JP5877770B2 - 圧延パススケジュールの決定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧延機で圧延材を圧延する際に用いられる圧延パススケジュールの決定方法に関するものである。
周知のとおり、厚板などの鋼板は、圧延材として粗圧延機及び仕上圧延機によって目標の板厚となるまで圧延される。この圧延材は、粗圧延機によって予め所定の板厚及び板幅となるように圧延されて、仕上圧延機に送られる。粗圧延機によって予め圧延された圧延材は、仕上圧延機によって目標の板厚及び板幅となるように圧延される。
粗圧延機及び仕上圧延機は可逆式の圧延機であり、圧延材を順方向及び逆方向に複数回通過させることで目標の板厚となるまで徐々に圧延する。圧延機に圧延材を通過させ圧下を行うことを「パス(圧延パス)」と呼ぶので、圧延材は複数回の圧延パスを経て目標の板厚となるまで圧延されるともいえる。複数回の圧延パスのそれぞれにおいては、圧延機によって圧延材に付加される圧延荷重、圧延トルク、圧下率などの圧延条件が、各圧延パスにおける圧延材の入側板厚、出側板厚、及び予測温度などに基づいて予め設定されている。
複数回の圧延パスのそれぞれにおいて、圧延材の入側板厚及び出側板厚や、圧延機の圧延荷重、圧延トルク、及び圧下率などの圧延条件を決定することは、圧延材の生産性や品質に大きな影響を及ぼす重要な作業である。このような作業を通じて、圧延開始から圧延終了までの各圧延パスにおける圧延条件の予定(圧延パススケジュール)が決まる。
圧延パススケジュールの決定にあたっては、圧延荷重を設備制約の上限に近づけることで圧延パス数を最小化して生産性を向上させる圧延パススケジュール(高生産型パススケジュール)を選択することができる。その一方で、板クラウンや平坦度を満足させることに主眼をおいた圧延パススケジュール(形状重視型パススケジュール)を選択することも可能である。
例えば、特許文献1は、可逆式圧延機において安定性の高い自動の高能率圧延を実現する厚板圧延方法、すなわち高生産性及び形状重視の両方を満たす様な圧延技術を開示している。具体的には、特許文献1は、可逆式圧延機において安定性の高い自動の高能率圧延を実現し、かつ高精度な板厚、クラウンを達成しながら圧延形状を最適とすることを目的とした厚板圧延方法を開示する。この厚板圧延方法は、可逆式の圧延機を用いて板材を圧延するにあたり、あらかじめ適正な板厚圧下パススケジュールを複数パターン計算機に記憶しておき、実際の圧延時における板厚・温度実績を計測した結果をもとに、条件に合致する記憶圧下パススケジュールを取り出し、実績値を考慮して修正を加えてパススケジュールを決定することを特徴とする。加えて、特許文献1の厚板圧延方法は、形状・能率とも最適となる板厚圧下パススケジュールを計算機にあらかじめ複数パターン記憶しておき、実際の圧延開始前の材料の板厚・温度実績値から条件に合致する記憶圧下スケジュールを取り出して、材料状態、ロールの状態ならびにミルの状態等を考慮して、最適になるように修正を加えて全パス一貫して形状を満足し、かつ圧延設備能力の最大値で圧延できるパススケジュールを決定しようとするものである。この厚板圧延方法は、さらに、各パス毎の材料板厚、温度、圧延負荷の実績値を計測して学習計算し、次パスの設定を最適値に修正を加えながら行い圧延することで、目的とする圧延材の板厚、形状、クラウンを高精度でかつ高能率で実現しようとするものである。
また、特許文献2の圧延パススケジュール決定方法は、高生産型パススケジュールの決定を意図しており、可逆式圧延機を用いて板材を圧延する際のパススケジュールを決定するに当たり、各パスにおける圧延荷重を許容最大高圧延荷重とした場合の出側板厚を、1パス目から仕上げ板厚以下となるパスまで順次計算しパス数を決定する。このとき、許容最大高圧延荷重を規定する要素としては、圧延機本体の機械装置の強度上の問題から決まる上限荷重、ロール間ヘルツ応力から決まる上限荷重、良好な板形状を得るための上限荷重などを考えている。さらに、上記決定パス数での出側板厚と仕上げ板厚の差に基づいて
、各パスの圧下率が補正される。
特開平7−60320号公報 特開昭62−259605号公報
上述の特許文献1及び特許文献2において、圧延パス数を最小化して生産性を向上させるには、高生産型パススケジュールを採用し、圧延機本体の耐荷重制約やロールの耐荷重制約の限界に近い高荷重による圧延を実施すればよい。
ところが、特許文献1及び特許文献2が前提とする従来の圧延設備は、圧延機本体の耐荷重制約やロールの耐荷重制約の限界に近い高荷重で圧延を行うと、目的とする圧延形状および板クラウンを実現することが困難であり、製品特性として目標の板クラウンや平坦度を満足させることは難しい。そのため、特許文献1及び特許文献2に開示の技術では、目的とする圧延形状および板クラウンが実現できる範囲においてしか圧延荷重を選択することができず、高精度な板クラウンの実現と生産性の高い高能率な圧延の両立は困難である。
