JP5861285B2 - 自動車の歩行者保護構造 - Google Patents
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そこで、対象物が当った場合のエネルギ吸収量を確保する目的で、フロントピラーを低剛性にすると、車体剛性の確保が困難となる。
上述のフロントピラーに関し、特許文献1には、フロントピラーアウタとフロントピラーレインフォースメントとの間に衝撃吸収部材を設け、対象物がフロントピラーに当った際、上記衝撃吸収材を変形させて、衝撃を吸収すべく構成したものが開示されている。
また、フロントピラーをフロントウインド部材の側部を支持するクラッシャブルフロントピラーと、該クラッシャブルフロントピラーよりも後側に位置するメインフロントピラーとで構成したので、後側に位置するメインフロントピラーについては剛性構造を採用することができ、これにより、車体剛性の確保を図ることができる。
上述の脆弱構造としては、丸孔や長孔などの開口部やスリットを設ける構造を採用してもよく、また、肉厚を薄くする構造を採用してもよい。
上述のフロントウインドマウント部材は、合成樹脂で形成してもよく、また、サイドウインドマウント部材はゴム部材で構成してもよい。
また、メインフロントピラーはクラッシャブルフロントピラーよりも後側に位置しており、閉断面構造は、この後側に位置するメインフロントピラーの上端部相互間を連結するものであるから、対象物がルーフパネル前端部に当った時、上述の閉断面構造はルーフパネル前端側の車室内方への変形を阻害しない。
図面は、自動車の歩行者保護構造を示し、図1は車両の外観斜視図、図2は図1のA‐A線矢視断面図、図3はルーフパネルおよびフロントウインド部材(フロントウインドガラス)を取外した状態で示す車両左側上部におけるルーフサイド部の斜視図、図4は図3のフロントヘッダ配設部で断面して示す正面図、図5は図1のB‐B線矢視断面図、図6は図1のC‐C線矢視断面図である。
ここで、上述のルーフパネル2は、車両用ルーフを形成すると共に、上記メインフロントピラー5の上端部により支持されるものである。
上述のクラッシャブルフロントピラー4よりも車両の後方位置においてルーフパネル2を支持するメインフロントピラー5は、閉断面構造の高剛性に形成されている。
また、上述のクラッシャブルフロントピラー4と上述のメインフロントピラー5との間には、サイドウインド部材としての縦方向に細長い略三角形状のサイドウインドガラス6が配設されている。
詳しくは、上記クラッシャブルフロントピラー4の上端部は、ルーフパネル2にフロントヘッダ12を介して一体的に接合されたヘッダパネル11の前端部に有するフランジ部(11b)に連結され、該連結部位をルーフパネル2との連結位置としている。
また、閉断面構造のフロントヘッダ12と閉断面構造のメインフロントピラー5とを連結することで、ロールバーに相当する強度を確保するように構成している。
そして、上述のフロントヘッダ12の下面とヘッダパネル11の上面との間には、上述のルーフパネル2の下方への変形を許容する空間16が設けられており、これにより、上方からの荷重入力時に、フロントウインドガラス1上部およびルーフパネル2前部がより一層変形しやすくなり、エネルギ吸収量のさらなる向上を図るように構成している。
図2において、20はルーフトリム(いわゆるトップシーリング)である。
上述のルーフパネル2の側端部に沿って車両の前後方向に延びるルーフサイドレール21を設けている。このルーフサイドレール21は、ルーフサイドレールアウタ22と、ルーフサイドレールレインフォースメント23と、ルーフサイドレールインナ24と、を上下の接合フランジ部21a,21bで接合固定して、車両の前後方向に延びるルーフサイド閉断面25を備えた車体剛性部材である。
また、上述のルーフサイドレール21の下側の接合フランジ部21bには、図4に示すように、シーミングウェルト27を嵌着し、このシーミングウェルト27で、サイドドア8閉時のルーフサイドレール21とドアサッシュ9との間をシールするように構成している。
すなわち、図3、図6に示すように、ルーフサイドレールアウタ22はメインフロントピラーアウタ32と連続し、ルーフサイドレールレインフォースメント23はメインフロントピラーレインフォースメント33と連続し、ルーフサイドレールインナ24はメインフロントピラーインナ34と連続し、ルーフサイド閉断面25はフロントピラー閉断面35と連続している。
但し、ルーフサイドレール21の上下左右方向の幅は、メインフロントピラー5の上下左右方向の幅よりも大きく形成されている。
