JP5884548B2 - 車両の駆動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、左右一対の駆動輪を互いに独立して駆動する車両の駆動制御装置に関するものである。
従来、左右一対の駆動輪にそれぞれ駆動モータを設け、左右駆動輪を互いに独立して駆動する電動車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008-37355号公報
しかしながら、左右駆動輪を互いに独立して駆動することで、それぞれの駆動モータにおけるフリクションに差が生じ、左右駆動輪の路面に対する駆動力に差が生じてしまうという問題があった。
すなわち、左駆動輪を駆動する駆動モータと、右駆動輪を駆動する駆動モータは、互いに相関なく車輪駆動を行う。このとき、各駆動モータには、個別にフリクションが発生する。なお、フリクション発生要因の一例としては、ロータとステータとの間やベアリング等の回転部位へ浸入した異物の影響や、ギヤ歯面の状態変化・ギヤ歯の噛み合いクリアランスの経時変化等によるギヤ歯面の当たり変化、制御回路やステータコイル等の電気部品への異物影響等がある。
そして、各駆動モータに個別にフリクションが発生することで、各駆動モータにおける損失トルクに差が生じる。そのため、各駆動モータに同じトルク指令を出力しても、左駆動輪の路面に対する左駆動力と、右駆動輪の路面に対する右駆動力との間には違い(左右駆動力差)が生じることとなる。さらに、この左右駆動力差が生じることで、車両の片流れといった意図しない車両挙動が発生するおそれもあった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、一対の左右駆動輪を互いに独立して駆動する際、左右駆動力差を低減し、意図しない車両挙動の発生を防止することができる車両の駆動制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の車両の駆動制御装置では、左右一対の駆動輪と、左駆動手段及び右駆動手段と、フリクション差推定手段と、駆動力制御手段と、を備えている。
前記左駆動手段及び右駆動手段は、前記左右一対の駆動輪を互いに独立して駆動する。
前記フリクション差推定手段は、前記左駆動手段におけるフリクションと、前記右駆動手段におけるフリクションとの、フリクション差を推定する。
前記駆動力制御手段は、前記フリクション差が推定されたとき、前記左右一対の駆動輪の路面に対する駆動力差を低減させる制御を行う。
本発明の車両の駆動制御装置にあっては、左駆動手段におけるフリクションと右駆動手段におけるフリクションとのフリクション差が推定されたとき、駆動力制御手段により、左右駆動輪の路面に対する駆動力差が低減する制御が行われる。
これにより、右駆動輪の路面に対する駆動力と、左駆動輪の路面に対する駆動力との均衡を図ることができ、車両の片流れ等の意図しない車両挙動の発生を防止して、走行安定性を確保することができる。
実施例1の駆動制御装置が適用されたインホイールモータ車両(車両の一例)を示す全体システム図である。 実施例1の駆動制御装置が適用されたインホイールモータ車両で実行される駆動力制御処理の流れを示すフローチャートである。 (a)駆動輪回転数差から推定される推定フリクション差を示すマップの一例を示す図である。(b)供給電流差から推定される推定フリクション差を示すマップの一例を示す図である。 推定フリクション差に対する供給電流減少量又は液圧ブレーキ制動量を示すマップの一例を示す図である。 推定フリクション差に対する供給電流増加量を示すマップの一例を示す図である。 実施例1の駆動制御装置が適用されたインホイールモータ車両で、左右駆動輪を個別に駆動したときの推定フリクション差・左駆動輪(RL)側の推定フリクション、車輪回転数、供給電流値・右駆動輪(RR)側の推定フリクション、車輪回転数、供給電流値の各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明の車両の駆動制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1のインホイールモータ車両(車両の一例)の駆動制御装置の構成を、「全体システム構成」、「駆動力制御構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の駆動制御装置が適用されたインホイールモータ車両(車両の一例)を示す全体システム図である。以下、図1に基づいて、インホイールモータ車両の全体システム構成を説明する。
インホイールモータ車両1は、図1に示すように、左右前輪(左右従動輪)FL,FRと、左右後輪(左右駆動輪)RL,RRと、左後輪RLに内蔵された左モータ/ジェネレータ(左駆動手段)2Aと、右後輪RRに内蔵された右モータ/ジェネレータ(右駆動手段)2Bと、液圧ブレーキユニット3と、左右後輪温度センサ(温度検出手段)4A,4Bと、左右前輪回転センサ(従動輪回転数検出手段)5A,5Bと、左右後輪回転センサ(駆動輪回転数検出手段)6A,6Bと、ステアリング機構(ステアリング)7と、ステアリング角度センサ(舵角検出手段)8と、コントロールユニット9と、を備えている。
前記左モータ/ジェネレータ2A及び前記右モータ/ジェネレータ2Bは、それぞれ三相同期電動機や三相誘導電動機を可とし、加速時の力行運転と減速時の回生運転が可能な交流電動機である。力行運転時には、図示しないバッテリ(ニッケル水素電池或いはリチウムイオン電池)からの電流によって左右後輪RL,RRを互いに独立して駆動する。また、回生運転中には左右後輪RL,RRを互いに独立して駆動時とは逆に回転させることでバッテリを充電する。このとき、左右後輪RL,RRにはそれぞれ回生ブレーキが作用する。なお、「互いに独立して駆動する」又は「互いに独立して逆回転させる」とは、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bごとに異なった電流が供給され、左モータ/ジェネレータ2Aからの出力トルクと、右モータ/ジェネレータ2Bからの出力トルクを異ならせることが可能ということである。これにより、各輪RL,RRには、路面に対して異なる駆動力(回生力)をそれぞれ発生させることが可能となる。
