JP5883246B2 - タイヤ用スパイク及びスパイクタイヤ - Google Patents
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Description
なお、通常、ピンはタングステン鋼などの超硬質の金属を用いて形成されており、ボディ及びフランジはアルミ合金や鋼鉄などの金属を用いて形成されている。
具体的には、スパイクタイヤでは、図1に示すように、最初に、トレッド部10に埋設されたスパイク11のピン12が路面13(氷路や積雪路)と接触する。次いで、ピン12と路面13との接触により穴14から一部が飛び出したボディ15が路面13と接触することにより、スパイク11が氷雪を引っ掻き、走行性能が向上する。
その結果、氷上路面でのエッジ効果と、雪上路面で雪を掻き出す効果とを共に高めることのできる、スパイクの断面形状に関する新規知見を得た。
(1)軸線方向一方の端面に凹部が形成された柱状のボディと、前記凹部に配設され、一部が前記ボディの端面から突出するピンとを備えるタイヤ用スパイクであって、
前記ピンは、当該ピンの径方向断面にて、第1の部分と、該第1の部分から当該第1の部分と折り曲げ部をなすように延びる2つの第2の部分とからなり、一方向に開口した形状であり、
回転方向が指定されるスパイクタイヤのトレッド踏面に形成した穴に打ち込まれた状態において、前記一方向は、前記指定タイヤ回転方向であり、
前記タイヤ用スパイクを前記穴に打ち込んだ状態にて、前記ピンをタイヤ周方向に投影した長さをL1とし、前記ピンをタイヤ幅方向に投影した長さをL2とするとき、比L1/L2は、
0.7≦L1/L2≦1.5
を満たすことを特徴とする、タイヤ用スパイク。
上記(1)又は(2)に記載のタイヤ用スパイクを、トレッド踏面に形成した穴に、前記一方向が前記指定タイヤ回転方向であるように有することを特徴とする、スパイクタイヤ。
図2は、本発明の一実施形態にかかるタイヤ用スパイク(以下、単にスパイクと称する)を示す図である。
図2に示すように、本発明にかかるスパイク1は、略円柱状のボディ2と、該ボディ2の軸線(ボディ2の長手方向に延びる中心軸C)方向の一方の端面2aに形成された凹部に配設されたピン3と、ボディ2の軸線方向他方の端面側に、ボディ2と一体的に設けられた抜け防止用のフランジ4とを備えている。
図3、図4に示すように、ピン3は、当該ピン3の径方向断面(ピン3の軸方向Dに垂直な断面)にて、第1の部分3aと、該第1の部分3aから当該第1の部分3aと折り曲げ部5をなすように延びる2つの第2の部分3b、3cとからなり、一方向に開口した形状である。
ここで、ピン3の軸方向とは、ボディに配設した際の、ボディの軸Cの方向と同一方向である。
図示例では、第2の部分3b、3cは、それぞれ、第1の部分3aの両端から、第1の部分3aの法線方向(同一の方向)に延びており、折り曲げ部5は、90°の角度をなしている。
以下、上記の形状のピンを凹部に配設したスパイクを、図5に示すように、回転方向が指定されるスパイクタイヤのトレッド踏面6に形成した穴7に、上記開口した方向がタイヤ回転方向となるように打ち込んだ場合の作用効果について説明する。
このとき、本発明によれば、まず、氷上路面においては、ピン3の第1の部分3aにより、蹴り出し側の幅方向エッジ成分が確保されるため、氷上制動性能及び氷上駆動性能が向上する。
さらに、ピンは、径方向断面において、タイヤ幅方向に延びる蹴り出し側の第1の部分3aと、タイヤ周方向に延びる2つの第2の部分3b、3cとによって、踏み込み側に開口した形状となっている。
このため、蹴り出し側においては閉じた形状であるため、雪を固めて雪柱せん断力を高めることができ、また、踏み込み側のみ開口した形状であるため、雪を確実に掴みつつもタイヤ回転方向に雪を掻き出す効果が高まる。従って、雪上トラクション性能が向上する。
