JP5337778B2 - 永久磁石の回収方法およびそのための装置 - Google Patents

永久磁石の回収方法およびそのための装置 Download PDF

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Description

本発明は、電動機や発電機等のように、永久磁石を構成要素として含む製品から、少なくとも永久磁石を効率良く回収する方法に関するものである。
モータ(電動機)は、家電製品や各種産業機器等の様々な製品に利用されており、最近では自動車についても、モータとエンジンで走行するハイブリッド自動車や、モータのみで走行する電気自動車が普及し始めており、その利用用途が益々広がる傾向にある。
モータには、誘導モータやブラシレス直流モータ(DCモータ)等、多くの種類が知られているが、モータのエネルギー効率向上の観点からして、誘導モータでは必要となる磁界電流が不要となり、二次銅損のない永久磁石を用いた内部磁石埋込型モータ(IPMモータ)が広く使われるようになっている。
IPMモータの断面構造を図1(概略説明図)に示す。永久磁石1は、電磁鋼板製のロータ(回転子)3に樹脂製のモールド材(図示せず)によって固定され埋め込まれている。ロータ3の外側がステータ(固定子)2であり、スロットにコイル4を巻いて電流を流すことによって、ロータ3を回転させる。IPMモータでは、永久磁石として強力な希土類磁石を用いることで、磁束密度を高くすることができ、モータの出力向上、小型化が可能になっており、利用価値の高いものとなっている。
IPMモータに用いられる永久磁石は、サマリウム・コバルト系磁石とネオジウム・鉄・ボロン系磁石(ネオジム磁石)等の希土類磁石が中心であるが、このうち高い磁気エネルギー積[磁束密度(B)と磁界(H)との積(BH)]を持ち、機械的強度に優れるとの理由によって、ネオジム磁石が主に用いられており、希土類磁石の90%以上の使用率を占めている。
ネオジム磁石に用いられるネオジウム(Nd)、ジスプロシウム(Dy)、プラセオジム(Pr)等の希土類元素は、その価格が高価であるばかりでなく、産出国も限られているので、資源の安定的な確保の観点からも、これらの元素を効率良く回収できる方法(リサイクル法)の確立が求められている。
しかしながら、ネオジム磁石のリサイクルに関しては、製造工程で発生するスクラップについてはその再利用が進められているものの、使用済のモータ(電動機)や発電機等の製品からの希土類磁石のリサイクルは困難である。その大きな原因の一つは、希土類磁石が電磁鋼板等と磁力によって強く結合しており、また樹脂製のモールド材も存在するため、解体しても手作業によりロータから磁石を取り除き、回収することが難しいためである。
こうしたことから、これまでモータ等の製品に含まれる永久磁石は、そのほとんどが回収、再利用されていない。特に、製品を粉砕した後に、粉砕物中に磁石が含まれていると、磁石が破砕機やコンベア等の鉄製部品に付着し、鉄、銅、アルミニウム等の有価金属のリサイクルの障害となる。
上記のような障害を回避するという観点から、鉄、銅、アルミニウム等の有価金属を回収するための前処理として、永久磁石の脱磁が検討されている。こうした技術として、特許文献1,2等に開示されているように、永久磁石を構成要素として含む製品を加熱炉で加熱して脱磁する方法や、特許文献3,4,5に開示されているように、モータ電圧に高周波電圧を印加し、誘導電流により発熱させて脱磁する方法等が提案されている。
しかしながら、これまで提案されている技術では、希土類磁石を空気中で加熱することになってしまい、希土類元素が酸化物を形成してしまうことから、磁石として再利用するためには、新たに磁石を還元する処理が必要となる。また磁石成分を分別回収できたとしても、磁石の化学的な再生処理が必要になることから、非常に効率が悪くなるという問題がある。しかも、脱磁の過程では、磁石固定用のモールド材や、銅線からなるコイル材をモールドしている樹脂成分が同時に加熱され、熱分解によりタール分や硫化水素などの有毒ガスが生成する。このため、作業の安全性を確保する必要があること、処理後の回収する磁石やコイルに用いられている銅線にタール分が付着することから、後工程の分別や再利用にも悪影響を与えることになる。