前記液圧ブレーキユニット3は、各輪FL,FR,RL,RRに設置されたブレーキキャリパ31A〜31Dと、各輪FL,FR,RL,RRのハブに固定されたブレーキディスク32A〜32Dと、ブレーキアクチュエータ33と、各ブレーキキャリパ31A〜31Dとブレーキアクチュエータ33を接続するブレーキ液配管34A〜34Dと、を有している。なお、ブレーキアクチュエータ33には、ブレーキ液圧(ブレーキ油圧)を高圧化するポンプ、ブレーキ液圧が伝達されるブレーキ液配管34A〜34Dを変更して所望の車輪に高圧化したブレーキ液圧を伝達する複数のバルブ、マスタシリンダ等を含んでいる。
この液圧ブレーキユニット3は、通常のブレーキ制御、及び、コントロールブレーキ制御を実行し、各輪FL,FR,RL,RRを個別に制動する。ここで「通常のブレーキ制御」とは、ドライバーがブレーキペダル(図示せず)を踏み込むことで発生するブレーキ液圧を各ブレーキキャリパ31A〜31Dに伝達させ、各輪FL,FR,RL,RRの制動を個別に行うことである。一方「コントロールブレーキ制御」とは、コントロールユニット9から出力された液圧ブレーキ作動指令によって、ブレーキアクチュエータ33により設定されたブレーキ液圧を各ブレーキキャリパ31A〜31Dに伝達させ、各輪FL,FR,RL,RRの制動を個別に行うことである。
前記左右後輪温度センサ4A,4Bは、左モータ/ジェネレータ2A及び右モータ/ジェネレータ2Bにそれぞれ設けられ、各モータ/ジェネレータ2A,2Bの内部温度を個別に検出する。ここで「内部温度」とは、例えばモータ/ジェネレータ2A,2Bにおけるステータコイル温度や、制御回路温度等である。
前記左右前輪回転センサ5A,5Bは、左右前輪FL,FRにそれぞれ設けられ、各輪FL,FRの回転数を個別に検出する。なお、この左右前輪回転センサ5A,5Bは、いわゆるABSセンサであってもよい。
前記左右後輪回転センサ6A,6Bは、左右後輪RL,RRにそれぞれ設けられ、各輪RL,RRの回転数を個別に検出する。なお、この左右後輪回転センサ6A,6Bは、いわゆるABSセンサであってもよい。
前記ステアリング機構7は、図示しないステアリングホイールと、このステアリングホイールの操作に応じて左右前輪FL,FRを転舵する舵取り機構71と、を有している。
前記ステアリング角度センサ8は、舵取り機構71に設けられ、左右前輪FL,FRの転舵角、すなわちステアリング機構7における舵角(切れ角)を検出する。
前記コントロールユニット9は、統合コントローラ91と、インバータ92と、警告表示器(警告手段)93と、を有している。
前記統合コントローラ91は、左右後輪温度センサ4A,4Bから左モータ/ジェネレータ2A及び右モータ/ジェネレータ2Bの内部温度がそれぞれ入力される。また、左右前輪回転センサ5A,5Bから左右前輪FL,FRの回転数がそれぞれ入力される。また、左右後輪回転センサ6A,6Bから左右後輪RL,RRの回転数がそれぞれ入力される。また、ステアリング角度センサ8から左右前輪FL,FRの転舵角が入力される。
そして、この統合コントローラ91は、上記センサからの入力に応じて、液圧ブレーキユニット3のブレーキアクチュエータ33に液圧ブレーキ作動指令を出力し、インバータ92に電流供給指令を出力し、警告表示器93に警告指令を出力する。
前記インバータ92は、統合コントローラ91からの電流供給指令に応じて、図示しないバッテリからの直流電流を三相交流電流に変換すると共に、左モータ/ジェネレータ2Aと右モータ/ジェネレータ2Bにそれぞれ分けて電力供給を行う。なお、このインバータ92は、左モータ/ジェネレータ2A又は右モータ/ジェネレータ2Bが回生運転したときには、各モータ/ジェネレータ2A,2Bからの三相交流電流を直流電流に変換し、バッテリに充電する。
前記警告表示器93は、例えばインストルメントパネルに設けられたメータの一部であり、統合コントローラ91からの警告指令に応じて、ドライバーに要求駆動力の低減を促す警告を表示する。つまり、アクセル踏み力を弱めさせる内容の警告を表示する。
[駆動力制御構成]
図2は、実施例1の駆動制御装置が適用されたインホイールモータ車両で実行される駆動力制御処理の流れを示すフローチャート(駆動力制御手段)である。以下、駆動力制御構成をあらわす図2の各ステップについて説明する。
ステップS1では、インホイールモータ車両1において左右回転差制御を実行しているか否かを判断する。YES(回転差制御中)の場合はエンドへ移行し、本制御を終了する。NO(回転差制御非実行)の場合はステップS2へ移行する。
ここで「左右回転差制御」とは、左モータ/ジェネレータ2Aに供給される電流と右モータ/ジェネレータ2Bに供給される電流とを、走行状態等に応じて異ならせる制御である。この左右回転差制御では、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bに供給される電流が異なるため、左モータ/ジェネレータ2Aからの出力トルクと、右モータ/ジェネレータ2Bからの出力トルクが異なり、駆動輪である左後輪RLと右後輪RRの回転数に差が生じる。