従って、特許文献1及び特許文献2による圧延パススケジュールは、圧延パス数を最小化して生産性を向上させることよりも、目的とする圧延形状および板クラウンを実現することを優先したもの(形状重視型パススケジュール)とならざるを得ず、事実上、高精度な板クラウンを実現するためには圧延設備の耐荷重制約の限界近い高荷重で圧延を行うことが不可能な圧延機を想定したものであるといえる。
しかし、近年、耐荷重制約の限界近い高荷重においてもシフト機構やベンダなどによる形状修正能力が十分に高い圧延設備が開発されている。この形状修正能力が十分に高い圧延設備では、圧延パス数を最小化して生産性を向上させるために圧延機本体の耐荷重制約やロールの耐荷重制約の限界近い高荷重による圧延を実施し、高精度な板クラウンの実現と生産性の高い高能率な圧延とを両立させることが可能である。
ところが、上述したように、特許文献1及び特許文献2によって決定される圧延パススケジュールは、従来の圧延設備を前提としたものであり、形状修正能力が十分に高い近年の圧延設備において、圧延パス数を最小とするような高能率な圧延条件を実現するのに適しているとはいえない。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、例えば、高精度な板クラウンの実現と生産性の高い高能率の圧延とを両立させる圧延パススケジュールを決定可能な圧延パススケジュールの決定方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る圧延機の圧延パススケジュールの決定方法は、圧延材を圧延する一対のワークロールを備えるとともに、前記圧延材の形状を制御する形状制御機構を備える圧延機によって前記圧延材を圧延する際の圧延パススケジュールを決定する圧延パススケジュールの決定方法であって、前記圧延パススケジュールの決定方法は、前記圧延機の設備制約の上限となる圧延条件で、前記圧延材を圧延する第1パススケジュールと、前記第1パススケジュールの後に行われる圧延パススケジュールであって、所定の形状となるように前記形状制御機構を動作させつつ、圧延機の設備制約の上限未満の圧延条件で前記圧延材を圧延する第2パススケジュールと、によって決定され、前記第2パススケジュールは、前記圧延材の板厚が所定値以下となったときに、前記第1パススケジュールから前記第2パススケジュールへ切り替えるものであり、且つ前記第1パススケジュールでの圧延条件と、最終圧延パスでの圧延条件とから得られる線形式上での圧延条件を基に決定されることを特徴とする。
ここで、前記第2パススケジュールは、前記第1パススケジュールでの圧延条件と、最終圧延パスでの圧延条件とから得られる線形式上での圧延条件を基に決定されてもよい。
加えて、前記第2パススケジュールは、前記第1パススケジュールが完了したときの板厚と、最終圧延パスでの板厚とから得られる線形式上での板厚に応じて決まる圧延条件を基に決定されてもよい。
また、前記圧延条件として、圧延荷重又は圧延トルクを採用していると好ましい。
なお、本発明にかかる圧延機の圧延パススケジュールの決定方法の最も好ましい形態は、圧延材を圧延する一対のワークロールを備えるとともに、前記圧延材の形状を制御する形状制御機構を備える圧延機によって前記圧延材を圧延する際の圧延パススケジュールを決定する圧延パススケジュールの決定方法であって、前記圧延パススケジュールの決定方法は、前記圧延機の設備制約の上限となる圧延条件で、前記圧延材を圧延する第1パススケジュールと、前記第1パススケジュールの後に行われる圧延パススケジュールであって、所定の形状となるように前記形状制御機構を動作させつつ、圧延機の設備制約の上限未満の圧延条件で前記圧延材を圧延する第2パススケジュールと、によって決定され、前記第2パススケジュールは、前記圧延材の板厚が、圧延荷重誤差の増大に起因して実際に圧延材に付加される圧延荷重が前記設備制約の前記上限を超えると判断される際の限界板厚以下となったときに、前記第1パススケジュールから前記第2パススケジュールへ切り替えるものであり、且つ前記第1パススケジュールでの圧延条件と、最終圧延パスでの圧延条件とから得られる線形式上での圧延条件を基に決定されることを特徴とする。
本発明によれば、高精度な板クラウンの実現と生産性の高い高能率の圧延とを両立させる圧延パススケジュールを決定することができる。
本発明の実施形態による圧延装置の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態による仕上圧延機の構成を示す概略図である。 圧延材の出側板厚と圧延荷重誤差との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態による圧延パススケジュールを説明する概略図である。 本発明の第1実施形態による圧延パススケジュールの決定方法を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施形態による圧延パススケジュールを説明する概略図である。 本発明の第2実施形態による圧延パススケジュールの決定方法を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、厚鋼板(厚板)等の圧延材を圧延する圧延装置1は、その上流側に圧延材2を加熱する加熱炉3を有し、加熱炉3の下流側には、圧延材2の粗圧延を行う粗圧延機4を備えている。粗圧延機4の下流側には、仕上げ圧延を行う仕上圧延機5が備えられている。加熱炉3で加熱されたスラブ(圧延材2)は、粗圧延機4及び仕上圧延機5のそれぞれで複数回(複数圧延パス)圧延されて、製品の厚鋼板となる。
