JP5885135B2 - 加熱溶融処理方法および加熱溶融処理装置 - Google Patents

加熱溶融処理方法および加熱溶融処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、加熱溶融処理方法および加熱溶融処理装置に関し、特に還元性雰囲気を用いた溶融処理を伴う半田バンプの製造技術や半田付け技術に関する。
半田バンプと呼ばれる電極を介して複数の半導体素子間を電気的に接続する技術が広く用いられている。半田バンプは、めっき法または印刷法により半田材料を基板上の導電体に配設された状態で、半田材料を加熱溶融することによって球面状に形成される。半田材料としては、種々の材料を用いることができる。特に、鉛(Pb)−錫(Sn)半田、錫(Sn)−銀(Ag)半田、および錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)半田などのように錫(Sn)含有の半田材料が好適に用いられる。
半田材料を溶融して電極を製造する方法としては、フラックスを用いる方法と、蟻酸ガスなどのカルボン酸を用いる方法とが知られている。カルボン酸を用いる方法では、半田材料を溶融して電極を製造する際に、蟻酸ガスなどのカルボン酸により還元処理することによって半田材料表面の酸化膜を除去する(特許文献1)。一般に、カルボン酸による還元処理を用いて電極を形成する場合には、フラックスを用いる場合に比べて、フラックスを除去する工程を省略できたり、フラックス中の成分に起因するマイグレーションと呼ばれる電気接続不良を防止できたりするので有利である。
ここで、カルボン酸による半田材料の還元処理においては、カルボン酸を排気して減圧した後に窒素ガスなどの不活性ガスでチャンバ内を置換(パージ)する方法が知られている。特に、電極の加熱溶融処理が完了し、ワークの温度が下がると、カルボン酸が還元剤としてではなく、むしろ酸化剤として作用してしまう。この傾向は、特に、ワークの温度が100℃以下となった場合に顕著となる。したがって、半田材料の加熱溶融処理後には、カルボン酸を早く除去することが望ましい。また、ワークを早く取り出すためにも、チャンバ内のカルボン酸を排気して窒素などの不活性ガスによってパージすることが望ましいと考えられている。
特開2009−081398号公報
以上のように、カルボン酸による還元処理、排気処理、および置換処理を用いた電極製造技術は有用である。しかしながら、カルボン酸により還元処理して錫(Sn)系の半田材からなる電極を製造する場合に何らかの残渣が残るといった問題が懸念されていた。たとえば、上記特許文献1では、半田バンプ内のボイドが破裂して微小粒状の半田剤が付着してしまうことを防止する技術が記載されている。
しかしながら、残渣には、半田バンプ内のボイドの破裂に伴う半田材の付着以外の要因も考えられる。この点、特許文献1の発明では対処が困難である。また、同様の残渣の問題は、半田材料など加熱溶融材を介して複数のワーク間を接合する接合体製造方法および接合体製造装置においても生じ、この種の加熱溶融処理方法およびその装置における共通した問題である。
そこで、本発明は、カルボン酸を排気して減圧した後に不活性ガスによりチャンバ内を置換する処理を採用するにもかかわらず、残渣が生じることを防止することができる加熱溶融処理方法およびその装置を提供することを目的とする。本発明の目的は、以下のような手段によって達成される。
(1)本発明の加熱溶融処理方法は、導電体上に、加熱溶融材として、少なくとも錫を含む電極材料を配設する段階と、錫を含む前記加熱溶融材を、1×10 Pa以上の圧力状態であってカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で当該材料の融点以上に加熱処理して溶融することによって前記導電体上において前記電極材料を電極に成形する溶融段階と、前記溶融段階後に前記加熱溶融材の温度が当該加熱溶融材の融点より低くなって当該加熱溶融材が固化した後に前記カルボン酸蒸気を排気して1×10 Pa以上の圧力状態から1×10 Pa以下の圧力状態へ減圧する減圧段階であって、前記電極材料の温度が100℃以上で前記融点未満の範囲であるときに前記カルボン酸蒸気を排気する減圧段階と、前記減圧後にカルボン酸を含まない不活性ガス雰囲気に置換する置換段階と、を含むことを特徴とする。
(2)本発明の加熱溶融処理装置は、導電体上に前記加熱溶融材として少なくとも錫を含む電極材料が配設されたワークが搬入されるチャンバと、前記チャンバ内にカルボン酸蒸気を供給するカルボン酸供給手段と、前記チャンバ内で、カルボン酸蒸気を含む雰囲気中で前記加熱溶融材を当該加熱溶融材の融点以上に加熱処理して溶融することによって前記ワーク上において前記電極材料を電極に成形するための加熱手段と、前記加熱手段が前記加熱溶融材を当該加熱溶融材の融点以上に加熱処理する際に前記チャンバ内を1×10 Pa以上の圧力状態にするとともに、前記チャンバ内から前記カルボン酸蒸気を排気して前記チャンバ内を1×10 Pa以上の圧力状態から1×10 Pa以下の圧力状態へ減圧するための排気ポンプと、前記チャンバ内が減圧された後に、当該チャンバ内をカルボン酸を含まない不活性ガス雰囲気に置換するための不活性ガス供給手段と、前記加熱溶融材の温度が当該加熱溶融材の融点より低くなって当該加熱溶融材が固化した後に前記排気ポンプを作動させる制御手段あって、前記電極材料の温度が100℃以上で前記融点未満の範囲であるときに前記カルボン酸蒸気を排気するように前記排気ポンプを作動させる制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、カルボン酸を排気して減圧した後に不活性ガスによりチャンバ内を置換する処理を採用するにもかかわらず、残渣を防止または軽減することができる。
