JP2006269886A - 量子ドットの形成方法、それを用いた半導体発光素子の製造方法およびその方法により形成された半導体発光素子 - Google Patents

量子ドットの形成方法、それを用いた半導体発光素子の製造方法およびその方法により形成された半導体発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 安価な基板上に作製可能であり、発光波長の長波長化が可能な半導体発光素子に用いられる量子ドットの形成方法を提供する。
【解決手段】 GaAsからなるクラッド層5に、砒素(As)およびインジウム(In)を連続供給して1.9モノレイヤーのInAs膜600を結晶成長させ、InAs膜600の表面にグレイン610を形成する(c1,c2)。その後、Inを間欠供給してInAsからなる量子ドット611を形成する(c3)。この場合、Inの供給を停止する停止時間を5〜25秒の範囲に設定し、AsおよびInを供給する供給時間を1秒に設定する。
【選択図】 図7

Description

この発明は、量子ドットの形成方法、それを用いた半導体発光素子の製造方法およびその方法により形成された半導体発光素子に関するものである。
微細加工技術に代表される半導体製造技術の進展によって、集積度の向上に加えて、量子サイズ効果を利用した量子ドットレーザ(Quantum Dot Laser)、および単一電子トランジスタ(Single Electron Transistor)等のデバイスが提案されている。
特に、電子のド・ブロイ波長と同程度の寸法(大きさ)を有する量子ドットは、その中に電子を0次元的に閉じ込め、電子のエネルギー準位を離散化、即ち、状態密度をデルタ関数とすることが可能となる。量子ドットは、このような電子の閉じ込め効果(量子サイズ効果)が多岐に渡り顕在化されるため、従来の枠を超越した性能を有するデバイスの基本構造として脚光を浴びている。
このような量子ドットを形成する方法として、S−K(Stransky−Krastanov)モード成長法と呼ばれる自己形成方法が広く知られている(非特許文献1)。通常、薄膜を基板上に形成する場合、その双方の格子定数が一致する基板と薄膜とを用いる必要がある。これは、格子定数が大きく相違すると、エピタキシャル成長時に歪力が生じるため、欠損が生じて薄膜の平面構造が不均一になるためである。
S−Kモード成長法は、上述した薄膜形成における原則とは逆に、格子定数が大きく異なる材料、例えば、基板よりも格子定数が大きい薄膜をエピタキシャル成長させ、エピタキシャル成長時に生じる歪力を積極的に利用して、基板に量子ドットを自己成長させようとする方法である。
S−Kモード成長法を利用して、例えば、III−V族化合物半導体であるガリウム砒素(GaAs)基板の表面に、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法により砒素(As)分子とインジウム(In)分子とを連続的に供給することにより、均一性に優れた量子ドットを形成することができる。
このような方法により、InAsからなる量子ドットをGaAsからなるキャップ層で覆った量子ドットを活性層に用いた量子ドットレーザが作製されている。そして、この量子ドットレーザは、その発振波長が1.1μm〜1.2μmの範囲である。
一方、インジウムリン(InP)からなる基板上に、インジウムガリウム砒素リン(InGaAsP)を用いて量子井戸を形成し、その形成した量子井戸を活性層とした量子井戸半導体レーザが知られている。そして、この量子井戸半導体レーザは、その発振波長が1.3μmまたは1.5μmである。この1.3μmまたは1.5μmの発振波長は、光ファイバーを用いた光通信にとって長距離通信が可能な発振波長である。
ディー・レオナルド(D. Leonard)他4名著,「応用物理学論文集vol.63(Applied Physics Letters Volume 63)」, 1993年12月6日,pp.3203−3205.
しかし、従来の量子ドットレーザは、その発振波長が1.3μmまたは1.5μmよりも短いため、長距離な光通信に用いることが困難であるという問題がある。
また、従来の量子井戸半導体レーザは、InPの基板上に作製されるため、デバイスの温度が上昇し易く、コストが高いという問題がある。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、安価な基板上に作製可能であり、発光波長の長波長化が可能な半導体発光素子に用いられる量子ドットの形成方法を提供することである。
また、この発明の別の目的は、安価な基板上に作製可能であり、発光波長の長波長化が可能な半導体発光素子の製造方法を提供することである。
更に、この発明の別の目的は、安価な基板上に作製可能であり、発光波長の長波長化が可能な半導体発光素子を提供することである。
この発明によれば、量子ドットの形成方法は、半導体の表面に複数の材料を供給して膜を成長させて量子ドットを形成する量子ドットの形成方法であって、膜の膜厚が膜に歪が生じる臨界膜厚以上になるまで複数の材料を半導体の表面に連続して供給する第1のステップと、第1のステップの後、複数の材料の少なくとも1つの材料の停止時間を少なくとも1つの材料の供給時間よりも長くして少なくとも1つの材料を間欠的に供給する第2のステップとを備える量子ドットの形成方法である。
好ましくは、膜の格子定数は、半導体の格子定数よりも大きい。
好ましくは、間欠的に供給する材料は、複数の材料のうち、表面拡散距離が最も長い材料である。
好ましくは、停止時間は、供給時間の略5〜25倍である。
好ましくは、停止時間は、供給時間の略15倍である。
好ましくは、複数の材料は、砒素およびインジウムであり、間欠的に供給する材料は、インジウムである。
好ましくは、半導体は、ガリウムおよび砒素からなる化合物半導体である。
また、この発明によれば、半導体発光素子の製造方法は、 基板上に半導体を形成する第1のステップと、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の量子ドットの形成方法によって量子ドットを半導体の表面に形成する第2のステップと、量子ドットを覆うようにキャップ層を形成する第3のステップとを備える。
