JP5873274B2 - 吸気管構造 - Google Patents

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本発明は、吸気管構造に関するものである。
近年、エンジン排気流路から分流した排気を水冷式の管形熱交換器であるEGRクーラ(EGR:Exhaust Gas Recirculation)により冷却した上でエンジン吸気流路へ戻し、燃焼温度を下げてNOxの発生を低減させる排気再循環が一般的に行われている。
排気容量を変えずにエンジンの出力を高めるためには、1サイクル当たりの燃料噴射量を多くすると共に、ターボチャージャにより過給圧を上げてシリンダへの吸気の送給量を増やす必要がある。
又、吸気の送給量を減らさずに高EGR率を達成するためにも、ターボチャージャを用いて過給圧を上げる必要がある。
そこで、高圧力比が得られる二段過給システムをエンジンに採用することが提案されている。
図2は従来の二段過給システムの一例を示すものであり、車載のエンジン1の排気マニホールド2から直に送出される排気Gによって高圧段タービン3を作動させ且つ高圧段コンプレッサ4で圧縮した吸気Aをエンジン1の吸気マニホールド5へ送給する高圧段ターボチャージャ6と、該高圧段ターボチャージャ6の高圧段タービン3から送出される排気G、或いは該高圧段タービン3の吸込側から吐出側へ至るウエストゲート配管7を経た排気Gによって低圧段タービン8を作動させ低圧段コンプレッサ9で圧縮した吸気Aを前記高圧段コンプレッサ4へ送給する低圧段ターボチャージャ10とを備え、前記ウエストゲート配管7には、高圧段タービン3に対応するウエストゲートバルブ11が組み込まれている。
前記低圧段ターボチャージャ10の低圧段コンプレッサ9の吐出側と前記高圧段ターボチャージャ6の高圧段コンプレッサ4の吸入側とをつなぐ低圧吸気流路12には、インタクーラ13が介装されており、前記高圧段コンプレッサ4の吐出側とエンジン1の吸気マニホールド5とをつなぐ高圧吸気流路14には、アフタクーラ15が介装されている。
又、前記高圧段タービン3よりも上流側のエンジン排気流路(図2の例では排気マニホールド2)からは、前記アフタクーラ15よりも下流側の高圧吸気流路14(図2の例では吸気マニホールド5)へ至るEGR配管16が分岐接続され、該EGR配管16には、前記エンジン排気流路から分流した排気Gを冷却するEGRクーラ17と、前記高圧吸気流路14(図2の例では吸気マニホールド5)へ還流すべき排気Gの流量を調整するEGRバルブ18とが設けられている。
尚、図2中、19は前記低圧段コンプレッサ9へ吸気Aを供給する吸気管、20は前記高圧段タービン3と低圧段タービン8とをつなぐ排気接続管、21は低圧段タービン8を駆動した後の排気Gを排出する排気管である。
そして、前述の如き二段過給システムにおいては、エンジン1が稼動状態にあるとき、排気マニホールド2から送出される排気Gの大部分は、高圧段タービン3へ流入して高圧段コンプレッサ4を駆動した後、排気接続管20を介し低圧段タービン8へ流入して低圧段コンプレッサ9を駆動し、排気管21から排出される。
前記吸気管19から低圧段コンプレッサ9に流入し且つ圧縮された吸気Aは、前記低圧吸気流路12に介装されたインタクーラ13を経て高圧段コンプレッサ4に送給され、該高圧段コンプレッサ4で再び圧縮され、前記高圧吸気流路14に介装されたアフタクーラ15を経て吸気マニホールド5へ送給される。
これにより、シリンダへの吸気Aの送給量が増加し、1サイクル当たりの燃料噴射量を多くすれば、エンジン1の出力を高めることができる。
又、前記排気Gの一部は、排気マニホールド2からEGR配管16へ流入し、EGRクーラ17で冷却され且つEGRバルブ18で流量調整が行われた排気Gが、吸気Aと一緒に吸気マニホールド5へ送給され、これにより、シリンダ内の燃焼温度の低下が図られ、NOxの発生が低減される。
更に、前記エンジン1が高速高負荷領域に達した際には、高圧段タービン3の能力を上回るような高エネルギ(大流量で高圧力)の排気Gが、該高圧段タービン3に流れ込むことがないようにウエストゲートバルブ11を開き、排気Gの一部をウエストゲート配管7から低圧段タービン8に導くようにして、タービン内の圧力過上昇抑制と過回転防止、並びにポンピングロス低減を図るようになっている。因みに、前記ウエストゲート配管7から低圧段タービン8に導かれる排気Gは、全体の0〜30%程度の範囲内で、前記ウエストゲートバルブ11の開度調節による流量調節が行われ、ウエストゲートバルブ11全閉時より燃費改善を図っている。
尚、前述の如き二段過給システムと関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
