JP5877112B2 - 正極活物質及びその製造方法並びに負極及び非水電解質2次電池 - Google Patents

正極活物質及びその製造方法並びに負極及び非水電解質2次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質2次電池に用いられる正極活物質及びその製造方法などに関する。
近年、電子機器のモバイル化と高機能化に伴い、駆動電源である2次電池は最重要部品のひとつになっている。特に、リチウムイオン2次電池は、用いられる正極活物質と負極活物質材料の高い電圧から得られるエネルギー密度の高さから、従来のNiCd電池やNi水素電池に替わり、2次電池の主流の位置を占めるに至っている。しかしながら、現在、標準となっているコバルト酸リチウム(LiCoO)系正極活物質と黒鉛主体のカーボン系負極活物質材料の組み合わせによるリチウムイオン2次電池は、昨今の高機能高負荷電子部品の消費電力量を充分に供給することができず、携帯電源としては要求性能を満たすことができなくなっている。
さらに、コバルト酸リチウムは、レアメタルであるコバルトを用いているため、資源的制約が大きく、高価であり、価格安定性に課題がある。また、コバルト酸リチウムは、180℃以上の高温になると、多量の酸素を放出するため、異常発熱時や電池の短絡時には爆発が起きる可能性がある。
そのため、ケイ酸鉄リチウム(LiFeSiO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)を始めとするオリビン構造を有する酸素酸塩正極活物質が、資源面、コスト面、安全面を満たす材料として、注目を集めている。
本発明者らは、これまでに、噴霧燃焼法により微粒子混合物を製造し、さらにこれを熱処理することでケイ酸遷移金属リチウムを製造する製造方法を開発した。具体的には、リチウム源、遷移金属源及びシリコン源を、火炎に供給して、ケイ酸遷移金属リチウムの前駆体となる微粒子混合物を作成し、この微粒子混合物を炭素源(例えばポリビニルアルコール)と混合した後に焼成することを行っていた(特許文献1、2を参照。)。
また、活物質粉末(例えばリン酸鉄リチウム)に炭素コーティングを行う際に、炭素源として脂肪族飽和炭化水素を使用して(特にブタンガス)625〜750℃で焼成し炭素コーティングを行う方法が開示されている(特許文献3を参照。)。
国際公開2011/108464号 国際公開2011/108465号 特開2011−014368号
しかしながら、特許文献1、2に記載の、微粒子混合物に炭素源を混合した後に、焼成を行う方法では、ケイ酸鉄リチウムの表面の全体に均一に炭素を被覆することが難しい場合があった。
また、特許文献3に記載の炭素のコーティング方法では、既に還元済みのリン酸鉄リチウムについて炭素を被覆することはできるが、前駆体の段階から正極活物質を製造することができるものではない。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、正極活物質前駆体粒子を還元しながら炭素被覆する正極活物質の製造方法を提供することである。
すなわち、本発明は、
(1)正極活物質前駆体粒子を焼成して正極活物質を製造する方法であって、前記正極活物質前駆体粒子を、還元性ガスと炭化水素ガスに暴露しながら焼成する工程を具備することを特徴とする正極活物質の製造方法。
(2)正極活物質前駆体粒子を焼成して正極活物質を製造する方法であって、前記正極活物質前駆体粒子に、還元剤を添加する工程と、前記正極活物質前駆体粒子を、炭化水素ガスに暴露しながら焼成することで、還元と炭素被覆を同時に行う工程と、を具備することを特徴とする正極活物質の製造方法。
(3)前記正極活物質前駆体粒子の1次粒子の形状が略球形であり、
前記正極活物質前駆体粒子の1次粒子の粒径が5nm〜200nmの範囲にあることを特徴とする(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)前記正極活物質は、LiSiO(元素Mは、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Ni、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Zr、Mo、Wの中から選択される1種又は2種以上の元素である。但し、元素Mとして複数種類の元素を含む場合も、これらの複数元素の合計量は、その組成式に示すように、その組成比はSiと等しい化学量論的組成比となる。)を含み、前記正極活物質前駆体粒子が、リチウム、元素M、シリコンを含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
(5)前記正極活物質は、LiMPO(元素Mは、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Ni、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Zr、Mo、Wの中から選択される1種又は2種以上の元素である。但し、元素Mとして複数種類の元素を含む場合も、これらの複数元素の合計量は、その組成式に示すように、その組成比はPと等しい化学量論的組成比となる。)を含み、前記正極活物質前駆体粒子が、リチウム、元素M、リンを含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
(6)焼成温度が、600℃〜750℃であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
(7)前記炭化水素ガスは、メタン、エタン、プロパン、ブタンの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
(8)前記還元性ガスは、水素、アセチレン、一酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、ホルムアルデヒドの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
(9)前記還元剤は、ポリビニルアルコール、スクロース、グルコース、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、ヘキシト−ル、脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、アルカノールアミン、メタノール、エチルエーテル、エタノール、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、リン酸トリメチル、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ピリジン、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、エチルアミン、トリエチルアミンの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする(2)に記載の正極活物質の製造方法。
(10)LiSiOとLiMPOのいずれか1種又は両方(元素M,Mは、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Ni、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Zr、Mo、Wの中から選択される1種又は2種以上の元素である。但し、元素M、MとしてM、Mのそれぞれが複数種類の元素を含む場合も、これらの複数元素の合計量は、その組成式に示すように、その組成比はSiあるいはP量と等しい化学量論的組成比となる。)を含み、1次粒子の平均粒径が100nm以下であり、1次粒子の表面全体が炭素によって被覆されることを特徴とする正極活物質。
