JP5880370B2 - 半導体光素子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体光素子及びその製造方法に関する。
従来、効率が高く、良好な特性が得られるものとして、量子ドットを備える半導体光素子がある。
このような量子ドットを備える半導体光素子としては、例えばInGaAs量子ドットを備える半導体光素子がある。
このInGaAs量子ドットを備える半導体光素子では、歪系半導体ヘテロ結晶成長の初期に現れる島状成長(S−K成長)を利用して、InGaAs量子ドットを形成する。つまり、GaAs結晶の表面上にInGaAs結晶を成長させると、InGaAs結晶成長の開始直後は平面状に結晶成長し、平面状のInGaAs結晶となるが、臨界膜厚以上になると、歪み増大の結果、結晶成長が3次元化し、3次元化したInGaAs結晶となる。これを利用して、InGaAs量子ドットを形成する。
この場合、GaAs層上に、平面状のInGaAs結晶、即ち、InGaAs濡れ層が形成され、このInGaAs濡れ層上に、3次元化したInGaAs結晶、即ち、InGaAs量子ドットが形成されることになる。
特開2007−53322号公報
Y. Arakawa et al., "Multidimensional quantum well laser and temperature dependence of its threshold current", Applied Physics Letters, 40(11), pp. 939-941, 1 June 1982 T. Kaizu et al., "Facet Formation of Uniform InAs Quantum Dots by Molecular Beam Epitaxy", Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 42, pp. 4166-4168, (2003)
しかしながら、上述のようにしてInGaAs量子ドットを形成する場合、コアレッセンスドット(巨大ドット)が多く発生してしまい、効率が低下してしまうことがある。
そこで、コアレッセンスドットの発生を抑制し、効率を向上させたい。
本半導体光素子は、GaAs又はAlGaAsを含む下地層と、下地層上に形成され、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)濡れ層と、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層上に形成されたInGa1−yAs(y<1)量子ドットとを備え、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層は、InGa1−yAs(y<1)量子ドットよりもIn組成が高いことを要件とする。
本半導体光素子の製造方法は、GaAs又はAlGaAsを含む下地層を形成する工程と、下地層上に、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)濡れ層を形成する工程と、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層上に、InGa1−yAs(y<1)量子ドットを形成する工程とを含み、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層を形成する工程において、InGa1−yAs(y<1)量子ドットよりもIn組成が高いInGa1−xAs(x≦1)濡れ層を形成することを要件とする。
したがって、本半導体光素子及びその製造方法によれば、コアレッセンスドットの発生を抑制し、効率を向上させることができるという利点がある。
本実施形態にかかる半導体光素子の構成を示す模式的断面図である。 GaAs結晶上にInGa1−xAs(x≦1)結晶を成長させる場合のInGa1−xAs(x≦1)結晶の臨界膜厚のIn組成依存性、及び、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)結晶の表面の算術平均粗さRaのIn組成依存性を示す図である。 (A)は、GaAs結晶上にInAs結晶を臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚になるように約1.52ML成長させた場合のInAs結晶の表面のAFM像であり、(B)は、GaAs結晶上にIn0.5Ga0.5As結晶を臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚になるように約3.05ML成長させた場合のIn0.5Ga0.5As結晶の表面のAFM像である。 (A)は、GaAs結晶の表面上に約1.56ML成長させたInAs濡れ層上に、In0.5Ga0.5As結晶を約3.54ML成長させてIn0.5Ga0.5As量子ドットを形成した場合のAFM像であり、(B)は、GaAs結晶の表面上にIn0.5Ga0.5As結晶を約6.82ML成長させてIn0.5Ga0.5As濡れ層上にIn0.5Ga0.5As量子ドットを形成した場合のAFM像である。 (A)〜(C)は、本実施形態にかかる半導体光素子の製造方法に含まれる量子ドットの形成方法を説明するための模式的断面図である。 (A)〜(C)は、従来の量子ドットの形成方法を説明するための模式的断面図である。 本実施形態にかかる具体的構成例の半導体光素子のPLスペクトル及び比較例の半導体光素子のPLスペクトルを示す図である。 本実施形態にかかる半導体光素子としてのファブリペローレーザの構成を示す模式的断面図である。 本実施形態にかかる半導体光素子の変形例の構成を示す模式的断面図である。 In組成を約0.13としたInGaAs歪緩和層を設ける場合のInGaAs歪緩和層の膜厚とPL発光波長との関係を示す図である。
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかる半導体光素子及びその製造方法について、図1〜図10を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる半導体光素子は、InGaAs量子ドットを備える半導体光素子である。ここでは、半導体光素子として、例えば半導体レーザや半導体光増幅器などの半導体発光素子を例に挙げて説明する。なお、半導体光素子を光半導体素子ともいう。
