JP5884863B2 - 発光管および放電灯 - Google Patents

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Description

本発明の態様は、一般に、発光管に関し、具体的には、高輝度な放電灯に用いるのに適した発光管に関する。
メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、水銀ランプなどの高輝度な放電灯には、透光性を有する発光管が設けられている。発光管の内部には、一対の電極が突出するとともに、ScIなどの金属ハロゲン化物、ナトリウム、水銀などが封入されている。そして、一対の電極間に高電圧を印加することでアーク放電を発生させ、このアーク放電による熱で封入した金属ハロゲン化物などを解離させて特有の波長を有する光を発生させるようにしている。
従来、発光管は石英(SiO)から形成されていたが、耐食性および耐熱衝撃性の点で問題があるため、発光管を多結晶アルミナ(透光性アルミナ)から形成するようになってきている。
ここで、発光管の材料として多結晶アルミナを用いる場合には、機械的な強度と直線透過率(インライン透過率)に優れた多結晶アルミナとすることが重要となる。
そのため、アルミナ(酸化アルミニウム;Al)にMgO、La、Yなどの焼結用助剤を添加することで機械的な強度と直線透過率を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
アルミナにMgOなどの焼結用助剤を添加すれば、アルミナの結晶粒界に焼結用助剤から生成された相が形成されるので、アルミナの結晶粒子の成長が抑制される。そのため、アルミナの結晶粒子が大きくなるのが抑制されるので、機械的な強度が向上する。
しかしながら、アルミナの結晶粒界に焼結用助剤から生成された相があると、光の屈折や散乱が生じやすくなり、直線透過率が低下することが判明した。すなわち、アルミナの結晶粒子の大きさを適正なものとするために添加した焼結用助剤が直線透過率を低下させる要因となることが判明した。つまり、機械的な強度の向上と直線透過率の向上との間には、トレードオフの関係が存在することになる。
一方、特許文献1には、機械的な強度及び直線透過率に優れた透光性セラミックスの製造方法が開示されている。特許文献1によると、「Alを主体とする透光性セラミックスであって、Alの一部をScにて置換した(Al、Sc)粒子間にLaの粒子が介在する複合体から構成され、且つ前記複合体を構成する酸化物の標準生成エネルギー(ΔGf°)が負でその絶対値が1581.9KJ/mol以上である」ことが記載されている。また、透光性セラミックスの厚さを1mmに換算した場合における直線透過率のスペクトルが記載されている。ここから、波長が600nmの光に対する直線透過率は、40%以上であり、波長が1100nmの光に対する直線透過率は、55%程度であると推定される。例えば、厚さが1mmの透光性セラミックスによって形成された発光管の直線透過率を考えた場合、光は、厚さが1mmの透光性セラミックスを2回通過することになる。このため、この透光性セラミックスを用いた発光管の直線透過率は、約30%(55%×55%)となる。このように、特許文献1によると、機械的な強度を維持しつつ、直線透過率の高い発光管を得ることができる。
しかしながら、特許文献1において生成される複合体では、Laの粒子の最大長径が10μm以下、最大短径が5μm以下となる可能性が記載されている。この場合、La粒子の円相当粒子径は、最大8μm程度となる。円相当径の最大値が8μm程度の酸化物がアルミナの結晶粒界にあれば、アルミナの結晶粒界における光の屈折や散乱の影響により、発光管の内部で発生し放出される光の直進性が阻害されるおそれがある。この場合、厚さが1mmの発光管における波長1100nmの光に対する直線透過率は、5%以下となる。つまり、特許文献1では、厚さ1mmの透光性セラミックスによって形成された発光管において、1100nmの波長の光に対する直線透過率は、5%〜30%の範囲でばらつく可能性がある。そのため、直線透過率が高い発光管の安定した製造及び歩留まりの向上に改善の余地を残していた。
特許第3700176号公報 特許第5370878号公報
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、機械的な強度と直線透過率に優れ、安定して製造することのできる発光管および放電灯を提供する。
第1の発明は、アルミナの結晶を含む多結晶アルミナからなる主相と、前記アルミナの結晶の粒界に位置し、酸化ランタンからなる第1相と、を含む発光管であって、表面における前記主相の総面積をS1とし、前記表面における前記第1相の総面積をS2としたときに、前記S1及び前記S2は、
0.15≦S2/(S1+S2)×100≦0.5
の関係を満たし、前記第1相の円相当粒子径の最大値は、4μm以下であり、前記アルミナの結晶の平均粒子径は、5μm以上であり、前記アルミナの結晶の粒子径の累積分布におけるD90は、45μm以下である放電灯用の発光管である。
この発光管によれば、機械的な強度と直線透過率とに優れた発光管を、工業的に安定して製造することができ、歩留まりを向上させることができる。アルミナの結晶粒子の大きさを適切な範囲とすることで、直線透過率を向上させ、発光管の機械的な強度を向上させることができる。
第2の発明は、第1の発明において、500nm以上1100nm以下の波長を有する光に対する直線透過率をTとし、前記光の波長をλとしたときに、
T(%)≧λ/60−3.33
の関係を満たす発光管である。
この発光管によれば、強度を維持したまま、発光効率を向上させることができる。例えば、500nm以上の波長の光に対して高い直線透過率を有するため、高圧ナトリウムランプにおいて、発光効率を向上させることができる。また、長波長の光に対して高い直線透過率を有するため、セラミックメタルハライドランプにおいて、彩度及び演色性を向上させることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、カルシウム(Ca)の含有量が40ppm以下である発光管である。