(11)LiSiOとLiMPOのいずれか1種又は両方(元素M,Mは、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Ni、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Zr、Mo、Wの中から選択される1種又は2種以上の元素である。但し、元素M、MとしてM、Mのそれぞれが複数種類の元素を含む場合も、これらの複数元素の合計量は、その組成式に示すように、その組成比はSiあるいはP量と等しい化学量論的組成比となる。)を含み、1次粒子の平均粒径が100nm以下であり、4MPaの圧力で圧縮した際の粉体導電率が、1.0×10−3[S/cm]以上であることを特徴とする正極活物質。
(12)LiSiOを含み、3.5質量%以上の炭素を含有することを特徴とする(11)に記載の正極活物質。
(13)LiMPOを含み、0.5質量%以上の炭素を含有することを特徴とする(11)に記載の正極活物質。
(14)(10)〜(13)のいずれかに記載の正極活物質を造粒した造粒体を含み、前記造粒体の粒径が0.5〜20μmであり、前記造粒体の内部に炭素を含有することを特徴とする正極活物質。
(15)集電体と、前記集電体の少なくとも片面に、(10)〜(14)のいずれかに記載の正極活物質を含む正極活物質層と、を有することを特徴とする非水電解質2次電池用正極。
(16)(15)に記載の非水電解質2次電池用正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータとを有し、リチウムイオン伝導性を有する電解質中に、前記正極と前記負極と前記セパレータとを設けたことを特徴とする非水電解質2次電池。
本発明により、正極活物質前駆体粒子を還元しながら炭素被覆する正極活物質の製造方法を提供することができる。
第1の実施形態に係る正極活物質の製造方法に用いる焼成装置の概略図。 第2の実施形態に係る正極活物質の製造方法に用いる焼成装置の概略図。 本発明に係る微粒子混合物を製造するための微粒子製造装置。 本発明に係る正極活物質を用いた非水電解質2次電池の概略断面図。 実施例1の正極活物質の透過型電子顕微鏡(TEM)像。 比較例1の正極活物質のTEM像。
以下に本発明に係る微粒子混合物や正極活物質などの好ましい実施態様を説明する。なお、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
正極活物質の製造方法の第1の実施形態は、正極活物質の前駆体粒子を、還元性ガスと炭化水素ガスに暴露しながら焼成する工程を具備することを特徴とする正極活物質の製造方法である。
図1は、正極活物質の製造方法の第1の実施形態に用いられる焼成装置1を示す図である。焼成装置1の反応管7の中に、正極活物質の前駆体粒子9を置く。そこに、炭化水素ガス3と還元性ガス5とを供給し、管状炉11により加熱して、前駆体粒子9の還元と炭素被覆とを同時に行う。また、焼成装置1としては、ロータリーキルンが一例として挙げられる。
正極活物質の前駆体粒子9は、焼成等の熱処理により正極活物質となる材料である。正極活物質としては、層状岩塩型酸化物、スピネル型酸化物、オリビン構造酸素酸塩が挙げられる。
層状岩塩型酸化物としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、ニッケルマンガン酸リチウム(LiNi1/2Mn1/2)、コバルトニッケルマンガン酸リチウム(LiCo1/3Ni1/3Mn1/3)などが挙げられる。
スピネル型酸化物としては、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)、スピネル型マンガン酸リチウムのマンガンを一部クロムやニッケルなどにより置換した材料などが挙げられる
オリビン構造酸素酸塩としては、ケイ酸鉄リチウム(LiFeSiO)などのケイ酸遷移金属リチウム、リン酸鉄リチウム(LiFePO)などのリン酸遷移金属リチウムなどが挙げられる。
特に、前駆体粒子9は、後述の噴霧燃焼法により製造されることが好ましい。噴霧燃焼法により製造される場合は、前駆体粒子9の1次粒子の形状が略球形であり、前駆体粒子9の1次粒子の粒径が5nm〜200nmの範囲にある。1次粒子とは、粉体を構成する一つ一つの単位粒子のことである。実際は、電子顕微鏡観察などで、外見上の幾何学的形態から判断して、単位粒子と考えられる粒子を1次粒子として観察した。通常、前駆体粒子や正極活物質などの粉体は、それらの1次粒子が凝集して存在している。
また、正極活物質は、LiSiO(元素Mは、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Ni、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Zr、Mo、Wの中から選択される1種又は2種以上の元素である。但し、元素Mとして複数種類の元素を含む場合も、これらの複数元素の合計量は、その組成式に示すように、その組成比はSiと等しい化学量論的組成比となる。)を含み、前駆体粒子9が、リチウム、元素M、シリコンを含むことが好ましい。
また、正極活物質は、LiMPO(元素Mは、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Ni、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Zr、Mo、Wの中から選択される1種又は2種以上の元素である。但し、元素Mとして複数種類の元素を含む場合も、これらの複数元素の合計量は、その組成式に示すように、その組成比はPと等しい化学量論的組成比となる。)を含み、前駆体粒子9が、リチウム、元素M、リンを含むことが好ましい。なお、元素M、Mの数字は、2種類の元素M(M、M)を区別しているだけであって、組成式の化学量論的な意味を持つものではない。
前駆体粒子9の焼成温度が、600℃〜750℃であることが好ましい。焼成温度が低すぎると正極活物質に変化できず、高すぎると結晶が過大に成長してしまうからである。
炭化水素ガス3は、メタン、エタン、プロパン、ブタンの中から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。炭化水素ガス3にも還元性があるが、さらに還元を進めるために還元性ガス5を混合して供給する。
還元性ガス5は、水素、アセチレン、一酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、ホルムアルデヒドの中から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
(本発明の正極活物質の特徴)
本発明に係る正極活物質を、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により粒径を測定して1次粒子の平均粒径を求めると、100nm以下である。さらに、粒度分布を求めると、10〜200nmの範囲に存在し、平均粒径が25〜100nmに存在することが好ましい。これらの粒子は、結晶子が複数集まって構成される。また、粒度分布は、10〜150nmの範囲、平均粒径が25〜80nmに存在することがより好ましい。なお、粒度分布が10〜200nmの範囲に存在するとは、得られた粒度分布が10〜200nmの全範囲にわたる必要はなく、得られた粒度分布の下限が10nm以上であり、上限が200nm以下であることを意味する。つまり、得られた粒度分布が10〜100nmであってもよいし、50〜150nmであってもよい。