本半導体光素子は、図1に示すように、GaAs層(下地層)1と、GaAs層1上に形成されたInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2と、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2上に形成されたInGa1−yAs(y<1)量子ドット3とを備える。そして、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2は、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有する。また、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2は、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3よりもIn組成が高くなっている(x>y)。なお、濡れ層を、薄膜層、又は、ウェッティングレイヤともいう。
ここで、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚とは、InGa1−xAs(x≦1)量子ドットが形成されない膜厚又は発光波長に影響を与えない程度にInGa1−xAs(x≦1)量子ドットが形成される膜厚であって、その上にInGa1−yAs(y<1)濡れ層が形成されずにInGa1−yAs(y<1)量子ドットが形成される膜厚又はその上にラフネスに影響を与えない程度のInGa1−yAs(y<1)濡れ層とInGa1−yAs(y<1)量子ドットが形成される膜厚である。
また、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を構成するInGa1−xAs(x≦1)結晶の格子定数は、GaAs層1を構成するGaAs結晶の格子定数よりも大きい。また、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を構成するInGa1−yAs(y<1)結晶の格子定数は、GaAs層1を構成するGaAs結晶の格子定数よりも大きく、かつ、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を構成するInGa1−xAs(x≦1)結晶の格子定数よりも小さい。
本実施形態では、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2としてInAs濡れ層を備え、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3としてIn0.5Ga0.5As量子ドットを備える。そして、InAs濡れ層2は、臨界膜厚が約1.75MLであるため、その膜厚は、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚である約1.57MLとなっている。また、InAs濡れ層2は、In0.5Ga0.5As量子ドット3よりもIn組成が高くなっている。ここで、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚とは、InAs量子ドットが形成されない膜厚又は発光波長に影響を与えない程度にInAs量子ドットが形成される膜厚であって、その上にIn0.5Ga0.5As濡れ層が形成されずにIn0.5Ga0.5As量子ドットが形成される膜厚又はその上にラフネスに影響を与えない程度のIn0.5Ga0.5As濡れ層とIn0.5Ga0.5As量子ドットが形成される膜厚である。
このように構成される半導体光素子の製造方法は、次の工程を含む。
つまり、本半導体光素子の製造方法は、GaAs層1を形成する工程と、GaAs層1上に、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を形成する工程と、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2上に、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を形成する工程とを含む。そして、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を形成する工程において、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3よりもIn組成が高いInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を形成する。
本実施形態では、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を形成する工程において、臨界膜厚(約1.75ML)未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚である約1.57MLの膜厚を有するInAs濡れ層2を形成する。また、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を形成する工程において、In0.5Ga0.5As量子ドット3を形成する。この場合、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を形成する工程において、In0.5Ga0.5As量子ドット3よりもIn組成が高いInAs濡れ層2を形成することになる。
具体的には、GaAs結晶の表面上に、InAs結晶を、臨界膜厚(約1.75ML)未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚である約1.57MLになるまで成長させ、続けてIn0.5Ga0.5As結晶を約3.54MLで成長させる。この場合、InAs結晶は平面状に結晶成長するが、In0.5Ga0.5As結晶を結晶成長させる際にはInAs結晶の膜厚は臨界膜厚寸前の膜厚になっており、歪みが蓄積した状態になっているため、続けてIn0.5Ga0.5As結晶を結晶成長させると、3次元化したIn0.5Ga0.5As結晶となる。これにより、GaAs層1上にInAs濡れ層2が形成され、InAs濡れ層2上にIn0.5Ga0.5As量子ドット3が形成される。つまり、GaAs層1を構成するGaAs結晶の表面上に、まず、InAs結晶を成長させてInAs濡れ層2を形成し、続けて、In0.5Ga0.5As結晶の成長に切り替えてIn0.5Ga0.5As量子ドット3を形成する。
