[第1実施形態]
以下、本発明に係る一実施形態を図1〜図21に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のドアロック装置10は、支持ボディ11に複数の部品を組み付けて備えている。支持ボディ11は、例えば、樹脂製のボディ本体90と、樹脂製の第1及び第2のカバー91,92とからなる。ボディ本体90は、図2に示すように上方から見ると、全体がL字形状をなし、外部を挟んで隣り合った両側面に第1と第2の部品収容部90A,90Bを有している。そして、ボディ本体90のL字形状の短辺側に位置した第1部品収容部90Aを覆うように第1カバー91がボディ本体90に組み付けられる一方、ボディ本体90のL字形状の長辺側に位置した第2部品収容部90Bを覆うように第2カバー92がボディ本体90に組み付けられて、支持ボディ11全体が、ボディ本体90と同様のL字形になっている。
第1カバー91には、第1部品収容部90Aに収容される部品を支持する第1部品支持壁11Cが備えられ、その第1部品支持壁11Cの一側縁部から第2カバー92側にサイド突壁91Aを突出している。また、そのサイド突壁91Aに対応させて、第2カバー92には、図8に示すように凹状湾曲縁部92Aが形成されている。そして、図1に示すように、凹状湾曲縁部92Aにサイド突壁91Aの縁部が外側から重ね合わされている。また、図2に示すように、第1部品支持壁11Cの外面には板金製の外面補強盤93が宛がわれる一方、第1カバー91の内面には、板金製の内面補強盤94が宛がわれ、これら外面補強盤93と内面補強盤94とが、第1部品支持壁11Cを貫通したラッチ支持シャフト13J及びラチェット支持シャフト14J(図5参照)によって固定されている。そして、例えば、図3に示すように、車両100の右横に配置された回動式のドア101における回動中心と反対側の端部壁101Aに内側から外面補強盤93が宛われ、端部壁101Aを貫通した図示しない複数のボルトを、外面補強盤93の複数の螺子孔N3(図1参照)に締め付けて支持ボディ11がドア101に固定されている。
図1に示すように、支持ボディ11のL字形状における短辺側の外面には、第1カバー91及び外面補強盤93に重ねて水平方向に延びたストライカ受容溝12が形成され、そのストライカ受容溝12の一端が、支持ボディ11のL字形状における長辺側の外面に開口してストライカ受容口12Kになっている。そして、ドア101に形成された切り欠き孔101B(図3及び図4参照)を通してストライカ受容溝12がドア101の外部に露出し、車両100のドア枠100Wの内面に備えたストライカ15(図3参照)が、ドア101を閉めた際に、ストライカ受容口12Kからストライカ受容溝12内に進入するようになっている。
なお、図12に示すように、第1部品支持壁11Cには、ストライカ受容溝12の上側にラッチ支持孔11Gが形成されて、そこをラッチ支持シャフト13Jが貫通している。ラッチ支持孔11Gの外周面には、放射状に複数のリブ91Rが形成され、ラッチ支持孔11Gが補強されている。また、そのリブ91Rの一部は、ラチェット支持孔11Eに向けて形成されている。ラチェット支持孔11Eは、ストライカ受容溝12の下側に形成され、そこをラチェット支持シャフト14Jが貫通している。そして、それらラッチ支持シャフト13J及びラチェット支持シャフト14Jの両端部は、外面補強盤93と内面補強盤94とにカシメ固定されている。
ストライカ15全体は、例えば断面円形の線材を屈曲させた門形構造をなし、その門形構造の1対の脚部がドア枠100Wの内面から突出しかつ内外方向に並べられている。そして、ストライカ15の1対の脚部のうち外寄りに配置された一方の脚部に、次述するラッチ13が係合する。
第1カバー91のうち外面補強盤93に覆われる部分には、図5及び図6に示したラッチ機構収容凹部91Bが形成され、そのラッチ機構収容凹部91Bには、本発明に係るラッチ機構10Rのラッチ13及びラチェット14(「ポール」と呼ばれることもある)が収容されている。ラッチ13は、互いに平行になった第1と第2の係止爪13A,13Bを有し、それら第1と第2の係止爪13A,13Bの間がストライカ受容部13Cになっている。また、ラッチ13のうち第1と第2の係止爪13A,13B同士を連絡する部分に、上記したラッチ支持シャフト13Jが貫通していて、そのラッチ支持シャフト13Jにラッチ13が回動自在に支持されている。
また、ラッチ13は、図示しないトーションバネによりアンラッチ方向(図5の時計回り方向)に付勢されている。そして、ドア101を開けた状態では、ラッチ13に備えたストッパ当接部13Dと支持ボディ11に備えたストッパ11Xとの当接によりラッチ13がアンラッチ位置(図5に示した位置)に位置決めされる。