本発明に係る正極活物質は、粒子の大きさが小さいので、Liイオンまたは電子の、単結晶や多結晶粒子中の導電パスが短く、イオン導電性と電子伝導性が優れるので、充放電反応の障壁を低下させることができる。
本発明に係る正極活物質は、1次粒子の表面全体(おおむね8割以上)が、厚さ1nm以上の炭素層で被覆されるため、正極活物質を4MPaの圧力で圧縮した際の粉体導電率は1.0×10−3[S/cm]以上である。
本発明に係る正極活物質は、ケイ酸遷移金属リチウム(LiSiO)を含む場合は、炭素被覆後の正極活物質全体に対して3.5質量%以上の炭素を含有することが好ましい。また、リン酸遷移金属リチウム(LiMPO)を含む場合は、炭素被覆後の正極活物質全体に対して0.5%質量以上の炭素を含有することが好ましい。この程度の炭素が含まれていれば、粉体導電率が十分に向上するからである。
本発明の正極活物質に含まれるリン酸遷移金属リチウムまたはケイ酸遷移金属リチウムの大部分は微細結晶であるが、一部には非晶質成分を含む「微結晶」状態も存在する。例えば、結晶子が複数集まって構成される微粒子が非晶質成分で覆われている状態、或いは非晶質成分マトリクス中に微細な結晶が存在する状態、また微粒子周囲と微粒子間に非晶質成分が存在する状態をいう。
正極活物質がオリビン構造酸素酸塩の場合は、用いる遷移金属とその種類によって、充放電の容量等の特性が変わってくる。例えば、遷移金属源としてFe原料を用いると、結晶構造は安定化し、低コストで合成も容易であるが、Fe1種類だけでは容量は従来レベルに止まる。Mn原料の場合も低コストで合成も容易であるが、リン酸マンガンリチウムまたはケイ酸マンガンリチウムはLiのインターカレートとデインターカレートにより結晶構造が崩壊し易い欠点があり、充放電サイクル寿命が短い傾向にある。そこで、FeとMnの2原料を用いたリン酸鉄マンガンリチウム(LiFe1−xMnPO)またはケイ酸鉄マンガンリチウムのように遷移金属を2元素用いると、前記の低容量と結晶構造崩壊の問題は解決する。他方、Feは結晶構造の安定化に寄与する。Fe、Mn以外のTi、Cr、V、Ni、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Zr、Mo、W、についても同様のことが云える。
正極活物質がオリビン構造酸素酸塩の場合、POまたはSiOの一部を他のアニオンにより置換させることもできる。例えば、他のアニオンとしては、前記の遷移金属の酸であり、チタン酸(TiO)やクロム酸(CrO)、バナジン酸(VO、V)、ジルコン酸(ZrO)、モリブデン酸(MoO、Mo24)、タングステン酸(WO)、等々であり、あるいはホウ酸(BO)である。POまたはSiOの一部をこれらのアニオン種により置換することにより、Liイオンの脱離と復帰の繰り返しによる結晶構造変化の抑制と安定化に寄与し、サイクル寿命を向上させる。また、これらのアニオン種は、高温においても酸素を放出し難いので、発火につながることもなく安全に用いることができる。
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態によれば、還元と炭素被覆を一度の焼成工程で行うことができる。
また、第1の実施形態によれば、還元作用のある還元性ガス5と、炭素被覆の炭素源となる炭化水素ガス3の量を、独立して変更可能であるため、炭化水素ガスの分圧を十分に高めることができ、炭素源が不足して被覆ができないということがない。そのため、正極活物質の表面の全体を十分な厚さで炭素を被覆できる。
表面を炭素で被覆された正極活物質粒子には、炭素を経由して電気が流れやすい。また、リチウムイオンの溶媒和が炭素の被覆で緩和されるため、炭素で被覆された正極活物質粒子には、リチウムイオンが入りやすい。そのため、第1の実施形態における製造方法で製造された正極活物質の表面は十分に炭素で覆われているため、充放電容量が大きくなる。
第1の実施形態においては、粒径の小さい前駆体粒子に対してガス状の炭素源を供給するため、前駆体粒子の粒子間への炭素源の浸透に優れる。その結果、還元後の正極活物質の表面の全体を十分な厚さで炭素を被覆できる。
第1の実施形態は、炭化水素ガス、還元性ガスともにガスである乾式プロセスであるため、低コストな連続工程で還元・炭素被覆を可能である。
(第2の実施形態)
正極活物質の製造方法の第2の実施形態は、正極活物質の前駆体粒子に、還元剤を添加する工程と、前記正極活物質前駆体粒子を、炭化水素ガスに暴露しながら焼成する工程とを具備することを特徴とする正極活物質の製造方法である。すなわち、第1の実施形態では、還元性ガスを供給して焼成中に前駆体粒子を還元するが、第2の実施形態では、焼成前に添加した還元剤により焼成中に前駆体粒子を還元する。以下の実施形態で第1の実施形態と同一の様態を果たす要素には同一の番号を付し、重複した説明は避ける。
まず、前駆体粒子9に、還元剤を添加し、必要に応じて乾燥して、還元剤を含む前駆体粒子15を作成する。還元剤と前駆体粒子を均一に混合するために、液体の還元剤を湿式で混合することが好ましい。
還元剤としては、還元性炭素源、アルコール/多価アルコールや、アミン系化合物、ドナー数18以上の液体を用いることができる。
還元性炭素源としては、ポリビニルアルコール、スクロース、グルコースが上げられる。
アルコール/多価アルコールとしては、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、ヘキシト−ルが挙げられる。
アミン系化合物としては、脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、アルカノールアミンが挙げられる。
ドナー数18以上の液体としては、メタノール、エチルエーテル、エタノール、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、リン酸トリメチル、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ピリジン、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、エチルアミン、トリエチルアミンが挙げられる。
なお、前述のとおり、湿式で混合することが好ましいので、固体の還元剤は、水などの溶液にしてから前駆体粒子9と混合することが好ましい。
図2は、正極活物質の製造方法の第2の実施形態に用いられる焼成装置13を示す図である。焼成装置13の反応管7の中に、還元剤を含む前駆体粒子15を置く。そこに、炭化水素ガス3を供給し、管状炉11により加熱して、前駆体粒子9の還元と炭素被覆とを同時に行う。
(第2の実施形態の効果)
第2の実施形態によれば、還元と炭素被覆を一度の焼成工程で行うことができる。
また、第2の実施形態によれば、還元作用のある還元剤と、炭素被覆の炭素源となる炭化水素ガス3の量を、独立して変更可能であるため、炭素源が不足して被覆ができないということがなく、正極活物質の表面の全体を十分な厚さで炭素を被覆できる。