このようにして、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有し、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3よりもIn組成が高いInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2上にInGa1−yAs(y<1)量子ドット3を形成することで、コアレッセンスドットの発生を抑制し、効率(ここでは発光効率)を向上させることができる。
つまり、従来のように、単純にGaAs結晶上にInGaAs結晶を成長させて、GaAs層上にInGaAs濡れ層及びInGaAs量子ドットを形成する場合(例えば図6参照)、InGaAs濡れ層とInGaAs量子ドットのIn組成は同じになる。このため、後述するように、InGaAs量子ドットのIn組成を低くすると、InGaAs濡れ層は、In組成が低くなり、臨界膜厚が厚くなり、表面のラフネス、即ち、算術平均粗さRaが大きくなって、コアレッセンスドットが多く発生してしまい、これには結晶欠陥が存在するため、効率(ここでは発光効率)が低下してしまうことになる。
これに対し、本実施形態では、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するものとすることで、その上にInGa1−yAs(y<1)量子ドット3が形成されるようにしながら、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3とInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2のIn組成を変えるようにしている。このため、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3のIn組成に関わらず、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2のIn組成を、コアレッセンスドットの発生を抑制するのに必要な範囲で任意に設定することが可能である。つまり、後述するように、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3のIn組成を低くしても、少なくとも、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2のIn組成をInGa1−yAs(y<1)量子ドット3よりも高くすることで、従来の場合と比較して、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2は、臨界膜厚が薄くなり、表面のラフネス、即ち、算術平均粗さRaが小さくなって、コアレッセンスドットの発生を抑制し、効率(ここでは発光効率)を向上させることができる。
以下、より詳細に説明する。
まず、本発明者が鋭意検討したところ、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3が形成される下地となるInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2の表面のラフネス、即ち、算術平均粗さRaが、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3の成長に悪影響を及ぼし、その結果、コアレッセンスドットの発生につながっていることがわかった。ここで、算術平均粗さとは、算術表面粗さともいい、JIS B0601−1994に定義されている表面粗さである。
つまり、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2の表面、即ち、InGa1−xAs(x≦1)結晶が3次元化する直前の平面状のInGa1−xAs(x≦1)結晶の表面の算術平均粗さRaが大きくなるほどコアレッセンスドットが多く発生し、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2の表面の算術平均粗さRaが小さくなるほどコアレッセンスドットの発生が抑制されることがわかった。
また、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2のIn組成が高くなるほどInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2の表面の算術平均粗さRaが小さくなることがわかった。
このため、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2のIn組成が高くなるほど、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2の表面の算術平均粗さRaが小さくなり、コアレッセンスドットの発生が抑制され、効率(ここでは発光効率)が向上することになる。
ここで、図2は、GaAs結晶上にInGa1−xAs(x≦1)結晶を成長させる場合のInGa1−xAs(x≦1)結晶の臨界膜厚のIn組成依存性、及び、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)結晶の表面の算術平均粗さRaのIn組成依存性を示している。なお、図2では、臨界膜厚を黒丸でプロットし、算術平均粗さRaを白丸でプロットしている。
図2に示すように、GaAs結晶上にInGa1−xAs(x≦1)結晶を成長させる場合、InGa1−xAs(x≦1)結晶は、そのIn組成が高くなるほど、格子歪みが大きくなるため、臨界膜厚が薄くなり、算術平均粗さRaが小さくなることがわかる。ここで、臨界膜厚は、InGa1−xAs(x≦1)結晶が3次元化するまでの膜厚である。この臨界膜厚は、歪緩和する膜厚、成長厚さが歪緩和する膜厚である。
