以下、本発明に係る電気式回転機械および該電気式回転機械を備えたハイブリッド式建設機械の実施の形態を、ハイブリッド式油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図7は、本発明の第1の実施の形態を示している。図において、1はハイブリッド式建設機械の代表例としてのハイブリッド式油圧ショベル(以下、油圧ショベル1という)を示し、該油圧ショベル1は、後述するアシスト発電モータ25を備えたハイブリッド式の油圧ショベルとして構成されている。ここで、油圧ショベル1の車体は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前部側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4によって土砂の掘削作業等を行うようになっている。
上部旋回体3は、強固な支持構造体をなす旋回フレーム5を有している。旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6が設けられ、旋回フレーム5の前部左側には、運転室を画成するキャブ7が設けられている。
8は旋回フレーム5の右端側に配設された燃料タンクを示している。この燃料タンク8は、後述するエンジン11に供給される燃料を貯溜するものである。9は燃料タンク8の左側に隣接して配設された作動油タンクを示している。この作動油タンク9は、油圧ショベル1に設けられた各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。
10はキャブ7とカウンタウエイト6との間に位置して旋回フレーム5上に配設された外装カバーを示している。この外装カバー10は、エンジンカバー10A、左カバー10B、右カバー10C等により構成され、後述するエンジン11、油圧ポンプユニット16、アシスト発電モータ25等の搭載機器を収容するものである。
次に、11はカウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載されたエンジンで、該エンジン11は、例えばディーゼルエンジンによって構成されている。図4に示すように、エンジン11は出力軸12を有し、該出力軸12が左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。また、エンジン11の出力軸12の先端(図4の左端)には、連結軸13がボルト(図示せず)を用いて固定されている。
連結軸13は、エンジン11の出力軸12の一部を構成するもの、換言すれば、エンジン11の出力軸12と共にシャフトを構成するもので、連結軸13の先端(図4の左端)は、後述するアシスト発電モータ25の回転子36の筒部37A内に外部(外側)から挿通されている。そして、連結軸13の先端の外周側には、回転子36の雌スプライン部39と噛合(スプライン結合)する雄スプライン部13Aが設けられている。
また、連結軸13のうち雄スプライン部13Aよりもエンジン11の出力軸12側には、大径な円板状のフライホイール14が固定されている。そして、出力軸12、連結軸13、フライホイール14は、ハウジング15内に収容され、該ハウジング15には、後述するアシスト発電モータ25のケーシング26が取付けられている。また、連結軸13の外周側のうち雄スプライン部13Aよりも基端側(エンジン11側)で後述する回転子36の円筒面部37A1(図6参照)と対面する部位には、全周に亘って凹溝13Bが設けられている。この凹溝13Bには、後述するOリング51が嵌着されている。
次に、16はエンジン11によって駆動される油圧ポンプユニットを示している。この油圧ポンプユニット16は、後述するアシスト発電モータ25のケーシング26に取付けられ、該アシスト発電モータ25を挟んでエンジン11とは反対側に配置されている。ここで、油圧ポンプユニット16は、図3および図4に示すように、後述のポンプハウジング17と、3基の油圧ポンプ21,22,23とにより大略構成されている。
17は油圧ポンプユニット16の外殻をなすポンプハウジングで、該ポンプハウジング17は、後述の各油圧ポンプ21,22,23が並んで収容され、油圧ポンプ21のポンプ軸21Aが挿通されるポンプ軸挿通孔18Aが形成されたポンプ収容部18と、後述のモータ取付フランジ19とにより構成されている。
19は基端側がポンプ収容部18にボルト18Bを用いて固定されたモータ取付フランジを示し、該モータ取付フランジ19は、図4に示すように、後述の動力伝達歯車21C等が収容される歯車収容部19Aを有している。また、モータ取付フランジ19の先端側には大径な円板状のモータ取付部19Bが設けられ、該モータ取付部19Bは、複数のボルト20を用いて後述するアシスト発電モータ25のケーシング26に取付けられている。また、モータ取付フランジ19の中央部には、後述する油圧ポンプ21のポンプ軸21Aが挿通されるポンプ軸挿通孔19Cが穿設され、該ポンプ軸挿通孔19Cは、歯車収容部19Aに連通している。
21,22,23はポンプハウジング17のポンプ収容部18内に並列に並んで収容された3基の油圧ポンプを示している。これら各油圧ポンプ21,22,23は、例えば可変容量型の斜板式油圧ポンプからなり、中央部に配置された油圧ポンプ21のポンプ軸21Aは、ポンプ収容部18からモータ取付フランジ19の歯車収容部19A内に突出し、さらにポンプ軸挿通孔19Cを通じて後述するアシスト発電モータ25のケーシング26内へと延びている。
ここで、油圧ポンプ21のポンプ軸21Aは、シャフトを構成するもので、ポンプ軸21Aの先端(図4の右端)は、後述するアシスト発電モータ25の回転子36の筒部37B内に外部(外側)から挿通されている。このために、油圧ポンプ21のポンプ軸21Aのうち、モータ取付フランジ19の歯車収容部19A内に配置される中間部位の外周側には、中間雄スプライン部21Bが形成され、該中間雄スプライン部21Bには動力伝達歯車21Cが噛合(スプライン結合)されている。
そして、ポンプ軸21Aの先端の外周側には、回転子36の雌スプライン部39と噛合(スプライン結合)する雄スプライン部21Dが設けられている。また、ポンプ軸21Aの外周側のうち雄スプライン部21Dよりも基端側(油圧ポンプ21側)で回転子36の円筒面部37B1(図6参照)と対面する部位には、全周に亘って凹溝21Eが設けられている。この凹溝21Eには、後述するOリング52が嵌着されている。
図4ないし図6に示すように、油圧ポンプ21のポンプ軸21Aは、回転子36を介してエンジン11の出力軸12に常時接続されている。従って、エンジン11が作動すると、出力軸12の回転がポンプ軸21Aに伝わり、油圧ポンプ21はポンプ軸21Aの回転に応じて作動用の圧油を吐出する。
一方、油圧ポンプ21を挟んで該油圧ポンプ21の両側に配置された他の油圧ポンプ22,23のポンプ軸にも動力伝達歯車(いずれも図示せず)が取付けられ、これら各動力伝達歯車は、モータ取付フランジ19の歯車収容部19A内で動力伝達歯車21Cに常時噛合している。従って、油圧ポンプ22,23は、エンジン11によって油圧ポンプ21と同期して駆動され、各ポンプ軸の回転に応じて作動用の圧油を吐出する。