そのアンラッチ位置では、第1係止爪13Aがストライカ受容溝12の上方に退避しかつ、第2係止爪13Bがストライカ受容溝12を横切った状態になり、ストライカ受容部13Cの開口端がストライカ受容溝12のストライカ受容口12K側を向く。そして、ストライカ受容溝12に進入したストライカ15がストライカ受容部13C内に受容されると共に、ストライカ15が第2係止爪13Bを押してラッチ13がラッチ方向(図5における反時計回り方向)に回動する。これにより、図6に示すように、ストライカ受容溝12のうちストライカ15よりストライカ受容口12K側が第1係止爪13Aによって塞がれて、ラッチ13がストライカ15と噛み合った状態になる。
なお、図5及び図6に示すように、ラッチ13における第1係止爪13Aの先端部、第2係止爪13Bの先端部及び第1と第2の係止爪13A,13Bとを連絡する部分の側縁部には、外面補強盤93に向かって突出する第1、第2及び第3の突出部13L,13M,13Nが設けられている。これにより、ラッチ13が回動軸方向における外面補強盤93側に移動すると、第1、第2及び第3の突出部13L,13M,13Nが外面補強盤93に当接してラッチ13の移動が規制されるので、ラッチ13における回動軸方向のガタつきを小さくすることができる。
ラチェット14は、ラッチ13の下方に配置され、上記したラチェット支持シャフト14Jに回動自在に支持されている。また、ラチェット14は、ラチェット支持シャフト14Jからストライカ受容口12Kと反対側に延びたストッパ片14Bを備え、そのストッパ片14Bの中間位置から上方にラッチ回動規制片14Aが突出した構造をなしている。さらに、ラチェット14は、トーションコイルバネ14S(図14参照)によって図5における反時計回り方向に付勢され、通常は、ストッパ片14Bと支持ボディ11に設けられたラチェットストッパ11Dとに当接により原点位置に位置決めされている。そして、ドア101を閉じると、ストライカ15に押されて回動したラッチ13が、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aを押し下げて通過してから、ラチェット14が原点位置に戻り、図6に示すように、ラッチ13の第1係止爪13Aに対して、ストライカ受容部13Cの反対側からラチェット14のラッチ回動規制片14Aが突き当たり、これにより、ラッチ13をストライカ15と噛み合った状態に保持する。このようにして、ドア101はラッチ機構10Rにより閉状態にラッチされる。なお、ラッチ回動規制片14Aには、樹脂が巻かれており、ラチェット14とラッチ13との当接は、樹脂材と樹脂材との当接になっている。
ラチェット14によるラッチ13の回動規制は、図3に示すようにドア101の車外面に設けられたアウトサイドドアハンドル104と、図4に示すようにドア101の車内面に設けられたインサイドドアハンドル105との何れかの操作によって解除することができる。ラッチ機構10Rは、アウトサイドドアハンドル104及びインサイドドアハンドル105からの操作力を受けるために、第1カバー91の内面に図7に示したリフトレバー16を備えている。
そのリフトレバー16は、例えば、板金製であって、第1部品支持壁11Cの内面側に配置されて、ラチェット支持シャフト14Jに回転自在に支持されている。また、リフトレバー16には、ラチェット支持シャフト14Jからストライカ受容溝12(図5参照)のストライカ受容口12K側(以下、これを「前側」といい、その反対側を「後側」という)に向かって突出した第1傾動アーム16Aと、ラチェット支持シャフト14Jから後斜め下方に向かって突出した第2傾動アーム16Cとが備えられている。そして、第2傾動アーム16Cの上縁部から直角曲げされた係合突片16Kが、図12に示した第1部品支持壁11Cの貫通孔11Fを通してラッチ機構収容凹部91B(図5参照)側に突入し、ラチェット14に備えた係合孔14C(図5参照)に凹凸係合している。これにより、リフトレバー16とラチェット14とが一体回転する。また、図7に示すように、第1傾動アーム16Aには、本発明に係るラッチ解除部16Bが設けられている。そのラッチ解除部16Bは、例えば、第1傾動アーム16Aの先端部をボディ本体90側に折り曲げて突出させた突片構造になっている。