特開2001−110636号公報 特開2001−313210号公報 特許第3835126号公報 特開2006−254699号公報 特開2009−291070号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、少なくとも永久磁石を含む製品から、再利用可能な形態で永久磁石を効率良く回収できる方法、およびそのための有用な装置を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の永久磁石の回収方法とは、少なくとも永久磁石を含む製品を、過熱水蒸気中で加熱処理した後、前記製品から永久磁石を回収する点に要旨を有するものである。ここで過熱水蒸気とは、沸騰によって発生した蒸気(飽和蒸気)を圧力は変えずにさらに加熱した飽和温度より高温の蒸気のことであり、1気圧では100℃以上の水蒸気をいう。この過熱水蒸気を加熱源として用いることで、水蒸気の熱容量が大きいため、被処理物を急速加熱することが可能となる。また、処理後の過熱水蒸気は液化し、廃水として処理できるため、大きな排ガス処理設備が不要であるという利点がある。更に、過熱水蒸気中で永久磁石の加熱処理を行なうことによって、空気中で加熱した場合に起こる希土類磁石の酸化反応や炭化反応などの化学変化を抑制しつつ、永久磁石の脱磁を行なうことが可能になる。こうしたことから、永久磁石の回収が容易になるばかりではなく、回収後の磁石は脱酸素や脱炭素処理を行なうことなく磁石のリサイクル工程に戻すことができる。
尚、「過熱水蒸気中」とは、その雰囲気中に少量(化学反応を生じない程度)の空気を含み得るが、基本的には過熱水蒸気以外は不活性ガスである。
本発明で対象とする製品は、少なくとも永久磁石を構成要素として含む製品であり、こうした製品としては、エアコンや圧縮機等、様々なものが挙げられるが、電動機(モータ)、発電機等が好適に適用できる。
電動機や発電機には、永久磁石と共に、磁石固定用のモールド樹脂が使用されており、このモールド樹脂によって永久磁石がロータやステータ(前記図1)に固定されている。こうした状態で固定されている永久磁石に対して、本発明を適用することによって、永久磁石の脱磁と併せて、樹脂成分が酸素のない雰囲気で加熱され、樹脂が炭化し脆くなることで、磁石とモールド樹脂が容易に分離できるようになるという利点がある。このため、処理品からの磁石の回収作業が容易になり、過熱水蒸気処理後に永久磁石を電動機等より簡易に回収することができる。また、電動機や発電機のコイル材に使われている銅線についても、コイル材のモールド樹脂が磁石固定用のモールド樹脂と同時に過熱水蒸気による加熱により脆くなり、コイル材の銅線との分離が容易になるため、処理後のコイルを銅線として回収することが可能となる。
本発明で対象とする永久磁石としては、サマリウム・コバルト系磁石と比べてキューリー温度の低いネオジム磁石が好ましい。
過熱水蒸気の温度は、永久磁石のキューリー温度以上の温度、例えばネオジム磁石の場合には310℃以上の温度で処理することによって、完全に脱磁することができて好ましいが、キューリー温度に達しない温度であっても、磁石の残留磁束密度が十分低下するのであれば、磁石をロータやステータから取り外すのは比較的容易であり、同様の効果が得られる。
過熱水蒸気による加熱処理後の被処理物の冷却は、加熱時よりも低温の過熱水蒸気で被処理物を処理しながら、被処理物の温度をさげる方法により、水蒸気の持つ高い熱容量により被処理物から効果的に熱を奪い、磁石を酸化させずに、窒素などの不活性ガスによるパージなどを行なう場合と比較して、効率的に処理物の温度を下げることができる。