ポンプ収容部18の外部には、各油圧ポンプ21,22,23の傾転角を制御する3基の傾転アクチュエータ21F,22A,23Aが取付けられ、該各傾転アクチュエータ21F,22A,23Aによって、各油圧ポンプ21,22,23の吐出容量を制御する構成となっている。また、ポンプ収容部18に穿設されたポンプ軸挿通孔18Aの内周側にはオイルシール24が設けられ、該オイルシール24によって、ポンプ収容部18とモータ取付フランジ19の歯車収容部19Aとの間がシールされている。
次に、本実施の形態のアシスト発電モータについて説明する。
25はエンジン11と油圧ポンプユニット16との間に設けられた電気式回転機械としてのアシスト発電モータ(発電電動機)を示している。このアシスト発電モータ25は、エンジン11に駆動されて発電するもの(エンジン11の動力によって発電するもの)で、図4ないし図6に示すように、後述のケーシング26と、固定子35と、回転子36と、雌スプライン部38,39と、軸受47,48と、前述したシャフトとしての連結軸13(出力軸12)およびポンプ軸21Aとにより大略構成されている。
そして、アシスト発電モータ25によって発電した電気エネルギは、パワーコントロールユニットを介して蓄電ユニット(いずれも図示せず)に蓄えられ、蓄電ユニットに蓄えられた電気エネルギは、上部旋回体3の旋回装置やエンジン11を駆動するときの補助動力として用いられる構成となっている。
26はアシスト発電モータ25の外殻をなす中空なケーシングを示し、該ケーシング26は、一端側がエンジン11のハウジング15に取付けられ、他端側が油圧ポンプユニット16のモータ取付フランジ19に取付けられるものである。この場合、エンジン11とアシスト発電モータ25と油圧ポンプユニット16とは、同軸方向に配置される構成となっている。
そして、ケーシング26は、内周面に後述する固定子35が取付けられた円筒状のケーシング本体27と、ケーシング本体27のエンジン11側の端部を施蓋するエンジン側ブラケット28と、ケーシング本体27の油圧ポンプユニット16側の端部を施蓋するポンプ側ブラケット29とにより構成されている。また、ケーシング26には、後述するケーシング側油路31,32と、潤滑油流出油路55とが設けられている。
ここで、ケーシング本体27の一端側には、大径な環状のエンジン側鍔部27Aが設けられ、該エンジン側鍔部27Aは、複数のボルト30を用いてエンジン11のハウジング15に取付けられている。また、ケーシング本体27の一端側の端面には、エンジン側鍔部27Aよりも小径で環状に窪んだブラケット嵌合凹部27Bが形成されている。
ケーシング本体27の他端側には、エンジン側鍔部27Aよりも外径寸法が小さい環状のポンプ側鍔部27Cが設けられ、該ポンプ側鍔部27Cには、油圧ポンプユニット16のモータ取付フランジ19に設けられたモータ取付部19Bが、複数のボルト20を用いて取付けられている。また、ポンプ側鍔部27Cの内側には、当該ポンプ側鍔部27Cの端面から環状に窪んだブラケット嵌合凹部27Dが形成されている。
28はケーシング本体27の一端側(エンジン11側で、図4ないし図6の右端側)を施蓋するエンジン側ブラケットを示している。このエンジン側ブラケット28は、ケーシング本体27のブラケット嵌合凹部27Bに嵌合する円板状のフランジ部28Aと、該フランジ部28Aの中心部に設けられケーシング本体27内に向けて突出した山形状のボス部28Bとにより構成されている。
ここで、ボス部28Bの中心部には、後述する回転子36の中空軸部37の一端側(筒部37A)が挿通される中空軸部挿通孔28Cが穿設され、ボス部28Bの突出端部には、後述の軸受47が取付けられる軸受取付部28Dが設けられている。そして、エンジン側ブラケット28のフランジ部28Aを、ケーシング本体27のブラケット嵌合凹部27Bに嵌合させ、ボルト等(図示せず)を用いて固定することにより、ケーシング本体27の一端側が施蓋されている。
29はケーシング本体27の他端側(油圧ポンプユニット16側で、図4ないし図6の左端側)を施蓋するポンプ側ブラケットを示している。このポンプ側ブラケット29は、ケーシング本体27のブラケット嵌合凹部27Dに嵌合する円板状のフランジ部29Aと、該フランジ部29Aの中心部に設けられケーシング本体27内に向けて突出した山形状のボス部29Bとにより構成されている。
ここで、ボス部29Bの中心部には、後述する回転子36の中空軸部37の他端側(筒部37B)が挿通される中空軸部挿通孔29Cが穿設され、ボス部29Bの突出端部には、後述の軸受48が取付けられる軸受取付部29Dが形成されている。そして、ポンプ側ブラケット29のフランジ部29Aを、ケーシング本体27のブラケット嵌合凹部27Dに嵌合させた状態で、油圧ポンプユニット16のモータ取付フランジ19を、ボルト20を用いてケーシング本体27のポンプ側鍔部27Cに取付けることにより、モータ取付フランジ19とケーシング本体27との間でポンプ側ブラケット29が挟持され、ケーシング本体27の他端側が施蓋されている。
31,32はケーシング26に設けられた一側のケーシング側油路と他側のケーシング側油路で、これらケーシング側油路31,32は、後述する回転子36の筒部37A,37Bの外周面37A2,37B2に向けて潤滑油が流通するものである。即ち、ケーシング側油路31,32は、ケーシング26の軸方向両側にそれぞれ設けられ、このうちの一側のケーシング側油路31は、ケーシング26の外部から回転子36の一端側の外周面となる筒部37Aの外周面37A2に向けて潤滑油が流通するものである。一方、他側のケーシング側油路32は、ケーシング26の外部から回転子36の他端側の外周面となる筒部37Bの外周面37B2に向けて潤滑油が流通するものである。
ここで、一側のケーシング側油路31は、ケーシング本体27に設けられた本体側ケーシング側油路31Aと、エンジン側ブラケット28に設けられたブラケット側ケーシング側油路31Bとにより構成されている。図5に示すように、本体側ケーシング側油路31Aは、ケーシング本体27の外周面のうち、アシスト発電モータ25を油圧ショベル1に搭載した状態で鉛直方向の上側となる部位から径方向(上,下方向)に延びる径方向油路31A1と、該径方向油路31A1の下流側に位置してケーシング本体27の軸方向(横方向)に延びると共に下流端がブラケット側ケーシング側油路31Bに接続される軸方向油路31A2とにより構成されている。
また、ブラケット側ケーシング側油路31Bは、エンジン側ブラケット28のうちケーシング本体27の軸方向油路31A2の下流端と対応する位置に設けられエンジン側ブラケット28の軸方向(横方向)に延びる軸方向油路31B1と、上流側が軸方向油路31B1の下流端側に接続すると共にエンジン側ブラケット28の径方向(上,下方向)に延び、下流端が後述する一側のケーシング側凹溝53に接続される径方向油路31B2とにより構成されている。