また、ルーフサイドレール21がメインフロントピラー5に切換る部分においては、図3に示すように、ルーフサイドレールアウタ22の一部を切欠いて切欠き部30と、ルーフサイドレールアウタ22の突出部31とが形成されている。
また、フロントウインドガラス1の側端部は、接着剤45を用いてマウントフレーム40における筒部40aの車外側の面とマウントラバー41との間に支持されており、サイドウインドガラス6の前端部はマウントラバー41の凹溝41a内に支持されている。
この前提構成例では、上述のメインフロントピラー5は、カウル部60の車幅方向側部から上方に立上がるように形成されている。
すなわち、カウル部60を形成するダッシュアッパパネル61を設け、このダッシュアッパパネル61の車幅方向側部には、ヒンジピラーアウタ62と、ヒンジピラーレインフォースメント63と、ヒンジピラーインナ64とを接合固定して、車両の上下方向に延びるヒンジピラー閉断面65を備えたヒンジピラー66を設けている。
このヒンジピラー66はサイドドア8(図1参照)の前端部を枢支する車体剛性部材であって、図8に示すように、該ヒンジピラー66は上述のメインフロントピラー5と連続して形成される。
同様に、ヒンジピラー66の前後の接合フランジ部66a,66bがメインフロントピラー5の前後の接合フランジ部5a,5bと連続するように形成されている。
但し、ヒンジピラー66の車両前後方向の長さ、および車幅方向の幅は、メインフロントピラー5の車両前後方向の長さ、および車幅方向の幅よりも大きく形成されている。
図8において、67はホイールエプロン、68はホイールエプロンレインフォースメントである。
このクラッシャブルカウルフレーム71は上述の後側フランジ部61aからフロントウインドガラス1の下端対応位置まで車両前方へ略水平に延びる部材であって、該クラッシャブルカウルフレーム71の前後方向中間部には、衝突エネルギを吸収する目的で脆弱部としての波状部71aが一体形成されている。
また、上述のクラッシャブルカウルフレーム71の前端部には、ボルト72、ナット73を用いて、マウントフレーム40Aが取付けられている。このマウントフレーム40Aは後側に位置する筒部40Aaと、前側に位置する平板部40Abとを一体形成した合成樹脂製のフロントウインドマウント部材であって、このマウントフレーム40Aは図6で示したマウントフレーム40と一体で形成してもよく、または別体で形成してもよい。
そして、上述のマウントフレーム40Aには,接着剤74を用いて、フロントウインドガラス1の傾斜下端部を取付けている。
なお、図9において、78はワイパ装置である。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示す。
ルーフパネル2の下部において車幅方向に延びる閉断面構造のフロントヘッダ12と、車両のサイド部において前後方向に延び、かつ、閉断面構造の左右一対のルーフサイドレール21,21とを連結し、これら左右一対のルーフサイドレール21,21は、閉断面構造の左右一対のメインフロントピラー5,5と連続しているので、車体剛性の向上を図ることができ、これら各要素12,21,5によりロールバーに相当する強度を確保することができる。
また、フロントピラー3をフロントウインドガラス1の側部を支持するクラッシャブルフロントピラー4と、該クラッシャブルフロントピラー4よりも後側に位置するメインフロントピラー5とで構成したので、後側に位置するメインフロントピラー5については剛性構造を採用することができ、これにより、車体剛性の確保を図ることができる。
要するに、ドライバの視認性を確保しつつ、エネルギ吸収量の向上と、車体剛性の確保との両立を図ることができる。
また、上記クラッシャブルフロントピラー4は、フロントウインドガラス1の側端部を支持するフロントウインドマウント部材(マウントフレーム40参照)とサイドウインドガラス6の前端部を支持するサイドウインドマウント部材(マウントラバー41参照)とで構成されるウインド支持部材42で構成されたものである(図6参照)。
さらに、上記サイドウインドガラス6と上記メインフロントピラー5との取付け構造を、上記クラッシャブルフロントピラー4の後方への変形に伴って上記サイドウインドガラス6のメインフロントピラー5による支持が解除され上記サイドウインドガラス6がメインフロントピラー5の車外方へ移動可能な構造と成したものである(図7,図12参照)。
加えて、左右一対のメインフロントピラー5,5の上端部相互間を、車幅方向に延びて連結する閉断面構造(フロントヘッダ12)が設けられたものである(図3参照)。
また、メインフロントピラー5,5はクラッシャブルフロントピラー4,4よりも後側に位置しており、フロントヘッダ12は、この後側に位置するメインフロントピラー5,5の上端相互間を連結するものであるから、対象物がルーフパネル2の前端部に当った時、上述のフロントヘッダ12はルーフパネル2前端側の車室内方への変形を阻害しない。