本発明の第1実施形態の電極製造装置の概略構成を示す図である。 図1の第1電極製造装置のチャンバ内に搬入されるワークの一例を示す図である。 本発明の第1実施形態の電極製造方法における温度条件および真空度条件の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態の電極製造方法における温度条件および真空度条件の他の例を示す図である。 比較例1の結果を示すSEM写真である。 比較例2の結果を示すSEM写真である。 比較例3の結果を示すSEM写真である。 比較例4の結果を示すSEM写真である。 比較例5の結果を示すSEM写真である。 比較例6の結果を示すSEM写真である。 比較例7の結果を示すSEM写真である。 比較例8の結果を示すSEM写真である。 比較例9の結果を示すSEM写真である。 本実施例の結果を示すSEM写真である。 本発明の第2実施形態の接合構造体製造装置のチャンバ内に搬入されるワークの一例を示す図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、加熱溶融処理装置は、減圧を主目的とする真空装置に限られず、カルボン酸を排出することができるものであれば、あらゆる装置が含まれ得る。
本発明の加熱溶融処理技術は、少なくとも錫を含む加熱溶融材(半田材料や共晶材料などの電極材料)を融点以上にカルボン酸蒸気を含む雰囲気で加熱処理して溶融成形したり、半田接合したりする技術である。そして、加熱溶融材の温度が当該加熱溶融材の融点より低くなって当該加熱溶融材が固化した後に前記カルボン酸蒸気を排気して減圧し、減圧後にカルボン酸を含まない不活性ガス雰囲気に置換する。このように減圧開始のタイミングを電極材料の固化後に設定することによって、残渣を防止または軽減させる。
<第1実施形態>
第1実施形態では、導電体上に加熱溶融材として電極材料を配設し、溶融段階において、電極材料を溶融することによって、ワーク上において電極材料を電極(半田バンプ)に形成する電極製造方法および電極製造技術を例にとって説明する。
図1は、本実施形態の電極製造装置の概略構成を示す図である。なお、本実施形態では、半田リフロー装置を例にとって電極製造装置を説明する。この場合、電極として半田バンプが製造される。
電極製造装置1は、チャンバ10と、カルボン酸供給部20と、チャンバ10内のヒータ30とを有する。また、電極製造装置1は、排気するための排気ポンプ40と、カルボン酸回収部(回収機構)50とを有する。カルボン酸回収部50は、排気ポンプ40の吸気又は排気側に設けられ又は取り付けられて、気化したカルボン酸を回収するものである。カルボン酸回収部50は、排気ポンプ40の吸気側または排気側に取り付けられるフィルタであってもよく、排気側に取り付けられるスクラバであってもよい。
さらに、電極製造装置1は、チャンバ10内が減圧された後に、カルボン酸を含まない不活性ガス雰囲気にチャンバ10内を置換するための不活性ガス供給部(不活性ガス供給手段)60を有する。また、電極製造装置1は、制御部(制御手段)70を有する。制御部70は、マイクロプロセッサ、シーケンサ、またはパーソナルコンピュータ端末などの制御装置である。制御部70は、ヒータ30と、排気ポンプ40と、各種バルブとを制御する。特に、制御部70は、電極材料の温度が当該電極材料の融点より低くなって当該電極材料が固化した後に前記排気ポンプを作動させるようにタイミングを制御する。
<チャンバとワーク>
次に、チャンバ10と、チャンバに搬入されるワーク80を説明する。チャンバ10内には、ワーク80が搬入される。チャンバ10は、処理室のみを有していてもよく、互いにゲートバルブ(不図示)を介して貫通する搬入室と処理室とを有していてもよい。搬入室と処理室とを有している場合には、搬入室に搬入されたワーク80が、処理室へ移動機構により移動されることになる。
図2にワーク80の一例を示す。図2(a)は、加熱溶融前のワーク80を示し、図2(b)は、加熱溶融後のワーク80を示す。図2(a)に示されるように、ワーク80は、基材81と、基材81上の導電体82と、導電体82上に配設された電極材料83とを有する。そして、加熱溶融処理によって、電極材料(半田材料)83が溶融して、基材81上において、表面張力によって略球面に成形されて、半田バンプ83bが形成される。
基材81は、基板またはチップである。本実施形態では、基材81として半導体基板の場合を例にとって説明するが、基材81は、この場合に限られない。基板としては、プリント基板など有機基板であってもよく、シリコン基板や化合物半導体基板などの半導体基板であってもよく、その他の誘電体材料からなる誘電体基板であってもよく、セラミック基板であってもよい。チップは、半導体チップ、誘電体チップ、またはセラミックスチップであってもよい。
