JP5882146B2 - 長距離圧送用セメント混和材、可塑性注入材及び注入工法 - Google Patents

長距離圧送用セメント混和材、可塑性注入材及び注入工法 Download PDF

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Description

本発明は、トンネルの覆工コンクリートの背面の空洞等に、セメント系充填材が1000メートルを超える長距離圧送して注入するセメント系充填材のセメント混和材、可塑性注入材及び長距離圧送注入方法に関する。
山岳トンネル工法で施工された鉄道、道路、水路トンネルには、背面空洞が存在する場合がある。この背面空洞は、トンネルが塑性圧や偏圧を受けた場合、覆工背面より十分な地盤反力が期待できないため構造的に不利な状態となることがある。
塑性圧とは、トンネル掘削によって発生した塑性領域がその後時間の経過とともに拡大して地山がゆるみ、これがトンネル内空側に押し出されて覆工に作用する地圧のことを言う。また、偏圧とは、構造物に作用する均一でない圧力であり、たとえば、斜面に沿ったトンネルは、一方から大きな土圧を受ける。
このような背面空洞による悪影響を抑制するために、エアモルタル工法、発泡ウレタン工法、可塑性グラウト工法に代表される背面空洞への裏込め注入工法が行われている。
山岳トンネルの背面空洞、土木構造物の空洞や隙間を充填等に利用する注入材においては、目的の空洞充填部に効率的に確実に注入し、周辺の隙間等への漏れがないようにするため、又は、注入材が地下水や流水に希釈されるのを防止するため、注入材がゲル状の凝集体としての性状を有することが望ましい。
従来、このような性状、機能を有する可塑性注入材は、従来から種々研究され実用に供されている(特許文献1、特許文献2参照)。
また、このような隙間に、セメントモルタルやセメントミルクにセメント用ポリマーを流し込むことが知られている。セメント用ポリマーとしては、エチレン酢酸ビニル樹脂系ポリマーが知られているが、ポリマー自体が耐水性に劣るので、水に接触するとポリマーが再溶解するという課題があったので、これを改良した注入材が実用に供されている(特許文献3参照)。
空洞に充填材等を注入する際に、道路トンネルの場合、一車線を通行止めにして片側運行させながら、注入施工現場近くまで充填材製造プラントを設置して、そのプラント設備でセメントミルク等のA材と、可塑化材等のB材とを作製し、それらを混合させ、その場で注入施工することが行われている(特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)。
一方、一部道路トンネルや鉄道トンネルの場合は、車両を通行止めにするか、鉄道車両が運行していない夜間に工事を行う必要がある。この場合、注入作業車は注入施工現場まで移動できるが、プラント設備が大型であるため、トンネルの坑口の外に配置せざるを得ない等の問題があった。
場合により、プラント設備を小型化し、現地で少量打設を行うことが多かった。
しかし、少量打設では、必要以上の日数が掛り、またプラント設備が坑口の外の場合、充填材の運搬等の往復移動をすると作業時間がかかり、鉄道車両が運行していない夜間の限られた時間内では、作業が進みにくいため、トンネルの坑口に設置したプラント設備と注入作業車とを直接注入パイプで連結し、セメントミルク等のA材と可塑化材等のB材とを各々別の注入パイプで長距離圧送し、注入作業車の近くで混合して注入施工することが行われるが、これらの作業においては、トンネルの坑口の外や、トンネル内の現場に拘わらず、A材は数時間で硬化する場合があり、B材も静置しておくと粉体が沈降する場合があるため、作業終了時にはA材やB材の配管内の除去や洗浄及び廃棄等に多大な時間を要した。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の長距離圧送用セメント混和材を使用することにより、前述のような作業性の低下という課題を解決することができるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
特開2006−160544号公報 特開2007−146082号公報 特開2010−090019号公報 特開2009−024481号公報 特開2006−213589号公報 特開2003−278144号公報