この発光管によれば、Caを少なくすることで光の不純物散乱を抑制し、直線透過率を向上させることができる。
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、鉄(Fe)の含有量が2.2ppm以下である発光管である。
この発光管によれば、Feを少なくすることで光の不純物散乱を抑制し、直線透過率を向上させることができる。
第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記表面における粗さ曲線要素の平均高さが0.4μm以下であり、前記表面における粗さ曲線のスキューネスが−0.34以下である発光管である。
この発光管によれば、発光管内部のアークからの放射光の散乱を抑制することができるため、直線透過率が向上し、放電灯の発光効率を向上させることができる。
の発明は、上述した発光管を備えた放電灯である。
この放電灯によれば、機械的な強度と直線透過率に優れた放電灯を安定して製造することができる。
本発明の態様によれば、機械的な強度と直線透過率に優れ、安定して製造することのできる発光管および放電灯を提供できる。
本発明の実施の形態に係る発光管および放電灯を例示する模式図である。 発光管を例示する模式図である。 直線透過率と発光効率の関係を例示するグラフ図である。 図4(a)及び図4(b)は、アルミナの結晶粒子の粒子径と機械的な強度との関係を例示するグラフ図である。 焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値と、直線透過率との関係を例示するグラフ図である。 焼結用助剤から生成された相の占有面積比率と、発光管の直線透過率と、の関係を例示するグラフ図である。 図7(a)及び図7(b)は、発光管の直線透過率の度数分布を例示するグラフ図である。 発光管の直線透過率と光の波長との関係を例示するグラフ図である。 不純物の濃度と直線透過率との関係を例示するグラフ図である。 不純物の濃度と直線透過率との関係を例示するグラフ図である。 発光管の内表面の構造と、直線透過率との関係を例示するグラフ図である。 発光管の内表面の構造と、直線透過率との関係を例示するグラフ図である。 直線透過率の測定方法を例示する模式図である。 発光管の製造方法を例示をするフローチャートである。 図15(a)〜図15(f)は、一次焼結の焼成温度の影響を例示する電子顕微鏡写真である。 熱間等方圧加圧処理に用いる処理装置を例示する模式図である。 熱間等方圧加圧処理の工程を例示する模式図である。 熱間等方圧加圧処理の温度条件と圧力条件とを例示する模式図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。尚、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(発光管および放電灯の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る発光管および放電灯を例示する模式図である。
図1は、一例として、メタルハライドランプの構成を例示するための模式図である。
図2は、発光管を例示する模式図である。
図1に示すように、放電灯1には、発光管2、電極3、外管4、リード線5、本体部6、端子7、封止部8が設けられている。
図1、図2に示すように、発光管2は円筒状の本体部2aの両端に半球状の端部2bが接続された形態を有している。また、半球状の端部2bには、細管部2cがそれぞれ接続されている。発光管2の内部は放電空間2dとなっている。
電極3は、一対設けられ、先端部3aと導入部3bを有する。
先端部3aの一方の端部は、放電空間2dの内部に突出している。一対の先端部3aは、所定の距離を置いて対向配置されている。先端部3aは、例えば、Ta(タンタル)やMo(モリブデン)などから形成することができる。先端部3aの他方の端部は、細管部2cの内部に設けられ、導入部3bと電気的に接続されている。
導入部3bの先端部3aと電気的に接続される側の端部は細管部2cの内部に設けられている。導入部3bの反対側の端部は細管部2cから露出している。導入部3bは、例えば、Nb(ニオビウム)などから形成することができる。
細管部2cの内壁と、先端部3a及び導入部3bとの間には、シール材からなる封止部8が設けられ、放電空間2dが気密に封止されている。封止部8を形成するためのシール剤は、例えば、SiO、Al、Dyなどを含むフリットガラスとすることができる。
放電空間2dには、放電媒体が封入されている。放電媒体は、金属ハロゲン化物9と、不活性ガスとを含む。金属ハロゲン化物9は、例えば、ScIなどとすることができる。不活性ガスは、例えば、アルゴンガスなどとすることができる。またさらに、水銀を含めることができる。
外管4は、発光管2の本体部2aと同芯に設けられている。すなわち、二重管構造となっている。外管4の一方の端部は塞がれており、外管4の他方の端部は本体部6により封止されている。外管4と発光管2との間に形成された閉空間は、例えば、大気圧よりも減圧された雰囲気とすることができる。外管4は、例えば、石英ガラスなどから形成することができる。
リード線5は、電極3の導入部3bと端子7を電気的に接続する。
本体部6は、樹脂などの絶縁性材料から形成されている。
端子7の一方の端部は本体部6の内部に設けられ、リード線5が電気的に接続されている。端子7の他方の端部は本体部6から露出している。
放電灯1を機器に装着した際には、機器に設けられた点灯回路と端子7とが電気的に接続されるようになっている。
次に、放電灯1の作用について説明する。
機器に設けられた点灯回路により30kV程度の高圧パルスが、端子7に印加されると、一対の電極3の先端部3a間にアーク放電が発生する。このアーク放電による熱により、放電空間2dに封入されている金属ハロゲン化物9が蒸発し、さらに金属とハロゲンとに解離することで特有の波長を有する光が発生する。