表面を炭素で被覆された正極活物質粒子には、炭素を経由して電気が流れやすい。また、リチウムイオンの溶媒和が炭素の被覆で緩和されるため、炭素で被覆された正極活物質粒子には、リチウムイオンが入りやすい。そのため、第2の実施形態における製造方法で製造された正極活物質の表面は十分に炭素で覆われているため、充放電容量が大きくなる。
第2の実施形態においては、粒径の小さい前駆体粒子に対してガス状の炭素源を供給するため、前駆体粒子の粒子間への炭素源の浸透に優れる。その結果、還元後の正極活物質の表面の全体を十分な厚さで炭素を被覆できる。
(本発明の形態)
本発明の正極活物質は、粉体材料として得られ、提供される。さらに、正極活物質は、そのままの状態で、または造粒処理してサイズを大きくした造粒体に、分散剤や増粘剤または導電材等を所定割合加えた水系溶媒または有機溶剤のスラリーとしても提供される。また、集電体基材上にこれらスラリーを塗布して正極活物質を皮膜状形成した電極形態としても提供される。そして、本発明における2次電池は、本発明の2次電池用正極を用い、公知の負極やセパレータ、電解液など他の構成材料と共に2次電池として組み立て、提供される。
(前駆体粒子の製造方法)
本発明に係る正極活物質前駆体粒子としては、火炎加水分解法や熱酸化法などの噴霧燃焼法により合成された微粒子混合物を用いることができる。すなわち、本発明にかかる正極活物質を、正極活物質前駆体粒子である微粒子混合物を焼成することにより合成することができる。
(噴霧燃焼法による微粒子混合物の製造方法)
噴霧燃焼法は、塩化物などの原料気体を供給する方法や、気化器を通して原料液体または原料溶液を供給する方法により、支燃性ガスと可燃性ガスとともに構成原料を火炎中へ供給し、構成原料を反応させ、目的物質を得る方法である。噴霧燃焼法として、VAD(Vapor−phase Axial Deposition)法などが好適な例として挙げられる。これらの火炎の温度は、可燃性ガスと支燃性ガスの混合比や、さらに構成原料の添加割合によって変化するが、通常1000〜3000℃の間にあり、特に1500〜2500℃程度であることが好ましく、さらに1500〜2000℃程度であることがより好ましい。火炎温度が低温であると、火炎中での反応が完了する前に、微粒子が火炎の外へ出てしまう可能性がある。また、火炎温度が高温であると、生成する微粒子の結晶性が高くなりすぎ、その後の焼成工程において、安定相であるが、正極活物質としては好ましくない相が生成しやすくなってしまう。
また、火炎加水分解法は、火炎中で構成原料が加水分解される方法である。火炎加水分解法では、火炎として酸水素火炎が一般に用いられる。可燃性ガスとして水素ガスが、支燃性ガスとして酸素ガスが供給された火炎の元に正極活物質の構成原料と、火炎原料(酸素ガスと水素ガス)を同時にノズルから供給して目的物質を合成する。火炎加水分解法では、不活性ガス充填雰囲気中、ナノスケールの極微小な、主として非晶質からなる目的物質の微粒子を得ることができる。
また、熱酸化法とは、火炎中で構成原料が熱酸化される方法である。熱酸化法では、火炎として炭化水素火炎が一般に用いられる。可燃性ガスとして炭化水素系ガスが、支燃性ガスとして空気が供給された火炎の元に、構成原料と火炎原料(例えば、プロパンガスと酸素ガス)を同時にノズルから供給しながら目的物質を合成する。炭化水素系ガスとしては、メタン、エタン、プロパン、ブタンなどのパラフィン系炭化水素ガスや、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィン系炭化水素ガスを使用できる。
(微粒子混合物を得るための構成原料)
本発明の微粒子混合物を得るための構成原料は、リチウム源、遷移金属源、リン源、またはリチウム源、遷移金属源、シリコン源である。原料が固体の場合は、粉末のまま供給するか、液体に分散して、または溶媒に溶かして溶液とし、気化器を通じて、火炎に供給する。原料が液体の場合には、気化器を通じるほかに、供給ノズル前に加熱または減圧およびバブリングによって蒸気圧を高めて気化供給することもできる。特に、構成原料の混合溶液を、直径20μm以下の霧状の液滴にて供給することが好ましい。
リチウム源としては、塩化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、硝酸リチウム、臭化リチウム、リン酸リチウム、硫酸リチウムなどのリチウム無機酸塩、シュウ酸リチウム、酢酸リチウム、ナフテン酸リチウムなどのリチウム有機酸塩、リチウムエトキシドなどのリチウムアルコキシド、リチウムのβ―ジケトナト化合物などの有機リチウム化合物、酸化リチウム、過酸化リチウム、などを用いることができる。なお、ナフテン酸とは、主に石油中の複数の酸性物質が混合した異なるカルボン酸の混合物で、主成分はシクロペンタンとシクロヘキサンのカルボン酸化合物である。
遷移金属源としては、塩化第二鉄、塩化マンガン、四塩化チタン、塩化バナジウムなどの各種遷移金属の塩化物、シュウ酸鉄、シュウ酸マンガンなど遷移金属のシュウ酸塩、酢酸マンガンなどの遷移金属の酢酸塩、硫酸第一鉄や硫酸マンガンなどの遷移金属の硫酸塩、硝酸マンガンなどの遷移金属の硝酸塩、オキシ水酸化マンガンや水酸化ニッケルなど遷移金属の水酸化物、2−エチルヘキサン酸第二鉄、2−エチルヘキサン酸第二マンガンなどの遷移金属のエチルヘキサン酸塩(オクチル酸塩とも呼ばれる)、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ナフテン酸鉄、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸クロム、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸コバルトなどのナフテン酸遷移金属塩、ヘキソエートマンガンなどのヘキソエートの遷移金属塩、遷移金属のシクロペンタジエニル化合物、チタンテトライソプロポキシド(TTIP)、チタンアルコキシドなどの遷移金属アルコキシド等を用いることができる。さらに、ステアリン酸、ジメチルジチオカルバミン酸、アセチルアセトネート、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの遷移金属の有機金属塩、酸化鉄や酸化マンガンほか各種遷移金属の酸化物なども条件により使用される。
後述のように、2種以上の遷移金属をリン酸遷移金属リチウム化合物またはケイ酸遷移金属リチウムに用いる場合は、2種以上の遷移金属の原料を火炎中に供給するようにする。
リン源としては、亜リン酸、オルトリン酸やメタリン酸などのリン酸、ピロリン酸、リン酸水素2アンモニウムやリン酸2水素アンモニウムなどのリン酸水素アンモニウム塩、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウムなどの各種リン酸塩またはピロリン酸塩、およびリン酸第一鉄など導入遷移金属のリン酸塩、などを用いることができる。
シリコン源としては、四塩化ケイ素、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、二酸化ケイ素や一酸化ケイ素またはこれら酸化ケイ素の水和物、オルトケイ酸やメタケイ酸、メタ二ケイ酸等の縮合ケイ酸、テトラエチルオルトシリケート(テトラエトキシシラン、TEOS)、テトラメチルオルトシリケート(テトラメトキシシラン、TMOS)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルトリシロキサン(OMTSO)、テトラ−n−ブトキシシラン、等々を用いることができる。