また、径方向油路31B2の途中部位には、後述する固定子35の一端面(図4ないし図5の右端面)に向けて潤滑油を供給する固定子冷却用油路31B3が接続して設けられている。この固定子冷却用油路31B3は、エンジン側ブラケット28の軸方向(横方向)に延び、その下流端の開口は、円環状(円輪板状)のリング部材33を介して固定子35の一端面に対向している。ここで、エンジン側ブラケット28のうち固定子35と対向する側面で固定子冷却用油路31B3の下流端に対応する位置には、エンジン側ブラケット28の周方向に延びる周溝31B4が、例えば半周ないし全周に亘って設けられている。
そして、周溝31B4は、リング部材33により塞がれ、該リング部材33には、該リング部材33の軸方向に貫通する複数の潤滑油噴射口33A(図4ないし図5に1個のみ図示)が周方向に並んで設けられている。これにより、固定子35の冷却を該固定子35の上側から行うことができる。
一方、他側のケーシング側油路32は、ケーシング本体27に設けられた本体側ケーシング側油路32Aと、ポンプ側ブラケット29に設けられたブラケット側ケーシング側油路32Bとにより構成されている。図5に示すように、本体側ケーシング側油路32Aは、ケーシング本体27の外周面のうちアシスト発電モータ25を油圧ショベル1に搭載した状態で鉛直方向の上側となる部位から径方向(上,下方向)に延びる径方向油路32A1と、該径方向油路32A1の下流側に位置してケーシング本体27の軸方向(横方向)に延びると共に下流端がブラケット側ケーシング側油路32Bに接続される軸方向油路32A2とにより構成されている。
また、ブラケット側ケーシング側油路32Bは、ポンプ側ブラケット29のうちケーシング本体27の軸方向油路32A2の下流端と対応する位置に設けられポンプ側ブラケット29の軸方向(横方向)に延びる軸方向油路32B1と、上流側が軸方向油路32B1の下流端側に接続すると共にポンプ側ブラケット29の径方向(上,下方向)に延び、下流端が後述する他側のケーシング側凹溝54に接続される径方向油路32B2とにより構成されている。
また、径方向油路32B2の途中部位には、後述する固定子35の他端面(図4ないし図5の左端面)に向けて潤滑油を供給する固定子冷却用油路32B3が接続して設けられている。この固定子冷却用油路32B3は、ポンプ側ブラケット29の軸方向(横方向)に延び、その下流端の開口は、円環状(円輪板状)のリング部材34を介して固定子35の他端面に対向している。ここで、ポンプ側ブラケット29のうち固定子35と対向する側面で固定子冷却用油路32B3の下流端に対応する位置には、ポンプ側ブラケット29の周方向に延びる周溝32B4が、例えば半周ないし全周に亘って設けられている。
そして、周溝32B4は、リング部材34により塞がれ、該リング部材34には、該リング部材34の軸方向に貫通する複数の潤滑油噴射口34A(図4ないし図5に1個のみ図示)が周方向に並んで設けられている。これにより、固定子35の冷却を該固定子35の上側から行うことができる。
35はケーシング26の内周側に設けられた固定子を示している。該固定子35は、固定子コア35Aと、固定子コイル35Bとにより構成されている。固定子コア35Aは、磁性材料を用いて円筒状に形成され、固定子コア35Aの外周側は、ケーシング26のケーシング本体27の内周面に固定されている。一方、固定子コア35Aの内周側には、径方向内側に向けて突出する複数の突起部が、周方向に一定の間隔をもって全周に亘って設けられている。そして、固定子コア35Aの各突起部には、それぞれ固定子コイル35Bが巻回されている。
36はケーシング26内に配置された回転子を示している。該回転子36は、後述する中空軸部37と、鍔部40と、支持筒部41と、回転子コア42とにより大略構成され、このうちの中空軸部37と鍔部40と支持筒部41とは、一体に形成されている。
37は回転子36の回転軸線O−Oを通って筒状に形成された中空軸部で、該中空軸部37の回転軸線O−Oの両端には、それぞれ筒部37A,37Bが設けられている。即ち、筒部37A,37Bは、中空軸部37の中間部37Cを挟んで軸方向の両側に突出している。そして、これら各筒部37A,37Bのうち、エンジン11側となる軸方向の一側の筒部37Aは、エンジン側ブラケット28の中空軸部挿通孔28Cに挿通されている。そして、筒部37Aの内周面側には、一側(エンジン11側)から順に円筒面部37A1と後述する雌スプライン部38とが設けられている。また、筒部37Aの外周面37A2とケーシング26の軸受取付部28Dとの間には、後述する軸受47が設けられている。
一方、各筒部37A,37Bのうち、油圧ポンプ21側となる軸方向の他側の筒部37Bは、ポンプ側ブラケット29の中空軸部挿通孔29Cに挿通されている。そして、筒部37Bの内周側には、他側(油圧ポンプ21側)から順に円筒面部37B1と後述する雌スプライン部39とが設けられている。また、筒部37Bの外周面37B2とケーシング26の軸受取付部29Dとの間には、後述する軸受48が設けられている。さらに、各筒部37A,37Bには、後述する回転子側油路43,44が設けられている。
38,39は回転子36の中空軸部37の軸方向の両側であって筒部37A,37Bの内周面に設けられた雌スプライン部を示している。これら各雌スプライン部38,39のうち、一側となるエンジン11側に設けられた一側雌スプライン部38には、エンジン11の出力軸12の先端に固定された連結軸13の雄スプライン部13Aが噛合(スプライン結合)されている。一方、各雌スプライン部38,39のうち、他側となる油圧ポンプ21側に設けられた他側雌スプライン部39には、油圧ポンプ21のポンプ軸21Aの雄スプライン部21Dが噛合(スプライン結合)されている。
これにより、それぞれがシャフトとしての連結軸13(エンジン11の出力軸12)と油圧ポンプ21のポンプ軸21Aとは、回転子36内に該回転子36の軸方向両側から各雌スプライン部38,39にそれぞれ挿通されている。従って、エンジン11の出力軸12と、油圧ポンプユニット16を構成する油圧ポンプ21のポンプ軸21Aと、アシスト発電モータ25の回転子36とは、同一軸線上に連結され、出力軸12が回転することにより、油圧ポンプ21のポンプ軸21Aとアシスト発電モータ25の回転子36とが同期して回転する構成となっている。
40は中空軸部37の軸方向中央部位、即ち、中空軸部37のうち筒部37Aと筒部37Bとの間部分となる中間部37Cから径方向外側に向けて延びる鍔部を示している。該鍔部40は、中空軸部37と後述する支持筒部41とを連結するもので、中空軸部37の中間部37Cに一体的に結合されている。そして、中空軸部37の中間部37Cと鍔部40とには、後述する鍔部側油路45が設けられている。
41は鍔部40の外周縁に設けられた円筒状の支持筒部を示している。該支持筒部41の外周側には、後述する回転子コア42が取付けられる。
