JP5887539B2 - レーダ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、無線周波数信号を用いたレーダ装置に関する。
近年、セキュリティ、物流、あるいはITS(高度交通システム Intelligent Transport Systems)といった分野において、高精度に位置を特定する技術が注目されている。位置を特定する方法として、高周波無線信号を用いたレーダ技術の開発が従来から行われてきた。この種のレーダ技術としては、FMCW(Frequency Modulated Continuous-wave 周波数変調連続波)レーダ技術、パルスレーダ技術などがある。
FMCWレーダは、キャリア信号の周波数を時間的に変化させて送信信号として送信し、反射物で反射してレーダで受信された受信信号の周波数解析を行うことにより、反射物までの距離を特定するものである。パルスレーダ技術は、短い時間幅のパルス信号を送信信号として送信し、この信号が反射物で反射して再びレーダで受信されるまでの時間を検出することにより、反射物までの距離を測定するものである。
以下にパルスレーダについて記載する。パルスレーダの場合、レーダから送信されたパルス信号が空間に存在するさまざまな物体で反射するため、さまざまな方向及び遅延時間の反射波が到来波としてレーダで受信される。このような環境をマルチパス環境と呼ぶ。マルチパス環境においては、二つの到来波の遅延時間がパルス幅よりも小さいときは、これらの到来波の受信パルスが重なるために、二つの到来波を分離することは困難である。
このように、二つの到来波の分離分解能は、送信信号として用いるパルス信号のパルス幅により決定される。したがって、パルス幅を小さくすればするほど分離分解能は高くなり、マルチパス環境の影響による劣化を減少させることができる。よって、パルスレーダにおいて、高精度な位置特定を行うには、高い分離分解能を得るためにパルス幅を小さくすることが求められる。
パルス幅を小さくするには、広帯域な信号を扱う必要がある。そのため、送信機、受信機ともに、信号処理部において広帯域なアナログ回路または高速なデジタル回路が必要となる。特に、信号をアナログからデジタルへ変換するAD変換回路、またはその逆操作のデジタルからアナログに変換するDA変換回路の高速化が必要とされる。
アナログ信号をデジタル信号にサンプリングする場合、サンプリング定理を満たすためには、サンプル対象の信号の2倍以上の帯域幅でサンプリングする必要がある。したがって、レーダの高精度化のためにパルス幅を小さくしようとすると、これに対応して、より短い間隔でサンプリングする必要がある。
日本国特公平5−48648号公報 日本国特開2008−160545号公報
上記に説明したように、パルスレーダの分離分解能を高めるには、送信信号として用いるパルス信号のパルス幅を小さくする必要がある。そして、パルス幅を小さくするには、信号処理部のAD変換回路及びDA変換回路の高速化を図る必要がある。
ここで、DA変換回路は高速動作が比較的容易であるが、AD変換回路はDA変換回路に比べて高速化に対する限界が低い。したがって、AD変換回路のサンプリング周期によって、レーダの基本性能である分離分解能が制限される。このため、より高い分離分解能を得るには、AD変換回路のデバイスの性能以上のサンプリング分解能を実現する方法が必要となる。
AD変換回路のサンプリングを高速化せずにサンプリングクロックの周波数(サンプリング周波数)以上の分解能で、すなわちAD変換のサンプリングタイミングよりも短い間隔で、デジタル信号を取得する方法は、従来から、いくつか知られている。その第1の方法として、サンプリングオシロスコープに代表される、AD変換回路のサンプリングクロックのタイミングを変えながらサンプリングして測定する方法がある(特許文献1参照)。
この第1の方法によれば、AD変換するタイミングを少しずつ、ずらしながら測定し、データを並び替えることにより、AD変換回路のサンプリングクロックよりも高速な信号をデジタル値に変換することができる。
ここで、サンプリングオシロスコープが想定する測定信号は、周期的な信号である。しかし、AD変換のサンプリングタイミングをずらすためには、AD変換回路に入力するクロック信号を正確に制御する必要があり、制御回路及びクロック発生回路の構成が複雑になるという問題がある。
また、第2の方法として、AD変換回路を複数使用し、個々のAD変換回路のサンプリングタイミングを少しずつずらしたタイミングでサンプリングする方法がある(特許文献2参照)。この方法によれば、単体のAD変換回路のサンプリング周波数以上の高速な信号を十分な分解能でサンプリングすることができる。
特許文献2には、複数のAD変換回路を用いて、サンプリング周波数以上の信号をサンプリングすることで、レーダの距離分解能の向上を図ることができるとの記載がある。しかし、この方法の場合、AD変換回路を複数用いるため、回路規模が増大する。さらに、サンプリングクロックを複数に分岐した後に一定量の遅延を正確に与え続けるための回路が必要となり、制御の複雑化、回路の増大が発生するという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、AD変換回路及びその周辺回路の構成を複雑にすることなく、AD変換回路のサンプリングタイミングよりも短い間隔でデジタル信号を取得可能とし、レーダ装置の距離分解能を向上することにある。
本発明に係るレーダ装置は、所定の信号幅及び信号間隔を持つ間欠信号を生成する信号生成部と、前記間欠信号の時間軸上の位置を調整して送信信号として出力する送信信号位置調整部と、前記送信信号を測定対象空間に無線送信する送信RF部と、前記測定対象空間における物体からの反射波を含む受信信号を、前記測定対象空間から受信する受信RF部と、前記受信信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、前記受信信号に基づいて物体を検出する物体検出部と、を備え、前記送信信号位置調整部は、前記間欠信号の信号単位毎に、前記AD変換部のサンプリング間隔よりも短い時間調整量で前記時間軸上の位置を変更した送信信号を出力する、ものである。
上記構成により、レーダ装置は、受信側のAD変換のサンプリングタイミングに対して、受信信号の各信号単位の受信タイミングをずらすことが可能になる。したがって、レーダ装置は、AD変換回路及びその周辺回路の構成を複雑にすることなく、AD変換のサンプリング間隔よりも短い間隔で受信信号のサンプリングが可能になり、距離分解能が向上する。
本発明によれば、AD変換回路及びその周辺回路の構成を複雑にすることなく、AD変換回路のサンプリングタイミングよりも短い間隔でデジタル信号を取得可能とし、レーダ装置の距離分解能を向上することができる。
本発明の第1の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図 本実施形態のレーダ装置の使用環境を説明する図 第1の実施形態のパルス生成部より出力されるパルス信号(生成パルス)の一例を示した動作説明図 第1の実施形態のパルス送信位置調整部より出力されるパルス信号(送信パルス)の一例を示した動作説明図 パルス送信位置調整部の構成例を示すブロック図 第1の実施形態のAD変換部において受信信号をサンプリングする際の動作を模式的に示した動作説明図 本発明の第2の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図 (A)、(B)は第2の実施形態の可変幅パルス生成部より出力されるパルス信号(生成パルス)の一例を示した動作説明図 (A)、(B)は第2の実施形態のパルス送信位置調整部より出力されるパルス信号(送信パルス)の一例を示した動作説明図 第2の実施形態のAD変換部において受信信号をサンプリングする際の動作を模式的に示した動作説明図 第2の実施形態の測定環境検出部において測定環境を判定する方法を説明するための図 本発明の第3の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図 本発明の第4の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図
