図1、図2を用いて、画像形成システムの概略構成について説明する。図1において、画像形成システム1は、画像形成装置100と、画像形成装置100に取り外し可能に装着されるオプション給紙装置150、160、170、180を備えた画像形成システムである。実施例において、画像形成装置100は、単色の画像を形成するプリンタである。なお、画像形成装置100は、2色以上の現像剤を使用する多色の画像形成装置であってもよい。画像形成システム1は、印刷装置、複写機、複合機、ファクシミリであってもよい。さらに、画像形成装置100に対するオプション給紙装置の接続数は少なくとも1つ以上であればよい。
図1において、オプション給紙装置150、160、170、180は、画像形成装置100から供給される駆動力によって給紙や搬送を実行する。図2によれば、画像形成装置100は、少なくとも一つの搬送モータ145を備えている。搬送モータ145は、画像形成装置100に具備された駆動クラッチ146を介して、給送ローラ102、152、162、172、182および搬送ローラ153、163、173、183を駆動する。このように、搬送モータ145は、給紙装置で記録材を搬送するための駆動力を給紙装置に供給する駆動手段として機能する。
図1において、給紙トレイ101は画像形成装置100の本体に具備された用紙カセットである。用紙は、記録材、記録媒体、シート、転写材、転写紙と呼ばれることもある。図2に示した搬送モータ145が回転しているときに、駆動クラッチ146を切断から接続に切り替えると、給紙ソレノイド147に駆動力が伝達する。給紙ソレノイド147が給紙ローラ128を駆動すると、給紙トレイ101に収納されている用紙が給紙ローラ128によって給送ローラ102へと送り出される。給送ローラ102は、搬送モータ145から供給された駆動力にしたがって回転し、用紙を搬送路140へ送り出す。トレイ用紙有無センサ129は給紙トレイ101内に用紙が残っているか否かを検知するセンサである。給紙トレイ151、給紙トレイ161、給紙トレイ171および給紙トレイ181は給紙トレイ101と同様に用紙(記録材)を収容する収容手段である。
オプション給紙装置150において、給紙ソレノイド156を駆動することによって、搬送モータ145によって回転している給紙ローラ155が用紙に当接する。これにより、給紙トレイ151から用紙が給送ローラ152へ送り出される。給紙ソレノイド156や給紙ローラ155は、画像形成装置から供給された駆動力によって収容手段から記録材を給紙する給紙手段の一例である。給送ローラ152は、搬送モータ145から伝達された駆動力に従って回転し、用紙を、搬送ローラ153へ送出する。さらに、搬送ローラ153は、搬送モータ145から伝達された駆動力に従って回転し、給紙トレイ151またはオプション給紙装置150よりも下段に接続されたオプション給紙装置から搬送されてきた用紙を搬送路140へ向けて送り出す。搬送路センサ154は、給紙トレイ151またはオプション給紙装置150よりも下段に接続されたオプション給紙装置から搬送されてきた用紙を検出するセンサである。トレイ用紙有無センサ157は給紙トレイ151内に用紙が残っているか否かを検知するセンサである。トレイ用紙有無センサ157は、収容手段に記録材が収容されているか否かを検知する第1の検知手段の一例である。
オプション給紙装置160において、給紙ソレノイド166を駆動することによって、搬送モータ145によって回転している給紙ローラ165が用紙に当接する。これにより、給紙トレイ161から用紙が給送ローラ162へ送り出される。給送ローラ162は、搬送モータ145から伝達された駆動力に従って回転し、用紙を、搬送ローラ163へ送出する。さらに、搬送ローラ163は、搬送モータ145から伝達された駆動力に従って回転し、給紙トレイ161またはオプション給紙装置160よりも下段に接続されたオプション給紙装置から搬送されてきた用紙を搬送路140へ向けて送り出す。搬送路センサ164は、給紙トレイ161またはオプション給紙装置160よりも下段に接続されたオプション給紙装置から搬送されてきた用紙を検出するセンサである。トレイ用紙有無センサ167は給紙トレイ161内に用紙が残っているか否かを検知するセンサである。
