ加工装置100は、レーザ光Lを発振するレーザ発振器1、レーザ光Lを整形するとともに所望のビーム形状、ビームエネルギーに調整する像転写光学機構5、被加工物(ワークとも呼ぶ)4のレーザ加工を行うレーザ加工部3、制御装置2を備えている。
レーザ発振器1は、レーザ光Lを発振し、像転写光学機構5に送出する。像転写光学機構5は、コリメーションレンズやマスクを備えている。コリメーションレンズは、レーザ発振器1からのレーザ光Lを集光して光軸を調整し、マスクはレーザ光Lのビーム形状を整形する。
レーザ加工部3は、ガルバノミラー35X,35Y、ガルバノスキャナ36X,36Y、fθレンズ34、XYテーブル30を備えている。ガルバノスキャナ35X,35Yは、レーザ光Lの軌道を変化させて被加工物4への照射位置を移動させる機能、すなわち位置決め機能を有しており、レーザ光LをX−Y方向に走査するため、ガルバノミラー35X,35Yを所定の角度に回動させる。これにより、ガルバノスキャナ36X,36Yは、ガルバノミラー35X,35Yに、レーザ光Lを加工エリアに設定された加工位置に偏向させる。
ガルバノミラー35X,35Yは、像転写光学機構5のマスクから出射されたレーザ光Lを反射させるとともに任意の角度に偏向させる。ガルバノミラー35Xは、レーザ光LをX方向に偏向させ、ガルバノミラー35Yは、レーザ光LをY方向に偏向させる。fθレンズ34は、ガルバノミラー35X,35Yにて偏向されたレーザ光Lを被加工物4の表面に対して垂直な方向に偏向させるとともに、レーザ光Lを被加工物4の表面の加工位置に集光し照射させる。
被加工物4は、プリント基板等であり、複数の穴あけ加工が行なわれる。XYテーブル30は、被加工物4を載置するものであり、図示しないX軸モータおよびY軸モータの駆動によってX軸−Y軸2次元平面を自在に移動する。XYテーブル30は、レーザ光Lが照射される加工エリアをXY方向に移動させる。
次に、ガルバノミラー35X,35Yの構成について説明する。なお、ガルバノミラー35Xとガルバノミラー35Yは、同様の構成を有するので、以下では、ガルバノミラー35Xの構成について説明する。なお、ガルバノミラー35Xに関して説明する際には、各構成の符号にXを付記するが、これをYと読み替えることで、ガルバノミラー35Yについての説明と読み替えることができる。これは他の実施の形態においても同様である。
図2は、ガルバノミラーおよびガルバノスキャナの構成を示す図であり、図2(a)は、ガルバノミラー35Xの反射面31Xに垂直な方向に、反射面31Xの反対側から見た側面図であり、図2(b)は、ガルバノミラー35Xを回転軸に沿った方向にガルバノスキャナとは反対の方向から見た、図2(a)におけるA−A断面図である。なお、図2においては、ガルバノミラー35Xは中立な回転位置(いわゆる原点位置)にあるものとし、ガルバノミラー35Xの回転軸を通り反射面31Xに垂直な面を水平面として記載しており、この面よりも、すなわち回転軸よりも上側であれば上側、下側にあれば下側と呼ぶこととする。これは、以降の図面の説明全てに適用する。
ガルバノミラー35Xは、概略平板状をなしており、反射面31Xの長手方向の一方の端部に棒状部材で構成されたロータ37Xが接合されている。また、ガルバノミラー35Xは、例えば、軽量で高い剛性を有するベリリウムを材料として用いられており、ベリリウムは、導電性が良いことでも知られている。ロータ37Xのガルバノミラー35Xとは反対側の端部はガルバノスキャナ36Xに接続されており、その柱軸を回転軸として回転できるよう構成されている。そして、ガルバノスキャナ36Xによりロータ37Xが軸回転することでガルバノミラー35Xが回転し、これによりレーザ光LをX方向に偏向させることができる。
ガルバノミラー35Xのレーザ光の反射面31Xとは反対側の面の近傍には、面倒れ共振があった場合でもガルバノミラー35Xに接触しない程度に所定の距離だけ離れた位置に、面倒れ共振を抑制するために磁石33Xが固定して配置されている。磁石33Xの配置は、例えば図2に示すように、磁界の方向、すなわちN極−S極を結ぶ方向がガルバノミラー35Xの反射面31Xに略垂直となり、S極がミラーに近くなるように配置されている。ガルバノミラー35Xは、加工位置をX方向に位置決めする際には、ロータ37Xの軸方向を回転軸として回転し、面倒れ共振の際には、ガルバノミラー35Xの反射面31Xに略垂直な方向に移動する。よって、磁石33Xは固定されているので、ガルバノミラー35Xに面倒れの共振が発生した場合、磁石33Xとガルバノミラー35Xとの距離が変化することとなる。なお、磁石33Xとガルバノミラー35Xの距離は近い方が望ましいので、ガルバノミラー35Xが回転しても接触しないよう図2に示すように、回転しても影響が少ないガルバノミラー35Xの回転軸の近傍に、磁石33Xを配置することが望ましい。