発生した光は、発光管2と外管4を透過し、放電灯1の外部に放出される。
ここで、発光管2の内部において発生した光は発光管2を透過して外部に放出されるため、発光管2の直線透過率を向上させることが重要となる。
図3は、直線透過率と発光効率の関係を例示するグラフ図である。
図3における縦軸は、ランプ効率指数(%)である。横軸は、直線透過率である。図3は、波長1100nmの光に対する、厚さ1mmのセラミックスによって形成された発光管の特性を例示している。なお、発光効率(ランプ効率指数)の測定方法、及び、直線透過率の測定方法に関する詳細は後述する。
本発明者の得た知見によれば、図3に示すように、発光管の発光効率は、直線透過率に依存する。発光効率は、直線透過率が5%〜10%の範囲において、著しく向上する。さらに発光効率は、直線透過率が10%〜15%の範囲においても向上する。発光効率の変化は、直線透過率が15%〜25%の範囲においては小さい。したがって、波長が1100nmの光に対する直線透過率は、15%以上であることが好ましい。
また、発光管2の機械的な強度を十分なものとする必要がある。
発光管2の材料として多結晶アルミナを用いる場合には、アルミナの結晶粒子の大きさを大きくすれば直線透過率を高くすることができる。しかしながら、アルミナの結晶粒子の大きさを大きくすれば、発光管の機械的な強度が低下することになる。
図4(a)及び図4(b)は、アルミナの結晶粒子の粒子径と機械的な強度との関係を例示するグラフ図である。
図4(a)は、アルミナ結晶粒子の平均粒子径と機械的強度との関係を例示している。図4(a)における縦軸は強度指数を表し、横軸はアルミナの結晶粒子の平均粒子径を表す。
強度指数とは、結晶粒子の平均粒子径が10μmのアルミナから形成された発光管2の機械的な強度に対する値である。また、発光管2の機械的な強度は、発光管2の内部に水圧を付加し、発光管2が破壊された時の圧力(水圧)としている。
図4(b)は、アルミナ結晶粒子の粒子径のD90と、機械的強度と、の関係を例示している。図4(b)における縦軸は強度指数を表し、横軸は粒子径の累積分布におけるD90を表す。
ここで、粒子径の累積分布におけるD90とは、粒子径の累積分布において、小さい方から数えて90%に相当する粒子径である。
図4(a)及び図4(b)から分かるように、アルミナの結晶粒子の粒子径(平均粒子径またはD90)を大きくすれば、発光管の機械的な強度が低下する。すなわち、発光管の機械的な強度の向上と直線透過率の向上との間には、トレードオフの関係が成立することになる。
直線透過率を確保するためにアルミナの結晶粒子の平均粒子径を大きくして、光の直進性が妨げられる要因となる粒界の影響を低減させることができる。しかしながら、アルミナの結晶粒子の平均粒子径を大きくすると機械的な強度が低下してしまうので、発光管の機械的な強度と直線透過率の両方を向上させることは困難な場合がある。
そこで、以下に説明する多結晶アルミナからなる発光管2とすることで機械的な強度と直線透過率を向上させるようにしている。
この場合、以下に説明する多結晶アルミナからなる発光管2とすれば、前述した発光管の形態にかかわらず機械的な強度と直線透過率を向上させることができる。すなわち、発光管2の材料として以下に説明する多結晶アルミナを用いるものとすれば、前述した発光管2や放電灯1の形態は適宜変更することができる。
前述したように、従来の多結晶アルミナの場合には、アルミナの結晶粒子の平均粒子径を小さくすれば発光管2の機械的な強度を高めることができるが、直線透過率が低下してしまうことになる。
本発明者の得た知見によれば、アルミナに焼結用助剤を添加すればアルミナの結晶粒子の成長を抑制することができるので、発光管2の機械的な強度を向上させることができる。
実施形態に係る発光管2は、アルミナの結晶を含む多結晶アルミナからなる主相と、アルミナの結晶の粒界どうしの間に位置し焼結用助剤から生成された相(第1相)と、を有する。例えばAlの粒子間にLaの粒子が介在する複合体が構成されている。実施形態においては、アルミナの結晶粒子の平均粒子径を、5μm以上、好ましくは5μm以上12μm以下、更に好ましくは5μm以上10μm以下とする。また、アルミナの結晶の粒子径の累積分布におけるD90は45μm以下、好ましくは43μm以下とする。アルミナの結晶粒子の粒子径をこのような範囲とすることで、適切な強度を得ることができる。
そして、アルミナの結晶粒界にある焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値を適切な範囲とすれば、光の屈折や散乱を抑制することができるので直線透過率の向上を図ることができる。すなわち、アルミナの結晶粒界にある焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値を適切な範囲とすれば、発光管2の機械的な強度と直線透過率の両方を向上させることができる。また、焼結用助剤から生成された相の円相当径を適切な範囲とすることで、後述するように直線透過率のばらつきを抑制することができ、発光管を安定して製造することができる。
ここで、焼結用助剤としては、例えば、La、MgO、Ta、Ho、Y、Yb、Dy、Sc、Ce2O、Er、Lu、Sm、Tmなどの酸化物を用いることができる。
そのため、以下においては一例として、焼結用助剤がLaである場合について説明することにする。
図5は、焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値と、直線透過率との関係を例示するグラフ図である。
また、図5は、アルミナの結晶粒子の平均粒子径が5μm以上であり、アルミナの粒子径の累積分布におけるD90が45μm以下である場合を例示している。
図5の直線透過率は、厚さが1mmのセラミックスによって形成された発光管の、波長1100nmの光に対する直線透過率である。