オプション給紙装置170において、給紙ソレノイド176を駆動することによって、搬送モータ145によって回転している給紙ローラ175が用紙に当接する。これにより、給紙トレイ171から用紙が給送ローラ172へ送り出される。給送ローラ172は、搬送モータ145から伝達された駆動力に従って回転し、用紙を、搬送ローラ173へ送出する。さらに、搬送ローラ173は、搬送モータ145から伝達された駆動力に従って回転し、給紙トレイ171またはオプション給紙装置170よりも下段に接続されたオプション給紙装置から搬送されてきた用紙を搬送路140へ向けて送り出す。搬送路センサ174は、給紙トレイ171またはオプション給紙装置170よりも下段に接続されたオプション給紙装置から搬送されてきた用紙を検出するセンサである。トレイ用紙有無センサ177は給紙トレイ171内に用紙が残っているか否かを検知するセンサである。
オプション給紙装置180において、給紙ソレノイド186を駆動することによって、搬送モータ145によって回転している給紙ローラ185が用紙に当接する。これにより、給紙トレイ181から用紙が給送ローラ182へ送り出される。給送ローラ182は、搬送モータ145から伝達された駆動力に従って回転し、用紙を、搬送ローラ183へ送出する。さらに、搬送ローラ183は、搬送モータ145から伝達された駆動力に従って回転し、給紙トレイ181またはオプション給紙装置180よりも下段に接続されたオプション給紙装置から搬送されてきた用紙を搬送路140へ向けて送り出す。なお、図1では、オプション給紙装置180の下段にオプション給紙装置は接続されていない例が示されているにすぎない。搬送路センサ184は、給紙トレイ181またはオプション給紙装置180よりも下段に接続されたオプション給紙装置から搬送されてきた用紙を検出するセンサである。トレイ用紙有無センサ187は給紙トレイ181内に用紙が残っているか否かを検知するセンサである。
画像形成装置100の本体に設けられている搬送ローラ103は、用紙をさらに搬送路140の下流方向へ搬送するローラである。用紙は、レジストローラ104およびレジストセンサ105によって搬送タイミングを調整され、画像形成部へと送出される。画像形成部は、転写ローラ107、現像ローラ108、帯電ローラ109、感光ドラム110、トナーカートリッジ111、折り返しミラー112及び光走査装置113などにより構成される。感光ドラム110は、静電潜像や現像剤(例:トナー)の像を担持する像担持体の一例である。帯電ローラ109は、感光ドラム110の表面へ一様に電荷を帯電させる。光走査装置113は、折り返しミラー112を介して感光ドラム110の表面に画像情報に応じた光束を照射することで潜像を形成する。潜像は、現像ローラ108によって現像されトナー像となる。用紙が感光ドラム110と転写ローラ107との間を通過する際に、トナー像が用紙へ転写される。用紙は定着器119を通過する。定着器119は、加熱されたヒータ118、ヒータの温度を検知するサーミスタ117、用紙を加熱する定着フィルム116及び用紙に圧力をかける加圧ローラ115などを備える。用紙が定着フィルム116と加圧ローラ115の間を通過することで、未定着のトナー像が用紙に定着する。トナー像が定着した用紙は、搬送ローラ120を経て、搬送路141に搬送される。片面画像形成(片面印刷)の場合、排紙ローラ122によって排紙口143から用紙が排紙される。一方、両面画像形成(両面印刷)の場合、排紙ローラ122を回転させるモータが逆回転を始め、第1面に画像が形成された用紙が搬送路142へ搬送される。その後、用紙は、両面搬送ローラ131、133を経て再び搬送路140へ搬送され、画像形成部によって用紙の第2面にトナー像が転写される。定着器119によって第2面のトナー像の定着処理を施されると、用紙は、排紙ローラ122によって排紙口143から排出される。