低温(冷却時)の過熱水蒸気の温度は、100℃以上、200℃以下が望ましい。この温度が100℃未満では、被処理物の温度を下げる過程で、水蒸気が結露し、被処理物を濡らす恐れがある。また、200℃を超える温度の過熱水蒸気を用いた場合には、水蒸気の温度が高いために、冷却効果が低下してしまうことになる。この過熱水蒸気の温度(低温の過熱水蒸気温度)の、望ましい範囲は、120℃以上、150℃以下である。
尚、被処理物を加熱処理するときの過熱水蒸気の温度は、冷却時の過熱水蒸気の温度よりも少なくとも高い温度である必要があるが、必ずしも200℃を超える温度とする必要はない。この場合は、加熱処理するときの過熱水蒸気の温度よりも低くなるように、上記温度範囲内で冷却時の過熱水蒸気の温度を適時設定すればよい。尚、加熱処理するときの過熱水蒸気の温度は500℃以上とすることが好ましく、被処理物に含まれる磁石を確実に消磁できる。また、被処理物を加熱処理するときの過熱水蒸気の温度の上限については、特に限定するものではないが、過熱蒸気配管の耐熱性や放熱による熱損という観点からして900℃以下であることが好ましく、また、回収対象である磁石の組成等の変化による材料特性の変化を防止するという観点から600℃以下であることがより好ましい。
本発明方法は、永久磁石が磁石固定用のモールド樹脂によりロータまたはステータに固定されており、コイル材(例えば、銅線)にモールド樹脂が付着している発電機または電動機を、過熱水蒸気で加熱処理することで、永久磁石とコイル材を同時に回収する方法も含むものである。永久磁石とコイル材は、電動機、発電機等を構成している材料の中で材料価格が高く、製品を粉砕することなく簡易に回収できれば、回収に要する費用が削減でき、大きな経済的メリットがある。
ハイブリッド自動車には電動機や発電機が用いられるが、ハイブリッド車に使用されている電動機や発電機から永久磁石を回収する場合のより具体的な方法としては、永久磁石を含んで構成される電動機および発電機と、エンジンと、パワートレインとを備えたハイブリッド自動車から前記永久磁石を回収するにあたり、エンジンおよびパワートレイン(例えば減速機)を取り除いた後、電動機および発電機に直接に過熱水蒸気を噴射して電動機および発電機を加熱し、永久磁石の脱磁を行ないつつ永久磁石を回収するようにすれば良い。こうした構成を採用することによって、完全にシステムを解体することなく、効率的に電動機および発電機に含まれる永久磁石の脱磁を行なうことができると共に、永久磁石の回収が可能となる。
一方、本発明に係る回収装置とは、少なくとも永久磁石を含んで構成される電動機または発電機が投入されて加熱される熱処理炉と、前記熱処理炉に導入するための過熱水蒸気を発生させる過熱器と、前記熱処理炉に供給された過熱水蒸気と被処理物から発生する排ガスを排出するための排出管と、熱処理炉に貯まった水を排出するための排水管と、を備えてなる点に要旨を有するものである。
上記のような構成を採用することによって、永久磁石の脱磁が効果的に行なえるものとなり、例えば破砕機やコンベア等の鉄製部品に永久磁石が付着することもなく、回収作業が円滑に行なえるものとなる。
本発明によれば、従来ではリサイクルが困難であったような電動機や発電機等に用いられている永久磁石を、過熱水蒸気中で加熱処理して脱磁と同時に、モールド樹脂の加熱処理による剥離を行なうことができるようになり、永久磁石の簡便な回収が実現でき、永久磁石の効率的な再利用が可能となる。併せて、モータ等に用いられているコイル材のリサイクルも永久磁石と同時に容易に行えるようになるので、その経済的効果は非常に大きい。
IPMモータの断面構造を示す概略説明図である。 本発明に係る回収装置の一構成例を示す概略説明図である。 本発明方法における熱処理パターンの一例を示すグラフである。 ハイブリッド自動車におけるシステムの一例を示す説明図である。 ハイブリッド自動車に使用される発電機およびモータの加熱方法の一例を示す説明図である。 ハイブリッド自動車に使用される発電機およびモータの加熱方法の他の例を示す説明図である。 本発明方法を実施するための手順を示すフロー図である。 加熱処理前・後のサンプルの状態を示す図面代用写真である。