なお、アルミナ結晶粒子の粒子径の測定方法、及び、焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値の測定方法に関する詳細は後述する。
前述したように、実施形態においては、直線透過率は15%以上とされる。これにより、発光効率を向上させることができる。図5から分かるように、アルミナの結晶粒界にある焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値を4μm以下、好ましくは3.5μm以下とすれば、直線透過率が15%以上となるようにすることができる。なお、実施形態において、焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値は、0μmよりも大きい。
図6は、焼結用助剤から生成された相の占有面積比率と、発光管の直線透過率と、の関係を例示するグラフ図である。
図6の縦軸は、図5と同様の直線透過率である。図6の横軸は、発光管の表面における、焼結用助剤から生成された相の面積が占める割合(占有面積比率)である。
ここで、発光管の表面における多結晶アルミナからなる主相の総面積をS1とし、当該表面における焼結用助剤から生成された相の総面積をS2とすると、発光管の表面の面積は、S1+S2と表すことができる。また、図6に表した占有面積比率(%)は、S2/(S1+S2)×100と表すことができる。
図6から分かるように、焼結用助剤から生成された相の占有面積比率を0.5%以下とすることで、直線透過率を15%以上とすることができる。
すなわち、S1及びS2が、
S2/(S1+S2)×100≦0.5
の関係を満たすことで、直線透過率を15%以上とすることができる。実施形態においては、S2/(S1+S2)×100を、0.5以下、好ましくは0.46以下、更に好ましくは0.36以下とする。これにより、直線透過率を向上させることができる。なお、実施形態において、S2/(S1+S2)×100は、0よりも大きい。
なお、ここで、発光管の表面とは、後述する観察範囲内の発光管の内表面である。内表面は、発光管2のセラミックスの表面のうち、放電空間2dに面した領域である。占有面積比率の測定方法に関する詳細は後述する。
従来は、アルミナの結晶粒子の平均粒子径を5μm〜12μm程度とすれば、発光管2の機械的な強度を高めることができたが、直線透過率は低いものとなっていた。
これに対して、実施形態によれば、アルミナの結晶粒子の平均粒子径を5μm〜12μm程度としても直線透過率が15%以上とすることができる。また、内面のプラズマ耐性が向上し、発光管内部のアークに対して腐食が生じにくくなり、放電灯の寿命を長くすることができる。
前述したように、特許文献1においても、Alの粒子間にLaの粒子が介在する複合体が構成されており、高い直線透過率(30%程度)を有する発光管を得ることができる。しかし、特許文献1における発光管の直線透過率は、5%〜30%の間でばらつき、歩留まりが低いと推定される。これに対して、実施形態に係る発光管2によれば、直線透過率が向上した発光管を安定して製造することができる。
図7(a)及び図7(b)は、発光管の直線透過率の度数分布を例示するグラフ図である。
図7(a)は、特許文献1に記載された発光管の直線透過率の度数分布であり、図7(b)は、本実施形態に係る発光管の直線透過率の度数分布である。直線透過率は、厚さ1mmのセラミックスによって形成された発光管における、波長1100nmの光に対する直線透過率である。
図7(a)に示した例では、直線透過率の平均値は、12%程度であり、標準偏差は3.5程度である。したがって、直線透過率15%以上の発光管を安定して得ることは難しい。なお、直線透過率が30%程度である発光管は、分布の端に位置すると推定される。この例では、直線透過率が30%程度である発光管は得られておらず、母数を増やすことで高い透過率の発光管を得ることができると考えられる。
一方、図7(b)に示したように、実施形態に係る発光管においては、直線透過率の平均値は、24%であり、標準偏差は0.9程度である。本実施形態によれば、直線透過率の高い発光管を安定して製造することができる。
図8は、発光管の直線透過率と、光の波長との関係を例示するグラフ図である。
図8の横軸は、発光管を透過する光の波長であり、縦軸は、厚さ1mmのセラミックスによって形成された発光管の直線透過率である。図8には、実施形態に係る発光管2の特性と、従来の発光管29の特性と、を例示している。
図8に示す様に、発光管29の直線透過率の波長に対する依存性は小さい。これに対して、実施形態に係る発光管2の直線透過率は、長波長において高くなる。
前述したように、波長が1100nmの光に対する直線透過率を15%以上とすることで、発光効率を高くすることができる。さらに、特許文献2によると、照明に用いられる発光管においては、可視光のうち長波長の光に対する直線透過率を高くすることで、特性を向上させることができる。特許文献2には、例えば、可視光波長域における光の強度比を、
(波長380nm〜490nmの光の強度):(波長490nm〜570nmの光の強度):(波長570nm〜590nmの光の強度):(波長590nm〜780nmの光の強度)=6:18:6:70
とすることで、彩度及び演色性を向上させることができることが記載されている。すなわち、セラミックメタルハライドランプや高圧ナトリウムランプにおいては、長波長側の直線透過率を向上させることで、彩度及び演色性を向上させることができる。
実施形態においては、直線透過率T(%)は、
T(%)≧λ/60−3.33
の関係を満たす。ここでλは、発光管を透過する光の波長である。このように、長波長の光に対して高い直線透過率を有するようにする。これにより、高圧ナトリウムランプにおいて、発光効率を向上させることができる。また、長波長の光に対して高い直線透過率を有するため、セラミックメタルハライドランプにおいて、彩度及び演色性を向上させることができる。
