JP5858131B1 - 液圧装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで製造でき、その上、簡単に組み立てることができる液圧装置を提供する。【解決手段】反力受け部材(106)の外周面には、第1の環状溝(116)が設けられている。また、ハウジング(101)の凹部(114)の内周面には、第1の環状溝(116)に対向する第2の環状溝(117)が設けられている。この第1,第2の環状溝(116,117)には止め輪(112)が係合する。上記反力受け部材(106)には、止め輪(112)のL字状に屈曲した先端(112a)が係合する係合孔(212)が設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、可変容量油圧ポンプ、固定容量油圧ポンプ、可変容量油圧モータ、固定容量油圧モータなどの液圧装置に関する。
従来、液圧装置としては、有底筒形状のハウジング内に配置された斜板支持台を備える油圧ポンプがある(例えば特開平11−351134号公報(特許文献1)参照)。
上記斜板支持台は斜板を傾動可能に支持する。この斜板には、ハウジング内で往復運動するピストンが軸方向において対向する。
また、上記斜板支持台は、ハウジングの底部の内面に設けられた凹部に嵌合する。より詳しくは、上記斜板支持台は、ハウジングの底部側とは反対側の開口からハウジング内に入れられて、上記凹部に嵌合する。そして、上記斜板支持板に設けられた貫通孔に取付ボルトを挿通して締め付けて、斜板支持板の軸方向の移動を規制する。
特開平11−351134号公報
ところが、上記従来の油圧ポンプでは、斜板支持板の軸方向の移動を取付ボルトで規制するため、凹部の底面にねじ穴を設ける必要がある。
したがって、上記油圧ポンプには、ハウジングの加工が増えて、製造コストが高くなってしまうという問題がある。
また、上記斜板支持板の軸方向の移動を取付ボルトで規制する場合、長い工具を使用し、ハウジングの底部側とは反対側の開口から取付ボルトを締め付けることになる。
したがって、上記油圧ポンプには、取付ボルトの締め付けに長い工具が必要になり、組み立てが煩わしいという問題もある。
そこで、本発明の課題は、低コストで製造でき、その上、簡単に組み立てることができる液圧装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の液圧装置は、
有底筒形状のハウジングと、
上記ハウジング内に回転可能に設けられた回転軸と、
上記ハウジング内において上記回転軸周りに回転可能に設けられ、上記回転軸周りの回転に伴って往復運動する複数のピストンを有するシリンダブロックと、
上記ハウジング内に収容され、上記ピストンを往復運動させるための反力を受けるための反力受け部材と
を備え、
上記ハウジングは、上記反力受け部材が嵌合する凹部を底部の内側に有し、
上記反力受け部材の外周面には、第1の環状溝が設けられ、
上記凹部の内周面には、上記第1の環状溝に対向する第2の環状溝が設けられ、
上記第1,第2の環状溝には線材が係合し、
上記反力受け部材は、上記線材の先端が係合する係合孔を有する
ことを特徴としている。
ここで、「反力受け部材」とは、例えば、斜板が受ける反力を支える部材などを指す。
また、この明細書では、環状溝とは、無端の円形に限らず、有端の円形、例えば、略270度の略円弧状の溝であっても、環状溝と言う。
上記構成によれば、上記線材が第1および第2の環状溝に係合することにより、例えば、取付ボルトを用いずに、反力受け部材の軸方向の移動を規制できる。したがって、上記凹部にねじ穴を設けずに済むので、ハウジングの加工が減って、低コストで製造できる。
また、上記取付ボルトを用いなくてもよいので、上記従来の油圧ポンプの組立時に使用した長い工具も用いなくてもよく、簡単に組み立てることができる。
また、上記反力受け部材は、上記線材の先端が係合する係合孔を有するので、上記線材の先端を係合孔に係合させた状態で、反力受け部材をハウジングに対して旋回させることによって、上記線材を第1および第2の環状溝に簡単の係合させることができる。
一実施形態の液圧装置では、
上記係合孔は、上記第1の環状溝の円周方向において、上記第1の環状溝と重なる位置に設けられている。
上記実施形態によれば、上記係合孔は、上記第1の環状溝の円周方向において、上記第1の環状溝と重なる位置に設けられているから、上記係合孔に線材の先端を係合して、反力受け部材をハウジングに対して旋回させるだけで、簡単に、線材を第1および第2の環状溝の間に、しごくようにして挿入して、第1および第2の環状溝に係合することができる。