また、リン酸遷移金属リチウム化合物のリン酸の一部、またはケイ酸遷移金属リチウム化合物のケイ酸の一部を他のアニオンにより置換する場合は、アニオン源として、遷移金属の酸化物、ホウ酸の原料を加える。
例えば、酸化チタン、亜チタン酸鉄や亜チタン酸マンガンなどの亜チタン酸金属塩、チタン酸亜鉛やチタン酸マグネシウム、チタン酸バリウムなどのチタン酸塩、酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム、酸化クロム、クロム酸塩や二クロム酸塩、酸化マンガン、過マンガン酸塩やマンガン酸塩、コバルト酸塩、酸化ジルコニウム、ジルコン酸塩、酸化モリブデン、モリブデン酸塩、酸化タングステン、タングステン酸塩、ホウ酸や三酸化二ホウ素、メタホウ酸ナトリウムや四ホウ酸ナトリウム、ホウ砂などの各種ホウ酸塩を、それぞれ所望のアニオン源と合成条件に応じて用いることができる。
これらの原料を同一反応系に火炎原料と共に供給して微粒子混合物を合成する。生成した微粒子混合物は、排気中からフィルタで回収することができる。また、以下のように芯棒の周囲に生成させることもできる。反応器の中にシリカやシリコン系の芯棒(種棒とも呼ばれる)を設置し、これに吹き付けている酸水素火炎中やプロパン火炎中に火炎原料と共に構成原料を供給し、加水分解または酸化反応させると、芯棒表面に主にナノオーダーの微粒子が生成付着する。これらの生成微粒子を回収し、場合によってはフィルタやふるいに掛けて、不純物や凝集粗大分を除く。このようにして得られた微粒子混合物は、ナノスケールの極微小な粒径を持ち、主として非晶質である微粒子からなる。
本発明に係る微粒子混合物の製造方法である噴霧燃焼法は、製造できる微粒子混合物が、非晶質であり、粒子の大きさも小さい。さらに、噴霧燃焼法では、従来の水熱合成法や固相法に比べて、短時間で大量の合成が可能であり、低コストで均質な微粒子混合物を得ることができる。
(噴霧燃焼法により得られる微粒子混合物の特徴)
リン酸遷移金属リチウムの前駆体粒子である微粒子混合物は、主にリチウム、遷移金属、リンの酸化物や、リン酸遷移金属リチウムの非晶質な微粒子からなるが、遷移金属の結晶性酸化物も混合生成している場合が多い。さらに、一部にはリン酸遷移金属リチウム系化合物の結晶成分も含まれる。同様に、ケイ酸遷移金属リチウムの前駆体粒子である微粒子混合物は、主にリチウム、遷移金属、シリコンの酸化物や、ケイ酸遷移金属リチウムの非晶質な微粒子からなるが、遷移金属の結晶性酸化物も混合生成している場合も多く、一部にはケイ酸遷移金属リチウム系化合物の結晶成分も含まれる。
これらの微粒子混合物を構成する微粒子内の元素の空間分布が均一であることが好ましい。特に、微粒子内で遷移金属とリンまたはシリコンの空間分布に偏りがないことが好ましい。また、微粒子混合物の形状が略球形であり、粒子の平均アスペクト比(長径/短径)が、1.5以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。また、微粒子混合物の粒径は5〜200nmの範囲にある。
なお、粒子が略球形であるとは、粒子形状が幾何学的に厳密な球形や楕円球形であることまでは意味せず、わずかな突起部があっても粒子の表面がおおむね滑らかな曲面で構成されていればよい。
これら微粒子混合物を2θ=10〜60°の範囲の粉末法X線回折を測定すると、ほとんど回折ピークを有しないか、有したとしても回折ピークが小さく幅の広い回折角を示す。これらの回折ピークは、結晶子の小さい微粒子、または小さな単結晶の集まった多結晶微粒子、並びにこれら微粒子の周囲に非晶質成分が存在する微結晶形態である、それぞれのリン酸遷移金属リチウム系化合物結晶面に由来する回折であると思われる。なお、ピークの位置は、結晶のゆがみや測定誤差の影響で、±0.1°〜±0.2°程度シフトする可能性がある。
また、本願の噴霧燃焼法では、火炎中で炭素は燃焼するので、得られた微粒子混合物には、炭素が含まれない。仮に炭素成分が混入したとしても、ごく微量であり、正極に使用する際の導電助剤となるほどの量ではない。また微粒子混合物には、遷移金属の酸化物が含まれることが多い。そのため、遷移金属として鉄を用いた微粒子混合物は、酸化鉄に由来して茶色を示すことが多い。
(非水電解質2次電池用正極)
正極活物質を用いて正極電極を形成するには、炭素をコーティングしたり担持したりした正極活物質の粉末に、必要に応じてさらにカーボンブラックなどの導電材料を加えると共に、ポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデン、ポリイミドなどの結着剤、またはブタジエンゴムなどの分散剤、またはカルボキシメチルセルロースほかセルロース誘導体などの増粘剤を加えた混合物を、水系溶媒か有機溶媒中に加えてスラリーとしたものを、アルミニウムを95重量%以上含むアルミニウム合金箔などの集電体上に、片面ないしは両面に塗布し、焼成して溶媒を揮発乾固する。これにより、本発明の正極が得られる。
この際に、スラリーの塗布性や集電体と活物質材料との密着性、集電性を上げるために、前記正極活物質と炭素源等を用いてスプレードライ法により造粒して焼成した造粒体を、前記の正極活物質に替えてスラリー中に含有させて用いることができる。造粒体は、粒径が概略0.5〜20μm程度の大きな塊になるが、これによりスラリー塗布性が飛躍的に向上して、電池電極の特性と寿命もさらに良好となる。スプレードライ法に用いるスラリーは水系溶媒または非水系溶媒のいずれも用いることができる。また、正極活物質の表面が炭素で覆われているため、造粒体の内部に炭素を含有する。
さらに、前記正極活物質を含むスラリーをアルミニウム合金箔等の集電体上に塗工形成した正極において、活物質層形成面の集電体表面粗さとして日本工業規格(JIS B 0601−1994)に規定される十点平均粗さRzが0.5μm以上であることが望ましい。形成した活物質層と集電体との密着性に優れ、Liイオンの挿入脱離に伴う電子伝導性および集電体までの集電性が増し、充放電のサイクル寿命が向上する。
また、前記の集電体と集電体上形成した活物質層の界面において、集電体の主成分が少なくとも活物質層へ拡散した混成状態を示すと、集電体と活物質材料との界面接合性が向上し、充放電サイクルにおける体積や結晶構造の変化に対して耐性が増すので、サイクル寿命が向上する。前記の集電体表面粗さ条件も満たす場合さらに良好である。溶媒を揮発させ得る充分な焼成条件によれば、集電体成分が活物質層に拡散するなど相互成分を有する界面状態となり密着性に優れ、充放電を重ねてもLiイオンの出入りによる体積変化にも耐え、サイクル寿命が向上する。
(非水電解質2次電池)
本発明の正極を用いた高容量な2次電池を得るには、従来公知の負極活物質材料を用いた負極や電解液、セパレータ、電池ケース等の各種材料を、特に制限なく使用することができる。本発明の非水電解質2次電池は、正極と負極との間にセパレータを配置して、電池素子を形成している。このような電池素子を巻回、または積層して円筒形や角形の電池ケースに入れた後、電解質を注入した非水電解質2次電池である。
具体的には、図4に示したように、本発明の非水電解質2次電池31は、正極33、負極35を、セパレータ37を介して、セパレータ−負極−セパレータ−正極の順に積層配置し、正極33が内側になるように巻回して極板群を構成し、これを電池缶41内に挿入する。そして正極33は正極リード43を介して正極端子47に、負極35は負極リード45を介して電池缶41にそれぞれ接続し、非水電解質2次電池31内部で生じた化学エネルギーを電気エネルギーとして外部に取り出し得るようにする。次いで、電池缶41内に電解質39を極板群を覆うように充填した後、電池缶41の上端(開口部)に、円形蓋板とその上部の正極端子47からなり、その内部に安全弁機構を内蔵した封口体49を、環状の絶縁ガスケットを介して取り付けることで製造することができる。