ステップS2では、ステップS1での回転差制御の非実行との判断に続き、左後輪RLと左前輪FLの回転数差(以下、「左前後回転数差ΔN1」という)、及び、右後輪RRと右前輪FRの回転数差(以下、「右前後回転数差ΔN2」という)を算出し、左前後回転数差ΔN1又は右前後回転数差ΔN2の少なくとも一方が予め設定した設定値A未満であるか否かを判断する。YES(ΔN1<設定値A又はΔN2<設定値A)の場合はエンドへ移行し、本制御を終了する。NO(ΔN1≧設定値A且つΔN2≧設定値A)の場合はステップS3へ移行する。
ここで、左前後回転数差ΔN1とは、車体左側の駆動輪(左後輪RL)の回転数と、車体左側の従動輪(左前輪FL)の回転数との差であり、左前輪回転センサ5Aの検出値と左後輪回転センサ6Aの検出値から求められる。
また、右前後回転数差ΔN2とは、車体右側の駆動輪(右後輪RR)の回転数と、車体右側の従動輪(右前輪FR)の回転数との差であり、右前輪回転センサ5Bの検出値と右後輪回転センサ6Bの検出値から求められる。
そして、設定値Aは、車輪スリップが生じたと見なすことができる最小値である。つまり、左前後回転数差ΔN1、又は、右前後回転数差ΔN2の何れか一方が設定値Aより小さい値となれば、車体の左側と右側で路面摩擦係数(路面μ)が異なる状態、いわゆるスプリットμ路を走行していることを示す。
ステップS3では、ステップS2でのΔN1≧設定値A且つΔN2≧設定値Aとの判断に続き、ステアリング機構7における舵角θをステアリング角度センサ8により検出し、この舵角θが予め設定した設定値Bを上回ったか否かを判断する。YES(θ>設定値B)の場合はエンドへ移行し、本制御を終了する。NO(θ≦設定値B)の場合はステップS4へ移行する。
ここで、設定値Bは、左右前輪FL,FRを操舵したときに左後輪RLと右後輪RRとの間に回転数差を生じさせない最大角度(ここでは中立位置)である。つまり、ステアリング機構7が操作されて中立位置に対して回動してしまい、舵角θがこの設定値Bを上回れば、左後輪RLと右後輪RRとの間に生じる回転数差に、操舵による影響を与えてしまうと判断できる。
ステップS4では、ステップS3でのθ≦設定値Bとの判断に続き、左後輪RLと右後輪RRの回転数差(以下、「駆動輪回転数差ΔN3」という)を算出し、この駆動輪回転数差ΔN3が設定値C未満であるか否かを判断する。また、左モータ/ジェネレータ2Aと右モータ/ジェネレータ2Bの供給電流値の差(以下、「供給電流差ΔE」という)を算出し、この供給電流差ΔEが設定値D未満であるか否かを判断する。YES(ΔN3<設定値C且つΔE<設定値D)の場合はエンドへ移行し、本制御を終了する。NO(ΔN3≧設定値C又はΔE≧設定値D)の場合はステップS5へ移行する。
ここで、駆動輪回転数差ΔN3とは、車体左側の駆動輪(左後輪RL)の回転数と、車体右側の駆動輪(右後輪RR)の回転数との差であり、左後輪回転センサ6Aの検出値と右後輪回転センサ6Bの検出値から求められる。また、設定値Cは、駆動輪回転数差ΔN3が生じたと判断できる最低値であり、ここではほぼ「ゼロ」である。
一方、供給電流差ΔEは、左モータ/ジェネレータ2Aへ供給される供給電流値と、右モータ/ジェネレータ2Bへ供給される供給電流値との差であり、インバータ92から各モータ/ジェネレータ2A,2Bに出力される電流値から求められる。また、設定値Dは、供給電流差ΔEが生じたと判断できる最低値であり、ここではほぼ「ゼロ」である。
ステップS5では、ステップS4でのΔN3≧設定値C又はΔE≧設定値Dとの判断に続き、左モータ/ジェネレータ2Aにおけるフリクションと、右モータ/ジェネレータ2Bにおけるフリクションとのフリクション差を推定し、ステップS6へ移行する。
ここで、フリクション差の推定は、図3(a)又は図3(b)に示すマップを用いる。すなわち、推定フリクション差は、供給電流差ΔEが設定値D未満の場合には、駆動輪回転数差ΔN3と図3(a)に示すマップに基づいて推定される。一方、駆動輪回転数差ΔN3が設定値C未満の場合には、供給電流差ΔEと図3(b)に示すマップに基づいて推定される。
なお、推定フリクション差と駆動輪回転数差ΔN3との相関関係(図3(a)に示すマップの傾き)は、車速によって異なる。そのため、ここでは、ステップS4において算出した駆動輪回転数差ΔN3を、例えば時速50kmのときの駆動輪回転数差ΔN3´に換算し、推定フリクション差を求める。
このステップS5は、左モータ/ジェネレータ2Aにおけるフリクションと、右モータ/ジェネレータ2Bにおけるフリクションとの、フリクション差を推定するフリクション差推定手段に相当する。
ステップS6では、ステップS5でのフリクション差の推定に続き、左モータ/ジェネレータ2Aの内部温度T1、及び、右モータ/ジェネレータ2Bの内部温度T2を左右後輪温度センサ4A,4Bによりそれぞれ検出し、この内部温度T1,T2の少なくとも一方が予め設定した設定値Eを上回ったか否かを判断する。YES(T1>設定値E又はT2>設定値E)の場合はステップS8へ移行し、NO(T1≦設定値E且つT2≦設定値E)の場合はステップS7へ移行する。
ここで、設定値Eは、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bに不具合を生じさせない内部温度の下限値である。
ステップS7では、ステップS6でのT1≦設定値E且つT2≦設定値Eとの判断に続き、ステップS5にて推定したフリクション差が、第2設定値Gを上回ったか否かを判断する。YES(推定フリクション差>第2設定値G)の場合はステップS8へ移行し、NO(指定フリクション差≦第2設定値G)の場合はステップS10へ移行する。
ここで、第2設定値Gは、フリクションが比較的大きいと推定される方のモータ/ジェネレータへの供給電流を増加すれば、更なるフリクション差が生じて走行機能が損なわれると判断できる推定フリクション差の下限値である。