導電体82は、基材81の片側の面あるいは両側の面上に設けられている。具体的には、導電体82は、好ましくは、基材81上の金属層84と、金属層上のバリア層85とを有する。金属層84は、たとえばカッパーポストと呼ばれる銅または銅合金の導電部である。バリア層85は、電極材料(半田材料)の溶融時に電極材料成分が金層層84に拡散することを防止するためのアンダーバリアメタルである。たとえば、アンダーバリアメタルは、基材81に近い側から、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、および金(Au)の順番で積層されたNi/Pd/Au積層層である。しかしながら、バリア層85は、この場合に限定されない。また、金属層84を銅または銅合金以外の導電材料で作成することもでき、バリア層85を省略することもできる。
基材81の片面または両面には、複数の電極が配列されることが望ましい。特に、本実施形態の電極製造技術では、フラックスを用いる場合と異なり、微細な半田バンプの製造に適している。したがって、直径が100μm以下の半田バンプが、隣接する半田バンプ間のピッチ間隔150μm以下に、複数設けられる場合に適する。しかし、この場合に限られない。
電極材料83は、少なくとも錫(Sn)を含有する合金材料である。たとえば、電極材料83は、Sn−Pb、Sn−Pb−Bi、Sn−Pb−Ag、Sn−Sb、Sn−Cu、Sn−Cu−Ag、Sn−Ag、Sn−Ag−Bi−Cu、Sn−In−Ag−Bi、Sn−Zn、Sn−Zn−Bi、Sn−Bi、およびSn−Inの群から選ばれる。なお、本実施形態では、主として、Sn−3.5Ag半田が用いられる場合を例にとって説明する。電極材料83は、上記の導電体82上に、配設されている。具体的には、電極材料83は、導電体82上にめっき法または印刷法により配設される。
<カルボン酸供給部>
次に、カルボン酸供給部20について説明する。カルボン酸供給部20は、チャンバ10内にカルボン酸蒸気を供給するカルボン酸供給手段である。カルボン酸供給部20は、カルボン酸蒸気の供給系21と、所定のタイミングで開閉するバルブ22とを有する。供給系21は、水素、一酸化炭素のような還元性ガス、または窒素のような非酸化性ガス等のキャリアガスをカルボン酸蒸気に混合してチャンバ10内に導入するものである。供給系21は、たとえば、カルボン酸の液体を収容した密閉容器23と、バルブ24を介してキャリアガスを供給するキャリアガス供給管25とを有する。キャリアガス供給管25は、密閉容器23内において気泡を発生(バブリング)させる。しかしながら、供給部21は、カルボン酸をチャンバ10内に供給できるものであれば足り、本実施形態と異なる構成とすることも可能である。
<ヒータ、排気ポンプ、不活性ガス供給部、制御部>
次に、再び図1を参照して、ヒータ30、排気ポンプ40、不完成ガス供給部60、および制御部70について説明する。チャンバ10内のヒータ30は、カルボン酸蒸気を含む雰囲気中でワーク80を加熱して、電極材料83を当該電極材料83の融点以上に加熱処理して溶融するための加熱手段である。なお、ヒータ30の温度は、図示していない熱電対などの温度検出器によって測定することができる。さらにワーク80の温度を温度検出器によって測定することもできる。また、ヒータ30は、制御部70によって制御される。
排気ポンプ40は、チャンバ10内からカルボン酸蒸気を排気してチャンバ10内を減圧するものである。排気ポンプ40は、バルブ41を介してチャンバ10に接続されている。排気ポンプ40自体は、通常の真空ポンプであるので、詳しい説明を省略する。特に、本実施形態の電極製造装置では、電極材料83の温度が当該電極材料83の融点より低くなって当該電極材料83が固化した後に、排気ポンプ40を作動させるように制御部70がバルブ41と排気ポンプ40とを制御する。
また、チャンバ10内が減圧された後に、カルボン酸を含まない不活性ガス雰囲気にチャンバ10内を置換するための不活性ガス供給部60(不活性ガス供給手段)を有する。不活性ガス供給部60は、供給管61と、バルブ62とを含んでおり、供給管61は、バルブ62によってチャンバ10に接続されている。バルブ62の開閉は、排気ポンプ40の動作と連動して、制御部70によって制御される。
以上のように構成されている電極製造装置1は、電極材料83の温度が当該電極材料83の融点より低くなって当該電極材料83が固化した後に、排気ポンプ40を作動させるように制御部70が制御する。この点を除いて、細かい構成は、一般の電極製造装置(リフロー装置)と同様であるので、詳しい説明を省略する。
次に、本実施形態の電極製造装置を用いた本実施形態の電極製造方法について説明する。
図3は、本実施形態の電極製造方法の内容を説明するための温度条件および真空度条件の一例を示す。
まず、ワーク80がチャンバ10内に搬入される。ワーク80は、上述した図2に示されるように、基材81と、基材81上の導電体82と、導電体82上に配設された電極材料(半田材料)83とを有する。電極材料83は、少なくとも錫(Sn)を含む。ここでは、電極材料83が、Sn−3.5Agである場合を例にとって説明する。
次いで、以上のようなワーク80がチャンバ10内に配置された状態で、図3のポイント(1)に示されるように、制御部70は、排気ポンプ40を作動させる。排気ポンプ40は、チャンバ10内を、1×10Pa以下、たとえば、10〜50Pa程度まで真空排気する。なお、真空排気する程度は、10〜50Paの範囲に限られず、排気ポンプ40の性能に応じて、適宜に変更しうる。そして、この真空排気処理に後続して、あるいは真空排気処理と並行して、ヒータ30が、ワーク80を加熱し、ワーク温度(特に、電極材用83の温度)を昇温させる。
