JP5866578B2 - 細胞培養装置および細胞培養方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞培養に関する。
一般に、細胞の培養は、培地を用いて行われる。培地とは、多量の栄養物資が含まれる培養液である。培地の使用時間が長くなると、細胞の増殖に伴って生じる乳酸などの影響により、培地のpHが低下する。培地のpHが低下すると、細胞の培養に適したpH範囲から外れて、細胞の培養が不活性になることがある。そこで、従来の細胞培養装置では、検出した細胞の種類に応じて一定時間間隔で培地の交換を行っている(例えば、特許文献1参照)。
図8に、特許文献1の細胞培養装置101を示す。細胞培養装置101は、検出手段104によって検出された細胞の種類に応じて、培養手段105に対して、交換手段102による培地の交換、又は添加手段103による被験物質の添加が行われる。培地の交換は、一般に、ピペットを用いて人手で行う。
特開2007−024576号公報
従来の培地の交換は人手で実施することを前提としている。従って、細胞培養の活用性が高まるにつれて、多数の培養容器において培地の交換が必要となり、培地の交換を人手ですることが困難になる。本発明は、培地の交換を自動化できる細胞培養装置または細胞培養方向を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明における細胞培養装置は、培養容器内の培地を用いて細胞を培養する細胞培養装置であって、第1保持部で保持されたピペットに接続されるポンプと、前記第1保持部を移動させる第1移動部と、前記培養容器を保持する第2保持部と、前記培養容器を把持して移動させる第2移動部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記ピペットが、前記培養容器の液体を吸引、または、前記培養容器へ液体を吐出する時、前記培養容器の蓋を前記第2移動部によって水平方向に平行移動させることで蓋が開いた状態になるように前記第2移動部を制御し、前記制御部は、前記剥離液を前記培養容器内に2回吐出する時、1回目の吐出時と2回目の吐出時とで互いに逆方向に前記培養容器が傾くように前記第2保持部を制御する、ことを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の細胞培養方法は、第1保持部で保持されたピペットに接続されるポンプと、前記第1保持部を移動させる第1移動部と、培養容器を保持する第2保持部と、前記培養容器を把持して移動させる第2移動部と、制御部と、を備えた細胞培養装置を使用し、前記培養容器内の培地を用いて細胞を培養する細胞培養方法であって、前記第1保持部が前記ピペットを保持し、前記第2移動部が前記培養容器を把持して移動させた後、前記培養容器の蓋が前記第2移動部によって水平方向に平行移動した状態で、前記第1保持部に保持された前記ピペットが前記培養容器の液体を吸引または前記培養容器へ液体を吐出し、剥離液を前記培養容器内に2回吐出する時、前記制御部が1回目の吐出時と2回目の吐出時とで互いに逆方向に前記培養容器が傾くように制御することを特徴とする。
本発明によれば、培地の交換を自動化することが可能な細胞培養装置および細胞培養方法を提供することができる。
図1は、本実施の形態における細胞培養装置の概要を示す図であり、 図2は、本実施の形態における培地交換のフローチャートであり、 図3は、本実施の形態におけるポンプの概要を示す図であり、 図4Aは、本実施の形態における注液完了時の状態を示す図であり、 図4Bは、参考例における注液完了時の状態を示す図であり、 図5Aは、本実施の形態における1回目の剥離液吐出時の平面概略図であり、 図5Bは、本実施の形態における1回目の剥離液吐出時の側面概略図であり、 図5Cは、本実施の形態における2回目の剥離液吐出時の平面概略図であり、 図5Dは、本実施の形態における2回目の剥離液吐出時の側面概略図であり、 図6は、本実施の形態におけるピペット取外しを説明するための図であり、 図7は、本実施の形態における培養容器の移動時の状態を説明するための図であり、 図8は、従来の細胞培養装置の概略図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は、それぞれの構成要素を主体として、模式的に示されている。