以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
図1に示すように、加熱補助部材1は、第1発熱体4が形成された第1支持部2と、第2発熱体5が形成された第2支持部3と、第1支持部2と第2支持部3とを連結する連結部6と、を備えている。第1支持部2及び第2支持部3は、後述する第1発熱体4及び第2発熱体5の支持体として機能するものである。第1支持部2と第2支持部3とはほぼ同一の形状および大きさに形成されている。
第1支持部2及び第2支持部3は、当該第1支持部2及び第2支持部3が谷折り可能となるよう、その中央に折り目21,31が形成されている。なお、図2に示すように、この折り目21,31は、切り抜き部211、311と折曲線212、312とによって構成されており、その中央部には円形部213,313(平面形状がほぼ円形の開口部)が形成されている。このように、折り目21,31の少なくとも一部を切り抜き部211,311とすることによって、折曲線212,312だけで折り目21、31を形成する場合に比べ、加熱使用時に第1支持部2と第2支持部3が広がった状態に戻ろうとするのをより効果的に防止することが可能となる。また、第1支持部2及び第2支持部3は、紙、不織布、織布、スポンジ、ウレタンなどによって形成することができるが、この中でも特に、被加熱物F(図5参照)からの油分や水分を吸収するという観点からは紙、不織布、織布などによって形成することが好ましい。また、加熱補助部材1を複数回使用した後に廃棄するという観点からは、紙、不織布などによって第1支持部2及び第2支持部を形成することが好ましい。
連結部6は、図1に示すように、第1支持部2の左端と、第2支持部3の右端とを2カ所において連結しており、各連結部6は所定間隔をあけて複数の(図1では2つの)連結体62として形成されている。この各連結体62は、その中央に折り目61が形成されており、この折り目61に沿って連結体62が谷折りとなるよう屈曲可能となっている。この連結体62を屈曲させることによって、第2支持部3が第1支持部2に近づき(つまり第2支持部3が第1支持部2に重なるように移動し)第2支持部3に形成された第2発熱体を被加熱物Fと接触させるよう構成されている。
連結体62の長さ、すなわち、第1支持部2と第2支持部3との間隔は、第1支持部2及び第2支持部3によって挟持する被加熱物Fによっても変わってくるが、例えば、被加熱物Fが切り身魚や切り落としの肉片の場合は5mm以上50mm以下とすることが好ましい。また、ブロック肉や厚切りパン、魚や鰯、鯵などの魚丸ごと1匹を被加熱物Fとする場合は、当該間隔は15mm以上100mm以下とすることが好ましい。この範囲内とすることで、被加熱物Fの形状に対して加熱補助部材1をフィットさせることができる。なお、この連結体62の材質としては、特に限定されるものではないが、紙、不織布等を挙げることができる。
そして、第1支持部2上には第1発熱体4が,第2支持部3上には第2発熱体5がそれぞれ形成されている。各発熱体4,5は、電子レンジの電磁波、特にマイクロ波を照射することで、被加熱物Fに焦げ目を付けることができる程度まで発熱し、具体的には約170〜250℃まで発熱するように構成されている。この各発熱体4,5は種々の構成をとることができるが、少なくともアルミニウムやニッケル、金、銀、亜鉛、白金などからなる金属薄膜を有した構成とすることができる。例えば、図3に示すように、第1発熱体4としては、紙18、接着剤15、アルミニウム(Al)蒸着層12、及びPETからなる樹脂層13といった積層構造のものを使用することができる。なお、図3では第1発熱体4の構成を開示しているが、第2発熱体5も基本的に同様の構成である。このような発熱体4,5の具体例としては、例えば、凸版印刷株式会社製のサセプター(登録商標)が商用的には入手可能である。
また、本発明による加熱補助部材1では、第1発熱体4には凹凸部が形成されている。凹凸部は、たとえばエンボス加工によって形成されていてもよく、上端部での側壁間の距離が幅lである複数の凹部14が所定の距離Lを隔てて第1発熱体4の表面に形成されている。凹部14は、第1発熱体4をロール加工やプレス加工することにより形成されている。複数の凹部14は、たとえばマトリックス状あるいは格子状に配置されていてもよいが、ランダムに配置されていてもよい。凹部14の深さは任意の深さとすることができる。
たとえば、第1発熱体4の表面形状としては、図4に示すように線状に伸びる溝としての凹部14が複数形成されていてもよい。複数の凹部14は、互いに平行に伸びる一群の凹部14と、当該一群の凹部14に対して交差するように伸びる、他の群の凹部14とを含む。この結果、凹部14の間には、平面形状が平行四辺形あるいはひし形の凸部が形成されることになる。なお、図4に示した構成における、凹部14の間の距離Lとは、互いに平行に伸びる凹部14の延在方向に対して垂直な方向における、隣接する凹部14の間の距離をいう。
また、第1発熱体4の平面形状としては、図5および図6に示すように、平面形状が円形状(断面形状も図6に示すように半円状)の凹部14が、三角格子状に配置された構成としてもよい。また、隣接する凹部14の間には、平面形状が円形状である(断面形状も図6に示すように半円状である)凸部が形成されていてもよい。なお、このような断面形状が半円状(曲線状)の凹凸部について、凹部14の間の距離Lは、以下のように定義する。
すなわち、図6を参照して、凹部14と凸部との合計幅Xは隣り合う1組の凸部25の中心間の距離とする。また、凹部14の幅lは、凸部の中心から所定の距離R0だけ離れた位置における、隣り合う凸部の表面間の距離とする。なお、この距離R0は、たとえば凸部の断面形状である半円の半径(より具体的には、たとえば凸部の中央部における曲率半径)の50%といった値を用いることができる。また、図6に示すように、凸部の幅は隣接する凹部14の間の距離L(=X−l)に対応する。