本発明に係る正極を用いた2次電池は、容量が高く、良好な電極特性が得られるが、2次電池を構成する非水溶媒を用いる電解液に、フッ素を含有する非水溶媒を用いるか、または添加すると、充放電による繰り返しを経ても容量が低下し難く長寿命となる。例えば、特にはシリコン系の高容量な負極活物質材料を含む負極を用いる場合には、Liイオンのドープ・脱ドープによる大きな膨張収縮を抑制するために、電解液にフッ素を含有するか、フッ素を置換基として有する非水溶媒を含む電解液を用いることが望ましい。フッ素含有溶媒は充電時、特に初めての充電処理の際のLiイオンとの合金化によるシリコン系皮膜の体積膨張を緩和するので、充放電による容量低下を抑制することができる。フッ素含有非水溶媒にはフッ素化エチレンカーボネートやフッ素化鎖状カーボネートなどを用いることができる。フッ素化エチレンカーボネートにはモノ−テトラ−フルオロエチレンカーボネート(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、FEC)が、フッ素化鎖状カーボネートにはメチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート、エチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネートなどがあり、これらを単一または複数併用して電解液に添加して用いることができる。フッ素基はシリコンと結合し易く強固でもあるので、Liイオンとの充電合金化による膨張の際にも皮膜を安定化させ膨張の抑制に寄与することができるとみられる。
(本発明の効果)
本発明によれば、正極活物質前駆体を還元しながら炭素で被覆することができる。また、本発明によれば、正極活物質の表面の全体を均一に被覆することができる。そのため、粒子の全体の正極活物質がリチウムイオンとの充放電反応に参加可能であり、同じ正極活物質を用いた場合でも正極全体としての容量が増加する。
また、噴霧燃焼法による前駆体から正極活物質を得た場合、本発明に係る正極活物質は、小粒径であるため、Liイオンや電子が移動する距離が小さく、イオン導電性や電子伝導性に優れ、活物質を効率よく充放電に参加させることができ、高速に充放電が可能である。
さらに、噴霧燃焼法による前駆体から正極活物質を得た場合、本発明に係る正極活物質は、元素の空間分布が均一であるため、リチウムイオンの移動経路を確保でき、粒子を構成する活物質を効率よく使用することができる。
また、本発明に係る正極活物質は、従来の正極活物質に比較して、非晶質成分が周囲の一部に存在する結晶を有する微結晶状態であることも特徴である。これらは、従来一般に用いられてきた固相法による正極活物質では得られず、正極活物質の材料源となる原料を同一反応系に供給して火炎中で反応させる方法などにより、主に非晶質な活物質前駆体を生成させた後に、熱処理を行うことで得られる。このような製造法によれば、多孔質な活物質凝集体が容易に得られるので、これをミクロに粉砕することで、粒径が小さく、略球形状微粒子など均質な正極活物質を得ることができる。これにより、集電体上に塗工し易い大きさの造粒体へ造粒することも可能になり、集電体と活物質材料との密着性に優れる、集電体成分が拡散した正極活物質層を得ることができる。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本実施例に本発明が何ら限定されることはない。
なお、以下の実施例では、ケイ酸鉄リチウムやケイ酸鉄マンガンリチウムなどの合成を行ったが、その他の遷移金属を用いる場合や、その他のアニオンを組成材料に加える場合でも同様に、合成、提供できる。
(1−1)実施例1(LiFeSiO
(微粒子混合物の作製)
噴霧燃焼法により微粒子混合物を製造する製造装置を図3に示す。図3に示す微粒子製造装置21の反応容器は、容器内に微粒子合成ノズル23が配置され、プロパンガス(C)、空気(Air)、及び原料溶液22がノズル23から生じる火炎中に供給される。他方に、生成微粒子や反応生成物を排気する排気管29を有し、排気中の微粒子混合物27を微粒子回収フィルタ25により回収する。ノズルに供給する原料の種類と供給条件は以下とした。また、原料溶液は、液滴の大きさが20μmとなるよう、二流体ノズルを用いて火炎中に供給した。火炎の温度は約2000℃であった。
可燃性ガス:プロパン(C):1dm/min
支燃性ガス:空気:5dm/min
リチウム源:ナフテン酸リチウム(4M溶液):0.2dm/min
鉄源:C1630FeO(2−エチルヘキサン鉄(II)、オクチル酸鉄)(1M溶液):0.1dm/min
シリコン源:オクタメチルシクロテトラシロキサン:0.1dm/min
噴霧燃焼法による微粒子混合物の製造方法は以下のとおりである。まず、Nガスを所定量供給し、反応容器中を不活性ガス雰囲気とした。このような条件下で、リチウム源、鉄源、シリコン源をそれぞれ混合した溶液を、霧化器(二流体ノズル)を通じて20μmの液滴にし、プロパンガス及び空気とともに火炎に供給した。火炎中で生成した酸化リチウム、酸化鉄、シリコン酸化物等の微粒子、リン酸鉄リチウム化合物の微粒子などの微粒子混合物を微粒子回収フィルタにて回収した。得られた微粒子混合物が微粒子混合物aである。
(正極活物質の製造)
次に、微粒子混合物aに、還元剤としてポリビニルアルコールを微粒子混合物に対して10wt%加えて混合した後、乾燥させた。
その後、ブタンを流通させながら、650℃で4時間の加熱処理を行って、焼成を行った。焼成と同時に微粒子混合物の還元と、正極活物質へのカーボンコートまたは炭素担持が実施され、活物質凝集体を得た。この活物質凝集体に粉砕処理を行い、正極活物質Aを得た。
(1−2)実施例2(LiFe0.75Mn0.25SiO
(微粒子混合物の作製)
また、実施例1と同様に、噴霧燃焼法にて、プロパンガスによる火炎中へ、プロパンガス、空気、及び下記の所定濃度の原料溶液を供給し、熱酸化させることにより微粒子混合物bを合成して収集した。
リチウム源:LiCl(塩化リチウム、4M水溶液):0.2dm/min
鉄源:FeCl・4HO(塩化第一鉄、1M水溶液):0.075dm/min
マンガン源:MnCl・4HO(塩化マンガン、1M水溶液):0.025dm/min
シリコン源:SiCl(四塩化ケイ素):0.1dm/min
(正極活物質の製造)
微粒子混合物bを、実施例1と同様の方法で処理し、活物質凝集体を得た。この活物質凝集体に粉砕処理を行い、正極活物質Bを得た。後述するXRDや透過型電子顕微鏡などの結果より、実施例2に係る正極活物質Bは、1次粒子の平均粒径、炭素の被覆状態、微結晶状態の点で、実施例1に係る正極活物質Aとほぼ同様の粒子が得られていることを確認した。
(1−3)実施例3(LiFe0.5Mn0.5SiO
(微粒子混合物の作製)
また、実施例1と同様に、噴霧燃焼法にて、プロパンガスによる火炎中へ、プロパンガス、空気、及び下記の所定濃度の原料溶液を供給し、熱酸化させることにより微粒子混合物cを合成して収集した。
リチウム源:LiCl(塩化リチウム、4M水溶液):0.2dm/min
鉄源:FeCl・4HO(塩化第一鉄、1M水溶液):0.05dm/min
マンガン源:MnCl・4HO(塩化マンガン、1M水溶液):0.05dm/min