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における細胞培養装置1の概要を示す図である。本実施の形態の細胞培養装置は、少なくとも、第1保持部3と、ポンプ4と、第1移動部5と、第2保持部11と、第2移動部16と、制御部15とを有する。第1保持部3は、例えばピペット保持部であり、バネ等の弾性部材でピペット2(ピペットチップ)を固定して保持する。第1移動部5は、例えばピペット移動部であり、第1保持部3に保持されたピペット2を移動させる。第2保持部11は、例えば培養容器保持部であり、複数の培養容器10を突起により保持する。第2移動部16は、例えばマニピュレータなどの培養容器移動部であり、培養容器10を把持して移動させる。制御部15は、装置内の各構成の動作を制御する。制御部15による制御は、予め設定された条件、もしくは、タッチパネル等の操作部13により入力された条件に従って行われる。
ピペット2は、第1保持部3を介してポンプ4と接続されている。ピペット2は、ポンプ4を動力源として、液体の吐出/吸込を行う。第1移動部5は第1保持部3を装置内において移動させる。第1保管部6は、例えば予備ピペット保管部であり、予備のピペット2を保管する。第2保管部7は、例えば廃棄ピペット保管部であり、その中に使用済みのピペット2が廃棄される。チューブ保持部9は、複数のチューブ8を保持する。チューブ8は、各種の液体を保管する容器である。1つのチューブ8には、交換用の培地が保存されており、また、別のチューブ8には、剥離液が保存されている。第2保持部11は、培養容器10を保持することができる。タンク12は、例えば廃液タンクであり、使用済みの培地が廃棄される。第2移動部16は、培養容器10を把持して移動させることができる。なお、第2保持部11は、複数の培養容器10を保持することが可能である。また、第2保持部11を回転させることにより、複数の培養容器10の位置をそれぞれ変更することが可能である。
第1保管部6の鉛直上側には、予備ピペット用蓋である第1蓋6aが設けられている。チューブ保持部9の鉛直上側には、チューブ用蓋である第3蓋9aが設けられている。第2保管部7の鉛直上側には、廃棄ピペット用蓋である第2蓋7aが設けられている。タンク12の鉛直上側には、タンク用蓋である第4蓋12aが設けられている。
第1蓋6aおよび第3蓋9aは、周囲の埃や液体等が予備のピペット2またはチューブ8に入るのを防ぐために設けられている。一方、第2蓋7aおよび第4蓋12aは、廃棄されるピペット2内の液体や廃液が周囲に飛び散るのを防ぐために設けられている。培養容器10は、蓋10aを有する。
ピペット2が培養容器10内の液体(培地や剥離液など)を吸引または培養容器10へ液体(培地や剥離液など)を吐出する時、培養容器10の蓋は、第2移動部16によって一度鉛直上側に持ち上げられた後、水平方向に平行移動することで、開けられる。
さらに、細胞培養装置1は、遠心分離機14、ヒータ17、冷蔵庫18、インキュベータ19、第3保管部20を有する。遠心分離機14は、細胞を含有する培地を遠心分離することで、培地と細胞を分離する。ヒータ17は、培地を加熱し、冷蔵庫18はチューブ8等に入れられている培地等の試薬を低温下で保存する。インキュベータ19は培養容器10内の細胞を所定の条件下で培養する。第3保管部20は予備の培養容器10を保管する。第3保管部20は、例えば培養容器保管部であり、空の培養容器10を保管する。
冷蔵庫18、インキュベータ19および第3保管部20は、第2移動部16が培養容器10を移動させるのを妨げない位置に配置されている。また、ヒータ17および遠心分離機14は、第1保持部3に保持されたピペット2、および、第2移動部16の先端部が移動可能な位置に配置されている。
次に、本実施の形態の細胞培養装置1による培地を交換する動作について、図2を参照しながら説明する。なお、前述のように、細胞培養装置1の各種動作(図2に示す各フロー)は、制御部15で制御される。