以下に、本発明の実施形態として、レーダ装置の構成例及びその動作を説明する。本実施形態では、レーダ装置の高分解能化を図るために、送信信号として広帯域のパルス信号を用いる場合の構成を例示する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、送信側において、生成したパルス信号のパルス毎に、受信側のAD変換のサンプリング間隔よりも短い時間でタイミングをずらして送信位置を調整した送信信号を生成し、繰り返し送信する。
これにより、受信側のAD変換のサンプリングタイミングに対して、受信されるパルス信号の各パルスのタイミングをずらすことが可能になる。したがって、AD変換回路のサンプリング周波数を高くする、あるいはAD変換回路の周辺回路を追加する等の方法をとる必要なく、AD変換のサンプリング間隔よりも短い間隔で受信信号のサンプリングが可能になり、距離分解能が向上する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。レーダ装置は、送信部として、パルス生成部101、パルス送信位置調整部102、DA変換部103、サンプリングクロック生成部104、逓倍部105、送信ミキサ部106、ローカル信号発生部107、増幅器108、アンテナ109を含む構成である。また、レーダ装置は、受信部として、アンテナ111、増幅器112、受信ミキサ部113、AD変換部114、距離検出部115を含む構成である。なお、サンプリングクロック生成部104及びローカル信号発生部107は、送信部と受信部とで共通に用いられる。
ここで、送信ミキサ部106、増幅器108、アンテナ109が送信RF部の機能を実現する構成の一例として設けられる。また、アンテナ111、増幅器112、受信ミキサ部113が受信RF部の機能を実現する構成の一例として設けられる。
パルス生成部101は、信号生成部の機能を実現する構成の一例であり、所定のパルス幅のパルス信号を一定時間間隔で繰り返し生成し出力する。生成されたパルス信号(生成パルス)は、パルス送信位置調整部102に入力される。
パルス送信位置調整部102は、送信信号位置調整部の機能を実現する構成の一例である。パルス送信位置調整部102は、パルス生成部101から出力される一定間隔のパルス信号について、受信部のAD変換部114のサンプリング間隔よりも短い時間の時間調整量でパルス信号の送信タイミング(パルス送信位置)を調整する。
この際、パルス信号においてパルス毎(各パルスによる信号単位毎)の送信タイミングを遅らせる、または早めるようにする。パルス信号を遅延させる場合の遅延時間の制御方法については後述する。送信タイミングを変更したパルス信号(送信パルス)は、送信信号として、DA変換部103に入力される。また、パルス送信位置調整部102は、パルス信号の送信タイミング(パルス送信位置)を示すパルス送信位置信号を受信部の距離検出部115に出力する。
サンプリングクロック生成部104は、受信部のAD変換部114のサンプリングクロックを生成する。生成したサンプリングクロックは、AD変換部114及び逓倍部105に入力される。さらに、サンプリングクロックは、受信部の距離検出部115にも入力される。この場合、AD変換部114のサンプリングクロックと同様のクロックで距離検出部115の回路を動作させる。
一般的に、距離検出部115は、FPGAまたはLSI等で実現される。本実施形態のように高速なサンプリングクロックを用いる場合、FPGAまたはLSIの動作クロックには高速すぎる場合がある。したがって、このような場合、同じ源振のクロックから異なる周波数を作成し、FPGAまたはLSIの動作クロックは低速に、AD変換回路のクロックは高速にすることも可能である。
逓倍部105は、送信部のDA変換部103のサンプリングクロックを生成するために、サンプリングクロック生成部104から入力されるサンプリングクロックを逓倍する。このときの逓倍率については、後述する。逓倍したサンプリングクロックは、DA変換部103に入力される。さらに、逓倍したサンプリングクロックは、パルス送信位置調整部102及びパルス生成部101にも入力される。この際、DA変換部103のサンプリングクロックと同様のクロックでパルス送信位置調整部102及びパルス生成部101の回路を動作させる。
一般的に、パルス送信位置調整部102及びパルス生成部101は、FPGAまたはLSI等で実現される。本実施形態のように高速なサンプリングクロックを用いる場合、FPGAまたはLSIの動作クロックには高速すぎる場合がある。したがって、このような場合、同じ源振のクロックから異なる周波数を作成し、FPGAまたはLSIの動作クロックは低速に、DA変換回路のクロックは高速にすることも可能である。
DA変換部103は、パルス送信位置調整部102から出力されるパルス信号と逓倍部105から出力される逓倍したサンプリングクロックとを入力とする。DA変換部103は、逓倍したサンプリングクロックのタイミングに応じて、パルス信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する。アナログ信号に変換された送信信号のパルス信号は、送信ミキサ部106へ入力される。
ローカル信号発生部107は、局部発振器を有して構成され、ベースバンド信号をRF信号へとアップコンバートするためのローカル信号を生成する。生成したローカル信号は、送信ミキサ部106へ入力される。また、ローカル信号は受信部の受信ミキサ部113にも入力される。
送信ミキサ部106は、ミキサ等を有して構成され、DA変換部103からのアナログ信号に変換されたパルス信号と、ローカル信号発生部107からのローカル信号とを入力とする。送信ミキサ部106は、入力したパルス信号とローカル信号とを混合し、パルス信号をベースバンド帯域から無線周波数のRF信号へとアップコンバートする。アップコンバートされたパルス信号は、増幅器108に入力される。
増幅器108は、無線周波数にアップコンバートされた無線信号の送信信号を増幅する。増幅後の無線信号は、送信用のアンテナ109から測定対象空間へ放射されて送信される。測定対象空間に物体が存在する場合、レーダ装置のアンテナ109から送信された信号は、その物体で反射され、この反射波の信号が受信用のアンテナ111にて受信される。なお、送信用のアンテナと受信用のアンテナとを1つのアンテナで共用する構成としてもよい。
レーダ装置のアンテナ111で受信された無線信号は、増幅器112に入力される。増幅器112は、アンテナ111で受信された無線信号の受信信号を増幅する。この受信信号には、物体からの反射波の信号が含まれる。増幅器112で増幅された受信信号は、受信ミキサ部113に入力される。
受信ミキサ部113は、ミキサ等を有して構成され、増幅器112の出力信号とローカル信号発生部107からのローカル信号とを入力とする。受信ミキサ部113は、入力した受信信号とローカル信号とを混合し、RF信号の受信信号を無線周波数からベースバンド帯域にダウンコンバートする。ダウンコンバートされた受信信号は、AD変換部114に入力される。
なお、本実施形態で説明するレーダ装置の高周波部分のアーキテクチャは、RF信号をベースバンド信号に直接変換するダイレクトコンバージョン方式としたが、これに限定されない。例えば、スーパーヘテロダイン方式のようなIFを用いるアーキテクチャでもよい。
なお、本実施形態で説明するレーダ装置の構成において、帯域制限用または不要輻射防止用等のフィルタ、可変増幅器等の回路に関しては、説明を簡単にするため省略した。
