JP5860745B2 - 筒形防振装置およびその製造方法 - Google Patents

筒形防振装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、径方向で互いに離隔配置されたインナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結せしめた構造の筒形防振装置に係り、例えば自動車用のサスペンションブッシュやサブフレームマウント,ボデーマウント等として採用され得る筒形防振装置およびその製造方法に関するものである。
従来から、互いに径方向で離隔配置したインナ軸金具とアウタ筒金具を本体ゴム弾性体で連結した筒形防振装置が知られており、例えば自動車のサスペンションマウントやボデーマウント等に用いられている。
このような筒形防振装置では、外部からの入力荷重がインナ軸金具とアウタ筒金具との間で軸直角方向に及ぼされる。そして、過大な軸直角方向の荷重が入力された際に本体ゴム弾性体の弾性変形量やインナ軸金具とアウタ筒金具の相対変位量を制限するために、インナ軸金具からアウタ筒金具に向かって所定高さで突出するストッパ部が採用されている。
ところで、かかるストッパ部は、金属製のインナ軸金具の外周面に一体形成することも可能であるが、加工上の理由や突出高さの設計自由度の確保、軽量化の目的などの理由から、合成樹脂材料で形成したストッパ部材を、インナ軸金具の外周面に固着せしめた構造が提案されている。例えば、特開2004−144150号公報(特許文献1)に記載の如きである。
ところが、合成樹脂製のストッパ部材では、インナ軸金具への固着力の確保が難しいという問題があった。なお、特許文献1には、インナ軸部材の外周面にローレット加工を施すことでストッパ部材の固着力を高めることが提案されているが、ローレット加工では未だ充分な固着力を得難く、ローレット加工の処理工程も面倒であるという問題があった。
特開2004−144150号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、インナ軸部材の外周面に対して合成樹脂製のストッパ部材を簡単な構造で且つ強固に固着することができる筒形防振装置およびその製造方法を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することが出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
本発明の第一の態様は、インナ軸部材の外周側に離隔してアウタ筒部材を配すると共に、それらインナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該インナ軸部材から該アウタ筒部材に向かって突出する合成樹脂製のストッパ部材を設けた筒形防振装置において、前記インナ軸部材の軸方向中間部分の外周面に膨出部を設けて、該膨出部を軸方向に延びるセレーション溝を形成し、該セレーション溝の深さを該インナ軸部材の外周面からの該膨出部の突出高さ以下として、該セレーション溝の軸方向一方の端部を軸方向に向かって開放する開放端とすると共に、該セレーション溝の軸方向他方の端部を壁部により軸方向で閉じた閉状端とする一方、前記ストッパ部材を該膨出部の軸方向両側に延び出させると共に、該セレーション溝の内部にまで入り込ませて該膨出部の外周面に固着したことを特徴とする。
本態様の筒形防振装置では、インナ軸部材の軸方向中間部分の外周面に膨出部を設けて、膨出部を軸方向に延びるセレーション溝を形成していることから、インナ軸部材の軸垂直方向の肉厚を薄肉とすることなくすなわちインナ軸部材の強度を損なうことなくセレーション溝を形成できる。
また、合成樹脂製のストッパ部材を、膨出部に設けられたセレーション溝の内部にまで入り込ませて膨出部の外周面に固着したことから、凹凸で被着面積が大きく確保でき、固着力の向上が実現できる。しかも、上記凹凸の係合作用により、周方向の位置決め力が大きく確保できる。