一実施形態の液圧装置では、
上記係合孔は、上記第1の環状溝の外側の平坦部に設けられている。
上記実施形態では、上記係合孔が上記第1の環状溝の外側の平坦部に設けられているから、係合孔の視認が容易であって、係合孔と線材の先端との係合を容易にできる。
一実施形態の液圧装置では、
上記線材の先端は、L字形状に屈曲している。
上記実施形態によれば、上記線材の先端がL字形状に屈曲しているから、簡単に、そのL字形状に屈曲した線材の先端を係合孔に挿入して、第1の環状溝の周方向に係合することができる。
一実施形態の液圧装置では、
上記ハウジングは、上記反力受け部材を上記ハウジングに対して相対的に回転させると、上記係合孔に対向可能な開口を有する。
上記実施形態によれば、上記ハウジングが、上記反力受け部材を上記ハウジングに対して相対的に回転させると、上記係合孔に対向可能な開口を有するから、上記反力受け部材を旋回させる前の状態で、上記開口に係合孔を対向させて、この開口を経由して、線材の先端を係合孔に挿入できる。したがって、線材の先端を係合孔に挿入する作業性が極めて良い。
一実施形態の液圧装置では、
上記開口は、切欠きである。
上記実施形態によれば、上記開口が切欠きであるから、ハウジングの外側に開口が露出しないようにできて、開口にプラグなどの蓋を不要とすることができる。
一実施形態の液圧装置では、
上記切欠きの一側面に連なるテーパ面を有する。
上記実施形態によれば、上記線材の第1および第2の環状溝への組み付け時に、上記線材が切欠きの一側面に連なるテーパ面に案内されるので、線材を第1および第2の環状溝へスムーズに組み付けることができる。
一実施形態の液圧装置では、
上記ハウジングと上記反力受け部材とに周方向に係合する係合部材を有する。
上記実施形態によれば、上記係合部材が、上記ハウジングと上記反力受け部材とに周方向に係合するから、上記反力受け部材はハウジングに対して回転不可に固定される。
一実施形態の液圧装置では、
上記係合部材は、上記第1の環状溝の周方向に、上記線材に重なる位置に設けられている。
上記実施形態によれば、上記係合部材は、上記第1の環状溝の周方向に、上記線材に重なる位置に設けられているから、上記線材の周方向の移動を規制し、つまり、線材の回転を阻止することができる。
したがって、上記係合部材は、反力受け部材をハウジングに対して回転不可に固定する機能と、線材の回転を阻止する機能とを有する。
一実施形態の液圧装置では、
上記第1および第2の環状溝の深さ方向の上記線材の寸法は、上記第1の環状溝の深さと上記第2の環状溝の深さとの和に略等しい。
上記実施形態によれば、上記第1および第2の環状溝の深さ方向の上記線材の寸法が、上記第1の環状溝の深さと上記第2の環状溝の深さとの和に略等しいので、線材と第1,第2の環状溝116,117とが密に係合して、がたつかないと言う利点を有する。
本発明の液圧装置によれば、反力受け部材の周面には、第1の環状溝が設けられ、凹部の内周面には、第1の環状溝に対向する第2の環状溝が設けられ、第1,第2の環状溝のそれぞれには線材が係合するので、例えば取付ボルトを使用しなくても、反力受け部材の軸方向の移動を規制できる。したがって、上記反力受け部材を嵌合させる凹部にねじ穴を設けずに済むので、ハウジングの加工が減って、低コストで製造できる。
また、上記取付ボルトを使用しなくてもよいので、上記従来の油圧ポンプの組立時に使用した長い工具も用いなくてもよく、簡単に組み立てることができる。
また、上記反力受け部材は、上記線材の先端が係合する係合孔を有するので、上記線材の先端を係合孔に係合させた状態で、反力受け部材をハウジングに対して旋回させることによって、上記線材を第1および第2の環状溝に簡単の係合させることができる。
図1は本発明の第1実施形態の斜板式可変容量油圧ポンプの概略断面図である。 図2は図1のII−II線矢視の概略断面図である。 図3は図1の円C1内の部分の拡大図である。 図4は反力受け部材としての斜板支持台の正面図である。 図5は図4の斜板支持台の一部をX−X方向の断面で表す側面図である。 図6は止め輪の組み付けの過程を説明するための断面図である。 図7は図6のY−Y方向の断面図である。 図8は本発明の第2実施形態の斜板式固定容量油圧ポンプの概略断面図である。
以下、本発明の液圧装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の液圧装置の一例としての斜板式可変容量油圧ポンプを軸方向に平行な面で切った断面の概略図である。