好ましくは、キャップ層は、インジウム、ガリウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる。
好ましくは、キャップ層は、ガリウム、窒素および砒素を含む化合物半導体からなる。
好ましくは、キャップ層は、インジウム、ガリウム、窒素および砒素を含む化合物半導体からなる。
好ましくは、キャップ層は、ガリウム、アンチモン、および砒素を含む化合物半導体からなる。
更に、この発明によれば、半導体発光素子は、第1のバリア層と、第1のバリア層に接して形成された活性層と、活性層に接して形成された第2のバリア層とを備える。活性層は、第1のバリア層の表面に形成された量子ドットと、量子ドットを覆うように形成されたキャップ層とを含む。そして、量子ドットのサイズは、30〜65nmの範囲である。
好ましくは、量子ドットは、インジウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる。
好ましくは、キャップ層は、インジウム、ガリウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる。
好ましくは、キャップ層は、ガリウム、窒素および砒素を含む化合物半導体からなる。
好ましくは、キャップ層は、インジウム、ガリウム、窒素および砒素を含む化合物半導体からなる。
好ましくは、キャップ層は、ガリウム、アンチモン、および砒素を含む化合物半導体からなる。
この発明によれば、量子ドットを形成するとき、膜厚が膜に歪が生じる臨界膜厚以上になるまで複数の材料を成長表面に連続供給して所定の面密度の量子ドットを成長させ、その後、複数の材料の少なくとも1つの材料の供給を停止する停止時間を少なくとも1つの材料の供給時間よりも長くして結晶成長させる。そうすると、成長表面に供給された材料は、成長表面を移動して量子ドットの成長に寄与する。その結果、量子ドットのサイズが大きくなり、より長波長での発光を示すようになるとともに、発光強度が増大する。
従って、この発明によれば、InPよりも安価であるGaAs基板上に半導体発光素子(半導体レーザを含む)を作製でき、発光波長を長波長側へシフトさせることができる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による半導体レーザの断面構造図である。この発明の実施の形態による半導体レーザ10は、負極電極1と、基板2と、バッファ層3と、クラッド層4,8と、バリア層5,7と、活性層6と、コンタクト層9と、正極電極11とを備える。
負極電極1は、基板2の一主面に形成される。バッファ層3は、負極電極1と反対側の基板2の一主面に形成される。クラッド層4は、バッファ層3上にバッファ層3に接して形成される。
バリア層5は、クラッド層4上にクラッド層4に接して形成される。活性層6は、バリア層5上にバリア層5に接して形成される。バリア層7は、活性層6上に活性層6に接して形成される。クラッド層8は、バリア層7上にバリア層7に接して形成される。コンタクト層9は、クラッド層8上にクラッド層8に接して形成される。正極電極11は、コンタクト層9上にコンタクト層9に接して形成される。
負極電極1は、AuGe/Ni/Auからなる。基板2は、シリコン(Si)がドープされた(100)面を有するGaAsからなる。バッファ層3は、1×1018cm−3のSiがドープされたn型GaAsからなる。クラッド層4は、1×1017cm−3のSiがドープされたn型AlGa1−xAs(x=0.2〜0.9)からなる。
バリア層5,7の各々は、ノンドープのGaAsからなる。クラッド層8は、5×1017cm−3のベリリウム(Be)がドープされたp型AlGa1−xAs(x=0.2〜0.9)からなる。コンタクト層9は、2×1019cm−3よりも多くのBeがドープされたp型GaAsからなる。正極電極11は、Au/Zn/Auからなる。
バッファ層3の膜厚は、300nmであり、クラッド層4の膜厚は、1500nmであり、バリア層5,7の各々の膜厚は、80nmであり、クラッド層8の膜厚は、1500nmであり、コンタクト層9の膜厚は、200nmである。
負極電極1の膜厚は、全体で0.6μmである。そして、負極電極1を構成するAuGeの膜厚は、0.15μmであり、Niの膜厚は、0.05μmであり、Auの膜厚は、0.4μmである。正極電極11の膜厚は、全体で0.32μmである。そして、正極電極11を構成するAuの膜厚は、0.01μmであり、Znの膜厚は、0.01μmであり、Auの膜厚は0.3μmである。
図2は、図1に示す活性層6の拡大断面図である。活性層6は、6個の量子ドット層61と、5個の間隙層62とからなる。そして、6個の量子ドット層61および5個の間隙層62は、交互に積層される。
6個の量子ドット層61の各々は、量子ドット611と、キャップ層612とからなる。キャップ層612は、量子ドット611を覆う。量子ドット611は、インジウム砒素(InAs)からなる。キャップ層612は、インジウムガリウム砒素(InGa1−yAs,y=0.01〜0.6)からなる。
InAsのバンドギャップは、0.36eVであり、InGa1−yAsのバンドギャップは、インジウムInの含有量y=0.01〜0.6に対して1.413〜0.7856eVの範囲である。また、量子ドット611のサイズは、30〜65nmの範囲である。
量子ドット611は、InAsが2.4〜3.9モノレイヤー(1モノレイヤー:略0.5nm)の範囲で結晶成長されて形成される。キャップ層612の膜厚は、3〜10nmの範囲である。
5個の間隙層62の各々は、GaAsからなり、10nm〜35nmの膜厚を有する。
図3は、半導体レーザ10のクラッド層4、バリア層5、活性層6、バリア層7およびクラッド層8における屈折率の分布を示す図である。クラッド層4,8は、アルミニウム(Al)の含有量xが0.2〜0.9であるAlGa1−xAsから成るので、屈折率が最も小さい。バリア層5,7は、GaAsからなるので、クラッド層3,8よりも大きい屈折率を有する。活性層6は、InAsおよびInGa1−yAsから成るので、最も大きい屈折率を有する。
このように、クラッド層4、バリア層5、活性層6、バリア層7およびクラッド層8における屈折率の分布は、活性層6を中心にして対称になる。その結果、活性層6において誘導放出により発生した光は、両側に設けられたバリア層5,7およびクラッド層4,8によって光学的に閉じ込められ、レーザ発振のためのしきい値が低下する。
