JP5888119B2 - Haz靱性に優れた厚鋼板 - Google Patents
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Description
C:0.05〜0.25%、
sol.Si:0.001〜0.3%、
insol.Si:0.001〜0.01%
sol.Mn:0.5〜2.0%、
insol.Mn:0.001〜0.01%、
P:0.03%以下、
S:0.001〜0.02%、
N:0.02%以下、
sol.Al:0.0001〜0.0005%、
insol.Al:0.0001〜0.005%、
O:0.001〜0.005%、
を含有し、残部はFe及び不純物からなることを特徴とする、HAZ靱性に優れた厚鋼板。
Cu:1.0%以下、
Ni:1.0%以下
のうちの1種または2種を含有することを特徴とする、上記(1)のHAZ靱性に優れた厚鋼板。
Cr:0.5%以下、
Mo:0.5%以下、
Nb:0.05%以下、
V:0.2%以下、
B:0.005%以下
のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)のHAZ靱性に優れた厚鋼板。
Ca:0.005%以下、
Mg:0.005%以下、
REM:0.05%以下
のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかのHAZ靱性に優れた厚鋼板。
Sn:0.5%以下
を含有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかのHAZ靱性に優れた厚鋼板。
Ti:0.01%以下
を含有することを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかのHAZ靱性に優れた厚鋼板。
Cは鋼材の強度を確保するのに有効な元素であるが、その含有量が0.05%未満ではその効果が得られない。しかし、0.25%を超えるとHAZ靭性に影響を及ぼす。したがって、Cの含有量は0.05〜0.25%とする。Cの含有量の好ましい下限は0.07%であり、そして、好ましい上限は0.15%である。
Siは、溶鋼の予備脱酸のために有効な元素である。酸可溶性Si(以下、「sol.Si」と略記する。)の含有量が0.001%未満であると、十分な予備脱酸効果が得られないためOが溶鋼中に過剰に残存し清浄度が低下する。そのため、sol.Siの含有量は0.001%以上とする。一方、sol.Siの含有量が0.3%を超えると未変態γ粒がα粒とセメンタイトに分解するのを阻害し、微細な硬化相である島状マルテンサイトの生成を助長し、HAZ靭性を低下させるため、その含有量の上限を0.3%とした。
Mnは、強度および靭性の確保に必要な元素であるとともに、微細Al2O3とMnAl2O4の生成を促進する主要な元素となる。
Pは粒界偏析を起こす不可避的不純物として鋼中に存在する。0.03%を超えると、HAZにおける粒界割れの原因となるため、母材及びHAZの靭性が劣化する。したがって、その含有量は少ないほど望ましいが、経済性を考慮してPの含有量の上限は0.03%とする。望ましい上限は0.01%である。
Nは不可避的不純物として存在する。母材靭性の低下、溶接時に希釈による溶接金属中への混入から溶接金属の靭性低下を招き、さらに溶接割れの原因となるため、Nの含有量の上限を0.02%とする。
SはAl系酸化物上に微細なMnSを析出させるために必要な元素である。Sが0.001%未満では、十分なMnSが形成できず、MnAl2O4の生成が不十分となるので、その下限を0.001%とする。一方、Sの含有量が多すぎるとMnSが過剰に生成して、板厚中心部に偏析し、溶接割れの起点となる。従って、その上限を0.02%とする。望ましい上限は0.01%である。
Alは代表的な脱酸元素であるとともに、本発明においては旧オーステナイト粒の粗大化を抑制するためのAl系酸化物を供給する重要な元素である。Alは、鋼中においては固溶AlやAl窒化物を含むsol.Alと、主にAl2O3よりなるinsol.Alとして、存在する。
O(酸素)は、鋼の清浄度の観点から、低い方が望ましい。しかし、所望のAl2O3とMnAl2O4を得る必要があるため、その下限を0.001%とする。一方、O量が増加すると鋼の清浄度を低下させるだけでなく、Al2O3とMnAl2O4の凝集粗大化を招き、所望の粒度のAl系酸化物を得られなくなる。したがって、その上限を0.005%とする。
