JP5861264B2 - 赤外線検出素子 - Google Patents

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本発明は、赤外線検出素子に関する。
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、検出部を支持基板上に作成し、支持基板を中空構造とするボロメーター型赤外線検出素子が知られていた。この例では、検出部に当たるボロメーターの上に吸収部を設けている。吸収部で赤外線を熱に変換し、この熱によって検出部を暖める。そして、検出部の抵抗温度変化を読み出すことで、赤外線検出素子として機能している。
赤外線検出素子の信号感度を上げるためには、検出部の温度変化が大きくなることが求められる。このため、検出部が暖まりやすいように、素子の下に熱分離用の空洞を形成し、電気配線を含む支持脚で支えることで、熱的な分離性を上げるような工夫がされている。
検出素子をさらにパッケージ内に真空封止することで、検出素子内の熱の出入りは支持脚によるものが支配的となる。このため支持脚の熱コンダクタンスを下げるために、支持脚は、支持基板を支える強度を維持しながらも、出来るだけ細長くすることが求められる。従来例では、この支持脚を折り曲げることで、素子サイズをコンパクトに保ちながら支持脚を長くすることが行われてきた。
検出部上の吸収部については、赤外線吸収量を増やすために、赤外線吸収特性のよい材料と構造を用いる必要がある。例えば、特許文献1では、異なる吸収特性を持つ吸収膜を積層させることで、広い赤外線波長帯域を吸収できるように改良したものである。さらに、吸収膜の下方に反射膜を置き、吸収膜と反射膜間の間隔を、感度を高めたい赤外線波長の1/4倍とすることで、光学的に干渉を起こし、赤外線の吸収率をいっそう高めることが、行われている。これにより、狙った波長帯を中心に、フィルター透過波長帯域に渡って、広範囲に感度を持つことが可能となる。
特開2006−226890号公報
しかしながら、特許文献1に記載の赤外線検出素子では、支持脚の熱コンダクタンスを下げるために、支持脚を細長くして折り曲げる回数を多くしてある。このため、支持脚が容易にたわみやすくなっている。そして、積層膜内の内部応力やプロセス中の付加応力、検出素子自体の自重により、吸収膜と反射膜間の光学的な距離を制御することが難しくなっている。これにより、狙った波長の赤外線に対する吸収率が低下し、さらに吸収した熱は、支持脚から、逃げていくため、検出部の温度上昇が小さくなり、設計した吸収波長に対する感度が低下してしまう課題があった。そこで、支持脚から熱が逃げることによる赤外線感度の低下を防止できる赤外線検出素子が望まれていた。
本発明は、支持脚から熱が逃げることによる赤外線感度の低下を改善することを目的としたものである。
[適用例1]本適用例にかかる赤外線検出素子は、支持基板上に配置され、赤外線を吸収する第1の吸収部と、前記第1の吸収部と接続され温度変化を検出する検出部と、前記支持基板を支持する支持脚と、前記支持脚上に少なくても一部が配置され、赤外線を吸収する第2の吸収部と、を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、赤外線検出素子は支持基板を備え、支持基板上には赤外線を吸収する第1の吸収部が配置されている。そして、第1の吸収部は赤外線を吸収することにより熱に変換する。そして、赤外線検出素子は検出部を備え、検出部は第1の吸収部から伝わる熱による検出部自体の温度変化を検出する。赤外線の照射量と検出部の温度変化とは相関がある。従って、赤外線検出素子は第1の吸収部から伝わる熱による検出部の温度変化を検出することにより、赤外線の照射量を推定することが可能になっている。
赤外線検出素子に照射された赤外線は、第1の吸収部と第2の吸収部によって熱に変換される。このうち、第1の吸収部で発生した熱は、第1の吸収部に接続してある検出部と支持基板とに伝導される。そして、それぞれの場所において温度上昇が起こる。並行して第2の吸収部で発生した熱は、支持脚の温度を上昇させる。支持基板に伝わった熱は、支持脚を通して素子の外に逃げようとする。しかし、支持脚では温度上昇が起こっているため、フーリエの法則により熱が逃げる速度が遅くなり、検出部においては、赤外線の照射量に対して温度上昇の幅が大きくなり、検出感度が高くなる。その結果、支持脚から熱が逃げることによる赤外線感度の低下を改善することができる。