図2は、圧延装置1に備えられている仕上圧延機5(以下、単に圧延機5ということもある)の概略構成を示す図である。圧延機5は、可逆式の圧延機であって、圧延材2を順方向及び逆方向に複数回通過させることで目標の板厚となるまで徐々に圧延するものであり、圧延材2を圧延する一対のワークロール6,6と、それをバックアップする一対のバックアップロール7,7とを有している。
ワークロール6,6、バックアップロール7,7は、その両端をロールチョック(図示せず)で支持されている。また、ワークロール6,6には、ワークロールベンダ、ワークロールシフト機構、及びペアクロス機構などを含むクラウン制御機構(形状制御機構)が設けられ、このクラウン制御機構によって圧延材2のクラウン形状などの圧延形状を制御(形状制御)している。なお、ワークロールベンダはワークロール6,6のベンディングを行う機構であり、ワークロールシフト機構はワークロール6,6をその軸方向にシフトさせる機構であり、ペアクロス機構は一対のワークロール6,6の軸方向が交差するようにワークロール6,6をシフトさせる機構である。
圧延機5の入側には、圧延材2の入側板厚Hを計測するための入側板厚計8が設けられており、圧延機5の出側には、圧延材2の出側板厚hを計測するための出側板厚計9が設けられている。入側板厚計8及び出側板厚計9としては、γ線板厚計などを採用することができる。なお、圧延材2が逆方向に通過するときには、入側板厚計8と出側板厚計9の役割が逆転し、入側板厚計8が圧延材2の出側板厚hを計測し、出側板厚計9が圧延材2の入側板厚Hを計測する。
さらに、圧延機5には、ワークロール6,6のロールギャップ量Sを調整する圧下装置(図示せず)が備えられている。この圧下装置は、圧延機5に備えられた制御部10によって制御され、ワークロール6,6のロールギャップ量Sが調整される。
また、圧延機5のフレーム11には、ワークロール6,6に付加された圧延荷重Pを計測する荷重計測手段(ロードセル)12が設けられている。
制御部10は、圧延材2の出側板厚hを所定の範囲内に収める又は一定とするように圧延機5を制御する板厚制御の機能を有している。制御部10で行われる制御方法としては、公知のものが採用可能である。例えば、フィードフォワードAGC、BISRA AGC、モニタAGC、マスフローAGC、張力AGCなどが挙げられる。制御部10には、圧延機5の入側板厚Hや、圧延荷重Pなどの情報が入力され、その入力された情報を基にして、圧延機5のロールギャップ量Sやロール速度が算出され出力されるようになっている。加えて、制御部10は、ワークロールベンダ、ワークロールシフト機構、及びペアクロス機構などを含むクラウン制御機構(形状制御機構)よって圧延材2のクラウン形状などの圧延形状を制御(形状制御)している。
さて、本実施形態による圧延機5は、制御部10によって算出されたロールギャップ量Sやロール速度を基に圧延荷重Pや圧延トルクなどの圧延条件を制御して圧延材2の圧延を行うものである。その圧延機5は、例えば数千トンというような非常に大きな最大圧延荷重Pmaxによって圧延材2を圧延可能であるとともに、最大圧延荷重Pmaxでの圧延時においてもクラウン制御機構による圧延材2の板形状(板クラウン形状)を、製品としての要求水準を十分に満たす程度に高精度に制御可能な仕上圧延機である。
以下の説明では、このように最大圧延荷重Pmax下においても板形状を十分に制御可能な圧延機5における圧延パススケジュールの決定方法について説明する。
既に述べたように、圧延機5は、最大圧延荷重Pmax下においても、クラウン制御機構によって圧延材2の板形状が所望のクラウン形状となるように高精度に制御できる。従って、圧延の開始から終了まで、つまり圧延の開始圧延パスから終了圧延パスまで最大圧延荷重Pmaxで圧延材2を圧延することが考えられる。開始圧延パスから終了圧延パスまで最大圧延荷重Pmaxで圧延を行う圧延パススケジュールを作成すれば、圧延材2を最小の圧延パス数で目標の出側板厚hにまで圧延することができ、圧延材2の生産性が非常に高くなる。
開始圧延パスから終了圧延パスまで、圧延機5の設備制約の上限ともいえる最大圧延荷重Pmaxで圧延材2を圧延する圧延パススケジュールを、以下、高生産型パススケジュール(第1パススケジュール)という。しかし、圧延材2の出側板厚hの厚さによっては、この高生産型パススケジュールを必ずしも採用することはできない。