次に、図2のような構成により、ガルバノミラー35Xの面倒れ共振が抑制できる理由を説明する。図3は、上記の通り導電性が良い材料からなるガルバノミラー35Xに対して、図2に示したように磁石33Xを配置した場合の、磁束密度Bを示したガルバノミラー35Xの断面図であり、図2(b)に対応するものである。図3に示したように、ガルバノミラー35Xの内部には、ガルバノミラー35Xの反射面31Xから磁石33Xと対向する面を貫くような向きの磁束密度Bが与えられる。このとき、面倒れ現象が起きると、ガルバノミラー35Xの反射面31Xに垂直方向に、ガルバノミラー35Xの変位速度vが生じる。
図4は、図3に示した配置において、ガルバノミラーに流れる渦電流とガルバノミラーに働くローレンツ力を示した図であり、特に図4(a)は図2(b)に対応した断面図であり、図4(b)はガルバノミラー35Xの反射面31X側から見た斜視図である。図4(a)または図4(b)に示したように、例えば、ガルバノミラー35Xが磁石33Xから遠ざかる向きに変位速度v(太破線矢印、以下同様)が生じると、フレミングの右手の法則により、ガルバノミラー35X内部には反射面から見て時計回りの渦電流が流れる。その電流密度J(太実線矢印、以下同様)は以下のように表される。
J=σ(v×B) 式(1)
ここで、σはガルバノミラー35Xの導電度であり、J、v、Bはいずれもベクトルである。×はベクトル積を表す。
なお、この現象は、レンツの法則から、ガルバノミラー35Xが磁石33Xから遠ざかるので、ガルバノミラー35X内の磁束密度Bが小さくなる方向に変化するため、それを妨げるべく磁束密度Bを増大させる方向にガルバノミラー35X内に電流が流れると説明することもできる。
ここで、ガルバノミラー35X内に生じた電流密度Jに対しては、磁束密度B(細破線矢印、以下同様)によりローレンツ力F(細実線矢印、以下同様)が発生する。ガルバノミラー35Xの内部の磁束密度Bは、図4(a)または(b)に示すように反射面31Xからその反対側の面を通り、磁石33Xに向かって収束するよう分布する。このために、ローレンツ力Fは、図4(a)または図4(b)に示すように、磁石33Xの方向に向かって外側に発散するような向きに働く。そのローレンツ力Fは、以下のように表される。
F=J×B 式(2)
ここで、F、J、Bはいずれもベクトルであり、×はベクトル積を表す。
ここで、ローレンツ力Fの変位速度vの方向に垂直な方向に働く成分は、磁石33Xをガルバノミラー35Xの回転軸近傍に配置しておけば、図4(a)に示したように、ガルバノミラー35Xの上側と下側でほぼ打ち消し合う。これにより、ローレンツ力Fは変位速度vの方向成分が主に残ることになる。そして、その成分はガルバノミラー35Xの変位速度vと逆向きなので、面倒れの制動力として作用することになる。
もちろん、上記例とは逆向きに、ガルバノミラー35Xが磁石33Xに近づく向きに変位速度vが生じると、上記例とは逆向きの渦電流が流れ、この場合もローレンツ力は変位速度vの逆向きに働くこととなり、同様に面倒れの制動力として作用することになる。
これにより、面倒れ振動が抑制される方向に力が働き、位置決め精度の悪化を防ぐことができる。
なお、磁石33Xの配置は、図2に示すようにS極をガルバノミラー側になるようにしたが、反対にN極をガルバノミラー側に配置した場合、上述の説明とは渦電流の流れる向きは逆になる。しかし、磁束密度の向きも逆なので、結局ローレンツ力の向きは同じとなり、上述の説明と同様に、面倒れ振動が抑制される方向に力が働くこととなる。すなわち、磁石の配置の向きに関わらず同様の効果が得られるのである。
また、ローレンツ力の変位速度vの方向に垂直な方向に働く成分が打ち消し合うためには、ガルバノミラー35X内部の磁束密度Bが、回転軸に対して対称であれば良い。そのためには、磁石33Xは、ガルバノミラー35Xの回転軸を通りガルバノミラー35Xの反射面31Xに略垂直な面が対称面となるように配置されていることが望ましい。
実施の形態2.