ステップS8では、ステップS6でのT1>設定値E又はT2>設定値Eとの判断、或いは、ステップS7での推定フリクション差>第2設定値Gとの判断に続き、フリクションが比較的小さいと推定される方のモータ/ジェネレータへの供給電流を減少する、又は、フリクションが比較的小さいと推定される方のモータ/ジェネレータによって駆動される駆動輪を液圧ブレーキユニット3により制動し、ステップS9へ移行する。
ここで、「フリクションが比較的小さいと推定される方のモータ/ジェネレータ」とは、ステップS4でΔN3≧設定値Cと判断されたときには、回転数の高い車輪を駆動するモータ/ジェネレータである。また、ステップS4においてΔE≧設定値Dと判断されたときには、供給電流値の低いモータ/ジェネレータである。
すなわち、ΔN3≧設定値Cのとき、左後輪RLの回転数が高ければ、この左後輪RLの路面に対する駆動力が高く、左モータ/ジェネレータ2Aにおけるフリクションが比較的小さいと推定できる。一方、右後輪RRの回転数が高ければ、この右後輪RRの路面に対する駆動力が高く、右モータ/ジェネレータ2Bにおけるフリクションが比較的小さいと推定できる。
また、ΔE≧設定値Dのとき、左モータ/ジェネレータ2Aへの供給電流値が低ければ、この左モータ/ジェネレータ2Aの出力トルクは小さいので、左モータ/ジェネレータ2Aにおけるフリクションが比較的小さいと推定できる。一方、右モータ/ジェネレータ2Bへの供給電流値が低ければ、この右モータ/ジェネレータ2Bの出力トルクは小さいので、右モータ/ジェネレータ2Bにおけるフリクションが比較的小さいと推定できる。
また、供給電流の減少量、或いは、液圧ブレーキユニット3による制動量は、ステップS5において推定した推定フリクション差と、図4に示すマップに基づいて設定する。
ステップS9では、ステップS8での供給電流の減少又は液圧ブレーキユニット3による制動に続き、警告表示器93に要求駆動力の低減を促す警告を表示してエンドへ進み、本制御を終了する。
ステップS10では、ステップS7での指定フリクション差≦第2設定値Gとの判断に続き、ステップS5にて推定したフリクション差が、第1設定値Fを上回ったか否かを判断する。YES(推定フリクション差>第1設定値F)の場合はステップS11へ移行し、NO(指定フリクション差≦第1設定値F)の場合はエンドへ進み、本制御を終了する。
ここで、第1設定値Fは、推定されたフリクション差が無視できる値の上限値である。つまり、推定フリクション差が車両挙動に影響を与えない値の上限値である。
ステップS11では、ステップS10での推定フリクション差>第1設定値Fとの判断に続き、フリクションが比較的大きいと推定される方のモータ/ジェネレータへの供給電流を増加してエンドへ進み、本制御を終了する。
ここで、「フリクションが比較的大きいと推定される方のモータ/ジェネレータ」とは、ステップS4でΔN3≧設定値Cと判断されたときには、回転数の低い車輪を駆動するモータ/ジェネレータである。また、ステップS4においてΔE≧設定値Dと判断されたときには、供給電流値の高いモータ/ジェネレータである。
すなわち、ΔN3≧設定値Cのとき、左後輪RLの回転数が低ければ、この左後輪RLの路面に対する駆動力が小さく、左モータ/ジェネレータ2Aにおけるフリクションが比較的大きいと推定できる。一方、右後輪RRの回転数が低ければ、この右後輪RRの路面に対する駆動力が小さく、右モータ/ジェネレータ2Bにおけるフリクションが比較的大きいと推定できる。
また、ΔE≧設定値Dのとき、左モータ/ジェネレータ2Aへの供給電流値が高ければ、この左モータ/ジェネレータ2Aの出力トルクは大きくなるので、左モータ/ジェネレータ2Aにおけるフリクションが比較的大きいと推定できる。一方、右モータ/ジェネレータ2Bへの供給電流値が高ければ、この右モータ/ジェネレータ2Bの出力トルクは大きくなるので、右モータ/ジェネレータ2Bにおけるフリクションが比較的大きいと推定できる。
また、供給電流の増加量は、ステップS5において推定した推定フリクション差と、図5に示すマップに基づいて設定する。
次に、作用を説明する。
実施例1の車両の駆動制御装置における作用を、「供給電流増による駆動力均衡作用」、「供給電流減による駆動力均衡作用」、「駆動力制御の不実行時作用」に分けて説明する。
[供給電流増による駆動力均衡作用]
図6は、実施例1の駆動制御装置が適用されたインホイールモータ車両で、左右駆動輪を個別に駆動したときの推定フリクション差・左駆動輪(RL)の車輪回転数・右駆動輪(RR)側の車輪回転数・左右モータ/ジェネレータへの供給電流値の各特性を示すタイムチャートである。
実施例1のインホイールモータ車両1において、左右後輪RL,RRをそれぞれ左右モータ/ジェネレータ2A,2Bにより互いに独立して駆動し、走行する場合を検討する。このとき、以下の走行条件とする。
・左右回転差制御は実行されていない。
・左前後回転数差ΔN1、右前後回転数差ΔN2は、それぞれ設定値A以上の値となっており、車両の左側と右側で路面摩擦係数が異なるスプリットμ路を走行中ではない。
・ステアリング機構7における舵角θは設定値B以下であり、舵角θが、左後輪RLと右後輪RRとの間の生じる回転数差に影響を与えることはない。
そして、左モータ/ジェネレータ2Aへの供給電流値と、右モータ/ジェネレータ2Bへの供給電流値を同じ値とした場合、図2に示すフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む。図6に示す時刻t0〜時刻t1では、駆動輪回転数差ΔN3が設定値C未満であり、供給電流差ΔEが設定値D未満であるため、左モータ/ジェネレータ2Aにおけるフリクションと右モータ/ジェネレータ2Bにおけるフリクションは均衡していると判断され、ステップS4→エンドへと進み、駆動力制御処理は実行されない。