また、第1発熱体4の平面形状としては、図7に示すような構成を採用してもよい。図7に示した第1発熱体4の平面形状は、基本的には図4に示した第1発熱体4の平面形状と同様であるが、凹部14の間の凸部の平面形状がほぼ正方形状である点がことなる。また、異なる観点から言えば、図7に示した第1発熱体4では互いに平行に伸びる一群の凹部14と、当該一群の凹部14に対して交差するように伸びる他の群の凹部14との交差角度がほぼ90°である。
この凹部14の間の距離Lは5mm以下とすることが好ましい。また、より好ましくは距離Lは4mm以下である。また、距離Lは0.1mm以上とすることが好ましい。また、第2発熱体5も、上記第1発熱体4と同様の構成を備えている。つまり、第1発熱体4および第2発熱体5は、シート状であって、第1発熱体4と第2発熱体5とはほぼ同一の形状・大きさとなっている。
このように複数の凹部14が形成された第1発熱体4および第2発熱体5を用いることにより、たとえば当該第1発熱体4が台紙である第1支持部2の表面に固定された加熱補助部材1を折り曲げたときに、当該折り曲げた部分での曲げ形状を容易に維持することができる。この結果、加熱補助部材1によって加熱対象である食材などの被加熱物Fを包み込むとき、当該被加熱物Fの形状に合わせて加熱補助部材1を折り曲げ加工するときに、加熱補助部材1の形状を容易に維持することができる。このため、加熱補助部材1を被加熱物Fに容易に接触させることができるので、加熱時に被加熱物Fに対してより効率的に熱を伝えることができる。
また、加熱補助部材1を繰返し使用する場合に、第1発熱体4や第2発熱体5からの発熱によって第1支持部2または第2支持部3が局所的に焦げ付くといった問題の発生を、フラットな形状の発熱体を用いる場合よりも抑制することができる。このため、加熱補助部材1の繰返し使用回数を増大させることができる。
第1発熱体4および第2発熱体5の大きさは第1支持部2および第2支持部3よりも一回り小さい寸法に形成されている。そして、第1発熱体4および第2発熱体5は、接着剤などによってそれぞれ第1支持部2および第2支持部3の中央部に接着されることによって支持されている。図1からわかるように、第1支持部2および第2支持部3の外周縁部には第1発熱体4および第2発熱体5によって覆われておらず露出した領域が設けられている。
次に、上述した加熱補助部材の使用方法を説明する。
まず、加熱補助部材1は、使用前においては、図8に示したように、第1支持部2及び第2支持部3が折り目21、31にて谷折り方向に折り曲げられ、さらに各連結体62も折り目61にて谷折り方向に折り曲げられた状態で袋状、箱状の包装容器(図示しない)内に収容されている。
このように包装容器内に収容された加熱補助部材1を包装容器から取り出し、加熱補助部材1を図1のように広げる。そして、被加熱物Fを第1支持部2の第1発熱体4上に載置せる。そして、図9に示すように、連結体62を折り目61に沿って屈曲させて、第2支持部3を被加熱物Fの上に被せる。このとき、被加熱物Fの上面には第2発熱体5が接触している。また、第2支持部3が折り目31に沿って折れ曲がっているため、被加熱物Fに対して第2発熱体5がより広い面積で接触している。また、加熱補助部材1は、第2支持部3や連結体62が折れ曲がった状態で包装容器に収容されていたため、この連結体62と第2支持部3の折れ曲がった状態でくせが付いている。これにより、図9のように第1支持部2と第2支持部3とで被加熱物Fを挟持した状態から、図1のような第1支持部2と第2支持部3とが広がった状態へと戻ってしまうことを防止することができる。
このように、被加熱物Fを第1支持部2及び第2支持部3で挟持した状態、すなわち、被加熱物Fの下面に第1発熱体4を接触させ、被加熱物Fの上面に第2発熱体5を接触させた状態で、電子レンジを使用して誘電加熱を行う。これにより、被加熱物F自体が誘電加熱により加熱されるとともに、第1発熱体4及び第2発熱体5が誘電加熱されて約170〜250℃まで発熱し、被加熱物において発熱体と接触している面を約160〜210℃まで加熱する。これにより被加熱物Fの底面及び上面に同時に焦げ目が付く。
なお、第1発熱体4と第2発熱体5とが接触すると過加熱となる可能性があるが、第1支持部2と第2支持部3との互いに接触しやすい部分である外周縁部は露出している(すなわち発熱体4、5が形成されていない)ため、当該外周縁部においては第1発熱体4と第2発熱体5とは接触することがない。そのため、過加熱を確実に防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、図10および図11に示すように、第1支持部2の外周縁部において、第1発熱体4の周囲を囲むように壁部7を形成することができる。このように壁部7を形成することによって、加熱することで被加熱物Fから出てくる油分や水分を壁部7によって堰き止めることができる。この結果、電子レンジ内が汚れることを防止することができる。なお、この壁部7は、特に限定されるものではないが、例えば、紙、不織布、織布、スポンジ、ウレタン等によって形成することができる。また、当該壁部7を、油分や水分を吸収するような材質によって構成することがより好ましい。油分や水分を吸収するような材質の例としては、たとえば上述した紙、不織布、織布、スポンジ、ウレタン等を挙げることができるが、これら以外の材料であっても油分や水分を吸収可能であれば壁部7の材質として利用することができる。なお、この壁部7の高さは、被加熱物Fによっても変わってくるが、油分や水分を堰き止めることができつつ被加熱物Fにフィットすることができるという観点から、約5mm以下とすることが好ましい。
