JP5881294B2 - 光束制御部材およびこれを備えた光学装置 - Google Patents

光束制御部材およびこれを備えた光学装置 Download PDF

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Description

本発明は、光束制御部材およびこれを備えた光学装置に係り、特に、光源から出射された光を被照射面に照射するのに好適な光束制御部材およびこれを備えた光学装置に関する。
従来から、薄型化および軽量化に適した光束制御部材として、光の入射領域が同心円環状(輪帯状)の複数の分割領域に分割された断面鋸刃状の形状(以下、フレネル形状と称する)を有する光束制御部材(いわゆるフレネルレンズ)が知られており、この種の光束制御部材は、薄型化が特に有利な用途や不要光の発生による影響を無視できる用途(例えば、ルーペ、照明系)などに用いられていた(例えば、特許文献1参照)。
この種の光束制御部材を照明用途の製品に組み込む場合には、フレネル形状に形成された入射領域側に、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)等の光源(発光素子)を、この光源から出射される光の中心軸が光束制御部材の光軸と同軸となるように位置合わせを行った上で固定するようになっていた。
また、この種の光束制御部材におけるフレネル形状には、光源から出射された光を屈折させる屈折面のみを備えたタイプのものと、屈折面だけでなく反射面も備えたタイプのものとがあったが、後者は、光源(例えば、LED)から大きな広がり角で出射された光を効率良く捕捉して収束させる上で前者よりも有利であった。
ここで、図14は、この種の反射面を備えた光束制御部材1の従来の設計例を示したものである。
図14に示すように、光束制御部材1は、光束の制御に関与する光軸OAを含む円板状の光束制御部2と、この光束制御部2を包囲する円筒状のコバ部3とによって構成されている。この光束制御部材1は、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィン樹脂)、EP(エポキシ樹脂)、シリコーン樹脂等の透明樹脂材料を用いた射出成形法等によって、金型を用いて一体的に形成することができる。
図14に示すように、光束制御部2は、光軸OA方向において互いに対向する入射領域4と出射領域5との2つの光束制御面4、5を有している。また、図14に断面図で示す光束制御部材1の光束制御部2は、平面図において円形となるように形成される。
ここで、図14および図15に示すように、入射領域4には、光軸OA上における入射領域4に対向する位置に配置されたLED等の光源6から出射された光Lが入射するようになっている。ただし、光源6は、光束制御部材1側に向けて光軸OA方向に対して所定の広がり角を持つ光Lを出射するようになっている。また、光源6から出射される光Lの中心軸は、光束制御部材1の光軸OAと設計上において一致している。なお、図14においては、光源6における光軸OA上の一つの発光点から発光された光Lの光路のみが示されているが、実際には、光源6全体では面発光が行われるようになっている。
一方、出射領域5には、入射領域4に入射した光源6の光Lが光束制御部2の内部を進行した後に光束制御部2の内側から入射(内部入射)するようになっており、この内部入射した光Lは、出射領域5から被照射面側に出射されるようになっている。
入射領域4について更に詳述すると、図15に断面拡大図で示す入射領域4は、光軸OAを中心とした円形の中央部8と、この中央部8を包囲する複数の突起部11とを有している。
図14および図15に示すように、複数の突起部11は、径方向(図14、図15における横方向)において互いに隣接している。
また、各突起部11は、光軸OA方向から見た形状が光軸OAを中心とした同心円環状を呈するとともに、図14および図15に示すように、光軸OA方向の断面形状(縦断面形状)が鋸刃状を呈しており、全体でフレネル形状を構成している。
さらに、図15に示すように、各突起部11は、入射面14と、この入射面14に対する光軸OAを基準(径方向の内端)とした径方向の外側の位置に形成された全反射面15とを有している。入射面14は、光軸OAを中心とした円筒面に形成されており、全反射面15は、光軸OAに対して所定の鋭角(例えば、25°)の傾斜角(テーパ角)を有する光軸OAを中心軸としたテーパ面に形成されている。これら入射面14と全反射面15とは、双方の先端部(図15における下端部)において互いに連接されている。