図4は、量子ドット層61におけるエネルギーバンド図である。図4において、キャップ層612→量子ドット611→キャップ層612へ向かう方向は、図1に示す断面図において、基板2に垂直な方向ではなく、基板2の面内方向DR1である。
InGa1−yAs(キャップ層612)の伝導帯Ec1と価電子帯Ev1とのエネルギー差がバンドギャップEg1に相当し、InAs(量子ドット611)の伝導帯Ec2と価電子帯Ev2とのエネルギー差がバンドギャップEg2に相当する。
そして、キャップ層612を構成するInGa1−yAsは、Eg1=1.413〜0.7856eVのバンドギャップを有し、量子ドット611を構成するInAsは、Eg2=0.36eVのバンドギャップを有する。量子ドット611を構成するInAsの伝導帯Ec2は、キャップ層612の伝導帯Ec1よりもエネルギー的に低く、量子ドット611を構成するInAsの価電子帯Ev2は、キャップ層612の価電子帯Ev1よりもエネルギー的に低い。
そうすると、キャップ層612(=InGa1−yAs)の伝導帯Ec1に存在する電子は、エネルギー的により安定な量子ドット611(=InAs)へ移動し、キャップ層612(=InGa1−yAs)の価電子帯Ev1に存在する正孔は、エネルギー的により安定な量子ドット611(=InAs)へ移動する。
そして、エネルギー差ΔEcが伝導帯側に存在し、エネルギー差ΔEvが価電子帯側に存在するので、量子ドット611(=InAs)へ移動した電子および正孔は、熱励起によって量子ドット611(=InAs)からキャップ層612(=InGa1−yAs)へ移動することができず、量子ドット611(=InAs)中に閉じ込められる。
その結果、量子ドット611(=InAs)の伝導帯Ec2側には、電子のサブ準位Esub1が形成され、量子ドット611(=InAs)の価電子帯Ev2側には、正孔のサブ準位Esub2が形成される。
サブ準位Esub1およびサブ準位Esub2は、それぞれ、次の式(1)および式(2)によって表される。
サブ準位Esub1に存在する電子は、サブ準位Esub2に存在する正孔と再結合し、サブ準位Esub1とサブ準位Esub2とのエネルギー差に相当するエネルギーhνを有する光を発する。そして、再結合によって発生した光により誘導放射が生じ、最終的にレーザ発振に至る。
式(1)および式(2)から明らかなように、量子ドット611のサイズdが大きくなれば、サブ準位Esub1,Esub2は、低くなるので、サブ準位Esub1とサブ準位Esub2とのエネルギー差が小さくなり、量子ドット611中で発光する光の波長λは、より長くなる。
そこで、この発明においては、量子ドット611のサイズを大きくすることによって、より長波長のレーザ光を発光する半導体レーザ10を作製することにしたものである。
図5および図6は、それぞれ、図1に示す半導体レーザ10の製造工程を示す第1および第2の工程図である。
半導体レーザ10を構成するバッファ層3、クラッド層4,8、バリア層5,7、活性層6およびコンタクト層9は、MBEにより形成される。まず、Siがドープされた(100)面を有するGaAsからなる基板2が真空チャンバへ導入され、真空チャンバは、約1.33×10−8Paまで真空排気される。
そして、基板2の温度は、540℃〜570℃の範囲に設定され、1.33×10−3Paの圧力において、Ga、AsおよびSiが固体Ga、固体Asおよび固体Siからそれぞれ基板2の一主面に照射され、1×1018cm−3のSiがドープされたn型GaAsが基板2上に300nmの膜厚になるまで結晶成長される。この場合、n型GaAsの成長速度は、610nm/hrである。これにより、基板2上にバッファ層3が形成される(図5の(a)参照)。
その後、1.33×10−3Paの圧力において、Al、Ga、AsおよびSiが固体Al、固体Ga、固体Asおよび固体Siからそれぞれバッファ層3の表面に照射され、1×1017cm−3のSiがドープされたn型AlGa1−xAsがバッファ層3上に1500nmの膜厚になるまで結晶成長される。この場合、n型AlGs1−xAsの成長速度は、847nm/hrである。
n型AlGs1−xAsがバッファ層3上に1500nmの膜厚になるまで結晶成長されると、AlおよびSiの照射がシャッタにより停止され、1.33×10−3Paの圧力において、ノンドープのGaAsが80nmの膜厚になるまで結晶成長される。この場合、ノンドープのGaAsの成長速度は、610nm/hrである。
これにより、クラッド層4およびバリア層5がバッファ層3上に順次堆積される(図5の(b)参照)。
その後、後に詳述する方法によって、活性層6がバリア層5上に形成される(図5の(c)参照)。
そして、活性層6が形成されると、1.33×10−3Paの圧力において、GaおよびAsが固体Gaおよび固体Asからそれぞれ活性層6の表面に照射され、ノンドープのGaAsが活性層6上に80nmの膜厚になるまで結晶成長される。この場合、ノンドープのGaAsの成長速度は、610nm/hrである。これにより、バリア層7が活性層6上に形成される。
その後、1.33×10−3Paの圧力において、Al、Ga、AsおよびBeが固体Al、固体Ga、固体Asおよび固体ベリリウム(Be)からそれぞれバリア層7の表面に照射され、5×1017cm−3のBeがドープされたp型AlGs1−xAsがバリア層7上に1500nmの膜厚になるまで結晶成長される。これにより、クラッド層8がバリア層7上に形成される。この場合、p型AlGs1−xAsの成長速度は、847nm/hrである。
引続いて、1.33×10−3Paの圧力において、Ga、AsおよびBeが固体Ga、固体Asおよび固体Beからそれぞれクラッド層8の表面に照射され、2×1019cm−3よりも多いBeがドープされたp型GaAsがクラッド層8上に200nmの膜厚になるまで結晶成長される。この場合、p型GaAsの成長速度は、610nm/hrである。これにより、コンタクト層9がクラッド層8上に形成される。
その後、基板2の裏面にAuGe/Ni/Auよりなる負極電極1が形成され、コンタクト層9の上にAu/Zn/Auよりなる正極電極11が形成される。