なお、GaAs結晶上にInGa1−xAs(x≦1)結晶を成長させる場合に、InGa1−xAs(x≦1)結晶の臨界膜厚が薄くなると、算術平均粗さRaが小さくなるのは、下地となるGaAs結晶の表面の平坦性を引き継いで、その平坦性を保つことが可能となるからである。ここでは、下地となるGaAs結晶は、表面の平坦性が確保されているものとする。例えば、下地となるGaAs結晶の表面の算術平均粗さRaは、約0.2(Å)である。
例えば、GaAs結晶上にInAs結晶を成長させる場合、GaAs結晶上にIn0.5Ga0.5As結晶を成長させる場合と比較して、格子歪みが大きくなるため、臨界膜厚が薄くなり、算術平均粗さRaが小さくなる。なお、GaAs結晶上にInAs結晶を成長させる場合の臨界膜厚は約1.75MLである。
つまり、GaAs結晶上に、格子定数の異なるInGa1−xAs(x≦1)結晶を成長させると、歪結晶の成長となるため、膜厚が厚くなるほど、ラフネス、即ち、算術平均粗さRaが増大するのは避けられない。ここで、GaAsの格子定数は約5.65(Å)であり、InAsの格子定数は約6.06Åであり、In0.5Ga0.5Asの格子定数は約5.87Åである。このため、GaAsに対して格子歪みが約3.9%のIn0.5Ga0.5AsをGaAs結晶上に約3.54ML成長させた場合に比べて、GaAsに対して格子歪みが約7.3%のInAsをGaAs結晶上に約1.52ML成長させた場合の方が、格子歪みが大きくなるため、臨界膜厚が薄くなり、ラフネスが小さくなる。
ここで、図3(A)は、GaAs結晶上にInAs結晶を成長させ、臨界膜厚になる前に結晶成長を止めた場合のInAs結晶の表面のAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)像である。なお、ここでは、InAs結晶の膜厚が、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚になるように、InAs結晶を約1.52ML成長させている。また、図3(B)は、GaAs結晶上にIn0.5Ga0.5As結晶を成長させ、臨界膜厚になる前に結晶成長を止めた場合のIn0.5Ga0.5As結晶の表面のAFM像である。なお、ここでは、In0.5Ga0.5As結晶の膜厚が、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚になるように、In0.5Ga0.5As結晶を約3.05ML成長させている。
図3(A)、図3(B)に示すAFM像に基づいて算術平均粗さRaを求めたところ、InAs結晶の表面の算術平均粗さRaは、約0.4657(Å)であったのに対し、In0.5Ga0.5As結晶の表面の算術平均粗さRaは、約0.6148(Å)であった。なお、ここでは、下地となるGaAs結晶の表面の算術平均粗さRaは、約0.2(Å)である。
つまり、GaAs結晶上にInAs結晶を成長させる場合、GaAs結晶上にIn0.5Ga0.5As結晶を成長させる場合と比較して、臨界膜厚が薄くなり、算術平均粗さRaが小さくなって平坦になっている。なお、図2では、これらの算術平均粗さRaの値をIn組成に対応づけてプロットしている。
ここで、図4(A)は、GaAs結晶の表面上に約1.56ML成長させたInAs濡れ層2上に、In0.5Ga0.5As結晶を約3.54ML成長させてIn0.5Ga0.5As量子ドット3を形成した場合のAFM像である。また、図4(B)は、GaAs結晶の表面上にIn0.5Ga0.5As結晶を約6.82ML成長させてIn0.5Ga0.5As濡れ層上にIn0.5Ga0.5As量子ドットを形成した場合のAFM像である。
図4(B)に示すように、In0.5Ga0.5As濡れ層上にIn0.5Ga0.5As量子ドットを形成した場合、コアレッセンスドットが多く発生しているのに対し、図4(A)に示すように、平坦なInAs濡れ層2上にIn0.5Ga0.5As量子ドット3を形成した場合には、構造揺らぎが少なく、コアレッセンスドットの発生が抑制されることが確認できた。
このように、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2のIn組成が高くなるほど、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2の表面の算術平均粗さRaが小さくなり、コアレッセンスドットの発生が抑制され、素子特性の劣化を防ぐことができ、効率(ここでは発光効率)が向上することになる。
特に、本実施形態のように、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2としてInAs濡れ層を備えるものとするのが好ましい。これにより、コアレッセンスドットの発生が最も抑制され、最も効率(ここでは発光効率)を向上させることができる。つまり、InAs濡れ層2は、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層の中で最もIn組成が高いため、表面の算術平均粗さRaが最も小さくなる。このため、コアレッセンスドットの発生が最も抑制され、最も効率(ここでは発光効率)を向上させることができる。また、GaAs結晶上にInGaAs結晶を成長させてInGaAs濡れ層2を形成する場合、In原子の再蒸発を抑制するために一般的には約500℃以下の低温でInGaAs結晶を成長させる。このような低温でInGaAs結晶の成長を行なうと、成長表面においてGa原子は十分なマイグレーションが得られない。そして、InGaAs結晶は、Ga原子のマイグレーションが十分でない状態で臨界膜厚まで成長することになる。これに起因して、InGaAs濡れ層2の表面の算術平均粗さRaが大きくなることがある。このため、Ga原子を含まないInAs濡れ層2とすることで、Ga原子のマイグレーションに起因して濡れ層の表面の算術平均粗さRaが大きくなってしまうのを防ぐことができる。これにより、コアレッセンスドットの発生をより確実に抑制することができ、より確実に効率(ここでは発光効率)を向上させることが可能となる。