ここで、入射面14には、光源6から出射された光Lが入射するようになっており、この入射した光Lは、入射面14によって全反射面15側に屈折されるようになっている。
一方、全反射面15には、入射面14によって屈折された光源6の光Lが突起部11の内部側から臨界角以上の入射角で入射するようになっており、この入射した光Lは、全反射面15によって出射領域5側すなわち被照射面側に全反射されるようになっている。
なお、全反射面15は光軸OAを対称軸とした回転対象形状に形成されているため、図16に示すように、全反射面15全体からは、光軸OA方向に対して図16における時計回りを正とした±θ〔°〕の角度(鋭角)をなすようなコーン状(円錐状)の光が出射されることになる。
そして、このようにして全反射面15から出射された光は、出射領域5に到達した上で、出射領域5から被照射面に向けて出射されることになる。
このような光束制御部材1によれば、光軸OA方向に十分な高さ(例えば、0.2mm)に形成された尖鋭な突起部11を有する入射面14によって、光源6から出射された光を効率良く捕捉し、この捕捉された光の多くを全反射面15によって被照射面に向かう光路上へと全反射させるように光束を制御することができる。
これにより、光束制御部材1は、例えば、図17に示すような配光特性を得ることができる。ここで、図17は、光束制御部材1からの出射光の強度(cd)の分布すなわち光束制御部材1からの出射光の配光を示している。また、図17において、角度0°は光軸OA方向における前方(照射方向)に相当する。さらに、図17には、光軸OA方向を中心(0°)とした図14における左右への広がりを有する分布が示されている。この配光特性においては、出射光の強度が角度0°付近において最大値(ピーク強度)を示し、また、角度0°における出射光の強度が最大値に近い値を示し、さらに、最大値の半値における分布の左右への広がり幅(角度)である半値幅が30°(±15°)程度を示している。
特開2007−134316号公報
しかしながら、図17に示した配光特性を理想的な(設計上の)配光特性として、これを狙って実際に金型を用いて光束制御部材1を成形した場合には、金型における突起部11の先端部の転写面に、樹脂材料の充填不足が生じる場合があった。
そして、このような充填不足が生じた場合に実際に得られる光束制御部材1’は、例えば、図18に示すように、突起部11(入射面14)の高さが設計上の高さに対して例えば85%に低減されるとともに、突起部11の先端部に本来形成されるべきエッジが形成されておらず、その代わりにアール形状部や曲面部等の成形不良部が形成されたものとなっていた。
このような光束制御部材1’の配光特性は、図19に示すように、理想的な配光特性(図17)よりも劣化したものとなっていた。具体的には、前述のように、理想的な配光特性の場合における出射光の強度の最大値に対して、充填不足が生じた場合の出射光の強度の最大値は20%以上低減されていた。また、理想的な配光特性の場合には、角度0°において出射光の強度が最大値に近い値となるのに対して、充填不足が生じた場合には、図19に示すように、角度0°において出射光の強度が最大値を大きく下回っていた。
ここで、図18の光束制御部材1’においては、突起部11の先端部の成形不良部がレンズ面のように作用することにより、成形不良部への入射光がその曲率中心付近に集光されることになる。そして、この集光された光は、全反射面15に入射せずに、全反射面15によって全反射される正規の光路とは異なる方向へと進行して、被照射面(有効な被照射範囲)に照射されない不要光(迷光)となる。この結果、得られる配光特性が理想的なものよりも劣化することになり、このような光束制御部材1’では、出射光による被照射範囲において十分な照度が得られない。
そして、このような配光特性の劣化は、所望の光学性能を得る観点ばかりでなく、光源の光を効率的に利用する観点からも大きな問題となっていた。
ここで、かかる問題は、元を正せば突起部11の尖鋭過ぎる形状が成形上金型からの転写が困難であることによるので、初めから充填不足が生じないように金型形状の再現性が良好な突起部11の形状を設計すれば容易に解決することが可能とも思われる。
そこで、このような観点から、例えば、図20に示すような樹脂材料の充填性が改善された光束制御部材1”を考え出すことは難しくない。この光束制御部材1”は、図14〜図16に示した光束制御部材1の突起部11の先端部を、光軸OAに垂直な切断線で単純に切り落としたものである。このような光束制御部材1”は、突起部11の先端部が平坦になっているため、この先端部の転写面への樹脂材料の充填を適切に行うことができるものとなっている。