さらに、セレーション溝の軸方向他方の端部を壁部により軸方向で閉じた閉状端としたことから、軸方向の係合面が一層有利に確保されて、軸方向の位置決め力が一層効果的に発揮される。また、セレーション溝の軸方向一方の端部を軸方向に向かって開放する開放端としたことから、樹脂の入り込みが容易とされ、ボイドや樹脂充填不良などの不具合も効果的に回避され得るのである。
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載された筒形防振装置において、前記膨出部が、軸方向両端部における段差面と、軸方向中央部分における大径円筒状面とをもって形成されており、前記セレーション溝の前記開放端が、該膨出部の軸方向一方の該段差面に開放しているものである。
第二の態様によれば、膨出部が、軸方向両端部における段差面と、軸方向中央部分における大径円筒状面とをもって形成されていることから、合成樹脂製のストッパ部材の両側段差面への係合作用により、軸方向の位置決め力について大きく確保できる。しかも、両側段差面への係合により、被着面積が大きく確保でき、固着力の向上が実現できるのである。また、セレーション溝の開放端が、膨出部の軸方向一方の段差面に開放していることから、樹脂の入り込みが容易とされ、ボイドや樹脂充填不良などの不具合も効果的に回避され得るのである。
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された筒形防振装置において、前記セレーション溝が、前記インナ軸部材の軸方向に一定断面形状でストレートに延びているものである。
第三の態様によれば、セレーション溝が、インナ軸部材の軸方向に一定断面形状でストレートに延びていることにより、樹脂の入り込みが容易とされ、ボイドや樹脂充填不良などの不具合も効果的に回避され得る。また、製造が容易であり、バリなどの不具合の発生も抑えられ、コスト低減にも寄与できるのである。
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか1つの態様に記載された筒形防振装置において、前記インナ軸部材が円筒形状とされており、該インナ軸部材の内径寸法が全長に亘って一定とされていると共に、軸方向中央部分で外周側に厚肉とされて前記膨出部が設けられているものである。
本発明の第の態様は、第一〜第の何れか1つの態様に記載された筒形防止装置の製造方法であって、成形用金具をダイスの成形用孔に対してパンチで軸方向に押し込んで、該成形用金具の外周面を該ダイスの成形用孔で成形することにより、前記インナ軸部材を鍛造成形するに際して、該ダイスの成形用孔において前記膨出部に対応する大径部の内周面に溝成形用突起を突出形成せしめて、該溝形成用突起で前記セレーション溝を鍛造成形することを特徴とする。
このような製造方法に従えば、目的とする本発明に従う筒形防振装置を安定して且つ容易に製造することができる。即ち、製品品質の安定化ならびに製造工程の簡略化を図ることが出来るのである。しかも本態様によれば、インナ軸部材への膨出部の形成およびセレーション溝の形成、特に開放端と閉状端とを備えた特殊な構造のセレーション溝の形成、を鍛造加工によって極めて効率的に行うことが可能となるのである。
本発明によれば、インナ軸部材の軸方向中間部分の外周面に膨出部を設けて、膨出部を軸方向に延びるセレーション溝を形成し、セレーション溝の軸方向一方の端部を軸方向に向かって開放する開放端とすると共に、セレーション溝の軸方向他方の端部を壁部により軸方向で閉じた閉状端とする一方、ストッパ部材をセレーション溝の内部にまで入り込ませて膨出部の外周面に固着されるようにした。その結果、インナ軸部材の強度を損なうことなくセレーション溝を形成でき、ストッパ部材の周方向ならびに軸方向の位置決め力が大きく確保できると共に、鍛造成形によりインナ軸部材への膨出部の形成および特殊な構造のセレーション溝の形成を極めて効率的に形成し得るように為し得たのである。