つまり、時刻t0〜時刻t1では、推定フリクション差が発生していない、いわゆる正常走行状態である。
時刻t1において、左モータ/ジェネレータ2Aに、例えばギヤ歯の噛み合いクリアランスの経時変化によるギヤ歯面の当たり変化が生じてフリクションが発生すると、このフリクションによって損失トルクが生じ、左モータ/ジェネレータ2Aからの出力トルクが低下する。そして、この損失トルクの影響(出力トルクの低下)により、左後輪RLの車輪回転数が低下し始める。
これにより、ステップS4において駆動輪回転数差ΔN3≧設定値Cと判断され、ステップS5→ステップS6へと進む。このとき、供給電流差ΔEは設定値D未満であるため、時速50km相当での駆動輪回転数差ΔN3´及び図3(a)に示すマップより、推定フリクション差を求めると共に、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bの内部温度T1,T2が検出される。
時刻t1〜時刻t2では、推定フリクション差が第1設定値F以下である。そのため、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bの内部温度T1,T2が共に設定値Eよりも低ければ、ステップS7→ステップS10→エンドへと進み、駆動力制御処理は実行されない。
つまり、時刻t1〜時刻t2では、推定フリクション差が発生しているものの、発生したフリクション差はごく僅かであり、車両挙動に影響を与えることはなく、無視できる状態である。
時刻t2において、推定フリクション差が第1設定値Fを上回ると、図2に示すフローチャートにおけるステップS10にてYESと判断され、ステップS11へと進む。このとき、ΔN3≧設定値Cであり、左後輪RLの車輪回転数が低下しているため、左モータ/ジェネレータ2Aにおけるフリクションが比較的大きいと推定できる。これにより、左モータ/ジェネレータ2Aに供給される供給電流値を増加する。
なお、このときの供給電流の増加量は、推定フリクション差と、図5に示すマップに基づいて設定する。また、右モータ/ジェネレータ2Bに供給される供給電流値は、変化させずに維持する。
その後、供給電流値の増加に伴って左後輪RLの車輪回転数が抑制され、時刻t3において駆動輪回転数差ΔN3<設定値C且つ供給電流差ΔE≧設定値Dとなれば、供給電流差ΔE及び図3(b)に示すマップより、推定フリクション差を求める。そして、左モータ/ジェネレータ2Aへの供給電流値の増加制御は、この供給電流差ΔEに基づいて求めた推定フリクション差が第2設定値Gに達するまで継続する。
なお、推定フリクション差が発生した後(時刻t1以降)も左モータ/ジェネレータ2Aへの供給電流値を増加しなければ、図6において破線で示すように、左後輪RLの車輪回転数は低下し続け、右後輪RRの回転数との回転数差は増大していく。このため、車両の左右駆動力差は増大し、車両挙動に影響が発生して走行安定性が低下するおそれも生じる。
また、左モータ/ジェネレータ2Aにおけるフリクションが著しく増加した場合では、左後輪RLの回転数が著しく低下してしまい、車両の走行機能が損なわれることも考えられる。
これに対し、実施例1の車両の駆動制御装置では、図6に示すように、フリクション差が推定できる場合、比較的フリクションが大きいと推定される左モータ/ジェネレータ2Aへの供給電流値を増加する。このため、フリクションによる損失トルクが供給電流値の増加によって賄われ、左モータ/ジェネレータ2Aにおいて必要な出力トルクを確保することができる。これにより、左後輪RLの車輪回転数の低下は抑制され、左後輪RLの車輪回転数と右後輪RRの車輪回転数は均衡する。この結果、各輪RL,RRの路面に対する駆動力も均衡することとなる。すなわち、左右後輪RL,RRを互いに独立して駆動する場合であっても、車両の左右駆動力差を低減し、片流れ等の意図しない車両挙動の発生を防止できる。
さらに、推定フリクション差が著しく増加した場合であっても、供給電流値を増加することで左モータ/ジェネレータ2Aにおいて必要な出力トルクが確保される。これにより、左後輪RLの車輪回転数の低下は抑制され、車両の走行機能の損失を防止することができる。
また、実施例1の駆動力制御装置では、推定フリクション差が第1設定値Fから第2設定値Gまでの間は、フリクションが比較的大きいと推定されるモータ/ジェネレータである左モータ/ジェネレータ2Aへの供給電流値を増加する。
これにより、フリクションが比較的大きいと推定される方のモータ/ジェネレータ(左モータ/ジェネレータ2A)によって駆動される左後輪RLの路面に対する駆動力を増大する。このため、左右駆動力の均衡を図ると共に、ドライバーの要求トルクを出力することができ、要求駆動力を確保することができる。そして、走行性能の低下を防止することができる。
なお、このように左右駆動力差を低減する際、フリクションが比較的大きいと推定されるモータ/ジェネレータへの供給電流値を増加して対応することは、下記に挙げるバイタルではないフリクションに対して有効である。
・モータ/ジェネレータの経時劣化、ばらつきによるフリクション
・フリクションの増加が進行しないもの、又は増加速度が著しく遅いフリクション
・例えば異物の一時的な挟まり等による一過性のフリクション
[供給電流減による駆動力均衡作用]
〈モータ内部温度正常時〉
図6に示す時刻t4において、推定フリクション差が第2設定値Gを上回ると、図2に示すフローチャートにおけるステップS7にてYESと判断され、ステップS8へと進む。このとき、供給電流差ΔE≧設定値Dであり、右モータ/ジェネレータ2Bへの供給電流値が低いため、右モータ/ジェネレータ2Bにおけるフリクションが比較的小さいと推定できる。これにより、右モータ/ジェネレータ2Bに供給される供給電流値を減少する。
