JP5864386B2 - 表面磁石型交流駆動同期モータから磁石を回収する方法およびその装置 - Google Patents
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Description
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
このSPMモータ1は、回転軸9、鉄芯5、永久磁石(ネオジム磁石)、カバー7によって構成された回転子(ロータ)2と、当該回転子2と相互作用して回転モーメントを発生させる固定子(ステータ)3、前記回転子2の回転軸9を支える軸受10などから構成される。
次に、磁石6全体あるいは一部を覆っているカバー7を抜きとる(図2−(3))。このカバーは、回転子2が高速回転中に永久磁石6が遠心力で脱落、飛散しないように、または異物巻き込みによる該永久磁石の破損などを防止するために取り付けられる場合が多い。
永久磁石6を覆っているカバー7を取り外し後に、永久磁石6の脱磁と接着力の無効化を行い、鉄芯5から永久磁石6を分離して取り外す(図2−(4))。
以下、図面を用いて説明する。
(1)磁石カバーの取り外し
図3に回転子(ロータ)2から、カバー7を取り外す方法の説明図を、図4に回転子2の回転軸9を把持する一般的なチャックの外観図を、図5に回転子2の外周部を複数の爪が均一な力で把持することが可能な多爪均一把持機構の模式図を示す。
アーク磁石SPMの外周にカバーをかぶせたモータの場合、永久磁石6の外側の曲率とカバー7の曲率が違う場合が多く、磁石6と磁石6の間に隙間22が生じ、ストロークが連動する把持チャックでは均一な力で把持することはできない。そこで本実施例では、図5に示すように複数個の爪19を持つ多爪チャックとし、爪はそれぞれ独立して動作することが可能な構成とした。駆動源に空圧や油圧を使うことにより、それぞれの爪が独立に動作し、かつ均一な推力(把持力)を得ることが可能となり、アーク磁石SPMのように外形が真円とならない場合であっても、より確実に把持することを可能とした。
(2)永久磁石の脱磁と分離
カバー取り外し後の回転子4から永久磁石6を脱磁、分離する処理方法の制御手順例を図6のステップS15からステップS20に示す。
高周波加熱システム38は、高周波コイル23、高周波電源24、整合トランス25、冷却水循環装置26、高周波ケーブル27により構成されている。
高周波を流すコイル23は、螺旋状に巻いた中心軸を鉛直方向に向け、コイル内部にチャックで把持した回転子を挿入して、加熱を行なえるような空間を設けている。図8に示すように、コイル23の中に挿入されたカバー取り外し後の回転子を加熱して、回転軸9の軸方向に加えた振動または衝撃に起因して磁石6が鉄芯5より分離されて落下し得るだけの空間を、高周波コイル23内部に設けている。コイル23に流された高周波により電磁波を発生して、内部に挿入された回転子が加熱されるが、加熱された回転子からの輻射熱によりコイルも加熱されるため、コイルのパイプの内部には冷却水が循環されている。
周波数と被加熱体に貫通する熱の深さには相関関係があり、一般的には5kHzから30kHzの低い周波数は、材料の深部にまで加熱を要求される厚い材料に、100kHzから400kHzの高い周波数は、小さな部品や浅い加熱に適していると言われている。本発明の永久磁石の加熱では、34±3kHzの周波数で効果を確認した。
ステップS16において、所定の周期で回転子4表面の磁石6の温度を測定して、温度が300℃に達していない場合には、再度ステップS15へ移り加熱を継続する。温度が300℃以上となっていれば、多少のオーバーシュートがあることを考慮して、ステップS17へ移って加熱を停止する。
図6のステップS18において、回転子(ロータ)4の回転軸9に対して、振動または衝撃を加える。
ステップS19において、全ての磁石6が回転子(ロータ)4の鉄芯5より分離したか否かを確認する。全ての磁石の分離が未完了の場合には、再びステップS18に移り、振動または衝撃を加えることを継続する。全ての磁石の分離が完了した場合には、ステップS20へ移り振動または衝撃の印加を停止する。ただし、所定時間の間、振動または衝撃を加え続けても分離しない磁石が存在する場合には、ステップS20へ移り振動または衝撃の印加を停止して、一部の磁石が残った回転子(ロータ)4を取り出す。
