JP5860231B2 - 電子部品用接着剤 - Google Patents
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Description
以下、本発明を詳述する。
上記脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族鎖式化合物であってもよく、脂環式化合物であってもよい。上記脂肪族鎖式化合物として、例えば、(ポリ)エチレングリコール型エポキシ樹脂、(ポリ)プロピレングリコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−(ポリ)プロピレンオキサイド型エポキシ樹脂、ビスフェノールF−(ポリ)プロピレンオキサイド型エポキシ樹脂等が挙げられる。上記脂環式化合物として、例えば、水添レゾルシノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビフェニル型エポキシ樹脂、水添ナフタレン型エポキシ樹脂、水添アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、硬化後に高い弾性率を得られることから、脂環式化合物が好ましく、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂がより好ましい。これらの脂肪族エポキシ化合物は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
上記ジヒドロベンゾオキサジン化合物は、上記脂肪族エポキシ化合物、並びに、必要に応じて配合される芳香族エポキシ化合物及びエポキシ化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物等との相溶性が良好である。そのため、上記ジヒドロベンゾオキサジン化合物を含有することで、得られる電子部品用接着剤においては、硬化時には、配合したそれぞれの化合物がすべて反応系に取り込まれ、未反応物の残存が抑制されるため、フリップチップ実装においてもボイドの発生を低減しやすい。
なお、このような方法においては、反応終了後に減圧下で溶剤及び水分を除去することにより、上記ジヒドロベンゾオキサジン化合物が得られる。
上記フェノール系硬化剤を含有することで、本発明の電子部品用接着剤は、上記脂肪族エポキシ化合物及び上記ベンゾオキサジン化合物のみの硬化に加えて架橋構造が形成されるため、硬化後に低線膨張率となる。
即ち、上記フェノール系硬化剤のOH当量に対する、ベンゾオキサジン環を1官能とした場合の上記ベンゾオキサジン化合物の当量の比(ベンゾオキサジン化合物の当量/フェノール系硬化剤のOH当量)は、1.4〜2.0であることが好ましい。上記値が上記範囲を外れると、得られる電子部品用接着剤は、硬化後に充分に低線膨張率とはならないことがある。なお、本明細書中、フェノール系硬化剤のOH当量に対する、ベンゾオキサジン環を1官能とした場合のベンゾオキサジン化合物の当量の比(ベンゾオキサジン化合物の当量/フェノール系硬化剤のOH当量)は、フェノール系硬化剤のOH基のモル数に対する、ベンゾオキサジン環を1官能とした場合のベンゾオキサジン化合物のモル数の比(ベンゾオキサジン化合物のモル数/フェノール系硬化剤のOH基のモル数)である。
上記芳香族エポキシ化合物は特に限定されず、例えば、軟化点が150℃以下の芳香族エポキシ樹脂、常温で液体又は結晶性固体の芳香族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの芳香族エポキシ化合物は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
上記反応可能な官能基を有する高分子化合物は、造膜成分としての役割を果たす。また、上記反応可能な官能基を有する高分子化合物を含有することで、得られる電子部品用接着剤の硬化物は靭性をもち、優れた耐衝撃性を発現することができる。
上記エポキシ基を有する高分子化合物を含有することで、得られる電子部品用接着剤の硬化物は、上記脂肪族エポキシ化合物及び必要に応じて配合される上記芳香族エポキシ化合物に由来する優れた機械的強度、耐熱性及び耐湿性と、上記エポキシ基を有する高分子化合物に由来する優れた靭性とを兼備することにより、高い接合信頼性及び接続信頼性を発現することができる。
上記酸無水物硬化剤を含有することで、得られる電子部品用接着剤はゲルタイムが長くなり、ボイドの発生をより一層低減することができる。
また、上記酸無水物硬化剤として、3官能以上の酸無水物硬化剤粒子を用いてもよい。上記3官能以上の酸無水物硬化剤粒子は特に限定されず、例えば、無水トリメリット酸等の3官能の酸無水物からなる粒子、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物等の4官能以上の酸無水物からなる粒子等が挙げられる。
