JP5862314B2 - 耐酸化性に優れた排気系部品用チタン合金材および、その製造方法ならびに、その合金材を用いた排気装置 - Google Patents

耐酸化性に優れた排気系部品用チタン合金材および、その製造方法ならびに、その合金材を用いた排気装置 Download PDF

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本発明は、四輪車、二輪車等自動車用の排気装置として使用されるチタン材料に関するものであり、メインマフラー部はもとより、一時的に800℃付近の高温に曝され、特に耐熱性、耐酸化性が要求されるエキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプや触媒マフラー等の部位に使用可能な軽量かつ耐食性、加工性、耐熱性・耐酸化性に優れたチタン合金材と本チタン合金材を用いた排気装置に関するものである。
チタン材料は、軽量でありながら高強度で耐食性も良好であることから自動車の排気装置にも使用されている。自動車やバイクのエンジンから排出される燃焼ガスは、エキゾーストマニホールドにより一つにまとめられ、エキゾーストパイプにより車両後方の排気口から排出される。エキゾーストパイプは、途中に触媒やマフラー(消音器)を入れるためいくつかに分割されて構成される。ここでは、エキゾーストマニホールドからエキゾーストパイプ、排気口までの全体を通して排気装置と称する。
こうした排気装置の素材には、従来のステンレス素材に代り、車輌軽量化の観点から最近二輪車を中心としてJIS2種の工業用純チタン材が使われるようになり、さらに、JIS2種の工業用純チタン材に代って、最近ではより耐熱性が高いチタン合金が使用されるようになってきた。排気ガスの有害成分除去のため、高温で使用する触媒を搭載したマフラーが出てきており、排気ガスの温度は、700℃を超え、一時的には800℃にまで達することがあると言われ、800℃前後の温度における強度、耐酸化性等、さらに600〜700℃におけるクリープ速度等の高温耐熱性の指標が重要視されるようになってきている。またその一方、こうした耐熱チタン合金は高温強度を向上させるため、AlやCu等の特殊な固溶強化元素を、さらにはNb等の耐酸化性向上元素を添加し、工業用純チタンよりも高コストであるため、四輪車への普及は進展しておらず、ごく限られた車種へ適用されたにすぎない。
こうした中で、Siを耐酸化性向上元素として添加した以外は、特殊な添加元素を含まないか添加量が少ない、低コストの耐熱チタン合金がいくつか提案されている。特許文献1では、構成元素としてFeとSiを含有する耐酸化性に優れたチタン合金が提案されている。特許文献2では、構成元素として0.3%未満AlとSiを含有する耐酸化性に優れたチタン合金が提案されている。特許文献3では、構成元素としてFe、Si、O(酸素)を含有する、室温において高強度なチタン合金が提案されている。
特開2001−89821号公報 特開2007−270199号公報 特開平10−17961号公報
特許文献1に記載の発明は、Feを1%超、5%以下、O(酸素)を0.05〜0.75%含み、さらにSiを0.01・e0.5[Fe]〜5・e-0.5[Fe]含むチタン合金である(ここで、[Fe]は合金中の含有率(mass%)を示し、eは自然対数の底数を示す)が、上記合金はFeとO合計含有量が多いため、室温における強度が800N/mm2を超えて強すぎ、伸びも20%以下と成形加工性に乏しいこと、Feを多く含有するため、600℃以上の高温における耐クリープ特性も良くないという問題がある。
また、特許文献2に記載の発明は、Alを0.30%未満、Siを0.15〜2%、AlとSiの合計で2%以下含有するチタン合金である。上記文献には、Alの下限が示されていないが、耐高温酸化性の観点で添加は必須で、実施例からみると0.05%の記載があるため、Alは実質0.05〜2%含むチタン合金である。Alの添加は成形加工性、特に肉厚が減じる方向で加工が起こる張り出し成形性に悪影響を与える上、AlとSiの複合添加は、コスト高に繋がるという問題がある。
特許文献3では、0.2〜1.0%のFe、0.15〜0.60%の酸素、0.20〜1.0%以下のSiを含有し、残部Tiおよび不可避不純物元素からなるチタン合金で、表面硬度が高いことが要求される時計ケース、バンド等の装身具用で、高酸素かつ高Feであるため、室温における強度が高く、かつ加工性(伸び)が小さく、自動車排気装置用の薄板を製造するには不向きであるという問題がある。