これによって、半導体レーザ10が完成する(図6の(d)参照)。
図7は、図5の(c)に示す工程において行なわれる活性層6の形成過程を示す工程図である。また、図8は、AsおよびInを供給するタイミングチャートである。
図5の(b)に示す工程によってバリア層5が形成されると、基板2の温度が520℃まで降温される。そして、6.65×10−4Paの圧力において、AsおよびInがそれぞれ固体Asおよび固体Inから連続的にバリア層5の表面に照射され、InAs膜600が1.7モノレイヤーまで堆積される(図7の(c1)参照)。
この1.7モノレイヤーは、InAsが下地であるバリア層5のGaAsの格子定数(0.56nm)と整合するように均一に2軸性結晶歪を受けた状態で2次元的に成長する臨界膜厚(Tc)である。
そして、InAsが1.7モノレイヤーまで結晶成長すると、InAs膜600の全面に歪が生じるよりも、グレインを局所的に発生させる方が結晶学的に安定化する。従って、6.65×10−4Paの圧力において、1.9モノレイヤーのInAsが結晶成長するまで、AsおよびInがバリア層5の表面に連続的に照射される。
そうすると、グレイン610がInAs膜600の表面に形成される(図7の(c2)参照)。
その後、固体Inに取付けられたシャッタを開閉して、InAs換算で2.4モノレイヤー〜3.9モノレイヤーになるまでInのバリア層5の表面への供給/停止を繰返す。
そうすると、固体Inに取付けられたシャッタが開いているとき、AsおよびInがバリア層5の表面に供給されるため、InAs膜600の表面に発生したグレイン610が成長し、固体Inに取付けられたシャッタが閉じているとき、Asのみがバリア層5の表面に供給されるので、グレイン610は成長しない。
この場合、Inのバリア層5の表面への供給を停止する停止時間をInをバリア層5の表面に供給する供給時間よりも長くする。その結果、バリア層5の表面に照射されたInがグレイン610に到達する確率が高くなり、グレイン610は、大きく成長する。そして、最終的に、量子ドット611がバリア層5上に形成される(図7の(c3)参照)。
このように、量子ドット611は、AsおよびInの連続供給と、Inの間欠供給とにより形成される。
即ち、AsおよびInは、図8に示すタイミングチャートに従ってバリア層5の表面に供給される。図8の(a)は、固体Inに取付けられたシャッタを開閉するタイミングを示し、図8の(b)は、固体Asに取付けられたシャッタを開閉するタイミングを示す。なお、図8は、InAs換算で2.4モノレイヤーのInAsが結晶成長されるときのタイミングチャートを示す。
Inは、タイミングt0〜t1,t2〜t3,t4〜t5,t6〜t7,t8〜t9の間、バリア層5の表面に供給され、タイミングt1〜t2,t3〜t4,t5〜t6,t7〜t8の間、バリア層5の表面への供給が停止される。そして、タイミングt0〜t1間の時間は、17.3秒であり、タイミングt2〜t3間、タイミングt4〜t5間、タイミングt6〜t7間およびタイミングt8〜t9間の各々の時間は、1秒である。また、タイミングt1〜t2間、タイミングt3〜t4間、タイミングt5〜t6間、およびt7〜t8間の各々の時間は、15秒である。
一方、Asは、タイミングt0〜タイミングt9の間、連続してバリア層5の表面に供給される。
固体Inに取り付けられたシャッタが開の場合には、、InAsは、0.11モノレイヤー/秒の成長速度で結晶成長するので、タイミングt0〜タイミングt1までの間において、AsおよびInが連続してバリア層5の表面に供給され、InAs換算で1.9モノレイヤーのInAsが結晶成長する。
その後、タイミングt1〜t2の間、結晶成長が停止され、タイミングt2〜t3の間、AsおよびInがバリア層5の表面に供給され、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長する。以後、これを繰返し、タイミングt9までの間に2.4モノレイヤーのInAsが結晶成長する。
そして、タイミングt1〜t9までの間のInの間欠供給により、タイミングt1までに発生したグレイン610が大きく成長し、タイミングt9までの間において量子ドット611が形成される。
このように、量子ドット611は、AsおよびInの連続供給と、Inの間欠供給とにより形成される。そして、Inの間欠供給においては、Inの停止時間(15秒)は、Inの供給時間(1秒)よりも長く設定される。これにより、Inがグレイン610に到達する確率が高くなり、量子ドット611のサイズを大きくできる。
また、InAsの格子定数は、0.6nmであり、バリア層5であるGaAsの格子定数は、0.56nmであるので、この発明においては、下地である半導体(GaAs)の格子定数よりも大きい格子定数を有するInAs膜600を結晶成長させることにより量子ドット611を形成することを特徴とする。この特徴により、InAsが臨界膜厚(Tc)以上に結晶成長すると、グレイン610が発生し易くなり、量子ドット611の面密度を高くできる。
更に、Inを間欠供給することにしたのは、InAs膜600を構成するAsおよびInのうち、Inの方がAsよりも表面拡散距離が長いからである。従って、この発明においては、InAs膜600を構成する複数の材料(AsおよびIn)のうち、表面拡散距離が最も長い材料(In)を間欠供給することを特徴とする。この特徴により、Inがグレイン610に到達する確率が高くなり、大きなサイズの量子ドット611を形成できる。
量子ドット611がバリア層5上に形成されると、基板2の温度は、540℃〜570℃の範囲に昇温される。そして、1.33×10−3Paの圧力において、In、GaおよびAsがそれぞれ固体In、固体Gaおよび固体Asからそれぞれ量子ドット611の表面に供給され、InGa1−yAsが3〜10nmの膜厚に結晶成長される。これによって、キャップ層612が量子ドット611を覆うように形成される(図7の(c4)参照)。
その後、1.33×10−3Paの圧力において、GaおよびAsがそれぞれ固体Gaおよび固体Asからそれぞれキャップ層612の表面に供給され、GaAsが10nm〜35nmの膜厚に結晶成長される。これによって、間隙層62が形成される(図7の(c5)参照)。