また、本発明者の得た知見によれば、直線透過率は、発光管中の不純物に依存することが分かった。直線透過率は、不純物の中でも、特にカルシウム(Ca)及び鉄(Fe)の量に依存することが判明した。
図9及び図10は、不純物の濃度と直線透過率との関係を例示するグラフ図である。
図9の横軸は、セラミックスの組成におけるCaの濃度(組成比)を示し、図10の横軸は、セラミックスの組成におけるFeの濃度(組成比)を示す。図9の縦軸及び図10の縦軸は、厚さが1mmのセラミックスによって形成された発光管の、波長1100nmの光に対する直線透過率である。なお、組成分析の方法の詳細については後述する。
図9から分かるように、Caの含有量(濃度)を40ppm以下、好ましくは37ppm以下とすることで、Caによる光の不純物散乱を抑制し、直線透過率を15%以上とすることができる。
また、図10から分かるように、Feの含有量(濃度)を2.2ppm以下、好ましくは2.0ppm以下とすることで、Feによる光の不純物散乱を抑制し、直線透過率を15%以上とすることができる。
また、本発明者の得た知見によれば、直線透過率は、発光管の内表面の粗さに依存することが分かった。
図11及び図12は、発光管の内表面の構造と、直線透過率との関係を例示するグラフ図である。
図11及び図12の縦軸は、厚さが1mmのセラミックスによって形成された発光管の、波長1100nmの光に対する直線透過率である。
図11の横軸においては、内表面の構造を表す指標として、凹凸の高さRc(JIS B 0601に規定される粗さ曲線要素の平均高さ)を用いている。また、図12の横軸においては、内表面の構造を表す指標として、スキューネスRsk(JIS B 0601に規定される粗さ曲線のスキューネス)を用いている。図11及び図12は、これらの内表面の構造をサーマルエッチングを用いて変化させた場合の直線透過率を示す。
直線透過率は、結晶の粒界散乱の影響を受ける。このため、直線透過率は、粒界の深さや広さを表すRc及びRskに依存すると考えられる。なお、Rcの測定方法及びRskの測定方法の詳細については、後述する。
実施形態においては、Rc≦0.4μm、好ましくはRc≦0.27μmとする。また、Rsk≦−0.34、好ましくはRsk≦−0.5とする。これにより、図11及び図12に示すように、直線透過率を15%以上とすることができる。結晶粒界における光の屈折や散乱を抑制することができるため、直線透過率が向上し、発光効率を向上させることができる。
(測定方法)
次に、アルミナの結晶粒子の粒子径、直線透過率、焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値、占有面積比率、ランプ効率、セラミックスの組成分析方法、Rcの測定方法、及び、Rskの測定方法について、を説明する。
(アルミナの結晶粒子の粒子径の測定方法)
アルミナの結晶粒子の粒子径は、以下のようにして測定した。
まず、発光管2を破壊して測定用のサンプルを作成する。
次に、サンプルの表面をレーザ顕微鏡を用いて撮像する。
この際、発光管2の内表面(内壁面)を撮像した。
レーザ顕微鏡は、オリンパス製、走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS−4000とした。
撮像範囲(観察範囲)は、680μm×480μmとした。
アルミナの結晶粒界にある相は遷移金属を含んでいるため輝度が高い。そのため、画像解析により高輝度部分をアルミナの結晶粒界にある相として分離することができる。
画像解析には、Win−ROOFVer6.4(三谷商事)を用いた。
Win−ROOFVer6.4を用いた画像解析は、以下のようにすることができる。
撮像された画像をモノクロ化し、単色閾値2000〜2300の範囲内で二値化して、アルミナの結晶粒子と、アルミナの結晶粒界にある相とを分離する。
そして、Win−ROOFVer6.4のコマンドを実行することで、アルミナの結晶粒子径を算出する。
この場合、アルミナの結晶粒子径は、Win−ROOFVer6.4の「円相当径」により算出することができる。
そして、アルミナの結晶粒子の平均粒子径は、算出された複数の円相当径の相加平均を算出することで求めることができる。
ここで、上述のようにして、粒子径が算出された粒子の数がN個であるとする。このとき、粒子径の累積分布におけるD90は、算出されたN個の粒子径のうち、小さい方から数えて、N×0.9番目の粒子径である。
例えば、1000個の粒子について粒子径が算出された場合、900番目に小さい粒子の粒子径がD90となる。
(直線透過率の測定方法)
図13は、直線透過率の測定方法を例示する模式図である。
図13(a)は発光管2を置かない状態で測定する様子を表し、図13(b)は発光管2を置いた状態で測定する様子を表している。
直線透過率の測定には、紫外線可視分光光度計100を用いた。
紫外線可視分光光度計100は、島津製作所製、UV−1800とした。当該装置の照射光源の大きさは、9mm×0.8mmである。
また、測定用の光の受光部に測定用の光以外の光が入射しないように、暗箱中で測定した。
まず、図13(a)に示すように、測定用の光の投光部と受光部との間に発光管2を置かない状態で測定を行い、発光管2を置かない状態における信号強度を測定する。
次に、図13(b)に示すように、測定用の光の投光部と受光部との間に発光管2を置く。発光管2の中心軸が測定用の光の光軸に対してほぼ垂直となるように、発光管2を保持した。
セラミックメタルハライドランプ用の発光管においては、キャピラリに沿った軸に対して垂直な平面における断面形状が曲線を含む。そこで、セラミックメタルハライドランプ用の発光管の測定においては、照射光の長軸方向と、発光管のキャピラリに沿った軸の方向と、を合わせ、本管部(本体部)で測定を実施した。なお、キャピラリに沿った軸に対して平行な平面における本管部の断面形状が曲線を含む場合については、光源の長軸を3mmにカットするフィルタを用いて測定した。