42は中空軸部37よりも径方向外側で固定子35と電磁結合するコアとしての回転子コアを示している。該回転子コア42は、例えば磁性材料を用いて厚肉な円筒状に形成され、支持筒部41に取付けられている。そして、回転子コア42内には、周方向に一定の間隔をもって複数の永久磁石が埋設されている。固定子35の固定子コイル35Bに通電することにより、該固定子コイル35Bと回転子コア42が電磁結合して、回転子36が回転される。
43,44は回転子36の筒部37A,37Bに貫通して設けられた一側の回転子側油路と他側の回転子側油路を示している。これら回転子側油路43,44は、筒部37A,37Bの外周面37A2,37B2から雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部に向けて潤滑油が流通するものである。即ち、回転子側油路43,44は、回転子36の軸方向両側にそれぞれ設けられ、このうちの一側の回転子側油路43は、回転子36の一端側の外周面となる筒部37Aの外周面37A2から一側雌スプライン部38と連結軸13の雄スプライン部13Aとの噛合部に向けて、一側のケーシング側油路31から流出した潤滑油を流通させるものである。この場合、潤滑油は、後述するように一側のケーシング側油路31から一側のケーシング側凹溝53を介して一側の回転子側油路43に流通する。
一方、他側の回転子側油路44は、回転子36の他端側の外周面となる筒部37Bの外周面37B2から他側雌スプライン部39とポンプ軸21Aの雄スプライン部21Dとの噛合部に向けて、他側のケーシング側油路32から流出した潤滑油を流通させるものである。この場合、潤滑油は、後述するように他側のケーシング側油路32から他側のケーシング側凹溝54を介して他側の回転子側油路44に流通する。
ここで、一側の回転子側油路43は、例えば、筒部37Aの周方向に45度ずつ離間した合計8箇所位置に、該筒部37Aの外周面37A2と内周面(一側雌スプライン部38)との間を貫通するように径方向に延びて設けられている(図7参照)。また、他側の回転子側油路44も、例えば、筒部37Bの周方向に45度ずつ離間した合計8箇所位置に、該筒部37Bの外周面37A2と内周面(他側雌スプライン部39)との間を貫通するように径方向に延びて設けられている。
これにより、ケーシング26に対して回転子36が回転しても、ケーシング側油路31,32から回転子36の筒部37A,37Bの外周面37A2,37B2に向けて流れる潤滑油を、8本の一側の回転子側油路43と8本の他側の回転子側油路44とを通じて、それぞれ雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部に流通させることができる。
なお、本実施の形態の場合は、回転子側油路43,44をそれぞれ8本ずつ設ける構成としているが、例えば筒部37A,37Bの周方向に90度ずつ離間してそれぞれ4本ずつ設ける構成としてもよい。また、例えば、雌スプライン部38,39のスプライン歯(スプライン溝)の数と同じ本数設け、回転子側油路43,44の下流端が、雌スプライン部38,39の全てのスプライン歯の歯先面(またはスプライン溝の歯底面)に開口するように構成してもよい。この場合、回転子側油路43,44は、設ける本数を多くするほど、雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部に流通する潤滑油の量を増大できるが、その分、回転子36の筒部37A,37Bの強度の低下を招く虞がある。そこで、回転子側油路43,44は、潤滑および冷却の確保と回転子36の強度の確保とを両立できる範囲内で、適切な本数に設定する。
45は回転子36の中空軸部37の中間部37Cから鍔部40に亘って設けられた鍔部側油路を示している。該鍔部側油路45は、雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部から軸受47,48に向けて潤滑油が流通するものである。鍔部側油路45は、回転子36の周方向に180度離間した2箇所位置にそれぞれ設けられている。
ここで、図5および図6に示すように、鍔部側油路45は、回転子36の中空軸部37の中間部37Cから鍔部40に亘って設けられ径方向に延びる径方向油路45Aと、該径方向油路45Aの途中部位(下流側)に接続されると共に一側(エンジン11側)の軸受47に向けて軸方向(横方向)に延びる一側軸方向油路45Bと、径方向油路45Aの途中部位(下流側)に接続されると共に他側(油圧ポンプ21側)の軸受48に向けて軸方向(横方向)に延びる他側軸方向油路45Cとを含んで構成されている。この場合、鍔部40の軸方向(横方向)に貫通して一側軸方向油路45Bと他側軸方向油路45Cとが設けられている。そして、径方向油路45Aのうち鍔部40の外周縁側の開口は、プラグ46により塞がれている。
雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部から中空軸部37の軸方向中央部に向けて流れた潤滑油は、回転子36の回転に伴う遠心力により中空軸部37の中間部37Cの内側から鍔部側油路45の径方向油路45A内を径方向外側に向けて流れる。そして、径方向油路45A内から他側軸方向油路45Cに流れた潤滑油は、該他側軸方向油路45Cの下流端から軸受47,48に向かって噴出する。これにより、軸受47,48の潤滑を安定して行うことができる。
なお、本実施の形態の場合は、鍔部側油路45を回転子36の周方向に180度離間して2本設ける構成としているが、例えば周方向に90度ずつ離間して4本設ける構成としてもよい。即ち、鍔部側油路45の本数も、回転子側油路43,44と同様に、潤滑および冷却の確保、回転子36の強度の確保等を勘案し、適切に設定する。
47はエンジン側ブラケット28の軸受取付部28Dに取付けられた軸受を示し、48はポンプ側ブラケット29の軸受取付部29Dに取付けられた軸受を示している。これら2個の軸受47,48は、何れも、転動体として玉(ボール)を用いた転がり軸受(玉軸受)として構成されている。そして、軸受47と軸受48は、互いに軸方向に間隔をもって筒部37A,37Bの外周面37A2,37B2とケーシング26との間に設けられ、回転子36をケーシング26に対して回転可能に支持するものである。
即ち、軸受47,48は、ケーシング26と回転子36の中空軸部37の外周面37A2,37B2との間に位置して該回転子36の軸方向の両側にそれぞれ設けられている。そして、各軸受47,48の潤滑および冷却は、一側のケーシング側油路31、一側の回転子側油路43、一側雌スプライン部38と雄スプライン部13Aとの噛合部、鍔部側油路45を介して供給される潤滑油と、他側のケーシング側油路32、他側の回転子側油路44、他側雌スプライン部39と雄スプライン部21Dとの噛合部、鍔部側油路45を介して供給される潤滑油とにより、2系統の潤滑油径路を通じて行う構成となっている。
次に、49,50は回転子36の筒部37A,37Bとケーシング26との間に設けられた一側オイルシールと他側オイルシールとを示している。これらオイルシール49,50は、ケーシング26と回転子36の筒部37A,37Bとの間を液密にシールするものである。即ち、オイルシール49,50のうち一側となるエンジン11側に位置する一側オイルシール49は、回転子36の筒部37Aの外周面37A2とエンジン側ブラケット28の中空軸部挿通孔28Cの内周面との間に設けられている。この場合、一側オイルシール49は、軸受47との間で一側のケーシング側油路31を挟んでいる。