本発明は、長距離配管でのセメントミルクや可塑化材の硬化や沈降を防ぎ、夜間(夜間工事では昼間)に、配管中にセメントミルクや可塑化材を残すことが可能で、それにより配管中のセメントミルクや可塑化材の廃棄や配管の洗浄等の仕事を大幅に減ずることができ、工期や人員等を減らすことが可能な安価な長距離圧送用セメント混和材、可塑性注入材及び注入工法を提供する。
即ち、本発明は、
(1)セメントミルクであるA材と、可塑化材であるB材及びC材とから構成され、A材がセメントとデキストリン及びセルロース誘導体からなる長距離圧送用セメント混和材を含有し、B材が硫酸アルミニウムを含有し、C材がアクリル酸エステル共重合体エマルジョンを含有してなる、可塑性注入材、
(2)長距離圧送用セメント混和材が、デキストリン100質量部に対してセルロース誘導体5〜80質量部である(1)の可塑性注入材、
(3)(1)又は(2)の可塑性注入材において、A材150〜5000容量部と、B材50容量部と、C材50容量部を、注入直前に混合してなる注入工法、
(4)A材が、セメント100質量部に対して長距離圧送用セメント混和材0.3〜2質量部である(3)の注入工法、
(5)A材の粘度が、24時間常に300mPa・s以下であることを特徴とする(3)又は(4)の注入工法、
(6)A材が、石炭灰及びベントナイトの少なくとも1種を含有してなる(3)〜(5)のいずれかの注入工法、
(7)A材とB材及びC材を、注入ノズルの先端から0.5〜30mの位置で混合して注入する(3)〜(6)のいずれかの注入工法、
である。
本発明の長距離圧送用セメント混和材、可塑性注入材及び注入工法を使用することにより、セメントミルクであるA材は、24時間以内であれば粘度変化がなく硬化しないため、当日の配管のセメントミルクの除去や掃除を簡略化できる。しかも、可塑化材であるB材及びC材を添加することにより、セメントミルクであるA材を作製してから24時間常に、可塑性を一定に保持できるので、山岳トンネルの背面空洞に充填し、土木構造物の空洞や隙間の充填部に確実に注入し、周辺の隙間等への漏れがなく、注入材が地下水や流水に希釈されるのを防ぎ、セメントミルクA材を長距離圧送が可能で、ブリーディング量を減じ、作業の段取り時間と終業片付け時間を大幅に減じた注入工法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明で使用する部や%は、特に規定のない限り質量基準である。
本発明で使用するデキストリンは、セメントの凝結を大幅に遅らせ、24時間以内のセメントミルクの粘度変化を抑え、セメント部の沈降や硬化を防ぎ、作業の簡略化に寄与するものである。
デキストリンは、一般に化工澱粉とも呼ばれ、通常、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘薯澱粉、及び米澱粉等を加水分解して得られる。なかでも、希酸を加え、分解して得られる酸焙焼デキストリンが最も一般的であり、酸浸漬法で得られるもの、澱粉の酵素分解で得られるマルトデキストリン、無焙焼で得られるブリティッシュガム、あるいは、澱粉に水を加えたものを加熱したり、アルカリや濃厚な塩類の溶液を加えてアルファー化したものを急速に脱水乾燥して得られるアルファー化澱粉、もしくは、これらを水に溶解させて残留分を乾燥させた粉末等が使用できる。この他、カルボン酸エステル化、炭酸エステル化、及びエーテル化等の化学変性をさせたものが使用できる。特に、デキストリンの20℃における冷水可溶分が5〜90%のものが好ましく、10〜65%がより好ましい。デキストリンの20℃における冷水可溶分が小さくなると充分な凝結遅延効果が得られない場合があり、デキストリンの20℃における冷水可溶分が大きくなると硬化不良を引き起こす恐れがある。
本発明で使用するセルロース誘導体としては、セメントミルク等のブリーディングの防止に寄与するものであり、特に限定されるものではないが、一般に水溶性高分子物質と呼ばれているもので、メチルセルロース(MC)、カルボキシルメチルセルロース(CMC)等が挙げられ、セメントミルク等の分離低減や圧送性の向上の効果がある。