[適用例2]上記適用例に記載の赤外線検出素子において、前記第2の吸収部の面積は前記第1の吸収部の面積より小さいことが好ましい。
本適用例によれば、第2の吸収部が吸収する熱量は第1の吸収部が吸収する熱量に比べて小さくなる。このため、第2の吸収部に発生する熱が、支持脚と支持基板とを通って検出部を暖めることにより検出部の温度が上昇する量は小さくなる。従って、第2の吸収部により吸収された熱自体が検出部の温度上昇へ影響することを防ぐことができる。
[適用例3]上記適用例に記載の赤外線検出素子において、前記第2の吸収部と前記支持脚との熱容量の和が、前記支持基板と前記第1の吸収部と前記検出部との熱容量の和より小さいことが好ましい。
本適用例によれば、第2の吸収部と支持脚の熱容量の和を小さくすることで、第2の吸収部が吸収する少ない熱量でも、第2の吸収部と支持脚との温度上昇の幅を大きくすることができる。これにより、第1の吸収部と検出部とから伝導する熱が支持脚を通って外部へ逃げる速度を遅くすることができる。これにより、検出部の温度上昇が起きやすくなる為、赤外線検出素子の検出感度を高くすることができる。
[適用例4]上記適用例に記載の赤外線検出素子において、前記第2の吸収部の赤外線吸収スペクトルにおける吸収波長帯の幅が、前記第1の吸収部の赤外線吸収スペクトルにおける吸収波長帯の幅より狭いことが好ましい。尚、ここでの吸収波長帯は、最大吸収波長の吸収率に対して、50%以上の吸収率を持つ波長帯を示す。
本適用例によれば、第1の吸収部の吸収波長帯は広い為、広範囲の赤外線波長に対して吸収する特性を持っている。このため、第1の吸収部は吸収する赤外線量を多くし、検出部の温度上昇の幅を広げることができる。一方、第2の吸収部の吸収波長帯は狭い為、ある特定波長帯の赤外線が入射された場合に、第1の吸収部が吸収する赤外線量より少ない量の赤外線を吸収する。従って、支持脚から熱の拡散を妨げる程度の熱量を発生させることができる。これにより、支持脚からの熱の逃げる速度を遅らして、検出部の温度上昇の幅を大きくすることができる。
実施形態1にかかる赤外線検出素子の構造を示す模式上面図。 赤外線検出素子の構造を示す模式断面図。 検出部の構成を示す要部模式断面図。 第1の吸収膜の吸収スペクトルを示すグラフ。 第2の吸収膜の吸収スペクトルを示すグラフ。 赤外線検出素子の製造方法を説明するための模式図。 赤外線検出素子の製造方法を説明するための模式図。 赤外線検出素子の製造方法を説明するための模式図。 赤外線検出素子の温度分布を説明するための図。 赤外線検出素子が出力する信号を説明するための図。 変形例1にかかる赤外線検出素子の構造を示す模式上面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
(実施形態1)
図1は、実施形態1にかかる赤外線検出素子の構造を示す模式上面図である。図2は、赤外線検出素子の構造を示す模式断面図であり、図1中のYY’線に沿う模式断面図である。図3は、検出部の構成を示す要部模式断面図である。本実施形態では、図1に示す赤外線検出素子20が、マトリックス状に複数配置され、アレイセンサーを成している。このアレイセンサーは、真空パッケージされ、赤外線入射面には、5μm〜14μmの赤外線を選択的に通す光学フィルターが搭載されている。ここでは、アレイセンサーを構成する赤外線検出素子の単素子の概略構成について説明する。
図1及び図2に示すように、赤外線検出素子20は、四角い板状の支持基板1を備えている。支持基板1は一対の支持脚5に支持されている。支持基板1上には検出部4が設置され、検出部4を覆って第1の吸収部としての第1の吸収膜2が設置されている。支持脚5上には第2の吸収部としての第2の吸収膜3が設置されている。第1の吸収膜2及び第2の吸収膜3は赤外線を吸収する膜である。検出部4は第1の吸収膜2と接続され温度変化を検出する機能を備えている。
第2の吸収膜3の面積は第1の吸収膜2の面積より小さく設定されている。第2の吸収膜3が吸収する熱量は第1の吸収膜2が吸収する熱量に比べて小さくなる。このため、第2の吸収膜3に発生する熱が、支持脚5と支持基板1とを通って検出部4を暖めることにより検出部4の温度が上昇する量は小さくなる。従って、第2の吸収膜3の熱が検出部4が検出する温度へ影響することを防ぐことができる。
支持基板1と支持脚5は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層によって構成されている。図3に示すように、検出部4はPZT等の焦電体15をプラチナからなる上部電極14と下部電極16で挟んだ焦電キャパシターの構造となっている。