図10(A)に示すように、ラチェット支持シャフト14Jの後側斜め下方には、オープンレバー回動支持軸部97が設けられ、そのオープンレバー回動支持軸部97にアウトサイドハンドル連動レバー17(本発明に係る「ハンドル連動レバー」に相当する)が回動可能に支持されている。図14に示すように、オープンレバー回動支持軸部97は、第1カバー91の第1部品支持壁11Cから突出した支持突部95と、ボディ本体90における第1部品収容部90Aの奧側に位置した第2部品支持壁90Cから突出した回動支持筒96とからなる。その支持突部95は、図12に示すように、第1部品支持壁11Cから立ち上がった第1円筒部95Aと、その先端を閉塞する先端壁95Bと、先端壁95Bの中心から下方に偏心した位置に突出形成された第2円筒部95Cとからなる。また、第2円筒部95Cの中心部には、孔95Dが形成されている。一方、回動支持筒96は、第2部品支持壁90Cから突出した円筒体の先端を斜めにカットした形状をなし、第2部品支持壁90Cのうち回動支持筒96の中心上には、貫通孔96Aが形成されている。そして、支持突部95の第2円筒部95Cが回動支持筒96の内側に挿入された状態で貫通孔96Aを通してタッピング螺子N2が孔95Dに締め付けられて、支持突部95と回動支持筒96とからオープンレバー回動支持軸部97が構成されている。なお、図13に示すように、第2部品支持壁90Cには、回動支持筒96の周囲の同心円上に環状リブ83が突出形成され、その環状リブ83から複数の補強リブ84が放射状に延びている。また、それら補強リブ84は、環状リブ83より第2部品支持壁90Cからの突出量が小さくなっている。
アウトサイドハンドル連動レバー17は、板金製であって、図10(A)に示すように軸挿通孔17Fを備え、そこにオープンレバー回動支持軸部97の回動支持筒96が挿通されると共に、図14に示すように軸挿通孔17Fの開口縁が環状リブ83に宛がわれている。また、図10(A)に示すように、アウトサイドハンドル連動レバー17は、オープンレバー回動支持軸部97から前側に突出した支持アーム17Aと、オープンレバー回動支持軸部97から後側に突出した操作アーム17Dとを有している。そして、アウトサイドハンドル連動レバー17は、図8に示したトーションコイルバネ18によって支持アーム17Aが下がる方向に付勢されると共に、ボディ本体90に一体形成されたストッパ部90Sに操作アーム17Dの上縁部が当接した原点位置(図10(A)及び図10(B)参照)に、通常は位置決めされている。なお、図14に示すように、トーションコイルバネ18は、回動支持筒96の外側に挿通され、前記したトーションコイルバネ14Sのコイル部は、第1円筒部95Aの外側に挿通されている。
また、操作アーム17Dの後端上縁部からは、ロッド係止片17Eが直角曲げされ、そのロッド係止片17Eに形成された貫通孔に樹脂リング17Vが装着されている。また、その樹脂リング17Vの内側には、図示しないロッドの一端部が接続され、そのロッドの他端部が、図3に示したドア101のアウトサイドドアハンドル104に接続されている。そして、アウトサイドドアハンドル104が操作されると、ロッド係止片17Eが下方に押されてアウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置(図10(A)及び図10(B))から作動位置(図11(A)及び図11(B))へと回動する。
また、支持アーム17Aの先端の下縁部からは、受圧片17Cが第2部品支持壁90C側(第1部品支持壁11Cの反対側)に折り曲げられて突出している。
なお、アウトサイドハンドル連動レバー17は、原点位置では、支持アーム17Aが前下がりに傾斜した姿勢になり(図10(A)参照)、作動位置では、支持アーム17Aが水平姿勢に近づき、わずかに前下がりに傾斜した姿勢になる(図11(A)参照)。
図10(A)に示すように、支持アーム17Aの先端部には、本発明に係る傾動連結孔17Bがオープンレバー回動支持軸部97の軸方向と平行な方向に貫通形成されている。その傾動連結孔17Bは、円形孔の内周面における180度離れた2位置から互いに接近する側に1対の山形突部17T,17Tを突出させた形状になっている。そして、その傾動連結孔17Bに、オープンリンク19の下端部が連結されている。
オープンリンク19は、板金製であって、図7に示すように、全体が上下方向に延びた縦長形状をなし、オープンリンク19の下端部が、アウトサイドハンドル連動レバー17に対して第1部品支持壁11C側から重ねられている。そして、そのオープンリンク19の下端部には、本発明に係る傾動連結突片19Aが設けられている。傾動連結突片19Aは、図10(A)に示すように、オープンリンク19の下端部における後縁部を、図17に示すように第1部品支持壁11Cと反対側に折り曲げてなる。また、傾動連結突片19Aには、先端部を下方に広げて先端幅広部19Tが備えられている。そして、オープンレバー回動支持軸部97に組み付けられる前のアウトサイドハンドル連動レバー17に対してオープンリンク19の上端側をアウトサイドハンドル連動レバー17から離す側(図17の右側)に傾けた横倒れ姿勢にして傾動連結孔17Bにおける1対の山形突部17T,17T(図10(A)参照)の間に先端幅広部19Tを挿通させかつ、オープンリンク19を正規姿勢(直立姿勢)に変更することで傾動連結孔17Bに傾動連結突片19Aが抜け止めされる。