AD変換部114は、受信ミキサ部113から出力されるベースバンド帯域にダウンコンバートされた受信信号と、サンプリングクロック生成部104から出力されるサンプリングクロックとを入力とする。AD変換部114は、サンプリングクロックのタイミングに応じて、受信信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換する。デジタル信号に変換された受信信号は、距離検出部115へ入力される。
距離検出部115は、物体検出部の機能を実現する構成の一例である。この距離検出部115は、デジタル信号に変換された受信信号とパルス送信位置調整部102から出力されるパルス送信位置信号を入力とする。距離検出部115は、受信信号の検波処理、パルス検出処理、距離検出処理の各処理を行い、物体までの距離を算出する。ここで、パルス検出処理は、物体からの反射波のパルス(受信パルス)を検出する処理であり、コンパレータ等を用いて受信信号中のパルス成分を検出する。
距離検出処理は、前記反射波が発生した物体までの距離を検出する処理であり、パルス送信位置信号を用いてパルス信号が送信されてから反射波の受信パルスが検出されるまでの時間を算出し、物体までの距離に換算する。距離検出部115は、算出した距離情報を後段の情報処理部、表示部等に出力する。この距離情報を用いて、情報処理部で検出物体に関する各種情報処理を行い、更に、表示部に距離情報を表示することが可能である。
図2は、本実施形態のレーダ装置の使用環境を説明する図である。レーダの想定される使用環境では、レーダ装置100と反射物130とが存在する。レーダ装置100から送信された送信信号は、反射物130で反射し、その反射波が再びレーダ装置100で受信される。
本実施形態では、受信部のAD変換部114において受信信号をサンプリングするサンプリング間隔よりも短い時間で、パルス送信位置調整部102においてパルス信号の送信タイミング(パルス送信位置)をずらしながら、送信信号を繰り返し送信する。これにより、疑似的なオーバーサンプリングが実現され、AD変換回路のサンプリングタイミングよりも短い間隔で受信信号のAD変換が可能であり、反射波の分離分解能が向上する。
図3は、第1の実施形態のパルス生成部101より出力されるパルス信号(生成パルス)の一例を示した動作説明図である。パルス生成部101において、パルス信号は、一定の周期で繰り返し生成されて出力される。図中の矢印はDA変換部103のサンプリングクロック(DA変換サンプリングクロック)のタイミングを表す。図3の例では、パルス信号の生成周期(パルス繰り返し間隔)は1μ秒(μs)としが、これに限るものではない。
ここで、DA変換部103のサンプリングクロックと生成するパルス信号との関係は、図3に示すように、DA変換サンプリングクロックがパルス信号のパルス幅の1/N倍である。本実施形態の例では、N=4としたが、これに限ったものではない。なお、図中ではパルス幅の値については記載していない。ここでは一例として、パルス幅を1n秒(ns)とするが、これに限ったものではない。パルス幅を1n秒とした場合、約30cmの分離分解能となる。
送信信号にパルス信号を用いた場合、パルス信号の送信間隔(パルス信号の生成周期)は、レーダにおいて測定できる最大検出距離を決定する。つまり、レーダ装置よりパルス信号が送信されてから想定している最大検出距離の物体で反射し、再びレーダ装置で受信されるまでの時間よりも、長い時間(広い時間間隔)をパルス信号の送信間隔とする。また、パルス信号のパルス幅は、測定時の物体からの反射波の分離分解能を決定する。ここで、パルス幅が短いほど、複数の物体からの反射波を分離可能な距離が短くなり、高分解能化を図れる。
なお、送信信号は、本実施形態では所定のパルス幅を持つ単一のパルス信号を所定周期で繰り返し送信するものを用いるものとするが、所定の信号幅と信号間隔を持つ間欠信号であれば、これに限定されない。例えば、パルス信号が周波数変調または位相変調された変調信号などでもよい。すなわち、本実施形態では、間欠信号としてパルス信号を用い、間欠信号の信号単位を単一のパルスとしているが、これに限定されない。
図4は、第1の実施形態のパルス送信位置調整部102より出力されるパルス信号(送信パルス)の一例を示した動作説明図である。パルス送信位置調整部102は、入力されるパルス信号のパルス位置を変更し、パルス信号の送信タイミング(パルス送信位置)を調整する。この際、図3に示したパルス生成部101より出力されるパルス信号を入力信号とする。図4はパルス送信位置調整部102の出力信号を示している。図中の矢印はDA変換サンプリングクロックのタイミングを表す。
パルス送信位置調整部102に入力されるパルス信号(生成パルス)のパルス位置は、等間隔に並べられている。パルス送信位置調整部102では、生成パルスのパルスが入力される毎に時間調整量としてα秒の遅延を与える。ここで、最初に入力された一番目のパルスは、遅延を与える必要はない。よって、一番目のパルスは遅延なしで出力する。
図4に示すように、送信するパルス信号の最初のパルスを基準に考えると、二番目のパルスには、パルス繰り返し間隔に対し、α秒の遅延を与える。ここで、α秒は、DA変換部103におけるDA変換の1サンプル分(DA変換サンプリングクロックの1クロック分、図示例では1/N(ns))を表すものとする。
よって、図示例では1サンプルの遅延を与えたことになる。1μ秒のパルス繰り返し間隔にα秒の遅延を与えたので、一番目のパルスと二番目のパルスとの間隔は、1μ+α秒となる。なお、α秒は、DA変換の1サンプルに相当する時間に限定するものではなく、例えば、DA変換のサンプリング間隔の整数倍でもかまわない。
三番目のパルスには、2α秒の遅延を与える。本実施形態の場合、DA変換の2サンプルの遅延を与えたことになる。一番目のパルスに対しては、1μ+1μ+2α秒の間隔となる。また、二番目のパルスと三番目のパルスとの間隔は1μ+α秒となる。
四番目のパルスには、3α秒の遅延を与える。本実施形態の場合、DA変換の3サンプルの遅延を与えたことになる。つまり、四番目のパルスは、一番目のパルスに対しては、1μ+1μ+1μ+3α秒の間隔の後に送信される。また、三番目のパルスと四番目のパルスとの間隔は1μ+α秒となる。
五番目のパルスには、一番目のパルスと同様、遅延を与えず、遅延なしで出力する。
以降のパルスについて、同様に繰り返す。
本実施形態では、一例としてN=4としたため、4つのパルスで遅延動作が繰り返されることになる。この4つのパルスの組が送信信号の1パターンとなる。ここで、i=0,1,2,3,…,mを入力するパルス番号とすると、繰り返し周期はi/Nの余りが0のときに遅延を与えないパルスが入力され、遅延動作を周期的に繰り返す。
パルス送信位置調整部102は、上記に示すような法則で遅延を与えてパルスの送信タイミングをずらしたパルス信号を出力する。
なお、上記の説明では、パルス送信位置調整部102において、パルス信号におけるパルス毎の送信タイミングを遅延させる方法について説明したが、パルス毎の送信タイミングを早める(遅延を減らす)方向に制御してもよい。この場合、パルス生成部101において信号生成部と送信信号位置調整部の機能を有する構成とし、予めパルス毎に送信タイミングを早めたパルス信号を生成するように、発生させるパルス系列を制御することによって実現できる。
図5は、パルス送信位置調整部102の構成例を示すブロック図である。図5はパルス送信位置調整部102の具体的な構成の一例を示したものである。パルス送信位置調整部102は、3つのレジスタ141、142、143、選択回路144、遅延量制御回路145を有して構成される。
第1のレジスタ141は、入力されるパルス信号の入力信号に対して、動作クロック1クロック分の遅延を与える。第1のレジスタ141の出力は、第2のレジスタ142と選択回路144とに入力される。
第2のレジスタ142は、第1のレジスタ141から出力される信号に対して、動作クロック1クロック分の遅延を与える。第2のレジスタ142の出力は、第3のレジスタ143と選択回路144とに入力される。