この点に関し、図3を参照しながら、高生産型パススケジュールの問題について説明する。
高生産型パススケジュールにおいて圧延材2の出側板厚hが小さく(薄く)なると、例えば圧延材2の温度が予測より速く降下するなどの理由により、圧延荷重予測誤差が大きくなってしまうという問題がしばしば発生する。
具体的には、高生産型パススケジュールにおいて、圧延機5は、圧延材2に最大圧延荷重Pmaxが付加されるように、圧延材2の硬さに応じて圧延荷重Pを予測してワークロール6の圧下位置を制御している。しかし、圧延材2の温度降下が予測より速ければ、ある圧延パスにおける圧延材2の実際の温度は予測温度よりも低くなり、圧延材2は予想温度での硬さよりも硬くなってしまう。つまり、圧延機5は、予測温度における硬さで圧延材2に最大圧延荷重Pmaxが付加されるように制御(圧延荷重予測)しているにもかかわらず、実際には予測よりも温度が低く硬い圧延材2を圧延することとなる。このように、圧延材2の温度降下の予測のずれは、圧延機5が圧延材2に付加する圧延荷重Pに誤差を生じさせる。
このときの圧延荷重予測の誤差率が例えば±5%であるとすると、圧延機5本体の耐荷重制約上限(最大圧延荷重Pmax)で圧延を行う場合、つまり圧延荷重Pが大きければ大きいほど圧延荷重予測誤差率に対応する圧延荷重誤差の絶対値が大きなものとなってしまう。
この高生産型パススケジュールは、圧延機5の本体やワークロール6の耐荷重制約の上限に近い高荷重(最大圧延荷重Pmax)下での圧延条件(圧延荷重及び圧延トルク)で
作成されている。そのため、上述のとおり圧延荷重予測誤差率に対応する圧延荷重誤差の絶対値が大きくなって、実際に圧延材2に付加される圧延荷重Pが圧延機5の耐荷重制約(最大圧延荷重Pmax)を越えてしまい、設備に過負荷がかかってしまうおそれがある。さらには、圧延荷重誤差がロールたわみの予測誤差を招き、ひいては、該圧延パススケジュールで想定した圧延材2の平坦度や板クラウンも想定値(所望の値)とは異なってしまう。つまり、最終圧延パスでの品質である平坦度や板クラウンにも影響が及んでしまう。
図3を参照すると、圧延荷重誤差は、圧延材2の出側板厚hが例えば10mm以下となったときに大きくなっていることがわかる。これは、上述したように出側板厚hが10mm以下となれば、圧延材2の温度降下が予測より速くなるためだと考えられる。さらに図3によると、出側板厚hが10mm以下となれば、単に圧延荷重誤差が大きくなるだけでなく、圧延荷重誤差が正(プラス)の方向に発生していることがわかる。つまり、出側板厚hが10mm以下となれば、圧延材2が予測よりも硬くなり、圧延材2に実際に付加される圧延荷重Pが耐荷重制約(最大圧延荷重Pmax)を越えてしまう可能性があることを示している。
このように、上で「10mm以下となれば」と例示したように、圧延材2の出側板厚hが所定値以下となれば圧延荷重誤差が大きくなってしまう。本実施形態ではこの所定値を限界板厚と呼ぶが、限界板厚は圧延材2の板幅や材質などに応じて異なる値であるため、圧延機5は、この限界板厚を圧延材2の板幅や材質ごとに予め定めた数値テーブルなどで保持しておく。
圧延材2の圧延において、圧延材2の製品としての板厚、つまり最終圧延パスでの出側板厚hが限界板厚より大きければ上述の問題は発生しないので、既に述べた高生産型パススケジュールを作成し、最大圧延荷重Pmaxで製品の板厚となるまで圧延材2を圧延する。
これに対し、最終圧延パスでの出側板厚hが限界板厚以下となる場合の圧延材2の圧延パススケジュールは、上述の圧延荷重誤差の影響を回避するために高生産型パススケジュールとは異なる圧延パススケジュールにしなくてはならない。圧延材2の出側板厚hが限界板厚以下となるまでは、最大圧延荷重Pmaxで圧延する高生産型パススケジュールを作成したとしても、出側板厚hが限界板厚以下となった時点で、圧延機5の耐荷重制約を越えないように圧延荷重Pを調整(制約)しなくてはならない。
このように、出側板厚hが限界板厚以下となった圧延パスで、圧延荷重Pを制約する圧延パススケジュールを、荷重制約型パススケジュール(第2パススケジュール)という。荷重制約型パススケジュールでは、出側板厚hが限界板厚以下となる圧延パスで、圧延材2が所定のクラウン形状となるようにクラウン制御機構の動作を継続しつつ、圧延機5の設備制約の上限未満の圧延荷重Pで圧延材2を圧延する。限界板厚までは高生産型パススケジュールを組み、限界板厚以下では荷重制約型パススケジュールを組むことで圧延の開始から終了までの圧延パススケジュールを決定する。以下の説明では、高生産型パススケジュールによる圧延パスを最大荷重パスと呼び、荷重制約型パススケジュールによる圧延パスを荷重制約パスと呼ぶこともある。
図4及び図5を参照しながら、高生産型パススケジュールに続いて行われることとなる荷重制約型パススケジュールの決定方法について説明する。
図4は、横軸に圧延パス数、縦軸に圧延荷重をとった場合の圧延パススケジュールを示したものである。この図4に示すように、本実施形態による荷重制約型パススケジュールの決定方法は、最終圧延パスである第n圧延パスから荷重制約が不要となる圧延パスまでを遡るようにして各圧延パスの圧下条件(圧延パススケジュール)を決定するものである。