シリコン源:SiCl(四塩化ケイ素):0.1dm/min、
(正極活物質の製造)
微粒子混合物cを、実施例1と同様の方法で処理し、活物質凝集体を得た。この活物質凝集体に粉砕処理を行い、正極活物質Cを得た。後述するXRDや透過型電子顕微鏡などの結果より、実施例3に係る正極活物質Cは、1次粒子の平均粒径、炭素の被覆状態、微結晶状態の点で、実施例1に係る正極活物質Aとほぼ同様の粒子が得られていることを確認した。
(1−4)実施例4(LiFePO
(微粒子混合物の作製)
実施例1と同様に、噴霧燃焼法にて、プロパンガスによる火炎中へ、プロパンガス、空気、及び下記の所定濃度の原料溶液を供給し、熱酸化させることにより微粒子混合物dを合成して収集した。
リチウム源:ナフテン酸リチウム(4M溶液):0.025dm/min
鉄源:C1630FeO(2−エチルヘキサン鉄II)(1M溶液):0.1dm/min
リン源:ホスホノ酢酸トリエチル(1M溶液):0.1dm/min
(正極活物質の製造)
微粒子混合物dを、実施例1と同様の方法で処理し、活物質凝集体を得た。この活物質凝集体に粉砕処理を行い、正極活物質Dを得た。後述するXRDや透過型電子顕微鏡などの結果より、実施例4に係る正極活物質Dは、1次粒子の平均粒径、炭素の被覆状態、微結晶状態の点で、実施例1に係る正極活物質Aとほぼ同様の粒子が得られていることを確認した。
(2−1)比較例1(LiFeSiO
(正極活物質の作製)
実施例1と同様の方法で作製した微粒子混合物aに、還元剤としてポリビニルアルコールを微粒子混合物に対して10wt%加えて混合した後、乾燥させた。
その後、Nガス充填の密閉容器で、650℃で4時間の加熱処理を行って、焼成を行った。焼成と同時に微粒子混合物の還元と、正極活物質へのカーボンコートまたは炭素担持が実施され、活物質凝集体を得た。この活物質凝集体に粉砕処理を行い、正極活物質Xを得た。比較例1では、焼成時にブタンを流通させていない。
(2−2)比較例2(LiFe0.75Mn0.25SiO)、比較例3(LiFe0.5Mn0.5SiO
実施例2、3と同様の方法で作製した微粒子混合物b、cを用いて、比較例1と同様の方法で、正極活物質Y、Zを得た。
(3)試料の測定観察
(3−1)(粉体導電率の評価)
粉体状態における電子伝導性を評価するため、三菱化学製の粉体抵抗測定システムMCP−PD51型を用いて粉体導電率の評価を行った。粉体導電率は、4MPaの圧力で圧縮したサンプル粉体を測定した抵抗値から求めた。
表1、表2に示すように、4MPa圧縮時の各実施例の粉体導電率は、1×10−3S/cmよりも大きい。おおむね、実施例1は比較例1に比べて、また、実施例2は比較例2と比べて、粉体導電率が4桁程度上昇している。これは、実施例1において正極活物質粒子の表面を十分に炭素が被覆していることにより粉体導電率が向上した。
(3−2)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
実施例1と比較例1の正極活物質について、TEMにより観察を行った。TEM像観察結果を図5、図6に示す。
図5(a)に示すとおり、実施例1においては、正極活物質Aの表面の全体に、厚さ約2nmの炭素が均一に被覆されている。また、図5(b)に示すように、実施例1に係る正極活物質Aの1次粒子の粒径は約50〜100nmであり、平均粒径を測定すると約70nmであった。一方で、図6において、比較例1に係る正極活物質は、ポリビニルアルコール由来の炭素が析出しているとは考えられるが、正極活物質が炭素で被覆されているかは明確でない。
また、実施例1についてXRD測定を行ったところ、ブロードなLiFeSiO由来のピークが得られ、正極活物質Aに、LiFeSiOの微細結晶が含まれることが分かった
(4)活物質試料を用いた試験評価用正極電極と2次電池の作製
正極活物質に対して、導電助剤(カーボンブラック)を30重量%となるように混合し、混合粉末と結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、重量比90:10の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて十分混練し、正極スラリーを得た。
厚さ15μmのアルミニウム箔集電体に、正極スラリーを50g/mの塗工量で塗布し、120℃で30分間乾燥した。その後、ロールプレスで2.0g/cmの密度になるように圧延加工し、2cmの円盤状に打抜いて正極とした。
これらの正極と、負極に金属リチウム、電解液にエチレンカーボネート及びジエチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒にLiBFを1Mの濃度で溶解したものを用い、リチウム2次電池を作製した。なお、作製雰囲気は露点が−50℃以下とした。各極は集電体の付いた電槽缶に圧着して用いた。上記正極、負極、電解質及びセパレータを用いて直径25mm、厚さ1.6mmのコイン型リチウム2次電池とした。
(5)試料の試験評価
次に、前記のコイン型リチウム2次電池により、正極活物質の試験評価を、次のように実施した。
試験温度60℃、0.1Cの電流レートにて、CC−CV法により、4.5V(対Li/Li)まで充電を行い、その後電流レートが0.01Cまで低下した後に充電を停止した。その後、0.1Cレートにて、CC法により1.5V(前記に同じ)まで放電を行って、初期の充放電容量を測定した。
表1、表2によれば、実施例1に係る正極活物質Aは、150mAh/gの放電容量を示す。一方で、比較例1の正極活物質Xは、123mAh/g程度であった。また、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3とを比較すると、それぞれ、本発明により放電容量が向上していた。これらのことより、本発明に係る炭素の被覆方法を採用することで、放電容量が向上していることが分かる。
以下、各特性を表にまとめた。
活物質としてLiFeSiOを用いる場合は、比較例1、実施例1を比較すると、炭素量と粉体導電率が比例して上昇しており、おおよそ炭素量が3.5wt%を超えるあたりで、粉体導電率も1.0×10−3[S/cm]を超えていることが理解される。活物質としてLiFePOを用いる場合は、実施例4を検討すると、炭素量が0.5wt%を超えていれば、粉体導電率も1.0×10−3[S/cm]を超えると考えられる。
以上に説明したように、本発明の正極活物質を、所定の集電体に塗工した正極は、非水電解質を用いるリチウムイオン2次電池をはじめとする充放電可能な2次電池において、優れた充放電特性を示す正極として用いることができる。今後、更なる改良によって、本発明の化合物系統が本来有するさらに高い理論比容量を目標に充放電容量を向上させる基礎となる。これにより、従来の電子機器用途をはじめ、実用化が始まった産業用途や自動車用途の2次電池に、従来にない高エネルギーや高出力を示す特性を付与することができる。しかも、本発明の微粒子混合物の製造法である噴霧燃焼法は量産性に優れ、低コストで製品を提供できることが可能になる。
なお、上述の実施例においては、遷移金属元素として鉄などを用いたが、本発明の特徴は、噴霧燃焼法により、活物質の前駆体であるナノサイズの微粒子混合物を得て、微粒子混合物を焼成して正極活物質を得る点であるため、鉄以外の他の遷移金属元素を用いても、同様に正極活物質を得ることができると考えられる。つまり、噴霧燃焼法という短時間(数ミリ秒)かつ高温(2000℃前後)において微粒子混合物を得れば、鉄以外の遷移金属を用いても同様にナノサイズの微粒子混合物が得られることは明らかであり、これらの微粒子混合物を焼成すればオリビン型の結晶構造を有する結晶性の正極活物質の粉末が得られることも明らかである。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………焼成装置