第3のレジスタ143は、第2のレジスタ142から出力される信号に対して、動作クロック1クロック分の遅延を与える。第3のレジスタ143の出力は、選択回路144に入力される。
選択回路144は、遅延量制御回路145から出力される遅延量選択信号に応じて、出力する信号を、入力信号、第1のレジスタ141の出力信号、第2のレジスタ142の出力信号、第3のレジスタ143の出力信号の4種類の中から選択する。そして、選択回路144は、選択した信号を出力信号として出力する。
遅延量制御回路145は、入力信号に対して与える遅延量(時間調整量)を制御する。この際、遅延量制御回路145は、選択回路144の4つの入力から出力を選択するための遅延量選択信号を選択回路144に出力する。遅延量制御回路145の遅延量制御方法については、図4で示したパルス送信位置調整部102の動作説明のとおりである。すなわち、所定のパルス数(ここでは4つ)を単位として、パルス毎にα秒の遅延を与えるように遅延量を制御する。
図6は、第1の実施形態のAD変換部114において受信信号をサンプリングする際の動作を模式的に示した動作説明図である。図6において、×印はサンプル点であり、AD変換サンプリングクロックで示されるタイミングで受信信号のパルス信号をサンプリングした値を示している。図6では、図2に示したレーダ装置の使用環境において、レーダ装置からパルス信号を送信し、反射物で反射して再びレーダ装置で受信される受信信号を示している。
この場合の反射物となる物体は、図2に示したように、一つを想定している。ここでは、物体は静止していると仮定している。なお、物体が移動する場合においても、パルスの繰り返し間隔の間に物体が静止しているとみなすことができればよい。物体が静止状態であるとみなせる場合、パルス間で送信してから受信されるまでの経路に差が生じない。
ここで、物体が移動する場合の数値例を示す。例えば、物体が時速100km/hで移動する車と仮定する。この車が、10回のパルスを繰り返し送信する時間に相当する、10μ秒で移動する距離を考えると、約277μメートルである。この際、100km/hをm/秒に変換すると、100×1000m÷3600秒=27.7m/秒である。よって、1μ秒あたりの移動距離は、27.7÷10=27.7μmとなり、10μ秒では277μmとなる。したがって、時速100km/hで移動する車は、10μ秒間で見ると十分静止環境であるとみなせる。
反射する物体が静止しているか、或いは注目する時間が非常に短く、物体が静止しているとみなせるとき、受信されるパルス信号の間隔は、送信されたパルス信号の間隔が維持される。したがって、図4のように送信信号のパルス毎にパルス送信位置を遅延させた場合、各パルスの遅延時間が保存されて受信信号として受信される。
受信信号とAD変換のサンプリングクロックとの位置関係が図6に示す関係であるとする。
なお、受信信号をAD変換するときのサンプリングクロックは、送信信号をDA変換するサンプリングクロックよりも遅い。本実施形態では、AD変換のサンプリングクロックは、DA変換のサンプリングクロックの1/4とした。なお、AD変換とDA変換のサンプリングクロックの比は、1/4に限られるものではなく、AD変換よりもDA変換のサンプリングクロックが早ければよい。
受信信号において、一番目に受信されるパルスは、図6に示す受信信号とサンプリングクロックの位置関係では検出することは困難である。
二番目に受信されるパルスは、送信時にパルス繰り返し間隔(1μ秒)からα秒遅延させた位置で送信されたので、一番目のパルスが受信された時間に対して1μ+α秒後に受信される。したがって、図6の場合、受信信号とAD変換サンプリングクロックとの位置関係がα秒ずれる。これにより、一番目のパルスと異なる位置、つまりα秒遅れたタイミングで受信信号がサンプリングされる。
三番目に受信されるパルスは、送信時にパルス繰り返し間隔から2α秒遅延させた位置で送信されたので、二番目のパルスが受信された時間に対して1μ+α秒後に受信される。したがって、図6の場合、受信信号とAD変換サンプリングクロックとの位置関係が2α秒ずれる。これにより、一番目、二番目のパルスと異なる位置、つまり2α秒遅れたタイミングで受信信号がサンプリングされる。
四番目に受信されるパルスは、送信時にパルス繰り返し間隔から3α秒遅延させた位置で送信されたので、三番目のパルスが受信された時間に対して1μ+α秒後に受信される。したがって、図6の場合、受信信号とAD変換サンプリングクロックとの位置関係が3α秒ずれる。これにより、一番目、二番目、三番目のパルスと異なる位置、つまり3α秒遅れたタイミングで受信信号がサンプリングされる。
五番目に受信されるパルスは、送信時に遅延を与えていないため、一番目のパルスと同じ位置で受信される。このため、一番目のパルスと同じ位置で受信信号がサンプリングされる。
上記のように、送信側で送信信号のパルス送信位置を変更して送信することにより、繰り返し送信されるパルス毎に、受信側で受信信号をサンプリングするタイミングを変更してAD変換することができる。異なるタイミングでサンプリングした受信信号のサンプル値を合わせることで、疑似的なオーバーサンプリング(この例ではAD変換のサンプルクロックに対して4倍のオーバーサンプリング、パルス幅に対して4倍のオーバーサンプル)を実現できる。
距離検出部115は、AD変換部114でサンプリングされたデジタル値の受信信号を入力し、パルス送信位置調整部102から出力されるパルス送信位置信号に基づき、サンプリングデータと各パルスとの位置関係を把握する。そして、距離検出部115は、パルス毎の遅延時間の間隔(図示例ではα秒)、すなわちDA変換のサンプリングクロックと同等の時間間隔でサンプリングされた状態の受信信号を生成する。
この際、図6に示したパルス毎のパルス位置とサンプリング位置の情報に基づき、各パルスに対してサンプル点がずれた状態の受信信号の値を並べ直して組み合わせることで、このずれ量に相当する短い時間間隔でサンプリングしたものと同等のデジタル信号を生成する。
ここで、受信信号のサンプル値について、送信信号においてα秒ずつの遅延を与える1パターンのパルスの数(上記例では4)ごとに、これらのサンプル値を並べ替えることで、疑似的なオーバーサンプリングによるデジタル信号が生成される。
このように、送信信号のパルス位置を変更しながら送受信した信号について、パルス送信位置とサンプリング位置に基づいて並べ直すことで、疑似的なオーバーサンプリング信号を生成することができる。すなわち、繰り返し送信するパルスのパルス送信位置を所定量ずらした1パターンのパルス数分だけ、時間軸を延長した形でオーバーサンプリングを行うことができる。
この際、AD変換のサンプリングタイミングよりも短い時間で送信信号のパルス位置を変更することにより、疑似的なオーバーサンプリングを実現する。
上記に説明した本実施形態の構成により、AD変換回路のサンプリング周波数を高くすることなく、オーバーサンプリングを実現できる。
また、パルスレーダ装置の分離分解能は送信信号のパルス幅で決定されるため、分離分解能を高くするためには、パルス幅を狭くする必要がある。しかし、パルス幅を狭くするためには、AD変換回路のサンプリング周波数を高くする必要が発生する。AD変換回路のサンプリング周波数にはデバイスの限界があるため、現実的には数GHzのサンプリング周波数でAD変換を行うことは難しい。
そこで、本実施形態で説明した構成を用いれば、AD変換回路のサンプリング周波数以上の分解能でのサンプリングを実現できるため、より狭いパルス幅の信号を用いて高い分離分解能を実現できる。
また、一般的に、その構造からDA変換回路はAD変換回路よりも高速に動作する。本実施形態で説明した構成は、この特徴を利用している。このため、AD変換回路のサンプリングクロックをアナログ回路でタイミング調整する方法、あるいは複数のAD変換回路をパラレルに配置し、片方のAD変換回路のサンプリングクロックをずらす方法などのように、回路を複雑にするアプローチとは異なる。