また、上記実施形態では第1支持部2および第2支持部3に形成された折り目21、31は一本ずつであるが、特に第1支持部2または第2支持部3における折り目21、31の本数は限定されるものではなく、二本以上とすることもできる。この折り目21、31の本数を多くすることで、曲面や凹凸面等を有し平坦ではない被加熱物Fにも各発熱体4、5を確実に接触させることができる。
また、上記実施形態では、第1支持部2及び第2支持部3は、平面視が矩形状となっていたが、特にこの形状に限定されるものではなく、平面視を円形状などといったように、対象とする被加熱物Fに合わせた形状とすることができる。
また、上記実施形態では、第1支持部2,および第2支持部3の外周縁部が露出しているが、第1発熱体4または第2発熱体5をそれぞれ第1支持部2または第2支持部3と同じ大きさとし、第1支持部2および第2支持部3の外周縁部が露出しないように構成することもできる。また、図12に示すように、互いに接触しやすい端部である、第1支持部2の右端部や第2支持部3の左端部(つまり第1支持部2および第2支持部3において連結部6の位置する端部と反対側の端部)のうち少なくともどちらか一方のみを露出させることもできる。
また、図13に示すように、第1支持部2および第2支持部3の4隅に突起部8を形成することもできる。例えば、この突起部8は第1支持部2および第2支持部3の裏面から凸状に第1支持部2および第2支持部3を押し込んで(プレス加工して)形成することができる。この突起部8を形成することで、各支持部2、3に支持された発熱体4、5同士が接触することを防止することができる。なお、この突起部8は、発熱体4、5が接触しないのであれば、その形成される位置や数は特に限定されない。たとえば、第1支持部2および第2支持部3の長辺(相対的に長い外周の辺)の中央部などに突起部8を形成してもよい。
また、上記実施形態では、連結部6を介して第1支持部2と第2支持部3とが連結しているが、連結部6を省き、第1支持部2と第2支持部3とを直接連結することもできる。また、連結部6を構成する連結体62の数は特に限定されず、例えば図14に示すように3つの連結体62によって第1支持部2と第2支持部3とを連結することもできる。
また、第1支持部2と第2支持部3とによって被加熱物Fを挟持した状態を保持するよう、第1支持部2と第2支持部3とを係合させる係合部を第1支持部2や第2支持部3の少なくともどちらか一方に形成することもできる。なお、この係合部の構成は、特に限定されるものではないが、例えば、図14に示すような、第2支持部3に形成された切欠部32と、第1支持部2に切込み23を入れることによって形成された係止部22と、によって構成することができる。この係止部22を切欠部32に係止させることで、第1支持部2と第2支持部3とで被加熱物Fを挟持した状態を維持することができる。
また、上述した構成とは逆の構成、すなわち、第1支持部2に切欠部を形成し、第2支持部に係止部を形成することもできるが、被加熱物Fを積載した後の係止作業の作業性が良く、加熱時の係止部の外れも起こりにくいという観点から、第1支持部2に係止部22を、第2支持部3に切欠部32を形成することが好ましい。なお、これら係止部22や切欠部32の数は特に限定されるものではなく、たとえば図15に示すように係合部を複数形成してもよい。図15に示した加熱補助部材1では、複数の係合部として、2つの切欠部32と、2つの係止部22とが形成されている。特に加熱補助部材1のサイズが大きくなると、より確実に第1支持部2と第2支持部3との端部を係合させるために、複数の係合部を形成することが好ましい。
また、この切欠部32を囲むように折り目33(図14参照)を形成してもよい。この折り目33を形成することで、第2支持部3の折り目33で囲われた領域が、第2支持部3のその他の部分に対して多少異なる動きをすることができる、すなわち、遊びを持たせることができる。これによって、電子レンジで被加熱物Fを加熱中に、係止部22と切欠部32との係合が外れることを防止することができる。また、図14に示すように、第2支持部3の4隅に切込み34を形成してもよい。この切込み34を形成することによって、第2支持部3自体の動きに遊びを持たせることで(つまり、第2支持部3の外周縁部が中央部に対して相対的に自由に変形できるようにすることで)、被加熱物Fの加熱中に第2支持部3が被加熱物Fを挟持した状態から開いた状態に戻ってしまうことを防止することができる。
また、上記実施形態では、第1発熱体4と第2発熱体5の大きさや形状を同一としていたが、特にこれに限定されるものではなく、第1発熱体4と第2発熱体5の大きさや形状を異なるものにすることもできる。例えば、第2発熱体5の幅(図1の左右方向での幅)を第1発熱体4の幅(図1の左右方向での幅)よりも短くすることによって、第1発熱体4と第2発熱体5とが接触しにくくするように構成することができる。なお、特に限定されるものではないが、このときの第2発熱体5の幅は、第1発熱体4の幅よりも約5mmほど短くすることができる。
また、図15に示すように、第2支持部3の上側外周縁部及び下側外周縁部にフラップ9を形成することができる。この各フラップ9は、切込み35及び折り目36によって画定されており、折り目36に沿って谷折りさせることができるように構成されている。そして、連結部6を折り目61に反って折り曲げて第1支持部2の上方に第2支持部3が配置され、被加熱物Fを挟持する状態とした場合に、フラップ9を第1支持部2側に約90度折り曲げることで、第1支持部2と第2支持部3との間に形成される隙間をフラップ9によって埋めることができる。これにより、加熱中に被加熱物Fから油や水などが飛散した場合であっても、フラップ9によってこの油や水を受け止めて電子レンジ内が汚れることを防止することができる。なお、このフラップ9は、同様の構成で第1支持部2に形成することもできるし、第1支持部2および第2支持部3の両方に形成することもできる。また、図15では、折り目36はミシン目によって形成されているが、フラップ9を谷折りさせることができれば特にミシン目に限定されるものではなく、例えば折曲線などによって形成することもできる。