以後、図5に示す工程c1〜c5を5回繰返して活性層6が形成される。
上述したように、量子ドット611は、InAs膜の連続成長と間欠成長とにより作成される。量子ドット611をInAs膜の連続成長と間欠成長とにより作成する理由について説明する。
図9は、InAsのAFM(Atomic Force Microscope)像である。図9の(a)は、AsおよびInを連続供給して1.9モノレイヤーのInAsを結晶成長させたときのAFM像であり、図9の(b)は、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を15秒間停止することを繰返して1.9モノレイヤーのInAsを結晶成長させたときのAFM像である。
また、図9の(c)は、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を15秒間停止することを繰返して3.0モノレイヤーのInAsを結晶成長させたときのAFM像であり、図9の(d)は、1.9モノレイヤーのInAsを連続して結晶成長させた後、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を15秒間停止することを繰返して3.0モノレイヤーのInAsを結晶成長させたときのAFM像である。
量子ドットの面密度は、図9の(a)に示す場合、3.2×1010cm−2であり、図9の(b)に示す場合、1.1×1010cm−2であり、図9の(c)に示す場合、1.18×1010cm−2であり、図9の(d)に示す場合、2.42×1010cm−2である。
そうすると、図9の(a)および(b)の結果から、InAsを1.9モノレイヤーまで結晶成長させる場合、InAsを間欠成長させると、量子ドットの面密度は、3.2×1010cm−2から1.1×1010cm−2まで低下することが解る。また、図9の(c)および(d)の結果から、InAsを3.0モノレイヤーまで結晶成長させる場合、InAsを間欠成長させると、量子ドットの面密度は、1.18×1010cm−2から2.42×1010cm−2まで増加することが解る。更に、図9の(a)〜(d)の結果から、量子ドットの面密度は、1.9モノレイヤーのInAsを連続して結晶成長させた場合(図9の(a)の場合)、最も高くなる。
量子ドットの面密度が高くなると、半導体レーザ10のゲインが飽和するという問題を低減でき、半導体レーザ10の内部ロスを低減できる。
従って、量子ドットを用いた半導体レーザの性能を向上させるためには、量子ドットの面密度を最も高くし、かつ、量子ドットのサイズを大きくすることが必要である。
そこで、この発明においては、1.9モノレイヤーまではInAsを連続して結晶成長させ、その後、InAsを間欠成長させることにしたものである。
Inを間欠供給してInAsからなる量子ドット611を結晶成長させる場合、Inの供給を停止する停止時間は、Inが成長表面を移動し、グレイン610に到達する時間であるので、この停止時間を最適化することは、量子ドット611のサイズを大きくするために重要である。
そこで、Inを成長表面へ供給するのを停止する停止時間(図8におけるt1〜t2間の時間、t3〜t4間の時間、t5〜t6間の時間およびt7〜t8間の時間)を変化させて試料を作成し、フォトルミネッセンス(PL:Photoluminescence)を測定した。
図10は、PLの測定に用いたサンプルの断面構造図である。サンプル10Aは、図1に示す半導体レーザ10のクラッド層4、活性層6、クラッド層8およびコンタクト層9をそれぞれクラッド層4A、活性層6A、クラッド層8Aおよびコンタクト層9Aに代えたものであり、その他は、半導体レーザ10と同じである。
クラッド層4Aは、クラッド層4の膜厚を1500nmから500nmに変えたものであり、その他は、クラッド層4と同じである。また、活性層6Aは、1つの量子ドット層61Aからなる。そして、量子ドット層61Aは、量子ドット611と、キャップ層612Aとからなる。キャップ層612Aは、GaAs(キャップ層612(=InGa1−yAs)において、y=0に相当)からなる。クラッド層8Aは、クラッド層8の膜厚を500nmから250nmに変えたものであり、その他は、クラッド層8と同じである。コンタクト層9Aは、コンタクト層9の膜厚を200nmから20nmに変えたものであり、その他は、コンタクト層9と同じである。
サンプル10Aの作製においては、量子ドット611を結晶成長させるとき、全体で3.0モノレイヤーのInAsを結晶成長させた。また、Inの供給を停止する停止時間を5秒、15秒および25秒と変化させた。
図11は、室温におけるPL強度を示す図である。図11において、縦軸は、PL強度を表し、横軸は、波長を表す。曲線k1は、AsおよびInを連続供給して3.0モノレイヤーのInAsを結晶成長させた場合のPL強度を示す。また、曲線k2は、1.9モノレイヤーのInAsを連続して結晶成長させた後、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を5秒間停止することを繰返して3.0モノレイヤーのInAsを結晶成長させたときのPL強度を示す。
更に、曲線k3は、1.9モノレイヤーのInAsを連続して結晶成長させた後、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を15秒間停止することを繰返して3.0モノレイヤーのInAsを結晶成長させたときのPL強度を示す。
更に、曲線k4は、1.9モノレイヤーのInAsを連続して結晶成長させた後、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を25秒間停止することを繰返して3.0モノレイヤーのInAsを結晶成長させたときのPL強度を示す。
図11に示す結果から、AsおよびInを連続して供給した場合、PL強度のピーク波長は、1200nmであり(曲線k1参照)、Inの供給を停止する停止時間が5秒である場合、PL強度のピーク波長は、1231nmであり(曲線k2参照)、Inの供給を停止する停止時間が15秒である場合、PL強度のピーク波長は、1242nmであり(曲線k3参照)、Inの供給を停止する停止時間が25秒である場合、PL強度のピーク波長は、1213nmである(曲線k4参照)。