したがって、本実施形態では、AD変換回路よりも高速なDA変換回路を使用し、送信信号のパルス位置をデジタルで制御するため、回路の簡易化、消費電力の減少、コストの低減を図ることができる。
(第2の実施形態)
パルス信号として各パルスの送信タイミングをずらしながら繰り返し送信し、疑似的にオーバーサンプリングを行う場合、オーバーサンプリング数分のパルス送信を繰り返す必要があるため、測定に時間を要する。さらに、送信タイミングをずらす時間(時間調整量)をAD変換のサンプルリング間隔に対して短くとるほど、測定に時間が必要である。
そこで、第2の実施形態では、レーダ装置の測定環境に応じて、送信するパルス信号のパルス幅とパルス位置を変更する。これにより、測定環境に応じたオーバーサンプリング数の変更が可能になる。
レーダ装置の測定環境において、固定的な反射物体が多数存在しない場合、レーダの分離分解能の要求は低い。つまり、反射波の少ない環境においては、パルス幅の狭いパルス信号を用いる必要は必ずしもない。この場合、AD変換のサンプリング間隔も広いもので十分であり、サンプリング周波数も低い周波数のクロックを用いることができる。したがって、測定環境に応じてパルス幅を変化させることで、疑似的なオーバーサンプリング数を減少できるので、測定時間の短縮を図れる。
図7は、本発明の第2の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。第2の実施形態は、第1の実施形態のレーダ装置の構成を一部変更した例である。ここでは、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1の実施形態と同様の構成については、その説明を省略する。
レーダ装置は、送信部として、可変幅パルス生成部201、パルス送信位置調整部202、DA変換部103、サンプリングクロック生成部104、逓倍部105、送信ミキサ部106、ローカル信号発生部107、増幅器108、アンテナ109を備えている。また、レーダ装置は、受信部として、アンテナ111、増幅器112、受信ミキサ部113、AD変換部114、距離検出部115、測定環境検出部216を備えている。
第2の実施形態のレーダ装置は、測定環境検出部216を備えることと、パルス生成部に代わり可変幅パルス生成部201を備える点が第1の実施形態の構成と異なる。また、パルス送信位置調整部202の動作が第1の実施形態と異なる。
可変幅パルス生成部201は、信号生成部の機能を実現する構成の一例であり、測定環境検出部216から出力される測定環境情報に基づき、送信するパルス信号のパルス幅を決定する。パルス幅の決定方法については後述する。そして、可変幅パルス生成部201は、決定したパルス幅を持つパルス信号を、一時間定間隔で繰り返し生成し出力する。また、可変幅パルス生成部201は、パルス幅情報をパルス送信位置調整部202へ出力する。
パルス送信位置調整部202は、可変幅パルス生成部201が出力するパルス信号とパルス幅情報を入力とする。このパルス送信位置調整部202は、第1の実施形態のパルス送信位置調整部102と同様の動作を行うが、送信するパルス信号のパルス幅に応じて各パルスを遅延させる時間αを変更する点が第1の実施形態と異なる。パルス送信位置調整部202は、パルス幅に応じて各パルスの遅延量を制御したパルス信号をDA変換部103へ出力する。
測定環境検出部216は、AD変換部114から出力されるデジタル値に変換された受信信号を入力とする。測定環境検出部216は、入力される受信信号から測定環境における反射物の存在数に関連する特徴情報を測定環境情報として抽出する。そして、可変幅パルス生成部201に対して測定環境情報を出力する。
反射物の存在数に関連する特徴情報は、例えば、反射波の本数とする。この場合、設定した閾値を超える反射波についてカウントし、反射波の本数を測定環境情報とする。また別の例としては、遅延スプレッドを反射物の存在数に関連する特徴情報としても良い。測定環境の判定方法については後述する。
図8は、第2の実施形態の可変幅パルス生成部201より出力されるパルス信号(生成パルス)の一例を示した動作説明図である。可変幅パルス生成部201において、測定環境情報に基づいて可変幅のパルス信号を生成し出力する。図8(A)は一例としてパルス幅を1n秒(ns)とした場合の波形を示し、図8(B)は一例としてパルス幅を2n秒(ns)とした場合の波形を示している。
図中の矢印はDA変換部103のサンプリングクロック(DA変換サンプリングクロック)のタイミングを表す。4GHzのサンプリングクロックでサンプリングしている場合、パルス信号の波形とDA変換サンプリングクロックとは、図8(A)、(B)に示すような関係となる。すなわち、1n秒のパルス幅が4サンプル分、2n秒のパルス幅が8サンプル分となる。つまり、第一の実施形態と同様にDA変換サンプリングクロックがパルス幅の1/N倍であると標記すると、図8(A)の場合は、第1の実施形態で説明した動作と同様にN=4である。図8(B)の場合は、N=8である。
図示例の場合、可変幅パルス生成部201は、測定環境情報に基づき、反射物の存在数が所定値以上の場合は、第1の信号幅として、図8(A)に示す狭いパルス幅1n秒のパルス信号を生成する。また、反射物の存在数が所定値より小さい場合は、第1の信号幅より広い第2の信号幅として、図8(B)に示す広いパルス幅2n秒のパルス信号を生成する。
図9は、第2の実施形態のパルス送信位置調整部202より出力されるパルス信号(送信パルス)の一例を示した動作説明図である。パルス送信位置調整部202は、入力されるパルス信号のパルス位置を変更し、パルス信号の送信タイミング(パルス送信位置)を調整する。この際、図8(A)、(B)に示した可変幅パルス生成部201より出力されるパルス信号を入力信号とする。図9(A)、(B)は図8(A)、(B)にそれぞれ対応するパルス送信位置調整部202の出力信号を示している。
図9(A)はパルス幅1n秒のパルス信号を入力した場合の波形を示し、図9(B)はパルス幅2n秒のパルス信号を入力した場合の波形を示している。図中の矢印はDA変換サンプリングクロックのタイミングを表す。ここで、DA変換部103のサンプリングクロックとAD変換部114のサンプリングクロックとの比をM(M=4)とする。
図9(A)は、パルス幅1n秒の場合に、遅延量α=1/M(ns)(パルス幅の1/M倍、M=4)とした場合のパルス位置制御方法の例であり、第1の実施形態で説明した動作と同様である。
図9(B)は、パルス幅2n秒の場合に、遅延量α=2/M(ns)(パルス幅の1/M倍、M=4)とした場合のパルス位置制御方法の例である。このように、パルス幅を広くした場合は、このパルス幅に応じて遅延量を大きくするように、パルス位置制御方法を変更する。つまり、パルス幅にかかわらず、疑似オーバーサンプルした結果、一つのパルスをサンプルする数が同じになるように制御する。図9(A)はN=4であり、図9(B)はN=8である。したがって、図9(B)もN=4になるように制御する。
最初に入力された一番目のパルスは、遅延を与えず、遅延なしで出力する。
二番目のパルスには、パルス繰り返し間隔に対し、α秒(α=2/M(ns))の遅延を与える。これは、DA変換部103におけるDA変換の2サンプル分(DA変換サンプリングクロックの2クロック分)の遅延である。一番目のパルスと二番目のパルスとの間隔は、1μ+α秒となる。よって、二番目のパルスは一番目のパルスから1μ+α秒後に出力される。
三番目のパルスは、遅延を与えず、遅延なしで出力する。
四番目のパルスには、α秒(α=2/M(ns))の遅延を与える。これは、DA変換の2サンプル分の遅延である。三番目のパルスと四番目のパルスとの間隔は、1μ+α秒となる。よって、四番目のパルスは三番目のパルスから1μ+α秒後に出力される。