一方、オイルシール49,50のうち他側となる油圧ポンプ21側に位置する他側オイルシール50は、回転子36の筒部37Bの外周面37B2とポンプ側ブラケット29の中空軸部挿通孔29Cの内周面との間に設けられている。この場合、他側オイルシール50は、軸受48との間で他側のケーシング側油路32を挟んでいる。
オイルシール49,50は、何れも、回転子36の筒部37A,37Bの外周面37A2,37B2に摺接するシールリップを有しゴムの如きエラストマー等により形成される円環状の弾性部材と、ステンレス等の金属材料により形成され弾性部材を補強する円環状の芯金とにより大略構成されている。
そして、一側オイルシール49により、回転子36の筒部37Aとケーシング26との間から潤滑油が流出する(漏れる)こと、より具体的には、一側のケーシング側油路31から一側の回転子側油路43に向けて流れる潤滑油がケーシング26と回転子36との間を通じて外部に流出することを抑制(防止)することができる。
また、他側オイルシール50により、回転子36の筒部37Bとケーシング26との間から潤滑油が流出する(漏れる)こと、より具体的には、他側のケーシング側油路32から他側の回転子側油路44に向けて流れる潤滑油がケーシング26と回転子36との間を通じて外部に流出することを抑制(防止)することができる。
51は回転子36の筒部37Aの内周面であって一側雌スプライン部38よりも軸方向の外側位置と連結軸13の外周面との間に設けられた一側Oリングを示している。一方、52は回転子36の筒部37Bの内周面であって他側雌スプライン部39よりも軸方向の外側位置とポンプ軸21Aの外周面との間に設けられた他側Oリングを示している。これらOリング51,52は、回転子36と連結軸13またはポンプ軸21Aとの間を液密にシールするものである。
ここで、Oリング51,52は、何れも、ゴムの如きエラストマー等を円環状に形成してなる弾性部材からなるもので、一側Oリング51は、連結軸13の凹溝13Bに取付けられ、他側Oリング52は、ポンプ軸21Aの凹溝21Eに取付けられている。そして、一側Oリング51により、回転子36の筒部37Aと連結軸13の外周面との間から潤滑油が流出する(漏れる)こと、より具体的には、一側の回転子側油路43から一側雌スプライン部38と雄スプライン部13Aとの噛合部に向けて流れる潤滑油が、回転子36と連結軸13との間を通じて外部に流出することを抑制(防止)することができる。
また、他側Oリング52により、回転子36の筒部37Bとポンプ軸21Aの外周面との間から潤滑油が流出する(漏れる)こと、より具体的には、他側の回転子側油路44から他側雌スプライン部39と雄スプライン部21Dとの噛合部に向けて流れる潤滑油が、回転子36とポンプ軸21Aとの間を通じて外部に流出することを抑制(防止)することができる。
53は一側のケーシング側油路31と一側の回転子側油路43との間に設けられた環状油路としての一側のケーシング側凹溝を示している。該一側のケーシング側凹溝53は、一側のケーシング側油路31と一側の回転子側油路43との間で、潤滑油を筒部37Aの外周面37A2の全周に導くものである。
このために、図6および図7に示すように、一側のケーシング側凹溝53は、一側のケーシング側油路31の下流端開口、即ち、径方向油路31B2の下流側の開口位置に、ケーシング26の全周に亘って凹陥して設けられている。この場合、一側のケーシング側凹溝53は、一側の回転子側油路43の上流側の開口の全てと対向するように環状に形成され、その径方向寸法は、例えば1mmから2mm程度に設定されている。これにより、一側のケーシング側油路31と一側の回転子側油路43とは、一側のケーシング側凹溝53を介して常時連通する構成となっている。
即ち、回転子36の回転に伴って、一側のケーシング側油路31の開口が一側の回転子側油路43の開口のいずれとも径方向に対面しない位置関係となったときでも、潤滑油は一側のケーシング側油路31から一側のケーシング側凹溝53を介して一側の回転子側油路43に流出することができる。この結果、一側の回転子側油路43から一側雌スプライン部38と雄スプライン部13Aとの噛合部に潤滑油を一定的(非断続的)に供給することができる。
54は他側のケーシング側油路32と他側の回転子側油路44との間に設けられた環状油路としての他側のケーシング側凹溝を示している。該他側のケーシング側凹溝54は、他側のケーシング側油路32と他側の回転子側油路44との間で、潤滑油を筒部37Bの外周面37B2の全周に導くものである。
このために、他側のケーシング側凹溝54は、他側のケーシング側油路32の下流端開口、即ち、径方向油路32B2の下流側の開口位置に、ケーシング26の全周に亘って凹陥して設けられている。この場合、他側のケーシング側凹溝54は、他側の回転子側油路44の上流側の開口の全てと対向するように環状に形成され、その径方向寸法は、例えば1mmから2mm程度に設定されている。これにより、他側のケーシング側油路32と他側の回転子側油路44とは、他側のケーシング側凹溝54を介して常時連通する構成となっている。
即ち、回転子36の回転に伴って、他側のケーシング側油路32の開口が他側の回転子側油路44の開口のいずれとも径方向に対面しない位置関係となったときでも、潤滑油は他側のケーシング側油路32から他側のケーシング側凹溝54を介して他側の回転子側油路44に流出することができる。この結果、他側の回転子側油路44から他側雌スプライン部39と雄スプライン部21Dとの噛合部に潤滑油を一定的(非断続的)に供給することができる構成となっている。
55はケーシング26内の潤滑油を外部に流出する潤滑油流出油路を示している。該潤滑油流出油路55は、例えばケーシング本体27の下部に設けられている。そして、潤滑油流出油路55は、後述する戻り管路59に接続されている。
56はケーシング26内に向けて冷却および潤滑用の潤滑油を吐出するための潤滑ポンプを示し、57は潤滑油を冷却するオイルクーラを示している。潤滑ポンプ56から吐出した圧油は、吐出管路58を通じてオイルクーラ57に送られ、該オイルクーラ57で冷却されてから、一側のケーシング側油路31および他側のケーシング側油路32に導入される。
一側のケーシング側油路31に導入された潤滑油は、該一側のケーシング側油路31、一側のケーシング側凹溝53、一側の回転子側油路43、一側雌スプライン部38と雄スプライン部13Aとの噛合部、鍔部側油路45を介して軸受47,48に供給される。他側のケーシング側油路32に導入された潤滑油は、該他側のケーシング側油路32、他側のケーシング側凹溝54、他側の回転子側油路44、他側雌スプライン部39と雄スプライン部21Dとの噛合部、鍔部側油路45を介して軸受47,48に供給される。これにより、2系統の油圧径路を通じて軸受47,48の潤滑と冷却とが行われる。
