以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態における遊技機1の外観構成の一例を示す正面図である。この遊技機1は、遊技者の指示操作によって打ち出される遊技球が各種入賞口に入球すると賞球を払い出すように構成された弾球式の遊技機である。
図1に示すように、遊技機1は、ホール(店舗)の島設備などに固定される遊技機本体1aと、その遊技機本体1aの正面側(前面側)に開閉可能に取り付けられる前枠扉2を備えている。前枠扉2は、その中央に透明ガラス板3が嵌め込まれた窓部2aを有している。したがって、遊技者は、窓部2aに嵌め込まれた透明ガラス板3を介して、遊技機1の正面側から遊技機本体1aの内側に取り付けられる遊技盤10を視認可能である。
前枠扉2は、窓部2aの下方右側に、遊技者が操作するハンドルレバー4を備えている。遊技者がこのハンドルレバー4を右回り方向(時計回り方向)に回転操作すると、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤10の盤面に所定の時間間隔で1球ずつ打ち出されるようになっている。
また前枠扉2は、窓部2aの上方左右両側に設けられた一対のスピーカ5と、窓部2aの上方および下方のそれぞれ中央に設けられた枠ランプ6とを備えている。スピーカ5は楽曲や音声、効果音などを発することで各種の演出を行い、枠ランプ6は点灯点滅のパターンや発光色の違いなどで各種の演出を行うように構成されている。
図2および図3は、遊技機1の前枠扉2を開放した状態を示す斜視図である。図2および図3に示すように前枠扉2は、遊技機本体1aの左側2箇所に設けられた支持部1bにより回動可能に軸支されている。遊技者が遊技を行うときには、図1に示すように前枠扉2は遊技機本体1aに閉じられ、施錠された状態となる。遊技中、例えば遊技盤10の遊技領域11において球詰まりなどが生じると、店員が前枠扉2を解錠して図2に示すように前枠扉2を回転させて遊技機本体1aの前方を開放することにより、球詰まりなどを解消することができる。
また図2および図3に示すように遊技機本体1aには、合板材などで形成される略矩形状の遊技盤10が取り付けられる。この遊技盤10の正面側には、遊技球の転動範囲を規制するレールによって囲まれた略円形の遊技領域11が形成されている。ハンドルレバー4が操作されることによって打ち出される遊技球は、遊技盤10の左側に設けられた2本のレールの間から遊技領域11の上部に打ち出される。
遊技領域11の内側には、図示を省略しているが、多数の釘、スルーゲート、風車、普通入賞口、第1始動口、第2始動口、電動チューリップ、大入賞口等の公知の部材が配置される。遊技領域11に打ち出された遊技球は、釘や風車などによって進行方向を変えながら転動していく。そして各種入賞口に入球すると、所定個数の賞球が払い出される。また遊技球が第1始動口や第2始動口に入球すると、それに伴って大当たり抽選が行われ、その大当たり抽選の結果に応じて様々な演出が行われるようになる。
遊技盤10は、遊技領域11の略中央に開口部10aを有している。この開口部10aは、遊技盤10の背面側に取り付けられる画像表示器8を遊技機1の正面側から視認可能にするためのものである。画像表示器8は、カラー液晶ディスプレイやLEDアレイディスプレイなどで構成され、各種演出画像や大当たり抽選の結果などを表示する。例えば画像表示器8は、遊技機1において大当たり抽選が行われると、1〜9などの数字が付された3つの装飾図柄を変動させる変動演出を開始し、その変動演出中に様々な予告演出画像やリーチ演出画像などを表示する。そして変動表示を開始してから所定時間が経過したタイミングで3つの装飾図柄を停止させることにより、大当たりの抽選結果を表示する。このとき、3つの装飾図柄が揃った状態で停止すれば大当たりとなり、遊技機1は大入賞口を開放させる大入賞口開放遊技へと移行し、遊技者に有利な遊技価値を付与する。すなわち、大入賞口開放遊技では、大入賞口を長時間開放して多数の遊技球が入球し得る状態になるので、遊技者は多くの賞球を獲得することができるようになる。
また遊技盤10の開口部10aの正面側周縁部には、図示を省略しているが、センター役物などとも称される装飾枠体が取り付けられる。