図1及び図2に戻って、支持基板1及び支持脚5上には一対の電気配線7が配置されている。そして、検出部4の上部電極14と下部電極16はそれぞれ別の電気配線7で接続されている。この電気配線7は、支持脚5上を通って図示しない検出回路に電気的に接続されている。そして、検出部4にて生じた電気信号が検出回路へ出力される。支持脚5上の電気配線7からは、検出素子の外側へ熱が逃げ難いようにすることが好ましい。このため、電気配線7の材料は、電気を通しやすく、比較的熱伝導性が低い材料であれば良く、本実施形態では例えば、TiとTiNとを用いている。そして、電気配線7はTiとTiNとの積層構造の配線を採用している。
図2に示すように、赤外線検出素子20は基板10を備え、基板10上には層間膜8が設置されている。層間膜8上には積層膜17が設置され、積層膜17は支持脚5と接続している。層間膜8は支持基板1と対向する場所に凹部8aが配置され、凹部8aにより熱分離空洞6が形成されている。そして、支持基板1は熱分離空洞6上に位置し、支持基板1は支持脚5により中空に支持されている。検出部4の下に熱分離空洞6を設けることで、検出部4は周囲から熱的に分断されている。熱分離空洞6を形成する処理の際に、層間膜8を守るストッパー膜9が配置されている。このストッパー膜9には、HFベーパー処理でのエッチングに対して耐性のあるアルミナ膜を使用している。
支持基板1及び検出部4上の第1の吸収膜2はシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜からなる。支持脚5は一部が直角に曲がった屈曲部5aを有している。支持脚5上に配置されている第2の吸収膜3は、シリコン酸化膜からなる。第2の吸収膜3は屈曲部5a上に配置することで、支持脚5の剛性を高め、応力集中の生じやすい屈曲部5aの変形を軽減する効果がある。ただし、必ずしも、第2の吸収膜3は屈曲部5a上にある必要はなく、支持脚5の直線上に配置されていてもよい。
図4は、第1の吸収膜の吸収スペクトルを示すグラフである。図4に示すように、第1の吸収膜2はシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造とすることにより、8μm〜14μmの赤外線に対して広い幅の吸収波長帯を持っている。図5は、第2の吸収膜の吸収スペクトルを示すグラフである。図5に示すように、第2の吸収膜3はシリコン酸化膜とすることにより、10μm付近に鋭い吸収ピークを有している。
そして、第2の吸収膜3の吸収波長帯の幅は第1の吸収膜2の吸収波長帯の幅より狭くなっている。このため、第1の吸収膜2は吸収する赤外線量を多くし、検出部4の温度上昇に関与する波長帯の幅を広げることができる。一方、第2の吸収膜3の吸収波長帯は狭い為、ある特定波長帯の赤外線が入射された場合に、第1の吸収膜2が吸収する赤外線量より少ない量の赤外線を吸収する。従って、支持脚5からの熱の拡散を妨げる程度の熱量を発生させることができる。これにより支持脚5からの熱の逃げる速度を遅らして、検出部4の温度上昇の幅を大きくすることができる。
赤外線検出素子20において、第2の吸収膜3と支持脚5との熱容量の和が、支持基板1と第1の吸収膜2と検出部4との熱容量の和より小さく設定されている。第2の吸収膜3と支持脚5の熱容量の和を小さくすることで、第2の吸収膜3から伝わる少ない熱量でも、第2の吸収膜3と支持脚5との温度上昇の幅を大きくすることができる。これにより、第1の吸収膜2と検出部4とから伝動する熱が支持脚5を通って外部へ逃げる速度を遅らすことができる。従って、検出部4の温度上昇が起きやすくなる為、赤外線検出素子20の検出感度を高くすることができる。
次に、赤外線検出素子20の製造方法について説明する。図6〜図8は、赤外線検出素子の製造方法を説明するための模式図である。図6は、支持基板1と支持脚5を形成する前の段階を示したものである。図6に示すように、基板10上には層間膜8が形成されている。そして、層間膜8中の熱分離空洞6を形成する予定の部分に凹部8aを形成し、層間膜8上にストッパー膜9を形成する。そして、凹部8a上にシリコン酸化膜からなる犠牲層11を形成する。犠牲層11はCVD(Chemical−Vapor−Deposition)等で成膜し、CMP(Chemical−Mechamical−Polishing)等の技術で平坦化する。