また、図15に示すように、第1支持部2および第2支持部3の四隅をそれぞれ囲むように円弧状の折り目37を形成することもできる。この結果、当該四隅の折り目37が補強部として作用することにより、加熱時に第1支持部2および第2支持部3が変形して反り返るのを防止することができる。なお、第1支持部2は被加熱物Fが載置されることで反り返りはあまり発生しないため、図15に示すように、第2支持部3のみに折り目37を形成してもよい。
また、上記実施形態では、第1支持部2と第2支持部3とは、図1に示したような展開した状態と、図9に示したような第1支持部2の上方に第2支持部3が配置される状態との、2つの状態をとることができたが、展開した状態にならないような形態、すなわち、常に第1支持部2の上方に第2支持部3が配置されている形態を採用することもできる。このような例としては、図16及び図17に示すような、袋状の加熱補助部材1を挙げることができる。この袋状の加熱補助部材1は、第1発熱体4を支持する第1支持部2と、第2発熱体5を支持する第2支持部3と、を備えている。第1支持部2と第2支持部3とは、1辺の外周縁を残して、残りの3辺の外周縁同士が連結されることで袋形状を形成している。なお、この連結されていない部分は、被加熱物Fを加熱補助部材1内に入れるための開口部10(図17参照)を構成している。また、図18はこの袋状の加熱補助部材1を展開した図であるが、図18に示すように、第1発熱体4および第2発熱体5が互いに接触して過加熱となることを防止するため、第1支持部2および第2支持部3の外周縁部には第1発熱体4および第2発熱体5を形成しないことが好ましい。なお、第1支持部2の外周に、袋状を形成するためののりしろ部24が形成されているが、第2支持部3にのりしろ部24が形成されていてもよい。
また、図16に示すように、被加熱物Fを加熱補助部材1の内部に入れていない状態では、第1支持部2と第2支持部3との間の距離は、被加熱物Fの厚さよりも小さいことが好ましい。そして、図17に示すように、被加熱物Fを加熱補助部材1の内部に入れて、第1発熱体4上に被加熱物Fを載置すると、第1発熱体4および第2発熱体5が被加熱物Fに接触した状態を保持したまま、第2支持部3が第1支持部2から離間する方向に移動する。このように、加熱補助部材1を袋状にした場合であっても、被加熱物Fの上下面に第1発熱体4および第2発熱体5を接触させることができるため、被加熱物Fの両面に同時に焦げ目を付けることができ、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記変形例は、展開した状態にならない加熱補助部材1であっても上記実施形態と同様の効果を得ることができることを示す一例であり、少なくとも外周縁の一部が連結されていれば加熱補助部材1を袋状にすることには特に限定されない。例えば、図17の開口部10が形成された外周縁部の反対側の外周縁部も連結させないことによって、当該反対側の外周縁部に開口部10をもう一つ形成して筒状の加熱補助部材とすることができる。なお、加熱補助部材1を袋状にすることは、被加熱物Fから出る油や水が電子レンジ内に流れ出たり飛散したりすることを防止できるという効果を奏する点から好ましい。また、第1支持部2および第2支持部3の平面形状は、矩形状に限定されるものでもなく、種々の形状を採用することができる。
また、図19に示すように、第1支持部2と第2支持部3との連結部分(たとえば第1支持部2を平面視したときの外周縁部のうち互いに対向する1組の縁部)に伸縮部11を形成することもできる。この伸縮部11は、例えば連結部分を一旦内側に折り曲げて蛇腹状にすることで形成することができる。このように伸縮部11を形成することで、被加熱物Fを加熱補助部材1内に入れた際に、伸縮部11が伸びることで第2支持部3全体が第1支持部2に対して実質的に平行状態を保持したまま上方に移動することができる。このため、第1発熱体4および第2発熱体5を被加熱物Fの全面に均等に接触させることができる。
また、図20に示すように、第1支持部2、第2支持部3、第1発熱体4および第2発熱体5を、被加熱物Fを複数載置可能なサイズとすることもできる。これにより、同時に複数の被加熱物Fを加熱することが可能となる。この場合は、上述した実施形態と同様に1つの第1支持部2または第2支持部3につき1つの発熱体(第1発熱体4または第2発熱体5)が貼られていてもよいし、その他にも、1つの支持部(たとえば第1支持部2)につき2つ以上の発熱体が貼られていてもよい。
上記各実施形態における加熱補助部材1は、第1発熱体4および第2発熱体5に上述したような凹凸形状が形成されているため、その機能が劣化することなく複数回使用することができる。また、上記各実施形態の第1支持部2および第2支持部3に形成された折り目21、31は、省略することができる。
以下、上述した実施の形態と重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
本発明に従った加熱補助部材1は、マイクロ波の照射による誘電加熱が可能な導電性物質層を有する第1発熱体4および第2発熱体5と、当該第1発熱体4が形成された第1支持部2と、第2発熱体5が形成された第2支持部3と、を備える。第1支持部2と第2支持部3とは、第1発熱体4上に載置された被加熱物Fに第2発熱体5が接触できるように、第1発熱体4と第2発熱体5とが対向して配置可能に連結されている。第1発熱体4および第2発熱体5の少なくともいずれかには、表面に複数の凹凸部が形成されている。凹凸部における隣接する凹部14の間の距離Lは5mm以下である。