図5のフローチャートに示す如く、まず、最終圧延パスである第n圧延パスにおける圧延材2の最終出側板厚hが限界板厚以下であるかどうか、つまり、第n圧延パスが荷重制約パスであるかどうかを判断する(ステップS10)。第n圧延パスが荷重制約パスではない場合(ステップS10、No)、荷重制約型パススケジュールを作成せず高生産型
パススケジュールのみで圧延パススケジュールを作成する。
最終出側板厚hが限界板厚以下であり、第n圧延パスが荷重制約パスの場合(ステップS10、Yes)、第n圧延パスの圧延荷重Pとしては、予め数値テーブルに保持した荷重予測誤差及び設備制約圧延荷重(最大圧延荷重Pmax)を考慮した圧延荷重Pe(Pe=Pmax*(100−δP)/100、ただし、Pmax:設備制約圧延荷重、δP:荷重予測誤差[%])を上限として、経験的に圧延材2の板幅の関数として予め設定しておいた圧延荷重Pが設定される(ステップS11)。これによって、第n圧延パスの圧延条件が決定される。
ステップS11で設定した第n圧延パスの圧延荷重Pと第n圧延パスにおける圧延材2の最終出側板厚h(製品板厚)とから、圧延荷重式(ゲージメータ式)を用いて第n圧延パスの入側板厚Hを算出する。入側板厚Hが限界板厚(例えば10mm)を超えない場合、荷重制約パスとして第n圧延パスの前圧延パスに第(n−1)圧延パスを追加し、第(n−1)圧延パスの圧延荷重P(n−1)を、第n圧延パスの圧延荷重Pと設備制約圧延荷重Pmaxを結ぶ線形式を均等に分割するように、下式(1)を用いて決定する(ステップS12)。これによって、第(n−1)圧延パスの圧延条件が決定される。
同様に、第(n−1)圧延パスの圧延荷重P(n−1)と、第n圧延パスの入側板厚Hである第(n−1)圧延パスの出側板厚h(n−1)とから圧延荷重式を用いて、第(n−1)圧延パスの入側板厚H(n−1)を算出する(ステップS13)。算出した第(n−1)圧延パスの入側板厚H(n−1)が限界板厚(10mm)より厚いか否かを判定する(ステップS14)。入側板厚H(n−1)が限界板厚よりも厚くなっていない場合荷重制約パスが1つでは不足であるから、荷重制約パスをさらに1圧延パス追加して(i=1,kのkを加算して)式(1)の荷重制約の圧延パス数iを変更し、ステップS12に戻ってフローの二巡目に入る。
ステップS12において式(1)を用いて、第(n−1)圧延パスの圧延荷重P(n−1)と第(n−2)圧延パス(最終圧延パスから2圧延パス目)の圧延荷重P(n−2)とを、第n圧延パスの圧延荷重Pと設備制約圧延荷重Pmaxを線形に結んだ直線を均等に分割するようにそれぞれ決定する。
このとき、圧延荷重P(n−1)と圧延荷重P(n−2)は、圧延荷重Pと設備制約圧延荷重Pmaxを線形に結んだ直線を3等分することになるので、二巡目の圧延荷重P(n−1)の値は、一巡目の圧延荷重P(n−1)の値とは異なる。これによって、第(n−1)圧延パス及び第(n−2)圧延パスの圧延条件が決定される。
そこで、一巡目と同様にして第(n−1)圧延パスの圧延荷重P(n−1)から第(n−1)圧延パスの入側板厚H(n−1)を算出し、第(n−1)圧延パスの入側板厚H(n−1)を第(n−2)圧延パスの出側板厚h(n−2)とする。その上で圧延荷重式を用いて、第(n−2)圧延パスの出側板厚h(n−2)と圧延荷重P(n−2)とから、第(n−2)圧延パスの入側板厚H(n−2)を算出する。
この第(n−2)圧延パスの入側板厚H(n−2)が限界板厚である10mmより厚くならない場合、同様にして、荷重制約パスをさらに1つ追加して式(1)を用い、第n圧延パスの圧延荷重Pと設備制約圧延荷重Pmaxを線形に結んだ直線を均等に4等分する第(n−1)圧延パスから第(n−3)圧延パスまでの圧延荷重P(n−1)、圧延荷
重P(n−2)、及び圧延荷重P(n−3)を算出する。この場合も式(1)を用いて、第(n−1)圧延パスから第(n−3)圧延パスの各圧延パスでの圧延荷重P(n−1)〜圧延荷重P(n−3)及び入側板厚H(n−1)〜入側板厚H(n−3)を算出する。
図4に示すように、この手順を繰り返して、第(n−i)圧延パスの入側板厚が10mmより厚くなるまで荷重制約パスを追加し、式(1)に基づいて最終圧延パスから第(n−i)圧延パスまで順次遡るように各荷重制約パスにおける圧延荷重、入側板厚、出側板厚を算出し、各荷重制約パスの圧延条件(圧延荷重及び圧延トルク)を決定する。これによって、荷重制約型パススケジュールを決定することができる。
なお、第(n−i)圧延パスの入側板厚H(n−i)が限界板厚である10mmより厚くなった場合、第(n−i)圧延パスより前段の圧延パスには高生産型パススケジュールを適用することができる。つまり、圧延機5の設備制約(耐荷重、耐トルク)から求まる最大圧延荷重Pmaxを圧延荷重式に適用して、圧延材2が圧延開始前の板厚(粗圧延機4からの移送厚)となるまで、順次圧延パスを遡るよう入側板厚Hを算出して各圧延パスの圧延条件を決定する。