次に、層間膜8及び犠牲層11上に積層膜17を成膜する。積層膜17は支持基板1、支持脚5が形成される膜である。積層膜17上に検出部4を形成し、検出部4上にシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜12を成膜する。次に、検出部4の下部電極16及び上部電極14と電気的な接続をとるために層間絶縁膜12に穴を開口する。その後、電気配線7を形成する。これにより電気配線7は、穴を通して下部電極16及び上部電極14と接続される。次に、電気配線7及び積層膜17等の素子全体を覆ってシリコン酸化膜からなる保護膜13を成膜した後で、検出部4上と電気配線7上以外については除去する。これらの形成には、フォトリソグラフィーの技術を用いて形成することができる。
次に、図7に示すように、検出部4上に第1の吸収膜2を構成するシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜を成膜し、当該積層膜のパターニングの加工をする。これにより第1の吸収膜2が形成される。その後、電気配線7上に第2の吸収部を構成するシリコン酸化膜を成膜し、当該シリコン酸化膜のパターニングの加工をする。この時、第1の吸収膜2と第2の吸収膜3とにおける膜の構成が違うために、赤外線吸収率に差が生じる。
次に、図8に示すように、犠牲層11上の積層膜17のパターニングの加工をして、支持脚5と支持基板1を形成する。次に、素子全体を覆い、熱分離空洞6を形成する処理の際のストッパー膜9となるアルミナ膜を成膜する。そして、ストッパー膜9のパターニングの加工をして、犠牲層11上のストッパー膜9を除去する。最後にHFベーパー処理により、犠牲層11のみを選択エッチングすることで、熱分離空洞6を作成する。
次に、上記した本実施形態の赤外線検出素子の動作について説明する。図9は、赤外線検出素子の温度分布を説明するための図である。図10は、赤外線検出素子が出力する信号を説明するための図である。
赤外線検出素子20に、8μm〜14μmの範囲において第2の吸収膜3の吸収ピーク(10μm)とは異なる波長帯の赤外線が照射されたときにおいては、広い吸収波長帯を有する第1の吸収膜2では、ある程度の赤外線が吸収される。一方で、第2の吸収膜3においては吸収波長帯から外れるため、赤外線の吸収は少なく、支持脚5の温度上昇はわずかに留まる。この場合、支持脚5から検出素子外への熱の拡散へ与える影響は少ないため、第2の吸収膜がない場合と同じく、第1の吸収膜で吸収された熱は、ある程度まで検出部4を暖める。
この時の素子内の温度分布を図9の第1温度分布線21に示す。検出部4の載っている支持基板1の場所の温度がもっとも高く、支持脚5から外側にいくほど、温度は低下する。焦電効果による検出部4の信号出力を図10の第1出力推移線22に示す。赤外線検出素子20に赤外線が照射されると信号出力が電気配線7から出力される。尚、焦電効果による信号出力は、焦電体の温度変化がある場合にのみ観測されるため、赤外線を照射し続けると、赤外線検出素子20への熱の伝導と放熱により赤外線検出素子20内部で熱の平衡状態になり、それ以降は信号が観測されなくなる。
赤外線検出素子20に第2の吸収膜3の吸収ピーク(10μm)前後の波長帯の赤外線が照射されたときにおいては、広い吸収波長帯を持つ第1の吸収膜2においては、上記と同様の吸収が起こる。一方、この波長帯に吸収ピークを持つ第2の吸収膜3でも、熱の吸収が起こる。この時の素子内の温度分布を図9の第2温度分布線23に示す。
第1温度分布線21に比べて、第2温度分布線23が示すように支持脚5の温度が上昇する。これにより検出部4を含む支持基板1と支持脚5の温度差が小さくなり、フーリエの法則により本検出素子から支持脚5への熱の拡散が抑えられ、一時的に検出部4の温度上昇幅が大きくなる。このときの検出部4の信号出力を図10の第2出力推移線24に示す。第1出力推移線22に比べて第2出力推移線24の方がセンサー出力が増大する。また支持脚5の熱容量が増加した分だけ、熱時定数は大きくなる。
ある特定波長の赤外線が照射されたときに、支持脚5から熱が逃げる速度を遅らせるため、赤外線吸収波長帯域に渡って感度を有しながらも、設計した波長に対して、特に高い感度を得ることができる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、赤外線検出素子20に照射された赤外線は、第1の吸収膜2と第2の吸収膜3によって熱に変換される。支持基板1に伝わった熱は、支持脚5を通して赤外線検出素子20の外に逃げようとする。しかし、支持脚5では温度上昇が起こっており、フーリエの法則により熱が逃げる速度が遅れる。これにより、検出部4においては、赤外線の照射量に対して温度上昇の幅が大きくなり、検出感度が高くなる。その結果、支持脚5から熱が逃げることによる赤外線感度の低下を改善することができる。