高圧ナトリウムランプ用の発光管は、円筒形である。そこで、高圧ナトリウムランプ用の発光管の測定においては、発光管の長軸方向と、光源の長軸方向と、を合わせて、測定を実施した。
発光管2は、破壊や加工したサンプル片とせず実際の形状のままとした。つまり、直線透過率を発光管2の形状を含めて評価した。
そして、測定用の光を発光管2に照射し、発光管2を透過して受光部により受光された光の信号強度を測定する。
図13(a)の状態における受光部の信号強度に対する、図13(b)の状態における受光部の信号強度の割合を、直線透過率の値とした。
(焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値の測定方法、および占有面積比率の測定方法)
焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値、および占有面積比率は、以下のようにして測定した。
まず、発光管2を破壊して測定用のサンプルを作成する。
次に、サンプルの表面の輝度像を電子顕微鏡を用いて撮像する。
この際、発光管2の内壁面を撮像した。
電子顕微鏡は、日立製作所製、走査電子顕微鏡S−3000Nとした。
撮像範囲(観察範囲)は、425μm×320μmとした。
アルミナの結晶粒界にある相は遷移金属を含んでいるため輝度が高い。そのため、画像解析により高輝度部分をアルミナの結晶粒界にある相として分離することができる。
画像解析には、Win−ROOFVer6.4(三谷商事)を用いた。
Win−ROOFVer6.4を用いた画像解析は、以下のようにすることができる。
撮像された画像をモノクロ化し、単色閾値150〜210の範囲内で二値化して、アルミナの結晶粒子と、アルミナの結晶粒界にある相とを分離する。
そして、Win−ROOFVer6.4のコマンドを実行することで、焼結用助剤から生成された相の円相当径を算出する。
この場合、焼結用助剤から生成された相の円相当径は、Win−ROOFVer6.4の「円相当径」により算出することができる。
そして、算出された複数の円相当径のうちの最大値を、焼結用助剤から生成された相の円相当径の最大値とした。
また、算出された複数の円相当径に基づいて、アルミナの結晶粒界にある焼結用助剤から生成された相の総面積を算出する。この際、ポアの部分は除外して相の総面積を算出した。そして、占有面積比率(%)を以下の式により算出した。アルミナの結晶からなる主相の総面積をS1とし、焼結用助剤から生成された相の総面積をS2とすると、占有面積比率(%)は、S2/(S1+S2)×100、と表すことができる。
(ランプ効率の測定方法)
放電灯1は、図1及び図2において例示をしたものとした。
発光管の細管部に両端からW、Mo及びNb等で構成された電極を挿入した。
放電空間2dに封入される放電媒体は、希土類系のハロゲン化物、水銀、およびアルゴンガスとした。アルゴンガスの圧力は、50torr〜300torrとした。SiO、Al及びDy等を含むフリットガラスを用いて、細管部の封止を行った。このようにして作製した発光バルブに外管構造を施し、放電灯1を完成させた。
放電灯1を光束球内で10分間点灯後、マルチチャンネル分光器を用いて全光束照度(lm)を測定した。また、同時に、放電灯1への入力電力(W)を測定した。
ランプ効率(lm/W)は、
ランプ効率(lm/W)=全光束照度/入力電力
により算出した。
(組成分析方法)
発光管のセラミックスの組成におけるCaの濃度、及びFeの濃度は、以下のようにして測定した。
誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分析によって、発光管のセラミックスの組成分析を行った。ICP発光分析装置には、堀場製作所製ICP−AES ULTIMA2(シーケンシャルタイプ)を用いた。焼結体のアルミナを乳鉢で粉砕した後、25vol%の硫酸に入れ、加圧酸分解によって溶解させた。このようにして得られた溶液を分析することで、不純物の含有量を算出した。
(Rcの測定方法及びRskの測定方法)
表面構造の指標として用いたRc及びRskは、以下のようにして測定した。
まず、サンプルの表面をレーザ顕微鏡を用いて撮像する。撮像されるサンプルの表面は、例えば、発光管2の内表面(内壁面)である。レーザ顕微鏡には、オリンパス製の走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS−4000を用いた。撮像範囲(観察範囲)を680μm×480μmとし、当該範囲における輝度像を撮影した。輝度像を解析し、Rc及びRskを算出した。解析の際に、粗さ測定のカットオフ値λc(位相補償高域フィルタ)は、80μmとした。
(発光管2の製造方法)
次に、前述した多結晶アルミナからなる発光管2の製造方法について説明する。
前述したように焼結用助剤としては種々の酸化物を用いることができる。
そのため、以下においては一例として、焼結用助剤がLaである場合について説明することにする。Alの粒子間にLaが介在した複合体を含む透光性セラミックスについて説明する。発光管2に用いられる透光性セラミックスのアルミナの純度は、耐食性の観点から、95wt%以上、95wt%以上、好ましくは98wt%以上、さらに好ましくは99%以上とされる。
図14は、発光管2の製造方法について例示をするフローチャートである。
図14は、熱間等方圧加圧処理(HIP;Hot Isostatic Pressing)を一部に組込んだ透光性セラミックスの製造工程を例示している。図14に示すように、先ずAl、La、純水、バインダー及び分散剤を湿式混合分散し、次いで真空脱泡した後、鋳込み成形し、この後、乾燥及び一次焼結を行う。さらに熱間等方圧加圧(HIP)処理を行う。
尚、Laの変わりにMgOを使用し、鋳込み成形の代りに押出し成形、または、射出ブロー成形を行ってもよい。また、射出ブロー成形の場合には、混合工程において純水を添加せず、成形後に脱脂処理してから一次焼結を行う。