また、2つの第2の部分3b、3cがタイヤ周方向に延びているため、車両の旋回時におけるエッジ成分を確保することができるため、氷雪路面において旋回性能が向上する。
さらにまた、折り曲げ部4を有しているため、折り曲げ角の突き刺さり効果により、折り曲げ角の無い湾曲形状と比較して、特に氷路面での制動性能が向上する。
加えて、図6(a)に示すような従来のピンと比べて、ピンを軽量化することができる。
なぜなら、90°以上とすることで、踏込時に開口部で確実に掴んだ氷雪が、蹴出時に確実に掻き出される効果を得ることができ、氷雪上駆動性能のメリットを確保し続けられるからである。一方で、135°以下とすることで、踏込時に掴んだ雪を出来るだけ逃がさない様にできるため、氷雪上駆動性能を向上することができるからである。
0.7≦L1/L2≦1.5
を満たす。
比L1/L2を0.7以上とすることにより、周方向のエッジ成分を確保して、上述の雪上トラクション性能及び車両旋回性をより向上させることができるからである。
一方で、比L1/L2を1.5以下とすることにより、幅方向のエッジ成分を確保して、上述の氷上制動性能及び氷上駆動性能をさらに向上させることができるからである。
なお、上記周方向投影長さについては、投影した際の重なり部分を含まない長さとするものとする。
また、従来例にかかるスパイクを用意した。
これらの各スパイクを、タイヤサイズ195/65R15のタイヤのトレッド部踏面の穴に打ち込み、内圧を230kPaとし、タイヤ性能を評価する以下の試験を行った。
氷上路面にて、車両を速度20km/hから急制動した際の制動距離を評価した。
従来例の制動距離を100としたときの相対値で表し、指数が小さいほど、制動距離が短く、性能に優れていることを示す。
<氷上駆動性能>
氷上路面にて、車両を静止状態から発進して速度10km/hに到達するまでの時間を評価した。
従来例での時間を100としたときの相対値で表し、指数が小さいほど、時間が短く、制動距離に優れていることを示す。
<雪上駆動性>
雪上路面にて、車両を静止状態から発進して速度20km/hに到達するまでの時間を評価した。
従来例での加速時間を100としたものであり、数値が小さいほど、時間が短く、性能に優れることを表す。
各タイヤの諸元及び評価結果を以下の表1に示す。
2 ボディ(シャンク)
2a 端面
3 ピン
3a 第1の部分
3b、3c 第2の部分
4 フランジ
5 折り曲げ部
6 トレッド部踏面
7 穴
10 トレッド部
11 スパイク
12 ピン
13 路面
14 穴
15 ボディ(シャンク)
Claims (3)
- 軸線方向一方の端面に凹部が形成された柱状のボディと、前記凹部に配設され、一部が前記ボディの端面から突出するピンとを備えるタイヤ用スパイクであって、
前記ピンは、当該ピンの径方向断面にて、第1の部分と、該第1の部分から当該第1の部分と折り曲げ部をなすように延びる2つの第2の部分とからなり、一方向に開口した形状であり、
回転方向が指定されるスパイクタイヤのトレッド踏面に形成した穴に打ち込まれた状態において、前記一方向は、前記指定タイヤ回転方向であり、
前記タイヤ用スパイクを前記穴に打ち込んだ状態にて、前記ピンをタイヤ周方向に投影した長さをL1とし、前記ピンをタイヤ幅方向に投影した長さをL2とするとき、比L1/L2は、
0.7≦L1/L2≦1.5
を満たすことを特徴とする、タイヤ用スパイク。 - 前記折り曲げ部がなす角度θは、90〜135°である、請求項1に記載のタイヤ用スパイク。
- 回転方向が指定されたスパイクタイヤであって、
請求項1又は2に記載のタイヤ用スパイクを、トレッド踏面に形成した穴に、前記一方向が前記指定タイヤ回転方向であるように有することを特徴とする、スパイクタイヤ。
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