JP5880483B2 - 導電性粒子、その製造方法、導電性組成物、導電性部材および画像形成装置 - Google Patents

導電性粒子、その製造方法、導電性組成物、導電性部材および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、導電性粒子、当該導電性粒子の製造方法、当該導電性粒子を含有する導電性組成物、当該導電性組成物を含む導電性部材、および、当該導電性部材を有する画像形成装置、に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、一般に、感光体に形成したトナー画像を、感光体から中間転写ベルトに、次いで中間転写ベルトから記録媒体に転写する。中間転写ベルトには、例えば、導電性と可撓性を有する無端状のベルトが使用される。このような導電性ベルトは、例えば、導電性カーボンブラック粒子が分散された樹脂やゴムなどの導電性組成物で構成される。このような導電性ベルトの導電性は、導電性カーボンブラック粒子の含有量によって調整される。
しかしながら、導電性カーボンブラック粒子の含有量がある値を超えると、得られる導電性ベルトの電気抵抗は大幅に低下する。このような導電性カーボンブラック粒子の含有量のわずかな増加によって導電性ベルトの電気抵抗が大幅に低下する現象は、パーコレーションと呼ばれている。このため、パーコレーションが発生する含有量の近傍の含有量で導電性カーボンブラック粒子を添加することで発現される導電性ベルトの表面抵抗率、例えば半導電性と言われる1.0×10〜1.0×1013Ω/□、に、導電性ベルトの表面抵抗率を調整することは難しい。
上記パーコレーションを防止することが可能な技術には、例えば、導電性カーボンブラック粒子の表面にシリカを被覆する方法(例えば、特許文献1参照)や、導電性カーボンブラック粒子の表面を樹脂で物理的に被覆する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。これらの技術では、導電性カーボンブラック粒子同士の接触による導電路の形成が防止される。
特開2002−270032号公報 特開2012−46740号公報
前者の技術では、導電性カーボンブラック粒子とシリカを機械的に混合すること、または、導電性カーボンにSiOガスを接触させること、によって、導電性カーボンブラック粒子の表面がシリカで被覆される。しかしながら、機械的に混合する方法では、導電性カーボンブラック粒子の表面を覆うシリカの被覆層の厚みを均一に制御することが困難である。また、SiOガスに接触させる方法では、シリカの被覆層の表面にシラノール基が存在し、被覆された導電性カーボンブラック粒子間に水素結合が形成される。このため、被覆された導電性カーボンブラック粒子を、導電性ベルトを構成する基材樹脂に混合したときに、被覆された導電性カーボンブラック粒子が凝集しやすく、被覆された導電性カーボンブラック粒子の分散性が不十分となることがある。
また、後者の技術では、導電性カーボンブラック粒子とそれを覆う樹脂層との間の接触抵抗が高すぎるようになり、あるいは、樹脂で形成される被覆層の厚さが不均一となることがある。このため、所期の導電性を有する導電性部材を安定して得ることが困難である。
本発明の目的は、導電性部材の基材樹脂への分散性に優れ、所期の導電性を有し、かつ、導電性部材におけるパーコレーションを防止することが可能な導電性粒子を提供することである。
また、本発明の別の目的は、当該導電性粒子を含有する導電性組成物、導電性部材、および、当該導電性部材を有する画像形成装置を提供することである。
本発明は、導電性カーボンブラック粒子と、当該導電性カーボンブラック粒子の表面を被覆する被覆層と、を有する導電性粒子であって、当該導電性カーボンブラック粒子の数平均一次粒径は、20〜60nmであり、当該導電性カーボンブラック粒子のジブチルフタレート吸収量は、100〜200mL/100gであり、当該被覆層は、アミン変性スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアミドおよびポリアミドイミドからなる群から選ばれる一以上の絶縁樹脂で構成され、当該導電性粒子における当該絶縁樹脂の含有量は、10〜50質量%である、導電性粒子、を提供する。
また、本発明は、疎水性の有機溶剤に絶縁樹脂を溶解させ、かつ導電性カーボンブラック粒子を分散させた疎水性分散液に、当該疎水性分散液よりも多量の水系媒体を乳化させながら添加する工程と、当該疎水性分散液と当該水系媒体のエマルションから当該有機溶剤を留去して、当該絶縁樹脂を当該導電性カーボンブラック粒子の表面に固定化する工程と、を含む、当該絶縁樹脂で構成された被覆層によって当該導電性カーボンブラック粒子の表面が覆われている導電性粒子を製造する方法であって、当該導電性カーボンブラック粒子の数平均一次粒径は、20〜60nmであり、当該導電性カーボンブラック粒子のジブチルフタレート吸収量は、100〜200mL/100gであり、当該絶縁樹脂は、アミン変性スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアミドおよびポリアミドイミドからなる群から選ばれる一以上の樹脂である、導電性粒子の製造方法、を提供する。
さらに、本発明は、基材樹脂と、当該基材樹脂中に分散された上記導電性粒子と、を含む、導電性組成物、を提供する。
さらに、本発明は、上記導電性組成物を含む導電性部材、を提供する。
さらに、本発明は、電子写真感光体上に形成されたトナー画像を記録媒体に転写するための中間転写ベルトを有する画像形成装置において、当該中間転写ベルトは、上記導電性部材である、画像形成装置、を提供する。
本発明によれば、導電性カーボンブラック粒子の表面を、アミノ基を有する絶縁樹脂が覆うことから、均一かつ適度な導電性を有するともに、導電性部材の基材樹脂への分散性に優れる導電性粒子が得られる。よって、当該導電性粒子を基材樹脂中に分散することにより、導電性部材におけるパーコレーションが防止される。さらに、当該導電性粒子が基材樹脂に分散されている導電性部材では、導電性粒子の含有量に応じて導電性部材の導電性が安定して制御される。このため、導電性部材は、半導電性の電気特性を要する画像形成装置の中間転写体に好適に用いられる。
図1は、導電性カーボンブラック粒子の構造を模式的に示す図である。 図2Aは、転相乳化で作製された導電性粒子の一例の断面を模式的に示す図であり、図2Bは、転相乳化以外の方法で作製された導電性粒子の一例の断面を模式的に示す図である。 図3は、導電性カーボンブラック粒子を含有する導電性部材における表面抵抗率(ρs)と導電性粒子の含有量(Cm)との関係を示す図である。 図4は、本発明に係る導電性粒子を含有する導電性部材における表面抵抗率(ρs)と導電性粒子の含有量(Cm)との関係を示す図である。 図5は、本発明に係る導電性部材を中間転写ベルトとして搭載可能な画像形成装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の実施例および比較例の導電性多層ベルトにおける表面抵抗率と導電性粒子の含有量との関係を示す図である。
[導電性粒子]
本発明に係る導電性粒子は、導電性カーボンブラック粒子と、導電性カーボンブラック粒子の表面を被覆する被覆層と、を有する。