さらに本実施形態の遊技機1は、図2および図3に示すように遊技盤10の背面側に設けられる画像表示器8が、遊技盤10の背面から一定空間を隔てた後方位置に取り付けられる。そしてその一定空間内に、遊技盤10の背面側に隠れた状態の待機位置から開口部10aを介して遊技盤10の正面側から視認可能な画像表示器8の前方位置へ動作する演出可動物40が設けられる。図2は演出可動物40が待機位置にある状態を示しており、図3は演出可動物40が画像表示器8の前方位置へ出現した状態を示している。この演出可動物40は、上下方向に昇降動作可能なように構成されており、通常の状態において図2に示す待機位置にあり、遊技機1において所定の演出が行われるタイミングで駆動され、図3に示すように画像表示器8の前方位置へ出現する。この演出可動物40は、例えば画像表示器8に表示される画像と連動した動作を行うように制御される。
また演出可動物40は、図2に示す待機位置にある状態から駆動される場合でも、図3に示すように画像表示器8の前方位置となる最高点まで毎回上昇するとは限らない。すなわち、本実施形態の遊技機1は、演出可動物40を動作させる演出のひとつとして、遊技者に演出可動物40が画像表示器の前方位置の最高点へ出現するかも知れないという期待感を抱かせるために、演出可動物40を待機位置とその待機位置から僅かに上昇させた位置との間で往復移動させ、その後、演出可動物40を最高点へ移動させることなく、待機位置へ戻すような演出を行うこともある。
図4は、遊技機1に取り付けられる遊技盤10の分解斜視図である。図4に示すように、遊技盤10の背面側には、演出可動物40を保持するベース枠体30と、画像表示器8とがこの順に取り付けられる。
ベース枠体30は、例えば図4に示すように前後方向に一定の厚みを有する箱形の枠体として構成され、前面側が全面開放されており、背面側に画像表示器8の表示画面サイズに対応する窓部32が形成された背面壁31を有している。またベース枠体30の正面側縁部にはその上下に一対のフランジ部が設けられており、それらフランジ部が遊技盤10の背面側に対してビス止め固定される。そして画像表示器8は、表示画面の周縁部がベース枠体30における窓部32の縁部に取り付けられることによりベース枠体30の背面壁31に固定される。
演出可動物40は、遊技盤10と画像表示器8との間に設けられるベース枠体30の内側に設けられる。本実施形態では説明を簡単にするため、ベース枠体30の内側において窓部32の下方一箇所だけに、演出可動物40が設けられる例について説明するが、窓部32の左右両側又は片側にも別の演出可動物が設けられていても良いし、また窓部32の上方にもさらに別の演出可動物が設けられていても良い。
またベース枠体30の内側には、演出可動物40の近傍位置に、駆動源となるモーター33を含む駆動機構34が設けられる。この駆動機構34は、演出可動物40を昇降駆動するためのものであり、例えばベース枠体30の背面壁31などに取り付けられる。
図5および図6は、演出可動物40の駆動機構34を示す図であり、演出可動物40を背面側からみた概略図である。図5は、演出可動物40が待機位置にある状態を示しており、図6は、演出可動物40が最高点まで移動した状態を示している。これらの図に示すように、演出可動物40は、その左右方向一端側に設けられた摺動レール50によって昇降動作可能に支持される。摺動レール50は、例えばベース枠体30の背面壁31に取り付けられるガイド部材51を備えている。このガイド部材51は、上下方向に延設された状態で遊技盤10側に固定される。
また摺動レール50は、ガイド部材51の内側に挿入された状態でガイド部材51に沿って上下方向に移動するスライダ54を備えている。スライダ54は、演出可動物40の背面側において重心位置から離れた位置を片持ち状態で支持することにより、演出可動物40の全荷重を支持した状態で上下方向に移動する。このスライダ54のガイド部材51から側方に突き出した部分の先端には、上下方向に直線状に延びるラックギア55が設けられており、駆動機構34に含まれる複数の歯車のうちの最終段に位置する歯車34aと歯合している。モーター33は、回転軸を正逆双方向に回転させることにより、それら複数の歯車のうちの初段に位置する歯車を回転させ、スライダ54を上下方向に駆動する。尚、駆動機構34に含まれる各歯車は、ベース枠体30の背面壁31に対して回転自在に取り付けられている。
また演出可動物40の背面側には、スライダ54によって支持された位置とは異なる側の左右方向他端側に、突起状の係合部41が設けられる。そしてベース枠体30には、その係合部41と係合することにより、演出可動物40の昇降動作中において演出可動物40の姿勢を保持する姿勢保持部材60が設けられている。この姿勢保持部材60は、平板状のプレート部材に対して上下方向に延びるガイド孔61を設けたものであり、そのガイド孔61に対して突起状の係合部41を上下動自在に係合させた状態でベース枠体30に取り付けられる。したがって、姿勢保持部材60は、図5に示すように演出可動物40が待機位置にある状態から、図6に示すように画像表示器8の前方位置へ出現した状態へと移動する過程において、演出可動物40が傾いてしまったり、或いはスライダ54を回転軸として回転してしまったりすることがないように演出可動物40の姿勢を保持することができるように構成される。このような姿勢保持部材60は、演出可動物40の荷重を支持するものではなく、単に演出可動物40の姿勢を保持するだけのものである。