実施の形態1においては、磁石33Xをガルバノミラー35Xの反射面31Xに対し磁界の方向すなわちS−N極の方向が略垂直となるように、図2に示すように配置した。本実施の形態では、S−N極の方向がガルバノミラー35Xの反射面31Xに対して略平行でガルバノミラー35Xの回転軸に略垂直となるように、磁石を配置したものである。
図5は、本実施の形態におけるガルバノミラー35Xと磁石33Xとの配置と、磁石の磁束密度Bを示した図である。図5に示したとおり、磁石33Xの配置は、磁界の方向、すなわちN極−S極を結ぶ方向が、ガルバノミラー35Xの反射面31Xに略平行でかつガルバノミラー35Xの回転軸に略垂直となるように、S極を上側にN極を下側になるようにしたものであり、磁束密度Bはガルバノミラーの反射面31Xに沿って略上下方向に下から上へとガルバノミラー35Xを貫く向きに発生する。
図6は、図5に示した配置において、ガルバノミラー35X内の磁束密度Bに流れる渦電流の電流密度Jとガルバノミラー35Xに働くローレンツ力Fを示した図であり、特に図6(a)は図2(b)に対応した断面図であり、図6(b)はガルバノミラー35Xの反射面31X側から見た斜視図である。図5に示したような磁石33Xの配置の場合でも、図6に示したように、例えば、ガルバノミラー35Xが磁石33Xから遠ざかる方向に変位速度vが生じると、フレミングの右手の法則により、ガルバノミラー35X内部には反射面31Xから見て、上側には時計回りの渦電流が流れ、下側には反時計回りの渦電流が流れる。また、いずれの渦電流も、ガルバノミラー35Xを上から見た場合の電流の流れる向きは反時計回りとなる。
この場合、図6に示したとおり、磁石31Xに近い側を流れる電流(図6において紙面表側から裏側の向きに流れる電流)には変位速度vの反対向きのローレンツ力Fが働き、反射面31Xに近い側を流れる電流(図6において紙面裏面から表側の向きに流れる電流)には変位速度vと同じ向きのローレンツ力Fが働く。磁束密度Bは磁石31Xに近い方が大きいので、磁石31Xに近い側に流れる電流に働くローレンツ力Fの方が、反射面31Xに近い側に流れる電流に働くローレンツ力Fよりも強くなり、合成されたローレンツ力Fは、結局変位速度vとは反対向きの成分が残ることとなる。よって、その成分はガルバノミラー35Xの変位速度vと逆向きとなるので、面倒れの制動力として作用することになる。
もちろん、上記例とは逆向きに、ガルバノミラー35Xが磁石33Xに近づく向きに変位速度vが生じると、上記例とは逆向きの電流が流れ、ローレンツ力Fは変位速度vの逆向きに働くこととなり、同様に面倒れの制動力として作用することになる。これにより、実施の形態1と同様に、面倒れ振動が抑制される方向に力が働き、位置決め精度の悪化を防ぐことができる。
なお、磁石33Xの配置は、図5に示すようにS極を上側になるようにしたが、反対にN極を上側に配置した場合、上述の説明とは渦電流の流れる向きは逆になる。しかし、磁束密度Bの向きも逆なので、結局ローレンツ力Fの向きは同じとなり、上述の説明と同様に、面倒れ振動が抑制される方向に力が働くこととなる。すなわち、磁石の配置の向きに関わらず同様の効果が得られるのである。
なお、ローレンツ力Fの変位速度vの方向に垂直な方向に働く成分が打ち消し合うためには、ガルバノミラー35X内部の磁束密度Bが、回転軸に対して対称であれば良い。そのためには、磁石33Xは、ガルバノミラー35Xの回転軸を通りガルバノミラー35Xの反射面31Xに略垂直な面が対称面となるように配置されていることが望ましい。
実施の形態3.
実施の形態1および2においては、磁石の配置を、S−N極の向きがガルバノミラーの反射面に略垂直(実施の形態1に対応)か、略平行(実施の形態2に対応)となるようにしたものであった。本実施の形態では、磁石の配置を一般化する検討を行う。
実施の形態1および2に共通する点は、ローレンツ力が面倒れによる速度変位成分と反対の向きの成分があるということである。また、このようなローレンツ力を発生させるためには、速度変位成分と垂直な方向の成分を有した渦電流が流れる必要がある。さらに、このような渦電流が流れるためには、速度変位成分と垂直な磁束密度成分が必要である。
図7は、ガルバノミラー35Xの断面において、面倒れ速度変位成分vに対し垂直な方向に磁束密度Bが存在している場合の、渦電流の電流密度Jとローレンツ力Fを示した図である。なお、断面の方向は、特に図2(b)に対応するものではなく、反射面に垂直な任意の断面であり、図7においては反射面31Xが右向きのなるように図示した。図7に示したように、図7において左向きの速度変位vに対し下向きの磁束密度Bが存在すると、フレミングの右手の法則より紙面垂直に表側から裏側に向けて渦電流の電流密度Jが発生する。そうすると、その渦電流および磁束密度Bより、変位速度vとは反対向きのローレンツ力Fが発生することとなる。
磁束密度Bの向きが図7において上向きであったとしても、ローレンツ力Fは結局、変位速度vとは反対向きになることは明らかである。すなわち、変位速度vと垂直な方向に磁束密度Bの成分が存在していれば、変位速度vと反対向きのローレンツ力Fが働くこととなる。従って、面倒れの変位速度vはガルバノミラー35Xの反射面31Xに垂直な方向に発生するので、磁石33Xの配置は、ガルバノミラー35Xの反射面31Xと平行な磁束密度成分が存在するように配置すれば、面倒れを抑制する向きに力が働くことなり、実施の形態1および2で説明した効果を奏することとなる。
なお、上述の通り、ガルバノミラーの反射面と平行な磁束密度成分が存在すれば、面倒れを抑制する向きにローレンツ力が働くが、働くローレンツ力がガルバノミラーに均等に働くように、特に回転軸に対して対称に働くようにした方が良い。例えば、図2(b)において、ガルバノミラー上下端部で働く力の大きさが異なると、回転成分の力が働くので、これを避けることが望ましい。よって、回転軸に対して対称な磁界分布をガルバノミラー内に発生させることが望ましく、実施の形態1や2のように磁石を配置することが望ましい。
実施の形態4.