特開2007−71179号公報
ところで、トラック等の大型の車両は、普通乗用車と比べて未舗装の悪路を走行する機会が多いことから、エンジン1の吸気としては、塵埃が多く含まれている地面付近の空気ではなく、地面から充分高い部分の清浄な空気を取り入れることが好ましく、又、地面付近では、走行時に跳ね上げられる雨水や積雪等を一緒に取り込んでしまう虞もあるため、地面から充分高い部分で空気だけを確実に取り入れることが好ましい。
このため、図3に示される如く、トラック等の車両22の場合、該車両22のキャブ23後面における左右方向一側下部に、前記低圧段ターボチャージャ10の低圧段コンプレッサ9に吸気管19から空気を吸気Aとして供給するエアクリーナ24を配置し、該エアクリーナ24から上方へ立ち上がるエアクリーナ入口ダクト25に対し、可撓性を有するブーツ26を介して吸気ダクト27を接続し、該吸気ダクト27を前記キャブ23の後面に組み付け、前記吸気ダクト27の上部に開口させた空気取入口28から外気を、水や塵埃等の異物が吸気ダクト27内に侵入することを防止しつつ、吸気ダクト27内へ導き、前記エアクリーナ24で濾過し、清浄な吸気Aとして前記吸気管19から低圧段コンプレッサ9へ供給するようになっている。
一方、従来の場合、前記高圧段ターボチャージャ6及び低圧段ターボチャージャ10は、図2に示される如く、エンジン1に取り付けられるが、前記エアクリーナ24はキャブ23の後面側に設置されるため、該キャブ23の後面側に設置されるエアクリーナ24と前記低圧段ターボチャージャ10の低圧段コンプレッサ9とをつなぐ吸気管19は、エンジン1の振動並びにキャブ23の揺れに起因する相対変位を吸収しなければならない。
このため、従来においては、前記吸気管19の中間部に、図4及び図5に示される如く、山部19aと谷部19bとが交互に連なる蛇腹状の相対変位吸収部19cを形成していた。尚、図5中、Pは山部19a間(谷部19b間)のピッチ、Lは相対変位吸収部19cの全長、Rは山部19a及び谷部19bの曲率半径、θは山部19a及び谷部19bの傾斜開き角度を示している。
しかしながら、従来の吸気管19では、図5に示される如く、単に同一形状の山部19aと谷部19bとを交互に連ねるだけで蛇腹状の相対変位吸収部19cを形成しているため、エンジン1の振動に起因する相対変位を吸収することは可能であるが、キャブ23の揺れに起因する大きな相対変位が発生した場合、相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部における山部19a及び谷部19bに応力が集中する形となり、改善が望まれていた。
又、前述の如く吸気管19の中間部に、山部19aと谷部19bとが交互に連なる蛇腹状の相対変位吸収部19cを形成した場合、該相対変位吸収部19cの内面側で吸気Aが剥離して負圧となる部分が生じ、圧力損失が大きくなるという不具合も有していた。
本発明は、斯かる実情に鑑み、エンジンの振動並びにキャブの揺れに起因する相対変位を確実に吸収し得、相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部における応力低減を図ることができ、且つ圧力損失低減を図ることができる吸気管構造を提供しようとするものである。
本発明は、ターボチャージャのコンプレッサとエアクリーナとを接続し、中間部に山部と谷部とが交互に連なる蛇腹状の相対変位吸収部が形成された吸気管構造において、
前記相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部に応力緩和部を形成し、前記相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部における複数の山部及び複数の谷部の傾斜開き角度を、前記エアクリーナ側の端部以外の相対変位吸収部の山部及び谷部の傾斜開き角度と等しくすると共に、前記相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部における複数の山部及び複数の谷部の曲率半径を、前記エアクリーナ側の端部以外の相対変位吸収部の山部及び谷部の曲率半径より大きくすることによって、前記応力緩和部を構成したことを特徴とする吸気管構造にかかるものである。
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