なお、このときの供給電流の減少量は、推定フリクション差と、図4に示すマップに基づいて設定する。また、左モータ/ジェネレータ2Aに供給される供給電流値は、変化させずに維持する。
その後、供給電流値の減少に伴って右後輪RRの車輪回転数は減少する。一方、左モータ/ジェネレータ2Aに供給される供給電流値を維持することで、左モータ/ジェネレータ2Aにおけるフリクションに伴う損失トルクを賄うことはできず、左後輪RLの車輪回転数も減少していく。
また、このとき、図2に示すフローチャートではステップS8→ステップS9へと進み、警告表示器93に要求駆動力の低減を促す警告が表示される。
このように、実施例1の車両の駆動制御装置では、図6に示すように、推定したフリクション差が第2設定値Gを上回ったときには、フリクションが比較的小さいと推定される右モータ/ジェネレータ2Bへの供給電流値を減少する。これにより、右モータ/ジェネレータ2Bからの出力トルクが制限され、右後輪RRの路面に対する駆動力が減少する。この結果、左右後輪RL,RRにおけるフリクション差が抑制され、左右駆動力差を低減することができる。また、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bへの供給電流値を増加することはないため、著しい損失トルクが抑えられ、走行機能の損失を防止することができる。
つまり、推定フリクション差が第2設定値Gを上回ったときは、比較的フリクションが大きいと推定される左モータ/ジェネレータ2Aへの供給電流値を増加すると、更なるフリクション差(左右駆動力差)が生じて走行機能が損なわれると判断できるときである。そのため、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bへの供給電流値を必要最小限に抑えることで、フリクションの増加を抑制することができる。
なお、このように左右駆動力差を低減する際、フリクションが比較的小さいと推定されるモータ/ジェネレータへの供給電流値を減少して対応することは、特にフリクションの増加が進行する場合に有効である。
そして、このとき警告表示器93に要求駆動力の低減を促す警告を表示することで、ドライバーに必要以上の高出力運転を抑制するように知らせることができ、フリクション増加の抑制効果を向上することができる。また、警告表示器93に警告を表示することで、ドライバーに対し、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bへの供給電流値を必要最小限に抑えたために左右後輪RL,RRの回転数が低下する旨を知らせることができる。このため、出力トルク低下の現象に対するドライバーの過度な不安を和らげることができる。
〈モータ内部温度異常時〉
次に、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bの内部温度T1,T2のうち、少なくとも一方の温度が設定値Eを上回った場合について説明する。
この場合では、図2に示すフローチャートにおけるステップS6にてYESと判断され、ステップS8へと進む。これにより、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bにおけるトルク損失の増加、オーバーヒート等による著しい温度上昇が発生したときにも、フリクションが比較的小さいと推定される右モータ/ジェネレータ2Bへの供給電流値を減少し、右モータ/ジェネレータ2Bからの出力トルクが制限されて、右後輪RRの路面に対する駆動力が減少する。
この結果、フリクション増加の進行を抑制すると共に、モータ/ジェネレータの内部温度上昇を抑制することができる。
また、フリクションが比較的小さいと推定される右モータ/ジェネレータ2Bへの供給電流値を減少することで、左右後輪RL,RRのいずれであっても車輪回転数は緩やかに低下する。そのため、供給電流値を減少してもモータ内部温度が設定値Eを下回らない場合であっても、モータ/ジェネレータの機能損失を防止しつつ、車両停止を図ることができる。
なお、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bの内部温度T1,T2のうち、少なくとも一方の温度が設定値Eを上回った場合、フリクションが比較的小さいと推定されるモータ/ジェネレータへの供給電流値を減少して対応することは、特にモータ内部温度の上昇が進行する場合に有効である。
[駆動力制御の不実行時作用]
〈スプリットμ路走行時〉
次に、インホイールモータ車両1が車両の左側と右側で路面摩擦係数が異なるスプリットμ路を走行している場合を説明する。
この場合では、図2に示すフローチャートにおけるステップS2にてYESと判断され、駆動力制御処理が終了する。
これにより、スプリットμ路を走行中では、フリクション差が推定される場合であっても、左右後輪RL,RRの路面に対する左右駆動力差を低減させる制御は実行されない。
すなわち、スプリットμ路走行によって一時的な左右駆動力差が生じた場合には、供給電流値の増減等は行なわれない。この結果、実施例1の駆動力制御処理が不要な場合に供給電流値の増減等が行なわれることで、意図しない車両挙動の発生を防止することができる。
〈ステアリング角度大時〉
次に、インホイールモータ車両1のステアリング機構7における舵角が大きい場合を説明する。
この場合では、図2に示すフローチャートにおけるステップS3にてYESと判断され、駆動力制御処理が終了する。
これにより、ステアリング舵角が大きく、このステアリング操作が左右後輪RL,RRの回転数差に影響を与える場合には、左右後輪RL,RRの路面に対する左右駆動力差を低減させる制御は実行されない。