上記斜板式可変容量油圧ポンプは、有底筒形状のハウジング101と、回転軸102と、シリンダブロック103と、複数のピストン104と、斜板105と、反力受け部材の一例としての斜板支持台106とを備える。
上記ハウジング101は、底部101aと、この底部101aと一体に設けられ、底部101aの周縁部に連なる周側部101bとを有している。この底部101aには、回転軸102を挿通するための挿通孔113が設けられている。この挿通孔113に挿通された回転軸102は、ハウジング101にベアリング109を介して回転自在に支持されている。
また、上記ハウジング101の底部101aの内側には、斜板支持台106が嵌合する凹部114が設けられている。すなわち、ハウジング101は、斜板支持台106が嵌合する凹部114を底部101aの内側に有している。
一方、上記ハウジング101の底部101aの外面には、ベアリング109を押さえる支持プレート107がボルト108で固定されている。
上記シリンダブロック103は、ハウジング101内に収容され、回転軸102と一体に回転する。このシリンダブロック103には、軸方向に延びるシリンダ穴115が複数設けられている。
上記各ピストン104は、シリンダ穴115内に軸方向に摺動自在に嵌合されている。このピストン104の斜板105側の一端部は、球状に設けられ、シュー111が傾動可能に取り付けられている。このシュー111は、リテーナ311に保持されて、シリンダブロック103の回転に伴い、斜板105の摺動面105aに沿ってシリンダブロック103と共に旋回する。
これにより、ピストン104は、シリンダブロック103の回転に伴い、回転軸102の周りを回転すると共に、シリンダ穴115内を往復運動する。
上記斜板105の摺動面105aの軸方向に対する傾斜角を、図示しないアクチュエータで斜板105を傾動させて、任意に変更できるようになっている。また、斜板105の中央部には、回転軸102が挿通される挿通孔151が設けられている。
上記反力受け部材としての斜板支持台106は、ピストン104を往復運動させるために斜板105が受ける反力を受けるために設けられ、斜板105を傾動可能に支持している。この斜板支持台106の中央部には、回転軸102が挿通される挿通孔161が設けられている。また、斜板支持台106はハウジング101の凹部114に嵌合している。
図2は図1のII−II線矢視の概略断面図である。また、図3は、図1の円C1で囲んだ部分の拡大図である。
上記斜板支持台106の外周面には、図2および図3に示すように、第1の環状溝116が設けられている。一方、上記凹部114の内周面には、第1の環状溝116に対向する第2の環状溝117が設けられている。また、上記凹部114の内周面における斜板105側の端部には、斜板105側に近づくにしたがって径が大きくなるテーパ面118が設けられている。
また、上記斜板式可変容量油圧ポンプは、第1および第2の環状溝116,117に係合する線材の一例としての止め輪112を備える。図3に示すように、上記止め輪112の断面は、略円形断面であって、この円形断面の寸法は、第1の環状溝116の深さと第2の環状溝117の深さとの和に略等しくなっていて、止め輪112と第1および第2の環状溝116,117とが密に係合して、がたつかないようにしている。
なお、図示しないが、止め輪の断面形状は、円形断面でなくて、例えば、矩形断面、略楕円断面であってもよく、また、止め輪の断面寸法は、第1の環状溝116の深さと第2の環状溝117の深さとの和よりも小さくてもよい。要は、止め輪が、第1および第2の環状溝116,117の両方に係合すればよい。
上記止め輪112は、可撓性および弾性を有する例えば金属製であり、図2に示すように、略環状をしている。より詳しくは、上記止め輪112は、略270度の円弧状で、先端112aがL字状に半径方向内側に屈曲し、この先端112aが、斜板支持台106の外周面から半径方向の内側に延びる断面円形の盲孔からなる係合孔212に係合している。この止め輪112の先端12aに続く他の部分112bは、中心角が略270度の円弧状であって、図2および3に示すように、第1,第2の環状溝116,117に係合している。
図4に示すように、上記係合孔212は、第1の環状溝116の円周方向において、その第1の環状溝116と重なる位置に設けられている。すなわち、上記係合孔212は、第1および第2の環状溝116,117とは、斜板支持台106の軸方向において、同じ位置にある。