図9に示すフローチャートは、図6のS15からS20までの処理の別解を表わす。ここでは、磁石の磁力が完全に脱磁される前から、すなわち加熱により磁石の温度がキュリー温度に達する前より回転子4に振動または衝撃を加えることを開始して、磁石6が分離されることを確認して処理を終了させることにする。従って、磁石に残留磁気が残っていても、分離されれば所期の目的を達したことにする。
ステップS22において、周期的に磁石6の温度を測定して、例えば、測定温度が所定温度250℃以下であれば、ステップS21へ移り磁石の加熱を継続する。測定温度が所定温度250℃以上であればステップS23へ移り、回転子(ロータ)4に振動または衝撃を加えることを開始する。
磁石の分離を確認する方法は、図示してはいないが、例えば回転子(ロータ)4の周囲を撮像して画像処理によって磁石の分離を確認する方法、または回転子(ロータ)4から分離して落下した磁石を収容する受け皿を設置しておき、そこに取り付けた重量計の数値を確認する方法などが考えられるが、いずれの手段を採用してもよい。
全ての磁石が分離完了した場合、または所定時間の間振動または衝撃を加えたが一部の磁石が分離していない場合にステップS25へ移行し、それ以外の磁石の分離が未完了の場合はステップS28へ移行する。
ステップS27において、回転子(ロータ)4への振動または衝撃の印加を停止して、処理を終了する。
ステップS29において、磁石温度を測定して、磁石の温度がネオジム磁石のキュリー温度の310℃に達していない場合は、ステップS23へ移行して回転子(ロータ)4への振動または衝撃の印加を継続する。磁石の温度が310℃に到達している場合には、ステップS30で磁石6の加熱を停止して、ステップS23へ移行して回転子(ロータ)4への振動または衝撃の印加を継続する。
回転軸把持機構21は、回転子2の回転軸9を把持するための回転軸把持用爪17と回転軸把持チャックボディー16によって構成される。回転軸把持用爪17は回転軸把持チャックボディー16上で連動して移動することが可能で、爪を閉じることにより、回転子2の回転軸9を把持し、爪によって芯出しして固定することが可能となる。また、回転軸把持用爪17と回転軸把持チャックボディー16は、回転軸把持機構ボディー30に対し、前記回転軸把持用爪17が把持する回転軸と同軸に回転することが可能な構造となっている。
また、爪19および該爪19を支える多爪均一把持チャックボディー18は、スライドユニット32上に取り付けられ、前記多爪によって把持する回転子2の軸方向に移動することが可能な構造となっている。
先ず、回転軸把持機構21にて回転子2の回転軸9を回転軸把持用爪17にて把持・固定する(図14−(1)、ステップS31)。
次に、回転子2を取り付けるために一旦待避していた多爪均一把持機構20を回転子2のカバー7位置まで移動して、爪19にて把持・固定する(図14−(2)、ステップS32,S33)。
カバー7の抜き取りが完了したら、多爪均一把持機構20の爪19と、回転軸把持機構21の回転軸把持用爪17を開き、カバー取り外し後の回転子4とカバー7をカバー抜き取り装置41から取り外す(図15−(6)、ステップS37)。
先ず、カバー取り外し後の回転子4を加振チャック35で把持・固定する(図16−(1),(2)、ステップS41,S42)。
次に、スライドユニット37を駆動して、カバー取り外し後の回転子4を高周波加熱システム38のコイル23の上側へ移動する(図16−(3)、ステップS43)。
スライドユニット37の移動完了後、上下機構36にてカバー取り外し後の回転子4を高周波加熱システム38のコイル23内へ挿入する(図16−(4)、ステップS44)。
振動または衝撃を与える時間は、予め実験によって求めた一定時間とすると装置構成を簡略化できるが、例えば回転子(ロータ)4の周囲を撮像して、画像処理によって磁石の分離状態を確認する構成としても、同様の結果が得られる。
取り出し位置で、加振チャック35を開いて、鉄芯5を装置本体から取り外す(図17−(8)、ステップS50)。
2…回転子(ロータ)
3…固定子(ステータ)
4…カバー取り外し後の回転子
6…永久磁石(ネオジム磁石)
7…カバー
9…回転軸
10…軸受
11…カシメ部
14…固定ねじ
15…ヘッド部
16…回転軸把持チャックボディー
17…回転軸把持用爪
18…多爪均一把持チャックボディー
19…カバー把持用爪
20…多爪均一把持機構
21…回転軸把持機構
23…コイル
24…高周波電源