本発明は、一時的に700℃以上の高温に曝されることがあるエキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプや触媒マフラー等の部位に使用可能な、高温強度および耐酸化性、さらに成形性に優れ、かつ廉価な排気系部品用チタン合金材およびその合金材を用いた排気装置を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため、工業用純チタンのスクラップ使用を前提とした、FeとOを含む廉価な原料、低コストの製造方法を検討した。これに、800℃以上の耐高温酸化性を持たせるために必要な添加元素、および添加量を調査・検討し、室温において十分な加工性を保持させるため、FeとOの含有量、および合計量を検討、また、十分な耐酸化性と十分な加工性を実現するために適した結晶組織を形成する製造方法についても調査・検討した。
本発明はこのような知見に基づくものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)質量%で、Si:0.1〜0.6%、Fe:0.04〜0.2%、O:0.02〜0.15%であり、FeとOの含有量の合計が、0.10%以上、0.30%以下、残部Tiおよび、単独の含有量が0.04%未満の不可避的不純物からなることを特徴とする、耐酸化性に優れた700℃以上の温度に曝される排気系部品用チタン合金材。
(2)チタン合金材がシリサイドを含むα単相合金であることを特徴とする、(1)記載の耐酸化性に優れた700℃以上の温度に曝される排気系部品用チタン合金材。
(3)700℃、10N/mm2の5%クリープ時間25時間以上であることを特徴とする、(1)又は(2)記載の耐酸化性に優れた700℃以上の温度に曝される排気系部品用チタン合金材。
(4)溶解、熱延、冷延、最終焼鈍の工程を経て製造されるチタン合金板の製造方法において、前記最終焼鈍を600〜800℃の温度域にて行うことを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の耐酸化性に優れた700℃以上の温度に曝される排気系部品用チタン合金材の製造方法。
(5)溶解方法が電子ビーム溶解であることを特徴とする、(4)に記載の耐酸化性に優れた700℃以上の温度に曝される排気系部品用チタン合金材の製造方法。
(6)エキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプ、触媒、マフラーのいずれか1または2以上の700℃以上の温度に曝される部品が、(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のチタン合金材で構成されていることを特徴とする排気装置。
本発明によれば、軽量かつ高温で十分な強度があり、耐酸化性に優れ、かつ室温における加工性が良好で、かつ廉価なチタン合金を、溶解・圧延により製造、提供することが可能になり、四輪車、二輪車等自動車の排気装置の軽量化が大きく進み、地球環境および産業上の貢献が極めて顕著である。
本発明者らは、高温における耐クリープ性、耐酸化性に優れ、かつ室温において十分な加工性を有するチタン合金を廉価に提供すべく、スクラップ使用を前提とし、かつ高温特性については安価な添加元素の最小限の添加ですむようなチタン合金の組成・組織と特性の関係について鋭意研究を重ねた結果、SiとFe、Oの適正な含有範囲の組み合わせにより、良好な室温加工性と高温特性が得られることを見出した。
700℃を超える高温での耐高温酸化性は、Siの添加によって得られる。Siは高温に晒された際、表層にシリカを形成し、バリアー層を形成するため、酸素のチタン内部への拡散が抑制され、優れた耐酸化性が得られる。また、シリサイドが析出したα単相の本発明合金では、さらに優れた高温耐クリープ性が得られる。
溶解原料にスクラップや切粉(切削屑)を使用する場合、不純物元素としてFeとOがある程度含有することは避けられない。室温加工性については、Fe、O共に室温強度を上昇させ、加工性を低下させる(Feの影響は、Oの影響よりも小さい)。高温強度については、Feは若干向上させる働きがあるが、Oはほとんど影響しない。耐高温酸化性には、Fe、O共にほとんど影響しない。