以降のパルスについて、同様に繰り返す。
上記のように、パルス位置の取れる範囲は、AD変換のサンプリングクロックとDA変換のサンプリングクロックの比Mに依存する。AD変換のサンプリングクロックに対して、DA変換のサンプリングクロックが何倍であるかにより、パルス位置を取れるパターンが決定される。上記説明ではM=4であるので、4倍のパターンと2倍のパターンが存在する。Mはこれに限るものではなく、M=2以上を満たせばよい。
図9(A)では、パルス位置のパターンが4パルス毎に繰り返されている。また、図9(B)では、パルス位置のパターンが2パルス毎に繰り返されている。したがって、疑似オーバーサンプリングを実現するには、図9(A)の場合4パルス必要であるのに対して図9(B)の場合2パルスで完了する。
このように、パルス位置の制御方法により、疑似オーバーサンプリングに必要な時間が異なり、パルス位置のパターンの繰り返しに必要なパルス数が少ないほど、処理に必要な時間は短くなる。ここで、パルス位置制御時の遅延量を大きくするほど、1パターンのパルス数が少なくなり、疑似オーバーサンプリングに必要な時間を短くできる。
なお、可変幅パルス生成部201において、生成するパルス信号のパルス幅の種類は、上記説明では二種類としたがこれに限るものではなく、二種類以上でもよい。パルス幅は、反射波の分離分解能と疑似オーバーサンプリングに必要な時間を考慮して決定すればよい。
ここで、AD変換とDA変換のサンプリングクロックの周波数を固定した条件で考えると、パルス幅が広いほど、疑似オーバーサンプリングに必要なパルス数を少なくできる。これは、一つのパルスをサンプリングする数で考えると、一パルスあたりのサンプル数が同じになるようにサンプリングするとすれば、パルス幅を広げた分、疑似オーバーサンプリングに必要なパルス数を減らすことができる。
図10は、第2の実施形態のAD変換部114において受信信号をサンプリングする際の動作を模式的に示した動作説明図である。図10において、×印はサンプル点であり、AD変換サンプリングクロックで示されるタイミングで受信信号のパルス信号をサンプリングした値を示している。図10は、図9(B)が送信された場合に受信される信号を表す。図9(A)が送信された場合の受信信号は、第1の実施形態において説明した図6と同様である。
想定する使用環境は第1の実施形態と同様であり、図2に示したレーダ装置の使用環境とする。図10では、レーダ装置が対象とする空間に反射物が一つ存在する環境において、レーダ装置からパルス信号を送信し、反射物で反射してレーダ装置で再び受信される受信信号を示している。
ここで、反射する物体は静止しているか、あるいはパルスの繰り返し間隔の間に静止しているとみなせるものとする。物体が静止状態であるとみなせる場合、パルス間で送信してから受信されるまでの経路に差が生じない。
受信信号において、一番目に受信されるパルスは、図10のような位置関係で受信されたとする。この場合、パルス幅を広げたことにより、図6に示した第1の実施形態のように、検出が困難な状況は発生しない。
二番目に受信されるパルスは、送信時にパルス繰り返し間隔(1μ秒)からα秒遅延させた位置で送信されたので、物体が静止状態であるとみなすと、受信時にもα秒遅延して受信される。よって、二番目に受信されるパルスは、一番目のパルスが受信された時間に対して1μ+α秒後に受信される。したがって、受信信号とAD変換サンプリングクロックとの位置関係がα秒ずれる。この遅延により、一番目のパルスと異なる位置、つまりα秒遅れたタイミングで受信信号がサンプリングされる。
三番目に受信されるパルスは、一番目のパルスと同様に送信時にα秒の遅延を与えないので、1μ秒のパルス間隔に戻る。この場合、一番目のパルスと同じ位置で受信信号がサンプリングされる。
四番目に受信されるパルスは、二番目のパルスと同様、送信時にα秒の遅延が与えられるため、三番目のパルスが受信された時間に対して1μ+α秒後に受信される。したがって、一番目、三番目のパルスと異なる位置、つまり二番目のパルスと同じα秒遅れたタイミングで受信信号がサンプリングされる。このように一番目と二番目の関係と同様に、以下繰り返し受信される。
上記のように、送信側で送信信号のパルス送信位置を変更して送信することにより、受信側でAD変換する位置がずれるため、繰り返し送信されるパルス毎に異なるタイミングで受信信号をサンプリングすることができる。この場合、一番目のパルスの区間と二番目のパルスの区間のサンプル値を合わせることで、疑似的なオーバーサンプリング(この例ではAD変換のサンプルクロックに対して2倍のオーバーサンプリング、パルス幅に対しては4倍のオーバーサンプル)を実現できる。
図11は、第2の実施形態の測定環境検出部216において測定環境を判定する方法を説明するための図である。図11は、縦軸を受信電力とし、横軸をパルスが送信されてからの遅延時間としたときの受信信号の波形の一例を示している。図において、実線は受信信号を表し、破線は反射波が存在するか否かを判定するための閾値を表す。
ここでは、測定環境を反射波の数により判定する場合を例に説明する。閾値は時間的に変化させる。図に示すように、遅延時間が増えるほど閾値の値を小さくするように制御する。このように閾値を制御する理由は、電波が送信される伝搬距離に応じて信号電力は小さくなるため、パルスが送信されてからの遅延時間が長くなればなるほど受信電力が小さくなるからである。なお、受信信号のAGC制御を行う場合は、この制御レベルに応じて閾値を設定すればよい。
測定環境検出部216は、受信信号のピーク値が閾値を越える回数を計数し、これを反射波の数とする。反射波の数が多くなるほど、同じ遅延時間で受信される反射波が多くなる確率が高くなるため、高い分離分解能が要求される。反対に、反射波の数が少ないほど、同じ遅延時間に受信される確率が低くなるため、高い分離分解能は要求されない。
この反射物の存在数を特徴とする測定環境情報に応じて、可変幅パルス生成部201では、パルス幅を決定する。反射波の数が多い場合は、高い分離分解能が要求されるため、狭いパルス幅を設定し、反射波の数が少ない場合は、高い分離分解能は要求されないため、広いパルス幅を設定する。
ここでは、一例として反射波の数に応じて測定環境を判定する場合を説明したが、測定環境を判定する方法はこれに限るものではなく、遅延スプレッドに応じて判定してもよい。遅延スプレッドとは、反射波の遅延時間方向の広がり具合を示す統計データである。遅延スプレッドについては、下記参考非特許文献1に記載されている。
[参考非特許文献1]横山光雄著、「移動通信技術の基礎」、第3章、P.68〜70、日刊工業新聞社
遅延スプレッドは、到来波の遅延時間の広がりを表す。遅延スプレッドの値が大きい場合、広い範囲に多く反射物が存在することを意味する。逆に、遅延スプレッドの値が小さい場合、反射物の存在が少ないことを意味する。したがって、遅延スプレッドの値が大きい場合、たくさんの反射物からの到来波の分離が要求されるため、パルス幅を狭く設定する。反対に遅延スプレッドの値が小さい場合、反射物の数が少ないため高い分離性能は要求されないため、パルス幅を広く設定する。
上記に説明した本実施形態の構成により、測定環境(反射波の数、遅延スプレッド等)に応じてパルス幅を可変とし、パルス幅に合わせて疑似オーバーサンプリング数を調整することができる。これによって、測定環境に応じた適切な精度で物体の検出、距離測定等を行うことができる。
また、測定環境に応じてパルス幅を可変として疑似オーバーサンプリング数を調整することにより、疑似オーバーサンプリングによる測定時間を減少させることができる。また、第1の実施形態と同様、AD変換回路のサンプリング周波数以上の分解能でのサンプリングを実現することで、分離分解能を向上させ、高精度なレーダ測定を実施することができる。
(第3の実施形態)