28…回転子保持機構
29…下面
32…スライドユニット
35…加振チャック
36…上下機構
37…スライドユニット
38…高周波加熱システム
41…カバー抜き取り装置
42…磁石分離装置
43…カバー抜き取り制御装置
44…磁石分離制御装置
Claims (5)
- 表面磁石型交流駆動同期モータから磁石を回収する方法であって、
使用済み表面磁石型の交流駆動同期モータから取り出された回転子の回転軸を回転軸把持機構で把持する工程と、
前記回転子の表面に貼られた磁石の外周部を保護するカバーの外側を、均一な推力で独立に駆動される複数本の爪を有するチャックを備えた多爪均一把持機構で把持する工程と、
前記回転子の回転軸を把持した回転軸把持機構と前記カバーを把持した多爪均一把持機構とを相対的に引き離す動作をさせて、前記回転子から前記カバーを抜き取る工程と、
前記カバー取り外し後の回転子を加振チャックで把持する工程と、
移動機構によって前記回転子を高周波加熱機構部内へ位置決める工程と、
前記高周波加熱機構部によって前記回転子をキュリー温度に達するまで加熱すると共に、加熱過程で磁石温度が所定温度(<キュリー温度)以上に達したら前記回転子に振動を加える工程と、
前記回転子表面の磁石の分離を確認して、磁石分離後の回転子を所定位置へ搬送する工程と、
を有することを特徴とする表面磁石型交流駆動同期モータから磁石を回収する方法。 - 前記回転子の外周部を保護するカバーを多爪均一把持機構にて把持する工程の後、
前記回転子の回転軸を把持する回転軸把持機構のチャック部爪を開放して、チャック部を回転させ、且つチャック部の爪を徐々に広げていく事により、回転子表面を覆っているカバーの端部の拡張を行う工程を更に加える
ことを特徴とする請求項1に記載の表面磁石型交流駆動同期モータから磁石を回収する方法。 - 使用済み表面磁石型の交流駆動同期モータから取り出した回転子の回転軸を把持する回転軸把持機構と、
前記回転子の表面に貼られた磁石の外周部を保護するカバーの外側を把持する、均一な推力で独立に駆動される複数本の爪を有するチャックを備えた多爪均一把持機構と、
前記回転子を把持した回転軸把持機構と多爪均一把持機構とを相対的に引き離す動作をさせて、前記カバーを抜き取る制御を行なう制御部とを備えた第1の装置と、
カバー取り外し後の回転子を加熱する高周波加熱機構部と、
前記カバー取り外し後の回転子を把持して、回転軸方向の振動を与える加振チャックと、
前記加振チャックを上下方向、水平方向に移動する移動機構と、
前記カバー取り外し後の回転子を前記加振チャックで把持して、前記高周波加熱機構部内へ位置決めて、キュリー温度に達するまで加熱すると共に、加熱過程で磁石温度が所定温度(<キュリー温度)以上に達したら前記回転子に振動を加え、前記回転子表面の磁石の分離を確認して、磁石分離後の回転子を所定位置へ搬送する制御を行なう制御部とを備えた第2の装置と、
を有することを特徴とする表面磁石型交流駆動同期モータから磁石を回収する装置。 - 前記多爪均一把持機構は、回転子の表面に貼られた磁石の外周部を保護するカバーの外側を回転子の半径方向に把持する複数の爪を有するチャックを備え、各爪は同一圧力の駆動源によって独立して動作して、均一な推力を持って回転子のカバーを把持する構成であり、爪の数は想定される回転子の表面に貼られた磁石の数と位相が異なるように決められていることを特徴とする請求項3に記載の表面磁石型交流駆動同期モータから磁石を回収する装置。
- 前記回転軸把持機構は、回転軸把持用爪、回転軸把持チャックボディー、および回転軸把持機構ボディーにより構成され、前記回転軸把持用爪は前記回転軸把持チャックボディー上で連動して移動が可能であり、前記回転軸把持チャックボディーは前記回転軸把持機構ボディー上で前記回転軸把持用爪が把持する回転軸と同軸に回転することが可能であり、
前記第1の装置の制御部が、前記回転子の外周部を保護するカバーを多爪均一把持機構にて把持した後、前記回転子の回転軸を把持する回転軸把持機構の前記回転軸把持用爪を開放して、前記回転軸把持チャックボディーを回転させ、且つ前記回転軸把持用爪を徐々に拡げていく事により、回転子表面を覆っているカバーの端部の拡張を行う制御を更に行うことを特徴とする請求項3に記載の表面磁石型交流駆動同期モータから磁石を回収する装置。
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