前記図1に示した様に、永久磁石1は、モータのロータ3にモールド材(樹脂)と共に埋め込まれている。またステータ2には、樹脂でモールドされたコイル4が巻かれている。この様なモータから永久磁石1を回収するためには、脱磁を行なって磁力をなくすと共に、再利用のために永久磁石単独で分別回収するためには、モールド樹脂を効果的に除去する必要がある。
本発明者らは、上記目的を達成するために様々な角度から検討を重ねた。その結果、
少なくとも永久磁石を含む製品を、過熱水蒸気中で加熱処理するようにすれば、永久磁石を効果的に分別回収できることを見出し、本発明を完成した。
本発明に係る回収装置の一例を図2(概略説明図)に示す。モータ(電動機)10が入れられた過熱水蒸気による熱処理炉11には過熱水蒸気が供給される。この過熱水蒸気は、ボイラ12で水13から、都市ガス等の燃料や電気エネルギーを用いて水蒸気(スチーム)を生成させ、生成した水蒸気(スチーム)を、更に過熱器(水蒸気過熱器)14に導入管L1を介して導入することにより製造される。
過熱器14の加熱方式としては、電気式ヒーターや誘導加熱、都市ガスの燃焼等、様々な方式が採用可能であり、加熱方式は問わない。過熱器14で製造される過熱水蒸気には、水以外の成分はほとんど含まないが、被処理物中の樹脂や有機物の部分からは、例えば硫化水素等のガスが発生するため、熱処理炉11には、被処理物から発生する排ガスを排出するための排出管L2が設けられ、ガス冷却器15により排ガスを冷却した後、凝縮した水をドレン16として回収する。
また、過熱水蒸気中の水分の一部が熱処理炉11内で凝縮し、生成する液体の水を熱処理炉11より排出するための排水管L3が熱処理炉11の下部に設けられており、ドレン17として回収される。
尚、図2に示した装置では、ボイラ12で水蒸気(スチーム)を生成させ、この生成した水蒸気(スチーム)を、更に過熱器(水蒸気過熱器)14に導入して、過熱水蒸気とする構成を示したが、本発明の装置構成はこうしたものに限らず、ボイラを設けずに、水を加熱して過熱水蒸気を直接生成させるような過熱器だけで構成することもできる。
図3は、本発明方法における熱処理パターンの一例を示すグラフである。熱処理は高温過熱水蒸気を被処理物が入った容器に導入し、被処理物の温度を上げる。永久磁石の温度が磁石のキューリー温度(図中Tcで示す)以上で処理した後、被処理物の冷却は過熱水蒸気温度を下げ、例えば120〜150℃程度の過熱水蒸気を用いて行なう。この冷却工程を過熱水蒸気で行なうことで、水蒸気の持つ高い熱容量が利用でき、より効率的に被処理物を冷却することができる。
高温過熱水蒸気で加熱処理前および低温の過熱水蒸気で処理後の処理炉の雰囲気は、不活性ガスであることが好ましいが、空気を利用することもでき、この場合は、より簡易な設備で処理を実施することができる利点がある。つまり、低温の過熱水蒸気処理を導入することで、磁石が高温に曝されている高温過熱水蒸気処理および低温過熱水蒸気処理の間は、常に磁石は水蒸気雰囲気に曝されているため酸化することなく、不活性ガスを用いなくても処理が可能になる。
図4は、ハイブリッド自動車におけるシステムの一例を示す説明図である。ハイブリッド自動車にはモータ(電動機)および発電機が用いられるが、例えば図4に示されるようなシステムが採用されている。図4において、発電機22とモータ23、エンジン21はシャフト24で連結され、発電機22とモータ23の中間にギア25(中間ギア)が設けられ、チェーン26を介してドライブシャフト27を有する減速機28に連結されている。尚、図4中、29a,29bは発電機カバー、30a,30bはモータカバー、を夫々示している。
このような構造を持つシステムの全てを解体して、発電機やモータのみを取りだして磁石の脱磁処理を行なうためには多大な労力を要することになるが、下記に示すような方法により容易に、かつ効率的に磁石の脱磁が可能になる。