このように、図15に示す前提構成例においては、上記ルーフパネル2前端部でフロントウインドガラス1を支持する部位αと、ルーフパネル2のフロントヘッダ12配設部位との間におけるルーフパネル2と、該ルーフパネル2より下側に位置するヘッダパネル11との間に、空調用のダクト48が配設されたものである(図15参照)。
このように構成しても、サイドウインドガラス6を適切に支持することができる。なお、該サイドウインドガラス6の前側の支持構造については、図6のそれと同様であるから、図17において、図6と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
先の前提構成例においては、メインフロントピラー5はカウル部から立上がるように形成したが、この実施例においては、メインフロントピラー5がヒンジピラー66からフロントヘッダ12の車幅方向外端部に向けて立上がるように構成したものである。
該メインフロントピラー5は、ハイドロフォーム加工部材その他のパイプ部材(閉断面部材)から形成されており、左右一対のメインフロントピラー5,5相互間には、閉断面を有するパイプ部材製のフロントヘッダ12が車幅方向に延びるように接合固定されている。
このメインフロントピラー5は、図19に示すようにルーフサイド部に沿ってドア開口部の上側後端部まで延びる延長部51を一体形成しており、左右一対の延長部51,51の後端部相互間には、閉断面を有するパイプ部材製のルーフヘッダ52が車幅方向に延びるように接合固定されている。
またルーフパネル2の下面において、段下げ部2cとフロントヘッダ12との間、並びに、フロントヘッダ12とルーフヘッダ52との間には、車幅方向に延びるルーフレイン54,55がそれぞれ接着固定されている。
しかも、クラッシャブルフロントピラー4の上端とルーフパネル2との連結位置(部位α参照)から、メインフロントピラー5上端とルーフパネル2との連結位置(後方位置β参照)まで、つまり、クラッシャブルフロントピラー4における図19に示す領域Lの範囲内の構造を、上述のクラッシャブルフロントピラー4の後方移動が可能な脆弱構造と成している。
この構成によれば、車外から対象物がクラッシャブルフロントピラー4やその周辺に当った際、脆弱構造によりクラッシャブルフロントピラー4が後方へ移動するので、衝突エネルギを吸収し、そのエネルギ吸収量の向上を図って、歩行者保護性能を確保することができる。
この構成によれば、車外から対象物がクラッシャブルフロントピラー4やその周辺に当った際、脆弱構造によりクラッシャブルフロントピラー4が後方へ移動するので、衝突エネルギを吸収し、そのエネルギ吸収量の向上を図って、歩行者保護性能を確保することができる。
この発明のフロントウインド部材は、前提構成例、及び実施例のフロントウインドガラス1に対応し、
以下同様に、
サイドウインド部材は、サイドウインドガラス6に対応応するも、
この発明は、上述の前提構成例、及び実施例の構成のみに限定されるものではない。
2…ルーフパネル
3…フロントピラー
4…クラッシャブルフロントピラー
5…メインフロントピラー
6…サイドウインドガラス(サイドウインド部材)
42…ウインド支持部材
Claims (2)
- フロントウインド部材の側部を支持するクラッシャブルフロントピラーと、
上記クラッシャブルフロントピラーよりも後側に位置するメインフロントピラーと、
車両用ルーフを形成するとともに上記メインフロントピラーの上端部により支持されるルーフパネルとを有し、
上記クラッシャブルフロントピラーと上記メインフロントピラーとの間にはサイドウインド部材が配設され、
上記メインフロントピラーと比較して上記クラッシャブルフロントピラーが低剛性構造に形成され、
上記クラッシャブルフロントピラーはその上端部でルーフパネルを支持しており、該クラッシャブルフロントピラー上端部とルーフパネルとの連結位置からメインフロントピラー上端部とルーフパネルとの連結位置までのクラッシャブルフロントピラーの構造を、上記クラッシャブルフロントピラーの後方移動が可能な脆弱構造と成した
自動車の歩行者保護構造。 - 上記サイドウインド部材と上記メインフロントピラーとの取付け構造を、上記クラッシャブルフロントピラーの後方への変形に伴って上記サイドウインド部材のメインフロントピラーによる支持が解除され上記サイドウインド部材がメインフロントピラーの車外方へ移動可能な構造と成した
請求項1記載の自動車の歩行者保護構造。
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