従って、Inの供給を連続供給から間欠供給にすることにより、PL強度のピーク波長は、1200nmから1213nm,1231nm,1242nmへと長くなる。そして、Inの停止時間が15秒である場合、PL強度のピーク波長は、1242nmであり、PL強度も最も強い。
このように、Inの停止時間を15秒に設定することによりPL強度のピーク波長は、1200nmから1242nmまで長波長側へシフトする。
Inの停止時間を25秒に設定すると、PL強度のピーク波長は、1213nmとなり、Inの停止時間が15秒である場合に比べ、短波長側に現れる。これは、量子ドット611の内部に欠陥が生じ、電子が欠陥を介して正孔と再結合したためと考えられる。
図12は、PLの半値幅およびPL強度とInの停止時間との関係を示す図である。図12において、縦軸は、PLの半値幅およびPL強度を表し、横軸は、Inの停止時間を表す。また、曲線k5は、PL強度とInの停止時間との関係を示し、曲線k6は、PL強度の半値幅とInの停止時間との関係を示す。
PL強度は、Inの停止時間が5秒および15秒へと長くなるに伴って、大きくなり、Inの停止時間が更に25秒へ長くなると、低下する。しかし、Inの停止時間が5秒および25秒である場合においても、PL強度は、AsおよびInを連続供給した場合(停止時間=0である場合)よりも大きい(曲線5参照)。
また、PLの半値幅は、Inの停止時間が5秒および15秒へと長くなるに伴って小さくなり、Inの停止時間が更に25秒へ長くなると、大きくなる。しかし、Inの停止時間が5秒および25秒である場合においても、PLの半値幅は、AsおよびInを連続供給した場合(停止時間=0である場合)よりも狭い(曲線k6参照)。
上述したように、Inを間欠供給することにより、PL強度は、大きくなり、PLの半値幅は、狭くなり、PL強度のピーク波長は、長波長側へシフトするので、この発明においては、Inの停止時間を5〜25秒の範囲に設定して量子ドット611を結晶成長させる。また、好ましくは、Inの停止時間を15秒に設定して量子ドット611を結晶成長させる。
即ち、この発明においては、Inの停止時間をInの供給時間の略5倍〜25倍の範囲に設定して量子ドット611を結晶成長させる。また、好ましくは、Inの停止時間をInの供給時間の略15倍に設定して量子ドット611を結晶成長させる。
図13は、室温におけるPL強度を示す他の図である。図13において、縦軸は、PL強度を表し、横軸は、波長を表す。また、曲線k7は、1.9モノレイヤーのInAsを連続して結晶成長させた後、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を15秒間停止することを繰返して3.3モノレイヤーのInAsを結晶成長させたときのPL強度を示す。更に、曲線k8は、1.9モノレイヤーのInAsを連続して結晶成長させた後、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を15秒間停止することを繰返して3.0モノレイヤーのInAsを結晶成長させたときのPL強度を示す。つまり、曲線k8は、図11に示す曲線k3と同じである。
このように、InAs換算で3.3モノレイヤーのInAsを結晶成長させると、PL強度は、更に強くなり、PL強度のピーク波長は、1242nmから1272nmまで長波長側へシフトする(曲線k7,k8参照)。そして、PLの半値幅は、39.5meVから27.1meVまで狭くなる。
これは、結晶成長させるInAsの膜厚を3.0モノレイヤーから3.3モノレイヤーまで厚くすることにより、量子ドット611のサイズが更に大きくなったためと考えられる。
このように、結晶成長させるInAsの全体の膜厚を厚くすることにより、量子ドット611のサイズが更に大きくなり、PL強度のピーク波長が更に長波長側へシフトする。
図14は、室温におけるPL強度を示す更に他の図である。図14において、縦軸は、PL強度を表し、横軸は、波長を表す。
曲線k9は、1.9モノレイヤーのInAsを連続して結晶成長させた後、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を15秒間停止することを繰返して2.4モノレイヤーのInAsを結晶成長させ、キャップ層612として6nmのInGaAsを用いた場合のPL強度を示す。また、曲線k10は、1.9モノレイヤーのInAsを連続して結晶成長させた後、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を15秒間停止することを繰返して2.4モノレイヤーのInAsを結晶成長させ、キャップ層612としてGaAsを用いた場合のPL強度を示す。
図14に示す結果から、キャップ層612としてGaAsよりもバンドギャップが小さいInGaAsを用いることにより、PL強度のピーク波長が1155.4nmから1295.4nmまで長波長側へシフトし、PLの半値幅が52.6meVから26.5meVまで狭くなる。
このように、キャップ層612としてInGaAsを用いることにより、PL強度のピーク波長が、約140nm、長波長側へシフトするのは、次の2つの理由によると考えられる。
1つ目の理由は、GaAsよりもバンドギャップが狭いInGaAsをキャップ層612に用いることにより、量子ドット611中に存在する電子および正孔に対する障壁の高さが相対的に低くなり、量子ドット611へ閉じ込められる電子および正孔の量が相対的に減少する結果、式(1)および(2)によってそれぞれ表されるサブ準位Esub1,Esub2が相対的に低くなり、サブ準位Esub1,Esub2間のエネルギー差が相対的に小さくなるからである。
また、2つ目の理由は、キャップ層612をGaAsからInGaAsに代えることによって、量子ドット611を構成するInAsとキャップ層612を構成するInGaAsとの間の歪がなくなるからである。
このように、キャップ層612をGaAsからInGaAsに代えることによって、PL強度のピーク波長が大幅に長波長側へシフトし、PLの半値幅が大幅に狭くなる。