導電性カーボンブラック粒子の数平均一次粒径は、20〜60nmである。導電性カーボンブラック粒子は、一般に、図1に示されるように、導電性カーボンブラック粒子の複数の球状の小粒(一次粒子)が融着した集合体である。導電性カーボンブラック粒子の数平均一次粒径は、図1中のAで示されるように、上記一次粒子の大きさを表す。上記数平均一次粒径が20nm未満であると、導電性カーボンブラック粒子の比表面積が大きくなるので導電性カーボンブラック粒子の表面張力が急増し、導電性カーボンブラック粒子同士の付着凝集性が強くなり、後述する疎水性の有機溶剤や絶縁樹脂などに対する導電性カーボンブラック粒子の分散性が低下することがあり、60nmよりも大きいと、後述のストラクチャーが小さくなり、導電性カーボンブラック粒子の導電性が不十分となることがある。上記数平均粒径は、導電性カーボンブラック粒子の導電性や分散性などの向上の観点から20〜60nmであることが好ましく、30〜50nmであることがより好ましい。上記数平均一次粒径は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)による観察によって、求めることができる。
また、上記導電性カーボンブラック粒子のジブチルフタレート(DBP)吸収量は、100〜200mL/100gである。導電性カーボンブラック粒子は、上記一次粒子が複雑に集合して形成されている。上記一次粒子のつながりの大きさは、一般に、「ストラクチャー」と呼ばれており、ストラクチャーが大きいほど、上記集合体の形状が複雑となり、導電性カーボンブラック粒子の導電性や分散性などが良好になる傾向がある。DBP吸収量は、通常、100gの導電性カーボンブラック粒子に吸収されるDBPの体積(mL)で表され、DBP吸収量の値が大きいほど、ストラクチャーがより大きいことを表す。上記DBP吸収量が100mL/100g未満であると、ストラクチャーが小さくなり、導電性が不十分となることがある。上記DBP吸収量が200mL/100gよりも大きいと、ストラクチャーが大きくなりすぎ、後述する疎水性有機溶剤への分散性が不十分となることがある。上記DBP吸収量は、例えば、JIS K6217などの公知の方法によって求められる。または、上記DBP吸収量は、被覆層で被覆された導電性粒子中の導電性カーボンブラック粒子との構造をTEMなどによって観察し、DBP吸収量が既知の導電性カーボンブラック粒子との対比によって推測することが可能である。上記DBP吸収量は、導電性や分散性の向上の観点から、100〜150mL/100gであることがより好ましい。
上記被覆層は、アミノ基を有する絶縁樹脂で構成されている。上記絶縁樹脂は、アミノ基を有するとともに、上記絶縁樹脂の表面抵抗率は、例えば1×1013Ω/□以上である。絶縁樹脂の表面抵抗率は、例えば、射出成型や熱プレス成形による作製したシート状サンプルを試験片とする、JIS K6911に準拠する方法によって測定され、求められる。絶縁樹脂が有するアミノ基の数は、特に限定されず、一つでもよいし二以上であってもよい。アミノ基を有する絶縁樹脂の例には、アミン変性スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアミド、ポリアミドイミドが含まれる。ポリアミドの例には、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン610が含まれる。ポリアミドのアミン価はポリアミドの酸価よりも大きいことが好ましい。上記絶縁樹脂は、アミン変性スチレン系エラストマーまたはポリアミド系エラストマーであることが、導電性粒子を後述する基材樹脂に分散させた時、上記絶縁樹脂の柔軟性によって、導電性部材の衝撃強度や引裂き強度などの機械的な強度のさらなる向上に貢献することが期待され、好ましい。
上記導電性粒子における上記絶縁樹脂の含有量は、10〜50質量%である。上記含有量が10質量%未満であると、後述する導電性部材においてパーコレーションの発生を抑制する効果が不十分となることがある。上記含有量が50質量%よりも大きいと、導電性粒子の導電性が不十分となることがある。導電性粒子における絶縁粒子の含有量は、例えば、TEMによる観察によって、求めることができる。
上記被覆層は、絶縁樹脂で導電性カーボンブラック粒子を被覆する方法によって作製される。このような方法の例には、有機溶剤で膨潤した絶縁樹脂と導電性カーボンブラック粒子との乾式混合、および、分散された導電性カーボンブラック粒子と溶解した絶縁樹脂を含有する疎水性分散液を油相とする転相乳化法、が含まれる。均一かつ適切な厚さを有し、導電性カーボンブラック粒子の表面に密着する被覆層を作製する観点から、被覆層は、転相乳化法によって作製されたものであることが好ましい。
ここで、図2Aは、転相乳化で作製された導電性粒子の一例(導電性粒子10)の断面を模式的に示す図であり、図2Bは、転相乳化以外の方法で作製された導電性粒子の一例(導電性粒子20)の断面を模式的に示す図である。転相乳化によって作製された被覆層12は、図2Aに示されるように、導電性カーボンブラック粒子(上記集合体)11の表面に均一な厚さで密着する。転相乳化法以外の方法で作製された被覆層22は、図2Bに示されるように、導電性カーボンブラック粒子11の表面と接触するが、導電性カーボンブラック粒子11との間に隙間が形成されることがある。
導電性カーボンブラック粒子と被覆層との接触の程度は、上記絶縁樹脂の含有量が上記の範囲であること、または、被覆層が適切な厚さを有すること、によって確認されうる。適切な被覆層の厚さは、パーコレーションを防止する均一な所期の導電性を導電性粒子にもたらす、と考えられる。被覆層の厚さは、上記の導電性がもたらされるように被覆層を導電性カーボンブラック粒子の表面に十分接触させる観点から、1〜10nmであることが好ましく、2〜6nmであることがより好ましい。被覆層の厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察(導電性粒子のコアシェル構造の中のシェル層の厚みを測定すること)によって求められる。また、被覆層の厚さは、例えば、被覆層の作製時における絶縁樹脂の添加量によって調整される。
複雑な表面形状を有する導電性カーボンブラック粒子11の表面に、転相乳化法によって被覆層12が均一に密着する理由は、以下のように考えられる。上記一次粒子の表面には、図1に示されるように、カルボキシル基や水酸基などの官能基が複数存在する。一方、被覆層12を構成する絶縁樹脂はアミノ基を有する。転相乳化では、絶縁樹脂のアミノ基は、一次粒子表面の上記官能基(例えばカルボキシル基)に、水素結合や、中和反応に係るイオン結合、アミド結合の形成による共有結合などによって作用する。このように、絶縁樹脂が、当該絶縁樹脂の分子中にあるアミノ基のそれぞれを介して上記一次粒子の表面に固定された状態で被覆層となるため、被覆層12は、導電性カーボンブラック粒子11の表面に均一な厚さで密着する、と考えられる。転相乳化法以外の方法によっても、絶縁樹脂と導電性カーボンブラック粒子との相互作用は、期待される。しかしながら、導電性カーボンブラック粒子の表面のうち、絶縁樹脂のアミノ基が導電性カーボンブラック粒子の表面に追従しない部分は、上記の隙間となる、と考えられる。
さらに、絶縁樹脂におけるアミノ基は、被覆層を構成する際の導電性カーボンブラック粒子の表面への絶縁樹脂の接点になるとともに、導電性の向上にも寄与している、と考えられる。すなわち、絶縁樹脂がアミノ基を介して導電性カーボンブラック粒子と接触する構造が、絶縁樹脂と導電性カーボンブラック粒子との間の接触抵抗の低減に寄与していることが予想される。したがって、絶縁樹脂におけるアミノ基の数は、複数であることが、被覆層の導電性と密着性とを高める観点から好ましい。
また、絶縁樹脂は、被覆層に適度な導電性を与えるとともに、後述する導電性部材において、基材樹脂中の導電性カーボンブラック粒子の分散性を高める。よって、導電性粒子は、導電性部材中において、絶縁樹脂と基材樹脂との親和性によって均一に分散するとともに、被覆層を介して互いに接触する。したがって、導電性部材中において、導電性カーボンブラック粒子の直接接触による導電路の形成が防止される。このため、導電性粒子が互いに接触するような含有量で導電性部材が導電性粒子を含有していても、導電性部材において、パーコレーションが防止され、かつ半導電性などの適度な導電性が発現される。