すなわち、ステアリング操作による一時的な左右駆動力差が生じた場合には、供給電流値の増減等は行なわれない。この結果、実施例1の駆動力制御処理が不要な場合に供給電流値の増減等が行なわれることで、意図しない車両挙動の発生を防止することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両の駆動制御装置にあっては、下記に挙げる効果を得ることができる。
(1) 左右一対の駆動輪(左右後輪)RL,RRと、
前記左右一対の駆動輪RL,RRを互いに独立して駆動する左駆動手段(左モータ/ジェネレータ)2A及び右駆動手段(右モータ/ジェネレータ)2Bと、
前記左駆動手段2Aにおけるフリクションと、前記右駆動手段2Bにおけるフリクションとの、フリクション差を推定するフリクション差推定手段(ステップS5)と、
前記フリクション差が推定されたとき、前記左右一対の駆動輪RL,RRの路面に対する駆動力差を低減させる制御を行う駆動力制御手段(図2)と、
を備える構成とした。
これにより、一対の左右駆動輪RL,RRを互いに独立して駆動する際、左右の駆動力差を低減し、意図しない車両挙動の発生を防止することができる。
(2) 前記駆動力制御手段(図2)は、前記左駆動手段(左モータ/ジェネレータ)2A又は前記右駆動手段(右モータ/ジェネレータ)2Bのうち、フリクションが比較的大きいと推定される方により駆動される駆動輪(左後輪)RLの路面に対する駆動力を増大させる制御を行う構成とした。
これにより、フリクションが比較的大きいと推定される駆動手段であってもドライバーの要求トルクを出力することができ、要求駆動力を確保して、走行性能の低下を防止することができる。
(3) 前記駆動力制御手段(図2)は、前記左駆動手段(左モータ/ジェネレータ)2A又は前記右駆動手段(右モータ/ジェネレータ)2Bのうち、フリクションが比較的小さいと推定される方により駆動される駆動輪(右後輪)RRの路面に対する駆動力を減少させる制御を行う構成とした。
これにより、フリクション増加の進行が抑制されて、著しい損失トルクを抑えることができ、走行機能の損失を防止することができる。
(4) 前記左駆動手段(左モータ/ジェネレータ)2A及び前記右駆動手段(右モータ/ジェネレータ)2Bの温度をそれぞれ検出する温度検出手段(左右後輪温度センサ)4A,4Bを有し、
前記駆動力制御手段(図2)は、前記検出温度が所定値(所定値E)以上になったとき、前記左駆動手段2A又は前記右駆動手段2Bのうち、フリクションが比較的小さいと推定される方により駆動される駆動輪の路面に対する駆動力を減少させる制御を行う構成とした。
これにより、フリクション増加の進行を抑制すると共に、モータ/ジェネレータの内部温度上昇を抑制することができる。
(5) 前記駆動輪(左右後輪)RL,RRの路面に対する駆動力を抑制する警告を行う警告手段(警告表示器)93を有し、
前記駆動力制御手段(図2)は、前記左駆動手段(左モータ/ジェネレータ)2A又は前記右駆動手段(右モータ/ジェネレータ)2Bのうち、フリクションが比較的小さいと推定される方により駆動される駆動輪の路面に対する駆動力を減少させる制御を行うとき、前記警告手段93による警告を実行する構成とした。
これにより、ドライバーに必要以上の高出力運転を抑制するように知らせることができ、フリクション増加の抑制効果を向上することができる。
(6) 前記左右一対の駆動輪(左右後輪)RL,RRの回転数を個別に検出する駆動輪回転数検出手段(左右後輪回転センサ)6A,6Bと、
左右一対の従動輪(左右前輪)FL,FRの回転数を個別に検出する従動輪回転数検出手段(左右前輪回転センサ)5A,5Bと、を有し、
前記駆動力制御手段(図2)は、左右それぞれの前記駆動輪RL,RRと前記従動輪FL,FRとの回転数差がいずれも所定値(設定値A)以上であって、前記フリクション差が推定されたとき、前記左右一対の駆動輪RL,RRの路面に対する駆動力差を低減させる制御を行う構成とした。
これにより、スプリットμ路走行によって一時的な左右駆動力差が生じた場合には、駆動力制御処理を実行しないことで、意図しない車両挙動の発生を防止することができる。
(7) ステアリング(ステアリング機構)7の舵角を検出する舵角検出手段(ステアリング角度センサ)8を備え、
前記駆動力制御手段(図2)は、前記ステアリング7の検出舵角が所定値(設定値B)以下であって、前記フリクション差が推定されたとき、前記左右一対の駆動輪(左右後輪)RL,RRの路面に対する駆動力差を低減させる制御を行う構成とした。
これにより、ステアリング操作による一時的な左右駆動力差が生じた場合には、駆動力制御処理を実行しないことで、意図しない車両挙動の発生を防止することができる。
以上、本発明の車両の駆動制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、推定フリクション差が第2設定値Gを上回った場合、フリクションが比較的小さいと推定される右モータ/ジェネレータ2Bへの供給電流値を減少することで、右後輪RRの路面に対する駆動力を減少する。しかしながら、例えば、フリクションが比較的小さいと推定される右モータ/ジェネレータ2Bによって駆動される右後輪RRに液圧ブレーキユニット3による制動力を作用させることで、右後輪RRの路面に対する駆動力を減少してもよい。なお、この場合では、右モータ/ジェネレータ2Bへの供給電流値の変動を不要とすることができる。
また、フリクションが比較的小さいと推定される右モータ/ジェネレータ2Bを回生運転し、この右モータ/ジェネレータ2Bによって駆動される右後輪RRに回生ブレーキによる制動力を作用させることで、右後輪RRの路面に対する駆動力を減少してもよい。