図3を用いて、画像形成システムの制御ユニットについて説明する。プリンタコントローラ301は、マイクロコンピュータを有し、ホストコンピュータ等の外部装置から受信した画像コードを画像形成装置100により印刷可能なビットデータに展開したり、プリンタエンジンの内部情報を表示装置に表示したりする。エンジン制御部302は、例えば、ROM、RAMなどを内蔵したワンチップマイクロコンピュータを有している。エンジン制御部302は、プリンタコントローラ301とシリアル通信によって情報を送受信し、プリンタエンジンの各部をプリンタコントローラ301の指示に従って制御する。
オプション給紙装置制御部309、312、315、318は、例えば、ROM、RAMなどを内蔵したワンチップマイクロコンピュータを有している。本実施例では、オプション給紙装置ごとに、オプション給紙装置制御部が設けられている。オプション給紙装置ごとに、複数のマイクロコンピュータを有していてもよい。オプション給紙装置制御部309、312、315、318は、エンジン制御部302と通信線を介したシリアル通信によって情報を送受信し、エンジン制御部302からの指示に従ってオプション給紙装置の各部を制御する。
例えば、最上段に装着されたオプション給紙装置150から給紙する場合、エンジン制御部302はオプション給紙装置制御部309に対して給紙を指示する。エンジン制御部302から給紙指示を受信したオプション給紙装置制御部309は、オプション用紙搬送制御部310に対して給紙動作を依頼する。給紙動作の依頼を受けたオプション用紙搬送制御部310は、給紙ソレノイド156を駆動する。これにより、用紙が給紙トレイ151から給紙される。オプション給紙装置制御部309、312、315、318も同様にエンジン制御部302から給紙指示を受信すると、対応するオプション用紙搬送制御部313、316、319に給紙を依頼する。オプション用紙搬送制御部313、316、319は、対応する給紙ソレノイド166、176、186を駆動する。これにより、給紙が実行される。なお、オプション給紙装置制御部309、312、315、318と、オプション用紙搬送制御部313、316、319はそれぞれ統合されてもよい。以下では、オプション用紙搬送制御部313、316、319がオプション給紙装置制御部309、312、315、318に統合されているものとして説明する。
用紙給送制御部304は、給送ローラ102や搬送ローラ103の回転開始や回転停止をエンジン制御部302の指示に従って制御する。高圧制御部305は、帯電、現像、転写の各高圧(数百〜数千ボルト)の出力制御を、エンジン制御部302からの指示に基づき行う。光学系制御部306は、光走査装置113に搭載されたスキャナモータの駆動/停止や、レーザの点滅などを、エンジン制御部302の指示に従って実行する。定着温度制御部307は、定着器119の温度がエンジン制御部302により指示された目標温度を維持するよう調整する。両面制御部308は、エンジン制御部302の指示に従って、両面搬送ローラ131、133の回転を制御する。
図4は、本実施例における3線式のシリアル通信線を説明する図である。1回の通信はエンジン制御部302からの命令の送信と、この命令に対するオプション給紙装置制御部からの返答の受信とからなる。本実施例では時刻t1からt9まで1回の通信周期を示しており、通信周期の長さは10msである。
同期信号Syncはエンジン制御部302からオプション給紙装置制御部309、312、315、318に送信され、エンジン制御部302とオプション給紙装置制御部309、312、315、318が同期するための信号である。送信信号TxDは、エンジン制御部302からオプション給紙装置制御部309、312、315、318に送信される命令などの信号である。受信信号RxDは、オプション給紙装置制御部309、312、315、318からエンジン制御部302に送信される返答などの信号である。同期信号Sync、送信信号TxD、受信信号RxDは、画像形成装置100に接続されるすべてのオプション給紙装置で共用される。つまり、3本のシリアル通信線がエンジン制御部302とオプション給紙装置制御部309、312、315、318との間に張られている。エンジン制御部302とオプション給紙装置制御部309、312、315、318は、それぞれシリアル通信回路を内蔵している。