培地の交換を開始する指令が制御部15から出されると、図2のステップS01において、まず、第2移動部16が、インキュベータ19の扉を開ける。次に、第2移動部16が、インキュベータ19に保管されている複数の培養容器10の中から対象の培養容器10を取り出す。そして、第2移動部16は対象の培養容器10を第2保持部11の上に移動させ、第2保持部11で対象の培養容器10を保持する。その後、インキュベータ19に内蔵された開閉機構によりインキュベータ19の扉を閉じる。
なお、本実施の形態では、培養中の細胞が入っている培養容器10がインキュベータ19内に保管されている例について説明したが、必要に応じて別の保管部(例えば、第3保管部20など)から培養容器10を取り出しても良い。
次に、ステップS02において、第1移動部5は、第1保持部3を第1保管部6の上方に移動させる。そして、第1蓋6aが開けられ、第1保持部3が、第1保管部6に保管されている複数のピペット2のうち1本目のピペット2を保持する。その後、第1保管部6に内蔵された開閉機構により第1蓋6aは閉じられる。第1保持部3がピペット2に挿入されて固定されることで、第1保持部3はピペット2を保持する。
次に、ステップS03において、第1移動部5は、第1保持部3を第2保持部11の上方に移動させる。そして、第2移動部16は、吸引または吐出の直前に、培養容器10の蓋10aを水平方向に平行移動させる。蓋10aが水平方向に平行移動することで蓋10aが開いた状態で、ポンプ4を動力源とした吸引動作により、1本目のピペット2が培養容器10内の交換前の培地を吸引する。その後、培養容器10の蓋10aは、第1移動部5により元の位置に戻される。このように蓋10aを完全に開けずに吸引または吐出を行うことで、培養容器10内の培地へ、埃などが混入する可能性を軽減できる。本実施の形態では、蓋10aを水平方向に平行移動させることで、蓋10aの内側に埃などが混入する可能性を軽減できる。
次に、ステップS04において、第1移動部5は、第1保持部3をタンク12の上方に移動させる。そして、タンク12に内蔵された開閉機構により第4蓋12aは開けられた状態で、1本目のピペット2に吸引されていた交換前の培地が、ポンプ4を動力源とした吐出動作によりタンク12に吐出され、廃棄される。その後、前述の開閉機構により第4蓋12aは閉じられる。
次に、ステップS05において、第1移動部5は、第1保持部3を第2保管部7の上方に移動させる。そして、第2保管部7に内蔵された開閉機構により第2蓋7aは開けられ、使用済みの1本目のピペット2は第2保管部7に廃棄される。その後、前述の開閉機構により第2蓋7aは閉められる。ピペット2の廃棄動作は、次の通りである。ピペット2が第2保管部7のアクチュエータ7b(図6に図示する)に把持された状態で、第1保持部3を左右に動かすと、ピペット2に回転モーメントが発生する。この回転モーメントを利用して第1保持部3からピペット2は取り外されて、第2保管部7に廃棄される。なお、ピペット2の取り外し方の詳細については、図6を参照しながら後述する。
次に、ステップS06において、ステップS02と同様の手順で、第1保持部3に2本目のピペット2を挿入して保持する。
次に、ステップS07において、第1移動部5は、第1保持部3をチューブ保持部9の上方に移動させる。そして、チューブ保持部9に内蔵された開閉機構により第3蓋9aが開けられ、ポンプ4を動力源とした吸引動作により、2本目のピペット2がチューブ8内の細胞の剥離液を吸引する。その後、前述の開閉機構により第3蓋9aが閉じられる。細胞の剥離液は、培養容器10上に付着した細胞を剥離するための液体である。細胞の剥離液には、例えば、トリプシンが用いられる。
次に、ステップS08において、第1移動部5は、第1保持部3を第2保持部11の上方に移動させる。そして、第2移動部16は培養容器10の蓋10aを水平方向に平行移動させる。蓋10aが平行移動した状態で、ポンプ4を動力源とした吐出動作により、2本目のピペット2が培養容器10内に剥離液を吐出する。その後、培養容器10の蓋10aは元に戻される。
次に、ステップS09において、第2保持部16に内蔵された揺動機構により培養容器10を揺動し、培養容器10から細胞を剥離する。