従って、1.9モノレイヤーのInAsを連続して結晶成長させた後、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長するごとに結晶成長を5秒、15秒および25秒のいずれかの時間、停止することを繰返して3.0モノレイヤーまたは3.3モノレイヤーまでInAsを結晶成長させ、キャップ層612として6nmのInGaAsを用いることにより、図11の曲線k2〜k4および図12の曲線k7,k8によって示されるPL強度のピーク波長は、更に、長波長側へシフトし、PLの半値幅も大幅に狭くなる。特に、図13の曲線k7によって示されるPL強度のピーク波長は、1300nm〜1500nmの範囲へシフト可能である。
図15は、量子ドットの直径とInAsのモノレイヤー数との関係を示す図である。図15において、縦軸は、量子ドットの直径を表し、横軸は、InAsのモノレイヤー数を表す。
量子ドットの直径は、InAsのモノレイヤー数が増えるに伴って大きくなり、InAsのモノレイヤー数が3.9モノレイヤーであるとき約62nmである。
従って、この発明においては、量子ドット611のサイズは、30〜65nmの範囲であることを特徴とする。この特徴により、半導体レーザ10において、その発光波長は、1200nmから1272nmまで長波長側へシフトし、キャップ層612にInGaAsを用いることにより発振波長は、1295nmまで長波長側へシフトする。
図16は、室温におけるPL強度を示す更に他の図である。図16において、縦軸は、PL強度を表し、横軸は、波長を表す。また、曲線k11は、1.9モノレイヤーのInAsを連続成長し、その後、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長されるごとに、Inを15秒間停止することを繰り返して全体で3.0モノレイヤーのInAsを結晶成長させた場合のPL強度を示す。更に、曲線k12は、2.4モノレイヤーのInAsを連続成長させた場合のPL強度を示す。
そして、PL強度を測定するときのサンプルは、図10に示すサンプル10Aと同じ構造を有する。
図16に示す結果から、量子ドット611を構成するInAsを間欠成長させ、全体の膜厚を3.0モノレイヤーに増加することにより、PL強度のピーク波長は、1166.2nmから1224.3nmまで長波長側へシフトし、PLの半値幅は、53.7meVから43.2meVまで狭くなり、PL強度は、7.5倍になった。
このように、InAsを間欠成長して量子ドット611を形成することによって、PL強度が7.5倍になる。これは、間欠成長することにより量子ドット611を構成するInAsに発生する歪が減少するためである。
曲線k11,k12は、1層の量子ドット611と1層のキャップ層612Aとからなる活性層6Aを用いた場合のPL強度を示すものである。そこで、6個の量子ドット層61と、5個の間隙層62とからなる活性層6を用いた場合のPL強度をサンプルA,Bの各々について測定した。
ここで、サンプルAは、間欠成長されたInAsからなる量子ドット611と、キャップ層612とからなる量子ドット層61を6層積層したサンプルであり、サンプルBは、連続成長されたInAsからなる量子ドットを含む量子ドット層を6層積層したサンプルである。そして、サンプルA,Bの両方において、間隙層62の膜厚は、22nmに設定された。
図16の曲線k11によって示されるPL強度のピーク値をP1とし、サンプルAのPL強度のピーク値をP2とし、図16の曲線k12によって示されるPL強度のピーク値をP3とし、サンプルBのPL強度のピーク値をP4とすると、P1/P2=2.8であり、P3/P4=39であった。
従って、連続成長させたInAsからなる量子ドットを6層積層することによって、各層の量子ドットを形成する際に量子ドット中に発生する歪が上層へ伝達されるため、P3/P4=39となる。即ち、連続成長させたInAsからなる量子ドットは、歪が大きいため、この量子ドットを6層積層すると、歪が更に大きくなり、PL強度は、単層に対して39分の1に低下する。
しかし、間欠成長させたInAsは、上述したように発生する歪が小さいので、間欠成長させたInAsからなる量子ドット11を6層積層しても、全体の歪は小さい。その結果、P1/P2=2.8となる。
このように、量子ドット611を構成するInAsを間欠成長させることにより、量子ドット層61を6層積層した場合の歪は、連続成長させたInAsからなる量子ドットを6層積層した場合の歪よりも減少する。そして、この歪の減少は、間隙層62の膜厚が22nmである場合に観測された。
従来、間隙層の膜厚は、通常、40〜50nmの範囲に設定されるが、量子ドット611を構成するInAsを間欠成長させることにより、間隙層62の膜厚が22nmであっても、複数の量子ドット層61を積層させたときの歪を減少させることができる。
半導体レーザ10においては、図2に示すように量子ドット層61を6層積層して活性層6が作製されるので、隣接する量子ドット層61,61間の間隔を規定する間隙層62の膜厚を従来の40〜50nmから22nmまで薄くできることは、より多くの量子ドット層61を形成することができ、半導体レーザ10の発光強度を強くできる。
そして、InAsを間欠成長させた場合、間隙層62の膜厚は、10〜35nmの範囲に設定可能であることが解った。従って、この発明においては、間隙層62の膜厚は、10〜35nmの範囲に設定される。
半導体レーザ10においては、負極電極1と正極電極11との間に電圧が印加され、電流が活性層6に注入されると、量子ドット層61において、電子および正孔は、量子ドット611中に閉じ込められ、サブ準位Esub1とサブ準位Esub2との間で再結合し、発光する。そして、その後、誘導放射が起こり、最終的に、半導体レーザ10は、レーザ発振する。
活性層6で発光した光は、クラッド5,7およびクラッド層4,8によって光学的に閉じ込められ、これにより、発光強度が更に強くなる。
そして、半導体レーザ10は、活性層6に量子ドット611を含むので、(i)温度が変化しても発振波長が変化しない、(ii)駆動電流が量子井戸レーザに比べて5〜10分の1に減少できる、(iii)発振するレーザ光のパワーを強くできる、という量子ドットを用いた半導体レーザに特有の効果も併せて有する。