時刻t1で、エンジン制御部302は送信信号TxDをローレベルにする。送信信号TxDを検知したオプション給紙装置制御部309、312、315、318は、受信信号RxDをハイレベルからローレベルに切り替える。
時刻t2で、エンジン制御部302は、同期信号Syncに同期して8ビットの送信信号TxDをオプション給紙装置に送信する。この送信信号TxD内には、命令を実行すべき対象であるオプション給紙装置を指定する識別情報が含まれている。オプション給紙装置制御部309、312、315、318は、送信信号TxDを受信すると識別情報を抽出し、抽出した識別情報が自己の識別情報でなければ、受信信号RxDをHi−zに設定する。一方、オプション給紙装置制御部309、312、315、318は、抽出した識別情報が自己の識別情報であれば、送信信号TxDに含まれている命令要素を抽出する。
時刻t3で、エンジン制御部302は同期信号Syncに同期して8ビットの送信信号TxDをオプション給紙装置に対して送信する。オプション給紙装置制御部309、312、315、318のうち識別情報が一致したオプション給紙装置制御部は、送信信号TxDに含まれている命令要素を抽出する。さらに、このオプション給紙装置制御部は、時刻t2から時刻t3で受信した命令要素と、時刻t3から時刻t4で受信した命令要素とから1つの命令を組み立ててその命令を認識する。
時刻t4で、エンジン制御部302は同期信号Syncを停止し、送信信号TxDをハイレベルに切り替え、オプション給紙装置制御部からの返答を待つ。オプション給紙装置制御部は、受信した命令に従ってデータ処理を実行する。データ処理は、上述した給紙ソレノイドの駆動であったり、給紙許可情報の生成であったり、センサ情報の生成であったりする。給紙許可情報は、オプション給紙装置が給紙可能か否かを示す情報である。センサ情報は、例えば、トレイ用紙有無センサ157、167、177、187の検知結果や搬送路センサ154、164、174、184の検知結果などである。
時刻t5で、データ処理の終わったオプション給紙装置制御部は、受信信号RxDをローレベルからハイレベルに切り替える。
時刻t6で、エンジン制御部302は、受信信号RxDがハイレベルに切り替わったことを検知して、同期信号Syncを出力する。オプション給紙装置制御部は同期信号Syncに同期して命令に対応した8ビットの返答データを送信する。
時刻t7で、エンジン制御部302は同期信号Syncを出力する。オプション給紙装置制御部は同期信号Syncに同期して命令に対応した8ビットの返答データを送信する。
時刻t8で、エンジン制御部302はオプション給紙装置制御部から受信した合計で16ビットの返答データを組み立ててオプション給紙装置からの情報を認識する。
時刻t9で、エンジン制御部302は、次のシリアル通信を実行するために送信信号TxDをハイレベルからローレベルに切り替える。送信信号TxDをハイレベルからローレベルに切り替割ったことを検知したオプション給紙装置制御部309、312、315、318は受信信号RxDをローレベルに切り替える。
図5は、エンジン制御部とオプション給紙装置制御部とによって実現される各機能を示している。エンジン制御部302は、給紙タイミング生成部501、オプション給紙可否判定部502、給紙指示部510として機能する。給紙タイミング生成部501は、画像形成装置100の設計段階で定められたスループットを満たすタイミングを生成する。図6によれば、スループットを満たすタイミングの周期はTaである。このように、給紙タイミング生成部501は、画像形成装置が単位時間当たりで画像形成する記録材の枚数であるスループットが一定となるように予め設定された給紙タイミングを生成する。