また、一側のケーシング側油路31に導入された潤滑油は、該一側のケーシング側油路31の固定子冷却用油路31B3、周溝31B4、リング部材33の潤滑油噴射口33Aを介して、固定子35の一端面に向けて噴射(噴出)される。他側のケーシング側油路32に導入された潤滑油は、該他側のケーシング側油路32の固定子冷却用油路32B3、周溝32B4、リング部材34の潤滑油噴射口34Aを介して、固定子35の他端面に向けて噴射(噴出)される。これにより、2系統の油圧径路を通じて固定子35の冷却が行われる。
軸受47,48に供給された潤滑油および固定子35に向けて噴出した潤滑油は、ケーシング26の下側に溜まると共に、該ケーシング26の下側に設けられた潤滑油流出油路55から戻り管路59を通じて潤滑ポンプ56に還流する。これにより、回転子36の一側雌スプライン部38と雄スプライン部13Aとの噛合部の潤滑、および回転子36の他側雌スプライン部39と雄スプライン部21Dとの噛合部の潤滑、軸受47,48の潤滑と固定子35の冷却とを安定して行うことができる。
なお、60(図4参照)はモータ取付フランジ19に穿設したポンプ軸挿通孔19Cの内周側に設けられたポンプ軸側オイルシールを示している。ポンプ軸側オイルシール60は、歯車収容部19A内の潤滑油が外部(アシスト発電モータ25側)に流出するのを阻止するものである。
本実施の形態によるハイブリッド式油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、油圧ショベル1のエンジン11が作動すると、エンジン11の出力軸12の回転が、アシスト発電モータ25の回転子36を介して油圧ポンプ21のポンプ軸21Aに伝達される。このポンプ軸21Aの回転は、動力伝達歯車21Cを介して他の油圧ポンプ22,23のポンプ軸(図示せず)にも伝達され、これら各油圧ポンプ21,22,23から油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油が吐出することにより、油圧ショベル1は走行動作、旋回動作、掘削作業等を行う。
この場合、アシスト発電モータ25の回転子36がエンジン11によって回転駆動され、この回転子36(回転子コア42)が固定子35の内周側で回転することにより、アシスト発電モータ25は電気エネルギを発生する。この電気エネルギは、固定子35に接続されたケーブル等を介して蓄電ユニット(いすれも図示せず)に蓄えられる。
そして、蓄電ユニットに蓄えられた電気エネルギは、パワーコントロールユニット(図示せず)による制御に基づいて、上部旋回体3の旋回装置に設けられた電動モータ(いずれも図示せず)やアシスト発電モータ25に供給され、旋回装置やエンジン11を駆動するときの補助動力として用いられる。
このとき、アシスト発電モータ25の一側雌スプライン部38と雄スプライン部13Aとの噛合部、他側雌スプライン部39と雄スプライン部21Dとの噛合部、軸受47,48は、潤滑ポンプ56を通じて供給される潤滑油により常に潤滑および/または冷却することができる。これにより、各噛合部と軸受47,48の摩耗、温度上昇を抑え、その耐久性を高めることができる。この結果、エンジン11、油圧ポンプユニット16、アシスト発電モータ25を含む油圧ショベル1の耐久性、安定性、信頼性を高めることができる。
この場合、本実施の形態では、ケーシング側油路31,32と回転子側油路43,44との間に、ケーシング側凹溝53,54を設ける構成としているので、ケーシング側油路31,32と回転子側油路43,44とを、ケーシング側凹溝53,54を介して常時連通させることができる。
これにより、ケーシング側油路31,32と回転子側油路43,44とが、対面していない場合でも、圧力損失の増加を抑制することができ、雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部に一定して潤滑油を供給することができる。この結果、雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部の潤滑を安定して行うことができ、該噛合部の耐久性、延いては、アシスト発電モータ25の耐久性、安定性、信頼性を向上することができる。
また、ケーシング側凹溝53,54は、ケーシング側油路31,32の開口位置に凹陥して設けられている。これにより、凹溝を形成するという容易な加工で環状油路を形成することができる。
次に、図8および図9は、本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、回転子側に環状油路としての中空軸部側凹溝を設けた構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
61は一側のケーシング側油路31と一側の回転子側油路43との間に設けられた環状油路としての一側の中空軸部側凹溝を示している。該一側の中空軸部側凹溝61は、一側のケーシング側油路31と一側の回転子側油路43との間で、潤滑油を筒部37Aの外周面37A2の全周に導くものである。
このために、図8および図9に示すように、一側の中空軸部側凹溝61は、一側の回転子側油路43の上流端開口位置に筒部37Aの全周に亘って凹陥して設けられている。この場合、一側の中空軸部側凹溝61は、一側の回転子側油路43の上流端開口をそれぞれ接続するように環状に形成され、その径方向寸法は、例えば1mmから2mm程度に設定されている。これにより、一側のケーシング側油路31と一側の回転子側油路43とは、一側の中空軸部側凹溝61を介して常時連通する構成となっている。
即ち、回転子36の回転に伴って、一側のケーシング側油路31の開口が一側の回転子側油路43の開口のいずれとも径方向に対面しない位置関係となったときでも、潤滑油は一側のケーシング側油路31から一側の中空軸部側凹溝61を介して一側の回転子側油路43に流出することができる。この結果、一側の回転子側油路43から一側雌スプライン部38と雄スプライン部13Aとの噛合部に潤滑油を一定的(非断続的)に供給することができる。
62は他側のケーシング側油路32と他側の回転子側油路44との間に設けられた環状油路としての他側の中空軸部側凹溝を示している。該他側の中空軸部側凹溝62は、他側のケーシング側油路32と他側の回転子側油路44との間で、潤滑油を筒部37Bの外周面37B2の全周に導くものである。
このために、他側の中空軸部側凹溝62は、他側の回転子側油路44の上流端開口位置に筒部37Bの全周に亘って凹陥して設けられている。この場合、他側の中空軸部側凹溝62は、他側の回転子側油路44の上流端開口をそれぞれ接続するように環状に形成され、その径方向寸法は、例えば1mmから2mm程度に設定されている。これにより、他側のケーシング側油路32と他側の回転子側油路44とは、他側の中空軸部側凹溝62を介して常時連通する構成となっている。