セルロース誘導体の使用量は、デキストリン100部に対して、5〜80部が好ましく、10〜50部がより好ましい。5部未満では、ブリーディングの防止効果が小さい場合があり、80部を超えるとセメントミルクの粘度が上がり、圧送性が悪くなるばかりか、長距離圧送が不能になり経済的でない。
長距離圧送が可能とは、24時間以内にA液の粘度変化がなく、セメント部の沈降を極力抑え硬化しないということをいう。
また、長距離とは一概に規定はできないが、一般的には500m以上をいう。
デキストリンにセルロース誘導体を含有してなる長距離圧送用セメント混和材は、セメント100部に対して0.3〜2部が好ましく、0.5〜1.5部がより好ましい。0.3部未満では、24時間以内のセメントミルクの粘度変化を抑えることや、硬化を防ぐことが難しく、2部を超えると、短・長期強度発現不良の原因となる。
本発明で使用するセメントとしては、普通、早強、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグやフライアッシュ等を混合した各種混合セメント、並びに、通常市販されている各種微粒子セメントやエコセメント等が挙げられる。これらの中では、経済性や作業性が良く、スランプロスが少ない点で、普通ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
セメントのブレーン比表面積は、3000cm/g以上が好ましく、4000〜7000cm/gがより好ましい。3000cm/g未満では、初期の強度発現性の向上を十分示さない場合がある。
セメントの使用量は、1m当たり300〜1000kgが好ましく、350〜600kgがより好ましい。300kg未満では、短・長期強度の発現不良やブリーディング過多の場合があり、1000kgを超えると、セメントミルクの粘度が高く、圧送性に問題が生じ、経済的でない場合がある。
本発明で使用する硫酸アルミニウムは、無水物や結晶水を含んだものなどを水に溶解したものを使用する。硫酸アルミニウム水溶液の固形分濃度は、5〜30%が好ましい。
硫酸アルミニウムは、単独あるいは硫酸アルミニウム単独に可塑化効果を害さない範囲で溶解可能な各種添加物を併用することができる。
本発明の硫酸アルミニウム単独に可塑性効果を害さない範囲で溶解可能な各種添加物を併用するものとは、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどに代表されるアミン類、硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸リチウム、硝酸カリウムなどの硝酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウムなどの硫酸水素塩などである。
硫酸アルミニウムの使用量は、セメント100部に対して固形分で0.1〜5部が好ましく、0.5〜3部がより好ましい。0.1部未満では可塑性を得る事が難しく、5部を超えても可塑性の向上が期待できない。
本発明で使用するアクリル酸エステル共重合体エマルジョン(以下エマルジョンと言う)は、急硬スラリーの練り置き性能、安全性、及び可塑性の点で、使用することが好ましい。エマルジョンは、不飽和カルボン酸と、不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和化合物とを、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、又は塊状重合等の方法を用いて共重合することにより得られるポリマーエマルジョンである。
不飽和カルボン酸類は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸や無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸無水物、並びに、マレイン酸モノエチル等の不飽和カルボン酸半エステル等が挙げられる。これらの中では、凝結性状が大きい点で、不飽和カルボン酸が好ましく、アクリル酸及び/又はメタクリル酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和化合物は、エチレン、アクリルニトリル等のシアノビニルモノマー、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルモノマー、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルモノマーや脂肪族カルボン酸ビニルエステル、ビニルエーテルモノマー等の多官能性ビニルモノマー等が挙げられる。これらの中では、より優れた効果を示す点で、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーが好ましい。