こうすることで、図4に示すように、圧延材2が限界板厚となるまでは高生産型パススケジュールによって圧延し、圧延材2が限界板厚となった後は荷重制約型パススケジュールに切り替えて圧延するという圧延パススケジュールが決定される。
上記の説明では、圧延材2の製品としての板厚、つまり最終圧延パスでの出側板厚hが限界板厚より大きければ高生産型パススケジュールによって圧延パススケジュールを作成し、最終圧延パスでの出側板厚hが限界板厚より小さければ高生産型パススケジュールと荷重制約型パススケジュールを組み合わせた圧延パススケジュールを作成する。これによって、高精度な板クラウンの実現と生産性の高い高能率の圧延とを両立させる圧延パススケジュールを決定することができる。
(第2実施形態)
図6及び図7を参照しながら、本発明の第2実施形態を説明する。
図6は、横軸に出側板厚h、縦軸に圧延荷重Pをとった場合の圧延パススケジュールを示したものである。図6を念頭におきながら圧延パススケジュールを決定する点が、第1実施形態と大きく異なるところである。本実施形態による圧延装置1及び圧延機5の構成は、第1実施形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。
以下、本実施形態による圧延パススケジュールの決定方法について説明する。なお、本実施形態においても、最終圧延パス(第n圧延パス)から圧延パススケジュールを決定してゆく。
図7のフローチャートに示す如く、まず、圧延パススケジュール(圧延工程)の最終圧延パスである第n圧延パスの圧延材2の最終出側板厚hが限界板厚h以下であるか否かを判断し(ステップS20)、最終出側板厚hが限界板厚h以下でない場合は、第1実施形態で説明した高生産型パススケジュールによって圧延パススケジュールを決定する。
最終出側板厚hが限界板厚h以下である場合は、最終圧延パスを荷重制約パスとし、経験的に板幅の関数として予め設定しておいた圧延荷重Pを最終圧延パスの圧延荷重Pとして決定する(ステップS21)。
荷重制約パスにおける荷重制約条件として、最終圧延パスの出側板厚h、最終圧延パスの圧延荷重P、限界板厚h、及び設備制約圧延荷重(最大圧延荷重)Pmaxを用いた式(2)で表される線形式によって出側板厚hと圧延荷重Pの関数を予め決定しておく(ステップS22)。
最終圧延パス(第n圧延パス)の出側板厚h及び板幅により決定される圧延荷重P(制約荷重)を用いて、圧延荷重式により第n圧延パスの入側板厚Hを算出する(ステ
ップS23)。この入側板厚Hが前圧延パスである第(n−1)圧延パスの出側板厚h(n−1)であるので、第(n−1)圧延パスが限界板厚h以下の荷重制約パスであるかどうかの判断ができる。
第(n−1)圧延パスが荷重制約パスであるなら、式(2)に基づいて、出側板厚h(n−1)に応じた圧延荷重P(n−1)(制約荷重)が決定される。また、第(n−1)圧延パスの出側板厚h(n−1)及び板幅により決定される圧延荷重P(n−1)において第(n−1)圧延パスの入側板厚H(n−1)が決まる。この入側板厚H(n−1)が限界板厚h以下であるか否かを判断し(ステップS24)、限界板厚h以下である場合(ステップS24、Yes)、入側板厚H(n−1)は前圧延パスである第(n−2)圧延パスの出側板厚h(n−2)でもあるので、式(2)により第(n−2)圧延パスの圧延荷重P(n−2)が決定される(ステップS25)。
なお、入側板厚H(n−1)が限界板厚hより大きい場合(ステップS24、No)、第(n−1)圧延パスは荷重制約パスではないので、それより前段の圧延パスには高生産型パススケジュールを適用することができる。つまり、圧延機5の設備制約(耐荷重、耐トルク)から求まる最大圧延荷重Pmaxを圧延荷重式に適用して(ステップS27)、圧延材2が圧延開始前の板厚となるまで、順次圧延パスを遡るよう入側板厚Hを算出して各圧延パスの圧延条件を決定する。
これに対し、ステップS25で第(n−2)圧延パスの圧延荷重P(n−2)が決定されたとき、この圧延荷重P(n−2)と出側板厚h(n−2)から、圧延荷重式によって第(n−2)圧延パスの入側板厚H(n−2)を算出する(ステップS26)。この後、処理はステップS24に戻り、ステップS26で算出した入側板厚H(n−2)が、限界板厚h以下であるか否かを判断する。
これに引き続き同様の処理によって、最終圧延パスから、入側板厚Hが限界板厚hより大きくなる圧延パスまで順次遡るように、各荷重制約パスにおける圧延荷重P、入側板厚H、出側板厚hを算出し、各荷重制約パスの圧延条件を決定する。これによって、荷重制約型パススケジュールを決定することができる。
また、最終圧延パスから順次遡った結果、ある圧延パスの入側板厚Hが限界板厚hより大きくなった場合、該圧延パスより上流側の圧延パスについては、第1実施形態で説明した高生産型パススケジュールによって、第1実施形態と同様に圧延パススケジュールを決定する。