[導電性粒子の製造方法]
上記導電性粒子は、以下の第一工程および第二工程を含む方法によって好適に製造される。
上記第一工程は、疎水性分散液に、当該疎水性分散液よりも多量の水系媒体を乳化させながら添加する工程である。少量の油相である疎水性分散液に、多量の水系媒体を乳化させながら添加することにより、転相乳化が実現される。当該転相乳化により、導電性カーボンブラック粒子を核とする油相の微小な液滴を分散質とするO/W型エマルションが得られる。
上記疎水性分散液は、疎水性の有機溶剤に絶縁樹脂を溶解させ、かつ導電性カーボンブラック粒子を分散させた液である。疎水性分散液は、通常、疎水性の有機溶剤に導電性カーボンブラック粒子を分散した後に絶縁樹脂を溶解することによって調製されるが、導電性カーボンブラック粒子の良好な分散を実現する条件(例えば十分な攪拌など)の下であれば、疎水性の有機溶剤に絶縁樹脂を溶解した後に導電性カーボンブラック粒子を分散してもよい。疎水性分散液における導電性カーボンブラック粒子の含有量は、導電性カーボンブラック粒子が疎水性分散液中において十分に分散する範囲において適宜に決定される。
上記疎水性の有機溶剤は、上記絶縁樹脂を溶解する溶剤であれば特に限定されない。このような疎水性の有機溶剤の例には、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素化合物、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素化合物、および、塩化メチレンや四塩化炭素などの塩化脂肪族炭化水素化合物、が含まれる。
上記製造方法において、絶縁樹脂の分子量が小さすぎると製造時に臭気が発生したり、疎水性分散液の疎水性が低下して転相乳化時に良好な乳化状態が実現されないことがある。また、絶縁樹脂の分子量が大きすぎると、絶縁樹脂が疎水性の有機溶剤に十分溶解しなかったり、または得られた溶液の粘度が高すぎて転相乳化時の疎水性分散液の分散性が不十分となることがある。このような製造上の理由によれば、絶縁樹脂の分子量は、例えば、重量平均分子量で1万〜6万の範囲から決めることが可能である。
上記疎水性分散液は、本発明の効果が得られる範囲で他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分との例には、親油性界面活性剤、絶縁樹脂同士を架橋する架橋剤、被覆層の導電性を調整するためのイオン性導電剤、高分子界面活性剤(例えば、花王株式会社製、ホモゲノ―ル(花王株式会社の登録商標)L−1820)などの分散剤、炭酸水素ナトリウムや酢酸などのpH調整剤が含まれる。
上記水系媒体は、水または水を主成分とする液状の分散媒である。上記水系媒体は、疎水性分散液のエマルションを形成する範囲内において、アルコールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤、炭酸水素ナトリウムや酢酸などのpH調整剤などの他の成分をさらに含有していてもよい。疎水性分散液への上記水系媒体の添加量は、疎水性分散液よりも体積割合でより多い量であれば特に限定されないが、例えば、疎水性分散液に対して体積で2〜10倍である。
疎水性分散液への水系媒体の添加による乳化は、例えば、攪拌されている疎水性分散液に水系媒体を添加することによって行うことができる。攪拌速度は、疎水性分散液のエマルションを形成する範囲であれば特に限定されない。第一工程における攪拌速度は、一定でもよいし、断続的にまたは連続して変化させてもよい。また、第一工程における疎水性分散液および水系媒体の温度は、特に限定されない。たとえば、上記絶縁樹脂を溶解させるために疎水性分散液を加温してもよいし、水系媒体を同様に加温してもよい。
上記第二工程は、上記疎水性分散液と当該水系媒体のエマルションから上記疎水性の有機溶剤を留去して、絶縁樹脂を導電性カーボンブラック粒子の表面に固定化する工程である。上記エマルションからの疎水性の有機溶剤の留去は、例えば、減圧濃縮によって好適に行われる。エマルションから留去させる疎水性の有機溶剤の量は、絶縁樹脂が導電性カーボンブラック粒子の表面に固定化される(すなわち被覆層を構成する)範囲において適宜に決めることができ、例えば、疎水性の有機溶剤の一部がエマルション中に残留してもよい。
前述した製造方法は、本発明の効果が得られる範囲において、上記の第一工程および第二工程以外の他の工程をさらに含んでもよい。このような他の工程の例には、洗浄工程、粉砕工程などが含まれる。
前述した製造方法の手順をより具体的に説明する。
まず、導電性カーボンブラック粒子を疎水性の有機溶剤A(例えばヘキサン)に分散して、疎水性分散液を調製する。当該調製では、超音波分散機やビーズミルなどの公知の攪拌または分散装置を適宜に使用することができる。また、有機溶剤Aに分散剤を添加してもよい。
次いで、調製された疎水性分散液に絶縁樹脂(例えばアミノ変性ポリエチレン)を溶かして、絶縁樹脂および導電性カーボンブラック粒子を含む疎水性分散液を調製する。
次いで、調製された疎水性分散液を(例えば羽根撹拌機で)攪拌しながら、疎水性分散液に乳化剤(例えばエマルゲン(花王株式会社の登録商標)1108)を混合した蒸留水を徐々に滴下し、疎水性分散液を転相乳化させて、乳化液を調製する。
次いで、調製された乳化液を例えば40℃で乾燥して、有機溶剤Aを蒸発させる。その後、乳化液を80℃で乾燥して、溶媒Bをさらに蒸発させる。当該蒸発は、減圧下で行うことが可能である。こうして、導電性粒子が上記乳化液から取り出される。乳化液からの導電性粒子の取り出しは、濾過によって適宜に行うことも可能である。
上記のように、導電性カーボンブラック粒子を絶縁樹脂の溶液に分散させ、得られた分散液に水を入れ、乳化させることで、絶縁樹脂の溶液が導電性カーボンブラック粒子を包んでなる液滴粒子が得られる。当該液滴粒子を分散質とする乳化液から、疎水性の有機溶媒と必要に応じて水を除去し、分離された粒子を乾燥することによって、導電性粒子として、導電性カーボンブラック粒子をコアとし、絶縁樹脂をシェルとするコアシェル状の微粒子が得られる。当該導電性粒子では、アミノ基を有する上記絶縁樹脂と導電性カーボンブラック粒子との親和性が高いことから、導電性カーボンブラック粒子と被覆層との界面の接触抵抗が低くなる。このため、導電性部材におけるパーコレーションを抑制しながら、導電性を発現することができる。
[導電性組成物および導電性部材]
本発明に係る導電性組成物は、基材樹脂と、当該基材樹脂中に分散された上記導電性粒子と、を含む。「導電性組成物」は、上記導電性粒子が上記基材樹脂中に分散されている物体である。導電性組成物の形態は、特に限定されないが、通常は、その後の成形に適した形態である。たとえば、導電性組成物は、ペレットやシート、スラリーでありうる。また、本発明に係る導電性部材は、上記導電性組成物を含む。「導電性部材」は、導電性組成物で構成された部分を含み、導電性を要する特定の用途に使用されるように構成されている部材である。たとえば、導電性部材は、無端状ベルトやロールでありうる。導電性部材は、導電性組成物のみから構成されていてもよいし、導電性部材の一部が上記導電性組成物で構成されていてもよい。
上記基材樹脂は、特に限定されず、公知の樹脂から適宜に選択されうる。基材樹脂の例には、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性エラストマー、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴムおよびポリウレタンが含まれる。基材樹脂は、導電性部材の所期の用途に応じて適宜に選ぶことができ、例えば、中間転写ベルトの弾性層用の基材樹脂は、クロロプレンゴムや熱可塑性ウレタンなどが好ましい。