オプション給紙可否判定部502は、シリアル通信を介して受信した給紙許可情報に基づいてオプション給紙装置150、160、170、180が給紙可能か否かを判定する。つまり、オプション給紙可否判定部502が給紙可能と判定すると、給紙タイミング生成部501が生成した給紙タイミングに同期して給紙指示部510が給紙命令を生成し、シリアル通信によりオプション給紙装置に給紙命令を送信する。どのオプション給紙装置から給紙するからは、プリンタコントローラ301が指定するものとする。よって、給紙指示部510は、プリンタコントローラ301が指定したオプション給紙装置の識別情報と、給紙命令とを含んだ送信信号TxDを生成して送信する。このように、給紙指示部510は、予め設定されたタイミングにおいて給紙装置から受信した給紙情報が給紙を許可することを意味する情報であれば、通信線を介して給紙装置に対して給紙命令を送信する画像形成装置制御として機能する。予め設定されたタイミングとは、画像形成装置が単位時間当たりで形成する記録材の枚数であるスループットが一定となるように設定されたタイミングである。給紙情報とは、給紙を許可する許可情報又は給紙を禁止する禁止情報である。給紙指示部510は、測定手段によって測定された間隔ごとの給紙タイミングとなったときの給紙情報が給紙を許可することを意味する情報であると給紙可否判定手段が判定した場合、給紙命令を送信する手段として機能する。また、給紙指示部510は、給紙タイミングが到来したときの給紙情報が給紙を禁止することを意味する情報であると給紙可否判定手段が判定した場合、給紙命令を送信しない画像形成装置制御手段として機能する。
オプション給紙装置制御部309、312、315、318は給紙判定部503、給紙制御部504、給紙許可情報生成部505、給紙許可部506、計測部507、検知部508および給紙禁止部509として機能する。給紙判定部503は、エンジン制御部302から受信した給紙命令と、計測部507で計測した時間とから給紙動作を行うか否かを判定する。給紙判定部503か給紙動作を実行すると判定したことを通知された給紙制御部504は、給紙ソレノイドの駆動などの給紙動作を実行する。さらに、給紙制御部504が給紙動作を実行することを通知された給紙禁止部509は、給紙禁止命令を給紙許可情報生成部505に通知する。給紙禁止命令を通知された給紙許可情報生成部505は、給紙禁止を示す情報に給紙許可情報を変更する。このように、給紙禁止部509や給紙許可情報生成部505は、給紙手段が記録材を給紙したときに画像形成装置に対して給紙の禁止を意味する給紙情報を送信する禁止手段として機能する。
また、給紙制御部504が給紙動作を実行すると、用紙が搬送路センサに到着する。検知部508は、搬送路センサが出力する検知信号を受信することで、用紙を検知する。通常、用紙が搬送路センサを通過中のときは検知信号がローレベルとなり、通過していないときは検知信号がハイレベルとなる。つまり、搬送路センサが用紙の先端を検知すると検知信号がハイレベルからローレベルに切り替わり、搬送路センサが用紙の後端を検知すると検知信号がローレベルからハイレベルに切り替わる。検知部508が用紙の先端を検知したことを通知されると計測部507は、先端を検知したタイミングを起点とした経過時間Tを計測する。検知部508や搬送路センサ154、164、174、184は、給紙手段により給紙された記録材の先端及び後端を検知する第2の検知手段として機能する。
トレイ用紙有無センサ157、167、177、187の検知信号にもとづいてオプション給紙装置制御部309、312、315、318が給紙トレイ内の用紙有無を確定するにはある程度の処理時間T1が必要となる。給紙許可部506は、給紙トレイに収納されている用紙のサイズ(搬送方向の長さ)を検知し、検知したサイズに対応した搬送時間T2を決定する。サイズと搬送時間T2との関係は予め数式化されていてもよいし、テーブルによって管理されていてもよい。サイズを検知するセンサは公知のものを使用できる。このように、搬送時間T2は、記録材の搬送方向における長さに対応した搬送時間である。
ところで、搬送路センサ154、164、174、184が検出可能な紙間(先行する用紙の後端から後続の用紙の先端までの距離)には一定の制限があり、ある間隔よりも短い紙間を検出することができない。ここでは、検出可能な最低の紙間に対応した搬送時間T3とする。つまり、搬送時間T3は、検知手段で検知可能な紙間のうち最も短い紙間に対応した時間である。また、搬送時間T2に搬送時間T3を加算して得られる和の搬送時間をT4とする。ここで、オプション給紙装置制御部309、312、315、318は、記録材の搬送方向における長さに対応した搬送時間と検知手段で検知可能な紙間のうち最も短い紙間に対応した時間とを加算して和を決定する加算手段として機能する。また、T4は、記録材の搬送方向における長さに対応した搬送時間と前記第2の検知手段で検知可能な紙間のうち最も短い紙間に対応した時間とを加算して得られる第2の時間の一例である。