次いで、チャンバ10内に、カルボン酸蒸気とキャリアガス(窒素)とを含む混合ガスが導入される。カルボン酸蒸気を含む混合ガスの供給によって、チャンバ10内の圧力は、1×10Pa以上となる。本実施形態では、80000(8×10Pa)とする場合を例にとって説明する。チャンバ10内の圧力を1×10Pa以上とするのは、チャンバ10内の圧力が低くなって錫(Sn)の蟻酸塩などが蒸発して残渣となることを防止するためである。
チャンバ10内の圧力の上限は、適宜に設定することができる。使い勝手の観点からは、チャンバ1内の圧力は、1×10Pa〜1×10Pa(10気圧)とすることができ、また、1×10Pa〜1×10Pa(1気圧)としてもよい。ただし、これらの場合に限られない。また、図3に示される例では、ワーク80(特に、電極材料83)の温度が、融点以上か否かにかかわらず、広い範囲で、チャンバ1内の圧力を1×10Pa以上としている。しかしながら、電極材料83の温度が融点に達しないときには、錫(Sn)の蟻酸塩などが蒸発して残渣となりにくいため、チャンバ1内の圧力を1×10Pa以上とする必要がない。すなわち、電極材料83の温度が融点以上の場合にのみ、チャンバ1内の圧力を1×10Pa以上とすることもできる。
なお、カルボン酸蒸気の濃度が低すぎると十分に還元処理がなされないので、カルボン酸蒸気(たとえば、蟻酸蒸気)の濃度は、酸化膜を完全に還元除去する見地からは、爆発限界とならない範囲で0.002%以上とすることが望ましい。なお、カルボン酸蒸気を含む混合ガスは、電極材料が融点に達する前には少なくとも導入することが望ましい。たとえば、電極材料83(半田材料)がSn−3.5Ag(融点221℃)である場合には、溶融(リフロー)に適した230℃〜260℃程度まで加熱するが、およそ200℃以上でカルボン酸による還元効果が強まり、還元処理が顕著になる。Pb−5Sn(融点314℃)である場合には、溶融(リフロー)に適した330℃〜350℃程度まで加熱するが、250℃以上でカルボン酸による還元効果が強まり、還元処理が顕著になる。
したがって、電極材料(半田材料)がSn−3.5Agの場合には、200℃前後、たとえば180℃〜250℃前後で還元処理がなされ、230℃〜250℃程度で溶融されて成形される。同様に、電極材料がPb−5Snの場合には、250℃前後、たとえば、220℃〜350℃前後で還元処理がなされ、330℃〜350℃程度で溶融されて成形される。
ワーク80(電極材料83)の溶融処理温度(最高温度)、カルボン酸蒸気の濃度、処理時間は、電極材料83での還元しようとする酸化膜の厚さに応じて、適宜に設定できる。なお、溶融処理温度(最高温度)が低い場合よりも高い場合の方が酸化膜の除去には優れている。また、カルボン酸蒸気の濃度も低い場合よりも高い場合の方が酸化膜の除去には優れている。さらに、処理時間が短い場合よりも長い場合の方が酸化膜の除去には優れている。
また、電極材料83を加熱溶融する際に、融点以上の所定の加熱溶融処理温度に保持する時間は、適宜に設定することができるが、10秒〜5分の間で設定することが望ましい。10秒以下であると、処理温度やカルボン酸蒸気の濃度によっては酸化膜の影響により十分に成形できない場合がある一方、5分以上だと、錫(Sn)の蟻酸塩などが蒸発しやすくなるおそれがあるからである。
次いで、電極材料83の加熱溶融段階(リフロー)後は、ワーク温度の降温が開始される。たとえば、制御部70は、ヒータ30への電力供給を停止し、あるいはヒータ30への電力供給量を少なくして、ヒータ30の温度を降温する。あるいは、ヒータ30の温度自体は変化させずに温度を保持しつつ、ワーク80をヒータ30から離隔させるように移動することによって、ワーク80の温度を降下させてもよい。この場合は、ワーク80(あるいは、ワーク80が載せられたトレイ)をヒータ30から離隔させるように移動する移動機構(不図示)がチャンバ10内に設けられる。
そして、チャンバ内の減圧処理(排気処理)を行う。この減圧処理を開始するタイミングを、電極材料83の温度が融点より低くなった後となるように設定することは、本実施形態の電極製造技術の特徴である。
つまり、電極材料83の溶融段階が完了してワーク温度を下げる際に、降温電極材料83の温度が融点より低くなって電極材料83が固化した後になって、カルボン酸蒸気を含む混合ガスを排気して減圧する減圧段階を実行する。具体的には、制御部70は、電極材料83の温度が融点より低くなったタイミングで、チャンバ10内の排気を開始する。たとえば、電極材料83の付近のワーク温度を熱電対など温度計測手段により測定し、この測定温度によって、電極材料83の温度が融点より低くなったことを判断することができる。あるいは、事前の温度計測によって、電極材料83の温度が融点より低くなるまでの所要時間を計測しておき、その所要時間が経過したときに、電極材料83の温度が融点より低くなったことを判断することもできる。
なお、電極材料83の温度が100℃〜融点(Sn−Ag半田の場合は221℃)の範囲であるときに、チャンバ10内の排気を開始し、カルボン酸蒸気を排気することが望ましい。このように温度が100℃より高い状態で、カルボン酸蒸気を排気することが望ましい理由は、温度が100℃以下になると、カルボン酸が還元剤として作用せずに、むしろ酸化剤として作用してしまうことになるので、素早くカルボン酸を排気するためである。
減圧段階では、1×10Pa以下の圧力状態へ減圧することが望ましい。この場合、減圧前の状態が、たとえば、上述したように1×10Pa以上であるので、1×10Pa以上の圧力状態から、1×10Pa以下の圧力状態へ減圧することになる。たとえば、排気ポンプ40は、チャンバ10内を、1×10Pa以下、たとえば、10〜50Pa程度まで真空排気する。なお、真空排気する程度は、10〜50Paの範囲に限られず、排気ポンプ40の性能によって変更しうる。