尚、図5および図6の例では、演出可動物40の背面側に設けられる係合部41が突起状であり、姿勢保持部材60にガイド孔61が設けられる場合を示しているが、これとは逆に、演出可動物40の背面側に設けられる係合部41を上下方向に延びるガイド孔とし、姿勢保持部材60に対してそのガイド孔に係合する突起部を設けるようにしても良い。
図7は、演出可動物40を片持ち状態で支持する摺動レール50を拡大して示す斜視図である。この摺動レール50は、ボールスライド式の摺動レールとして構成される。そのため、上述したガイド部材51とスライダ54との間には、スライダ54が上下方向へ移動する際に転動自在な複数のボール59が設けられている。このような摺動レール50では、ガイド部材51とスライダ54とが互いに直接接触する部分がなく、複数のボール59を介して微小な接触面積で間接的に接するようになっている。したがって、複数のボール59は、ガイド部材51とスライダ54とが直接接触することを防止し、それらの間に一定の間隔を確保するスペーサーとしての機能を有している。さらに複数のボール59は、ガイド部材51とスライダ54とに対して微小な接触面積で接触し、且つ、ガイド部材51とスライダ54とに挟まれた空間内で転動自在であるため、スライダ54がガイド部材51に沿って上下方向に移動するときには、摩擦抵抗を極めて小さくする機能を有している。それ故、駆動機構34が演出可動物40の全荷重を片持ち状態で支持するスライダ54を上下方向に駆動するときでも、摩擦が生じない状態でスライダ54を移動させることができるため、演出可動物40をスムーズに上下動させることが可能である。
このような摺動レール50には、複数のボール59がスライダ54の所定位置よりも下方へ下降してしまうことを防止するためのストッパ58が設けられる。図8は、摺動レール50の内部構造を示す縦断面図である。図8に示すように摺動レール50の内側には、ガイド部材51とスライダ54とが互いに対向する面に複数のボール59を移動可能に保持するための上下方向に沿って設けられた溝52,56が形成されている。すなわち、ガイド部材51にはスライダ54と対向する面に溝52が設けられており、スライダ54にはガイド部材51と対向する面に溝56が設けられている。複数のボール59は、それらの溝52,56に挟まれた状態でガイド部材51とスライダ54との間に配置され、溝52,56に沿って上下方向に遊動自在となっている。
図8におけるストッパ58は、ガイド部材51の側壁の一部を折り曲げることによってボール59が転動する通路内に進入形成した突起部53によって構成される。このような突起部53は、例えばガイド部材51の上下方向中心位置よりも若干下寄りの所定位置に設けられ、複数のボール59がその突起部53よりも下方に移動することを規制する。したがって、遊技機1において、演出可動物40を待機位置とその待機位置から僅かに上昇させた位置との間で往復移動させる演出が行われる場合に、複数のボール59が自重によってスライダ54の下方へ移動してもストッパ58によってボール59が所定位置よりも下降してしまうことを規制することが可能である。
図9は、ストッパ58によって複数のボール59の下降が規制された状態の摺動レール50を示す縦断面図である。例えば、上述したように遊技機1において、演出可動物40を待機位置とその待機位置から僅かに上昇させた位置との間で往復移動させる演出が行われ、その後、スライダ54が最高点まで上昇することなく、待機位置へ戻った場合でも、図9に示すように複数のボール59は、スライダ54の下端部まで移動した状態とはならず、ストッパ58によって規制された位置に留まる。それ故、複数のボール59によるスペーサーとしての機能は、スライダ54のほぼ中央位置において正常に保持されることとなり、次に演出可動物40を駆動する場合でもスライダ54の上端部における傾きや揺れの発生を抑制することが可能である。そしてスライダ54の上端部においてスライダ54がガイド部材51と接触して大きな摩擦抵抗が発生してしまうことを未然に防止できるので、演出可動物40をスムーズに昇降駆動することが可能となる。またモーター33を含む駆動機構34に対して過大な負荷がかかってしまうことを抑制できるので、モーター33の脱調などの問題を解決することも可能である。