しかるに、このような光束制御部材1”は、樹脂材料の充填不足による配光特性の設計上からの劣化を抑制する点では前述の問題に対応することができるものの、突起部11の先端部(平坦部)に入射した光が、全反射面15に入射せずに、全反射面15によって全反射される正規の光路とは異なる方向へと進行して被照射面に照射されない不要光となるため、図18の光束制御部材1’と同様に、得られる配光特性(図21参照)が狙いと異なるものになる。
したがって、図20に示したように単純に突起部11の尖鋭度合いを緩和しただけでは、樹脂材料の充填不足の問題を解決できたとしても、狙いの配光特性および光利用効率を得ることができないといった問題は依然として残ってしまう。
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、製造上無理のない設計によって狙い通りの良好な配光特性を簡便かつ確実に得ることができるとともに、光利用効率を向上させることができる光束制御部材およびこれを備えた光学装置を提供することを目的とするものである。
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係る光束制御部材の特徴は、光源から出射された光が入射する入射領域と、この入射領域に光軸方向において対向し、前記入射領域に入射した光を被照射面側へ向けて出射させる出射領域とを有する光束制御部材であって、前記入射領域は、前記光軸方向から見た形状が光軸を中心とした同心円環状を呈するとともに断面形状が鋸刃状を呈するような径方向において互いに隣接する複数の突起部を有し、前記突起部は、前記光源から出射された光が入射し、この入射した光を屈折させる入射部と、この入射部に対して前記光軸を基準とした前記径方向の外側位置に形成され、前記入射部から入射した光を前記出射領域に向けて全反射させる全反射部とを有し、前記入射部は、前記被照射面側に位置する相対的に広い範囲の部位からなる第1の入射面と、この第1の入射面および前記全反射部の双方に連接された前記光源側に位置する相対的に狭い範囲の部位からなる第2の入射面とを有し、前記第2の入射面は、前記突起部の先端部が切り欠かれたような前記光源側に向かうにしたがって前記光軸に対して前記径方向の外側に傾斜された傾斜面に形成され、前記第1の入射面、前記第2の入射面および前記全反射部は、前記入射部に入射した光における前記第1の入射面に入射した第1の光と前記第2の入射面に入射した第2の光とが、少なくとも前記全反射部による全反射後に前記光軸に平行な仮想直線を挟んだ状態で交差させるとともに、それぞれ不要光とならない角度設定であり、次の(1)および(2)の各条件式、(1)QL>QL、(2)|θ|max≧|θ|max、但し、QL:前記第1の光の光量、QL:前記第2の光の光量、θ :前記全反射後の前記第1の光が前記光軸となす鋭角、θ :前記全反射後の前記第2の光が前記光軸となす鋭角(但し、θ とは異符号)、|θ |max:θ の絶対値の最大値、|θ |max:θ の絶対値の最大値、を満足する点にある。そして、この請求項1に係る発明によれば、第1の入射面と全反射部との間に第2の入射面を挟むことによって、突起部の尖鋭度合いが緩和された製造上無理のない設計を行うことができ、また、第2の入射面を傾斜面に形成することによって、第2の入射面に入射した光を全反射部へと入射させて、この入射させた光を全反射部によって被照射面に向かう光路上へと全反射させることができるので、狙い通りの良好な配光特性を簡便かつ確実に得ることができるとともに、光源から出射された光を十分に効率的に利用することができ、あわせて、製造性および歩留まりを向上させることができる。
また、第1の入射面、第2の入射面および全反射部が、全反射後の第1の光と第2の光とが光軸と平行な仮想直線を挟んだ状態で交差する角度設定とされていることにより、全反射部で全反射された第2の光の光軸を中心とした広がりを抑えることができるとともに、全反射部で全反射された第2の光を全反射部で全反射された第1の光の被照射範囲と近い領域に照射することができ、製造性および歩留まりを向上させることができるとともに光源からの光の利用効率を更に向上することができる。
更に(1)および(2)の各条件式を満足することによって、第2の光が不要光になることを確実に防止することができるので、配光特性および光利用効率をさらに向上させることができる。