(2)本実施形態によれば、第2の吸収膜3の面積は第1の吸収膜2の面積より小さくなっている。従って、第2の吸収膜3の熱自体が検出部4が検出する温度変化へ影響することを防ぐことができる。
(3)本実施形態によれば、第2の吸収膜3と支持脚5との熱容量の和が、支持基板1と第1の吸収膜2と検出部4との熱容量の和より小さくなっている。これにより、第2の吸収膜3から伝わる少ない熱量でも、第2の吸収膜3と支持脚5との温度上昇の幅を大きくすることができる。これにより、第1の吸収膜2と検出部4とから伝動する熱が支持脚5を通って外部へ逃げる速度を遅らせることができる。従って、検出部4の温度上昇が起きやすくなる為、赤外線検出素子20の検出感度を高くすることができる。
(4)本実施形態によれば、第2の吸収膜3の赤外線吸収スペクトルにおける吸収波長帯の幅が、第1の吸収膜2の赤外線吸収スペクトルにおける吸収波長帯の幅より狭くなっている。従って、第2の吸収膜3は支持脚5からの熱の拡散を妨げる程度の熱量を発生させることができる。これにより支持脚5からの熱の逃げる速度を遅らせて、検出部4の温度上昇の幅を大きくすることができる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良等を加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
図11は、変形例1にかかる赤外線検出素子の構造を示す模式上面図である。上記実施形態1では、支持基板1から対角に2本の支持脚5が設置されているが、この構成に限定するものではない。以下、変形例1について、説明する。
変形例1においては、赤外線検出素子27は支持基板1を有し、支持基板1は1本の支持脚28により、支持されている。ここでは支持脚28の長さは、実施形態1と同等とする。支持脚28の幅は、実施形態1で示した、支持脚5より太くても良いが、2倍よりは小さいとする。検出部4の上部電極14及び下部電極16に接続されている2本の配線は、同一の支持脚28上を通る。第2の吸収膜3は、この支持脚28上に配置されており、その面積は、実施形態1で示した、第2の吸収部の面積と同等とする。
本変形例1の赤外線検出素子27によれば、実施形態1での効果に加えて、支持脚28の数が減ったことで、熱コンダクタンスの総和は実施形態1の時に比べて低減される。このため検出部4の温度上昇幅が大きくなり、信号の出力を大きくすることができる。その結果、赤外線検出素子27の感度を高くすることができる。
(変形例2)
本実施形態においては、第2の吸収膜3が支持脚5上に設置された。第2の吸収膜3は支持脚5に加えて、支持基板1に設置しても良い。また素子の熱分布に合わせて設計しても良い。さらに、層間膜8上の積層膜17上に第2の吸収膜3を設置しても良い。第2の吸収膜3を適切な位置に配置することで支持基板1の熱が逃げる速度をさらに遅くすることができる。
1…支持基板、2…第1の吸収部としての第1の吸収膜、3…第2の吸収部としての第2の吸収膜、4…検出部、5…支持脚、20,27…赤外線検出素子。

Claims (4)

  1. 支持基板上に配置され、赤外線を吸収する第1の吸収部と、
    前記第1の吸収部と接続され温度変化を検出する検出部と、
    前記支持基板を支持する支持脚と、
    前記第1の吸収部とは独立して前記支持脚上に少なくても一部が配置され、赤外線を吸収する第2の吸収部と、
    を備えることを特徴とする赤外線検出素子。
  2. 請求項1に記載の赤外線検出素子において、
    前記第2の吸収部の面積は前記第1の吸収部の面積より小さいことを特徴とする赤外線検出素子。
  3. 請求項2に記載の赤外線検出素子において、
    前記第2の吸収部と前記支持脚との熱容量の和が、前記支持基板と前記第1の吸収部と前記検出部との熱容量の和より小さいことを特徴とする赤外線検出素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の赤外線検出素子において、
    前記第2の吸収部の赤外線吸収スペクトルにおける吸収波長帯の幅が、
    前記第1の吸収部の赤外線吸収スペクトルにおける吸収波長帯の幅より狭いことを特徴とする赤外線検出素子。
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