ところで、本実施形態では、図1に示すように、さらに、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を埋め込むGaAs埋込層4を備える。このため、本実施形態では、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2及びInGa1−yAs(y<1)量子ドット3は、下地となるGaAs層1とGaAs埋込層4とに挟まれていることになる。つまり、本半導体光素子は、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3をGaAs結晶中に埋め込んだ構造、即ち、InGa1−yAs(y<1)量子ドット埋め込み構造を備える。なお、量子ドット積層構造5とする場合には、GaAs埋込層4は、その上に形成されるInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2及びInGa1−yAs(y<1)量子ドット3の下地層となる。このように、本半導体光素子は、バンドギャップの大きい半導体結晶の中にバンドギャップの小さい半導体結晶箱(ドット)を埋め込んだ半導体結晶量子ドット構造を活性層に用いた半導体光素子である。このバンドギャップの大きい半導体結晶の中に埋め込んだバンドギャップの小さい半導体量子ドットはキャリアを3次元的に閉じ込め、エネルギー準位はデルタ関数的に離散化しており量子化されている。このような半導体量子ドットを半導体レーザの活性層に用いると、発光波長が統一され、レーザ発振に寄与しない余分な波長の発光が抑制されたものとなる。このため、このような半導体レーザは、発光効率が高く、良好な特性が得られる。
なお、本実施形態では、基板としてGaAs基板を用いることを前提に、結晶欠陥が生じるのを防止するために、GaAs基板に格子整合するGaAs結晶を下地層及び埋込層に用いているが、これに限られるものではなく、例えばGaAs基板の格子定数との差が約0.1%以下の格子定数を有する半導体層(例えばAlGaAs層;AlGa1−zAs(z≧0)など)を用いても良い。
本実施形態にかかる半導体光素子の具体的な構成例としては、例えば、GaAs基板の上方に活性層を備え、この活性層が、GaAs層1と、GaAs層1上に形成されたInAs濡れ層2と、InAs濡れ層2上に形成されたIn0.5Ga0.5As量子ドットと3、In0.5Ga0.5As量子ドット3を埋め込むGaAs埋込層4とを備え、さらに、これらを繰り返し積層した構造(量子ドット積層構造;InGaAs量子ドット積層構造)5を有するものとすれば良い。
このような半導体光素子の製造方法について、図5、図1を参照しながら、具体的に説明する。
なお、量子ドット積層構造を形成するための結晶成長には、例えば分子線エピタキシー(MBE;Molecular Beam Epitaxy)法を用いれば良い。ここでは、通常の固体原料を用いたMBE法によって、量子ドット積層構造5を形成する。
つまり、まず、図示していないGaAs基板上に、基板温度約580℃でAs及びGaを供給して、GaAs結晶を約100nm成長させて、図5(A)に示すように、GaAs層1(GaAsバッファ層)を形成する。ここでは、GaAs基板として、例えば、Siが1×1018cm−3程度ドープされたn型GaAs基板を用い、このn型GaAs基板の(001)面上にGaAs結晶を成長させる。
次いで、Asを供給したままGaの供給を遮断し、その後、基板温度をInが再蒸発しない低温(例えば約500℃以下)まで下げて、基板温度を安定させるために約60秒間保持する。
そして、Asを供給したまま、さらにInを供給して、図5(B)に示すように、GaAs層1上に、InAs結晶を成長させて、InAs濡れ層2を形成する。ここでは、GaAs結晶の表面に成長するInAs結晶の臨界膜厚が約1.75MLであるため、GaAs層1上にInAs結晶を臨界膜厚寸前である約1.57MLまで成長させて、InAs濡れ層2を形成する。このInAs濡れ層2は、膜厚が薄いため、表面のラフネスが小さい。
続いて、As及びInを供給したまま、さらにGaを供給して、図5(C)に示すように、InAs濡れ層2上に、In0.5Ga0.5As結晶を成長させて、In0.5Ga0.5As量子ドット3を形成する。ここでは、In0.5Ga0.5As結晶を約3.54ML成長させることで、In0.5Ga0.5As量子ドット3を形成する。また、ここでは、InAs濡れ層2が、臨界膜厚寸前の膜厚になっているため、In0.5Ga0.5As結晶はすぐにドット化して、In0.5Ga0.5As量子ドット3が形成される。この場合、In0.5Ga0.5As量子ドット3が形成されるInAs濡れ層2は、表面のラフネスが小さいため、コアレッセンスドットの発生が抑制される。
これに対し、GaAs層1上にIn0.5Ga0.5As結晶を成長させてIn0.5Ga0.5As濡れ層2X及びIn0.5Ga0.5As量子ドット3を形成する場合、図6(A)、図6(B)に示すように、まず、GaAs層1上に、表面のラフネスが大きいIn0.5Ga0.5As濡れ層2Xが形成された後、図6(C)に示すように、このIn0.5Ga0.5As濡れ層2X上にIn0.5Ga0.5As量子ドット3が形成されることになる。このため、コアレッセンスドット3Xが多く発生することになる。
その後、基板温度を変えずに、Inの供給を遮断し、As及びGaを供給して、図1に示すように、In0.5Ga0.5As量子ドット3を埋め込むように、GaAs結晶を約10nm成長させて、GaAs層4(GaAs埋込層)を形成する。これにより、In0.5Ga0.5As量子ドット3の形状が変形しないようにしながら、In0.5Ga0.5As量子ドット3をGaAs層4で埋め込むことができる。
続いて、基板温度を約580℃まで上げて、As及びGaを供給して、GaAs層4上に、さらにGaAs結晶を約30nm成長させて、GaAs層4(GaAs埋込層)を形成する。この場合、In0.5Ga0.5As量子ドット3を埋め込むGaAs層4、即ち、後述するようにしてその上方に形成されるInAs濡れ層2及びIn0.5Ga0.5As量子ドット3の下地となるGaAs層4の厚さは、約40nmとなる。なお、GaAs層4を、GaAs中間層ともいう。
このようにして、In0.5Ga0.5As量子ドット3をGaAs層1、4の中に埋め込んだ構造が形成される。
その後、上述のInAs濡れ層形成工程、In0.5Ga0.5As量子ドット形成工程、GaAs層形成工程を繰り返して(ここでは例えば8回繰り返して)、量子ドット積層構造5を形成する。
ここで、図7は、このようにして形成した量子ドット積層構造5を備えるもののPLスペクトルを示している。ここでは、上述のようにして形成した量子ドット積層構造5を備えるもののPLスペクトルを実線Aで示しており、比較例として、In0.5Ga0.5As結晶のみを成長させて濡れ層及び量子ドットを形成し、上述の場合と同様に、GaAs中間層の厚さを約40nmとし、8層積層した量子ドット積層構造を備えるもののPLスペクトルを実線Bで示している。