本発明の第一の実施形態としてのデフマウントの側面図。 図1のII−II縦断面図。 図2のIII−III縦断面図。 図3のA部拡大図。 図1に示すデフマウントのインナ軸部材の側面拡大図。 図5に示すインナ軸部材の膨出部の正面拡大図。 図5に示すインナ軸部材のセレーション溝形成工程を示す側面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜4には、本発明の第一の実施形態である筒形防振装置10が示されている。この筒形防振装置10は、インナ軸部材12とその外周側に離隔配置されたアウタ筒部材14とが本体ゴム弾性体16で連結されることによって形成されている。この筒形防振装置10は、例えば、インナ軸部材12が自動車のボデーメンバに取り付けられる一方、アウタ筒部材14が自動車のデフハウジングに設けられた装着穴に圧入固定されて取り付けられることにより、デフハウジングをボデーメンバに防振支持せしめるデフマウントとして用いられる。このデフマウントには、車両の走行時の路面からの振動やトルク反力等による外力が、主に軸直角方向に及ぼされるようになっている。なお、以下の説明中、軸方向および径方向とは、原則としてインナ軸部材12またはアウタ筒部材14の軸方向および径方向を言う。
より詳細には、インナ軸部材12は、中実又は中空のロッド形状を有する金具であり、鉄鋼等の金属材で形成されている。本実施形態では、インナ軸部材12は、軸方向にストレートに延びる円筒形外周面18と、オーバル断面形状で中心軸上を延びる中心孔20とを備えている。一方、アウタ筒部材14は、インナ軸部材12よりも所定量だけ大径の筒形状を有する金具であり、インナ軸部材12と同様に適当な金属材で形成されている。本実施形態では、アウタ筒部材14は、軸方向にストレートに延びる円筒形状を有しており、インナ軸部材12に外挿されて、インナ軸部材12の外周面18に離隔して配設されていると共に、インナ軸部材12とアウタ筒部材14が同一中心軸上に配設されている。
また、これらインナ軸部材12とアウタ筒部材14の径方向対向面間には、本体ゴム弾性体16が配設されている。この本体ゴム弾性体16は、全体として厚肉の略筒形ブロック形状を有しており、本体ゴム弾性体16の内周面22がインナ軸部材12の外周面18に固着されていると共に、本体ゴム弾性体16の外周面24がアウタ筒部材14の内周面26に固着されている。本実施形態では、かかる本体ゴム弾性体16が、インナ軸部材12とアウタ筒部材14に対して加硫接着された一体加硫成形品にて構成されている。
なお、本実施形態では、インナ軸部材12に比してアウタ筒部材14の方が軸方向に短くされており、アウタ筒部材14の軸方向両側からインナ軸部材12の軸方向両端部がそれぞれ所定長さで突出せしめられている。また、本体ゴム弾性体16の軸方向長さ寸法は、内周面22に比して外周面24の方が小さくされており、外部荷重の入力時における応力の分散等が図られている。
さらに、本体ゴム弾性体16には、インナ軸部材12とアウタ筒部材14との径方向対向面間において、軸方向に延びるスリット30,32が貫通形成されており、これらスリット30,32により軸直角方向のばね比が設定されている。本実施形態では、図2の上下方向となる軸直角方向でインナ軸部材12を挟んだ両側に位置して、一対の第一のスリット30,30が形成されている。また、これに直交する軸直角方向(図2中の左右方向)でインナ軸部材12を挟んだ両側に位置して、一対の第二のスリット32,32が形成されている。
本実施形態では、第一のスリット30および第二のスリット32の何れも、アウタ筒部材14の内周面26に沿って周方向に所定長さで広がって且つ軸方向に貫通する形状をもって形成されている。また、第一のスリット30は、第二のスリット32に比して、周方向および径方向に大きな断面形状をもって形成されている。これにより、第一のスリット30の対向方向となる図2の上下方向のばね特性が、第二のスリット32の対向方向となる図2の左右方向のばね特性に比して柔らかく設定されている。
また、第一のスリット30および第二のスリット32には、何れも、インナ軸部材12の外周面18とアウタ筒部材14の内周面26の何れか一方の面から他方の面に向かって突出するストッパゴム34,36が形成されている。特に本実施形態では、第一のストッパゴム34および第二のストッパゴム36が、何れも本体ゴム弾性体16で一体形成されている。また、第一のストッパゴム34は、第一のスリット30において、インナ軸部材12側の外周面18からアウタ筒部材14側に向かって径方向外方に所定高さで突出して形成されている。一方、第二のストッパゴム36は、第二のスリット32において、アウタ筒部材14の内周面26側からインナ軸部材12側に向かって径方向内方に所定高さで突出して形成されている。