上記硬化促進剤は特に限定されないが、イミダゾール化合物が好ましい。上記イミダゾール化合物は特に限定されず、例えば、イミダゾールの1位をシアノエチル基で保護した1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、イソシアヌル酸で塩基性を保護したイミダゾール化合物(商品名「2MA−OK」、四国化成工業社製)、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名「2MZ−A」、四国化成工業社製)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名「2P4MHZ」、四国化成工業社製)等が挙げられる。これらのイミダゾール化合物は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
上記無機充填材を含有することで、得られる電子部品用接着剤の硬化後の線膨張率が更に低下し、電子部品への応力の発生及びハンダ等の導通部分のクラックの発生を良好に防止することができる。
上記無機充填材は特に限定されず、例えば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ガラスパウダー、ガラスフリット等が挙げられる。
上記無機充填材の含有量は、上記硬化主剤100重量部に対するより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は400重量部、更に好ましい下限は15重量部、更に好ましい上限は300重量部である。
本発明の電子部品用接着剤からなる接着フィルムを用いた半導体装置の製造方法は特に限定されないが、例えば、前記接着フィルムをウエハの突起状電極を有する面にラミネートして、接着剤層を有するウエハを作製する工程と、前記接着剤層を有するウエハを分割して、個別の接着剤層を有する半導体チップを作製する工程と、前記接着剤層を有する半導体チップを、接着剤層を介して基板又は他のチップに積層する工程と、前記接着剤層を硬化して、半導体チップを基板又は他のチップに接着する工程とを有する方法が挙げられる。
このようにして得られた接着フィルムは、所望の形状にカットされて上述のような半導体装置の製造方法に用いられてもよい。
表1の組成に従って、ホモディスパーを用いて下記に示す各材料を攪拌混合し、電子部品用接着剤を調製した。
なお、フェノール系硬化剤のOH基のモル数に対する、ベンゾオキサジン環を1官能とした場合のベンゾオキサジン化合物のモル数の比(ベンゾオキサジン化合物のモル数/フェノール系硬化剤のOH基のモル数=BO/PhOH)を表1に示した。また、エポキシ基のモル数に対する、ベンゾオキサジン環を1官能とした場合のベンゾオキサジン化合物のモル数の比(ベンゾオキサジン化合物のモル数/エポキシ基のモル数=BO/EP)を表1に示した。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(商品名「EP−4088S」、ADEKA社製)
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「YX−8000」、ジャパンエポキシレジン社製)
ビスフェノールA−プロピレングリコール型エポキシ樹脂(商品名「EP−4000L」、ADEKA社製)
ビフェニル型エポキシ樹脂(商品名「YX−4000」、ジャパンエポキシレジン社製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「YL−980」、ジャパンエポキシレジン社製)
ナフタレン型エポキシ樹脂(商品名「EXA−4710」、DIC社製)
エポキシ樹脂(商品名「HP−7200HH」、DIC社製)
グリシジル基含有アクリル樹脂(重量平均分子量20万、商品名「G−2050M」、日油社製)
P−d型ベンゾオキサジン(四国化成工業社製)
クレゾールノボラック(商品名「KA−1160」、DIC社製)
1−イソプロピル−4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(商品名「YH−309」、ジャパンエポキシレジン社製)
2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加塩(商品名「2MA−OK」、四国化成工業社製)
シランカップリング剤(商品名「KBE−402」、信越化学工業社製)
実施例及び比較例で得られた電子部品用接着剤について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
得られた電子部品用接着剤について、110℃40分、更に、190℃30分で硬化させた厚さ500μmの硬化物を作製した。この硬化物について、粘弾性測定機(型式「DVA−200」、アイティー計測制御社製)を用い、昇温速度5℃/分、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで−60℃から300℃まで昇温し、25℃における弾性率を求めた。