前述の如く、相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部に応力緩和部を形成すると、従来の吸気管のように、単に同一形状の山部と谷部とを交互に連ねるだけで蛇腹状の相対変位吸収部を形成するのとは異なり、エアクリーナ側の揺れに起因する大きな相対変位が発生したとしても、相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部に形成した応力緩和部により、山部及び谷部には応力が集中しにくくなる。尚、エンジンの振動に起因する相対変位は、従来と同様、山部と谷部とを交互に連ねた応力緩和部以外の部分により吸収することが可能となっている。
前記吸気管構造においては、前記相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部における複数の山部及び複数の谷部の傾斜開き角度を、それ以外の山部及び谷部の傾斜開き角度と等しくすると共に、前記相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部における複数の山部及び複数の谷部の曲率半径を、それ以外の山部及び谷部の曲率半径より大きくすることによって、前記応力緩和部を構成したことにより、エアクリーナで濾過された清浄な吸気が吸気管の相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部に差し掛かった際、該相対変位吸収部の内面側で吸気が剥離しにくくなって負圧となる部分が生じにくくなり、圧力損失が小さくなる。
又、前記吸気管構造においては、エンジンから直に送出される排気によって高圧段タービンを作動させ且つ高圧段コンプレッサで圧縮した吸気をエンジンへ送給する高圧段ターボチャージャと、該高圧段ターボチャージャの高圧段タービンから送出される排気によって低圧段タービンを作動させ且つ低圧段コンプレッサで圧縮した吸気を前記高圧段コンプレッサへ送給する低圧段ターボチャージャとを備え、前記低圧段コンプレッサとキャブ後面に設置されるエアクリーナとを湾曲させた吸気管を介して接続する二段過給システムに適用することができる。
本発明の吸気管構造によれば、エンジンの振動並びにキャブの揺れに起因する相対変位を確実に吸収し得、相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部における応力低減を図ることができ、且つ圧力損失低減を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
本発明の吸気管構造の実施例における蛇腹状の相対変位吸収部を示す断面図である。 従来の二段過給システムの一例を示す概念図である。 従来の吸気ダクトの一例を示す概略斜視図である。 従来の吸気管の一例を示す平面図である。 従来の吸気管の一例における蛇腹状の相対変位吸収部を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の吸気管構造の実施例であって、図中、図2〜図5と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図2〜図5に示す従来のものと同様であるが、本実施例の特徴とするところは、図1に示す如く、相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部に応力緩和部19dを形成した点にある。
本実施例の場合、前記応力緩和部19dは、前記相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部における複数(図1の例では二個)の山部19a及び複数(図1の例では二個)の谷部19bの傾斜開き角度θを、それ以外の山部19a及び谷部19bの傾斜開き角度θと等しくすると共に、前記相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部における複数(図1の例では二個)の山部19a及び複数(図1の例では二個)の谷部19bの曲率半径R´を、それ以外の山部19a及び谷部19bの曲率半径Rより大きくすることによって構成してある。
因みに、前記曲率半径Rが、例えば、
R=2[mm]
である場合、前記曲率半径R´は、その二倍〜三倍の
R´=2R〜3R=4〜6[mm]
に設定することができる。
次に、上記実施例の作用を説明する。
前述の如く、相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部に応力緩和部19dを形成すると、図5に示される従来の吸気管19のように、単に同一形状の山部19aと谷部19bとを交互に連ねるだけで蛇腹状の相対変位吸収部19cを形成するのとは異なり、キャブ23の揺れに起因する大きな相対変位が発生したとしても、相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部に形成した応力緩和部19dにより、曲率半径R´を大きくした山部19a及び谷部19bには応力が集中しにくくなる。尚、エンジン1の振動に起因する相対変位は、従来と同様、応力緩和部19d以外の曲率半径Rの山部19aと谷部19bとを交互に連ねた部分により吸収することが可能となっている。