そして、これら第一のストッパゴム34および第二のストッパゴム36の突出先端面38,40がスリット30,32の径方向対向面42,44に打ち当たることにより、インナ軸部材12とアウタ筒部材14の軸直角方向での相対的変位量を緩衝的に制限するストッパ機構が構成されている。なお、本実施形態では、第一のストッパゴム34および第二のストッパゴム36が、何れも、スリット30,32の軸方向全長に亘って連続して設けられているが、スリット30,32の軸方向で部分的に例えば中央部分だけにストッパゴム34,36を形成しても良い。
ここにおいて、第一のストッパゴム34には、その内部においてインナ軸部材12の外周面18に固着されたストッパ部材50が埋設状態で配されている。このストッパ部材50は、円筒形状の中央嵌着部52を有していると共に、この中央嵌着部52から軸直角方向両側でそれぞれ外方に向かって突出する一対のストッパ突部54が設けられている。そして、ポリアミドやポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂材料によって、中央嵌着部52、52と一対のストッパ突部54,54とを一体的に備えた形状で一体成形されている。
かかるストッパ部材50は、中央嵌着部52の内周面56において、インナ軸部材12の軸方向中央部分の外周面18に対して外嵌状態で固着されて装着されている。このストッパ部材50の外周面58には、略全体に亘って本体ゴム弾性体16および第一のストッパゴム34が被着されて覆われている。特に、一対のストッパ突部54,54の突出先端面には、第一のストッパゴム34が被着されて所定厚さの緩衝層60が形成されている。また、かかる緩衝層60は、ストッパ突部54の突出先端面の中央部分で薄く、且つ周方向両側部分で厚くされており、第一のストッパゴム34のアウタ筒部材14側への当接時には、緩衝層60による緩衝作用が非線形なばね特性で一層効果的に発揮されるようになっている。更にまた、本実施形態では、第一のストッパゴム34で被覆されたストッパ突部54の突出先端面が径方向で対向位置して当接せしめられる第一のスリット30のアウタ筒部材14側の径方向対向面42には、アウタ筒部材14の内周面26を被覆する緩衝ゴム62が設けられている。
さらに、ストッパ部材50が固着されたインナ軸部材12の軸方向中央部分の外周面18には、インナ軸部材12の円筒形外周面18よりも外周側に突出して大径とされた膨出部64が形成されている。この膨出部64の軸方向長さは、ストッパ部材50の中央嵌着部52の軸方向長さよりも大きくされており、中央嵌着部52が、膨出部64から軸方向両側にそれぞれ延び出した領域で、インナ軸部材12の外周面18に対して固着されている。
特に本実施形態の膨出部64は、軸方向両端部がインナ軸部材12の円筒外周面18から段差状に突出する段差面66,68をもって形成されていると共に、軸方向中央部分がインナ軸部材12の筒形外周面18よりも大きな略一定の外径寸法をもって軸方向でインナ軸部材12の筒形外周面18と同一中心軸上に延びる大径筒状面70をもって形成されている。
また、かかる膨出部64には、図4〜6に示すように、軸方向に延びるセレーション溝72が形成されている。なお、図5〜6においては、理解を容易とするために、インナ軸部材12以外の部材は記載していない。本実施形態においては、かかるセレーション溝72は、軸方向に直線的に延びる形状とされていると共に、周方向で互いに所定距離を隔てて略平行に延びる複数本の溝をもって形成されている。そして、このセレーション溝72の深さは、膨出部64の突出高さと同じかそれより小さくなるように構成されているが、具体的な深さ寸法は入力荷重の大きさ等を考慮して適宜に決定されるものであり、例えば0.5mm以上の深さ寸法をもって形成され得る。また、断面形状は、膨出部64の外周面74に向かって拡開する略V字形断面をもって形成されていると共に、略一定の断面形状で延びるように構成されている。