また、基材樹脂は、絶縁樹脂と同じか類似の構成単位を含む樹脂や、絶縁樹脂と同様の性質を有する樹脂であることが、導電性基材中の導電性粒子の分散性を高める観点から好ましい。たとえば、絶縁樹脂がアミン変性スチレン系エラストマーである場合は、基材樹脂は、ポリスチレン、ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、シリコンゴムなど極性の弱い樹脂であることが好ましい。また、絶縁樹脂がポリアミド系エラストマー、ポリアミドまたはポリアミドイミドである場合、基材樹脂は、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリウレタンなどの極性の強い樹脂又はゴムであることが好ましい。このように、絶縁樹脂が基材樹脂とある程度の相溶性を有すると、導電性粒子が基材樹脂中により一層分散しやすい。
導電性部材において、導電性カーボンブラック粒子などの従来の導電性粒子の含有量は、多すぎるとパーコレーションを発生しやすく、少なすぎると導電性部材の導電性が不十分となることがある。しかしながら、本発明に係る導電性粒子は、適度な導電性を有することから、通常の導電性粒子に比べて大量に導電性部材に配合しても、パーコレーションを防止することが可能であり、かつ導電性部材の導電性を導電性粒子の含有量に応じて調整することが可能である。よって、基材樹脂100質量部に対する導電性粒子の含有量が1〜50質量部、より好ましくは1〜20質量部、となる導電性組成物または導電性部材に、本発明に係る導電性粒子を適用することが、上記のパーコレーションの防止や導電性の調整などの観点からより一層効果的である。
導電性部材中では導電性粒子によって導電路が形成される。図3は、導電性粒子として導電性カーボンブラック粒子を含有する導電性部材における表面抵抗率(ρs)と導電性粒子の含有量(Cm)との関係を示す図である。たとえば、図3Aに示されるように、導電性カーボンブラック粒子の含有量が少ないと、導電性部材には電荷がほとんど流れない。したがって、導電性部材の表面抵抗率は高い。
導電性カーボンブラック粒子の含有量が徐々に増加すると、導電性カーボンブラック粒子間の距離が徐々に縮まる。そして、図3Bに示されるように、ある含有量を超えると、導電性カーボンブラック粒子による電荷の直通パスが形成される。導電性カーボンブラック粒子の固有抵抗は、基材樹脂に比べ極めて低いため、上記直通パスが形成する瞬間、導電性部材の表面抵抗率が一気に下がる。これがパーコレーションである。導電性カーボンブラック粒子の含有量がパーコレーションを発生させる含有量を超えると、図3Cおよび図3Dに示されるように、導電性カーボンブラック粒子の含有量を増やしても、導電性部材の表面抵抗率は、一般にほとんど減少しない。
図4は、本発明に係る導電性粒子を含有する導電性部材における表面抵抗率(ρs)と導電性粒子の含有量(Cm)との関係を示す図である。図4Aに示されるように、導電性粒子の含有量が少ないと導電性部材には電荷がほとんど流れないのは、導電性カーボンブラック粒子の場合と同じである。
しかしながら、図4Bに示されるように、導電性粒子の含有量が、電荷の直通パスを形成するのに十分な含有量であっても、導電性粒子は、適度な量(厚み)で絶縁樹脂の被覆層を有することから、導電性カーボンブラック粒子の実質的な連結による直通パスの形成が防止され、導電性部材におけるパーコレーションが防止される。さらに、絶縁樹脂がアミノ基を有することから、当該アミノ基と導電性カーボンブラック粒子の表面の官能基が結合などの相互作用を有することにより、導電性カーボンブラック粒子と絶縁樹脂の界面の接触抵抗が低くなる、と推測される。このため、パーコレーションが防止されながら、導電性部材は、導電性を発現する。
導電性部材の導電性は、図4Cおよび図4Dに示されるように、導電性粒子の含有量が増加したときに、導電性カーボンブラック粒子の含有量を増やした場合に比べて緩やかに増加する。このため、導電性粒子の含有量や分散状態の良否に実質的に影響されずに、導電性部材における所期の導電性を安定して発現させることが可能となる。
上記のように、導電性粒子は、適度な導電性を有していることから、いわゆる半導電性の導電性部材を構成するのに好適である。すなわち、導電性粒子の含有量に応じた導電性部材の導電性の変動がより小さくなる。よって、半導電性(表面抵抗率で1.0×10〜1.0×1013Ω/□)である導電性を要する導電性部材に、本発明に係る導電性部材は、好ましく適用される。
上記導電性部材は、例えば、基材樹脂を溶解する有機溶剤(例えばテトラヒドロフランなどの低沸点または高極性有機溶剤)に導電性組成物を溶解、分散し、次いで、得られた分散液を必要に応じて型に収容するなどの方法によって分散液の形状を規定し、形状が規定された上記分散液から有機溶剤を留去することによって製造される。
導電性部材の形状は特に限定されない。また導電性部材は、本発明の効果が得られる範囲において、他の構成要素をさらに有していてもよい。このような他の構成要素の例には、導電性組成物の層を表面に有する基材層やローラー、および、導電性組成物からなる部材の表面を覆う層、のような、本発明に係る導電性組成物からなる部材を支持しまたは覆う種々の層や部材などが含まれる。
[画像形成装置]
本発明に係る画像形成装置は、前述した導電性部材である中間転写体を有する以外は、中間転写体を有する公知の画像形成装置と同様に構成されうる。上記画像形成装置は、例えば、感光体、感光体を帯電させる帯電装置、帯電した感光体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー画像を形成する現像装置、静電潜像に形成されたトナー画像を記録媒体に転写するための転写装置、およびトナー画像を記録媒体に定着させる定着装置、を有する。「トナー画像」とは、トナーが画像状に集合した状態を言う。
図5は、本発明に係る導電性部材を中間転写ベルトとして有する画像形成装置の一例の構成を概略的に示す図である。図5に示されるように、画像形成装置1は、画像読取部110、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50および定着装置60を有する。
画像形成部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナーによる画像を形成する画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、を有する。これらは、収容されるトナー以外はいずれも同じ構成を有するので、以後、色を表す記号を省略することがある。画像形成部40は、さらに、中間転写ユニット42および二次転写ユニット43を有する。これらは、転写装置に相当する。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415を有する。感光体ドラム413は、例えば負帯電型の有機感光体である。感光体ドラム413の表面は、光導電性を有する。感光体ドラム413は、感光体に相当する。帯電装置414は、例えばコロナ帯電器である。帯電装置414は、帯電ローラーや帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材を感光体ドラム413に接触させて帯電させる接触帯電装置であってもよい。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成される。現像装置412は、例えば二成分現像方式の現像装置である。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、中間転写ベルト421を感光体ドラム413に圧接させる一次転写ローラー422、バックアップローラー423Aを含む複数の支持ローラー423、およびベルトクリーニング装置426を有する。中間転写ベルト421は無端状のベルトである。中間転写ベルト421は、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つの駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。中間転写ベルト421は、中間転写体に相当する。一次転写ローラー422は、転写部材に相当する。