次に、ステップS10において、第1移動部5は、第1保持部3を第2保管部7の上方に移動させる。そして、第2保管部7に内蔵された開閉機構により第2蓋7aが開けられ、使用済みの2本目のピペット2は第2保管部7に廃棄される。その後、前述の開閉機構により第2蓋7aは閉められる。
次に、ステップS11において、ステップS02と同様の手順で、第1保持部3が3本目のピペット2を保持する。
次に、ステップS12において、第1移動部5は、第1保持部3をチューブ保持部9の上方に移動させる。そして、チューブ保持部9に内蔵された開閉機構により第3蓋9aは開けられる。そして、ポンプ4を動力源とした吸引動作により、3本目のピペット2がチューブ8内の交換後の培地(新しい培地)を吸引する。その後、前述の開閉機構により第3蓋9aが閉じられる。
次に、ステップS13において、第1移動部5は、第1保持部3を第2保持部11の上方に移動させる。そして、第2移動部16は培養容器10の蓋10aを水平方向に平行移動させる。蓋10aが平行移動した状態(蓋10aが開けられた状態)で、ポンプ4を動力源とした吐出動作により、ピペット2が培養容器10内に交換後の培地(新しい培地)を吐出する。その後、第2移動部16により培養容器10の蓋10aは元に戻される。
なお、吐出動作中にピペット2を振動させると、培地の液切れが促進されることで液滴の発生が抑制され、より好ましい。
次に、ステップS14において、第1移動部5は、第1保持部3を第2保管部7の上方に移動させる。そして、第2保管部7に内蔵された開閉機構により第2蓋7aが開けられ、使用済みの3本目のピペット2は第2保管部7に廃棄される。その後、前述の開閉機構により第2蓋7aは閉められる。
次に、ステップS15において、インキュベータ19に内蔵された開閉機構によりインキュベータ19の扉が開けられた後に、第2移動部16は、インキュベータ19の中に培養容器10を移動させて収納する。その後、前述の開閉機構によりインキュベータ19の扉は閉じられる。
本実施の形態の細胞培養装置1においては、制御部15による制御により、図2を参照しながら上述した各フローによって、培地が交換される。
なお、ステップS01の後、ステップS03の後、及びステップS13の後の少なくともいずれかのタイミングで、培養容器10内をカメラで撮像して観察することが好ましい。これらのタイミングで観察すると、交換前後の培地の量、及び、剥離液の種類や量を、観察結果に応じて調整することが可能となる。よって、細胞の培養の精度をより高くできる。
次に、本実施の形態の細胞培養装置1の各構成の一部、及び、図2に示す各フローの一部について、詳しく説明する。
図3を参照しながら、本実施の形態の細胞培養装置1のポンプ4について説明する。図3に示すように、本実施の形態のポンプ4は、例えばシリンジポンプであり、三方弁4a、シリンジ4b、及び流路4cにより構成される。例えば、容量が25mlのシリンジ4bの原点位置は、0mlの位置ではなく、5mlの位置に設定している。原点位置を、図3にXで示す。すなわち、本実施の形態では、シリンジ4bのプランジャ4dの原点位置は、吐出限界位置より、所定量だけ吸引方向にシフトした位置に設定されている。これは、吐出時に、ピペット2より液体を完全に吐出させるために、原点位置を超えて吐出方向へプランジャ4dを移動させることが好ましいためである。原点位置の設定は、制御部15がポンプ4を制御することによって行っている。つまり、制御部15は、ポンプ4の原点位置が吐出限界位置より吸引方向にシフトした位置に設定されるように、ポンプ4を制御する。
なお、シリンジ4bとピペット2とは、三方弁4aを介して流路4cで配管されている。三方弁4aを解放側(ピペット2側)に切り替えることで、シリンジ4bは原点位置に復帰する。本実施の形態では、ピペット2が液体(培地又は剥離液)を吸引する時は、ピペット2をチューブ8内に挿入した状態で、三方弁4aが開放側に一旦切り替えられる。そして、ポンプ4が空気を吸引する。その後、三方弁4aを開放側(ピペット2側)に切り替えてプランジャ4dを原点位置に戻した後に、チューブ8内の液体(培地又は剥離液)を吸引する。ピペット2の先端に液体(培地又は剥離液)が残留するとピペット2の先端に内膜が形成されるため、これらの動作は、内膜が形成されるのを防ぐ目的で行われる。