特に、本実施形態においては、かかるセレーション溝72は、何れも、インナ軸部材12の中心軸と平行に直線的に延びるように形成されている。さらに、セレーション溝72の軸方向一方の端部76は、膨出部64の段差面66に開口され、膨出部64から軸方向に開放された開放端を構成している。一方、セレーション溝72の軸方向他方の端部78は、終端とされている。すなわち、端壁が形成されて、閉状端の構造を形成しており、軸方向他方の端部78では開放されていない構成となっている。
そして、このようなセレーション溝72が形成された膨出部64に対して、ストッパ部材50の中央嵌着部52の内周面56が、セレーション溝72の内部を含む膨出部64の全面に対して密着状態で固着されている。要するに、セレーション溝72の内部にまでストッパ部材50が入り込んでおり、中央嵌着部52にはセレーション溝72に対応する突条が形成されて嵌合状態で組み付けられているのである。
そして、このような構造とされた筒形防振装置10においては、セレーション溝72が形成された膨出部64の凹凸形状により、ストッパ部材50のインナ軸部材12に対する被着面積が大きく確保でき、それによる固着力の向上を実現できる。また、上記凹凸形状の係合作用により、周方向の位置決め力が大きく確保することが可能となる。また、膨出部64の両側段差面66,68への係合作用により、軸方向の位置決め力が大きく確保することが可能となる。
さらに、セレーション溝72の軸方向他方の端部78が終端とされており、端壁が形成されて、閉状端の構造を形成していることから、ストッパ部材50のインナ軸部材12に対する軸方向の係合面が一層有利に確保されて、軸方向の位置決め力が一層効果的に発揮される。また、膨出部64の中央部分で開口する穴形状ではなく、軸方向一方の端部76が開放端とされていることから、樹脂の入り込みが容易とされ、ボイドや樹脂充填不良などの不具合も効果的に回避され得るのである。また、セレーション溝72の軸方向他方の端部78では、端部78に近づくほど溝深さが浅く形成されていることから、バリが発生しにくくなる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる改良,修正等を加えた態様において実施され得るものであり、また、一々列挙しないが、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
例えば、膨出部64の突出高さや大きさなどは限定されるものでなく、要求されるストッパ部材50に要求される特性や入力荷重の大きさなどを考慮して設定されるべきものである。また、前記実施形態では、膨出部64の断面形状として、膨出部64の外周面74が平坦な台形状のものを例にとり説明を行ってきたが、これ以外にも、台形の段差面66,68が多段構成になっているものや外周面74が球面形状のものなどに対しても適用可能であることは勿論である。また、本実施形態では、軸方向中央部分に膨出部64が形成されているが、軸方向中央である必要はない。インナ軸部材12や装着部材の形状や荷重入力状態などに応じて、軸方向一方に偏倚した位置であっても良い。
また、第二のスリット32は、要求される防振特性に応じて採用されるものであり、本発明において必須のものではない。また、第一のスリット30の形状や大きさも、要求特性に応じて適宜に変更可能である。
また、膨出部64に形成されるセレーション溝72の数や形状、大きさなどは、要求されるストッパ部材50のインナ軸部材12に対する固着力(位置決め力)や樹脂強度などを考慮して適宜に変更可能である。かかるセレーション溝72は、インナ軸部材12の中心軸に対して傾斜して軸方向に延びていても良い。また、必ずしもストレートである必要はなく、湾曲して軸方向に延びていても良い。また、セレーション溝72は等間隔に設けることが必須ではないことは勿論である。