また、請求項に係る光束制御部材の特徴は、請求項において、更に、前記角度設定は、前記全反射後の前記第1の光と前記第2の光とを前記仮想直線を対称軸として線対称な状態で交差させるような角度設定である点にある。そして、この請求項に係る発明によれば、全反射面上の任意の位置で全反射された第2の光を、この位置から光軸回りに180°ずれた全反射面上の他の位置で全反射された第1の光と平行な状態に制御することができるので、更に良好な配光特性を得ることができる。
さらに、請求項に係る光束制御部材の特徴は、請求項1または2において、前記入射領域は、前記複数の突起部よりも前記径方向の内側位置に、前記光源側を向いた凸面を有する点にある。そして、この請求項に係る発明によれば、光源から出射されて凸面に入射した光を、凸面によって有効に収束させることができるので、プロジェクタ等の光源として好適な平行光に近い光束を出射領域から出射させることができる。
さらにまた、請求項に係る光学装置の特徴は、光源から出射された光を被照射面に照射する光学装置であって、前記光源に対する前記光の出射側の位置に、請求項1〜のいずれか1項に記載の光束制御部材が、その入射領域を前記光源側に向けた状態で配置されている点にある。そして、この請求項に係る発明によれば、配光特性および光利用効率を向上させることができ、あわせて、製造性および歩留まりを向上させることができる。
また、請求項に係る光学装置の特徴は、請求項において、更に、前記第1の入射面および前記第2の入射面は、前記複数の突起部のそれぞれの前記入射部のうちの、前記光源から前記光軸に対して30〜60°の角度で出射された光が入射する一部の前記入射部を形成しており、その他の前記入射部は、平坦な単一の入射面のみによって形成されている点にある。そして、この請求項に係る発明によれば、LEDからの出射光量が多い角度に対応する位置に第1の入射面および第2の入射面を有する突起部を配置することにより、光源としてLEDを用いる場合における配光特性および光利用効率を確実に向上させることができるとともに、他の突起部の形状の簡素化を図ることが可能となる。
さらに、請求項に係る光学装置の特徴は、請求項において、更に、前記光源に対する前記光の出射側の位置に配置された光束制御部材は、請求項1〜のいずれか1項に記載の光束制御部材とされ、前記複数の突起部のうちの前記光軸寄りの所定数の前記突起部は、前記光源の発光面における前記径方向の端部よりも前記径方向の内側位置に配置されている点にある。そして、この請求項に係る発明によれば、光源が光束制御部材の直近に配置された薄型の光学装置において、良好な配光特性および光利用効率を確実に得ることができる。
さらにまた、請求項に係る光学装置の特徴は、請求項またはにおいて、更に、前記光源に対する前記光の出射側の位置に配置された光束制御部材は、請求項に記載の光束制御部材とされ、前記光源の発光面における前記径方向の端部は、前記凸面の外周端部よりも前記径方向の内側位置に形成されている点にある。そして、この請求項に係る発明によれば、光源から出射された光を凸面に効率良く入射させることができるので、凸面を有効に機能させて、プロジェクタ等に好適な所望の光束を確実に得ることができる。
本発明によれば、製造上無理のない設計によって狙い通りの良好な配光特性を簡便かつ確実に得ることができるとともに、光利用効率を向上させることができる。
本発明に係る光束制御部材の第1実施形態を示す正面図 図1の平面図 図1の下面図 (a)は図2のA−A断面図、(b)は(a)の部分拡大図 本発明に係る光束制御部材の第1実施形態を示す要部拡大図 本発明に係る光束制御部材の第1実施形態において、第1の光と第2の光との交差状態を説明するための説明図 本発明に係る光束制御部材の第1実施形態において、条件式を説明するための説明図 本発明に係る光束制御部材の第1実施形態において、配光特性を示すグラフ 本発明に係る光束制御部材の第2実施形態を示す構成図 本発明に係る光束制御部材の第2実施形態において、配光特性を示すグラフ 第2実施形態に対応する理想的な光束制御部材の設計例を示す構成図 本発明に係る光束制御部材の第2実施形態において、比較例となる光束制御部材を示す構成図 十分に小さい光源を用いた場合における図12の光束制御部材の配光特性と第2実施形態の光束制御部材の配光特性とを比較した比較図 理想的な光束制御部材の設計例を示す構成図 理想的な光束制御部材の要部拡大図 理想的な光束制御部材の全反射面における光の反射方向を説明するための説明図 理想的な光束制御部材の配光特性を示すグラフ 樹脂材料の充填不足による成形不良が生じた光束制御部材を示す要部拡大図 図18の光束制御部材の配光特性を示すグラフ 理想的な形状から設計を変更した光束制御部材を示す要部拡大図 図20の光束制御部材の配光特性を示すグラフ