なお、上記においては、キャップ層612は、InGa1−yAsからなると説明したが、この発明においては、これに限らず、キャップ層612は、ガリウムナイトライド砒素(GaNAs1−y,y=0.001〜0.09)、インジウムガリウムナイトライド砒素(InGa1−xAs1−y,x=0.01〜0.6,y=0.001〜0.09)およびガリウムアンチモン砒素(GaSbAs1−y,y=0.01〜0.7)のいずれかからなっていてもよい。
また、上記においては、量子ドットを半導体レーザに用いた例について説明したが、この発明は、これに限らず、量子ドットをLED(Light Emission Diode)等の半導体発光素子に用いてもよい。
更に、上記においては、InAsの連続成長と間欠成長とにより量子ドット611を形成するとき、Inの供給時間を“1秒”に設定し、Inの停止時間を“5〜25秒”の範囲に設定すると説明したが、この発明においては、これに限らず、Inの供給時間を1秒〜10秒の範囲に設定し、Inの停止時間を1秒〜120秒の範囲に設定してもよい。
更に、上記においては、InAsの連続成長と間欠成長とにより量子ドット611を形成するとき、InAsを連続成長させるモノレイヤー数は、1.7モノレイヤーであると説明したが、この発明においては、これに限らず、InAsを連続成長させるモノレイヤー数は、0.5〜2.5モノレイヤーの範囲であればよい。
更に、上記においては、InAsの成長速度は、0.11モノレイヤー/sであると説明したが、この発明においては、これに限らず、InAsの成長速度は、0.0001〜0.4モノレイヤー/sの範囲であればよい。
更に、上記においては、Inを間欠供給すると説明したが、この発明においては、これに限らず、AsおよびInの両方を間欠供給してもよい。この場合、Asは、図8の(a)に示すタイミングチャートに従って間欠供給される。そして、一般的には、AsおよびInの少なくとも1つの材料が間欠供給されればよい。
上述したように、この発明は、間欠成膜によりInAsを結晶成長させて30〜65nmのサイズを有する量子ドット611を作成することを特徴とする。
そして、好ましくは、量子ドット611を覆うキャップ層612は、InGa1−xAs(x=0.01〜0.6)、GaNAs1−y(y=0.001〜0.09)、InGa1−xAs1−y(x=0.01〜0.6,y=0.001〜0.09)およびGaSbAs1−y(y=0.01〜0.7)のいずれかから構成することを特徴とする。
この特徴により、量子ドット611を用いた半導体発光素子の発光波長を1200nmよりも長波長側へ大幅にシフトできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、安価な基板上に作製可能であり、発光波長の長波長化が可能な半導体発光素子に用いられる量子ドットの形成方法に適用される。また、この発明は、安価な基板上に作製可能であり、発光波長の長波長化が可能な半導体発光素子の製造方法に適用される。更に、この発明は、安価な基板上に作製可能であり、発光波長の長波長化が可能な半導体発光素子に適用される。
この発明の実施の形態による半導体レーザの断面構造図である。 図1に示す活性層の拡大断面図である。 半導体レーザのクラッド層、バリア層、活性層、バリア層およびクラッド層における屈折率の分布を示す図である。 量子ドット層におけるエネルギーバンド図である。 図1に示す半導体レーザの製造工程を示す第1の工程図である。 図1に示す半導体レーザの製造工程を示す第2の工程図である。 図5の(c)において行なわれる活性層の形成過程を示す工程図である。 AsおよびInを供給するタイミングチャートである。 InAsのAFM(Atomic Force Microscope)像である。 PLの測定に用いたサンプルの断面構造図である。 室温におけるPL強度を示す図である。 PLの半値幅およびPL強度とInの停止時間との関係を示す図である。 室温におけるPL強度を示す他の図である。 室温におけるPL強度を示す更に他の図である。 量子ドットの直径とInAsのモノレイヤー数との関係を示す図である。 室温におけるPL強度を示す更に他の図である。
符号の説明
1 負極電極、2 基板、3 バッファ層、4,4A,8,8A クラッド層、5,7 バリア層、6,6A 活性層、9,9A コンタクト層、10 半導体レーザ、10A サンプル、11 正極電極、61,61A 量子ドット層、62 間欠層、600 InAs膜、610 グレイン、611 量子ドット、612,612A キャップ層。

Claims (6)

  1. 半導体の表面に複数の材料を供給して膜を成長させて量子ドットを形成する量子ドットの形成方法であって、
    前記膜の膜厚が前記膜に歪が生じる臨界膜厚以上になるまで前記複数の材料を前記半導体の表面に連続して供給する第1のステップと、
    前記第1のステップの後、前記複数の材料の少なくとも1つの材料の停止時間を前記少なくとも1つの材料の供給時間よりも長くして前記少なくとも1つの材料を間欠的に供給する第2のステップとを備える量子ドットの形成方法。
  2. 前記間欠的に供給する材料は、前記複数の材料のうち、表面拡散距離が最も長い材料である、請求項1に記載の量子ドットの形成方法。
  3. 前記停止時間は、前記供給時間の略5〜25倍である、請求項1または請求項2に記載の量子ドットの形成方法。
  4. 前記複数の材料は、砒素およびインジウムであり、
    前記間欠的に供給する材料は、前記インジウムである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の量子ドットの形成方法。
  5. 第1のクラッド層と、
    前記第1のクラッド層に接して形成された活性層と、
    前記活性層に接して形成された第2のクラッド層とを備え、
    前記活性層は、
    前記第1のクラッド層の表面に形成された量子ドットと、
    前記量子ドットを覆うように形成されたキャップ層とを含み、
    前記量子ドットのサイズは、30〜65nmの範囲である、半導体発光素子。
  6. 前記量子ドットは、インジウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる、請求項5に記載の半導体発光素子。
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