加えて、本発明の適用範囲は、実施形態のデフマウントに限定されるものでなく、例えばサスペンションメンバの車両ボデー側や車輪側への連結部分に装着されるサスペンションブッシュや、サブメンバの車両ボデーへの取付部分に装着されるメンバマウント、パワーユニットの車両ボデーへの取付部分に装着される筒形エンジンマウントなどにも同様に適用され得る。また、装着状態下で入力される外力は、軸直角方向に加えて軸方向の荷重入力があっても良いし、こじり方向やねじり方向の入力があっても良く、そのような筒形防振装置への適用も可能である。
さらに、インナ軸部材12とアウタ筒部材14は、防振装置に要求される特性に応じて偏心配置されていても良いし、本体ゴム弾性体16のばね特性も径方向で異方性(径方向ばね特性が周上で異ならされている)をもっていても良い。
また、ストッパ部材50も、径方向で対向位置して一対(両側)に突出している必要はなく、また、両側に突出する場合でも突出高さが相互に異なっていても良い。さらに、ストッパ部材50の形状は、例えば突出先端面を球状外周面等とすることも可能であり、それによって例えばこじり方向のばね特性を柔らかくチューニングすることも可能である。
ところで、上述のごとき構造とされた筒形防振装置10は、以下の工程に従って有利に製造される。先ず、インナ軸部材12とアウタ筒部材14をそれぞれ別工程で製造して準備する。ここにおいて、アウタ筒部材14は、金属製パイプ材を所定長さで切断することによって形成される。一方、インナ軸部材12は、金属製パイプ材を所定長さで切断した得られた素管に対して、例えばインナ軸部材12の外周面18の切削加工でセレーション溝72を備えた膨出部64を形成することも可能であるが、好適には、鍛造加工によって、膨出部64を成形すると共に、セレーション溝72を形成する。
例えば、インナ軸部材12の外径よりやや小さい径の断面円形状の中実の金属製棒材を適当な長さに切断すること等により得られたブロック状の成形用金具を準備する。そして、目的とするインナ軸部材12の外周面形状を与える成形用孔を備えたダイスと、目的とするインナ軸部材12の内周面形状を与える外径のパンチとを備えた鍛造型を用い、かかる成形用金具を鍛造加工することにより、上述の如き中心孔20と膨出部64を含む外周面18を有するインナ軸部材12を成形する。
次の工程では、図7に示すように、このようにして得られた成形用金具80の膨出部64にセレーション溝72を形成する。より詳細には、この工程のダイス82の成形用孔84の長さは成形用金具80の長さよりも若干長く形成されているとともに、成形用孔84の口部84aが段状に拡径されて形成されている。その成形用孔84には、複数のセレーション溝形成用突起86が突出形成されている。このセレーション溝形成用突起86は、膨出部64に対応する大径部の内周面84bすなわち成形用孔84のほぼ中央部においてほぼ成形用金具80の膨出部64の軸方向の長さで延設されている。かかるセレーション溝形成用突起86は、軸方向に直線的に延びる形状とされていると共に、周方向で互いに所定距離を隔てて略平行に延びる複数本の突条をもって形成されている。
この工程のパンチ88は成形用金具80の外周面18の直径とほぼ同じ直径を有する円柱形状となっており、その軸線はダイス82の成形用孔84の軸線と一致するように位置するとともに、パンチ88はその軸線上をダイス82側に接近移動可能になっている。この工程において成形用金具80は、図7(a)に示すように、チャック(図示せず)にてダイス82の成形用孔84の前に、ダイス82の成形用孔84と一致するような位置で把持されている。この状態で図7(b)に示すように、パンチ88をダイス82側にかなりの加速度をもって移動させる。これにより、成形用金具80の膨出部64にセレーション溝72が形成され、成形用金具80はインナ軸部材12(図7(c))となる。
さらに、このようにして得られたインナ軸部材12を、ストッパ部材50を樹脂成形するための射出成形型の成形キャビティに位置決めセットする。その後、かかる成形キャビティに樹脂材料を射出充填し、冷却硬化させることにより、インナ軸部材12の外周面18にストッパ部材50が固着されたインサート樹脂成形品を得ることができる。