次に、図4Aおよび図4Bを参照しながら、図2のステップS13の吐出動作について詳しく説明する。本実施の形態では、図4Aに示すように、液体(培地)の吐出は、ピペット2の先端が培地の液面に位置する状態で完了する。すなわち、液体の吐出の完了時、ピペット2の先端は、液体(培地)の液面に位置している。ピペット2の先端の位置は、制御部15が第1移動部5を制御することで制御されている。ピペット2の先端の位置を培地の液面に位置させることにより、図4Bの参考例に示すように、液滴や培地内の泡の発生を抑制できる。
次に、図5A〜図5Dを参照しながら、図2のステップS08の吐出動作について詳しく説明する。本実施の形態では、剥離液の吐出を2回行うと共に、1回目の吐出時と2回目の吐出時で培養容器10を互いに逆方向に傾けて、吐出開始時点は、鉛直上側の培養容器10の内壁面に対して剥離液を吐出する。このように、培養容器の鉛直上側の内壁面を吐出の開始位置とすることで、吐出開始時に、いきなり細胞へ剥離液が吐出される可能性が低くなり、細胞へのダメージを低下することができる。
さらに、上述した通り、図5B、図5Dに示すように、1回目の吐出時(図5Bに示す)と2回目の吐出時(図5Dに示す)とでは、培養容器10は逆方向に傾けられる。この培養容器10の状態で、ピペット2は、培養容器10の傾斜面の高い位置から低い位置に向かって動きながら、剥離液を吐出する。
このようなピペット2の動作によって、剥離液を培養容器10内に流すことで、培養容器10内の細胞へのダメージは抑えられる。
次に、図6を参照しながら、図2のステップS05、S10、S14のピペット2の取外し動作について詳しく説明する。第1保持部3に保持されたピペット2が取り外される時、ピペット2は、第2保管部7に設けられているドーナツ状のアクチュエータ7bに把持される。その後、第1保持部3は、所定量だけ上方に引き上げられながら、ピペット2の軸に直交する方向(左右方向)に搖動する。このようにして、第1保持部3が上方に引き上げながら左右に動かされることで、ピペット2は、例えば瓶の蓋が取り外されるように取り外される。第1保持部3を左右に動かさずにピペット2を取り外す場合、ピペット2を取り外す力は、ピペット2を取付ける時よりも、大きな力が必要となる。また、この場合、ピペット2が抜けたときの衝撃で各種構造体の取り付け状態が、ずれる可能性がある。それに対し、本実施の形態の上述した方法では、ピペット2をスムーズに取り外すことができる。制御部15は、第1保持部3からピペット2が取り外される時、第1保持部3が上方に移動しながら左右に動くように、第1移動部5を制御している。
更に、図7を参照しながら、第2移動部16が培養容器10を移動させる動作について詳しく説明する。第2保持部11に対して培養容器10が相対移動する場合、移動による反作用や慣性により、培養容器10内の培地や細胞には一定方向の力がかかる。よって、この場合は、培養容器10内の細胞が偏る可能性がある。そこで本実施の形態では、細胞が偏るのを防ぐために、図7に示すように、第2移動部16は、培養容器10を回転させながら移動させている。すなわち、本実施の形態では、培養容器10の移動時に、移動軌跡に応じて培養容器10の位相姿勢を動的に変化させている。制御部15は、培養容器10が第2保持部に対して相対的に移動し、かつ、培養容器10が回転しながら移動するように、第2移動部16を制御している。
好ましくは、第2移動部16は、培養容器10を、回転させるだけではなく、鉛直下方に向かって移動させる。下方に向かって培養容器10を移動させることにより、さらに、細胞の偏りが発生する可能性を減少させることができると考えられる。制御部15は、培養容器10が第2保持部11に対して相対的に移動する時、培養容器10が、回転しながら移動し、かつ、鉛直下方に向かって移動するように、第2移動部16を制御している。
本発明の細胞培養装置は、再生医療や創薬分野における細胞の培養において有用である。
1 細胞培養装置
2 ピペット
3 第1保持部
4 ポンプ
4a 三方弁
4b シリンジ
4c 流路
4d プランジャ
5 第1移動部
6 第1保管部
6a 第1蓋