二次転写ユニット43は、無端状の二次転写ベルト432、および二次転写ローラー431Aを含む複数の支持ローラー431を有する。二次転写ベルト432は、二次転写ローラー431Aおよび支持ローラー431によってループ状に張架される。
定着装置60は、用紙S上のトナー画像を構成するトナーを加熱、融解する定着ローラー62と、用紙Sを定着ローラー62に向けて押圧する加圧ローラー63と、を有する。用紙Sは、記録媒体に相当する。
画像形成装置1は、さらに、画像読取部110、画像処理部30および用紙搬送部50を有する。画像読取部110は、自動原稿給紙装置111および原稿画像走査装置112(スキャナー)を有する。用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路部53を有する。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aなどの複数の搬送ローラー対を有する。
画像形成装置1による画像の形成を説明する。
原稿画像走査装置112は、コンタクトガラス上の原稿Dを光学的に走査して読み取る。原稿Dからの反射光がCCDセンサー112aにより読み取られ、入力画像データとなる。入力画像データは、画像処理部30において所定の画像処理が施され、露光装置411に送られる。
感光体ドラム413は、一定の周速度で回転する。帯電装置414は、感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、各色成分の入力画像データに対応するレーザー光を感光体ドラム413に照射する。こうして感光体ドラム413の表面には、静電潜像が形成される。現像装置412は、感光体ドラム413の表面にトナーを付着させることにより静電潜像が可視化される。こうして感光体ドラム413の表面に、静電潜像に応じたトナー画像が形成される。
感光体ドラム413の表面のトナー画像は、中間転写ユニット42によって中間転写ベルト421に転写される。転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有するドラムクリーニング装置415によって除去される。
一次転写ローラー422によって中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接することにより、中間転写ベルト421に各色のトナー画像が順次重なって転写される。
一方で、二次転写ローラー431Aは、中間転写ベルト421および二次転写ベルト432を介して、バックアップローラー423Aに圧接される。それにより、転写ニップが形成される。当該転写ニップを用紙Sが通過する。用紙Sは、用紙搬送部50によって転写ニップへ搬送される。用紙Sの傾きの補正および搬送のタイミングの調整は、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により行われる。
転写ニップに用紙Sが搬送されると二次転写ローラー431Aへ転写バイアスが印加される。当該転写バイアスの印加によって、中間転写ベルト421に担持されているトナー画像が用紙Sに転写される。中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有するベルトクリーニング装置426によって除去される。トナー画像が転写された用紙Sは、二次転写ベルト432によって、定着装置60に向けて搬送される。
定着装置60は、搬送されてきた用紙Sをニップ部で加熱、加圧する。こうしてトナー画像が用紙Sに定着する。トナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
上記画像形成装置は、本発明に係る導電性部材からなる中間転写ベルトを有することから、転写不良や転写時の濃度ムラによる画像不良の発生を抑制することができる。このため、上記画像形成装置は、所期の画質を有する画像を安定して形成することができる。
以下、実施例、比較例を挙げてさらに具体的に本発明を説明する。ただし、本発明は、下記の実施例及び比較例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(1)分散液の調製
導電性カーボンブラック粒子A1(商品名「HS100」、数平均一次粒径:48nm、DBP吸収量:140mL/100g、電気化学株式会社製)100質量部を溶媒B(トルエン)5000質量部に添加し、超音波分散機(500W)で1時間分散した。
なお、導電性カーボンブラック粒子A1の数平均一次粒径は、以下の方法によって求めた。すなわち、100質量部の導電性カーボンブラック粒子A1をエタノール5000質量部に入れ、得られた分散液に超音波(出力:500W)を15分間照射して導電性カーボンブラック粒子A1をエタノールに分散した。そして、得られた分散液を、TEM用ミクロングリッドに数滴滴下し、ミクロングリッドを乾燥し、FE−TEM(日本電子株式会社製 JEM−3100F)に設置した。そして、20個の導電性カーボンブラック粒子の一次粒子の粒径の平均値を求め、導電性カーボンブラック粒子の数平均一次粒径とした。
また、導電性カーボンブラック粒子A1のDBP吸収量は、JIS K6217に準拠して測定した。
次いで、得られた分散液5100質量部に、絶縁樹脂C1と導電性カーボンブラック粒子A1との総添加量に対する絶縁樹脂C1の配合比が25質量%となる量の絶縁樹脂C1(アミン変性スチレン系エラストマー、商品名「タフテック MP10」、旭化成ケミカルズ株式会社製)を添加し、600rpmの攪拌速度で分散液を攪拌して絶縁樹脂C1を溶解させ、分散液をよく混合した。ここで、上記絶縁樹脂C1の添加量は、導電性カーボンブラック粒子A1と絶縁樹脂C1の質量の総和に対する絶縁樹脂C1の質量の割合である。また、「タフテック」は、旭化成ケミカルズ株式会社の登録商標である。
次いで、上記分散液における導電性カーボンブラック粒子A1の分散粒径を、ゼータ電位・粒径測定システム(大塚電子株式会社製 ELSZ−1000Z)にて測定したところ、分散液における導電性カーボンブラック粒子A1の分散粒径(1)は、125nmであった。
(2)乳化液の調製
得られた上記分散液を乳化槽に100質量部入れ、乳化剤の5質量%水溶液(蒸留水と5質量%の「エマルゲン1108」と蒸留水の混合液)を10分間に100質量部の速度で30分間(全部で300質量部)、常温(25℃)環境下で添加し、乳化させた。得られた乳化液の分散質の分散粒径をゼータ電位・粒径測定システム(大塚電子株式会社製 ELSZ−1000Z)で測定したところ、乳化液の分散質の分散粒径(2)は、3.2μmであった。なお、「エマルゲン」は、花王株式会社の登録商標である。
(3)表面処理カーボンブラックの製造
得られた乳化液100質量部を100rpmの攪拌速度で攪拌しながら、40℃減圧下で当該乳化液からトルエンを留去し、冷却し、濾過し、得られた濾物をイオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過でさらに固液分離した。分離した固体粒子を80℃で2時間、真空乾燥を行い、導電性粒子1を得た。
[実施例2および3]