そして、第1カバー91がボディ本体90に組み付けられて、アウトサイドハンドル連動レバー17がオープンレバー回動支持軸部97に支持された状態で、オープンリンク19がオープンレバー回動支持軸部97と平行な傾動軸(傾動連結孔17Bの中心を貫通する架空の軸)を中心に傾動する。また、オープンリンク19とアウトサイドハンドル連動レバー17との間には、トーションコイルバネ29(本発明に係る「傾動付勢バネ」に相当する)が装着され、トーションバネ29の一端部がアウトサイドオープンレバー17の受圧片17Cの後端部側に係合される一方、他端部が次述するロック解除片19Bの後端部分に係合されている。そして、このトーションコイルバネ29によってオープンリンク19が、図10(A)における反時計回り方向に付勢されている。さらに、オープンリンク19の傾動範囲は、1対の山形突部17T,17Tと傾動連結突片19Aとの当接によって制限される。以下、オープンリンク19が前側に傾動可能な限界位置を「始端位置」といい、オープンリンク19が後側に傾動可能な限界位置を「終端位置」という。
また、オープンリンク19は、後述するアクティブレバー25によって傾動範囲が規制される。そのアクティブレバー25からの傾動規制を受けるために、オープンリンク19には、図7に示すように、ロック解除片19Bと摺接突片19Eとが備えられている。ロック解除片19Bは、オープンリンク19の下端寄り位置から前方に突出した下端アーム19Fの下縁部を第2部品支持壁90C側(第1部品支持壁11Cの反対側)に折り曲げかつその前端部側を上方に曲げ起こしている。また、摺接突片19Eは、オープンリンク19の上下方向における中間部の前縁部から、第2部品支持壁90C側(第1部品支持壁11Cの反対側)に折り曲げられて突出している。また、オープンリンク19の上縁部からは、押上突片19Cが第1部品支持壁11C側に折り曲げられて突出している。さらに、オープンリンク19の上縁部のうち押上突片19Cより後側部分からは、押上突片19Cより上方に上部延長片19Gが突出していて、その上部延長片19Gの上端部から前方に延びた帯形片を第2部品支持壁90C側に折り曲げかつ、その帯形片の前側部分を曲げ起こしてL字形の上端摺接部19Hが形成されている。図9に示すように、上端摺接部19Hの斜め上前方には、第2カバー92からガイド突片92Hが突出している。ガイド突片92Hのうち上端摺接部19H側を向いた先端縁には、下端部から垂直に立ち上がり、途中から斜め上前方に向かって湾曲して延びた摺接ガイド部92Gが備えられている。
図13に示すように、支持ボディ11のうち第2部品収容部90Bの奧側に位置した第3部品支持壁90Eには、向かって右下端寄り位置にオープンレバー支持軸部20Jが突出形成され、そのオープンレバー支持軸部20Jに図15に示したインサイドオープンレバー20が回動可能に軸支されている。また、そのインサイドオープンレバー20には、ワイヤーW1を介してインサイドドアハンドル105が接続されている。そして、インサイドドアハンドル105が操作されると、インサイドオープンレバー20が図15における時計回りに回動して前述したアウトサイドハンドル連動レバー17の受圧片17Cを押し上げ、アウトサイドハンドル連動レバー17を原点位置から作動位置まで回動させる。
図13に示すように、第3部品支持壁90Eには、左右方向の中央下端寄り位置にアクティブレバー支持軸部25Jが突出形成されると共に、上下左右の略中央位置にホイール支持軸部24Jが突出形成されている。そして、図15に示すように、アクティブレバー支持軸部25Jにアクティブレバー25が回動可能に軸支される一方、ホイール支持軸部24Jにウォームホイール24が回転可能に軸支されている。また、第3部品支持壁90Eにおけるウォームホイール24の斜め左上となる位置には、モータ22が取り付けられている。さらには、モータ22の回転軸に備えたウォームギヤ23がウォームホイール24に噛合している。そして、車内の集中ロック操作スイッチ107(図4参照)や無線キー108(図3参照)の操作に応じて、モータ22がウォームホイール24を一方向と他方向とに回転駆動し、その際、ウォームホイール24に備えた係合突部24A,24Aがアクティブレバー25に当接して、アクティブレバー25をアンロック位置とロック位置の間で回転駆動する。
図15に示すように、アクティブレバー25には、アクティブレバー支持軸部25Jから上方に張り出した第1扇形突片25Aと、アクティブレバー支持軸部25Jから斜め左下方に張り出した扇形の第2扇形突片25Dと、アクティブレバー支持軸部25Jから斜め右側に突出したアクティブ作用アーム25C(本発明に係る「リンク待機位置決部」に相当する)とが備えられている。