給紙許可部506は、事前に、処理時間T1と搬送時間T4とのいずれが長いかを判定し、より長いほうの時間をT5とする。このように時間T5は、時間Bの一例である。また、給紙許可部506は、加算手段により決定された和と、検出手段が収容手段に記録材が収容されているか否かを検出するのに必要となる検出時間とのうちいずれか長いほうの時間を判別する判別手段として機能する。また、処理時間T1と搬送時間T4とのうち、判別手段が判別したより長いと判定したほうの時間を給紙許可部506は時間B(T5)として使用する。
給紙許可部506は、計測部507が計測した経過時間Tが、時間T5よりもシリアル通信に要する時間T6だけ手前のタイミングになったか否を判定する。つまり、給紙許可部506は、時間T5から時間T6を減算することで時間Tbを算出し、経過時間Tが時間Tbに一致したかどうかを判定する。このように、時間T6は、時間Bから、画像形成装置と給紙装置とが通信線を通じて通信する際の通信時間を減算して得られた差の時間である時間Aの一例である。また、給紙許可部506は、時間Bから、画像形成装置と給紙装置とが通信線を通じて通信する際の通信時間を減算することで差の時間として時間Aを決定する減算手段として機能する。給紙許可部506は、減算手段が決定した時間A(tb)を使用する。
給紙許可部506は、経過時間Tが時間Tbに一致すると、給紙許可部506は給紙許可状態になったことを給紙許可情報生成部505に通知する。この通知を受けた給紙許可情報生成部505は、給紙許可を意味する給紙許可情報を生成し、シリアル通信を介してエンジン制御部302へ送信する。このように、給紙許可部506や給紙許可情報生成部505は、計測手段により計測された経過時間Tが予め定められた時間A(Tb)を越えると、通信線を介して画像形成装置に対し、給紙を許可することを意味する給紙情報を送信する許可手段として機能する。つまり、給紙装置制御手段は、測定手段によって計測された時間が、第1の検知手段により記録材が収容されているか否かを検知するまでの第1の時間と前記第2の検知手段により記録材の先端が検知されてから後端が検知されるまでの第2の時間のうち長い方の時間から、給紙情報を画像形成装置に送信するためにかかる時間を引いた時間となると給紙情報を送信する。なお、ここでは、給紙許可部506が時間の管理を行うものとして説明したが、後述するように給紙判定部503が時間の管理をしてもよい。
このように、本実施例では、用紙の先端が搬送路センサに到着してからの経過時間Tが、トレイ内の用紙有無が確定する処理時間T1と給紙した用紙長とセンサで検出できる最低の紙間を加算した長さを搬送するのにかかる搬送時間T4とのうちいずれか長いほうの時間T5になるまでは、たとえば、給紙判定部503が給紙命令を受け取っていたとしても給紙すると決定しないようになる。なお、シリアル通信には給紙許可情報を送信してから給紙命令を受け取るまでの所定の時間T6が必要となるため、給紙許可情報は時間T6だけ前倒しして送信されることになる。
[タイミングチャートの説明]
図6は、画像形成システム1におけるオプション制御を時系列に示したタイミングチャートである。上から順番に給紙タイミング生成部501の給紙タイマのタイマ値(i)、給紙ソレノイドの駆動信号(ii)、搬送路センサの検知信号(iii)、給紙可能情報(iv)、オプション給紙装置側の給紙タイマのタイマ値(v)を示している。なお、本実施例ではオプション給紙装置150からの連続して複数の用紙を給紙して連続印刷を実行している途中で一部の紙間が狭くなった例について説明する。 エンジン制御部302の給紙タイミング生成部501は給紙タイマを備え、給紙タイマを使用して給紙タイミングを生成する。つまり、給紙タイミング生成部501は、給紙タイマが周期Taを計測するごとにタイミング信号を給紙指示部510に出力する。この給紙タイマは、給紙タイミングがスループットに比例した一定間隔のタイミングとなるように一定間隔を測定する測定手段の一例である。