このようにすれば、上記第1発熱体4および/または第2発熱体5が、上記のような間隔で複数の凹部14が形成された凹凸部を含むので、被加熱物Fの加熱補助部材1に対する焦げ付きを抑制できるとともに、第1支持部2および第2支持部3からの第1発熱体4または第2発熱体5のはがれを抑制できる。また、上記凹部14の間の距離Lを上記のような数値範囲とすることで、加熱補助部材1を被加熱物Fの形状に沿って折り曲げたときに、加熱補助部材1の曲げ形状を容易に維持できる(つまり、加熱補助部材1において曲げ加工した屈曲部が所望の角度よりも広がってしまうことを抑制できる)。このため、加熱補助部材1を被加熱物Fの形状に沿って容易に変形させることができるので、加熱補助部材1と被加熱物Fとの接触領域の面積を大きくできる。この結果、被加熱物Fの表面をより均一に加熱できるとともに、加熱補助部材1での局所的な過加熱やこげ・変形といった問題の発生を抑制できる。したがって、繰り返し利用可能な、耐久性に優れた加熱補助部材1を得る事ができる。
上記加熱補助部材では、図3や図6に示すように凹凸部における凹部14の深さHは0.01mm以上2.0mm以下であってもよい。なお、凹部14の深さHとは、凹部14に隣接する凸部の上部表面の位置から、凹部14の底面までの深さをいう。
このように、凹部14の深さHの範囲を設定することにより、上述のような加熱補助部材の曲げ形状を容易に維持でき、また局所的な過加熱などの問題の発生を確実に抑制できる。なお、上記のように凹部14の深さHの下限を0.01mmとしたのは、この値より凹部14の深さHが小さいと、凹凸部を形成していない平坦な状態との効果の差異が出難くなる、という理由による。また、凹部14の深さHの上限を上記のように2.0mmとしたのは、この値より凹部14の深さHを深くすると、加熱補助部材の加工性が劣化する場合があるためである。なお、凹部14の深さHの下限値は、好ましくは0.02mm、より好ましくは0.05mmである。また、凹部14の深さHの上限値は、好ましくは1.5mm、より好ましくは1.0mmである。
上記加熱補助部材では、図3や図6などに示す凹凸部における凹部14の幅lは、0.5mm以上であって、凹部14の間の距離L以下であることが好ましい。なお、凹部14の幅lとは、図3に示すような構造の加熱補助部材においては凹部14の上端部における凹部14の側壁間の距離を言う。また、平面視において複数の凹部14が互いに間隔を隔てて平行に伸びている場合には、当該凹部14の伸びる方向に対して垂直な方向における凹部14の幅を、上記凹部14の幅lとする。また、凹部14の平面形状によって凹部14の幅として複数の値が規定できる場合には、当該凹部14において最も近接して対向する側壁間の距離を凹部14の幅lとする。
このように、凹部14の幅を規定することにより、上述のような加熱補助部材の曲げ形状を容易に維持でき、また局所的な過加熱などの問題の発生を抑制できるといった効果を確実に得ることができる。なお、上記のように凹部14の幅の下限を0.5mmとしたのは、この値より凹部14の幅が狭ければ上述のような効果がはっきりと得られなくなるためである。また、凹部14の幅の上限値を上記凹部14間の距離Lとしたのは、凹部14の幅が凹部14間の距離Lより大きくなると、凹部14の底面に被加熱物が接触する可能性が大きくなり、焦げ付き防止という観点から好ましくないためである。なお、凹部14の幅の下限値は、好ましくは0.7mm、より好ましくは1mm、さらに好ましくは1.5mmである。
上記加熱補助部材1において、図9や図17に示すように、第1支持部2と第2支持部3とは、第1発熱体4と第2発熱体5とが対向して配置できるように、屈曲可能に連結されていてもよい。
この場合、上記加熱補助部材1を使用して被加熱物Fを電子レンジにて加熱すると、被加熱物Fは、第1発熱体4を介して第1支持部2上に載置されるため、その底面に焦げ目が付く。そして、第1支持部2と第2支持部3とは、屈曲可能に連結されているため、第1支持部2上の第1発熱体4上に載置された被加熱物Fに、第2支持部3上の第2発熱体5が接触することができる。このため、被加熱物Fの上面にも焦げ目を付与することができる。このように上記加熱補助部材1を使用することで、被加熱物Fの両面に同時に焦げ目を付与することができる。
また、被加熱物Fの両面を同時に加熱することができるので、裏返す作業を行わなくてよく、当該作業に起因して被加熱物Fが崩れる心配がない。また、第1支持部2と第2支持部3とは連結されているため、電子レンジ内で加熱中に第2支持部3に支持された第2発熱体5が被加熱物F上から滑り落ちるなどといったことを防止することができる。
また、このように加熱補助部材1を使用して被加熱物Fとしての魚などに焦げ目を付けることで、グリルなどで魚を焼くのに比べて煙の発生を低減することができる。なお、上記被加熱物Fとは、例えば、魚や肉、加熱調理後の冷めた食品、いわゆる冷凍食品、穀類、生野菜、鶏肉などを含む概念であるが、焦げ目を付けることが特に要望されている切り身の魚や、切り身の魚と同程度の大きさの生肉であることが好ましい。また、下ごしらえした鶏肉をこの加熱補助部材1で加熱することで唐揚げを作ることもできる。
上記加熱補助部材1において、隣接する上記凹部14の間の距離Lは0.1mm以上であってもよい。また、隣接する当該凹部14の間の距離Lは0.5mm以上であってもよく、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.5mm以上である。また、隣接する凹部14の間の距離Lは、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは4mm以下である。