図5は、ハイブリッド自動車に使用される発電機およびモータの加熱方法の一例を示す説明図である。図5に示すように、図4に示した状態からエンジン21と減速機28を取り外し、更にモータカバー30a,30bを取り除いた後、開放部より、過熱水蒸気供給ノズル31を用いて、モータ23のロータに過熱水蒸気を噴射する。
このような構成を採用した場合には、加熱処理後の過熱水蒸気は、排出蒸気32として、減速機28が結合されていた開放部より排出される。このような方法で処理することで、システムを完全に解体することなく本発明の加熱処理が可能であると共に、モータの過熱水蒸気を供給する部分と蒸気を排気する部分以外はカバーで覆われているため、処理時に過熱水蒸気の外部への洩れが少なくなり、加熱効率が向上するという利点がある。
図6は、ハイブリッド自動車に使用される発電機およびモータの加熱方法の他の例を示す説明図である。図6に示したように、モータカバー30a,30bを取り除いた後の開放部と、減速機28を取り外した後の開放部の両方に、過熱水蒸気供給ノズル31、33を導入し、2か所からモータ23に過熱水蒸気を噴射してもよく、この場合は、前記図5に示した構成よりも更に効率的に加熱することができる。
前記図5、図6では、モータに過熱水蒸気を噴射して加熱する方法を示したが、勿論発電機22についてもモータ23と同様な方法で加熱することが可能であり、発電機に用いられている磁石を消磁し、リサイクルすることが可能である。
図7は、本発明方法を実施するための手順を示すフロー図である。本発明方法では、モータや発電機等のように永久磁石を使用した製品を過熱水蒸気により加熱処理を行なうものである。この際の過熱水蒸気の温度はキューリー点以上が望ましく、例えば、永久磁石がネオジム磁石の場合には、キューリー点は約310℃であるので、この温度以上で加熱処理することが好ましい。このキューリー点は、強磁性体が磁化を消失する温度であるが、このような温度以上で加熱処理することによって、永久磁石の脱磁が効果的に行なわれる。
例えばネオジム磁石では、ジスプロシウム(Dy)の含有量が増加するにつれてキューリー点は高くなるが、その含有量に併せて処理温度が高くなるように制御するのが良い。但し、加熱処理温度がキューリー点未満であっても、磁束密度が減少する減磁効果はあり、こうした減磁効果が発揮される限り、処理後の電動機から磁石を回収する操作が容易となる。また、実質的に脱磁が不完全であっても、減磁が起こる温度域で処理した後に磁石の回収リサイクルを行なうことも可能であり、この場合には200℃程度以上の温度で処理することで効果が認められる。
このように、高温の過熱水蒸気により電動機、発電機を処理することで、ステータやロータにモールド材により固定された永久磁石が、永久磁石の脱磁とモールド材の加熱による脆化により永久磁石がステータやロータから容易に取り外すことが可能となる。また、過熱水蒸気により処理された銅線のモールド材が、磁石のモールド材同様に加熱により脆化し、銅線と剥離するため、銅線が簡単に回収することが可能となる。つまり、過熱水蒸気処理により、モールド材により永久磁石が固定され、銅線が巻かれたロータ、ステータから、永久磁石と銅線を同時に不純物のない状態で回収することができる。
上記のようにして分別回収される永久磁石や銅線以外の材料(例えば、電磁鋼板、アルミニウム等)については、粉砕した後、磁力選別等の分離手法を用いてリサイクルすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
自動車用途に用いられているIPMモータ(内部磁石埋込型モータ)において、永久磁石(ネオジム磁石)を含むロータ部から、永久磁石を固定用のモールド材の付着した状態で取り出して試験用サンプルとして用いた。
試験用サンプルを、処理容器内で、過熱水蒸気を用いて420℃で30分間の処理を行った。図8(図面代用写真)に、加熱処理前・後のサンプルの状態を示す。処理前の希土類磁石には固定用モールド材が付着している状態である[図8(a)]。これに対して、過熱水蒸気で処理した後の希土類磁石はモールド材が加熱され、白色から茶褐色に変色すると同時に、磁石より簡単に剥がれる状態となっていた[図8(c)]。モールド材を取り除いた希土類磁石は、表面が金属光沢を帯びており、処理による酸化は認められなかった[図8(b)]。また、処理後の希土類磁石は磁性が消失していることが確認された。