図16に示すように、アクティブ作用アーム25Cの先端部は、オープンリンク19におけるロック解除片19Bに下方から当接している。また、第1扇形突片25Aのうちアクティブ作用アーム25Cに近い側の一側縁部からは、ロック維持アーム25Bが突出していてオープンリンク19の前方に位置し、図9に示すように、ロック維持アーム25Bの先端部からはオープンリンク19側に向かって姿勢規制突部25T(本発明に係る「リンク作用位置決部」に相当する)が突出している。
図15に示すように、第2扇形突片25Dの下端部には、ワイヤーW2を介してドア101の車内側に備えたロック切替操作部106(図4参照)が接続されている。そして、ロック切替操作部106を操作することで、アクティブレバー25をアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。
また、図13に示すように、第3部品支持壁90Eには、オープンレバー支持軸部20Jの下方に支持孔11Jが形成され、第3部品支持壁90Eの裏面における支持孔11Jの開口縁から支持スリーブ11Tが突出している。そして、支持スリーブ11Tの内側を貫通した図1に示す中継シャフト32のうち第2部品収容部90B内に位置した一端部から第1レバー32Aが側方に張り出し、その第1レバー32Aと第2扇形突片25Dとが中継リンク30によって連結されている。また、中継シャフト32の他端部からは第2レバー32Bが側方に張り出し、その第2レバー32Bとロッドを介して、ドア101に備えたキーシリンダ102(図3参照)が連結されている。そして、キーシリンダ102にキー103(図3参照)を挿入して操作することによっても、アクティブレバー25をアンロック位置とロック位置とに切り替えることができるようになっている。
アウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置に配置された状態で、アクティブレバー25がアンロック位置に配置されると、図10(B)に示すように、アクティブレバー25のアクティブ作用アーム25Cとオープンリンク19のロック解除片19Bとの当接によって、オープンリンク19がその傾動可能範囲における中間のアンロック待機位置に位置決めされ、オープンリンク19の押上突片19Cがリフトレバー16における先端当接部16Bの下方に位置する。このとき、ロック維持アーム25Bの姿勢規制突部25T(図9参照)は、オープンリンク19の摺接突片19Eに対してのオープンリンク19の傾動軸方向(傾動連結孔17Bの中心を貫通する架空の軸の軸方向)でずれた配置となり、ロック維持アーム25Bのうち姿勢規制突部25Tを除くロック維持アーム本体25Sが、オープンリンク19の摺接突片19Eに前方から対向する。この状態でアウトサイドドアハンドル104又はインサイドドアハンドル105が操作されてアウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置から作動位置側に回動すると、オープンリンク19が上方に移動するのに伴ってアウトサイドハンドル連動レバー17に対してオープンリンク19が前側に傾動していく。そして、オープンリンク19がさらに上方に移動すると、オープンリンク19のロック解除片19Bがアクティブレバー25のアクティブ作用アーム25Cから離間し、図11(B)に示すように摺接ガイド部92Gと上端摺接部19Hとの当接によってオープンリンク19が、本発明に係るアンロック位置としての傾動可能範囲の始端位置に位置決めされた状態で上方に移動してオープンリンク19の押上突片19Cがリフトレバー16のラッチ解除部16Bを押し上げる。これにより、リフトレバー16がラチェット14(図6参照)と共に原点位置からリリース位置へと回動して、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aが同図の下方に移動し、ラチェット14とラッチ13との係合が解除され、ドア101を開くことができるようになる。また、アクティブレバー25のロック維持アーム本体25Sは、オープンリンク19がリフトレバー16のラッチ解除部16Bを押し上げてラッチを解除するときのそのオープンリンク19の動作領域の外側に位置しているので、オープンリンク19がアクティブレバー25のロック維持アーム本体25Sによって傾動を規制されることはない。