実施例1において、導電性カーボンブラック粒子A1を、導電性カーボンブラック粒子A2(3400B、数平均一次粒径:21nm、DBP吸収量:175mL/100g、三菱化学株式会社製)、または、導電性カーボンブラック粒子A3(旭60、数平均一次粒径:45nm、DBP吸収量:114mL/100g、旭カーボン株式会社製)、に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、導電性粒子2または導電性粒子3を得た。
[実施例4および5]
実施例1において、絶縁樹脂C1の添加量を12質量%または48質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、導電性粒子4または導電性粒子5を得た。
[実施例6]
実施例1において、絶縁樹脂C1を、絶縁樹脂C2(ポリアミド系エラストマー、TPAE617、株式会社T&K TOKA製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電性粒子6を得た。
[比較例1および2]
実施例1において、導電性カーボンブラック粒子A1を、導電性カーボンブラック粒子A4(FX35、数平均一次粒径:26nm、DBP吸収量:220mL/100g、電気化学株式会社製)、または、導電性カーボンブラック粒子A5(旭55、数平均一次粒径:66nm、DBP吸収量:87mL/100g、旭カーボン株式会社製)、に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、導電性粒子7または導電性粒子8を得た。
[比較例3および4]
実施例1において、絶縁樹脂C1の添加量を8質量%または53質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、導電性粒子9または導電性粒子10を得た。
[比較例5]
実施例1において、絶縁樹脂C1を、絶縁樹脂C3(ポリエチレン、商品名「ユメリット125FN」、宇部丸善ポリエチレン株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電性粒子11を得た。
[比較例6]
導電性カーボンブラック粒子A1そのものを導電性粒子12として用意した。
導電性粒子1〜6を「実施例1〜6」とし、導電性粒子7〜12を「比較例1〜6」とする。
得られた導電性粒子における絶縁樹脂の含有量を、以下の方法によって求めた。まず、前述した導電性カーボンブラック粒子に変えて導電性粒子を用い、20個の導電性粒子の一次粒子を観測し、一次粒子の表面を覆う絶縁樹脂の層の厚みを観測し、当該厚みの平均値を求めた。そして、一次粒子のそれぞれが上記平均値の厚みの被覆層を有するものと仮定して、導電性粒子における絶縁樹脂の体積比を計算し、質量比に換算し、導電性粒子における絶縁樹脂の含有量とした。
また、得られた導電性粒子100質量部をエタノール5000質量部に入れ、超音波(出力:500W)を15分間照射して導電性粒子をエタノール中に分散し、得られた分散液中の導電性粒子の分散粒径(3)を、ゼータ電位・粒径測定システム(大塚電子株式会社製 ELSZ−1000Z)で測定した。
導電性粒子1〜12の組成および物性を表1に示す。表1中の「絶縁樹脂」における「配合比」は、絶縁樹脂と導電性カーボンブラック粒子との総添加量に対する絶縁樹脂の配合比(質量%)である。
Figure 0005880483
[実施例7]
以下に示す手順により、基材層、導電性粒子を含有する弾性層、および、表面層を有する導電性多層ベルト1を作製した。
(1)基材層の作製
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。当該溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを徐々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。当該ポリアミック酸溶液の数平均分子量は17000、粘度は35ポイズ(3.5Pa・s)、固形分濃度は18.0質量%であった。
次に、当該ポリアミック酸溶液450gに、酸性カーボン(pH3.0)21gとN−メチル−2−ピロリドン80gを加えて、ボールミルにて上記酸性カーボン(CB)を均一に分散し、第一のマスターバッチ溶液を得た。第一のマスターバッチ溶液の固形分濃度18.5質量%であり、該固形分中のCB濃度は20.6質量%であった。
一方で、円筒金型を用意した円筒金型は、上記第一のマスターバッチ溶液を内部に収容できる円柱状の室を有する容器であり、当該室の内径は301.5mmであり、当該室の長さは540mmである。円筒金型の内周面は、鏡面仕上げに加工されている。円筒金型は、2本の回転ローラー上に載置され、該回転ローラーの回転とともに回転する。また、回転ローラー上に載置された円筒金型の周囲には、円筒金型の外側面上に向けて、当該外側面に非接触で、遠赤外線ヒータを配置した。当該遠赤外線ヒータは、回転ローラー上の円筒金型の内面温度を120℃に制御するように設計されている。
まず、円筒金型に276gの第一のマスターバッチ溶液を収容し、回転ローラー上に載置し、回転ローラーによって円筒金型を回転させて、第一のマスターバッチ溶液を円筒金型の内周面に均一に塗布した。次いで、加熱を開始した。加熱は、円筒金型の内周面の温度が1℃/minの速度で昇温し、120℃に60分間維持されるように行われた。当該加熱の間も、回転ローラーによって円筒金型を回転し続けた。
回転、加熱が終了した後、冷却せずそのまま円筒金型を回転ローラー上から熱風滞留式オーブン中に移し、当該オーブン内に静置してイミド化のための加熱を開始した。当該加熱は、オーブンの内温を徐々に昇温し、オーブンの内温が320℃に達すると、当該内温を30分間維持するように行われた。加熱後、円筒金型を常温まで冷却して、円筒金型の内面に形成された管状のポリイミドベルトを剥がし、取り出し、管状の基材層ベルトを得た。得られた基材層ベルトの厚さは82μmであり、外周長は944.3mmであり、表面抵抗率は12.72(LogΩ/□)であり、体積抵抗率は10.61(LogΩ・cm)であった。
(2)弾性層の作製
7質量部の導電性粒子1を500質量部のテトラヒドロフランに添加し、超音波(500W)で1時間分散した。得られた分散液に熱可塑性ポリウレタン(E574 日本ミラクトラン製)を100質量部添加し、羽根攪拌機(600rpm)にて攪拌し、テトラヒドロフランに溶解させ、第二のマスターバッチ溶液を調製した。
200μmの厚みを有する弾性層になる量の第二のマスターバッチ溶液を円筒金型に収容し、円筒金型を回転ローラー上で回転させ、金型の内周面に均一に塗布し、加熱乾燥を行った。加熱は、円筒金型の内周面の温度が2℃/minの速度で昇温し、80℃に60分間維持されるように行われた。該加熱の間も、回転ローラーによって円筒金型を回転し続けた。こうして、管状の弾性層ベルト1を作製した。
(3)基材層ベルトと弾性層ベルトの貼り合わせ
弾性層ベルト1の内周面に、プライマーDY39−067(東レ・ダウコーニング(株)製)を塗布、風乾した。次いで、基材層ベルトの外周面に、ドライラミ接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA−969)を薄く塗布した。そして、弾性層ベルト1に基材層ベルトを挿入し重ね合わせた。次いで、基材層ベルトを弾性層ベルトに、基材層ベルトの内周面側から圧着させながら、基材層ベルトおよび弾性層ベルトを80℃の環境下で加熱し、両ベルトを貼り合わせた。貼り合わせたベルトの両端部をカットし、幅360mmの多層ベルト1を得た。
(4)表面層の作製