実施の形態1および2においては、導電性の良いベリリウム製のガルバノミラーにて、本発明の説明を行った。もちろん、ベリリウム以外の材質でも、導電性の高い材質でガルバノミラーを構成していれば、磁石を用いることにより、実施の形態1および2と同様の効果が得られる。一方、ガルバノミラーに非導電性もしくは導電度の低い材質(例えばSiC)を用いる場合も考えられる。本実施の形態は、そのような場合にも、磁石を用いてガルバノミラーの面倒れを抑制することができるものである。
図8は、本実施の形態のガルバノミラーの構成を示す図であり、図8(a)は、非導電性もしくは導電度の低い材質のガルバノミラー351Xの反射面331Xに垂直な方向に、磁石33X側から見た図であり、図8(b)は、ガルバノミラー351Xを回転軸に沿った方向にガルバノスキャナ36Xとは反対の方向から見た、図8(a)におけるA−A断面図である。実施の形態1の図2と異なる点は、ガルバノミラー裏面に導電性の材質で構成された導電性部材32Xを配置した点である。これにより、面倒れが発生した場合に、磁石33Xの磁束密度により、ガルバノミラー351X内部には渦電流は流れないが導電性部材32Xに渦電流が流れる。従って、実施の形態1,2と同様に、面倒れ振動が抑制される向きに導電性部材32Xにローレンツ力が働き、位置決め精度の悪化を防ぐことができる。
なお、導電性部材32Xに働くローレンツ力がガルバノミラー351Xに対して不均一に働くことは望ましくない。例えば、導電性部材32Xをガルバノミラー351Xの図8(b)における上端部に配置した場合、上端部にのみ面倒れを抑制する力が働くので、回転成分の力が働いてしまうこととなり、これは避けることが望ましい。よって、導電性部材32Xは図8に示したように、ガルバノミラー351Xの回転軸近傍に配置することが望ましい。
実施の形態5.
実施の形態1のように、ガルバノミラーの背面に磁石を配置することによって、ガルバノミラーの面倒れを抑制することができる。しかし、ガルバノの回転方向の位置決め精度悪化の副作用も生じることが分かった。本実施の形態は、この副作用を抑制するものである。
図9は、図2に示した配置において、ガルバノミラー35X内の磁束密度Bと、ガルバノミラー35Xに流れる渦電流による電流密度Bとガルバノミラー35Xに働くローレンツ力Fを示した図であり、特に図9(a)は図2(b)に対応した断面図であり、図9(b)はガルバノミラー35Xの反射面31X側から見た斜視図である。図9に示したように、ガルバノミラー35Xが時計回りに回転している場合、回転軸に対し上半分の部分については磁石33Xから遠ざかる変位速度vが生じ、下半分の部分については磁石33Xに近づく方向への変位速度vが生じることとなる。そうすると、フレミングの右手の法則より、図9に示したように、ガルバノミラー35X内部には反射面31Xから見て、上側には時計回りの渦電流が流れ、下側には反時計回りの渦電流が流れる。
このようにして発生した渦電流に対しては、磁束密度Bが存在しているのでローレンツ力Fが働く。ローレンツ力Fの働く向きは、図9に示したように、ガルバノミラー35X上側の端部では左上向きに、回転軸近くでは右下向きに働き、ガルバノミラー35X下側の端部では右上向きに、回転軸近くでは左下向きに働く。ここで、ガルバノミラー35X上下端部と回転軸付近とでは、ガルバノミラー35Xの変位速度vが異なり、当然上下端部の方が回転軸付近よりも変位速度vが速くなる。ローレンツ力Fは、式(1)(2)から、変位速度vが大きい方が大きくなるので、結局上下端のローレンツ力Fが支配的となる。そうすると、ローレンツ力Fのミラー回転方向成分が合成されると、ガルバノミラー35Xを反時計回りに回転させようとする向きの力となる。これは、ガルバノミラー35Xの回転動作に対する制動力として働くこととなる。当然ながら、上記とは逆向きに、ガルバノミラー35Xが反時計回りに回転している場合にも、同様に回転方向とは反対の向きにローレンツ力Fが発生し、ガルバノミラー35Xの回転動作に対する制動力として働く。なお、図5や図6に示した配置においても、同様な現象が発生する。
このような制動力が発生すると、指令された回転角度に対し、実際の回転角度が指令角度に満たない状況が発生する可能性がある。しかし、回転方向に対する制動力は、ガルバノスキャナ36Xの位置決めサーボ制御演算時に計算できるので、ガルバノスキャナ36Xの駆動トルクを、上記ローレンツ力Fによる制動力分増やすという対策を行うことで、容易に対策をすることが可能である。実際のサーボ制御においては、速度に比例して移動速度方向と逆のトルクを加える補正である、いわゆる粘性摩擦補正という制御が通常行なわれており、その係数を増やすことで、上記制動力を補正し加工位置精度の悪化を防止することが可能である。
実施の形態6.