本発明のチタン合金は、高温、特に700℃付近における耐クリープ性に優れ、かつ室温における加工性が良好であること、および使用条件によって一時750℃付近まで温度が上昇することを想定し、750℃における耐酸化性を第一の要件としている。
高温クリープ特性は、700℃、10N/mm2の5%クリープ時間がJIS2種の工業用チタンの650℃、10N/mm2の5%クリープ時間よりも5倍以上長い25時間以上で、排気系部品の高温化対応または軽量化に資して、その優位性が明確となる。すなわち、走行中の自動車のマフラー温度が700℃まで上がり、自動車走行時の上下振動等によってマフラーに降伏応力より小さい力が加わった場合、マフラーの変形を生じにくくするために、上記のような耐クリープ性があると、マフラーの設計に自由度が増し、その適用性が著しく広がる。
また、室温における加工性として、室温引張試験時の破断伸びが、その指標として一般に用いられ、室温における圧延方向の破断伸びが、純チタンJIS2種材と同等の23%以上(JIS H4600、H4635におけるJIS2種の伸び規定)確保できることで、排気系部品を製造する際に必要とされる冷間加工性に問題を生じない。
すなわち、破断伸びがJIS2種と同等以上確保できれば、これまでJIS2種材を多く用いたユーザー側での各種冷間加工の経験・ノウハウが、そのまま十分に活かせるため、ユーザー側にしてみれば本発明材についても、実際の工業生産ラインでの製造検討が容易にでき、その結果、稼働時間を少しでも確保したい操業中の工業生産ラインに受け入れし易いためである。
耐酸化性の目安は、酸素の内方拡散律速によって、表面酸化層の成長速度が放物線則にほぼ従い、その成長が実質的に飽和して、表面酸化層の剥離がほとんど生じない厚さに保たれると考えられる指標である、750℃における200時間の加熱で酸化増量が40g/m2以下であることである。
請求項1に記載の本発明では、質量%で、Si:0.1〜0.6%、Fe:0.04〜0.2%、O:0.02〜0.15%であり、FeとOの含有量の合計が、0.1%以上、0.3%以下、残部Tiおよび、単独の含有量が0.04%未満の不可避的不純物からなることを特徴とする、耐酸化性に優れた排気系部品用チタン合金材とした。Si、Fe、Oの含有量を限定した理由は、以下の通りである。
Siの含有量が0.1%よりも少ないと750℃、200時間連続酸化における酸化増量が40g/m2以下とならならず、0.6%よりも多いと酸化増量抑制効果は飽和するだけでなく、チタンの室温変形を司る双晶変形が抑制され、加工性が劣化し、室温における圧延方向の伸びが23%に満たない場合を生じうる。
0.04%よりもFeの含有量を減らすためには、高純度のチタンスポンジを用いた溶解を行わねばならず、高コストとなり、本発明の目的に合わない。一方、Feは高温クリープを助長する傾向があるため、0.2%よりも多いと、700℃、10N/mm2における5%クリープ時間が25時間に満たない場合が生じる。
0.02%よりもOの含有量を減らすためには、高純度のチタンスポンジを用いた溶解を行わねばならず、高コストとなり、本発明の目的に合わない。一方、0.15%を超えると、室温における圧延方向の破断伸びが、純チタンJIS2種材と同等の23%以上を確保できない。
FeとOの含有量の合計を、0.1%未満とするためには、高純度のチタンスポンジを用いた溶解を行わねばならず、高コストとなり、本発明の目的に合わない。一方、0.3%を超えると、室温における圧延方向の破断伸び、23%以上を確保できない。
本発明で、単独の含有量を0.04%未満とすべき不可避不純物とは、C、N、H、Al、Ni、Cr等である。本発明は、これらの元素による効果を積極的に利用するものではない。従って前記不可避的不純物の含有量は少ないほどよい。不可避不純物の単独含有量を0.04%未満としたのは、0.04%以上含有すると、材料の機械特性に影響が及ぶからである。例えば、Alは、高温での変形抵抗を増し、室温では、伸びを低下させる元素であり、熱間圧延及び冷間圧延がしにくくなり、圧延にかかるエネルギーコストを増やす影響を持つ。0.04%以上含有することでこれらのエネルギーコストが無視できなくなってくる。