図12は、本発明の第3の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。第3の実施形態は、第2の実施形態のレーダ装置の構成を一部変更した例である。ここでは、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第2の実施形態と同様の構成については、その説明を省略する。
第3の実施形態のレーダ装置は、測定環境検出部216の代わりにパルス幅制御部317を備える点が第2の実施形態の構成と異なる。
パルス幅制御部317は、所定の条件に基づいて、制御信号を可変幅パルス生成部201に対して出力し、パルス幅の変更を制御する。可変幅パルス生成部201は、パルス幅制御部317からの制御信号に基づいて、送信するパルス信号のパルス幅を決定し、このパルス幅を持つパルス信号を一時間定間隔で繰り返し生成し出力する。可変幅パルス生成部201におけるパルス幅の可変動作、及び、パルス送信位置調整部202におけるパルス送信位置の制御方法については、第2の実施形態と同様である。
パルス幅制御部317において、パルス幅を変更する所定の条件としては、例えば、外部からの制御指示による場合が挙げられる。この場合、レーダ装置の設置場所に応じた初期設定時の設定操作などによって、制御指示を与えることで、パルス幅決定のための制御信号を出力する。設置場所によって反射物の存在数がある程度想定できる場合は、このようなパルス幅変更方法が可能である。例えば、市街地ではパルス幅を狭く、郊外ではパルス幅を広くするなど、パルス幅の設定を変更する。
また、パルス幅を変更する所定の条件の他の例として、昼間と夜間などの時間情報に基づく場合が挙げられる。この場合、タイマの時間情報などによって、制御要因を与えることで、パルス幅決定のための制御信号を出力する。例えば、昼間ではパルス幅を狭く、夜間ではパルス幅を広くするなど、パルス幅の設定を変更する。
これは、街中にセンサを設置した場合、昼間は、人、車等の移動物体の往来は多い。これに対して、夜は、人、車等の移動物体の往来が少ないと考えられる。したがって、センサが測定するエリアに存在する物体の数が昼のほうが多い可能性が高いため、パルス幅を狭くし、分離分解能を高くする。これにより、夜は、パルス幅を広く設定し、消費電力を少なくする等の工夫が可能となる。
また、第2の実施形態の図7に示した測定環境検出部216による測定環境情報などのように、測定環境を検出した検出情報に基づくようにしてもよい。この場合、測定環境情報などの検出情報によって、制御要因を与えることで、パルス幅決定のための制御信号を出力する。例えば、検出された環境によって、物体数が多いとみなされる環境ではパルス幅を狭く、物体数が少ないとみなされる環境ではパルス幅を広くするなど、パルス幅の設定を変更する。
このように、第3の実施形態によれば、測定条件に応じてパルス幅を可変とし、パルス幅に合わせて疑似オーバーサンプリング数を調整することができる。これにより、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
(第4の実施形態)
図13は、本発明の第4の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。第4の実施形態は、第1の実施形態のレーダ装置の構成を一部変更した例である。ここでは、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1の実施形態と同様の構成については、その説明を省略する。
第4の実施形態では、受信アンテナにて受信したRF信号の受信信号をアナログ回路にてIF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号に変換し、IF信号をAD変換部によってIFサンプリングする点が、第1の実施形態と異なる点である。
第4の実施形態のレーダ装置は、第1の実施形態の構成に追加して、分周部411、周波数変換部417を備えている。また、第1の実施形態の距離検出部115の機能を、疑似オーバーサンプル部416と距離検出部415とに分離した構成としている。なお、疑似オーバーサンプル部416と周波数変換部417と距離検出部415のデジタル回路は、サンプリングクロック生成部104から出力されるクロック信号で動作する。
ローカル信号発生部107は、送信ミキサ部106と分周部411とに接続され、生成したローカル信号を送信ミキサ部106及び分周部411に入力する。
分周部411は、ローカル信号発生部107から入力されるRF周波数のローカル信号(キャリア信号)を入力とする。分周部411は、分周器を有して構成され、入力信号をあらかじめ決められた値に分周し、分周したIFローカル信号を出力する。ここで、IFローカル信号の周波数は、AD変換部414にてサンプリングするIF周波数に設定する。分周部411から出力される信号は、受信ミキサ部413に入力される。
受信ミキサ部413は、分周部411からのIFローカル信号と増幅器112から出力される受信信号とを入力とする。受信ミキサ部413は、IFローカル信号と受信信号とを乗算して混合し、受信信号をRF周波数からIF周波数の信号へ変換する。IF周波数に変換された受信信号(以下、IF信号と称する)は、AD変換部414に入力される。
AD変換部414は、受信ミキサ部413から出力されるIF信号と、サンプリングクロック生成部104から出力されるサンプリングクロックとを入力とする。AD変換部414は、入力されるサンプリングクロックを用いて、サンプリングクロックに応じた間隔毎に入力されるIF信号をデジタル値にサンプリングすることにより、デジタル信号に変換する。デジタル信号に変換されたIF信号は、疑似オーバーサンプル部416へ入力される。
疑似オーバーサンプル部416は、AD変換部414から出力されるデジタル値にサンプリングされたIF信号と、サンプリングクロック生成部104から出力されるサンプリングクロックと、パルス送信位置調整部102から出力されるパルス送信位置信号とを入力とする。疑似オーバーサンプル部416は、入力されるIF信号を疑似的にオーバーサンプリングし、疑似的にオーバーサンプリングルされたIF信号を出力する。すなわち、疑似オーバーサンプル部416は、前述した第1の実施形態の距離検出部115と同様の疑似オーバーサンプル機能を有する。
疑似オーバーサンプル機能は、第1の実施形態では、距離検出部115の機能の一部として説明したが、第4の実施形態では、疑似オーバーサンプル機能を距離検出部115から独立させ、疑似オーバーサンプル部416としている。第1の実施形態と同様、受信部のAD変換部414においてIF信号をサンプリングするサンプリング間隔よりも短い時間によって、パルス送信位置調整部102においてパルス信号の送信タイミング(パルス送信位置)をずらしながら、送信信号が繰り返し送信される。疑似オーバーサンプル部416は、AD変換部414においてサンプリングされたIF信号を、パルス送信位置信号によるパルス位置に応じて並べ替えることで、低いサンプリングクロックを用いて疑似的にオーバーサンプリングする。
周波数変換部417は、疑似オーバーサンプル部416から出力される疑似的にオーバーサンプリングされたIF信号と、サンプリングクロック生成部104から出力されるサンプリングクロックを入力とする。周波数変換部417は、入力したIF信号をベースバンド信号に変換する。IF信号は、IF信号の中心周波数を持った正弦波と余弦波が乗算されることで、ベースバンド信号に変換される。乗算結果は、それぞれ、ベースバンド信号の同相成分と直交成分となる。周波数変換部417は、ベースバンド信号に変換された同相成分と直交成分を出力する。
距離検出部415は、周波数変換部417から出力されるベースバンド信号と、サンプリングクロック生成部104から出力されるサンプリングクロックと、パルス送信位置調整部102から出力されるパルス送信位置信号とを入力とする。距離検出部415は、ベースバンド信号を用いて物体までの距離を検出する。