(1) 第1群:CuおよびNiのうちの1種または2種、
(2) 第2群:Cr、Mo、Nb、VおよびBのうちの1種または2種以上、
(3) 第3群:Ca、Mg、REMのうちの1種または2種以上、
(4) 第4群:Sn、
(5) 第5群:Ti。
第1群の元素であるCuおよびNiは強度と靭性を向上させる作用を有するので、必要に応じて、いずれかまたは両方を含有させることができる。以下、第1群の元素について詳しく説明する。
Cuを含有させると、母材の強度と靭性を向上させることができる。しかし、その含有量が1.0%を超えると、逆に母材の強度と靭性を低下させる。したがって、Cuの含有量は1.0%以下とする。Cuの含有量の好ましい上限は0.7%である。なお、Cuによる効果を得たい場合には、Cuを0.1%以上含有させることが好ましく、0.2%以上含有させることがより好ましい。
Niは、Cuと同様に、母材の強度と靭性を確保するために有効な元素である。しかし、Niの含有量が1.0%を超えると、逆に母材の強度と靭性を低下させる。したがって、Niの含有量は1.0%以下とする。Niの含有量の好ましい上限は0.7%である。なお、Niによる効果を得たい場合には、Niを0.1%以上含有させることが好ましく、0.2%以上含有させることがより好ましい。
第2群の元素であるCr、Mo、Nb、VおよびBはいずれも鋼材の焼入れ性を増加させ、強度を確保する作用を有するので、必要に応じて、これらの元素のうち1種または2種以上を含有させることができる。以下、第2群の元素について詳しく説明する。
Crは、鋼材の焼入れ性を増加させ、強度を確保するために有効である。一方、Crの含有量が0.5%を超えると、母材およびHAZ靭性の劣化を招くと共に溶接低温割れが発生するので、Cr含有量は0.5%以下とする。Cr含有量の好ましい上限は0.4%である。なお、Crによる効果を得たい場合には、Crの含有量を0.1%以上とするのが好ましく、0.2%以上とするのがより好ましい。
Moは、Crと同様に、鋼材の焼入れ性を増加させ、強度を確保するために有効である。一方、Moの含有量が0.5%を超えると、母材およびHAZ靭性の劣化を招くと共に溶接低温割れが発生するので、Mo含有量は0.5%以下とする。Mo含有量の好ましい上限は0.4%である。なお、Moによる効果を得たい場合には、Moの含有量を0.1%以上とするのが好ましく、0.2%以上とするのがより好ましい。
Nbは、Crと同様に、鋼材の焼入れ性を増加させ、強度を確保するために有効である。一方、Nbの含有量が0.05%を超えると、母材およびHAZ靭性の劣化を招くと共に溶接低温割れが発生するので、Nb含有量は0.05%以下とする。Nb含有量の好ましい上限は0.04%である。なお、Nbによる効果を得たい場合には、Nbの含有量を0.005%以上とするのが好ましく、0.008%以上とするのがより好ましい。
Vは、Crと同様に、鋼材の焼入れ性を増加させ、強度を確保するために有効である。一方、Vの含有量が0.2%を超えると、母材およびHAZ靭性の劣化を招くと共に溶接低温割れが発生するので、V含有量は0.2%以下とする。なお、Vによる効果を得たい場合には、Vの含有量を0.02%以上とするのが好ましい。
Bは、Crと同様に、鋼材の焼入れ性を増加させ、強度を確保するために有効である。一方、Bの含有量が0.005%を超えると、母材およびHAZ靭性の劣化を招くと共に溶接低温割れが発生するので、B含有量は0.005%以下とする。なお、Bによる効果を得たい場合には、Bの含有量を0.001%以上とするのが好ましい。
第3群の元素であるCa、MgおよびREMはいずれも硫化物の形態を制御し、熱間加工性を増加させ、低温靭性を確保する作用を有するので、必要に応じて、これらの元素のうち1種または2種以上を含有させることができる。以下、第3群の元素について詳しく説明する。
Caは、硫化物の形態を制御し、熱間加工性を増加させ、低温靭性を確保するために有効である。一方、Caの含有量が0.005%を超えると、大型介在物やクラスターを生成して鋼の清浄度を害するので、Ca含有量は0.005%以下とする。なお、Caによる効果を得たい場合には、Caの含有量を0.001%以上とするのが好ましい。