請求項2に記載の本発明は、請求項1記載の合金が、シリサイドを含むα単相合金である。合金組織中にシリサイドがあることにより、高温クリープ特性が向上し、700℃、10N/mm2の5%クリープ時間を、JIS2種の工業用チタンの650℃、10N/mm2の5%クリープ時間よりも5倍以上長い25時間以上とすることができる。
さて、請求項3、4および5に記載の本発明(以下、本発明(3)、(4)、(5))は、特に自動車の排気系で多用される薄板の製造方法に関するものである。すなわち、本発明(3)、は、溶解、熱延、冷延の工程を経て製造される、本発明(1)または(2)のチタン合金成分を有する薄板の製造方法において、最終焼鈍を600〜800℃の温度域にて焼鈍を行うことを特徴とする、本発明(1)または(2)のチタン合金板の製造方法である。これは、耐クリープ性確保のため、十分にシリサイドを析出させることを狙った条件である。すなわち、600〜800℃はシリサイド(Ti3Siまたは、Ti5Si3)を十分生成させる温度範囲であり、この温度域で焼鈍することにより、十分な耐高温クリープ性を得ることができる。600℃未満でも十分長時間焼鈍すればシリサイドが析出するが、再結晶が不十分であるため、伸びが小さく加工性に難があるため、下限温度を600℃としている。一方、800℃を超えるとシリサイドは減少し、耐クリープ性が低下する。シリサイドを十分析出させるためには、8時間以上の長時間の焼鈍が望ましい。シリサイドのサイズは、すべり変形を抑制する程度に微細である。なお、シリサイドは、材料断面のEPMAで、Siの濃度マッピングを行った際に、50μm×50μmの領域にSi濃度3mass%以上の点が3個以上見えた場合を析出あり判断した。なお、本発明(1)に規定する成分含有量のチタン合金とすることにより、通常の製造方法において、α単相合金とすることができる。
本発明(4)では、溶解方法を電子ビーム溶解とした。電子ビーム溶解では、通常の真空アーク溶解に比べ、より多くのスクラップ(例えば純チタン薄板製品の端材)や切粉(切削屑)を原料として再利用することが可能であり、生産性が高く、通常の真空アーク溶解に比べ、より低コストで製造が可能である。
本発明(5)では、本発明(1)、または(2)に記載のチタン合金材を用いて排気装置を製作したものである。本発明のチタン合金材は、JIS2種の工業用チタンに準じた加工性、溶接性を有しているので、JIS2種の工業用チタンに準じた方法により、溶解、圧延、成形が可能であり、冷延焼鈍された薄板を管状に湾曲してTIG溶接し、各パーツを溶接することにより排気装置とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明の構成と作用効果をより具体的に説明する。
真空アーク溶解または電子ビーム溶解により、表1に示す組成のチタン材を溶解し、これを熱間鍛造によりスラブとし、850℃に加熱した後、熱間連続圧延ミルにて板厚3.5mmの熱間圧延ストリップとした。この熱延ストリップの酸化スケールをショットブラスト及び酸洗により除去し、続いて、1.5mm厚の冷延ストリップとした。その後、表1に示す温度で8時間、真空焼鈍(最終焼鈍)、炉冷を行った。
これらの供試材からJIS13号Bの試験片を切出し、室温引張試験を行った。また、700℃において高温クリープ試験を行った。試験片に荷重10N/mm2を付与し700℃において5%の変形を生じるまでの時間を計測した。高温の酸化試験は20mm×20mmの試験片を表面と端部を#400のサンドペーパーで研磨した後、750℃の各温度に大気中に200時間暴露し、試験前後の質量の変化を測定し、単位断面積あたりの酸化増量を求めた。
測定結果を表1にまとめて示す。表1において、本発明範囲から外れる数値及び本発明の好適範囲から外れる数値にアンダーラインを付している。
表1のNo.1からNo.11は、請求項1乃至4に記載の本発明の実施例である。いずれも場合も、700℃、10N/mm2の5%クリープ時間25時間以上であり、耐酸化性では、750℃における200時間の加熱での酸化増量は40g/m2以下、室温における圧延方向の伸びは23%以上であり、室温における十分な加工性と高温における優れた耐クリープ性と耐酸化性を示している。