即ち、回転子36の回転に伴って、他側のケーシング側油路32の開口が他側の回転子側油路44の開口のいずれとも径方向に対面しない位置関係となったときでも、潤滑油は他側のケーシング側油路32から他側の中空軸部側凹溝62を介して他側の回転子側油路44に流出することができる。この結果、他側の回転子側油路44から他側雌スプライン部39と雄スプライン部21Dとの噛合部に潤滑油を一定的(非断続的)に供給することができる。
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、ケーシング側油路31,32と回転子側油路43,44とを、中空軸部側凹溝61,62を介して常時連通することができる。
これにより、ケーシング側油路31,32と回転子側油路43,44とが、対面していない場合でも、圧力損失の増加を抑制することができ、雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部に一定に潤滑油を供給することができる。この結果、雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部の潤滑を安定して行うことができ、該噛合部の耐久性、延いては、アシスト発電モータ25の耐久性、安定性、信頼性を向上することができる。
特に、中空軸部側凹溝61,62は、筒部37A,37Bの外周面37A2,37B2の全周に亘って形成しているので、例えば旋削加工により容易に形成することができ、作業性を向上させ、コストを低減することができる。
次に、図10は、本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、回転子の外周面とケーシングの内周面との間に全周に亘って環状油路としての環状空間を形成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
71は一側のケーシング側油路31の開口位置と一側の回転子側油路43の開口位置との間で全周に亘って形成された環状油路としての一側の環状空間を示している。該一側の環状空間71は、ケーシング26と筒部37Aとを組付けたときに、一側のケーシング側油路31と一側の回転子側油路43との間で環状に形成されるものである。
そして、一側の環状空間71は、軸方向(水平方向)の一側が回転子36の筒部37Aの外周面37A2とエンジン側ブラケット28の中空軸部挿通孔28Cの内周面との間に設けられた一側オイルシール49によって仕切られ、軸方向(水平方向)の他側が後述の一側シール部材73によって仕切られている。
一側の環状空間71は、一側のケーシング側油路31と一側の回転子側油路43との間で、潤滑油を筒部37Aの外周面37A2の全周に導くものである。このために、一側の環状空間71は、一側のケーシング側油路31の下流端開口、即ち、径方向油路31B2の下流側の開口位置と一側の回転子側油路43の上流側の開口位置との間にケーシング26(筒部37A)の全周に亘って設けられている。この場合、一側の環状空間71は、一側の回転子側油路43の上流側の開口の全てと対向するように環状に形成され、その径方向寸法は、例えば1mmから2mm程度に設定されている。これにより、一側のケーシング側油路31と一側の回転子側油路43とは、一側の環状空間71を介して常時連通する構成となっている。
即ち、回転子36の回転に伴って、一側のケーシング側油路31の開口が一側の回転子側油路43の開口のいずれとも径方向に対面しない位置関係となったときでも、潤滑油は一側のケーシング側油路31から一側の環状空間71を介して一側の回転子側油路43に流出することができる。この結果、一側の回転子側油路43から一側雌スプライン部38と雄スプライン部13Aとの噛合部に潤滑油を一定的(非断続的)に供給することができる。
72は他側のケーシング側油路32の開口位置と他側の回転子側油路44の開口位置との間で全周に亘って形成された環状油路としての他側の環状空間を示している。該他側の環状空間72は、ケーシング26と筒部37Bとを組付けたときに、他側のケーシング側油路32と他側の回転子側油路44との間で環状に形成されるものである。
そして、他側の環状空間72は、軸方向(水平方向)の一側が回転子36の筒部37Bの外周面37B2とポンプ側ブラケット29の中空軸部挿通孔29Cの内周面との間に設けられた他側オイルシール50によって仕切られ、軸方向(水平方向)の他側が後述の他側シール部材74によって仕切られている。
他側の環状空間72は、他側のケーシング側油路32と他側の回転子側油路44との間で、潤滑油を筒部37Bの外周面37B2の全周に導くものである。このために、他側の環状空間72は、他側のケーシング側油路32の下流端開口、即ち、径方向油路32B2の下流側の開口位置と他側の回転子側油路44の上流側の開口位置との間にケーシング26(筒部37B)の全周に亘って設けられている。この場合、他側の環状空間72は、他側の回転子側油路44の上流側の開口の全てと対向するように環状に形成され、その径方向寸法は、例えば1mmから2mm程度に設定されている。これにより、他側のケーシング側油路32と他側の回転子側油路44とは、他側の環状空間72を介して常時連通する構成となっている。
即ち、回転子36の回転に伴って、他側のケーシング側油路32の開口が他側の回転子側油路44の開口のいずれとも径方向に対面しない位置関係となったときでも、潤滑油は他側のケーシング側油路32から他側の環状空間72を介して他側の回転子側油路44に流出することができる。この結果、他側の回転子側油路44から他側雌スプライン部39と雄スプライン部21Dとの噛合部に潤滑油を一定的(非断続的)に供給することができる。
73はケーシング26の内周面と筒部37Aの外周面37A2との間に設けられた一側シール部材を示し、74はケーシング26の内周面と筒部37Bの外周面37B2との間に設けられた他側シール部材を示している。該シール部材73,74は、例えばゴムの如きエラストマー等を円環状に形成してなる弾性部材(例えば、Oリング)からなる。そして、一側シール部材73は、一側の環状空間71内の潤滑油が軸受47に向けて漏出するのを阻止するものであり、他側シール部材74は、他側の環状空間72内の潤滑油が軸受48に向けて漏出するのを阻止するものである。
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、ケーシング側油路31,32と回転子側油路43,44とを、環状空間71,72を介して常時連通することができる。
これにより、ケーシング側油路31,32と回転子側油路43,44とが、対面していない場合でも、圧力損失の増加を抑制することができ、雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部に一定に潤滑油を供給することができる。この結果、雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部の潤滑を安定して行うことができ、該噛合部の耐久性、延いては、アシスト発電モータ25の耐久性、安定性、信頼性を向上することができる。