7 第2保管部
7a 第2蓋
7b アクチュエータ
8 チューブ
9 チューブ保持部
9a 第3蓋
10 培養容器
10a 蓋
11 第2保持部
12 タンク
12a 第4蓋
13 操作部
14 遠心分離機
15 制御部
16 第2移動部
17 ヒータ
18 冷蔵庫
19 インキュベータ
20 第3保管部

Claims (9)

  1. 培養容器内の培地を用いて細胞を培養する細胞培養装置であって、
    第1保持部で保持されたピペットに接続されるポンプと、
    前記第1保持部を移動させる第1移動部と、
    前記培養容器を保持する第2保持部と、
    前記培養容器を把持して移動させる第2移動部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記ピペットが、前記培養容器の液体を吸引、または、前記培養容器へ液体を吐出する時、前記培養容器の蓋を前記第2移動部によって水平方向に平行移動させることで蓋が開いた状態になるように前記第2移動部を制御し、
    前記制御部は、剥離液を前記培養容器内に2回吐出する時、1回目の吐出時と2回目の吐出時とで互いに逆方向に前記培養容器が傾くように前記第2保持部を制御する、
    細胞培養装置。
  2. 前記制御部は、前記ピペットからの吐出開始時において前記培養容器の鉛直上側の内壁面を吐出の開始位置とするとともに、前記ピペットの先端が対向する位置が前記培養容器の傾斜面の高い位置から低い位置に向かって動くように、前記第1移動部を制御する、
    請求項1に記載の細胞培養装置。
  3. 前記制御部は、前記培養容器が前記第2保持部に対して相対的に移動し、かつ、前記培養容器が回転しながら移動するように、前記第2移動部を制御する、
    請求項1または2に記載の細胞培養装置。
  4. 前記制御部は、前記培養容器が前記第2保持部に対して相対的に移動する時、前記培養容器鉛直下方に向かって移動するように、前記第2移動部を制御する、
    請求項3に記載の細胞培養装置。
  5. 前記制御部は、前記培養容器に対する前記液体の吐出が完了する時、前記ピペットの先端が前記培養容器内の培地の液面に位置するように、前記第1移動部を制御する、
    請求項1から4いずれか1項に記載の細胞培養装置。
  6. 前記制御部は、前記第1保持部から前記ピペットが取り外される時、前記第1保持部が前記ピペットに対して相対的に上方に移動しながら左右に動くように、前記第1移動部を制御する、
    請求項1から5いずれか1項に記載の細胞培養装置。
  7. 前記制御部は、前記ポンプの原点位置が吐出限界位置より吸引方向にシフトした位置に
    設定されるように、前記ポンプを制御する、
    請求項1から6いずれか1項に記載の細胞培養装置。
  8. 予備ピペットを保管する第1保管部と、培地が入ったチューブを保持するチューブ保持
    部と、培地を廃棄するためのタンクと、廃棄ピペットを保管する第2保管部とを、さらに備え、
    前記第1保管部、前記チューブ保持部、前記タンク、及び、前記第2保管部は、それぞれ蓋を備える、
    請求項1から7いずれか1項に記載の細胞培養装置。
  9. 第1保持部で保持されたピペットに接続されるポンプと、
    前記第1保持部を移動させる第1移動部と、
    培養容器を保持する第2保持部と、
    前記培養容器を把持して移動させる第2移動部と、
    制御部と、を備えた細胞培養装置を使用し、
    前記培養容器内の培地を用いて細胞を培養する細胞培養方法であって、
    前記第1保持部が前記ピペットを保持し、
    前記第2移動部が前記培養容器を把持して移動させた後、
    前記培養容器の蓋が前記第2移動部によって水平方向に平行移動した状態で、前記第1保持部に保持された前記ピペットが前記培養容器の液体を吸引または前記培養容器へ液体を吐出し、
    剥離液を前記培養容器内に2回吐出する時、前記制御部が1回目の吐出時と2回目の吐出時とで互いに逆方向に前記培養容器が傾くように制御する、
    細胞培養方法。
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