図7中、実線A、Bで示すように、上述のようにしてInAs濡れ層2上にIn0.5Ga0.5As量子ドット3を形成した量子ドット積層構造5を備えるものの方が、比較例のようにIn0.5Ga0.5As濡れ層3X上にIn0.5Ga0.5As量子ドット3を形成した量子ドット積層構造を備えるものよりもPL発光強度が強くなっており、これは、コアレッセンスドットの発生が抑制されて結晶欠陥が少なくなったためであると考えられる。
なお、ここでは、In0.5Ga0.5As量子ドット3を用いる場合を例に挙げて説明しているが、量子ドット3のIn組成は、これに限られるものではなく、0.5以外であっても良い。また、ここでは、InAs濡れ層2を用いる場合を例に挙げて説明しているが、量子ドット3よりもIn組成が高いInGa1−xAs(x≦1)であれば臨界膜厚を薄くできるため、濡れ層2として用いても良く、この場合も、上述の場合と同様にその上にInGa1−yAs(y<1)量子ドット3を成長させることができる。つまり、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を用い、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2をInGa1−yAs(y<1)量子ドット3よりもIn組成が高いものとし、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2上にInGa1−yAs(y<1)量子ドット3を形成することで、上述の場合と同様に、コアレッセンスドットの発生が抑制され、結晶欠陥が少なくなり、PL発光強度が強くなる。
また、ここでは、中間層4の厚さを約40nmとしているが、中間層4の厚さはこれに限られるものではなく、これよりも厚くても良いし、薄くても良い。この場合も、上述の場合と同様に量子ドット積層構造5を形成することができる。
ところで、上述のように構成される量子ドット積層構造5を活性層に用いて、例えば図8に示すようなファブリぺローレーザ(半導体光素子)を構成することができる。なお、ファブリペローレーザをレーザダイオードともいう。
ここでは、ファブリぺローレーザは、(100)面を主面とするn型GaAs基板10上に、n型GaAsバッファ層11と、n型AlGaAs下側クラッド層12と、活性層13と、p型AlGaAs上側クラッド層14と、p型GaAsキャップ層15(コンタクト層)とが積層された半導体積層構造を備える。なお、この半導体積層構造を、量子ドットレーザ構造又は積層量子ドットレーザ構造ともいう。
ここで、n型GaAsバッファ層11は、例えば約400〜約500nmの厚さを有する。
型AlGaAs下側クラッド層12は、例えば約300nmの厚さを有する。
ここで、n型GaAsバッファ層11及びn型AlGaAs下側クラッド層12は、例えばMBE法によって、基板温度約580℃で形成すれば良い。
活性層13は、例えば約100nmの厚さのn型GaAs層17(下側導波層;下地層)と、InAs濡れ層2、In0.5Ga0.5As量子ドット3及び例えば約40nmの厚さのGaAs埋込層(中間層)4を繰り返し積層(ここでは8層積層)した構造18と、非ドープのGaAs層(埋込層)19と、例えば約120nmの厚さのp型GaAs層20(上側導波層)とを積層した量子ドット積層構造を備える。このような量子ドット積層構造は、上述の量子ドット積層構造と同様に形成される。
型AlGaAs上側クラッド層14は、例えば約300nmの厚さを有する。
型GaAsキャップ層15は、例えば約50nmの厚さを有する。
ここで、非ドープのGaAs層19、p型GaAs層20、p型AlGaAs上側クラッド層14及びp型GaAsキャップ層15は、例えばMBE法によって形成すれば良い。
また、ファブリペローレーザは、このような半導体積層構造に対して、p型GaAs層20が露出するまでメサエッチングを行なって形成されたメサ構造21を備える。
そして、このメサ構造21上に、即ち、p型GaAsキャップ層15上に、p側電極16を備えるとともに、n型GaAs基板10の裏面側にn側電極22を備える。また、図示していないが、半導体積層構造の表面は、例えばSiN等の保護膜によって覆われている。さらに、図示していないが、レーザダイオードの対向する端面には、それぞれ、高反射率ミラー及び低反射率ミラーが形成されており、レーザダイオードの光共振器を構成している。このレーザダイオードの光共振器の中に設けられた量子ドット積層構造に備えられる量子ドット3によって生成された光は、光共振器を往復する際に誘導放出によって増幅され、コヒーレント光となって低反射率ミラーが設けられた側の端面から出射するようになっている。
なお、ここでは、ファブリペローレーザを例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えばn型AlGaAs下側クラッド層12とn型GaAs下側導波層17との間、あるいは、p型AlGaAs上側クラッド層14とp型GaAs上側導波層20との間に、回折格子を備えるものとして、DFB(Distributed Feedback;分布帰還型)レーザとしても良い。なお、DFBレーザを、DFBレーザダイオード又はレーザダイオードともいう。
したがって、本実施形態にかかる半導体光素子及びその製造方法によれば、コアレッセンスドットの発生を抑制し、効率(ここでは発光効率)を向上させることができるという利点がある。
なお、本発明は、上述した実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でなど種々変形することが可能である。
例えば、上述の実施形態では、半導体光素子を、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を埋め込むGaAs埋込層4を備えるものとし、その製造方法を、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を形成する工程の後に、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を埋め込むGaAs埋込層4を形成する工程を含むものとしているが、これに限られるものではない。