得られた電子部品用接着剤について、110℃40分、更に、190℃30分で硬化させた厚さ500μmの硬化物を作製した。この硬化物について、熱応力歪測定装置(型式「EXTEAR TMA/SS 6100」、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、荷重2N、昇温速度5℃/分、サンプル長1cmで300℃まで昇温し、このとき得られたSSカーブの傾きから、線膨張率を求めた。
得られた電子部品用接着剤を用いて、3mm×3mmのシリコンチップを20mm×20mmのシリコンチップに接着し、190℃30分で硬化させた後、即座にボンドテスター(Dage社製Dage シリーズ4000)を用いて260℃におけるダイシェア強度を測定した。
得られた電子部品用接着剤を、溶剤としてメチルエチルケトンに溶解して接着剤溶液を調製した後、アプリケーターによって接着剤溶液を離型処理されたペットフィルム上に塗工し、溶剤を乾燥して100μm厚の電子部品用接着フィルムを得た。
得られた電子部品用接着フィルムを、ハンダボール(高さ85μm)が150μm間隔でチップ全面に3136個形成されたフルアレイのTEGチップ(10mm×10mm×厚み725μm)にラミネートした後、チップサイズに合わせて電子部品用接着フィルムを裁断し、接着剤付TEGチップを得た。次いで、得られた接着剤付TEGチップのハンダと1本のデイジーチェーンとなるように配線されたハンダプリコート付ガラスエポキシTEG基板に、ステージ温度120℃、ヘッド温度140℃20秒、280℃5秒、ヘッド圧100Nで接着剤付TEGチップをフリップチップボンディングした。その後、190℃30分でポストキュア(後硬化)を行い、冷熱サイクル試験(TC試験)用接合体を得た。
得られたTC試験用接合体について、予め導通抵抗値(以下、初期抵抗値とする)を測定しておき、60℃、60%RHで40時間吸湿させ、ピーク温度260℃のリフローオーブンに3回通してリフロー試験を行った後、再び導通抵抗値を測定した。リフロー試験後の導通抵抗値が初期抵抗値から10%以上変化した場合を不良とし、8個のTC試験用接合体について不良個数を評価した。
上記(4)にてリフロー試験を行ったTC試験用接合体について、−55〜125℃(30分/1サイクル)、1000サイクルのTC試験を行った後、導通抵抗値を測定した。TC試験後の導通抵抗値が初期抵抗値から10%以上変化した場合を不良とし、不良個数を評価した。なお、上記(4)のリフロー試験にて不良となったTC試験用接合体については、TC試験は行わなかった。リフローNG数(不良個数)及びTC不良個数の総個数を表1に示した。
得られた電子部品用接着剤を、溶剤としてメチルエチルケトンに溶解して接着剤溶液を調製した後、アプリケーターによって接着剤溶液を離型処理されたペットフィルム上に塗工し、溶剤を乾燥して100μm厚の電子部品用接着フィルムを得た。
得られた電子部品用接着フィルムを、ハンダボール(高さ85μm)が150μm間隔でチップ全面に3136個形成されたフルアレイのTEGチップ(10mm×10mm×厚み725μm)にラミネートした後、チップサイズに合わせて電子部品用接着フィルムを裁断し、接着剤付TEGチップを得た。次いで、得られた接着剤付TEGチップのハンダと2本のデイジーチェーンを形成し、その2本のデイジーチェーンが櫛歯状となるように配線されたハンダプリコート付ガラスエポキシTEG基板に、接着剤付TEGチップのハンダと、ガラスエポキシTEG基板の電極部とが対応するように位置合わせした後、ステージ温度120℃、ヘッド温度140℃20秒、280℃5秒、ヘッド圧100Nで接着剤付TEGチップをフリップチップボンディングした。その後、190℃30分でポストキュア(後硬化)を行い、高温高湿バイアス試験(THB試験)用接合体を得た。
得られた電子部品用接着剤を260℃のホットプレートに乗せ、スパチュラ等で接着剤を流動させ、接着剤が流動しなくなった時間をゲルタイムとした。
得られた電子部品用接着剤を用いて電子部品用接着フィルムを作製し、得られた電子部品用接着フィルムを10mm角のベアチップにラミネートした。これを、280℃5秒でスライドガラスに対してボンディングした後、下記の基準でボイドを評価した。
チップ下にもフィレット部分にも5μm以上のボイドが無かった場合を◎、チップ下には5μm以上のボイドが無いが、フィレット部分には5μm以上のボイドが有った場合を○、チップ下に5μm以上20μm未満のボイドが有った場合を△、チップ下に20μm以上のボイドが有った場合を×とした。なお、20μm以上のボイドを判定基準としたのは、20μm以上のボイドが有る場合にはリフロー時に電極ショートが生じる可能性があるためである。
Claims (2)
- 脂肪族エポキシ化合物と芳香族エポキシ化合物とベンゾオキサジン化合物とを硬化主剤として含有し、かつ、フェノール系硬化剤を含有し、前記芳香族エポキシ化合物の含有量は、前記脂肪族エポキシ化合物100重量部に対して100重量部以下であることを特徴とする電子部品用接着剤。
- エポキシ化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物を硬化主剤として更に含有することを特徴とする請求項1記載の電子部品用接着剤。
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