Alの原料として、AACH(アンモニウム・アルミニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド)を母塩とする原料を用いることができる。この原料の純度は、4N(約99.99%)以上であり、粒径は0.05〜1.0μmである。
Laの原料の純度は、3N(約99.9%)以上であり、粒径は0.1〜2.0μmである。
原材料の純度を適切に管理することによって、前述したFe等の不純物の含有量を適切な範囲に制御することができる。
バインダーとしてはメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリルエマルジョン、または糖アルコール等を用いることができる。分散剤としてはポリカルボン酸やポリアクリル酸のアンモニウム塩等を用いることができる。
Alに、Laを0.01〜18wt%の範囲で添加する(Alの割合は、99.8〜82wt%)。この混合体(粉体)に対して、バインダー及び分散剤を加える。加えられるバインダー及び分散剤の量は、混合体重量の0.2%〜1%に相当する量である。
さらに、混合体重量の20〜100%に相当する量の純水を加え、ボールミル中で10時間以上湿式混合して、スラリーを得る。
以上のようにして、調製したスラリーに必要に応じて消泡剤を加えて真空下で脱泡する。その後、石膏型、多孔質樹脂型または多孔質セラミックス型等を用いて鋳込み成形を行い、未焼結のセラミックス成形体を得る。
ここで、未焼結のセラミックス成形体は、高輝度放電灯の発光管の形態を有する。
鋳込み成形によれば、必要に応じて種々の形状の発光管を成形できる。例えば、端部封止部の径が中央部の径の1/2以下で、境界部がスムーズに連続した形状の発光管を成形できる。
このような形状とすると、金属蒸気のリーク及びクラックが発生しにくく、且つ、発光効率の高い発光管を得ることが出来る。このような鋳込み成形を用いることで、前述したRc及びRskを適切な範囲に制御することができる。
尚、成形体中にCa成分の混入が考えられるので、鋳込み成形に引き続いて仮焼工程及び温水(酸)での洗浄工程を入れ、Ca成分の除去を行う。
そして、未焼結のセラミックス成形体としての発光管を乾燥した後に一次焼結する。一次焼結の条件は、真空、空気、N、Ar、H又は水蒸気の雰囲気中において、1250℃〜1800℃、0.5時間以上である。このようにして、セラミックス成形体が98%以上の嵩密度を有するようにする。
ここで、一般的には、一次焼結の焼成温度は上記の温度である。しかし、この様な温度範囲で一次焼結を行うと、実施形態に係る発光管2について説明したようなセラミックスが得られないことが判明した。実施形態においては、一次焼成温度は、1300℃〜1500℃(複合体の凝集を低減する温度)とされる。これにより、透光性セラミックスの表面上に生成される焼結用助剤の添加物に由来した複合物の状態を制御することができる。
図15(a)〜図15(f)は、一次焼結の焼成温度の影響を例示する電子顕微鏡写真である。
なお、図15(a)〜図15(f)は、後述する熱間等方圧加圧処理後の多結晶アルミナの表面を撮影したものである。
図15(a)の場合の焼成温度が一番低く、図15(f)の場合の焼成温度が一番高くなっている。そして、図15(a)から図15(f)になるに従い、焼成温度が段階的に高くなっている。各写真には、多結晶アルミナからなる主相10と、焼結用助剤から生成された相11と、が示されている。各写真中における白点の部分が、アルミナの結晶粒界にある焼結用助剤から生成された相である。
図15(a)〜図15(f)から分かるように、一次焼結の焼成温度が変化すれば、アルミナの結晶粒界にある焼結用助剤から生成された相の大きさや総面積が変化する。
原料粒子の形状や原料の純度(Feなどの不純物の除去)を管理したとしても、前述した組成を有する多結晶アルミナを得ることができず、直線透過率にばらつきが発生したり、高い直線透過率が得られないおそれがある。
本発明者の得た知見によれば、一次焼結における焼成温度を制御することで、アルミナの平均粒子径、アルミナの結晶粒界にある焼結用助剤から生成された相の大きさや総面積を適正なものとすることができる。これにより、前述したような高い直線透過率を得ることができる。また、直線透過率のばらつきを抑制することができ、発光管を安定して製造することができる。
次に、一次焼結体を熱間等方圧加圧処理する。
次に、熱間等方圧加圧処理されたものに機械加工などを施すことで、発光管2の製造が完了する。
ここで、熱間等方圧加圧処理についてさらに説明する。
図16は、熱間等方圧加圧処理に用いる処理装置200を例示する模式図である。
図16に示すように、処理装置200には、圧力容器201、ジャケット202、上蓋203、下蓋204、るつぼ206、断熱層207、ヒータ208、配管209、配管210、排気ポンプ211、及びコンプレッサ212が設けられている。
圧力容器201は円筒状を呈している。
ジャケット202は、圧力容器201の外壁を覆うように設けられている。ジャケット202の内部には冷却水が流れるようになっている。
上蓋203は、圧力容器201の上側の開口を塞ぐように設けられている。
下蓋204は、圧力容器201の下側の開口を塞ぐように設けられている。
るつぼ206は、円筒状を呈し、下蓋204側が閉鎖され、上蓋203側が開口した形態を有している。るつぼ206は、下蓋204の上方に設けられている。るつぼ206の内部には、一次焼結体22が収納される。
断熱層207は、るつぼ206を覆うようにして設けられている。
ヒータ208は、断熱層207とるつぼ206の間に設けられている。
排気ポンプ211は、配管209を介して圧力容器201に接続されている。排気ポンプ211は、圧力容器201の内部のガスを排気する。
コンプレッサ212は、配管210を介して圧力容器201に接続されている。コンプレッサ212は、圧力容器201の内部を所定の圧力まで加圧する。コンプレッサ212による加圧に用いられるガスとしては、例えば、N、Ar、H、Oからなる群より選ばれた少なくとも一種を用いることができる。