このような本実施形態による圧延パススケジュールの決定方法によっても、高生産型パススケジュールと荷重制約型パススケジュールを組み合わせた圧延パススケジュールを作成する。これによって、高精度な板クラウンの実現と生産性の高い高能率の圧延とを両立させる圧延パススケジュールを決定することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
本実施形態による圧延装置1及び圧延機5の構成は、第1実施形態及び第2実施形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。
以下、本実施形態による圧延パススケジュールの決定方法について説明する。なお、本実施形態では、図4のような横軸に圧延パス数、縦軸に圧延荷重をとった場合の圧延パススケジュールを念頭におきつつ、第1実施形態及び第2実施形態とは逆に、第1圧延パスから圧延パススケジュールを決定してゆく。
まず、圧延が開始される最初の圧延パスである第1圧延パスでは設備制約(耐荷重、耐トルク)の上限である最大圧延荷重Pmaxと、第1圧延パスにおける既知の入側板厚H(粗圧延機4からの移送厚)とを用いて圧延荷重式により出側板厚hを算出する。第1圧延パスの出側板厚hは、続く第2圧延パスの入側板厚Hであるので、入側板厚Hと最大圧延荷重Pmaxとを用いて圧延荷重式により第2圧延パスの出側板厚hを算出する。以降、この最大圧延荷重Pmaxによる圧延パスを繰り返すことで、出側板厚hが限界板厚の10mm以下に薄くなるまで設備制約の上限である最大圧延荷重Pmaxで圧延パススケジュールを決定する。出側板厚hが限界板厚の10mm以下に薄くなる圧延
パス以前の圧延パススケジュールは、即ち第1実施形態及び第2実施形態で述べた高生産型パススケジュールと同様である。
第i圧延パスで算出した出側板厚hiが限界板厚である10mm以下に薄くなった場合、第1圧延パスから第(i−1)圧延パスまでを最大圧延荷重Pmaxによる高生産型パススケジュールとし、それ以降の第i圧延パスから最終圧延パスである第n圧延パスまでを荷重制約型パススケジュールとする。
荷重制約型パススケジュールでは、まず最終圧延パスである第n圧延パスの圧延荷重Pとしては、予め数値テーブルに保持した荷重予測誤差及び設備制約圧延荷重(最大圧延荷重Pmax)を考慮した圧延荷重Pe(Pe=Pmax*(100−δP)/100、ただし、Pmax:設備制約圧延荷重、δP:荷重誤差[%])を上限として、経験的に板幅の関数として予め設定しておいた圧延荷重Pを設定する。
次に、最終圧延パスの圧延荷重Pと、第(i−1)圧延パスの圧延荷重P(i−1)(すなわち、最大圧延荷重Pmax)とを結ぶ線形式を算出し、この線形式を荷重制約型パススケジュールの各圧延パスにおける圧延荷重Pの上限とする。その上で、第(i−1)圧延パスから第i圧延パスの1圧延パスの圧延で、圧延材2の最終圧延パスでの入側板厚Hが要求される板厚となる場合、例えば、第i圧延パスの圧延荷重Piが圧延荷重Pと圧延荷重P(n−1)の平均となるように、第i圧延パスを上述した線形式上に設ける。この第i圧延パスの圧延荷重Piと、第(i−1)圧延パスの出側板厚h(i−1)、即ち第i圧延パスの入側板厚Hとから、圧延荷重式を用いて第i圧延パスの出側板厚h、つまり最終圧延パスである第n圧延パスの入側板厚Hを算出し、さらに最終圧延パスの圧延荷重P及び入側板厚Hから、圧延荷重式を用いて最終圧延パスの出側板厚hを算出する。
第(i−1)圧延パスから第i圧延パスの1圧延パスの圧延で、最終圧延パスでの入側板厚Hが要求される板厚とならない場合、算出した最終圧延パスの出側板厚hは予め定めた最終出側板厚hである製品板厚を下回らないので、上述した線形式上の荷重制約パスを第i圧延パスと第(i+1)圧延パスの2圧延パスに増やし、同様にして第i圧延パス、第(i+1)圧延パスの順に、最終圧延パス(第n圧延パス)までの圧延荷重Pと出側板厚hを算出する。このように圧延パスを増やすことで最終圧延パスである第n圧延パスの出側板厚hが製品板厚を下回った場合には、順に算出した第i圧延パス、第(i+1)圧延パス、及び最終圧延パスの圧延条件を以て荷重制約型パススケジュールが決定される。
このように、圧延開始の第1圧延パスから圧延材2が限界板厚以下となるまでは高生産型パススケジュールを作成し、圧延材2の板厚が限界板厚以下となれば、最終圧延パスの出側板厚hが製品板厚となるまで荷重制約型パススケジュールを作成する。このように、高生産型パススケジュールと荷重制約型パススケジュールを組み合わせた圧延パススケジュールを決定することによって、高精度な板クラウンの実現と生産性の高い高能率の圧延とを両立させる圧延パススケジュールを決定することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
本実施形態による圧延装置1及び圧延機5の構成は、第1実施形態〜第3実施形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。
