JP5635748B2 - 半導体チップ接合用接着剤 - Google Patents
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Description
そこで、従来、半導体チップへの応力の発生を低減するためには、接着剤に無機充填材を大量に添加することによって硬化物の線膨張率を低下させる方法が用いられてきた。例えば、特許文献1に開示される接着性、速硬化性、信頼性に優れた半導体用ダイアタッチペーストには、必須成分として銀粉、シリカ等の充填材が添加されている。
Low−k材は、半導体チップの配線及び配線間距離の微細化に起因する配線遅延を防止するために用いられており、硬く脆い多孔質状の材料であるため、接合された半導体チップに大きな応力が発生した場合には剥離を生じやすく、ハンダ等の導通部分にクラックを生じやすい。そのため、Low−k材を用いる場合にも信頼性の高い半導体装置を製造するためには、半導体チップへの応力の発生をより厳密に低減する必要があり、硬化物が低線膨張率であるだけでなく低弾性率でもある接着剤が求められる。しかし、無機充填材の添加量を増やすと、接着剤硬化物の線膨張率を低下させることはできるものの同時に弾性率を上昇させてしまうことから、低線膨張率と低弾性率とを同時に実現することのできる新たな方法が望まれている。
以下、本発明を詳述する。
上記エポキシ基を有するアントラセン誘導体又はエポキシ基を有するナフタレン誘導体を含有することにより、半導体チップ接合用接着剤の硬化物の線膨張率を低下させることができる。これは、上記エポキシ基を有するアントラセン誘導体又はエポキシ基を有するナフタレン誘導体の分子の剛直性と、硬化物中での分子同士のスタッキング効果とによるものと考えられる。例えば、エポキシ基を有するアントラセン誘導体を含有する本発明の半導体チップ接合用接着剤をフィルム状に成形し、Bステージ化した場合、Bステージ化の前後で半導体チップ接合用接着剤の色調が変化することからも、上記エポキシ基を有するアントラセン誘導体の分子同士が硬化物中でスタッキング構造をとっていることが考えられる。
なお、本発明の半導体チップ接合用接着剤は、例えば、上記エポキシ基を有するアントラセン誘導体を含有する場合、Bステージ化を経ることにより、例えば、オレンジ色又は黄色から緑色に変化する。
上記1分子中に2以上のエポキシ基を有するアントラセン誘導体は特に限定されないが、下記一般式(A)で表される構造を有する化合物が好ましく、なかでも、下記式(1)で表される構造を有する化合物がより好ましい。
また、上記エポキシ基を有するナフタレン誘導体のうち、市販品として、例えば、HP−4032、HP−4700、HP−4770、HP−5000、EXA−9900等(以上、DIC社製)等が挙げられる。なお、HP−4032(DIC社製)は、上記式(2)で表される構造を有する化合物である。
上記他のエポキシ化合物は特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、及び、これらの変性物、水添化物等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
上記反応可能な官能基を有する高分子化合物を含有することで、得られる半導体チップ接合用接着剤の硬化物は靭性をもち、優れた耐衝撃性を発現することができる。
上記エポキシ基を有する高分子化合物を含有することで、得られる半導体チップ接合用接着剤の硬化物は優れた靭性を発現する。即ち、得られる半導体チップ接合用接着剤の硬化物は、上記エポキシ基を有するアントラセン誘導体又はエポキシ基を有するナフタレン誘導体と、上記他のエポキシ化合物とに由来する優れた機械的強度、耐熱性及び耐湿性と、上記エポキシ基を有する高分子化合物に由来する優れた靭性とを兼備することにより、高い接合信頼性や接続信頼性を発現することができる。
上記硬化剤は特に限定されず、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール系硬化剤等が挙げられる。なかでも、酸無水物硬化剤が好ましい。
上記硬化促進剤は特に限定されず、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、硬化速度や硬化物の物性等の調整をするための反応系の制御をしやすく、得られる半導体チップ接合用接着剤の硬化物の線膨張率をより低下させられることから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。これらの硬化促進剤は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
上記無機充填材を含有することにより、得られる半導体チップ接合用接着剤の硬化物の線膨張率を更に低下させることができる。なお、本発明の半導体チップ接合用接着剤は、上記エポキシ基を有するアントラセン誘導体又はエポキシ基を有するナフタレン誘導体を含有することによって硬化物の線膨張率を低下させることができるため、大量の無機充填材を添加する必要がなく、無機充填材の添加による硬化物の弾性率の上昇を抑制することができる。
上記無機充填材は特に限定されず、例えば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
上記無機充填材の含有量は、上記エポキシ基を有するアントラセン誘導体又はエポキシ基を有するナフタレン誘導体と、上記他のエポキシ化合物と、上記反応可能な官能基を有する高分子化合物との合計100重量部に対するより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は400重量部、更に好ましい下限は15重量部、更に好ましい上限は300重量部である。
上記希釈剤は特に限定されないが、半導体チップ接合用接着剤の加熱硬化時に硬化物に取り込まれる反応性希釈剤が好ましい。なかでも、得られる半導体チップ接合用接着剤の接着信頼性を悪化させないために、1分子中に2以上の官能基を有する反応性希釈剤がより好ましい。
上記1分子中に2以上の官能基を有する反応性希釈剤として、例えば、脂肪族型エポキシ、エチレンオキサイド変性エポキシ、プロピレンオキサイド変性エポキシ、シクロヘキサン型エポキシ、ジシクロペンタジエン型エポキシ、フェノール型エポキシ等が挙げられる。
上記溶媒は特に限定されず、例えば、芳香族炭化水素類、塩化芳香族炭化水素類、塩化脂肪族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、グリコールエーテル(セロソルブ)類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