Mgは、Caと同様に、硫化物の形態を制御し、熱間加工性を増加させ、低温靭性を確保するために有効である。一方、Mgの含有量が0.005%を超えると、大型介在物やクラスターを生成して鋼の清浄度を害するので、Mg含有量は0.005%以下とする。なお、Mgによる効果を得たい場合には、Mgの含有量を0.001%以上とするのが好ましい。
REMは、Caと同様に、硫化物の形態を制御し、熱間加工性を増加させ、低温靭性を確保するために有効である。一方、REMの含有量が0.05%を超えると、大型介在物やクラスターを生成して鋼の清浄度を害するので、REM含有量は0.05%以下とする。なお、REMによる効果を得たい場合には、REMの含有量を0.01%以上とするのが好ましい。ここで、REMとは、ランタノイドの15元素にYおよびScを合わせた17元素の総称であり、これらの元素のうちの1種または2種以上を含有させることができる。REMの混合体であるミッシュメタルを添加することでREMを含有させてもよい。なお、REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。
第4群の元素であるSnは耐食性を改善する作用を有するので、必要に応じて、含有させることができる。以下、詳しく説明する。
Snは耐食性を改善するために有効である。一方、Snの含有量が0.5%を超えると、母材および熱影響部靭性が低下するので、Snの含有量は0.5%以下とする。Snの好ましい含有量は0.4%以下である。なお、Snの効果を得たい場合には、Snの含有量を0.002%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましい。
第5群の元素であるTiは、窒化物を生成し、鋼中の固溶N量を低減するとともに析出したTiNはHAZでの旧オーステナイト粒の粗大化を抑制する作用を有するので、必要に応じて、含有させることができる。以下、詳しく説明する。
TiはNと反応してTiNを生成するので、鋼中の固溶N量を低減する。また、析出したTiNはピン止め効果で熱間圧延前のスラブ加熱時の母材および大入熱溶接時のHAZでの旧オーステナイト粒の粗大化を抑制し、母材およびHAZ靭性の向上に寄与する。一方、Tiの含有量が0.01%を超えると、微細Al2O3と微細MnAl2O4の生成に必要なO(酸素)含有量の低減を招くため、ピン止め効果が低減しHAZ靭性が低下するので、Tiの含有量は0.01%以下とする。なお、Tiの効果を得たい場合には、Tiの含有量を0.002%以上とするのが好ましい。
Claims (6)
- 質量%で、
C:0.05〜0.25%、
sol.Si:0.001〜0.3%、
insol.Si:0.001〜0.01%
sol.Mn:0.5〜2.0%、
insol.Mn:0.001〜0.01%、
P:0.03%以下、
S:0.001〜0.02%、
N:0.02%以下、
sol.Al:0.0001〜0.0005%、
insol.Al:0.0001〜0.005%、
O:0.001〜0.005%、
を含有し、残部はFe及び不純物からなることを特徴とする、HAZ靱性に優れた厚鋼板。 - さらに、質量%で、
Cu:1.0%以下、
Ni:1.0%以下
のうちの1種または2種を含有することを特徴とする、請求項1に記載のHAZ靱性に優れた厚鋼板。 - さらに、質量%で、
Cr:0.5%以下、
Mo:0.5%以下、
Nb:0.05%以下、
V:0.2%以下、
B:0.005%以下
のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のHAZ靱性に優れた厚鋼板。 - さらに、質量%で、
Ca:0.005%以下、
Mg:0.005%以下、
REM:0.05%以下
のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載のHAZ靱性に優れた厚鋼板。 - さらに、質量%で、
Sn:0.5%以下
を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載のHAZ靱性に優れた厚鋼板。 - さらに、質量%で、
Ti:0.01%以下
を含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれかに記載のHAZ靱性に優れた厚鋼板。
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