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
なお、図14〜図21において説明した従来の光束制御部材1、1’、1”と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
図1は、本実施形態における光束制御部材21を示す正面図である。また、図2は、図1の平面図である。さらに、図3は、図1の下面図である。さらにまた、図4(a)は、図2のA−A断面図であり、図4(b)は、図4(a)の部分拡大図である。
図1〜4に示すように、本実施形態における光束制御部材21は、平面図上において円形状の光束制御部2と、この光束制御部2を包囲する円筒状のコバ部3とによって構成され、また、光束制御部2が、フレネル形状を有する入射領域4と、これに光軸OA方向において対向する出射領域5とを有する点で、従来の光束制御部材1、1’、1”と同様である。
また、このような本実施形態における光束制御部材21は、従来と同様に、入射領域4に光軸OA方向において対向する位置に、LED等の所定の広がり角を持つ光源6(面光源)を配置した状態で、光源6からの出射光束を制御して被照射面上に照射するようになっている。
ただし、本実施形態における光束制御部材21は、フレネル形状を形成する入射領域4の複数の突起部11が、従来にない特徴的な構成を備えている。
すなわち、図5に示すように、本実施形態においては、突起部11が、入射部24と、この入射部24に対する径方向の外側位置に配置された反射部としての全反射面15とを有しており、入射部24は、第1の入射面25と第2の入射面26との2つの入射面25、26によって構成されている。なお、全反射面15は、従来と同一の符号が付されているが、後述の角度設定によって、従来と同じ傾斜角(例えば、25°)に形成されていてもよし、または、従来と異なる傾斜角に形成されていてもよい。また、突起部11の高さは、図15に示した従来の突起部11の高さ(例えば、0.2mm)よりも低い高さ(例えば、0.18mm)に形成することができる。
図5に示すように、第1の入射面25は、入射部24における被照射面側(図5における上側)に位置する相対的に広い範囲の部位とされており、この第1の入射面25は、光軸OAを中心とした円筒面に形成されている。第1の入射面25は円筒面に限定されず、第1の入射面25における光源6からの光の入射角と屈折角を考慮して、第1の入射面25を経由して全反射面15で反射された光が有効な被照射範囲を照射するように調整したテーパー面に形成されてもよい。
一方、図5に示すように、第2の入射面26は、入射部24における光源6側(図5における下側)に位置する相対的に狭い範囲の部位とされており、この第2の入射面26は、第1の入射面25および全反射面15の双方の先端部(図5における下端部)に連接されている。また、第2の入射面26は、突起部11の先端部が切り欠かれたような光源6側に向かうにしたがって光軸OAに対して径方向の外側に所定の鋭角(例えば、17°)の傾斜角を有するように傾斜された傾斜面(テーパ面)に形成されている。
このように第2の入射面26を形成することにより、突起部11の先端部の頂角は42°(全反射面15の傾斜角25°+第2の入射面26の傾斜角17°)となり、第2の入射面26が形成されない場合よりも大きな頂角の突起部11とすることができる。
すなわち、突起部11の高さも低く抑えることに加え、突起部11の頂角を大きくすることができるため、成形時に金型形状を転写し易い製品形状とすることができる。
ここで、図5に示すように、第1の入射面25および第2の入射面26には、光源6から出射された光Lのうちの互いに隣接する光が、互いに異なる入射角でそれぞれ入射するようになっている。そして、第1の入射面25に入射した光(以下、第1の光と称する)および第2の入射面26に入射した光(以下、第2の光と称する)は、各入射面25、26においてスネルの法則にしたがって屈折された上で、突起部11の内部の光路を通って全反射面15に向かうようになっている。その後、第1の光および第2の光は、全反射面15に互いに異なる入射角(但し、臨界角以上の入射角)で入射した上で、全反射面15によって出射領域5に向けて互いに異なる反射角で全反射されるようになっている。
また、本実施形態において、第1の入射面25、第2の入射面26および全反射面15は、図6に示すように、全反射面15による全反射後の第1の光Lと第2の光Lとが交差するような光軸OAに対する角度設定がなされている。より具体的には、この角度設定は、全反射面15による全反射後の第1の光Lと第2の光Lとを光軸OAに平行な仮想直線VL(図6参照)を挟んだ状態で交差させるような角度設定とされている。より好ましくは、角度設定は、第1の光と第2の光とを全反射面15による全反射後に仮想直線VLを対称軸として略線対称な状態で交差させるような角度設定とする。ただし、以上のような角度設定は、全反射面15による全反射前の第1の光Lと第2の光Lとが交差することを除外するものではない。