この場合、環状油路は、ケーシング側油路31,32の開口位置と回転子側油路43,44の開口位置との間に形成された環状空間71,72としている。この環状空間71,72は、ケーシング26の内周面の内径と中空軸部37の外周面37A2,37B2の外径との寸法差を大きくすることにより形成することができるので、環状油路(環状空間71,72)の加工を行うときの寸法管理を容易に行うことができる。この結果、環状油路を形成するとき作業性を向上することができるのでコストを低減させることができる。
一方、ケーシング側油路31,32を挟んで環状空間71,72の両側には、軸受47,48とオイルシール49,50が設けられており、環状空間71,72内の軸受47,48側には、シール部材73,74を設ける構成としている。この場合、シール部材73,74により、環状空間71,72から軸受47,48に向けて潤滑油が漏出するのを阻止される。このため、ケーシング側油路31,32から環状空間71,72を介して回転子側油路43,44に潤滑油を導くことができ、雌スプライン部38,39と雄スプライン部13A,21Dとの噛合部に安定して潤滑油を供給することができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、環状油路としてケーシング側凹溝53,54を設け、第2の実施の形態では、環状油路として中空軸部側凹溝61,62を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図11に示す変形例のように、環状油路としてケーシング側凹溝81,82と中空軸部側凹溝83,84との両者を設ける構成としてもよい。この場合、ケーシング側凹溝81,82と中空軸部側凹溝83,84との両者の深さ寸法の和が環状油路の径方向寸法となる。このため、環状油路の径方向寸法を確保しつつ、ケーシング側凹溝81,82と中空軸部側凹溝83,84の深さ寸法をそれぞれ小さくすることができ、ケーシング26や回転子36の筒部37A,37Bの耐久性に与える影響を小さくすることができる。
また、上述した第1の実施の形態では、回転子36の軸方向の両側に筒部37A,37Bと雌スプライン部38,39とを設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば回転子の軸方向の両側のうちいずれか一方の側にのみ筒部と雌スプライン部とを設け、他方の側を充実(中実)の柱状(棒状)とすると共に雄スプライン部を設ける構成としても良い。換言すれば、少なくとも回転子の軸方向の一側に中空軸部(筒部)と雌スプライン部とを設ける構成であればよい。このことは、第2の実施の形態、第3の実施の形態、変形例についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、それぞれがシャフトとしての連結軸13とポンプ軸21Aとを回転子36の軸方向両側にそれぞれ挿通(スプライン結合)する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば回転子の軸方向の一方側にのみシャフトを挿通(スプライン結合)する構成としてもよい。換言すれば、少なくとも回転子の軸方向の一側にシャフトを挿通する構成であればよい。このことは、第2の実施の形態、第3の実施の形態、変形例についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、エンジン11の出力軸12に連結軸13を連結すると共に該連結軸13に雄スプライン部13Aを設け、該雄スプライン部13Aを回転子36の雌スプライン部39に結合(噛合)する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、エンジンの出力軸に直接雄スプライン部を設け(出力軸と連結軸とを一体に形成し)、出力軸の雄スプライン部を回転子の雌スプライン部に結合(噛合)する構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態、第3の実施の形態、変形例についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、回転子36の軸方向の両側にそれぞれ設けられた軸受47,48を、軸方向両側から2系統の潤滑油経路を通じて潤滑する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば軸方向の両側のうちいずれか一方の側のみの潤滑油経路(1系統の潤滑油径路)を通じて潤滑する構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態、第3の実施の形態、変形例についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、回転子36の軸方向の両側にそれぞれ軸受47,48を設ける構成、即ち、回転子36をケーシング26に対し2個の軸受47,48により回転可能に支持する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば回転子をケーシングに対し1個の軸受または3個以上の軸受により回転可能に支持する構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態、第3の実施の形態、変形例についても同様である。
また、上述した第3の実施の形態では、シール部材73,74により、環状空間71,72から軸受47,48に向けて潤滑油が漏出するのを阻止することにより、ケーシング側油路31,32から環状空間71,72を介して回転子側油路43,44に潤滑油を導くことができる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばシール部材73,74を設けなくてもよい。この場合、環状空間の径方向の寸法を適切に設定することにより、環状空間から軸受に向けて流出する潤滑油の流量を調整することができる。この結果、ケーシング側油路から環状空間を介して回転子側油路に潤滑油を導くことができると共に、環状空間から軸受に向けて潤滑油を供給することができる。
また、上述した第1の実施の形態では、ハイブリッド式建設機械としてクローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例示したが、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の油圧ショベル、ホイールローダ、油圧クレーン等のアシスト発電モータが搭載される他のハイブリッド式建設機械に広く適用することができる。このことは、第2の実施の形態、第3の実施の形態、変形例についても同様である。
さらに、上述した第1の実施の形態では、電気式回転機械として建設機械に搭載されるアシスト発電モータを例示したが、本発明はこれに限らず、例えば自動車、農業機械、工作機械等の建設機械以外の各種産業機械に搭載される電気式回転機械に広く適用することができる。このことは、第2の実施の形態、第3の実施の形態、変形例についても同様である。