以上のように、磁石固定用モールド材で固定された希土類磁石を、過熱水蒸気で加熱処理することで、希土類磁石の脱磁が行なわれ、磁石がロータに磁力で付着している状態を解消するだけでなく、磁石のモールド材を加熱により炭化させ、希土類磁石からモールド材を容易に取り除くことができるようになる。
下記表1に、スチーム生成器で発生させた水蒸気を電磁誘導加熱により過熱水蒸気として処理室に導入する装置を用いて、処理条件を変えて希土類磁石を含むロータおよびコイルを有するステータを、過熱水蒸気で処理した際の実験条件と処理後の磁石、モールド材の状態を示した。
この結果から、次のように考察できる。まず過熱水蒸気による処理温度が275℃の場合は、処理温度がキューリー温度よりも低いため、処理後のロータの永久磁石は磁力を失っていないことが処理後の評価で分かった(実験例1)。
これに対し、実験例2(処理温度400℃)および実験例3(処理温度420℃)では、処理温度がキューリー温度よりも高く、ロータの永久磁石は処理後その磁力を失っていることが確認された。また、磁石固定用のモールド材は炭化されて、脆化しており、磁石との分離は容易であった。更に、実験例2、3のいずれの条件でも、銅線コイルのモールドは溶融し、炭化している状態であり、コイルとの分離は容易であった。
1 永久磁石
2 ステータ
3 ロータ(回転子)
4 コイル
10 モータ(電動機)
11 熱処理炉
12 ボイラ
13 水
14 過熱器(水蒸気過熱器)
15 ガス冷却器
16,17 ドレン
21 エンジン
22 発電機
23 モータ
24 シャフト
25 ギア(中間ギア)
26 チェーン
27 ドライブシャフト
28 減速機

Claims (9)

  1. 少なくとも永久磁石を含む製品を、永久磁石のキューリー点以上の温度である過熱水蒸気中で加熱処理した後、前記製品から永久磁石を回収することを特徴とする永久磁石の回収方法。
  2. 永久磁石を含む製品が、電動機または発電機である請求項1に記載の永久磁石の回収方法。
  3. 永久磁石を含む製品は、モールド樹脂により前記永久磁石がロータまたはステータに固定されているものである請求項1に記載の永久磁石の回収方法。
  4. 永久磁石はネオジム磁石である請求項1〜3のいずれかに記載の永久磁石の回収方法。
  5. 前記過熱水蒸気による処理後に、より低い温度の過熱水蒸気で被処理物を処理しながら、被処理物の温度を下げるようにする請求項1〜のいずれかに記載の永久磁石の回収方法。
  6. 低い温度の過熱水蒸気温度は、100℃以上、200℃以下である請求項に記載の永久磁石の回収方法。
  7. 少なくとも永久磁石およびコイル材を含む製品を、永久磁石のキューリー点以上の温度である過熱水蒸気中で加熱処理した後、前記製品から永久磁石とコイル材を同時に回収することを特徴とする永久磁石の回収方法。
  8. 永久磁石を含んで構成される電動機および発電機と、エンジンと、パワートレインとを備えたハイブリッド自動車から前記永久磁石を回収するに当り、エンジンおよびパワートレインを取り除いた後、電動機および発電機に直接に過熱水蒸気を噴射して電動機および発電機を加熱し、永久磁石の脱磁を行ないつつ永久磁石を回収することを特徴とする永久磁石の回収方法。
  9. 少なくとも永久磁石を含んで構成される電動機または発電機が投入されて加熱される熱処理炉と、
    前記熱処理炉に導入するための過熱水蒸気を発生させる過熱器と、
    前記熱処理炉に供給された過熱水蒸気と被処理物から発生する排ガスを排出するための排出管と、
    熱処理炉に貯まった水を排出するための排水管と、
    を備えたものであることを特徴とする永久磁石の回収装置。
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