3………炭化水素ガス
5………還元性ガス
7………反応管
9………前駆体粒子
11………管状炉
13………焼成装置
15………還元剤含む前駆体粒子
21………微粒子製造装置
22………原料溶液
23………微粒子合成ノズル
25………微粒子回収フィルタ
27………微粒子混合物
29………排気管
31………非水電解質2次電池
33………正極
35………負極
37………セパレータ
39………電解質
41………電池缶
43………正極リード
45………負極リード
47………正極端子
49………封口体

Claims (14)

  1. リチウム、元素M 、シリコンを含む正極活物質前駆体粒子を焼成してLi SiO (元素M は、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Ni、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Zr、Mo、Wの中から選択される1種又は2種以上の元素である。但し、元素M として複数種類の元素を含む場合も、これらの複数元素の合計量は、組成式に示すように、その組成比はSiと等しい化学量論的組成比となる。)を含む正極活物質を製造する方法であって、
    前記正極活物質前駆体粒子を、還元性ガスと、還元性ガスと異なる組成の炭化水素ガスに暴露しながら焼成する工程を具備することを特徴とする正極活物質の製造方法。
  2. リチウム、元素M 、シリコンを含む正極活物質前駆体粒子を焼成してLi SiO (元素M は、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Ni、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Zr、Mo、Wの中から選択される1種又は2種以上の元素である。但し、元素M として複数種類の元素を含む場合も、これらの複数元素の合計量は、組成式に示すように、その組成比はSiと等しい化学量論的組成比となる。)を含む正極活物質を製造する方法であって、
    前記正極活物質前駆体粒子に、還元剤を添加する工程と、
    前記正極活物質前駆体粒子を、炭化水素ガスに暴露しながら焼成することで、還元と炭素被覆を同時に行う工程と、
    を具備することを特徴とする正極活物質の製造方法。
  3. 前記正極活物質前駆体粒子の1次粒子の形状が略球形であり、
    前記正極活物質前駆体粒子の1次粒子の粒径が5nm〜200nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 焼成温度が、600℃〜750℃であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
  5. 前記炭化水素ガスは、メタン、エタン、プロパン、ブタンの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
  6. 前記還元性ガスは、水素、アセチレン、一酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、ホルムアルデヒドの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
  7. 前記還元剤は、ポリビニルアルコール、スクロース、グルコース、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、ヘキシト−ル、脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、アルカノールアミン、メタノール、エチルエーテル、エタノール、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、リン酸トリメチル、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ピリジン、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、エチルアミン、トリエチルアミンの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項2に記載の正極活物質の製造方法。
  8. Li SiO (元素M 、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Ni、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Zr、Mo、Wの中から選択される1種又は2種以上の元素である。但し、元素M としてM 複数種類の元素を含む場合も、これらの複数元素の合計量は、その組成式に示すように、その組成比はSiあるいはP量と等しい化学量論的組成比となる。)を含み、
    1次粒子の平均粒径が100nm以下であり、
    1次粒子の表面全体が炭素によって被覆され
    4MPaの圧力で圧縮した際の粉体導電率が、1.0×10 −3 [S/cm]以上であることを特徴とする正極活物質。
  9. さらに、3.5質量%以上の炭素を含有することを特徴とする請求項に記載の正極活物質。
  10. 請求項8または9に記載の正極活物質を造粒した造粒体を含み、
    前記造粒体の粒径が0.5〜20μmであり、
    前記造粒体の内部に炭素を含有することを特徴とする正極活物質。
  11. 集電体と、
    前記集電体の少なくとも片面に、請求項8〜10のいずれか1項に記載の正極活物質を含む正極活物質層と、
    を有することを特徴とする非水電解質2次電池用正極。
  12. 請求項11に記載の非水電解質2次電池用正極と、
    リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極と、
    前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータとを有し、
    リチウムイオン伝導性を有する電解質中に、前記正極と前記負極と前記セパレータとを設けたことを特徴とする非水電解質2次電池。
  13. 集電体と、
    前記集電体の少なくとも片面に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により製造された正極活物質を含む正極活物質層と、
    を有することを特徴とする非水電解質2次電池用正極の製造方法。
  14. 請求項13に記載の製造方法により製造された非水電解質2次電池用正極と、
    リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極と、
    前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータとを有し、
    リチウムイオン伝導性を有する電解質中に、前記正極と前記負極と前記セパレータとを設けたことを特徴とする非水電解質2次電池の製造方法。
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