給紙ソレノイド156は駆動信号がハイレベルのときに動作し、駆動信号がローレベルのときは動作を停止している。搬送路センサ154が用紙を検知しているときは検知信号がローレベルとなり、用紙を検知していないときは検知信号がハイレベルとなる。給紙可能情報は、ローレベルのときは給紙許可を示し、ハイレベルのときは給紙禁止を示す。オプション装置側の給紙タイマは計測部507に備えられている。給紙タイマは、給紙した用紙の先端が搬送路センサ154に到達した時点からの経過時間Tを計測するタイマである。この給紙タイマは、第2の検知手段で記録材の先端を検知すると時間の計測を開始する計測手段の一例である。
時刻t11で、エンジン制御部302の給紙指示部510は、給紙タイミング生成部501の給紙タイマが給紙タイミングとなり、かつ、給紙許可情報が給紙可能を示すと、オプション給紙装置150に給紙命令を送信する。給紙命令を送信したエンジン制御部302は給紙タイミング生成部501の給紙タイマにスループットが一定となるような時間Taを設定する。給紙タイマは加算タイプでもよいし、減算タイプでもよい。シリアル通信により給紙命令を受信したオプション給紙装置150の給紙判定部503は、計測部507の給紙タイマがセットされているか否かを判定する。給紙タイマがセットされていなければ、給紙判定部503は、給紙制御部504に給紙動作を指示する。これにより、給紙制御部504は、駆動信号をハイレベルにすることで給紙ソレノイド156を駆動する。また、給紙許可情報生成部505は、給紙禁止部509からの通知にしたがって給紙可能情報を給紙禁止に変更する。
時刻t12で、あらかじめ想定されたタイミングで搬送路センサ154へ用紙の先端が到達する。給紙許可部506は、処理時間T1と搬送時間T4のうちいずれか長い方の時間(T5)を計測部507の給紙タイマにセットする。
時刻t13で、給紙許可部506は、時刻t12でセットした給紙タイマの残り時間(T5−T)が通信時間T6よりも短くなったことを検知する。つまり、経過時間Tが時間Tbに一致すると、給紙許可部506は給紙許可状態になったことを給紙許可情報生成部505に通知する。これにより、給紙許可情報生成部505に給紙許可情報を給紙許可に変更する。
時刻t14で、給紙タイミング生成部501の給紙タイマのタイマ値が給紙タイミングを示すタイマ値となる。このとき、給紙許可情報が給紙許可であることを示していれば、給紙指示部510は、オプション給紙装置150に連続印刷を実行するために2枚目の用紙の給紙命令を送信する。給紙命令を送信したエンジン制御部302は給紙タイミング生成部501の給紙タイマにスループットが一定となるような時間Taを設定する。シリアル通信により給紙命令を受信したオプション給紙装置150の給紙判定部503は、計測部507の給紙タイマがセットされているか否かを判定する。給紙タイマがセットされていなければ、給紙判定部503は、給紙制御部504に給紙動作を指示する。これにより、給紙制御部504は、駆動信号をハイレベルにすることで給紙ソレノイド156を駆動する。また、給紙許可情報生成部505は、給紙禁止部509からの通知にしたがって給紙可能情報を給紙禁止に変更する。
時刻t15で、あらかじめ想定されたタイミングで搬送路センサ154へ用紙の先端が到達する。給紙許可部506は、処理時間T1と搬送時間T4のうちいずれか長い方の時間(T5)を計測部507の給紙タイマにセットする。
時刻t16で、給紙許可部506は、時刻t15でセットした給紙タイマの残り時間(T5−T)が通信時間T6よりも短くなったことを検知する。つまり、経過時間Tが時間Tbに一致すると、給紙許可部506は給紙許可状態になったことを給紙許可情報生成部505に通知する。これにより、給紙許可情報生成部505に給紙許可情報を給紙許可に変更する。