一方、アウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置に配置された状態で、アクティブレバー25がロック位置に配置されると、図10(A)に示すように、アクティブレバー25のアクティブ作用アーム25Cとオープンリンク19のロック解除片19Bとの当接によって、オープンリンク19がその傾動範囲のうち前記したアンロック待機位置より終端位置側のロック待機位置に位置決めされ、オープンリンク19の押上突片19Cがリフトレバー16における先端当接部16Bの下方位置から後方にずれて位置する。また、ロック維持アーム25Bの姿勢規制突部25Tは、オープンリンク19の摺接突片19Eに前方から対向する。この状態でアウトサイドドアハンドル104又はインサイドドアハンドル105が操作されてアウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置から作動位置側に回動すると、オープンリンク19が上方に移動するのに伴ってアウトサイドハンドル連動レバー17に対してオープンリンク19が前側に傾動していく。ところが、その傾動途中で姿勢規制突部25Tがオープンリンク19の摺接突片19Eに当接し、オープンリンク19のロック解除片19Bがアクティブレバー25のアクティブ作用アーム25Cから離間しても、オープンリンク19はアンロック位置まで傾動せず、アンロック位置より終端位置側のロック位置に留められた状態で摺接突片19Eと姿勢規制突部25Tとを摺接させながらオープンリンク19が上方に移動する。そして、図11(A)に示すように、オープンリンク19の押上突片19Cがリフトレバー16の側方を通過して、リフトレバー16のラッチ解除部16Bがオープンリンク19よって押し上げられることがなくなり、ラッチ機構10Rによるドア101のラッチが維持される。
図17に示すように、第1部品支持壁11Cには、本発明に係る横倒れ規制突部89が突出形成されている。その横倒れ規制突部89は、図12に示すように、断面異形の筒形構造をなしかつ、先端が平坦面になっている。そして、横倒れ規制突部89は、図17、図18及び図19に示すように、オープンリンク19の上端寄り位置に宛がわれて、オープンリンク19が第1部品支持壁11C側に倒れることを規制している。
また、図13に示すように、支持ボディ本体90のうち第2部品支持壁90Cと第3部品支持壁90Eとが交差する角部には、第2部品支持壁90Cと平行になって第2部品収容部90B側に突出した内部突壁85が備えられている。そして、その内部突壁85に,本発明に係る横倒れ規制突部88が突出形成されている。横倒れ規制突部88は、リブ構造をなして内部突壁85の基端部から先端部に向かって延び、上方側に僅かに膨らむように湾曲すると共に内部突壁85の先端側で下方に向かって湾曲した形状になっている。そして、横倒れ規制突部88は、図17、図20及び図21に示すように、横倒れ規制突部89よりオープンリンク19における上端寄り位置に宛がわれ、オープンリンク19が第2部品支持壁90C側に倒れることを規制している。
図13に示すように、内部突壁85には、本発明に係る摺接傾動ガイド87も突出形成され、その摺接傾動ガイド87と横倒れ規制突部88とが一体になっている。具体的には、摺接傾動ガイド87は、横倒れ規制突部88のうち内部突壁85の先端側で下方に向かって湾曲した部分の下端部から内部突壁85の基端部に向かって斜め下方に傾斜するように直線上に延びている。また、摺接傾動ガイド87は、横倒れ規制突部88より内部突壁85からの突出量が小さくなっていて、摺接傾動ガイド87の後端部は、横倒れ規制突部88全体の水平方向における全長の中間に位置している。さらに、前記した補強リブ84の一部が横倒れ規制突部88の下面に接続される位置まで延設されると共に、摺接傾動ガイド87の後端部が補強リブ84に突き合わされている。また、摺接傾動ガイド87は、補強リブ84よりオープンリンク19側に大きく突出している。
この摺接傾動ガイド87は、通常は、オープンリンク19と干渉することはないが、オープンリンク19がロック待機位置からロック位置へと移動できない異常時にはオープンリンク19の摺接突片19Eと摺接する。具体的には、アクティブレバー25がロック位置に配置されて、図10(A)に示すように、アウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置に位置しかつオープンリンク19がロック待機位置に位置した状態で、例えば傾動連結孔17Bに粉塵等が入り込み、オープンリンク19がロック待機位置に保持されて、アクティブレバー25をアンロック位置に移動してもオープンリンク19がロック待機位置からアンロック待機位置へと傾動しない異常が考えられる。このような異常状態で、アウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置から作動位置に移動すると、図20に示すように、オープンリンク19の摺接突片19Eの上端部が摺接傾動ガイド87に当接する。