例えば図9に示すように、上述の実施形態の半導体光素子において、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を埋め込むGaAs埋込層4に代えて、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3の少なくとも側面を覆うInGaAs歪緩和層6(SRL;Strain Reducing Layer)と、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3及びInGaAs歪緩和層6を埋め込むGaAs埋込層7とを備えるものとしても良い。つまり、半導体光素子を、GaAs層(下地層)1と、GaAs層1上に形成され、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2と、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2上に形成されたInGa1−yAs(y<1)量子ドット3と、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3の少なくとも側面を覆うInGaAs歪緩和層6と、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3及びInGaAs歪緩和層6を埋め込むGaAs埋込層7とを備え、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3よりもIn組成が高いものとしても良い。なお、InGaAs歪緩和層6及びGaAs埋込層7は、上述の実施形態のように量子ドット積層構造を形成する場合には、上下の濡れ層2及び量子ドット3の間に挟まれるため、これらを中間層ともいう。また、上述の実施形態のように量子ドット積層構造を形成する場合には、GaAs埋込層7は、その上に形成されるInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2及びInGa1−yAs(y<1)量子ドット3の下地層となる。
なお、図9では、InGaAs歪緩和層6の厚さをInGa1−yAs(y<1)量子ドット3の高さよりも低くなる場合を例に挙げて示しているが、これに限られるものではなく、InGaAs歪緩和層6を厚くしてInGa1−yAs(y<1)量子ドット3が完全に埋め込まれるようにしても良い。また、上述の実施形態の場合と同様に、下地層1及び埋込層7に、GaAs層に代えて、例えばGaAs基板の格子定数との差が約0.1%以下の格子定数を有する半導体層(例えばAlGaAs層;AlGa1−zAs(z≧0)など)を用いても良い。
この場合、上述の実施形態の半導体光素子の製造方法において、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を形成する工程の後に、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を埋め込むGaAs埋込層4を形成する工程に代えて、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3の少なくとも側面を覆うInGaAs歪緩和層6を形成する工程と、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3及びInGaAs歪緩和層6を埋め込むGaAs埋込層7を形成する工程とを含むものとすれば良い。つまり、半導体光素子の製造方法を、GaAs層1を形成する工程と、GaAs層1上に、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を形成する工程と、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2上に、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3を形成する工程と、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3の少なくとも側面を覆うInGaAs歪緩和層6を形成する工程と、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3及びInGaAs歪緩和層6を埋め込むGaAs埋込層7を形成する工程とを含み、InGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を形成する工程において、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3よりもIn組成が高いInGa1−xAs(x≦1)濡れ層2を形成するものとすれば良い。具体的には、上述の実施形態の半導体光素子の製造方法において、In0.5Ga0.5As量子ドット3を形成した後、GaAs結晶を約10nm成長させる前に、InGaAs歪緩和層6を成長させれば良い。
このように、InGaAs歪緩和層6を設けることで、InGa1−yAs(y<1)量子ドット3の発光波長を制御することができる。
ここで、図10は、In組成を約0.13としたInGaAs歪緩和層6を設ける場合のInGaAs歪緩和層6の膜厚とPL発光波長との関係を示している。
図10中、実線Aで示すように、InGaAs歪緩和層6の膜厚を厚くするほど、PL発光波長(ここではMain peak center wavelength)を長波長にすることができることが分かる。つまり、InGaAs歪緩和層6の膜厚を変えることで、PL発光波長を制御できることが分かる。
なお、ここでは、In組成を約0.13としたInGaAs歪緩和層6を設ける場合を例に挙げて説明しているが、In組成はこれに限られるものではなく、これよりも高くても低くても、この場合と同様に、InGaAs歪緩和層6の膜厚を変えることで、PL発光波長を制御することができる。なお、InGaAs歪緩和層6のIn組成を高くした場合は、図10の実線Aは長波長側へシフトし、In組成を低くした場合は、図10の実線Aは短波長側へシフトする。