又、前記相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部における複数(図1の例では二個)の山部19a及び複数(図1の例では二個)の谷部19bの曲率半径R´を、それ以外の山部19a及び谷部19bの曲率半径Rより大きくしたことにより、エアクリーナ24で濾過された清浄な吸気Aが吸気管19の相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部に差し掛かった際、該相対変位吸収部19cの内面側で吸気Aが剥離しにくくなって負圧となる部分が生じにくくなり、圧力損失が小さくなる。
尚、前記応力緩和部19dにおいて、前記相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部における複数(図1の例では二個)の山部19a及び複数(図1の例では二個)の谷部19bの傾斜開き角度θを、それ以外の山部19a及び谷部19bの傾斜開き角度θと等しくすると共に、前記相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部における複数(図1の例では二個)の山部19a及び複数(図1の例では二個)の谷部19bの曲率半径R´を、それ以外の山部19a及び谷部19bの曲率半径Rより大きくしたことに伴い、前記応力緩和部19dにおける山部19a間(谷部19b間)のピッチP´は、応力緩和部19d以外の山部19a間(谷部19b間)のピッチPより長くなり、
P´=P+2×(R´−R)
と表され、該ピッチの増加分に対応して、相対変位吸収部19cの全長L´も従来の全長L(図5参照)より長くなるが、該相対変位吸収部19cの全長L´の増加分は、全体の収縮で充分相殺できる量であり、車両22への搭載に関し特に問題が生じる心配はない。
こうして、エンジン1の振動並びにキャブの揺れに起因する相対変位を確実に吸収し得、相対変位吸収部19cのエアクリーナ24側の端部における応力低減を図ることができ、且つ圧力損失低減を図ることができる。
尚、本発明の吸気管構造は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、二段過給システムに限らず、ターボチャージャが一基の車両にも適用可能なこと等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 エンジン
3 高圧段タービン
4 高圧段コンプレッサ
6 高圧段ターボチャージャ
8 低圧段タービン
9 低圧段コンプレッサ(コンプレッサ)
10 低圧段ターボチャージャ(ターボチャージャ)
19 吸気管
19a 山部
19b 谷部
19c 相対変位吸収部
19d 応力緩和部
23 キャブ
24 エアクリーナ
A 吸気
G 排気
R 曲率半径
R´ 曲率半径
θ 傾斜開き角度

Claims (2)

  1. ターボチャージャのコンプレッサとエアクリーナとを接続し、中間部に山部と谷部とが交互に連なる蛇腹状の相対変位吸収部が形成された吸気管構造において、
    前記相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部に応力緩和部を形成し、前記相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部における複数の山部及び複数の谷部の傾斜開き角度を、前記エアクリーナ側の端部以外の相対変位吸収部の山部及び谷部の傾斜開き角度と等しくすると共に、前記相対変位吸収部のエアクリーナ側の端部における複数の山部及び複数の谷部の曲率半径を、前記エアクリーナ側の端部以外の相対変位吸収部の山部及び谷部の曲率半径より大きくすることによって、前記応力緩和部を構成したことを特徴とする吸気管構造。
  2. エンジンから直に送出される排気によって高圧段タービンを作動させ且つ高圧段コンプレッサで圧縮した吸気をエンジンへ送給する高圧段ターボチャージャと、該高圧段ターボチャージャの高圧段タービンから送出される排気によって低圧段タービンを作動させ且つ低圧段コンプレッサで圧縮した吸気を前記高圧段コンプレッサへ送給する低圧段ターボチャージャとを備え、前記低圧段コンプレッサとキャブ後面に設置されるエアクリーナとを湾曲させた吸気管を介して接続する二段過給システムに適用するようにした請求項記載の吸気管構造。
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