以上のように減圧段階の後に、不活性ガス供給部60から導入される不活性ガスによりチャンバ10内が置換される。なお、不活性ガスは、カルボン酸を含まない。不活性ガスは、たとえば窒素である。
具体的には、減圧段階を開始して所定時間が経過すると、制御部70はバルブ62を開いて供給管61から不活性ガスを導入する。そして、たとえば、ワーク80の温度が取り出し温度(たとえば、100℃)以下になったら、ワーク80がチャンバ10内から取り出される。これによって、一連の電極製造(半田バンプ製造)が完了する。
なお、本実施形態の電極製造技術は、電極材料83の溶融段階後に電極材料83の温度が融点より低くなって電極材料83が固化した後に、カルボン酸蒸気を含む混合ガスを排気して減圧する減圧段階を行うものである限り、図3の場合に限られない。
図4は、本実施形態の電極製造方法における温度条件および真空度条件の他の例を示す。上述した図3に示される場合には、室温から還元処理を行うための還元処理温度(たとえば200℃)まで昇温し、その後、還元処理温度に一定時間(たとえば、1分〜5分)の間、保持して、その後、最終的に半田溶融(リフロー)をするための最高温度である溶融処理温度(220〜260℃程度)まで昇温し、その溶融処理温度に一定時間(たとえば、1分〜5分)の間、保持する。
一方、図4に示される例では、還元処理温度に保持する段階がなく、電極材料83の温度を溶融処理温度まで直接的に昇温される。たとえば、ヒータ30の温度を変化させることなく一定に保持し(たとえば、235℃〜275℃程度に保持)、このヒータ30の上に、ワーク80を載置することによって、電極材料83の温度を昇温し、このヒータ30の上から、ワーク80を離間させることによって、ワーク温度(特に、電極材料83の温度)を降温させるようにしてもよい。
次に、本実施形態による電極製造方法による作用効果について、実施例を用いて説明する。また、比較例として、電極材料83の溶融段階後に電極材料83の温度が融点より低くなる前に、減圧処理を行った場合についても説明する。なお、本実施例および比較例を通じて、電極材料83としては、Sn−Ag半田材料を用いた。まず、問題となる残渣(異物)の原因を推測する意味で、比較例について説明する。
<比較例1、2(還元処理温度での保持時間の関係)>
図5は、比較例1の結果を示すSEM写真であり、図6は、比較例2の結果を示すSEM写真である。図5の比較例1は、蟻酸濃度が5%の雰囲気中において、図3に示されるように還元処理温度(200℃)に3分間保持した後に、最高温度である溶融処理温度(250℃)まで昇温して20秒間保持した場合であり、図6の比較例2は、還元処理温度(200℃)に3分間保持の処理を省略していることを除いて、図5の比較例1の条件と同様で処理した場合の結果を示す。
これら図5および図6に示されるように、引用例1および引用例2の双方とも、光学顕微鏡による観察では良好な外観であったにもかかわらず、SEM撮影によると、電極材料83を取り巻くように残渣(異物)が観察された。このワーク80についてエネルギー分散X線分光法(EDX)により成分分析したところ、Sn、Ag、Cu、Si、Tiが検出された。特に、残渣(異物)に対応する部分では、Snが支配的に検出された。
また、最終的な溶融処理温度およびその保持時間と、蟻酸濃度とが同じであるにもかかわらず、還元処理温度での保持時間が長い図5の比較例1の方が、図6の比較例2よりも残渣(異物)の量が多かった。残渣の主要成分がSnであること、Sn-Ag半田の融点よりも低い還元処理温度での保持時間を長くなると残渣の量が多くなることから、残渣の原因としては、半田材料中のSnが蟻酸(カルボン酸)と反応して蟻酸塩を生成し、これが排気段階において蒸発して、周辺に付着していると推測された。
<比較例3、4、5、6(蟻酸濃度を低くしたときの結果)>
比較例3、4、5、6は、蟻酸濃度を0.5(体積%)とした場合の比較例である。これらの場合、蟻酸濃度が低いので、残渣がほとんど存在しなかった。ただし、図7に示される比較例3(蟻酸濃度0.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度260℃、保持時間1分)、および図8に示される比較例4(蟻酸濃度0.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度260℃、保持時間20秒)の場合には、溶融処理温度を260℃と高く設定したので、蟻酸濃度が低いにもかかわらず酸化膜が除去された。しかし、少量の残渣が検出された。一方、図9に示される比較例5(蟻酸濃度0.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度(最高温度)240℃、保持時間20秒)、および図10に示される比較例6(蟻酸濃度0.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度(最高温度)250℃、保持時間20秒)の場合には、残渣は存在しないが、酸化膜が一部残ってしまった。
なお、蟻酸濃度が低ければ残渣をほぼ防止できること、および上記のように残渣の主要成分がSnであることからすれば、必ずしも明らかではないが、残渣の原因としては、Sn−Ag半田中のSnが蟻酸(カルボン酸)と反応して蟻酸塩を生成し、これが排気段階において蒸発して、周辺に付着していると推測された。また、同じ蟻酸濃度であっても、溶融処理温度(最高温度)が240℃、250℃の場合に比べて、260℃の場合は、残渣の量が多くなった。