なお、圧力容器201の内部を所定の圧力まで加圧する際には、排気ポンプ211により圧力容器201の内部のガスを排気し、加圧に用いられるガスと置換するようにする。
処理装置200を用いた熱間等方圧加圧処理は、以下のようにして行うことができる。 まず、発光管2の形態を有する一次焼結体22をるつぼ206の内部に収納する。
そして、収納された一次焼結体22の上からビーズ213を充填し、ビーズ213で一次焼結体22を覆う。ビーズ213の材料は、一次焼結体22の材料と同じとすることができる。
次に、この様にして一次焼結体22とビーズ213が収納されたるつぼ206を圧力容器201の内部にセットする。
一次焼結体22と同じ材料のビーズ213で覆った状態で熱間等方圧加圧処理を行うようにすれば、焼結を充分に完結させることができる。
なお、ビーズ213、及びるつぼ206の材料は、一次焼結体22の材料と同じ、若しくは、一次焼結体22の主成分と同じ(Al)、あるいは、一次焼結体22の形成に用いられた焼結用助剤(例えば、Laなど)と同じとすることもできる。
一次焼結体22の形成に用いられた焼結用助剤(例えば、La)と異なる酸化物(例えば、MgO)を用いてビーズ213やるつぼ206を形成した場合には、形成された発光管2の表面に酸化物が不純物として残る可能性がある。しかしながら、酸化物が不純物として残ったとしても、表面のみであるため、後述する機械加工により簡単に除去することができる。
また、ビーズ213、及びるつぼ206の材料を一次焼結体22の形成に用いられた焼結用助剤と同じとすれば、アルミナの結晶粒子の成長を抑制することができる。
低温、低圧の条件であれば、ビーズ213、及びるつぼ206の材料を一次焼結体22の形成に用いられた焼結用助剤と同じとしても、アルミナの結晶粒子の成長の抑制には全く関与しない。しかしながら、1350℃以上の高温、且つ、500atm以上の高圧のもとでは、一次焼結体22の形成に用いられた焼結用助剤と同じ元素がるつぼ206の内部に存在すると、アルミナの結晶粒子の成長が抑制されると考えられる。
次に、熱間等方圧加圧処理の処理条件についてさらに説明する。
図17は、熱間等方圧加圧処理の工程を例示する模式図である。
図17に示すように、圧力容器201の内部の温度を室温から1580℃まで上昇させ、1580℃を6時間程度維持する。昇温速度は、200℃/hとすることができる。
また、昇温とともに圧力容器201の内部の圧力を大気圧から1000atmまで上昇させ、1000atmを6時間程度維持する。
加圧に用いられるガスとしては、例えば、N、Ar、H、Oからなる群より選ばれた少なくとも一種を用いることができる。
図18は、熱間等方圧加圧処理の温度条件と圧力条件とを例示する模式図である。
図18から分かるように、熱間等方圧加圧処理を1300℃未満で行えば、充分な透光性が得られない。また、1800℃を越えるとLaがAlに固溶され、直線透過率の向上に不利となる。
また、圧力を500atm未満で行えば、充分な透光性が得られない。1200atmを越えるとクラックが発生する。
そのため、熱間等方圧加圧処理の温度は1300℃以上1800℃以下、圧力は500atm以上1200atm以下とすることが好ましい。
以上説明した製造方法においては、高純度アルミナ混合粉末に対して、前述の管理された条件で一次焼結を実施する。さらに、この一次焼結体に対し、制御された温度及び圧力下で、熱間等方圧加圧処理を施す。これにより、Alの粒径を制御することができる。また、焼結用助剤に由来する複合物の生成及び成長を制御することができる。そのため、機械的強度に影響を及ぼすAlの粒子径を変化させなくとも、安定して透光性を向上させた発光管を製造することができる。
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1…放電灯、 2…発光管、 2a…本体部、 2b…端部、 2c…細管部、 2d…放電空間、 3…電極、 3a…先端部、 3b…導入部、 4…外管、 5…リード線、 7…端子、 8…封止部、 9…金属ハロゲン化物、 22…一次焼結体、 29 発光管、 200…処理装置、 201…圧力容器、 202…ジャケット、 203…上蓋、 204…下蓋、 207…断熱層、 208…ヒータ、 209…配管、 210…配管、 211…排気ポンプ、 212…コンプレッサ、 213…ビーズ

Claims (6)

  1. アルミナの結晶を含む多結晶アルミナからなる主相と、
    前記アルミナの結晶の粒界に位置し、酸化ランタンからなる第1相と、
    を備え、
    表面における前記主相の総面積をS1とし、前記表面における前記第1相の総面積をS2としたときに、前記S1及び前記S2は、
    0.15≦S2/(S1+S2)×100≦0.5
    の関係を満たし、
    前記第1相の円相当粒子径の最大値は、4μm以下であり、
    前記アルミナの結晶の平均粒子径は、5μm以上であり、
    前記アルミナの結晶の粒子径の累積分布におけるD90は、45μm以下である放電灯用の発光管。
  2. 500nm以上1100nm以下の波長を有する光に対する直線透過率をTとし、前記光の波長をλとしたときに、
    T(%)≧λ/60−3.33
    の関係を満たす請求項1記載の発光管。
  3. カルシウムの含有量が40ppm以下である請求項1または2記載の発光管。
  4. 鉄の含有量が2.2ppm以下である請求項1〜3のいずれか1つに記載の発光管。
  5. 前記表面における粗さ曲線要素の平均高さは、0.4μm以下であり、
    前記表面における粗さ曲線のスキューネスは、−0.34以下である請求項1〜4のいずれか1つに記載の発光管。
  6. 請求項1〜のいずれか1つに記載の発光管を備えた放電灯。
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