第4の実施形態では、第1の実施形態の距離検出部115から疑似オーバーサンプル機能を疑似オーバーサンプル部416として独立させたため、距離検出部415は、第1の実施形態で説明した距離検出部115の機能から疑似オーバーサンプル機能を除いた機能を実施する。すなわち、距離検出部415は、周波数変換部417から出力されるベースバンド信号を用いて、パルス信号が送信されてから受信されるまでのパルスの時間を算出し、物体までの距離を求める機能を実施する。
第4の実施形態は、第1の実施形態のようにベースバンド信号をデジタル信号にサンプリングするのではなく、IF信号をデジタル信号にサンプリング(IFサンプリング)する構成とした。IFサンプリングする場合、ベースバンド信号をサンプリングする場合よりも高いサンプリングクロックを用いてサンプリングする。
しかし、第4の実施形態は、疑似オーバーサンプリングするため、疑似オーバーサンプリング後のサンプリングクロックが、IFサンプリングの条件を満たすように、サンプリングクロックを決定する。すなわち、AD変換部414に入力されるIF信号の持つ周波数帯域においてサンプリング定理を満たすように、疑似オーバーサンプリング後のサンプリング周波数を決定する。
つまり、サンプリングクロックを疑似オーバーサンプリング数倍し、疑似的なサンプリング周波数を求める。この疑似的なサンプリング周波数が、IF信号の持つ周波数帯域においてサンプリング定理を満たせるように、サンプリングクロックと疑似オーバーサンプリング数を設定する。したがって、サンプリングクロック生成部104において、生成するサンプリングクロックとして、前述した条件を満たすクロック信号を生成し、出力する。
上記に説明した動作のように、疑似的にオーバーサンプリングすることによって、通常のIFサンプリングの場合に比べて低いサンプリングクロックのAD変換により、サンプリングを行うことができる。従来のIFサンプリングは、ベースバンド信号をサンプリングする場合に比べて高いサンプリング周波数を用いたAD変換する。これに対して、第4の実施形態のレーダ装置では、疑似オーバーサンプリングにより、低い周波数のサンプリングクロックを用いてAD変換できる。つまり、従来よりも低い周波数のサンプリングクロックを用いたIFサンプリングが可能である。
さらに、低い周波数のサンプリングクロックを用いることができるため、高い周波数のサンプリングクロックを用いる場合に比べて、AD変換器のビット幅は広くできる。AD変換のビット幅を広げることは、サンプリングする信号のダイナミックレンジを広げることができるため、レーダ装置の物体を検出できる距離の範囲を広げることができる。さらに、第1の実施形態で説明したように、疑似的に高いサンプリングレートが実現できるため、IFサンプリングする構成の場合においても、反射物の分離分解能を高くできる。
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
上記各実施形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
本出願は、2010年9月14日出願の日本特許出願(特願2010-205420)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、AD変換回路及びその周辺回路の構成を複雑にすることなく、AD変換回路のサンプリングタイミングよりも短い間隔でデジタル信号を取得可能とし、レーダ装置の距離分解能を向上することができる効果を有し、送信信号にパルス信号を用いるパルスレーダ等のレーダ装置等として有用である。
101 パルス生成部
102、202 パルス送信位置調整部
103 DA変換部
104 サンプリングクロック生成部
105 逓倍部
106 送信ミキサ部
107 ローカル信号発生部
108、112 増幅器
109、111 アンテナ
113、413 受信ミキサ部
114、414 AD変換部
115、415 距離検出部
141、142、143 レジスタ
144 選択回路
145 遅延量制御回路
201 可変幅パルス生成部
216 測定環境検出部
317 パルス幅制御部
411 分周部
416 疑似オーバーサンプル部
417 周波数変換部

Claims (8)

  1. 所定の信号幅及び信号間隔を持つ間欠信号を生成する信号生成部と、
    前記間欠信号毎に、前記間欠信号の時間軸上の送信位置を、第1のサンプリング間隔の整数倍の時間調整量を用いて調整したデジタルの送信信号を出力する送信信号位置調整部と、
    前記第1のサンプリング間隔を用いて、前記デジタルの送信信号をデジタル−アナログ変換したアナログの送信信号を出力するDA変換部と、
    前記アナログの送信信号を測定対象空間に無線送信する送信RF部と、
    前記測定対象空間における物体からの反射波を含む受信信号を、前記測定対象空間から受信する受信RF部と、
    前記第1のサンプリング間隔よりも長い間隔である第2のサンプリング間隔を用いて、前記受信信号をデジタルの受信信号に変換するAD変換部と、
    前記デジタルの受信信号に基づいて物体を検出する物体検出部と、を備え、
    前記時間調整量は、前記第2のサンプリング間隔より短く、
    前記送信信号位置調整部は、前記間欠信号毎に、前記間欠信号間の間隔を一定に保ったまま、前記第1のサンプリング間隔の整数倍によって時間軸上の送信位置を遅延又は早めるようにして前記時間調整量を変化させ、前記時間軸上の送信位置が元の位置となるまでの送信信号系列を1パターンとし、前記1パターンの送信信号系列を繰り返し出力する、
    レーダ装置。
  2. 請求項1に記載のレーダ装置であって、
    前記物体検出部は、前記アナログの送信信号に対応するアナログの受信信号が前記AD変換部においてサンプリングされたデジタルの受信信号から、各前記間欠信号の時間軸上の送信位置の情報に基づき、前記第2のサンプリング間隔を用いてサンプリングした受信信号を生成する、レーダ装置。
  3. 請求項に記載のレーダ装置であって、
    前記物体検出部は、前記デジタルの受信信号に対して、前記1パターンの送信信号系列分のサンプル値を並べ替え、前記第1のサンプリング間隔の整数倍によってサンプリングした受信信号を生成する、レーダ装置。
  4. 請求項1に記載のレーダ装置であって、
    前記受信信号の測定環境を検出する測定環境検出部を備え、
    前記信号生成部は、生成する間欠信号の信号幅を変更可能であり、前記測定環境検出部からの測定環境情報に基づき所定の信号幅の間欠信号を生成し、
    前記送信信号位置調整部は、前記間欠信号の信号幅に応じて送信位置の時間調整量を変更する、レーダ装置。
  5. 請求項に記載のレーダ装置であって、
    前記測定環境検出部は、前記測定環境情報として測定環境における反射物の存在数に関連する特徴情報を出力する、レーダ装置。
  6. 請求項に記載のレーダ装置であって、
    前記信号生成部は、前記反射物の存在数に基づき、反射物の存在数が所定値以上の場合は、第1の信号幅の間欠信号を生成し、反射物の存在数が所定値より小さい場合は、前記第1の信号幅より広い第2の信号幅の間欠信号を生成する、レーダ装置。
  7. 請求項に記載のレーダ装置であって、
    前記送信信号位置調整部は、前記間欠信号の信号幅が前記第2の信号幅の場合に、前記第1の信号幅の場合に対して前記時間調整量を大きくする、レーダ装置。
  8. 請求項1に記載のレーダ装置であって、
    前記間欠信号の信号幅を制御する信号幅制御部を備え、
    前記信号生成部は、生成する間欠信号の信号幅を変更可能であり、前記信号幅制御部からの制御信号に基づき所定の信号幅の間欠信号を生成し、
    前記送信信号位置調整部は、前記間欠信号の信号幅に応じて送信位置の時間調整量を変更する、レーダ装置。
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