そして、アウトサイドハンドル連動レバー17に付与されるアウトサイドドアハンドル104又はインサイドドアハンドル105へのハンドル操作力によって、摺接突片19Eの上端部が摺接傾動ガイド87に押し付けられて摺接し、図21に示すように、オープンリンク19がロック待機位置からロック位置側へと強制的に傾動される。これにより、傾動連結孔17Bからの粉塵等の排除が促され、オープンリンク19の傾動不良の異常を解消することができる。また、このときのハンドル操作では、オープンリンク19の押上突片19Cは、リフトレバー16のラッチ解除部16Bの側方を通過するのでラッチ機構10R(図5参照)によるドア101(図3参照)のラッチは解除されない。しかしながら、粉塵等によるオープンリンク19の傾動不良の異常は解消されているので、アウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置に戻ったときに、オープンリンク19はアンロック待機位置に移動する。これにより、再度、アウトサイドドアハンドル104等をハンドル操作してアウトサイドハンドル連動レバー17が作動位置に移動したときに、オープンリンク19がアンロック位置に移動して押上突片19Cがリフトレバー16のラッチ解除部16Bを押し上げ、ラッチ機構10Rによるドア101のラッチを解除することができる。
なお、正常な状態では、アクティブレバー25がロック位置に配置されて、図10(A)に示すように、摺接突片19Eの上端部が、摺接傾動ガイド87に下方から隙間を空けて突き合わされた状態から、アウトサイドハンドル連動レバー17が作動位置へと移動する間に、オープンリンク19がロック待機位置からそれより前側のロック位置へと傾動することで、摺接突片19Eを摺接傾動ガイド87に干渉させずに、図11(A)に示すように、アウトサイドハンドル連動レバー17を作動位置まで移動することができる。
上記したように本実施形態のドアロック装置10では、オープンリンク19をトーションコイルバネ29の付勢力によってアクティブ作用アーム25C又は姿勢規制突部25Tに押し付けて位置決めする構成になっているので、従来のように、オープンリンクをピン及び長孔によって他の部品に連結したものに比べて、オープンリンク19の配置の自由度が高くなる。これにより、ドアロック装置10をコンパクトにすることができる。しかも、オープンリンク19が粉塵等の噛み込みによってロック待機位置から動かなくなる異常時には、アウトサイドハンドル連動レバー17を回動したときに支持ボディ11に設けた摺接傾動ガイド87が、オープンリンク19と摺接してオープンリンク19を強制的に傾動させて粉塵等の排除を促し、異常を解消することができるので、上記した異常時に備えてトーションコイルバネ29の付勢力を大きくする必要がなくなる。これにより、ドアロック装置10をロック状態にするときの動作抵抗を小さくすることができる。
しかも、支持ボディ11に備えた横倒れ規制突部89と横倒れ規制突部88とによってオープンリンク19が横倒れすることを規制し、オープンリンク19の動作抵抗が大きくなることを防ぐことができる。このことによっても、トーションコイルバネ29の付勢力を小さくすることができ、ドアロック装置10をロック状態にするときの動作抵抗を小さくすることが可能になる。また、オープンリンク19の摺接突片19Eが、姿勢規制突部25Tが当接するための部位と、摺接傾動ガイド87と摺接するための部位とに兼用されているので、オープンリンク19を簡素な構造にすることができる。
[第2実施形態]
本実施形態は、図22〜図26に示されており、オープンリンク19Vから第1部品支持壁11Cに向けて摺接突起19S(図22参照)が突出形成され、その摺接突起19Sに対応した摺接傾動ガイド89T(図23参照)が第1カバー91Vに設けられている点が第1実施形態と異なる。具体的には、図22に示すように、摺接突起19Sは、オープンリンク19Vのうち下端寄り位置の一部を突片状に切り離して、第1部品支持壁11C側に直角に折り曲げて形成されている。一方、摺接傾動ガイド89Tは、図23に示すように、第1カバー91Vの第1部品支持壁11Cから突出し、横倒れ規制突部89Vの下面と一体になっている。また、摺接傾動ガイド89Tは、第1部品支持壁11Cからの突出量が、横倒れ規制突部89Vに比べて僅かに小さくなっている。