さらに、本実施形態において、第1の入射面25、第2の入射面26および全反射部15は、次の(1)および(2)の各条件式を満足するようになっている。
QL>QL (1)
|θ |max|θ |max (2)
但し、(1)式におけるQLは、第1の光Lの光量であり、QLは、第2の光Lの光量である。また、(1)式における|θ |maxは、図7に示すように、全反射面15による全反射後の第1の光Lが光軸OAとなす鋭角θ絶対値の最大値である。さらに、(1)式における|θ |maxは、図7に示すように、全反射面15による全反射後の第2の光Lが光軸OAとなす鋭角θ絶対値の最大値である。なお、θは、図7における時計回りを正とした場合に符号が負となり、逆に、θは、符号が正となる。
ここで、(1)式を満足しない場合には、第2の入射面26が光軸方向に大きくなり過ぎることによって、第2の入射面26における被照射面側の端部側に入射した第2の光が、全反射面15による全反射後に光軸OAから離れる方向に大きく発散することになる。また、(2)式を満足しない場合にも、第2の入射面26に入射した第2の光が、全反射面15による全反射後に光軸OAから離れる方向に大きく発散することになる。
したがって(1)および(2)の条件式を満足することによって、第2の入射面26に入射した第2の光Lが不要光とならずに被照射面に向かうことができる。
以上のように構成された本実施形態によれば、第1の入射面25と全反射面15との間に第2の入射面26を挟むことによって、突起部11の尖鋭度合いが緩和された製造上無理のない設計を行うことができ、また、第2の入射面26を傾斜面に形成することによって、第2の入射面26に入射した光を全反射面15へと入射させて、この入射させた光を全反射面15によって被照射面に向かう光路上へと全反射させることができる。また、全反射面15上の任意の位置で全反射された第2の光Lを、この位置から光軸OA回りに180°ずれた全反射面15上の他の位置で全反射された第1の光Lと平行またはこれに近い状態に制御することができるので、第2の光Lの被照射範囲を第1の光Lによる被照射範囲に近似させることができ、あたかも図14および図15に示した第2の入射面26が形成されない従来の光束制御部材1によって出射されたような光またはこれと配光が近い光を被照射面上に照射することができる。さらに、(1)および(2)の条件式を満足することによって、第2の光Lが不要光になることを確実に防止することができる。
これにより、狙い通り(設計通り)の良好な配光特性を簡便かつ確実に得ることができるとともに、光源6から出射された光を十分に効率的に利用することができ、あわせて、製造性および歩留まりを向上させることができる。
具体的には、本実施形態によれば、従来の光束制御部材1に対して光束制御部材21の出射光の強度の最大値の低下を抑え、図17に示した狙いの配光特性に近い良好な配光特性を得ることができる(図8参照)。
上記構成に加えて、更に、第1の入射面25および第2の入射面26を、複数の突起部11に形成された各入射部24のうちの、光源6から光軸OAに対して30〜60°の角度で出射された光が入射する一部の入射部24のみに形成し、その他の入射部11には、図14と同様な平坦な単一の入射面14のみを形成してもよい。このように構成すれば、一般的なLEDからの出射光はランバート分布の配光特性を有するため、LEDからの出射光量が多い角度に対応する位置に第1の入射面25および第2の入射面26を有する突起部11を配置することにより、配光特性および光利用効率を確実に向上させることができるとともに、他の突起部の形状の簡素化を図ることが可能となる。
上記構成に加えて、更に、複数の突起部11のうちの光軸OA寄りの所定数の突起部11は、光源6の発光面における径方向の端部よりも径方向の内側位置に配置してもよい。このように構成すれば、光源6が光束制御部材21の直近に配置された薄型の光学装置において、良好な配光特性および光利用効率を確実に得ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心に、図9〜図13を参照して説明する。なお、第1実施形態と基本的な構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