エマルジョン中、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の共重合比(モル比)は、より優れた効果を示す点で、不飽和カルボン酸類:エチレン性不飽和化合物の共重合比(モル比)が20:1〜1:20であることが好ましく、5:1〜1:5であることがより好ましい。この範囲外では可塑化効果が悪くなる場合がある。
エマルジョンの固形分濃度は、10〜50%が好ましく、20〜40%がより好ましい。
エマルジョンの使用量は、セメント100部に対して、固形分濃度で0.05〜2部が好ましく、0.1〜1部がより好ましい。0.05部未満ではセメントミルクの注入後の可塑性が弱くなり、隙間等への漏れが発生し、セメントミルクが地下水や流水に希釈される場合があり、2部を超えるとその効果の向上が期待できないばかりか、短・長期強度が悪くなる場合がある。
可塑化材であるB材及びC材のセメントミルクであるA材への混合は、圧送されているA材の圧送管途中の枝管(Y字管又はシャワーリング管)から、B材及びC材用ポンプ等により圧入され、無駆動ミキサ(スタッティックミキサ)により混合し、注入する方法が好ましい。
本発明で使用するA材とB材及びC材の混合位置は、注入ノズルの先端から0.5〜30mが好ましく、1〜10mがより好ましい。0.5m未満では、混合が不十分で、セメントミルクが流れ出る場合があり、30mを超えると、可塑化した注入材でホースに圧力が掛かり、注入作業に不具合が生ずる場合がある。
本発明のセメントミルクであるA材の粘度が24時間常に、300mPa・s以下とは、A材を1000m以上圧送するための配管の圧力損失を考慮したものであり、長距離配管でのA材の硬化や沈降を防ぎ、夜間に(夜間工事では昼間に)、配管中にA材を残すことが可能となり、それにより配管中のセメントミルクA材の廃棄や配管の洗浄等の仕事が大幅に減ずることができ、工期や人員等を減らすことが可能となる。但し、A材の粘度が24時間常に、300mPa・sを超えると、長距離圧送のポンプ始動時に多大な圧力が掛るため、配管が破損する場合があり、好ましくない。
本発明で使用する石炭灰(フライアッシュ、他)は、例えば、火力発電所のボイラから排出される石炭燃焼灰等、石炭を燃焼させて得られた燃焼灰の総称をいう。石炭灰とは、例えば、石炭火力発電所から発生する灰であり、微粉炭燃焼によって生成し、燃焼ボイラの燃焼ガスから空気余熱器、又は節炭器等を通過する際に落下採取された石炭灰、電気集塵機で採取された石炭灰、更には燃焼ボイラの炉底に落下した石炭灰等が該当する。これらの中では、JIS規格のフライアッシュが好ましい。
石炭灰のブレーン比表面積は、2500cm/g以上が好ましく、3800〜4000cm/gがより好ましい。石炭灰の密度は、1.95g/cm以上が好ましく、2.2〜2.3g/cmがより好ましい。
石炭灰の使用量は、総粉体量で1m当たり800kg以下が好ましく、100〜600kgがより好ましく、200〜500kgが最も好ましい。100kg未満では、ブリーディングが多くなり空洞充填が不良である場合があり、600kgを超えると、長期強度発現に問題が生ずる場合があり、セメントミルクであるA材の粘度が高くなり圧送性に問題が生ずる場合がある。
本発明で使用するベントナイトは、モンモリロナイト粘土鉱物を主成分としており、例えば、ホージュン社製榛名ベントナイト等が挙げられる。ベントナイトの粒度は、45μm湿式残渣が10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
ベントナイトの使用量は、総粉体量で1m当たり300kg以下が好ましく、50〜200kgがより好ましい。300kgを超えると、長期強度発現に問題が生ずる場合があり、セメントミルクであるA材の粘度が高くなり圧送性に問題が生ずる場合がある。