なお、本明細書中、半導体チップ接合用接着剤の硬化物の線膨張率は、接着剤を110℃40分、更に、190℃30分で硬化させた厚さ500μmの硬化物を作製し、熱応力歪測定装置(「EXTEAR TMA/SS 6100」、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、荷重2N、昇温速度5℃/分、サンプル長1cmで300℃まで昇温し、このとき得られたSSカーブの傾きから求められる値である。
なお、本明細書中、半導体チップ接合用接着剤の硬化物の弾性率は、接着剤を110℃40分、更に、190℃30分で硬化させた厚さ500μmの硬化物を作製し、粘弾性測定機(型式「DVA−200」、アイティー計測制御社製)を用いて、昇温速度5℃/分、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで−60℃から300℃まで昇温し、−55℃、125、260℃にて測定して得られる値(GPa)である。
なお、本発明の半導体チップ接合用接着剤の硬化収縮率は、JIS A6024に基づき、硬化前後の比重差より体積収縮率(%)として求める値をいう。比重の測定は測定温度25℃において行う。
上記混合する方法は特に限定されず、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等を用いて混合する方法等が挙げられる。
表1の組成に従って、ホモディスパーを用いて下記に示す各材料を攪拌混合し、半導体チップ接合用接着剤を調製した。
エポキシ基を有するアントラセン誘導体(商品名「YX−8800」、ジャパンエポキシレジン社製)
(エポキシ基を有するナフタレン誘導体)
エポキシ基を有するナフタレン誘導体(商品名「HP−4032」、DIC社製)
ビフェニル型エポキシ樹脂(商品名「YX−4000」、ジャパンエポキシレジン社製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「YL−980」、ジャパンエポキシレジン社製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「1004AF」、ジャパンエポキシレジン社製)
グリシジル基含有アクリル樹脂(商品名「G−2050M」、日油社製)
トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸(商品名「YH−306」、JER社製)
2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加塩(商品名「2MAOK」、四国化成工業社製)
無機フィラー(シリカ)(商品名「SE−4000」、アドマテックス社製)
シランカップリング剤(商品名「KBM−573」、信越化学社製)
増粘剤(商品名「レオロシール MT−10」、トクヤマ社製)
実施例及び比較例で得られた半導体チップ接合用接着剤を用いて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
得られた半導体チップ接合用接着剤について、110℃40分、更に、190℃30分で硬化させた厚さ500μmの硬化物を作製し、熱応力歪測定装置(型式「EXTEAR TMA/SS 6100」、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、荷重2N、昇温速度5℃/分、サンプル長1cmで300℃まで昇温し、このとき得られたSSカーブの傾きから、ガラス転移温度(Tg)未満とガラス転移温度(Tg)以上の線膨張率を求めた。
得られた半導体チップ接合用接着剤について、110℃40分、更に、190℃30分で硬化させた厚さ500μmの硬化物を作製し、粘弾性測定機(型式「DVA−200」、アイティー計測制御社製)を用い、昇温速度5℃/分、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで−60℃から300℃まで昇温し、−55℃、125℃、260℃にて測定して得られる値(GPa)を弾性率とした。また、tanδのピーク時の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
ハンダボールがペリフェラル状に配置されている半導体チップ(10mm×10mm)と、半導体チップを介して電気的に接続されたときに半導体チップ内のメタル配線とデイジーチェーンとなるように銅が配線された20mm×20mm×0.75mm厚の基板(ガラス/エポキシ系FR−4)とを用い、得られた半導体チップ接合用接着剤を用いてフリップチップ実装(250℃、10秒、5N)した。
190℃30分にて完全硬化を行った後、60℃、60%RH、40時間吸湿させ、ピーク温度260℃のリフローオーブンに3回通し、チップ−接着剤−基板の剥がれの評価及び導通試験を行った。なお、8つのサンプルについて上記剥がれ評価及び導通試験を行い、剥がれ及び導通不良が見られた積層体の個数を評価した。上記導通試験については、導通抵抗値が10%以上変化したものを不良とした。
上記リフロー試験を行ったサンプルを、−55〜125℃(30分/1サイクル)、1000サイクルの冷熱サイクル試験を行い、チップ−接着剤−基板の剥がれの評価及び導通試験を行った。なお、8つのサンプルについて上記剥がれ評価及び導通試験を行い、剥がれ及び導通不良が見られた積層体の個数を評価した。上記導通試験については、導通抵抗値が10%以上変化したものを不良とした。
実施例3、4、参考例6及び比較例2で得られた半導体チップ接合用接着剤について、表1の組成に従って溶剤を添加し、アプリケーターを用いてペットフィルム上に塗工して、110℃20分で溶剤を乾燥させた。溶剤を乾燥させる前後における色調の変化を観察した。
Claims (3)
- エポキシ基を有するアントラセン誘導体を含有するエポキシ化合物、硬化剤、及び、無機充填剤を含有する半導体チップ接合用接着剤であって、
前記エポキシ基を有するアントラセン誘導体は、下記一般式(A)で表される構造を有する化合物であり、
前記エポキシ化合物中の前記エポキシ基を有するアントラセン誘導体の含有量が30〜71重量%であり、
前記無機充填剤の配合量は、前記エポキシ化合物(更に前記エポキシ化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物を含有する場合には、エポキシ化合物と該高分子化合物との合計)100重量部に対する前記無機充填剤の配合量が50重量部以下である
ことを特徴とする半導体チップ接合用接着剤。
- 請求項1記載の半導体チップ接合用接着剤を用いて製造されることを特徴とする非導電性ペースト。
- 請求項1記載の半導体チップ接合用接着剤を用いて製造されることを特徴とする非導電性フィルム。
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