<比較例7、8(溶融処理温度での保持時間の関係)>
比較例7、8は、蟻酸濃度を2.5(体積%)とし、溶融処理温度(最高温度)での保持時間を変化させた場合の影響について示す比較例である。
図11に示される比較例7(蟻酸濃度2.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度250℃、保持時間20秒)と、図12に示される比較例8(蟻酸濃度2.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度250℃、保持時間1分)とを比較すると、比較例8(図12)の方が、比較例7(図11)の場合よりも残渣の量が多くなった。
このように、保持時間が長くなり、カルボン酸と反応している時間が長くなると、残座の量が多くなることは、残渣の原因としては、半田材料中のSnが蟻酸(カルボン酸)と反応して蟻酸塩を生成し、これが排気段階において蒸発して、周辺に付着しているという推測と矛盾しない。
<比較例9(蟻酸濃度との関係)>
図13は、比較例9(蟻酸濃度1.2%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度250℃、保持時間20秒)の場合を示す。
既述の比較例6(図10 蟻酸濃度0.5%)、この比較例9(図13 蟻酸濃度1.2%)、既述の比較例7(図11 蟻酸濃度2.5%)、および既述の比較例1(図5 蟻酸濃度5%)を比べると、圧力条件、還元処理温度、溶融処理温度、溶融処理温度での保持時間が共通であっても、蟻酸濃度が高くなるにつれて、残渣の量が多くなることがわかる。この結果と、エネルギー分散X線分光法(EDX)での測定結果を総合すると、残渣の原因としては、半田材料中のSnが蟻酸(カルボン酸)と反応して蟻酸塩を生成し、これが排気段階において蒸発して、周辺に付着していると推測される。
<比較例のまとめ>
以上の比較例1〜9の結果を考慮すると、以下のことが明らかとなった。
溶融処理温度(最高温度)が高い方が、残渣の量が多い。同じ圧力であっても蟻酸の濃度が高い方が、残渣の量が多い。溶融処理温度に保持する保持時間、および還元処理温度に保持する保持時間が長い方が、残渣の量が多い。
<実施例>
次に、本実施例について説明する。上記の比較例1〜9のそれぞれ条件において、カルボン酸蒸気を含む混合ガスを排気するタイミングのみを変えたものを実施例1〜9とした。具体的には、電極材料83の溶融段階後に電極材料83の温度が融点より低くなって電極材料83が固化した後に、カルボン酸蒸気を含む混合ガスを排気して減圧する減圧段階を行ったものを実施例1〜9とした。
(1)実施例1は、蟻酸濃度5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度250℃、溶融処理温度での保持時間20秒という条件とした。室温から還元処理温度までは2分で昇温させ、還元処理温度から溶融処理温度までは1分間で昇温させた。溶融処理の保持時間経過後に、ワークの温度の降温を開始した。そして、電極材料83の温度が100℃以上融点未満になった後に、チャンバ10内の減圧を開始し、チャンバ10内が10〜50Paの範囲まで減圧した後に、不活性ガスで置換(パージ)した。
(2)実施例2では、蟻酸濃度5%、還元処理温度200℃での保持無し、溶融処理温度250℃、溶融処理温度での保持時間20秒の条件とし、それ以外の条件は実施例1と同様とした。
(3)実施例3では、蟻酸濃度0.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度260℃、溶融処理温度での保持時間1分とし、それ以外の条件は実施例1と同様とした。
(4)実施例4では、蟻酸濃度0.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度260℃、溶融処理温度での保持時間20秒とし、それ以外の条件は実施例1と同様とした。
(5)実施例5では、蟻酸濃度0.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度240℃、溶融処理温度での保持時間20秒とし、それ以外の条件は実施例1と同様とした。
(6)実施例6では、蟻酸濃度0.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度250℃、溶融処理温度での保持時間20秒とし、それ以外の条件は実施例1と同様とした。
(7)実施例7では、蟻酸濃度2.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度250℃、溶融処理温度での保持時間20秒とし、それ以外の条件は実施例1と同様とした。
(8)実施例8では、蟻酸濃度2.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度250℃、溶融処理温度での保持時間1分とし、それ以外の条件は実施例1と同様とした。
(9)実施例9では、蟻酸濃度1.2%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度250℃、溶融処理温度での保持時間20秒とし、それ以外の条件は実施例1と同様とした。