本発明では、さらに、凝結調整剤を使用してもよい。
本発明で使用する注入材は、セメントミルクであるA材と可塑化材であるB材及びC材とを攪拌混合して形成される可塑性注入材であり、A材とB材及びC材を混合することにより、可塑化させることができるものである。
A材とB材及びC材との混合割合は、使用目的に応じて適宜決定されるが、必要に応じて、B材及びC材の濃度を調整したり、又A材とB材及びC材との混合比率を調整したりしてもよい。例えば、水中部や滞水部には可塑性を大きくして可塑性注入材を充填し、その他の箇所は可塑性を小さくして可塑性注入材を充填する等、使用目的に応じて適宜決定されるものである。A材とB材及びC材との混合割合は、B材50容量部、C材50容量部に対してA材150〜5000容量部が好ましく、400〜1000容量部がより好ましい。
A材とB材及びC材の混合時間は特に材料分離が生じなければ限定されるものではなく、例えば、ハンドミキサで10秒程度が好適である。
本発明で使用する可塑性注入材は、日本道路公団規格試験法であるシリンダー法によって測定されたフロー値が、80〜150mmであることが好ましく、80〜120mmであることがより好ましい。可塑性注入材のフロー値の測定には、内径80mmのシリンダーを使用するので、フロー値は80mm未満とはならず、150mmを超えると限定注入等には適さない場合がある。本発明で使用する可塑性注入材は、優れた可塑性能を有し、限定注入にも適している。
本発明で使用する可塑性注入材の注入方法は、セメントミルクであるA材を施工現場とは異なる場所で予め製造し、1000メートル以上長距離圧送した後、施工現場で、可塑化材であるB材及びC材を混合、又は施工現場とは異なる場所で予めB材及びC材を製造し、圧送して現場で混合するものである。
これらの材料の製造装置については、従来使用されている装置でよく、グラウトミキサ、モルタルミキサ、ハンドミキサ等、通常の注入材用のセメントミルクや可塑化液を作製する際に使用されているミキサを用いることができる。
更には、1000メートル以上長距離圧送したセメントミルクであるA材や可塑化材であるB材及びC材を管内に、一晩中放置することができるので、翌日、再度その材料を引き続き注入することができる。
以下、実施例、比較例を挙げてさらに詳細に内容を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
「実験例1」
表1に示すように、デキストリン100部に対してセルロース誘導体30部からなる長距離圧送用セメント混和材(以下、セメント混和材という)を、セメント100部に対して1部添加したA材を、混練り容量500Lの高速ミキサで混練りして調製した。調製したA材の粘度、ブリーディング率の経時変化を測定した。
また、B材及びC材を別にハンドミキサで混練りして調製した。調製したA材は、2インチ、途中より1.5インチの配管を通して1200m圧送した後、B材及びC材をA材に添加して可塑性注入材とし、フロー、圧縮強度を測定した。これらの結果を表2に示す。但し、可塑性注入材の圧送距離は10mで、B材及びC材はA材と混合する30分前に調整した。
なお、凝結遅延剤は、有機酸やこれにアルカリ炭酸塩等を組み合せたものが一般的に使用されるので、デキストリンの代わりに有機酸50部とアルカリ炭酸塩50部、セルロース誘導体30部を配合した長距離圧送用セメント混和材A’材を使用し、A材と同様にB材及びC材と混合して比較した。結果を表2に示す。
Figure 0005882146
<使用材料>
デキストリン:王子コーンスターチ社製、冷水可溶分50%
セルロース誘導体:メチルセルロースSM10000(信越化学社製)
有機酸:クエン酸(試薬)
アルカリ炭酸塩:炭酸ナトリウム(試薬)
セメント:普通ポルトランドセメント、ブレーン値4200cm/g、密度3.15g/cm
石炭灰:碧南火力JIS II種、ブレーン値3900cm/g、密度2.26g/cm
ベントナイト:ホージュン社製榛名ベントナイト、5μm湿式残渣が5%以下
硫酸アルミニウム水溶液:固形分濃度25%、市販品
エマルジョン:エチルアクリレート/メタクリル酸を共重合したポリマーエマルジョン(モル比45/55)、固形分濃度30%
<測定方法>