上記第1の環状溝116は、完全な円形ではなくて、一部が欠けた有端のリング状であって、この一部が欠けた部分が、図5に示すように、斜板支持台106の外周面における平坦部136になっていて、この平坦部136に係合孔212が設けられている。
なお、この第1実施形態では、係合孔212が平坦部136に設けられているが、平坦部136に設けなくてもよい。例えば、図示しないが、第1の環状溝を完全な円形、つまり、無端のリング形状に形成し、この第1の環状溝自体に係合孔を設け、第1の環状溝に線材を導く案内溝を設けてもよい。
図5において、曲線Gは、凹部114の内周面に設けられた第2の環状溝117の底の位置を模式的に示すものである。
一方、上記ハウジング101の内周に、図2に示すように、開口の一例としての切欠き131を設けている。この切欠き131は、図2に示す完成品の状態では、係合孔212に対向していないが、斜板支持台106をハウジング101に対して相対的に回転させると、係合孔212に対向可能になっている。
すなわち、図6に示す止め輪112の組み付けが完成する前の状態では、係合孔212および止め輪112の先端112aに対向できるようになっている。そして、図6において、斜板支持台106をハウジング101に対して矢印Aに示すように旋回させて、図2に示す状態に組み付けができるようになっている。
また、図7に示すように、上記切欠き131の一側面に連なるテーパ面141設けて、このテーパ面141で、止め輪112の組み付け時に、止め輪112をスムーズに案内できるようにしている。
一方、図2に示すように、上記斜板支持台106には、半径方向に延びる係合用の切欠き120を設け、ハウジング101にネジ穴121を設けて、この切欠き120に、ネジ穴121に螺合した係合部材の一例としてのネジ付プラグ119の先端が係合している。これにより、斜板支持台106はハウジング101に対して回転不可に固定される。
上記切欠き120は、第1の環状溝116の円周方向において、その第1の環状溝116と重なる位置に設けられている。すなわち、上記切欠き120は、第1および第2の環状溝116,117とは、斜板支持台106の軸方向において、同じ位置にある。
こうすることによって、図2において、止め輪112が時計回り方向に移動しようとすると、止め輪112の後端112cがネジ付プラグ119に当接して、止め輪112の脱落が防止される。
本来、止め輪112は、先端112aが係合孔212に係合しているから、回転方向に回ることは無いが、もし、何らかの理由で、先端112aと係合孔212との係合が外れて、止め輪112が回転しょうとしても、止め輪112の後端112cがネジ付プラグ119に当接するから、止め輪112の回転が阻止される。
このように、上記係合部材の一例としてのネジ付プラグ119は、斜板支持台106をハウジング101に対して回転不可に固定する機能と、止め輪112の回転を阻止する機能とを有する。
上記構成の斜板式可変容量油圧ポンプによれば、上記止め輪112が第1,第2の環状溝116,117に係合して、斜板支持台106のハウジング101に対する軸方向の移動を規制するので、従来のような取付ボルトを不要とでき、また、上記取付ボルトが螺合するねじ穴を凹部114の底面に設けずに済むので、ハウジング101の加工が減って、低コストで製造できる。
また、上記取付ボルトを用いなくてもよいので、ハウジング101の底部101a側とは反対側の開口から取付ボルトを長い工具で締め付けなくてもよい。したがって、上記斜板式可変容量油圧ポンプは簡単に組み立てることができる。
また、上記取付ボルトを用いずに、斜板支持台106の軸方向の移動を規制するので、斜板105と斜板支持台106からなるアッセンブリの軸方向の長さを短くすることができる。
仮に、上記斜板支持台106に取付ボルトを挿通できるようにして、この取付ボルトによって斜板支持台106の軸方向の移動を規制したなら、取付ボルトの頭部が斜板105に接触するのを防ぐため、取付ボルトの頭部と斜板105との間の距離を大きくとる必要がある。その結果、斜板105と斜板支持台106からなるアッセンブリの軸方向の長さが長くなってしまう。
次に、上記構成の斜板式可変容量油圧ポンプにおいて、止め輪112を第1,第2の環状溝116,117に係合して、斜板支持台106とハウジング101とを軸方向に固定する方法について、説明する。
まず、図6および7に示すように、上記斜板支持台106の係合孔212を、ハウジング101の開口としての切欠き131に対向させ、この係合孔212に、止め輪112のL字状に屈曲した先端112aを挿入して係合する。