なお、凹部14の間の距離Lを5mm以下としたのは、当該距離Lが5mmを越えると被加熱物Fの加熱補助部材1に対する焦げ付きが当該凹凸部を形成しない場合とほぼ同等になり、焦げ付き防止という凹凸部の効果が得られなくなるためである。また、当該距離Lを5mm超えとした場合には、加熱補助部材1を曲げ加工した場合の屈曲部の戻りも大きくなり、曲げ形状を所望の形状に維持することが難しくなるという問題も発生した。また、当該距離Lの下限を0.1mmとしたのは、当該距離Lを0.1mm未満とした場合には凹凸部が細かすぎて、凹凸部を形成することによる上述の効果を十分得られなくなるためである。
上記加熱補助部材1において、上記第1支持部2と上記第2支持部3とは、屈曲可能に直接的に互いの端部が連結されていてもよいし、図1に示すように屈曲可能な連結部6を介して連結されていてもよい。この場合、たとえば第1支持部2と第2支持部3とが、互いの端部が直接的に連結された構成においては、独立した連結部6を形成する場合より加熱補助部材1の構成を簡略化できる。このため、加熱補助部材1の製造コストを低減できる。また、第1支持部2と第2支持部3とを、屈曲可能な連結部6を介して連結する場合には、連結部6のサイズや配置を調整することにより、第1支持部2と第2支持部3とを直接連結した場合に比べて第1支持部2と第2支持部3との屈曲の反発力を小さくできる。このため、第1支持部2上の第1発熱体4上に載置された被加熱物Fに、第2支持部3上に支持された第2発熱体5がより接触し易くなるので、加熱補助部材1と被加熱物Fとの接触面積が増え、被加熱物Fの上面により多く焦げ目をつけることができる。
上記加熱補助部材1において、第1支持部2と第2支持部3とが屈曲可能に連結された部分は、第1支持部2と第2支持部3とを接続するように配置されるとともに屈曲可能な連結部6を含んでいてもよく、当該連結部6は、たとえば図1に示すように、第1支持部2と第2支持部3とを部分的に連結するように形成されていてもよい。この場合、第1支持部2と第2支持部3とを直接連結した場合に比べて第1支持部2と第2支持部3との屈曲の反発力を確実に小さくできる。そのため、第1支持部2上の第1発熱体4上に載置された被加熱物に、第2支持部3上に支持された第2発熱体5がより接触し易くなるため、加熱補助部材1において被加熱物Fに接触する部分の面積(接触面積)を増やすことができる。
上記加熱補助部材1において、連結部6は、第1支持部2と第2支持部3とを部分的に連結するとともに、図1や図14などに示すように複数箇所に形成されていてもよい。この場合、連結部6を屈曲することで第2支持部3が第1支持部2上に重なるように配置されたときに、当該連結部6により第2支持部3を確実に保持できるように、連結部6の配置やサイズを設定する場合における設計の自由度を大きくできる。
上記加熱補助部材1において、連結部6は、第1支持部2と第2支持部3との間隔に対応する長さ(たとえば図1における連結体62の左右方向における長さ)が5mm以上50mm以下であってもよい。また異なる観点から言えば、上記連結部6は、第1支持部2と第2支持部3とが被加熱物Fを挟持した状態において、第1支持部2と第2支持部3との間隔が5mm以上50mm以下となるように形成されていることが好ましい。
この場合、被加熱物Fの厚さに合わせて、連結部6の長さを調整すればよく、魚の切り身などの表面に、上記第2支持部3上に支持された第2発熱体5がより接触し易くなる。
上記加熱補助部材1において、第1支持部2及び第2支持部3のうち少なくともいずれか一方の支持部は、たとえば図11に示すように、外周縁部において他方の支持部に向かって延びるように形成されたフラップ9を含んでいてもよい。
この場合、上記フラップ9が形成されているため、加熱中に被加熱物Fの油や水が電子レンジ内へ飛散することを防止することができる。なお、このフラップ9は、第1支持部2に形成されていてもよいし、第2支持部3に形成されていてもよいし、さらには第1支持部2および第2支持部3の両方に形成されていてもよい。ここで、各支持部2、3を紙で形成した場合などは加熱中に変形してくることがある。たとえば、被加熱物Fが載置されていない上側の支持部である第2支持部3は特に変形する可能性があるが、この第2支持部3にフラップ9を形成することで、変形を抑制することができる。また、第1支持部2、すなわち、下側の支持部にフラップ9を形成することで、加熱中に被加熱物Fから流れ出てきた油や水を堰き止めて電子レンジ内の汚染を防止することができる。
上記加熱補助部材1において、フラップ9は、上記一方の支持部(たとえば図15の第2支持部3)の外周縁部を折り曲げることで形成されていてもよい。この場合、フラップ9として別部材を第1支持部2または第2支持部3へ別途接続する場合より、加熱補助部材1の構成および製造工程を簡略化することができる。
上記加熱補助部材1において、第1支持部2と第2支持部3とは、第1発熱体4と第2発熱体5とが対向した状態を維持するように、たとえば図14や図15などに示すように複数箇所において連結されていてもよい。このようにすれば、第1支持部2と第2支持部3とが1箇所で連結されている場合より、第1支持部2と第2支持部3との間に被加熱物Fを挟んだ状態で確実に保持できる。
上記加熱補助部材1において、図16に示すように、第1支持部2と第2支持部3とによって筒状体を形成するように、第1支持部2と第2支持部3とは互いの外周縁部同士が連結されていてもよい。このような筒状体とすることで、当該筒状体の内部に被加熱物Fを配置することにより、第1発熱体4および第2発熱体5を被加熱物Fに確実に接触させることができる。