金属酸化物粒子(酸化アルミニウム、粒径34nm)100質量部、および、ラジカル重合性官能基を有する化合物を表面処理剤として15質量部、を溶媒(トルエン:イソプロピルアルコール=1:1の混合溶媒)400質量部に添加し、湿式メディア分散型装置を使用して分散した。次いで、溶媒を除去して、ラジカル重合性官能基を有する化合物で表面を処理した反応性金属酸化物粒子を製造した。得られた反応性金属酸化物粒子のラジカル重合官能基を有する化合物の葉面処理量(ラジカル重合性官能基を有する化合物の被覆量)は、金属酸化物微粒子に対して12質量%であった。ラジカル重合性官能基を有する化合物の表面処理量は、表面処理後の金属酸化物粒子を55℃で3時間熱処理をし、当該金属酸化物粒子の強熱残分を蛍光X線にて定量分析し、Si量から分子量換算で求めた値である。
反応性金属酸化物粒子100体積部と、活性エネルギー線硬化型モノマー100体積部と、フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂ZX−212(不揮発分47%、富士化成工業株式会社製)50体積部と、を溶媒(メチルイソブチルケトン)5000体積部に混合し、φ0.5mmのジルコニアビーズを充填率80%となるように仕込んだ横型循環分散機(ディスパーマット:英弘精機)にて、1000rpmで分散処理を行った。得られた分散液に光重合開始剤(イルガキュアー379:チバガイギー)13体積部を混合し、表面層形成用塗布液を調製した。
得られた表面層形成用塗布液を、多層ベルト1の弾性層ベルト側の表面に、浸漬塗布方法で、乾燥膜厚が2μmとなるように、下記塗布条件で塗布し、塗布膜を形成した。次いで、多層ベルト1を回転自在な円筒状基体で保持し、60mm/sで回転させながら、上記塗布膜に活性エネルギー線として紫外線を、下記照射条件で照射して塗布膜を硬化させ、弾性層上に表面層を形成した。こうして、導電性粒子1が分散された弾性層を有する導電性多層ベルト1を作製した。導電性多層ベルト1の厚さは280μmであり、外周長さは945.0mmであった。
(塗布条件)
塗布液供給量:1L/min
引き上げ速度:4.5mm/min
なお、塗布液供給量は、多層ベルトを沈める浸漬槽へ上記塗布液を連続して供給し、溢れた塗布液を当該浸漬槽へ循環するときの循環量である。
(照射条件)
光源の種類:高圧水銀ランプ(H04−L41:アイグラフィックス株式会社製)
照射口から表面層形成用塗膜の表面までの距離:100mm
照射光量:1J/cm
照射時間(基体を回転させている時間):240秒
[実施例8〜12および比較例7〜12]
導電性粒子1に代えて導電性粒子2〜6のそれぞれを、熱可塑性ポリウレタンと導電性粒子との総量に対する導電性粒子の含有量がそれぞれ、7質量%、7質量%、5質量%、9質量%および7質量%となるように用いる以外は、導電性多層ベルト1と同様の方法によって、導電性多層ベルト2〜6を作製した。また、導電性粒子1に代えて導電性粒子7〜12のそれぞれを、熱可塑性ポリウレタンと導電性粒子との総量に対する導電性粒子の含有量がそれぞれ、7質量%、20質量%、3質量%、20質量%、20質量%および3質量%となるように用いる以外は、導電性多層ベルト1と同様の方法によって、導電性多層ベルト7〜12を作製した。導電性多層ベルト1〜6を「実施例7〜12」、導電性多層ベルト7〜12を「比較例7〜12」とする。
[評価]
(1)生産性
導電性多層ベルト1〜12のそれぞれを100本作製し、作製された導電性多層ベルト1〜12のそれぞれの表面抵抗率をJIS K6911に準拠して測定した。そして、作製された導電性多層ベルトのうち、1.0×10〜1.0×1013Ω/□の範囲内の測定値を有する導電性多層ベルトを良品とし、導電性多層ベルト1〜12のそれぞれの歩留まりを求めた。結果を表2に示す。
(2)電気抵抗の均一性
上記良品の導電性多層ベルトの表面における、当該ベルトの周方向に均等に位置する10箇所の表面抵抗率を測定し、測定値の最大値と最小値の、常用対数の差を表面抵抗率のバラツキとして求めた。そして、導電性多層ベルト1〜12のそれぞれについて、上記バラツキの平均値を算出し、導電性多層ベルト1〜12のそれぞれにおける表面抵抗率のバラツキとした。結果を表2に示す。
(3)画質評価
導電性多層ベルト1〜12のそれぞれを、図5に示すような画像形成装置に中間転写ベルトとして装着し、形成される画像を評価した。より詳しくは、Y、M、C、K各色印字サンプルとして、印字率25%の全面ハーフトーン画像、および、印字率100%の全面ベタ画像をそれぞれ5〜10枚連続して形成し、得られた各色印字サンプルを下記の基準に基づき評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:転写不良およびムラのいずれもなく、良好
△:若干の転写ムラはあるものの、実用上問題ないレベル
×:転写不良、ムラが著しく発生し、実用上問題となるレベル
Figure 0005880483
(4)電気抵抗の推移
熱可塑性ポリウレタンと導電性粒子の総量に対する導電性粒子1の添加量を2.0、4.0、6.0、8.0および10.0質量%とする以外は、導電性多層ベルト1の製造方法と同様の方法によって、導電性多層ベルト1−1〜1−5をそれぞれ作製した。
同様に、熱可塑性ポリウレタンと導電性粒子の総量に対する導電性粒子9の添加量を2.0、4.0、6.0、8.0および10.0質量%とする以外は、導電性多層ベルト1の製造方法と同様の方法によって、導電性多層ベルト9−1〜9−5をそれぞれ作製した。また、熱可塑性ポリウレタンと導電性粒子の総量に対する導電性粒子10の添加量を2.0、4.0、6.0、8.0および10.0質量%とする以外は、導電性多層ベルト1の製造方法と同様の方法によって、導電性多層ベルト10−1〜10−5をそれぞれ作製した。さらに、熱可塑性ポリウレタンと導電性粒子の総量に対する導電性粒子12の添加量を2.0、4.0、6.0、8.0および10.0質量%とする以外は、導電性多層ベルト1の製造方法と同様の方法によって、導電性多層ベルト12−1〜12−5をそれぞれ作製した。また、導電性粒子1を添加しない以外は、導電性多層ベルト1の製造方法と同様の方法によって、多層ベルト0を作製した。
本発明の実施例に該当する導電性多層ベルト1−1〜1−5、本発明の比較例に該当する多層ベルト0、導電性多層ベルト9−1〜9−5、10−1〜10−5および12−1〜12−5のそれぞれの表面抵抗率を、前述した方法によって測定した。導電性多層ベルト1−1、9−1、10−1、12−1および多層ベルト0の表面抵抗率は、いずれも、約1.0×1016Ω/□であった。結果を図6に示す。図6中、導電性多層ベルト1−1〜1−5は、「◆」でプロットされており、導電性多層ベルト9−1〜9−5は、「▲」でプロットされており、導電性多層ベルト10−1〜10−5は、「●」でプロットされており、導電性多層ベルト12−1〜12−5は、「■」でプロットされている。
表2に示されるように、導電性多層ベルト1〜6の表面抵抗率のバラツキは、0.1〜0.6桁と小さく、また、画像評価では、導電性多層ベルト1〜6のいずれも、実用上問題のない範囲であった。また、図6に示されるように、半導電性と言われる表面抵抗率が1×10〜1×1013Ω/□の範囲でも、導電性多層ベルト1における導電性粒子1の含有量を増やしたときの導電性多層ベルト1の表面抵抗率の減少の割合は、縦軸の表面抵抗率を対数の目盛りで、横軸の含有量を通常の整数の目盛りで表したときに右下がりの直線状に減少する。すなわち、半導電性の範囲においても導電性多層ベルト1の導電性粒子1の含有量に対する表面抵抗率の変化の割合は小さい。
一方、表2に示されるように、導電性多層ベルト7は、導電性多層ベルト1〜6に比べて、表面抵抗率のバラツキが大きく、出力画像において明らかな濃度ムラが見られた。これは、導電性粒子のDBP吸収値が大きすぎ、弾性層中の導電性カーボンブラック粒子の分散性が悪くなったため、と考えられる。