本実施形態においては、第1実施形態における狙いの配光特性(図17参照)よりもさらに光軸OA側(0°側)に光束が集中するような配光特性、すなわち、第1実施形態における狙いの配光特性よりも前述した半値幅が狭く、かつピーク強度が大きい配光特性を狙いとしている。
そして、このような本実施形態に特有の配光特性を実現すべく、本実施形態の構成は、第1実施形態の構成に対して以下に示すような相違点を有している。
すなわち、図9に示すように、本実施形態の第1実施形態との相違点は、入射領域4における各突起部11に対する径方向の内側の部位の形状(すなわち、中央部8の形状)および中央部8に対する光源6の発光面の相対的な大きさにある。
具体的には、図9に示すように、本実施形態における光束制御部材31は、中央部8が、第1実施形態のような光軸OAに直交する平面ではなく、光源6側に向かって凸の凸面(曲面)に形成されている。以下、本実施形態における中央部8を、凸面8と称することとする。この凸面8は、例えば、光軸OAと同心の球面レンズ面であってもよいし、または、光軸OAと同心の非球面レンズ面であってもよい。
また、本実施形態においては、光源6の発光面における径方向の端部が、凸面8の外周端部よりも径方向の内側位置に形成されている。このことは、図9に示すように、光束制御部材31に対して光源6が十分に小さいことを示している。
その他の構成は、第1実施形態と基本的に同様であるので、詳細は第1実施形態に説明を譲る。
このような本実施形態の構成によれば、図10に示すように、本実施形態において狙いとする配光特性を確実に得ることができる。同図の配光特性は、プロジェクタ等の平行光に近い光束を出射させることが求められる用途において好ましい配光特性である。なお、本実施形態における光源6と従来の設計例(図14)における光源6とは同一の配光特性であるが、強度は異なるため、図10の配光特性のグラフにおける強度〔cd〕と、図17の配光特性のグラフにおける強度とを比較することは無意味である。
ところで、このような図10の配光特性は、図11に示すような突起部11が尖鋭とされた光束制御部材31’と、この光束制御部材31’に対して十分に小さい光源6とを用いることによっても実現できると思われる。しかるに、このような突起部11が尖鋭とされた光束制御部材31’は、第1実施形態において理想とした光束制御部材1と同様の理由により、あくまでも設計上において実現できるものであり、実際に金型を用いた樹脂成形によって製造することは極めて困難である。したがって、このような光束制御部材31’と光源6とによって図10の配光特性を得るには高度な成形技術を要する。
また、図12に示す光束制御部材31”と、本実施形態における光束制御部材31とについて、これら光束制御部材31”、31に対して十分に小さい光源6を用いた場合における配光特性を比較すると、図13(a)および(b)に示すものとなる。なお、同図における横軸は、光軸OA方向を中心(0°)とした左右(±)への広がり角度〔°〕を示しており、また、同図における縦軸は、所定の光度を基準(100%)とした相対光度〔%〕を示している。また、図13(b)は、図13(a)のうちの狭角側(光軸OA側)の配光特性を抜粋して詳細に表示したものである。ここで、図9に示した凸面8を備えた光束制御部材31の配光特性は、図13(a)および(b)において黒丸(●)のプロットによって示されている。この光束制御部材31のピーク強度は、図13(a)および(b)に三角(△)のプロットで示される中央部8が平面で形成された光束制御部材31”のピーク強度に対して約4%高くなる。このように、中央部8を凸面で形成することにより、狭い配光特性を維持したまま、ピーク強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、中央部8の平面形状が半径0.55mmの円形である光束制御部材31”に、1.0mm角の光源6を組み合わせた例について示したが、光源6のサイズを小さくすることにより、ピーク強度を更に向上させることができる。例えば、0.3mm角の光源6を用いる場合には、中央部8が平面である場合と比較して、中央部8が凸面である場合には、狭い配光特性を維持した状態で、ピーク強度を約10%向上させることができる。
したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、突起部11の各々に2つの入射面25、26を形成することにより、狙いとする狭い配光特性を製造上無理なく実現することができ、更に、中央部8を凸面とすることによって、ピーク強度を向上させることができる。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