また、実施例1では、左右回転差制御を実行していないときに、左右後輪RL,RRに回転数差が生じた場合、フリクション差が発生したと推定している。つまり、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bへの供給電流値が同じ値であるときに、駆動輪回転数差ΔN3が生じればフリクション差が発生したと判断する。しかしながら、例えば、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bへの供給電流値が同じ値であるときに、車両ヨーが発生したときや、車両横方向への加速度が生じた場合であっても、フリクション差が生じたと判断してよい。さらに、車両ヨーや、車両横方向への加速度が生じていないと判断できるときに、左右モータ/ジェネレータ2A,2Bへの供給電流値が異なっていれば、フリクション差が生じたと判断してよい。
そして、実施例1では、駆動力制御を行うフリクション差の閾値(第1設定値F)を、推定されたフリクション差が無視できる値の上限値、つまり、推定フリクション差が車両挙動に影響を与えない値の上限値としている。
しかし、この駆動力制御を行うフリクション差の閾値(第1設定値F)を、例えばモータ/ジェネレータの正常駆動時のフリクション差を閾値としてもよい。なお、正常駆動時のフリクション差とは、製品精度のバラツキによるフリクションとユニット経時劣化によるフリクションとの合計値である。この場合、製品精度のバラツキとユニット経時劣化以外の要因によるフリクションが発生したとき、駆動力制御を実行することとなる。
そして、実施例1では、走行駆動源として左右モータ/ジェネレータ2A,2Bを左右後輪RL,RRに内蔵したインホイールモータ車両1に本発明の駆動力制御装置を適用した例を示したがこれに限らない。走行駆動源にエンジンを併用するハイブリッド車両や、モータ電源に燃料電池を適用した燃料電池車等であっても、左右駆動輪を互いに独立して駆動する車両であれば適用することができる。
1 インホイールモータ車両(車両)
2A 左モータ/ジェネレータ(左駆動手段)
2B 右モータ/ジェネレータ(右駆動手段)
3 液圧ブレーキユニット
4A,4B 左右後輪温度センサ(温度検出手段)
5A,5B 左右前輪回転センサ(従動輪回転数検出手段)
6A,6B 左右後輪回転センサ(駆動輪回転数検出手段)
7 ステアリング機構(ステアリング)
8 ステアリング角度センサ(舵角検出手段)
9 コントロールユニット
91 統合コントローラ
92 インバータ
93 警告表示器(警告手段)

Claims (6)

  1. 左右一対の駆動輪と、
    前記左右一対の駆動輪を互いに独立して駆動する左駆動手段及び右駆動手段と、
    前記左右一対の駆動輪の回転数を個別に検出する駆動輪回転数検出手段と、
    左右一対の従動輪の回転数を個別に検出する従動輪回転数検出手段と、
    前記左駆動手段におけるフリクションと、前記右駆動手段におけるフリクションとの、フリクション差を推定するフリクション差推定手段と、
    左右それぞれの前記駆動輪と前記従動輪との回転数差が、いずれも所定値以上であって、前記フリクション差が推定されたとき、前記左右一対の駆動輪の路面に対する駆動力差を低減させる制御を行う駆動力制御手段と、
    を備えることを特徴とする電動車両の駆動制御装置。
  2. 請求項1に記載された電動車両の駆動制御装置において、
    前記駆動力制御手段は、前記左駆動手段又は前記右駆動手段のうち、フリクションが比較的大きいと推定される方により駆動される駆動輪の路面に対する駆動力を増大させる制御を行う
    ことを特徴とする電動車両の駆動制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された電動車両の駆動制御装置において、
    前記駆動力制御手段は、前記左駆動手段又は前記右駆動手段のうち、フリクションが比較的小さいと推定される方により駆動される駆動輪の路面に対する駆動力を減少させる制御を行う
    ことを特徴とする電動車両の駆動制御装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された電動車両の駆動制御装置において、
    前記左駆動手段及び前記右駆動手段の温度をそれぞれ検出する温度検出手段を有し、
    前記駆動力制御手段は、前記温度検出手段によって検出された温度が所定値以上になったとき、前記左駆動手段又は前記右駆動手段のうち、フリクションが比較的小さいと推定される方により駆動される駆動輪の路面に対する駆動力を減少させる制御を行う
    ことを特徴とする電動車両の駆動制御装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載された電動車両の駆動制御装置において、
    前記左右一対の駆動輪の路面に対する駆動力を抑制させる警告を行う警告手段を有し、
    前記駆動力制御手段は、前記左駆動手段又は前記右駆動手段のうち、フリクションが比較的小さいと推定される方により駆動される駆動輪の路面に対する駆動力を減少させる制御を行うとき、前記警告手段による警告を実行する
    ことを特徴とする電動車両の駆動制御装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された電動車両の駆動制御装置において、
    ステアリングの舵角を検出する舵角検出手段を備え、
    前記駆動力制御手段は、前記ステアリングの検出舵角が所定値以下であって、前記フリクション差が推定されたとき、前記左右一対の駆動輪の路面に対する駆動力差を低減させる制御を行う
    ことを特徴とする電動車両の駆動制御装置。
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