時刻t17で、給紙タイミング生成部501の給紙タイマのタイマ値が給紙タイミングを示すタイマ値となる。このとき、給紙許可情報が給紙許可であることを示していれば、給紙指示部510は、オプション給紙装置150に連続印刷を実行するために3枚目の用紙の給紙命令を送信する。給紙命令を送信したエンジン制御部302は給紙タイミング生成部501の給紙タイマにスループットが一定となるような時間Taを設定する。シリアル通信により給紙命令を受信したオプション給紙装置150の給紙判定部503は、計測部507の給紙タイマがセットされているか否かを判定する。図6によれば、時刻T17において、給紙タイマがセットされているため、給紙判定部503は、給紙制御部504に給紙動作を指示しない。
時刻t18で、計測部507の給紙タイマのタイマ値が時間T5に達する。これを検知した給紙判定部503は、給紙制御部504に給紙を指示する。給紙制御部504は給紙ソレノイド156を駆動する。給紙禁止部509は、給紙可能情報を給紙禁止にするよう給紙許可情報生成部505に通知する。
このように、給紙判定部503や給紙制御部504は、画像形成装置制御手段から給紙命令を受信したとしても、計測手段により計測された時間が時間Aよりも長い時間Bになるまでは、給紙手段による記録材の給紙を遅延させる給紙装置制御手段として機能する。つまり、給紙判定部503や給紙制御部504は、計測手段によって計測された時間が、第1の検知手段により記録材が収容されているか否かを検知するまでの第1の時間と第2の検知手段により記録材の先端が検知されてから後端が検知されるまでの第2の時間のうち長い方の時間となると給紙情報を送信する給紙装置制御手段として機能する。
時刻t19で、給紙された用紙が想定よりも早いタイミングで搬送路センサ154へ到達する。このとき、給紙許可部506は、時間T5を計測部507の給紙タイマにセットする。
時刻t20で、給紙許可部506は、時刻t19でセットした給紙タイマの残り時間(T5−T)が通信時間T6よりも短くなったことを検知する。つまり、経過時間Tが時間Tbに一致すると、給紙許可部506は給紙許可状態になったことを給紙許可情報生成部505に通知する。これにより、給紙許可情報生成部505に給紙許可情報を給紙許可に変更する。
時刻t21で、給紙タイミング生成部501の給紙タイマのタイマ値が給紙タイミングを示すタイマ値となる。このとき、給紙許可情報が給紙許可であることを示していれば、給紙指示部510は、オプション給紙装置150に連続印刷を実行するために4枚目の用紙の給紙命令を送信する。給紙命令を送信したエンジン制御部302は給紙タイミング生成部501の給紙タイマにスループットが一定となるような時間Taを設定する。シリアル通信により給紙命令を受信したオプション給紙装置150の給紙判定部503は、計測部507の給紙タイマがセットされているか否かを判定する。給紙タイマがセットされていなければ、給紙判定部503は、給紙制御部504に給紙動作を指示する。これにより、給紙制御部504は、駆動信号をハイレベルにすることで給紙ソレノイド156を駆動する。また、給紙許可情報生成部505は、給紙禁止部509からの通知にしたがって給紙可能情報を給紙禁止に変更する。
本実施例によれば、給紙動作のバラつきにより紙間が狭くなったとしても、紙間をオプション給紙装置の給紙タイミングで補正することで、スループットを維持しつつ、重送を抑制し、連続印刷を継続できるようになる。具体的には、オプション給紙装置は、エンジン制御部から給紙命令を受信したとしても、給紙タイマにより計測された時間が時間Tbよりも長い時間T5になるまでは、給紙手段による記録材の給紙を遅延させる。よって、紙間を狭小化したときに給紙動作がばらついても、重送や搬送不良を抑制できる。また、スループットが一定となるタイミングが到来し、かつ、給紙情報が給紙を許可しているときに給紙命令が送信されるため、スループットも維持される。また、実施例によれば、画像形成装置と給紙装置とが通信線を介して通信するため、多数のセンサ用信号線を配置するシステムと比較して製造コストを抑制できる。また、オプション給紙装置の給紙タイミングを補正するだけで、搬送速度の変更は必要ない。そのため、搬送速度を可変にして重送や搬送不良を抑制しようとするシステムよりも、本実施例のシステムは安価に構成できる。