図8および図9ではストッパ58をガイド部材51に設けた場合を例示したが、同様の機能を有するストッパ58はスライダ54に設けてもよい。図10は、スライダ54にストッパ58を設けた摺動レール50の一例を示す縦断面図である。図10におけるストッパ58は、例えばスライダ54に設けられた溝56の底部の一部を盛り上げることによってボール59が転動する通路内に進入形成した突起部57によって構成される。このような突起部57は、例えばスライダ54の上下方向中心位置よりも若干下寄りの所定位置に設けられ、複数のボール59がその突起部57よりも下方に移動することを規制する。したがって、遊技機1において、演出可動物40を待機位置とその待機位置から僅かに上昇させた位置との間で往復移動させる演出が行われる場合に、複数のボール59が自重によってスライダ54の下方へ移動してもストッパ58によってボール59が所定位置よりも下降してしまうことを規制することが可能である。
尚、図10では、スライダ54に設けられた溝56の底部の一部を三角形状に盛り上げることによって突起部57を形成する場合を例示しているが、突起部57の形状はそのような形状に限られるものではない。またスライダ54に設けられた溝56の底部や側壁部の一部を内側に折り曲げることによって、ストッパ58として機能する突起部57を形成するようにしてもよい。
このように本実施形態の遊技機1は、ボールスライド式の摺動レール50を用いて演出可動物40を昇降駆動することにより、画像表示器8の下方における待機位置から画像表示器8の前方位置へ出現させる演出を行う構成であり、演出可動物40の昇降駆動を繰り返し行う場合であっても複数のボール59の下降を所定位置で止めることができるため、演出可動物40を動作させるときには毎回スムーズに動作させることが可能である。
尚、上下方向に設置された摺動レール50において複数のボール59が下降する現象は、上述した演出が行われる場合のように、スライダ54の移動可能な範囲よりも短い範囲内でスライダ54を繰り返し昇降駆動する場合に比較的発生しやすい現象である。しかし、複数のボール59が下降する現象は、必ずしもそのような場合に限って発生するものではなく、他の駆動態様によっても発生する可能性がある。それ故、遊技機1において、演出可動物40を待機位置とその待機位置から僅かに上昇させた位置との間で往復移動させる演出が行われるか否かにかかわらず、ボールスライド式の摺動レール50を上下方向に設置する場合には複数のボール59の下降を規制するストッパ58を設けることが好ましい。
以上のように本実施形態の遊技機1は、上下方向に動作する演出可動物40を備えており、その演出可動物40がボールスライド式の摺動レール50によって昇降動作可能に支持されている。そして摺動レール50は、上述したように、遊技盤10側に固定された状態で上下方向に延設されるガイド部材51と、演出可動物40を支持した状態でガイド部材51に沿って上下方向に移動するスライダ54と、ガイド部材51とスライダ54の間において転動自在に設けられ、スライダ54がガイド部材51に沿って移動する際の摩擦を低減する複数のボール59とを有し、ガイド部材51およびスライダ54のいずれか一方にボール59が所定位置よりも下降してしまうことを規制するストッパ58が設けられた構成である。
したがって、本実施形態の遊技機1は、上記構成により、演出可動物40を動作させる演出がどのような態様で行われる場合であっても、ガイド部材51とスライダ54との間に設けられた複数のボール59が摺動レール50の下端部まで下降してしまうことがなく、ストッパ58によって規制された位置に留まるため、その後に演出可動物40を動作させる演出を行うときにもモーター33などへの負荷を増加させることなく、スムーズに演出可動物40を動作させることが可能である。
また本実施形態の遊技機1は、遊技盤10の背面側に取り付けられ、遊技盤10に設けられた開口部10aを介して遊技盤10の正面側から視認可能な画像表示器8を備えている。そして演出可動物40は、遊技盤10の背面側において遊技盤10と画像表示器8との間に取り付けられており、駆動機構34によって駆動されることにより、画像表示器8の下方において遊技盤10の背面側に隠れた待機位置と、画像表示器8の前方側において開口部10aを介して視認可能な出現位置との間を往復移動する構成である。したがって、この遊技機1は、遊技盤10の背面側において遊技盤10と画像表示器8との間に取り付けられる演出可動物40をボールスライド式の摺動レール50によってスムーズに昇降駆動することが可能であり、モーター33などの駆動機構34にかかる負荷を抑制できるため、駆動機構34を設置するためのスペースを縮小化できるという利点もある。