最終焼鈍温度が、本発明の好適下限600℃を下回る本発明例No.7−2では、十分な再結晶が起こらず、室温における伸びは目標下限の23%であった。なお、再結晶の判定は、断面ミクロ写真の点算法により、結晶粒が80%以上存在する場合を十分に再結晶したとみなした。一方、最終焼鈍温度が本発明の好適上限800℃を超える本発明例No.7−3では、耐クリープ特性に効果のあるシリサイドの形成が見られず、700℃、10N/mm2の5%クリープ時間は、目標下限の25時間に留まった。
一方、Si量の少ない比較例No.12、13では、700℃、10N/mm2の5%クリープ時間が25時間よりも短く、耐クリープ性が悪い。また、FeとOの合計含有量の多い比較例No.13では、室温における伸びが目標値の23%を下回った。Si量の多い比較例No.14、15では、室温における伸びが目標値とする23%に満たなかった。
Fe含有量が本発明の上限を超える比較例No.16は、耐クリープ性が悪く、目標の25時間を下回った。また、O含有量が本発明の上限を超える比較例No.17では、室温における伸びが目標値とする23%を下回った。
Figure 0005862314
表1のNo.6に示す成分のチタン合金を電子ビーム溶解により溶製し、熱間鍛造スラブとし、860℃に加熱した後、熱間連続圧延ミルで、厚さ4mmの熱延ストリップとした。この熱延ストリップの酸化スケールをショットブラスト及び酸洗により除去し、厚さ1mmまで冷間圧延し、700℃、8時間の熱処理を施した。
上記薄板を幅120mmで切り出し、外径38mmの溶接管を製造した。湾曲加工後、TIG溶接で溶接管を製造した。溶接管の製造工程は、JIS2種の工業用チタンに準じた薄板を用いて製造する場合と同様とした。
溶接管端部に60°の円錐形コーンを押し込み、初期直径の1.3倍まで押し広げたところ、溶接部に割れは生じず、良好な押し広げ特性を有していた。また、本溶接管を半径90mmで90°曲げ加工したしたところ、割れや皺などは生じなかった。
本発明のチタン合金材は、廉価であり、かつ高温耐クリープ性、耐酸化性に優れ、室温における延性も良好で、溶接管の製造が従来の純チタン材並に容易であり、四輪者や二輪車等自動車のメインマフラー部はもとより、エキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプや触媒マフラー等の排気装置用部材に利用することが可能である。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    Si:0.1〜0.6%、
    Fe:0.04〜0.2%、
    O:0.02〜0.15%であり、
    FeとOの含有量の合計が、0.10%以上、0.30%以下、
    残部Tiおよび、単独の含有量が0.04%未満の不可避的不純物からなることを特徴とする、耐酸化性に優れた700℃以上の温度に曝される排気系部品用チタン合金材。
  2. チタン合金材がシリサイドを含むα単相合金であることを特徴とする、請求項1記載の耐酸化性に優れた700℃以上の温度に曝される排気系部品用チタン合金材。
  3. 700℃、10N/mm2の5%クリープ時間25時間以上であることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の耐酸化性に優れた700℃以上の温度に曝される排気系部品用チタン合金材。
  4. 溶解、熱延、冷延、最終焼鈍の工程を経て製造されるチタン合金板の製造方法において、前記最終焼鈍を600〜800℃の温度域にて行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の耐酸化性に優れた700℃以上の温度に曝される排気系部品用チタン合金材の製造方法。
  5. 溶解方法が電子ビーム溶解であることを特徴とする、請求項4に記載の耐酸化性に優れた700℃以上の温度に曝される排気系部品用チタン合金材の製造方法。
  6. エキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプ、触媒、マフラーのいずれか1または2以上の700℃以上の温度に曝される部品が、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のチタン合金材で構成されていることを特徴とする排気装置。
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