なお、実施の形態5では、図2のごとくミラーの背面に磁石を配置した場合の構成で説明したが、ミラーの回転角度が大きくなると磁石とミラーの距離が大きく変化するので、制動力が一定とならずに補正がしにくい場合も想定される。この場合には次の対策が効果的である。図10は、本実施の形態に係るガルバノミラー35Xの構成を示す反射面31Xから見た斜視図であり、ガルバノミラー35Xの回転角度によらず、略一定の制動力が得られる磁石331Xとガルバノミラー35Xの形状および配置を示した図である。なお、図10(a)、(b)の相異は、磁石331Xの磁極の位置による配置の相異であり、磁石331X等の形状に関しては同一である。配置については後述する。
図10に示したとおり、ガルバノミラー35Xの回転軸上(ロータ37Xと略同軸軸上)の先端(ロータ37と接合されている側とは反対側の端部)に導電性の部材37Xが配置され、ガルバノミラー35Xと同じ動作を行なう。導電性部材37Xは、例えば円柱状をなしており、その柱軸がロータ37Xの柱軸すなわちガルバノミラー35Xの回転軸と略一致するよう、ガルバノミラー35Xに接合されている。
導電性部材37Xの近傍には、面倒れ共振があった場合でも、導電性部材37Xに接触しないよう所定の距離だけ離れた位置に、磁石331Xが固定して配置されている。面倒れ共振が発生すると、ガルバノミラー35Xの反射面31Xが傾く。磁石331Xは、反射面31Xの傾斜量に応じて導電性部材37X内の磁束密度Bが変化して渦電流が流れ、その渦電流にローレンツ力Fが発生するよう、導電性部材37Xに対向する位置に固定配置される。
磁石331Xは、導電性部材37Xの円柱状側面の一部と略平行な平行曲面を有しており、導電性部材37Xの曲面と磁石331Xの円柱状側面とが略等距離間隔で互いに対向するよう、磁石331Xが配置されている。磁石331Xは、例えば、直方体の一部が切り取られた形状を有している。直方体から切り取られる形状は、略半月状の上面および底面を有した柱状形状であり、柱状形状の曲面は、導電性部材37Xの円柱状側面の一部を囲う平行曲面をなしている。
換言すると、導電性部材37Xのうち磁石331Xに対向する対抗面(請求項における第1の対向面)は、円柱の側面の一部を有し、磁石331Xのうち導電性部材37Xに対向する対抗面(請求項における第2の対向面)は、円筒の内壁面の一部を有している。そして、円筒の内壁面の一部が円柱の側面の一部を囲うよう、導電性部材37Xおよび電極331Xが配置されている。
なお、実施の形態3にて説明したように、ガルバノミラー35Xの面倒れを抑制する向きにローレンツ力を発生させるためには、反射面31Xと平行な方向に磁束密度成分が存在している必要がある。よって、例えば、磁石331Xの磁極の位置が、図10(a)に示したように円筒の内壁面に垂直な方向である場合には、反射面31X側もしくはその反対側に磁石331Xを配置することが望ましい。また、磁石331Xの磁極の位置が、図10(b)に示したように円筒の内壁面に沿った方向である場合には、図10(a)に示した磁石331Xの位置からガルバノミラー35Xの回転軸の周りに略90度回転した位置に、磁石331Xを配置することが望ましい。
このように、図10に示したような構成とすることで、ガルバノミラー35Xの回転動作に対してローレンツ力が働く磁石331Xと導電性部材37Xの距離が変化しないような構造とすることができる。これにより、回転動作にローレンツ力による制動力が生じても一定の制動力になるので、制御的に補正し易く位置決め精度が出し易い効果を奏する。
実施の形態7.