また、上述の実施形態及び変形例では、本発明の半導体光素子を発光素子に応用する例を示したが、受光素子(半導体受光素子)に適用しても良い。この場合、図示しないが、本発明の半導体光素子をn型GaAs層とp型GaAs層で挟んだ構造にすることで受光素子(発電素子;受光発電素子)を形成することができる。そして、本発明による半導体光素子に入射した光によって励起されて生成された電子がn型GaAs層へ移動し、正孔がp型GaAs層へ移動するようにすることで、受光素子とすることも可能である。このような構造を有する受光素子は、受光センサーとして用いることもできる。
以下、上述の実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
GaAs又はAlGaAsを含む下地層と、
前記下地層上に形成され、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)濡れ層と、
前記InGa1−xAs(x≦1)濡れ層上に形成されたInGa1−yAs(y<1)量子ドットとを備え、
前記InGa1−xAs(x≦1)濡れ層は、前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットよりもIn組成が高いことを特徴とする半導体光素子。
(付記2)
前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットを埋め込み、GaAs又はAlGaAsを含む埋込層を備えることを特徴とする、付記1に記載の半導体光素子。
(付記3)
前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットの少なくとも側面を覆うInGaAs歪緩和層と、
前記InGa1−yAs(y<1)量子ドット及び前記InGaAs歪緩和層を埋め込み、GaAs又はAlGaAsを含む埋込層とを備えることを特徴とする、付記1に記載の半導体光素子。
(付記4)
GaAs又はAlGaAsを含む下地層を形成する工程と、
前記下地層上に、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)濡れ層を形成する工程と、
前記InGa1−xAs(x≦1)濡れ層上に、InGa1−yAs(y<1)量子ドットを形成する工程とを含み、
前記InGa1−xAs(x≦1)濡れ層を形成する工程において、前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットよりもIn組成が高いInGa1−xAs(x≦1)濡れ層を形成することを特徴とする半導体光素子の製造方法。
(付記5)
前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットを形成する工程の後に、前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットを埋め込み、GaAs又はAlGaAsを含む埋込層を形成する工程を含むことを特徴とする、付記4に記載の半導体光素子の製造方法。
(付記6)
前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットを形成する工程の後に、
前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットの少なくとも側面を覆うInGaAs歪緩和層を形成する工程と、
前記InGa1−yAs(y<1)量子ドット及び前記InGaAs歪緩和層を埋め込み、GaAs又はAlGaAsを含む埋込層を形成する工程とを含むことを特徴とする、付記4に記載の半導体光素子の製造方法。
1 GaAs層(下地層)
2 InGa1−xAs(x≦1)濡れ層(InAs濡れ層)
2X In0.5Ga0.5As濡れ層
3 InGa1−yAs(y<1)量子ドット(In0.5Ga0.5As量子ドット)
3X コアレッセンスドット
4 GaAs埋込層
5 量子ドット積層構造
6 InGaAs歪緩和層
7 GaAs埋込層
10 n型GaAs基板
11 n型GaAsバッファ層
12 n型AlGaAs下側クラッド層
13 活性層
14 p型AlGaAs上側クラッド層
15 p型GaAsキャップ層
16 p側電極
17 n型GaAs層(下地層)
18 積層構造
19 非ドープのGaAs層(埋込層)
20 p型GaAs層
21 メサ構造
22 n側電極

Claims (4)

  1. GaAs又はAlGaAsを含む下地層と、
    前記下地層上に形成され、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)濡れ層と、
    前記InGa1−xAs(x≦1)濡れ層上に形成されたInGa1−yAs(y<1)量子ドットとを備え、
    前記InGa1−xAs(x≦1)濡れ層は、前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットよりもIn組成が高いことを特徴とする半導体光素子。
  2. 前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットを埋め込み、GaAs又はAlGaAsを含む埋込層を備えることを特徴とする、請求項1に記載の半導体光素子。
  3. 前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットの少なくとも側面を覆うInGaAs歪緩和層と、
    前記InGa1−yAs(y<1)量子ドット及び前記InGaAs歪緩和層を埋め込み、GaAs又はAlGaAsを含む埋込層とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の半導体光素子。
  4. GaAs又はAlGaAsを含む下地層を形成する工程と、
    前記下地層上に、臨界膜厚未満で、かつ、臨界膜厚近傍の膜厚を有するInGa1−xAs(x≦1)濡れ層を形成する工程と、
    前記InGa1−xAs(x≦1)濡れ層上に、InGa1−yAs(y<1)量子ドットを形成する工程とを含み、
    前記InGa1−xAs(x≦1)濡れ層を形成する工程において、前記InGa1−yAs(y<1)量子ドットよりもIn組成が高いInGa1−xAs(x≦1)濡れ層を形成することを特徴とする半導体光素子の製造方法。
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