例えば、本実施形態における光束制御部材21は、スポット系照明、例えば、ショウウインドウの照明や携帯電話に搭載された撮像カメラ用の照明(フラッシュ)等に有効に適用することができる。
4 入射領域
5 出射領域
11 突起部
15 全反射面
25 第1の入射面
26 第2の入射面

Claims (7)

  1. 光源から出射された光が入射する入射領域と、
    この入射領域に光軸方向において対向し、前記入射領域に入射した光を被照射面側へ向けて出射させる出射領域と
    を有する光束制御部材であって、
    前記入射領域は、前記光軸方向から見た形状が光軸を中心とした同心円環状を呈するとともに断面形状が鋸刃状を呈するような径方向において互いに隣接する複数の突起部を有し、
    前記突起部は、前記光源から出射された光が入射し、この入射した光を屈折させる入射部と、この入射部に対して前記光軸を基準とした前記径方向の外側位置に形成され、前記入射部から入射した光を前記出射領域に向けて全反射させる全反射部とを有し、
    前記入射部は、前記被照射面側に位置する相対的に広い範囲の部位からなる第1の入射面と、この第1の入射面および前記全反射部の双方に連接された前記光源側に位置する相対的に狭い範囲の部位からなる第2の入射面とを有し、
    前記第2の入射面は、前記突起部の先端部が切り欠かれたような前記光源側に向かうにしたがって前記光軸に対して前記径方向の外側に傾斜された傾斜面に形成され、
    前記第1の入射面、前記第2の入射面および前記全反射部は、前記入射部に入射した光における前記第1の入射面に入射した第1の光と前記第2の入射面に入射した第2の光とが、少なくとも前記全反射部による全反射後に前記光軸に平行な仮想直線を挟んだ状態で交差させるとともに、それぞれ不要光とならない角度設定であり、
    次の(1)および(2)の各条件式、
    QL>QL (1)
    |θ|max≧|θ|max (2)
    但し、
    QL:前記第1の光の光量
    QL:前記第2の光の光量
    θ :前記全反射後の前記第1の光が前記光軸となす鋭角
    θ :前記全反射後の前記第2の光が前記光軸となす鋭角(但し、θ とは異符号)
    |θ |max:θ の絶対値の最大値
    |θ |max:θ の絶対値の最大値
    を満足すること
    を特徴とする光束制御部材。
  2. 前記角度設定は、前記全反射後の前記第1の光と前記第2の光とを前記仮想直線を対称軸として線対称な状態で交差させるような角度設定であること
    を特徴とする請求項1に記載の光束制御部材。
  3. 前記入射領域は、前記複数の突起部よりも前記径方向の内側位置に、前記光源側を向いた凸面を有すること
    を特徴とする請求項1または2に記載の光束制御部材。
  4. 光源から出射された光を被照射面に照射する光学装置であって、
    前記光源に対する前記光の出射側の位置に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光束制御部材が、その入射領域を前記光源側に向けた状態で配置されていること
    を特徴とする光学装置。
  5. 前記第1の入射面および前記第2の入射面は、前記複数の突起部のそれぞれの前記入射部のうちの、前記光源から前記光軸に対して30〜60°の角度で出射された光が入射する一部の前記入射部を形成しており、
    その他の前記入射部は、平坦な単一の入射面のみによって形成されていること
    を特徴とする請求項4に記載の光学装置。
  6. 前記光源に対する前記光の出射側の位置に配置された光束制御部材は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光束制御部材とされ、
    前記複数の突起部のうちの前記光軸寄りの所定数の前記突起部は、前記光源の発光面における前記径方向の端部よりも前記径方向の内側位置に配置されていること
    を特徴とする請求項5に記載の光学装置。
  7. 前記光源に対する前記光の出射側の位置に配置された光束制御部材は、請求項3に記載の光束制御部材とされ、
    前記光源の発光面における前記径方向の端部は、前記凸面の外周端部よりも前記径方向の内側位置に形成されていること
    を特徴とする請求項4または5に記載の光学装置。
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