実施の形態5において、ガルバノミラー35Xの回転動作に対してローレンツ力Fが回転動作の制動力になることを説明したが、図9に示したように、発生したローレンツ力Fには、回転動作と直交する方向の成分も有していることが判る。さらに、ローレンツ力Fが支配的となるガルバノミラー35X上下端においては、上側も下側もいずれもローレンツ力Fには上向きの成分があることが判る。すなわち、ミラーが時計回転する場合には、上向きの力がミラーに生じると言うことである。
この回転動作と直行する力は、ガルバノミラー35Xの回転方向が反時計回りになると下向きに反転することは明らかなので、回転方向が反転するたびに、ガルバノミラー35Xに上下方向に力が加わることになる。実際にガルバノミラー35Xを動作させた場合、ガルバノスキャナ36Xの振動音が大きくなることが確認された。これは、ガルバノスキャナ36Xの回転軸を抑えているベアリングの寿命を短くする懸念があり、対策を行うことが望ましい。
ここで、ガルバノミラー35Xの回転動作により上下方向のローレンツ力Fが発生する理由は、図9において、磁束密度Bがガルバノミラー35Xの反射面31Xに垂直な成分を有しているからと考えられる。また、実施の形態3にて説明したように、ガルバノミラー35Xの面倒れを抑制する方向にローレンツ力Fを発生させるためには、磁束密度Bをガルバノミラー35Xの反射面31Xに平行な成分が必要である。よって、ガルバノミラー35Xの上下方向に加わる力を抑制し、面倒れ抑止効果だけを得るためには、磁束密度Bの反射面31Xに垂直な成分がキャンセルされればよい。すなわち、反射面31Xと平行で回転軸を通る面に対し対称な磁界を発生させるように、磁石等の形状や配置を工夫すればよい。
図11は、本実施の形態にかかるガルバノミラーの構成を示す図であり、図11(a)は、ガルバノミラー35Xを回転軸に沿った方向にガルバノスキャナ36Xとは反対の方向から見た、図8(b)における反射面とは垂直な面でのA−A断面図であり、図11(b)は、ガルバノミラー35Xを反射面31Xから見た斜視図である。図11に示したとおり、ガルバノミラー35Xの回転軸上に、実施の形態6の図10にて説明したものと同様な円柱状の導電性部材321Xが配置され、実施の形態6と同様にガルバノミラー35Xに接合され同じ動作を行なう。実施の形態6との相異は、磁石の形状である。
図11に示したように、導電性部材321Xの近傍には、コの字形状の磁石332Xが配置される。ここで、磁石332Xはコの字形状の両端それぞれがS極、N極となっており、コの字先端部の隙間に、ガルバノミラー35Xの反射面31Xの裏面側から、導電性部材321Xを挟み込むように配置される。さらに、磁石332XのS−N磁界の方向は、ガルバノミラー35Xの反射面31Xに略平行になるように配置されている。これにより、面倒れ共振があった場合でも導電性部材321Xが磁石332Xに接触することは無い。また、ガルバノミラー35Xが回転動作をしても、実施の形態6と同様に、導電性部材321Xと磁石332Xとの距離は変化しない。さらに、導電性部材321Xにはガルバノミラー35Xの反射面31Xに略平行な、すなわち面倒れ共振の変位方向に略垂直な方向で、かつ、反射面31Xに略平行で回転軸を通る平面に対し略対称な磁束密度Bが生じている。
図12は、ガルバノミラー35Xの反射面31Xに垂直な面における、磁石332Xおよび導電性部材321Xの断面図であり、図11(a)と同方向から見た図である。また、図12(a)は、ガルバノミラー35Xに面倒れ共振が発生した場合の、導電性部材321Xにおける磁束密度B、電流密度B、ローレンツ力Fを示した図であり、図12(b)は、ガルバノミラー35Xが回転動作を行っている場合の、導電性部材321Xにおける磁束密度B、電流密度B、ローレンツ力Fを示した図である。
図11のような構成において、ガルバノミラー35Xに面倒れが発生し、ガルバノミラー35Xの反射面31Xの向きに、すなわち図12(a)において右向きに変位速度vが発生した場合を考える。この場合、図12(a)に示したように、導電性部材321Xの断面には、左右端部には紙面裏側から表側に向かう渦電流が流れ、上下端部には表側から裏側に向かう渦電流が流れる。この場合、図12(a)に示したとおり、導電性部材321Xの左右端部に働くローレンツ力Fは変位速度vの向きになり、上下端部では変位速度vとは反対の向きになる。ここで、導電性部材321Xの上下端部に流れる渦電流は磁石332Xに近いところを流れるので、渦電流に働くローレンツ力は、導電性部材321Xの上下端部に流れる渦電流によるものの方が、左右端部に流れる渦電流によるものより大きくなる。よって、導電性部材321Xの上下端部に流れる渦電流により発生するローレンツ力Fが支配的となり、合成されたローレンツ力Fは、面倒れ変位速度と反対の向きに働くこととなる。結果的に、このローレンツ力は面倒れの制動力として働く。当然ながら、上記とは逆向きに、ガルバノミラー35Xが図12(a)において左向きに変位速度vが発生した場合にも、同様に面倒れ変位速度とは反対の向きにローレンツ力Fが発生し、ガルバノミラー35Xの面倒れに対する制動力として働く。
一方、ガルバノミラー35Xの回転動作に対しては、例えば図12(b)に示したように、ミラーが反時計回りに回転している場合を考える。この場合は、図12(b)に示したように、導電性部材321Xの上端部には紙面裏側から表側に向かう渦電流が流れ、下端部には上端部とは逆向きの渦電流がながれる。そうすると、各渦電流に働くローレンツ力Fは、導電性部材321Xの上端部では右方向、下端部では左方向となり、ガルバノミラー35Xの回転方向成分以外の成分は発生しない。これは、コの字形状の磁石332Xにより、導電性部材321Xの回転軸に対して対象な磁束密度Bが生じているからである。当然ながら、上記とは逆向きに、ガルバノミラー35Xが図12(b)において時計回りに回転した場合にも、同先生部材321Xに働くローレンツ力は、回転方向成分以外の成分は発生しない。これにより、ガルバノミラー35Xの回転動作において、上下方向に加わる力を抑制することが可能となる。
以上により、図11のような構成を備えることで、ガルバノミラー35Xの面倒れ共振を抑制すると共に、ガルバノミラー35Xの回転動作による上下方向に発生する力を抑制することができ、ガルバノスキャナ36Xの回転軸を抑えているベアリングの寿命が短くなるとの懸念を低減することができる。
なお、図11においては、磁石332Xはガルバノミラー35Xの反射面31Xの裏面側から導電性部材321Xを挟み込んでいるが、逆にガルバノミラー35Xの反射面31X側から導電性部材321Xを挟み込んでも良い。この場合も、磁界の向きはガルバノミラー35Xの反射面31Xに略平行になる。また、磁石332Xの形状をコの字形状としたが、例えばCの字形状としても良い。いずれにしても、導電性部材321Xを挟み込む隙間を有し、この隙間の間に略斉一な磁界が生じるような磁石であれば良い。
実施の形態8.