また、導電性多層ベルト8は、表面抵抗率が高すぎ、導電性粒子8の含有量を調整しても、導電性多層ベルト8の表面抵抗率が1.0×10〜1.0×1013Ω/□の範囲内に入らなかった。このため、表2に示されるように、表面抵抗率のバラツキの測定値が得られず、また、中間転写ベルトとして使用できないため画像を評価することができなかった。これは、導電性カーボンブラック粒子の数平均一次粒径が大きすぎるとともにDBP吸収量が小さすぎ、導電性多層ベルトにおける導電効率が悪くなったため、と考えられる。
また、導電性多層ベルト9では、図6に示されるように、上記半導電性の範囲において、導電性多層ベルトにおける導電性粒子の含有量に対する表面抵抗率の変化の割合が著しく大きかった。すなわち、上記半導電性の範囲でパーコレーションが発生した。その結果、導電性多層ベルト9では、表2に示されるように、導電性多層ベルト1〜6に比べて、表面抵抗率のバラツキが大きく、また、中間転写ベルトとして使用したときに、出力画像において明らかな濃度ムラが見られた。これは、導電性粒子における絶縁樹脂の含有量が少なすぎ、パーコレーションの抑制効果十分に発現しなかったため、と考えられる。
また、導電性多層ベルト10は、図6に示されるように、表面抵抗率が高すぎるとともに、導電性粒子の含有量を増やしても表面抵抗率はほとんど変化しなかった。このため、表2に示されるように、表面抵抗率のバラツキの測定値が得られず、また、中間転写ベルトとして使用できないため画像を評価することができなかった。これは、導電性カーボンブラック粒子の数平均一次粒径が大きすぎるとともにDBP吸収量が小さすぎ、導電性多層ベルトにおける導電効率が悪くなったため、と考えられる。
また、導電性多層ベルト11は、表2に示されるように、導電性多層ベルトの表面抵抗率が高すぎた。その結果、表面抵抗率のバラツキの測定値が得られず、また、中間転写ベルトとして使用できないため画像を評価することができなかった。これは、絶縁樹脂にアミノ基が含まれていなかったため、絶縁樹脂と導電性カーボンブラック粒子の接触抵抗が高すぎて、導電性粒子の導電性が損なわれたため、と考えられる。
また、導電性多層ベルト12では、図6に示されるように、上記半導電性の範囲において、導電性多層ベルトにおける導電性粒子の含有量に対する表面抵抗率の変化の割合が著しく大きかった。すなわち、上記半導電性の範囲でパーコレーションが発生した。その結果、導電性多層ベルト12では、表2に示されるように、導電性多層ベルト1〜6に比べて、表面抵抗率のバラツキが大きく、また、中間転写ベルトとして使用したときに、出力画像において明らかな濃度ムラが見られた。これは、導電性カーボンブラック粒子が密着する絶縁樹脂を有さないため、導電性カーボンブラック粒子同士の接触によって、パーコレーションがより顕著に発生したため、と考えられる。
以上より、導電性カーボンブラック粒子の数平均一次粒径が20〜60nmであり、被覆層がアミノ基を有する絶縁樹脂で構成され、導電性粒子における絶縁樹脂の含有量が10〜50質量%であり、導電性カーボンブラック粒子のDBP吸収量が100〜200mL/100gである導電性粒子は、導電性部材に配合されたときに、特に半導電性の、導電性部材のパーコレーションを防止することがわかる。したがって、導電性部材を高い歩留まりで製造することができることがわかる。さらに、このような導電性部材を画像形成装置の中間転写ベルトに用いることによって、転写不良および転写ムラが抑えられた良好な画像を形成することができることがわかる。
本発明では、導電性粒子が適度な導電性を有していることから、導電性の制御が難しい半導電性の導電性部材を高い歩留まりで製造することが可能である。よって、本発明によれば、電子写真方式の画像形成装置における好適な電気特性を有する中間転写体、特に中間転写ベルト、を高い生産性で製造することができる。また、本発明によれば、半導電性の電気特性を有する導電性部材の需要の拡大や、当該導電性部材の新たな用途のさらなる開発が期待される。
1 画像形成装置
10,20 導電性粒子
11 導電性カーボンブラック粒子
12,22 被覆層
30 画像処理部
40 画像形成部
41Y,41M,41C,41K 画像形成ユニット
42 中間転写ユニット
43 二次転写ユニット
50 用紙搬送部
51 給紙部
51a,51b,51c 給紙トレイユニット
52 排紙部
52a 排紙ローラー
53 搬送経路部
53a レジストローラー対
60 定着装置
62 定着ローラー
63 加圧ローラー
110 画像読取部
111 自動原稿給紙装置
112 原稿画像走査装置
112a CCDセンサー
411Y 露光装置
412Y 現像装置
413Y 感光体ドラム
414Y 帯電装置
415Y ドラムクリーニング装置
421 中間転写ベルト
422 一次転写ローラー
423,431 支持ローラー
423A バックアップローラー
426 ベルトクリーニング装置
431A 二次転写ローラー
432 二次転写ベルト
D 原稿
S 用紙

Claims (9)

  1. 導電性カーボンブラック粒子と、前記導電性カーボンブラック粒子の表面を被覆する被覆層と、を有する導電性粒子であって、
    前記導電性カーボンブラック粒子の数平均一次粒径は、20〜60nmであり、
    前記導電性カーボンブラック粒子のジブチルフタレート吸収量は、100〜200mL/100gであり、
    前記被覆層は、アミン変性スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアミドおよびポリアミドイミドからなる群から選ばれる一以上の絶縁樹脂で構成され、
    前記導電性粒子における前記絶縁樹脂の含有量は、10〜50質量%である、導電性粒子。
  2. 前記絶縁樹脂は、アミン変性スチレン系エラストマーまたはポリアミド系エラストマーである、請求項1に記載の導電性粒子。
  3. 疎水性の有機溶剤に絶縁樹脂を溶解させ、かつ導電性カーボンブラック粒子を分散させた疎水性分散液に、前記疎水性分散液よりも多量の水系媒体を乳化させながら添加する工程と、
    前記疎水性分散液と前記水系媒体のエマルションから前記有機溶剤を留去して、前記絶縁樹脂を前記導電性カーボンブラック粒子の表面に固定化する工程と、を含む、前記絶縁樹脂で構成された被覆層によって前記導電性カーボンブラック粒子の表面が覆われている導電性粒子の製造方法であって、
    前記導電性カーボンブラック粒子の数平均一次粒径は、20〜60nmであり、
    前記導電性カーボンブラック粒子のジブチルフタレート吸収量は、100〜200mL/100gであり、
    前記絶縁樹脂は、アミン変性スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアミドおよびポリアミドイミドからなる群から選ばれる一以上の樹脂である、導電性粒子の製造方法。
  4. 前記絶縁樹脂は、アミン変性スチレン系エラストマーまたはポリアミド系エラストマーである、請求項に記載の導電性粒子の製造方法。
  5. 基材樹脂と、前記基材樹脂中に分散された請求項1または2に記載の導電性粒子と、を含む、導電性組成物。
  6. 請求項に記載の導電性組成物を含む導電性部材。
  7. 前記導電性粒子の含有量は、前記基材樹脂100質量部に対して1〜50質量部である、請求項に記載の導電性部材。
  8. 前記導電性部材の表面抵抗率は、1.0×10〜1.0×1013Ω/□である、請求項またはに記載の導電性部材。
  9. 電子写真感光体上に形成されたトナー画像を記録媒体に転写するための中間転写ベルトを有する画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトは、請求項のいずれか一項に記載の導電性部材である、画像形成装置。
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