図14は、具体的には、電極材料83の溶融段階後に電極材料83の温度が融点より低くなって電極材料83が固化した後に、カルボン酸蒸気を含む混合ガスを排気して減圧する減圧段階を行った場合のSEM写真である。図14では、蟻酸濃度2.5%、還元処理温度200℃に3分保持、溶融処理温度(250℃)、溶融処理温度での保持時間(2分)の場合の例(実施例8に対応)を示したが、他の実施例1〜7、9の場合なども、図14に示したものと同様に、残渣が軽減または防止された。
以上のような実施例1〜9を比較例1〜9と比べると、本実施例1〜9の方が、残渣を防止または軽減することができることがわかった。なお、酸化膜を十分に還元除去するためには、酸化膜の厚さにもよるが、蟻酸濃度(カルボン酸濃度)が比較的高く、溶融処理温度が高いことが好ましく、さらに、他の実験結果からすれば、溶融処理温度での保持時間(処理時間)が長い方が望ましい。しかしながら、このように蟻酸濃度が高く、溶融処理温度が高く、溶融処理温度での保持時間が長くなると、比較例1〜9においては、残渣(異物)の量が多くなってしまう。この点、本実施例によれば、酸化膜を十分に還元除去しやすい条件で処理した場合であっても、残渣を防止し、あるいは残渣の量を軽減することができた。
このように残渣を防止し、あるいは残渣の量を軽減するメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。上述したように、比較例1〜9から得られた知見からすると、残渣の原因としては、電極材料(半田材料)中のSnが蟻酸(カルボン酸)と反応して蟻酸塩を生成し、これが排気段階において蒸発して、周辺に付着していると推測される。この点、本実施例1〜9のように、電極材料(半田材料)を融点以下として固化された後に、減圧する場合には、既に表面が固化されているために、Snを順次に提供することが阻害される。したがって、固化後に、減圧してSnの蟻酸塩が蒸発する条件に達したとしても、Snの供給が阻害されていることから、残渣を防止または軽減することができると考えられる。
特に、比較例3、4(実施例3、4)に示されるように、蟻酸濃度が0.5%〜1%である場合には、本実施形態を適用しない元々の条件においても残渣の量が少ない。したがって、このような蟻酸濃度の条件において、さらに本実施形態の電極製造技術を適用することで、さらに残渣を防止または軽減する効果を高めることができる。
以上のように本実施形態の電極製造技術によれば、以下のような効果を奏する。
・本実施形態の加熱溶融技術である電極製造技術によれば、溶融段階後に電極材料の温度が融点より低くなって固化した後にカルボン酸蒸気を排気して減圧するので、カルボン酸蒸気に露出している電極材料表面にSnが順次に供給されるのを阻害することができ、したがって、Snのカルボン酸塩が生じて減圧時に飛散して残渣となることを防止または軽減することができる。
・本実施形態の加熱溶融材料である電極材料は、錫(Sn)を含む半田材料であるので、半田成形の際に、効果的に残渣を防止または軽減することができる。
・本実施形態において、減圧段階は、半田材料の温度が100℃以上の範囲であるときにカルボン酸蒸気を排気する。半田材料の温度が100℃以上の範囲にあるときにカルボン酸蒸気を排気するので、カルボン酸が酸化剤として作用してしまうことを防止することができる。特に、半田材料の温度が融点以下になって直後(たとえば融点から10℃以内)において排気を開始することで、室温近くまで温度が降下するのを待つ必要がなくなり、処理速度を向上することができる。
・本実施形態では、減圧段階は、1×10Pa以上の圧力状態から、1×10Pa以下の圧力状態へ減圧する。電極材料が固化されていない状態では、1×10Pa以上という比較的高い圧力状態を保つことによって、Snのカルボン酸塩が飛散することを防止することができる。一方、電極材料が固化した後では、Snのカルボン酸塩が飛散することが既に防止または軽減されているので、1×10Pa以下という比較的低い圧力状態として、後続するパージ工程において、カルボン酸蒸気をチャンバ内から除去できる。
・本実施形態では、半田材料表面の酸化膜が残るのを防止しつつ、上記のように残渣が飛散することについても防止または軽減することができる。
<第2実施形態>
上記の第1実施形態では、ワーク上において電極材料(半田材料)83を電極形状(半田バンプ)に形成するものであった。しかしながら、錫を含む加熱溶融材をカルボン酸蒸気の雰囲気中で加熱溶融するものであれば、本発明を適用することができることは明らかである。たとえば、加熱溶融処理方法および加熱溶融処理装置は、加熱溶融材(半田材料)を介して複数のワーク(基板、チップなど)間を接合する接合体製造方法および接合体製造装置であってもよい。特に、既に成形されている半田バンプを介してワーク間を接合する際にも、加熱溶融材としての半田バンプが溶融されるので、残渣が問題となる。したがって、この場合も、本発明によって残渣を軽減または防止することができる。
図15は、本実施形態で使用される複数のワーク80(特に、基材81)間を、既に成形された半田バンプ83bを介して接続する場合の処理を示す断面図である。図15(a)が溶融処理前の状態を示し、図15(b)が溶融処理後の状態を示している。図15に示される場合、既に成形されている半田バンプ83bが加熱溶融材として機能し、この加熱溶融材を介して、基材81の各導電体82、82間が電気的に接続される。なお、図15に示される場合には、複数の基材81の双方に、導電体82としての金属層84およびバリア層85と、半田バンプ83bとが設けられていたが、基板の一方の半田バンプ83bを省略することもでき、さらに、バリア層85を省略することもできる。なお、この際に、一対の基材81、81の間を仮止め剤86で仮止めしておき、仮止め剤86を加熱溶融段階の前または加熱溶融段階中に蒸発除去することができる。仮止め剤86としては、このような沸点を持つ有機剤を採用することができる。たとえば、仮止め剤86は、イソボルニルシクロヘキサノール、ターピネオール、およびプロピレングリコールフェニル・エーテルなどから構成することができる。