実施の形態7では、ガルバノミラー35Xの回転動作時に、回転方向とは別な方向のローレンツ力が発生しないように、導電性部材321Xと磁石332Xの形状および配置を工夫した。本実施の形態では、実施の形態7の構成において、ガルバノミラー35Xの回転動作時に発生する渦電流を小さくし、回転動作の妨げとなる回転方向のローレンツ力Fを抑制することを目的とするものである。
なお、回転動作の妨げとなるローレンツ力Fが働く場合には、実施の形態5にて説明したように、速度に比例して移動速度方向と逆のトルクを加える粘性摩擦補正という制御において、その係数を増やすことで、上記制動力を補正し加工位置精度の悪化を防止することも可能である。しかし、補正係数を減らすことで、消費電力を削減できるとの効果を奏する。
図13は、ガルバノミラー35Xの反射面31Xに垂直な面における、磁石332Xおよび導電性部材321X、322Xの断面図であり、図13(a)は、実施の形態7の構成でのガルバノミラー35Xの面倒れ共振時における磁束密度B、電流密度J、ローレンツ力Fを示した図であり、図13(b)は、本実施の形態の構成での磁束密度B、電流密度J、ローレンツ力Fを示した図である。図13(b)に示したとおり、本実施の形態における導電性部材322Xは、ガルバノミラー35Xの反射面31Xと略垂直で回転軸に略平行な面で複数に分割されており、分割された間には絶縁層323Xが介在する構成となっている。すなわち、導電性部材322X内部において、全体を通した上下方向すなわち絶縁層323Xの面に垂直な方向の電流は流れず、上下方向には絶縁層323Xにはさまれた間においてのみ電流が流れる構成となっている。ここで、図13(a)に示したように、導電性部材321Xが分割されていない場合には、ガルバノミラー35Xの面倒れの変位運動に対する渦電流は、導電性部材321Xの横方向すなわち反射面31Xに垂直な方向に流れる。そのため、図13(b)に示したように、導電性部材322Xが分割されていても渦電流の流れ方にはほとんど影響は無い。よって、渦電流に働くローレンツ力Fも、図13(a)の場合と図13(b)の場合とにおいて、ほとんど同程度の力が発生することとなり、ガルバノミラー35Xの面倒れ共振の抑制効果にもほとんど影響はない。
一方、ガルバノミラー35Xの位置決めの回転動作の場合、状況は異なる。図14(a)は、実施の形態7の構成でのガルバノミラー35Xの回転動作における磁束密度B、電流密度J、ローレンツ力Fを示した図であり、図14(b)は、本実施の形態の構成での磁束密度B、電流密度J、ローレンツ力Fを示した図である。導電性部材322Xの構成は図13(b)と同様である。図14(a)に示したように、導電性部材321Xが分割されていない場合には、渦電流は、導電性部材321Xの上下方向に導電性部材321X全体を流れる大きな経路で存在する。しかし、図14(b)に示したとおり、導電性部材322Xが絶縁層323Xにより分割されている場合には、図14(a)のような絶縁部材321X全体を上下方向に大きく流れる渦電流は存在し得ず、分割された各部分内での小さな経路の渦電流が存在するのみとなる。よって、電流密度Jは、図14(a)に比べ図4(b)の構成では小さくなり、渦電流に働くローレンツ力Fも図14(b)の方が小さくなる。これにより、回転動作の妨げとなる回転方向のローレンツ力Fを抑制することができる。
以上により、図13(b)もしくは図14(b)のような構成を備えることで、ガルバノミラー35Xの面倒れ共振を抑制する効果は実施の形態7と同様に得られると共に、ガルバノミラー35Xの回転動作により発生する渦電流を小さくし、回転動作の妨げとなる回転方向のローレンツ力Fを抑制することができ、粘性摩擦補正制御における補正係数を減らすことが可能となる。
実施の形態9.