上記加熱補助部材1において、第1支持部2と第2支持部3とによって袋状体を形成するように、第1支持部2と第2支持部3とは少なくとも一部を残して互いの外周縁部同士が連結されていてもよい(すなわち、第1支持部2と第2支持部3とは互いの外周縁部が間欠的に連結されていてもよい)。この場合、第1支持部2および第2支持部3の外周縁部には間欠的に自由端が形成されることになるので、第1支持部2および第2支持部3の外周縁部が連続的に連結部となっている場合より、第1支持部2および第2支持部3の変形の自由度を大きくできる(つまり、被加熱物Fの形状に沿うように第1支持部2および第2支持部3を容易に変形させることができる)。
上記加熱補助部材1において、第1支持部2及び第2支持部3の少なくとも一方は、被加熱物Fの形状に沿うように構成されていてもよい。たとえば、上記加熱補助部材1において、第1支持部2と第2支持部3との少なくとも一方に、被加熱物Fの形状に沿うよう少なくとも1つの折り目(たとえば図2の折り目21または折り目31)が形成されていてもよい。
この場合、例えば魚を三枚におろした皮側のように、被加熱物Fが曲面を有しているとき、折り目21または折り目31が当該曲面に沿うことで、より被加熱物Fの表面に広範囲に発熱体(第1発熱体4または第2発熱体5)を接触させることができる。
上記加熱補助部材1において、図2に示すように、折り目21、31は第1支持部2と第2支持部3との連結部の延在方向に沿った方向に延びるように形成されていてもよい。また、上記加熱補助部材1において、折り目21、31は、折曲線212、312と切り抜き部211、311とから構成されていてもよい。このような折り目21、31が形成されることで、第1支持部2または第2支持部3を折り目21、31に沿って容易に屈曲させることができる。このため、被加熱物Fの形状に沿って、第1支持部2または第2支持部3を容易に変形させることができる。
上記加熱補助部材1において、図1、図10〜図13などに示すように、第1支持部2および第2支持部3の少なくとも一方の外周縁部に、第1発熱体4または第2発熱体5のいずれも形成しない領域を設けてもよい。この場合、各支持部の外周縁部は、もう一方の支持部と接触しやすいので、この外周縁部を露出させる、すなわち、この外周縁部に発熱体を形成しない領域を設けることで、第1支持部2に形成された第1発熱体4と、第2支持部3に形成された第2発熱体5とが直接接触することにより生じる過加熱を未然に防止することができる。
上記加熱補助部材1において、第1支持部2及び第2支持部3の少なくとも一方は、油分及び/又は水分を吸収可能であってもよい。また、異なる観点から言えば、第1支持部2及び第2支持部3のうち少なくとも一方は、加熱することによって被加熱物Fから出た油分や水分を吸収する材質で形成されていることが好ましい。この場合、加熱されることで被加熱物Fから出た油分や水分によって電子レンジ内が汚れるのを防止することができる。なお、このような油分や水分を吸収する材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、紙、不織布、織布、スポンジ、ウレタン等を挙げることができる。
上記加熱補助部材1において、図13に示すように、第1支持部2及び第2支持部3の少なくとも一方に、第1発熱体4と第2発熱体5との接触を防ぐよう、突起部8が形成されてもよい。この場合、第1支持部2及び第2支持部3の少なくとも一方に突起部8を形成して第1発熱体4と第2発熱体5との接触を防ぐことができる。この結果、過加熱を防止することができる。
上記加熱補助部材1において、第1支持部2には、第1発熱体4の周囲の少なくとも一部に壁部7が形成されていてもよい。また、上記加熱補助部材1において、第1支持部2には、図11に示すように第1発熱体4の周囲を取り囲む壁部7が形成されていてもよい。
この場合、上記壁部7によって、加熱されることにより被加熱物Fから出た油分や水分が電子レンジ内に広がることを防止できる。また、この壁部7によって、第1支持部2と第2支持部3とが接触しにくくなり、未然に過加熱を防ぐことができる。さらに、壁部7を、当該第1支持部2の外周縁部全周にわたって(第1発熱体4の周囲全周を囲むように)形成する事で、より確実に油分や水分が電子レンジ内に広がることを防止することができる。また、この壁部7を、被加熱物Fからの油分を吸収する材質で形成することでよりその効果はさらに補強される。
上記加熱補助部材1において、第1支持部2の端部及び第2支持部3の端部に、相互に係合する係合部(たとえば、図14および図15の第2支持部3に形成された切欠部32と、第1支持部2に切込み23を入れることによって形成された係止部22)が形成されていてもよい。
この場合、第2支持部3に形成された第2発熱体5が被加熱物F上に接触した状態を確実に維持することができる。このため、被加熱物Fとの接触面積を増加させて表面全体に焦げ目を付与することができ、さらには、第1発熱体4と第2発熱体5との直接的な接触を効果的に防止することもできる。
また、加熱補助部材1を箱や袋などの外装容器に収容する際は、第1支持部2、第2支持部3、を連結部6で折り曲げた状態で、かつ第1支持部2及び第2支持部3を折り目21、31から折り畳み、外装容器内にするのが好ましい。これによれば、第1支持部2や第2支持部3、連結部6は折れ曲がった状態でくせがつくため、電子レンジによる調理時に、加熱補助部材1を被加熱物Fの形状に沿ってより容易に屈曲させることができる。そのため、より広い面積で被加熱物Fに加熱補助部材1を接触させることができる。
(実験例1)
本発明による加熱補助部材における曲げ加工のしやすさ(シートのしなやかさ)を確認するため、以下のような実験を行なった。
(試料)
実験のための試料として、平面形状が四角形状であり、縦×横が30mm×60mmというサイズの発熱体を準備した。実施例の試料としては、発熱体として表面に凹凸加工が施されたものを用いた。実施例のサンプルは4種類準備した。なお、実施例2サンプルである発熱体における凹凸構造の平面形状は、図4に示した発熱体の凹凸構造と同様である。また、実施例3のサンプルの発熱体の凹凸構造は、図5および図6に示した発熱体の凹凸構造と同様である。また、実施例4のサンプルの発熱体の凹凸構造は、図7に示した発熱体の凹凸構造と同様である。