また、摺接傾動ガイド89Tのうちオープンレバー回動支持軸部97の反対側を向いた側面には、図24に示すように、摺接傾動ガイド89Tの下端から上方に向かってオープンレバー回動支持軸部97から離れる側に傾斜した第1傾斜面89Sと、その第1傾斜面89Sの上端部から第1傾斜面89Sより垂直に近い傾斜角で横倒れ規制突部89Vに差し掛かる位置まで斜め上方に延びた第2傾斜面89Uとが備えられている。さらに、横倒れ規制突部89Vには、第2傾斜面89Uの上端部から、その第2傾斜面89Uより水平に近い傾斜角で斜め上方に延びた第3傾斜面89Wと、第3傾斜面89Wの上端部からその第3傾斜面89Wより垂直に近い傾斜角で横倒れ規制突部89Vの上端まで斜め上方に延びた第4傾斜面89Xとが備えられている。
なお、本実施形態では、第1カバー91V側に摺接傾動ガイド89Tを設けたので、前記第1実施形態で説明した摺接傾動ガイド87はボディ本体90には備えられていない。また、上述した部位以外の構成に関しては、第1実施形態と同じであるので、同一部位には、同一符号を付して重複した説明は省略する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。上記した本実施形態の構成によれば、図24に示すように、アウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置に配置された状態で、オープンリンク19Vがロック待機位置に配置されると、摺接突起19Sが摺接傾動ガイド89Tにおける第1傾斜面89Sの下方に離間して位置する。そして、正常時には、アウトサイドハンドル連動レバー17を原点位置から作動位置に移動したときに、オープンリンク19Vがトーションコイルバネ29の弾発力によってロック位置へと傾動することで、摺接突起19Sが摺接傾動ガイド89T及び横倒れ規制突部89Vに接触することなく上方に移動し、やがてオープンリンク19Vの押上突片19Cがリフトレバー16のラッチ解除部16Bを押し上げてラッチ機構10R(図5参照)によるドア101のラッチを解除する。
アクティブレバー25をロック位置からアンロック位置へと切り替えたが、粉塵等が原因でオープンリンク19Vが傾動せず、オープンリンク19Vがロック待機位置に保持される異常時には、アウトサイドハンドル連動レバー17を原点位置から作動位置に移動したときに、図25に示すように、オープンリンク19Vの摺接突起19Sが摺接傾動ガイド89Tの第1傾斜面89Sに摺接してオープンリンク19Vが強制的にロック位置側に傾動される。これにより、第1実施形態と同様に粉塵等によるオープンリンク19Vの傾動不良の異常が解消される。なお、それでも、上記異常が解消されないときには、さらに摺接突起19Sが、第2傾斜面89U、第3傾斜面89W、第4傾斜面89Xに摺接してオープンリンク19Vが強制的に傾動される。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、上記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、オープンリンク19は、傾動可能範囲の始端位置がアンロック位置になっていたが、傾動可能範囲の始端位置からずれた位置をアンロック位置とし、オープンリンク19がロック維持アーム25Bに摺接してアンロック位置に配置されるようにしてもよい。
(2)前記実施形態では、アンロック状態でアウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置に配置されると、オープンリンク19がアンロック位置より終端位置側のアンロック待機位置に配置され、アウトサイドハンドル連動レバー17が作動位置に移動する過程で、オープンリンク19がアンロック待機状態から始端位置側のアンロック位置へと傾動する構成になっていたが、アンロック状態では、アウトサイドハンドル連動レバー17の位置に拘わらず、オープンリンク19が、常に、一定のアンロック位置(例えば、傾動可能範囲の始端位置)に保持される構成にしてもよい。また、アンロック待機位置をアンロック位置より始端位置側の設定しておき、アウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置から作動位置に移動する過程で、オープンリンク19が姿勢規制突部25Tに摺接してアンロック待機状態から終端位置側のアンロック位置へと傾動する構成にしてもよい。
(3)前記実施形態では、オープンリンク19が横倒れ状態になったときに、横倒れ規制突部88がオープンリンク19の側面に当接して、摺接傾動ガイド87がオープンリンク19の側面には当接しない構造になっていたが、摺接傾動ガイド87が横倒れ状態のオープンリンク19の側面に当接するようにして、摺接傾動ガイド87を本発明に係る横倒れ規制補助突部又は横倒れ規制突部に兼用してもよい。
(4)前記実施形態では、摺動傾動ガイド(87,89T)が支持ボディ11(詳細には、ボディ本体90又は第1カバー91V)に形成されていたが、摺動傾動ガイドを内面補強盤の側方から突出した突片によって構成してもよい。