続いて、得られたインサート樹脂成形品とアウタ筒部材14を、本体ゴム弾性体16の加硫成形型の成形キャビティにおいて所定位置にそれぞれ位置決めセットする。その後、かかる成形キャビティにゴム材料を充填し、加硫処理を施すことにより、目的とする筒形防振装置10を、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品として得ることができる。
なお、本体ゴム弾性体16の加硫成形に際しては、予めインナ軸部材12の外周面18やアウタ筒部材14の内周面26等に化成皮膜などの前処理を施すことも可能である。また、本体ゴム弾性体16の加硫成形後に、アウタ筒部材14に絞り加工を施して縮径させることで、本体ゴム弾性体16の引張応力を解消させたり予圧縮を加えることも可能である。
このような製造方法に従えば、目的とする本発明に従う筒形防振装置10を安定して且つ容易に製造することができ、製品品質の安定化と製造工程の簡略化を実現することが出来る。特に、インナ軸部材12への膨出部64の形成およびセレーション溝72の形成、特に開放端と閉状端とを備えた特殊な構造のセレーション溝72を極めて効率的に形成することが可能となるのである。
また、ストッパ部材50を形成する樹脂成形に際して、セレーション溝72が一方の端部76で開放端とされていることから、両方が閉状端とされた穴構造とされた場合に比して、ストッパ部材50の成形に際してのセレーション溝72内への樹脂材料の回り込みが良好となり、樹脂材料の流れが促進されることにより、樹脂材料のセレーション溝72内への充填不良などによる不良品の発生が抑えられるという効果も期待できる。
10:筒形防振装置、12:インナ軸部材、14:アウタ筒部材、16:本体ゴム弾性体、18:外周面、50:ストッパ部材、52:中央嵌着部、54:ストッパ突部、56:内周面、64:膨出部、66,68:段差面、70:大径筒状面、72:セレーション溝、76:一方の端部、78:他方の端部、80:成形用金具、82:ダイス、84:成形用孔、86:突起、88:パンチ

Claims (5)

  1. インナ軸部材の外周側に離隔してアウタ筒部材を配すると共に、それらインナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該インナ軸部材から該アウタ筒部材に向かって突出する合成樹脂製のストッパ部材を設けた筒形防振装置において、
    前記インナ軸部材の軸方向中間部分の外周面に膨出部を設けて、該膨出部を軸方向に延びるセレーション溝を形成し、該セレーション溝の深さを該インナ軸部材の外周面からの該膨出部の突出高さ以下として、該セレーション溝の軸方向一方の端部を軸方向に向かって開放する開放端とすると共に、該セレーション溝の軸方向他方の端部を壁部により軸方向で閉じた閉状端とする一方、
    前記ストッパ部材を該膨出部の軸方向両側に延び出させると共に、該セレーション溝の内部にまで入り込ませて該膨出部の外周面に固着したことを特徴とする筒形防振装置。
  2. 前記膨出部が、軸方向両端部における段差面と、軸方向中央部分における大径円筒状面とをもって形成されており、
    前記セレーション溝の前記開放端が、該膨出部の軸方向一方の該段差面に開放している請求項1に記載の筒形防振装置。
  3. 前記セレーション溝が、前記インナ軸部材の軸方向に一定断面形状でストレートに延びている請求項1又は2に記載の筒形防振装置。
  4. 前記インナ軸部材が円筒形状とされており、該インナ軸部材の内径寸法が全長に亘って一定とされていると共に、軸方向中央部分で外周側に厚肉とされて前記膨出部が設けられている請求項1〜3の何れか一項に記載の筒形防振装置。
  5. 請求項1〜の何れか一項に記載の筒形防止装置の製造方法であって、
    成形用金具をダイスの成形用孔に対してパンチで軸方向に押し込んで、該成形用金具の外周面を該ダイスの成形用孔で成形することにより、前記インナ軸部材を鍛造成形するに際して、
    該ダイスの成形用孔において前記膨出部に対応する大径部の内周面に溝成形用突起を突出形成せしめて、該溝形成用突起で前記セレーション溝を鍛造成形することを特徴とする筒形防振装置の製造方法。
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