粘度:B型回転粘度計で測定。
ブリーディング率:土木学会法(φ5cmチューブ法)による。
フロー:JHS A 313、コンシステンシー試験方法のシリンダー法に準じた(φ80×80cm)。
圧縮強度:JSCE−F56及びJIS R 5201に準じた(4cm×4cm×16cmの供試体を使用)。
Figure 0005882146
表2より、A材を練置いても粘度上昇が極少なく圧送性に問題が無く、A材にB材及びC材を混合した可塑性注入材の性状及び圧縮強度発現も良好であることが分かる。これに対し、有機酸及びアルカリ炭酸塩を使用してA’材として用いたものは、ブリーディング防止効果が無く、圧縮強度発現が不良であることが分かる。
「実験例2」
表3に示すように、長距離圧送用セメント混和材の添加量を変えたA材を作製し、練置き時間を12時間としたこと以外は、実験例1と同様に行い、12時間経過したA材、B材及びC材を別々にハンドミキサで混練りして可塑性注入材を調製した。結果を表3に示す。
Figure 0005882146
表3より、セメント混和材の無添加は、A材の長時間練置きが不能であるが、セメント混和材を添加することにより可塑性注入材の良好な作業性・物性が得られる。但し入れ過ぎると圧縮強度発現が不良となる場合がある。
「実験例3」
表4に示すように、セメント混和材のデキストリン100部に対するセルロース誘導体の添加量を変えたA材を作製し、練置き時間を12時間としたこと以外は、実験例1と同様に行い、12時間経過したA材、B材及びC材を別々にハンドミキサで混練りして可塑性注入材を調製した。結果を表4に示す。
Figure 0005882146
表4より、セルロース誘導体の混和により、A材のブリーディングを抑えることが可能となることが分かる。
本発明の長距離圧送用セメント混和材、可塑性注入材及び注入工法を使用することにより、長距離配管でのセメントミルクの硬化や沈降を防ぎ、夜間(夜間工事では昼間)配管中にセメントミルクを残すことが可能で、それにより配管中のセメントミルクの廃棄や配管の洗浄等の仕事が大幅に減ずることができ、工期や人員等が減らすことが可能となる。さらに、トンネル等の背面空洞部に充填し、土木構造物の空洞や隙間の充填部に確実に注入し、周辺の隙間等への漏れがなく、注入材が地下水や流水に希釈されるのを防ぎ、可塑性注入材の長距離圧送が可能で、ブリーディング量を減じた安価な注入工法を提供することができるので、鉄道トンネルの背面空洞充填に極めて有用である。さらに、周辺の隙間等への漏れがなく、注入材が地下水や流水に希釈されるのを防ぎ、可塑性注入材の長距離圧送が可能であり、施工性の向上を実現できる。また、本発明は、各種トンネルの背面空洞充填、土木構造物の空洞充填等の裏込め、軽量盛土、埋め立て等に使用できる。

Claims (7)

  1. セメントミルクであるA材と、可塑化材であるB材及びC材とから構成され、A材がセメントとデキストリン及びセルロース誘導体からなる長距離圧送用セメント混和材を含有し、B材が硫酸アルミニウムを含有し、C材がアクリル酸エステル共重合体エマルジョンを含有してなる、可塑性注入材。
  2. 長距離圧送用セメント混和材が、デキストリン100質量部に対してセルロース誘導体5〜80質量部である請求項1に記載の可塑性注入材。
  3. 請求項1又は請求項2の可塑性注入材において、A材150〜5000容量部と、B材50容量部と、C材50容量部を、注入直前に混合してなる注入工法。
  4. A材が、セメント100質量部に対して長距離圧送用セメント混和材0.3〜2質量部である請求項3に記載の注入工法。
  5. A材の粘度が、24時間常に300mPa・s以下である請求項3又は請求項4の注入工法。
  6. A材が、石炭灰及びベントナイトの少なくとも1種を含有してなる請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の注入工法。
  7. A材とB材及びC材を、注入ノズルの先端から0.5〜30mの位置で混合して注入する請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の注入工法。
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