以下、本実施形態による圧延パススケジュールの決定方法について説明する。なお、本実施形態では、図6のような横軸に出側板厚、縦軸に圧延荷重をとった場合の圧延パススケジュールを念頭におきつつ、第2実施形態で説明した荷重制約条件である式(2)を用いて、第1圧延パスから順に圧延パススケジュールを決定する。
まず、第3実施形態と同様に、圧延が開始される第1圧延パスから圧延材2の出側板厚が限界板厚である10mm以下に薄くなるまで設備制約の上限である最大圧延荷重Pmaxで圧延パススケジュールを決定する。
圧延開始から第i圧延パスで、圧延材2の出側板厚hiが限界板厚である10mm以下に薄くなった場合、第i圧延パスから最終圧延パスである第n圧延パスまでを荷重制約パ
スとする。
第2実施形態と同様に、本実施形態の荷重制約型パスでは、まず最終圧延パスである第n圧延パスの圧延荷重Pとしては、圧延荷重Pe(Pe=Pmax*(100−δP)/100)を上限として、経験的に圧延荷重を板幅の関数として予め設定しておいた圧延荷重Pを設定する。その上で、最終圧延パスの圧延荷重Pと、第(i−1)圧延パスの圧延荷重P(i−1)(すなわち、最大圧延荷重Pmax)とを結ぶ線形式を算出し、この線形式を荷重制約型パススケジュールの各圧延パスにおける圧延荷重Pの上限とする。
このように得られた線形式上で、第2実施形態と同様の方法によって、第i圧延パス以降、最終圧延パスまでの圧延荷重を算出して圧延条件を決定し、荷重制約型パススケジュールが決定される。
本実施形態による圧延パススケジュールの決定方法によっても、圧延開始の第1圧延パスから圧延材2が限界板厚以下となるまでは高生産型パススケジュールを作成し、圧延材2の板厚が限界板厚以下となれば、最終圧延パスの出側板厚hが製品板厚となるまでは荷重制約型パススケジュールを作成する。これにより、高精度な板クラウンの実現と生産性の高い高能率の圧延とを両立させる圧延パススケジュールを決定することができる。
このように本発明は、設備制約上限の圧延荷重において形状制御機構による圧延材の形状制御が十分に可能であっても、板厚が薄くなる圧延パスでは圧延荷重を敢えて小さくする圧延パススケジュールを決定する方法である。
本発明の圧延パススケジュールの決定方法によれば、圧延材の温度予測誤差などに起因する荷重予測誤差が大きくなってしまった場合にも、この荷重予測誤差を原因として起こる種々の問題、つまり、ロールクラウンの予測誤差からくる形状不良の発生や、圧延荷重が設備制約上限を上回るといった問題を抑える効果がある。その結果、板厚や形状、及び板クラウンの高精度な制御を実現し、設備の故障や操業停止となる事故を未然に防ぐ安定した圧延作業が出来るという効果ももたらされる。
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、動作条件や測定条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 圧延装置
2 圧延材
3 加熱炉
4 粗圧延機
5 仕上圧延機
6 ワークロール
7 バックアップロール
8 入側板厚計
9 出側板厚計
10 制御部
11 フレーム
12 ロードセル

Claims (3)

  1. 圧延材を圧延する一対のワークロールを備えるとともに、前記圧延材の形状を制御する形状制御機構を備える圧延機によって前記圧延材を圧延する際の圧延パススケジュールを決定する圧延パススケジュールの決定方法であって、
    前記圧延パススケジュールの決定方法は、前記圧延機の設備制約の上限となる圧延条件で、前記圧延材を圧延する第1パススケジュールと、前記第1パススケジュールの後に行われる圧延パススケジュールであって、所定の形状となるように前記形状制御機構を動作させつつ、圧延機の設備制約の上限未満の圧延条件で前記圧延材を圧延する第2パススケジュールと、によって決定され、
    前記第2パススケジュールは、前記圧延材の板厚が、圧延荷重誤差の増大に起因して実際に圧延材に付加される圧延荷重が前記設備制約の前記上限を超えると判断される際の限界板厚以下となったときに、前記第1パススケジュールから前記第2パススケジュールへ切り替えるものであり、且つ前記第1パススケジュールでの圧延条件と、最終圧延パスでの圧延条件とから得られる線形式上での圧延条件を基に決定されることを特徴とする圧延パススケジュールの決定方法。
  2. 前記第2パススケジュールは、前記第1パススケジュールが完了したときの板厚と、最終圧延パスでの板厚とから得られる線形式上での板厚に応じて決まる圧延条件を基に決定されることを特徴とする請求項1に記載の圧延パススケジュールの決定方法。
  3. 前記圧延条件として、圧延荷重又は圧延トルクを採用していることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧延パススケジュールの決定方法。
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