上記実施の形態では、磁石33、331、332として永久磁石を想定していたが、強力な磁石をガルバノミラー35付近に常時置いておくことは、メンテナンス時などに予期せず、ガルバノミラー35等の部材が磁石33、331、332に吸引される恐れがあり、例えばガルバノミラー35交換に支障が出る場合も想定される。よって、磁石を、面倒れ共振抑制が必要なときだけ磁力をONとする電磁石としても良い。また、制御装置2により電磁石のON/OFFを制御し、ガルバノミラー35が動作していないときにはOFFとするとしても良い。
100 レーザ加工装置
1 レーザ発振器
2 制御装置
3 レーザ加工部
4 被加工物
5 像転写光学機構
30 XYテーブル
31 ガルバノミラー反射面
32、321、322 導電性部材
323 絶縁層
33、331、332 磁石
34 fθレンズ
35、351 ガルバノミラー
36 ガルバノスキャナ
37 ロータ
41 穴
L レーザ光
B 磁束密度
J 電流密度
F ローレンツ力
v 変位速度

Claims (16)

  1. レーザ光を所望の加工位置に偏向させる導電性材料からなるガルバノミラーと、
    前記ガルバノミラーのレーザ光反射面とは反対側の面の近傍に固定配置され、前記ガルバノミラーの内部に磁束密度を与える磁石と、
    を備え
    前記ガルバノミラーに面倒れが発生した際に、前記磁束密度により前記ガルバノミラーに面倒れを抑制するローレンツ力が働くレーザ加工装置。
  2. レーザ光を所望の加工位置に偏向させるガルバノミラーと、
    前記ガルバノミラーの反射面と反対側の面に配置されて前記ガルバノミラーと同じ回転動作を行う導電性部材と、
    前記導電性部材の近傍に固定配置され、前記導電性部材の内部に磁束密度を与える磁石と、
    を備え
    前記ガルバノミラーに面倒れが発生した際に、前記磁束密度により前記導電性部材に面倒れを抑制するローレンツ力が働くレーザ加工装置。
  3. 前記導電性部材は、前記ガルバノミラーの回転軸近傍に配置された請求項2に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記磁石は、N極−S極を結ぶ方向が前記ガルバノミラーの反射面に略垂直な方向とされると共に、前記ガルバノミラーの回転軸近傍に配置された請求項1または請求項3のいずれかに記載のレーザ加工装置。
  5. 前記磁石は、N極−S極を結ぶ方向が前記ガルバノミラーの反射面に略平行で前記ガルバノミラーの回転軸に略垂直な方向とされると共に、前記ガルバノミラーの回転軸近傍に配置された請求項1または請求項3のいずれかに記載のレーザ加工装置。
  6. 前記磁石は、前記ガルバノミラーの回転軸を通り前記ガルバノミラーの反射面に垂直な面が対称面となるように配置された請求項4または請求項5のいずれかに記載のレーザ加工装置。
  7. ガルバノミラーの回転動作を制御する制御装置を更に備え、
    前記制御装置は、前記ガルバノミラーまたは前記導電性部材に回転速度方向とは逆向きに働くローレンツ力を補正するように、回転方向のトルクを制御するものである請求項4または請求項5のいずれかに記載のレーザ加工装置。
  8. レーザ光を所望の加工位置に偏向させるガルバノミラーと、
    前記ガルバノミラーの回転軸上の先端に配置されて前記ガルバノミラーと同じ回転動作を行う導電性部材と、
    前記導電性部材から所定の距離だけ離れて固定配置され、前記導電性部材の内部に磁束密度を与える磁石と、
    を備え
    前記ガルバノミラーに面倒れが発生した際に、前記磁束密度により前記導電性部材に面倒れを抑制するローレンツ力が働くレーザ加工装置。
  9. 前記導電性部材が前記磁石に対向する第1の対向面と、前記磁石が前記導電性部材に対向する第2の対向面とは、それぞれ互いに平行な平行曲面である請求項8に記載のレーザ加工装置。
  10. 前記第1の対向面および前記第2の対向面は、一方の対抗面が円柱の側面の一部を有するとともに他方の対抗面が円筒の内壁面の一部を有し、前記円筒の内壁面の一部が前記円柱の側面の一部を囲うよう、前記導電性部材および前記磁石が配置された請求項9に記載のレーザ加工装置。
  11. 前記磁石のN極−S極を結ぶ方向が、前記第2の対向面に垂直な方向であり、前記ガルバノミラーの反射面側もしくはその反対側に前記磁石を配置した請求項10に記載のレーザ加工装置。
  12. 前記磁石のN極−S極を結ぶ方向が、前記第2の対向面に沿った方向であり、前記ガルバノミラーの反射面側から前記ガルバノミラーの回転軸の周りに略90度回転した位置に前記磁石を配置した請求項10に記載のレーザ加工装置。
  13. 前記導電性部材は、柱軸が前記ガルバノミラーの回転軸と略一致する円柱形状であり、
    前記磁石は、両端部が各々S極およびN極となったコの字またはCの字形状であり、この両端部の隙間に前記導電性部材を挟み込むように、磁石のN極−S極を結ぶ方向が前記ガルバノミラーの反射面に略平行になるように配置された請求項8に記載のレーザ加工装置。
  14. 前記導電性部材は、前記ガルバノミラーの反射面と略垂直で前記ガルバノミラーの回転軸に略平行な面で複数に分割されており、分割された間には絶縁層が介在する請求項13に記載のレーザ光装置。
  15. 前記磁石は、ONおよびOFFが制御可能な電磁石である請求項1から請求項14のいずれかに記載のレーザ加工装置。
  16. 前記電磁石のONおよびOFFを制御すると共に、前記ガルバノミラーが動作していないときには電磁石をOFFにする制御装置を備えた請求項15に記載のレーザ光装置。
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