接合構造体製造装置1は、チャンバ10、カルボン酸供給部20、ヒータ30、排気ポンプ40、カルボン酸回収部50、不活性ガス供給部60、および制御部70などの構成を有する。これらの各構成は、上記の第1実施形態の電極製造装置1の場合と同様であるので詳しい説明を省略する。また、プロセス内容についても、半田バンプ83bの融点以下になって排気処理を開始するものであればよく、図3および図4に示したものと共通する。したがって、詳しい説明を省略する。
本実施形態の接合構造体製造技術においても、上記の電極製造技術で説明したように、残渣を防止または軽減することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらの場合に限られず、特許請求の範囲から逸脱しない範囲で追加、削除、変更などが可能である。上記の説明では、電極材料として、主として、Sn−Ag半田材料を例に説明したが、この場合に限られない。カルボン酸蒸気を含む雰囲気中で還元処理をしつつ、錫(Sn)を含む電極材料を加熱して電極を製造する技術である限り、本発明を広く適用することができることは明らかである。
1 加熱処理装置(電極製造装置、接合構造体製造装置)
10 チャンバ、
20 カルボン酸供給部
21 カルボン酸供給系、
22 バルブ、
23 密閉容器、
24 バルブ、
25 キャリアガス供給管、
30 ヒータ、
40 排気ポンプ、
50 カルボン酸回収部、
60 不活性ガス供給部、
61 供給管、
62 バルブ、
70 制御部、
80 ワーク、
81 基板、
82 導電体、
83 電極材料、
84 金属層、
85 バリア層。

Claims (6)

  1. 導電体上に、加熱溶融材として、少なくとも錫を含む電極材料を配設する段階と、
    錫を含む前記加熱溶融材を、1×10Pa以上の圧力状態であってカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で当該材料の融点以上に加熱処理して溶融することによって前記導電体上において前記電極材料を電極に成形する溶融段階と、
    前記溶融段階後に前記加熱溶融材の温度が当該加熱溶融材の融点より低くなって当該加熱溶融材が固化した後に前記カルボン酸蒸気を排気して1×10Pa以上の圧力状態から1×10Pa以下の圧力状態へ減圧する減圧段階であって、前記電極材料の温度が100℃以上で前記融点未満の範囲であるときに前記カルボン酸蒸気を排気する減圧段階と、
    前記減圧後にカルボン酸を含まない不活性ガス雰囲気に置換する置換段階と、
    を含むことを特徴とする加熱溶融処理方法。
  2. 前記電極材料は、錫を含む半田材料であることを特徴とする請求項に記載の加熱溶融処理方法。
  3. 前記加熱溶融処理方法は、前記加熱溶融材を介して複数のワーク間を接合して接合構造体を製造する接合構造体製造方法であり、
    前記複数のワークの少なくとも一方に前記加熱溶融材が形成されたワークを準備する段階を有し、
    前記溶融段階は、前記加熱溶融材を溶融して当該加熱溶融材を介して複数のワーク間を接合するものである、請求項1に記載の加熱溶融処理方法。
  4. 導電体上に前記加熱溶融材として少なくとも錫を含む電極材料が配設されたワークが搬入されるチャンバと、
    前記チャンバ内にカルボン酸蒸気を供給するカルボン酸供給手段と、
    前記チャンバ内で、カルボン酸蒸気を含む雰囲気中で前記加熱溶融材を当該加熱溶融材の融点以上に加熱処理して溶融することによって前記ワーク上において前記電極材料を電極に成形するための加熱手段と、
    前記加熱手段が前記加熱溶融材を当該加熱溶融材の融点以上に加熱処理する際に前記チャンバ内を1×10Pa以上の圧力状態にするとともに、前記チャンバ内から前記カルボン酸蒸気を排気して前記チャンバ内を1×10Pa以上の圧力状態から1×10Pa以下の圧力状態へ減圧するための排気ポンプと、
    前記チャンバ内が減圧された後に、当該チャンバ内をカルボン酸を含まない不活性ガス雰囲気に置換するための不活性ガス供給手段と、
    前記加熱溶融材の温度が当該加熱溶融材の融点より低くなって当該加熱溶融材が固化した後に前記排気ポンプを作動させる制御手段であって、前記電極材料の温度が100℃以上で前記融点未満の範囲であるときに前記カルボン酸蒸気を排気するように前記排気ポンプを作動させる制御手段と、を有することを特徴とする加熱溶融処理装置。
  5. 前記電極材料は、錫を含む半田材料であることを特徴とする請求項に記載の加熱溶融処理装置。
  6. 前記加熱溶融処理装置は、前記加熱溶融材を介して複数のワーク間を接合して接合構造体を製造する接合構造体製造装置であり、
    前記チャンバには、前記複数のワークの少なくとも一方に前記加熱溶融材が形成されたワークが搬入され、
    前記加熱手段は、前記加熱溶融材を溶融して当該加熱溶融材を介して複数のワーク間を接合するものである、請求項に記載の加熱溶融処理装置。
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