一方、比較例の試料として、発熱体としては特に凹凸加工が施されていないもの(フラットな形状のもの)および、凹凸加工は施されているが当該凹部14の間の距離Lが5mm超えのもの、すなわち具体的には当該距離Lが7.0mmとなっているもの、という2種類の比較例の発熱体を用いたサンプルを準備した。
(実験内容)
準備した実施例1〜実施例4および比較例1、比較例2の試料について、その中央部を同じ条件で折り曲げ加工した後の、当該折り曲げ部の無応力負荷時での角度を測定した。すなわち、図21に示すように、加熱補助部材に用いる発熱体について折り曲げ加工した後の無負荷状態での折り曲げ部の角度θを測定した。
(結果)
実験の結果を以下の表1に示す。
なお、表1においては、各試料での発熱体における凹部の間の距離(図3や図6に示した距離L)および凹凸部における凹部の深さ(図3や図6に示した凹部の深さH)も示している。表1からもわかるように、比較例のサンプルにおいては、折り曲げ後の角度θは40°を超える大きな角度となっていた。一方、実施例のサンプルにおいては、折り曲げ加工後の角度θは相対的に小さくなっており、いずれも30°未満となっていた。このように、本発明の実施例のサンプルにおいては、曲げ加工を行なった後において、曲げ加工された部分の曲げ形状を容易に維持できることがわかる。
(実験例2)
以下、本発明による加熱補助部材を繰返し使用した場合の耐久性を確認するため、以下のような実験を行なった。
(試料)
実施例のサンプルとして、図1および図2に示した形状の加熱補助部材を準備した。なお、当該加熱補助部材に用いられた発熱体としては、実験例1における実施例3のサンプルに用いた発熱体と同じ発熱体を用いた。また、比較例のサンプルとして、発熱体に上述した実験例1における比較例2の発熱体を用いた。
(実験)
準備した実施例および比較例のサンプルを用いてサワラの西京漬けを調理した。具体的には、株式会社東芝製の電子レンジ(型番:ER−G3)においてワット数を600W、加熱時間を3分という条件で調理した。そして、このような調理を、同じサンプルに対して3回繰返して実施した。そして、3回調理した後の加熱補助部材の状態を確認した。
(結果)
図22および図23を参照して、実験の結果を説明する。なお、図23は、図22の上半分の部分を拡大して示した写真である。図22および図23の左側が比較例のサンプルを示し、右側が実施例のサンプルを示している。
図22および図23からわかるように、比較例のサンプルにおいてはサワラの西京漬けの上側に被さるように配置されたシート上面において、加熱むらが発生したことによる焦げ付きが発生した領域100が観察された。一方、本発明の実施例のサンプルにおいては、比較例に比べて焦げ付きなどの発生は少なくなっていた。このように、本発明の実施例のサンプルにおいては、比較例のサンプルよりも繰返し調理を行なった場合における焦げ付きなどの発生が抑制されていることがわかる。
(実験例3)
本発明による加熱補助部材の繰返し調理に対する耐久性を確認するための、以下のような実験を行なった。
(試料)
上述した実験例2と同様の比較例および実施例のサンプルを準備した。
(実験)
準備したサンプルを、株式会社東芝製の電子レンジ(型番:ER−G3)を用いて加熱ワット数を600W、加熱時間を1分とし調理素材を配置しない空焼きにより加熱した。そして、当該加熱が終わった後、さらに続けて再度加熱ワット数を600W、加熱時間を1分という条件で空焼きを行なった。その後、各サンプルの状態を確認した。
(結果)
加熱処理後のサンプルの状態を図24〜図26に示す。なお、図25は、図24において右側に示された実施例のサンプルの拡大写真である。また、図26は、図24において左側に示された比較例のサンプルの拡大写真である。図24〜図26からわかるように、本発明の実施例のサンプルにおいては、上述のような繰返し加熱によってもほとんど焦げ付きむらなどは発生していなかった。一方、比較例においては、図24および図26の領域200に示すように加熱むらによるスポット的な焦げ付きが発生していた。また、図24の上側に示されたシート上面において、比較例のサンプルにおいてはやはり加熱むらによる焦げ付きが発生するとともに、シートに皺が入り、端部が捲れ上がるといったような変形が発生していた。一方実施例のサンプルにおいては、発熱体の大きな変形などは観察されなかった。
このように本発明の実施例のサンプルにおいては、繰返し加熱に対する耐久性が比較例に比べて高くなっていることが示された。
(実験例4)
本発明による加熱補助部材における調理後のこびり付き難さを確認するための、以下のような実験を行なった。
(試料)
上述した実験例1と同様の比較例および実施例のサンプルを準備した。
(実験)
準備したサンプルを用いてサワラの西京漬けを調理した。具体的には、株式会社東芝製の電子レンジ(型番:ER−G3)においてワット数を600W、加熱時間を3分という条件で調理した。そして、調理した後の加熱補助部材の状態を確認した。
(結果)
比較例のサンプルにおいては、調理したサワラの西京漬けが表面にこびり付き、身を加熱補助部材からはがす時に身が崩れたり、あるいは加熱補助部材への焦げ付きが広い面積で発生したりしていた。とくに、凹凸間隔である距離Lが7.0mmとしたサンプルでは、凹凸間隔が広すぎるためか加熱ムラにより西京漬けにおいて焦げすぎている部分が局所的に発生していた。
一方、本発明の実施例のサンプルにおいては、いずれも西京漬けの身に崩れなどは発生せず、加熱補助部材への焦げ付き面積も比較例のサンプルより十分小さくなっていた。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。