このとき、上記係合孔212に開口としての切欠き131が対向しているから、この切欠き(作業空間)131を経由して、止め輪112の先端112aを係合孔212に挿入できる。したがって、止め輪112の先端112aを係合孔212に挿入する作業性が極めて良い。
さらに、上記係合孔212が第1の環状溝116の外側の平坦部136に設けられているから、係合孔212の視認が容易であって、係合孔212と止め輪112の先端112aとの係合を容易にできる。
そして、上記止め輪112の先端112aに続く部分112bをハウジング101のテーパ面141に沿わせた後、止め輪112を斜板支持台106の回りに巻回する。このとき、図6に示すように、止め輪112は、先端112aから後端112cまで、斜板支持台106の回りを約270度の範囲で巻回している。
次に、上記斜板支持台106を図6において矢印Aの方向に旋回する。そうすると、止め輪112は、L字状に屈曲した先端112aを先頭にして、第1の環状溝116と第2の環状溝117との間に自然に徐々に挿入されていく。このように、止め輪112が、L字状に屈曲した先端112aが係合孔212に係合されているから、斜板支持台106の旋回に伴って、止め輪112の先端112aを先頭にして、しごかれたように、第1の環状溝116と第2の環状溝117との間に自然に入っていくのは、係合孔212、ひいては、止め輪112の先端112aが、第1の環状溝116の周方向に、第1の環状溝116と重なる位置にあるからである。こうして、上記斜板支持台106が約270度旋回すると、図2に示す状態になる。このとき、上記止め輪112は第1および第2の環状溝116,117の両者に係合している。
この第1実施形態では、上記止め輪112のL字状に屈曲した先端112aが係合孔212に係合して周方向に固定され、かつ、上記係合孔212、ひいては、止め輪112の先端112aが、第1の環状溝116の周方向に、第1の環状溝116と重なる位置にあるから、単に、止め輪112の先端112aを係合孔212に係合して、斜板支持台106を旋回させるだけで、簡単に、止め輪112を第1および第2の環状溝116,117の間に挿入して、第1および第2の環状溝116,117に係合させることができる。
また、上記止め輪112の第1および第2の環状溝116,117への組み付け時に、図7に示すように、止め輪112が切欠き131の一側面に連なるテーパ面141に案内されるので、止め輪112をスムーズに組み付けることができる。
また、図6に示すように、上記ハウジング101に開口としての切欠き131が、斜板支持台106を旋回させる前の状態では、係合孔212に対向しているから、この係合孔212に止め輪112の先端112aを容易に挿入することができる。すなわち、切欠き131によって、止め輪112の先端112aを係合孔212に挿入するための空間ができているから、止め輪112の先端112aを係合孔212に挿入する作業性が極めて良い。
また、上記開口が切欠き131であるから、ハウジング101の外側に開口が露出しないようにできて、開口にプラグなどの蓋を不要とすることができる。
(第2実施形態)
図8は、液圧装置の一例としての第2実施形態の固定容量油圧ポンプの断面図である。図8において、図1に示す第1実施形態の斜板式可変容量油圧ポンプの構成部と同一または類似の構成部については、図1〜7の構成部と同一参照番号を付して、それらの構成および作用については、図1〜7およびその説明を援用し、重複する説明を省略し、異なる構成部のみについて、以下に説明する。
この第2実施形態は、第1実施形態の斜板105と斜板支持台106とが一体になった反力受け部材としての兼用部材426を備える点のみが、第1実施形態と異なる。
この兼用部材426は、反力受け部材に、傾斜角を変えることができない固定斜板の機能を持たせたものである。
これ以外の作用、効果は、第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
なお、この第2実施形態では、第1実施形態の開口としての切欠き131に代えて、係合孔212に対向し得る開口としての図示しない長穴を設けてもよい。
本明細書で液圧装置とは、油圧装置や水圧装置等の液圧を使用する装置のことを言い、例えば、可変容量液圧ポンプ、固定容量液圧ポンプ、可変容量液圧モータ、固定容量液圧モータなどのことを言う。
また、上記第1および第2実施形態では、上記第1および第2の環状溝116,117の深さ方向の止め輪112の寸法は、第1の環状溝116の深さと第2の環状溝117の深さとの和に略等しくしているが、その和よりも小さくしてもよい。止め輪112と、第1および第2の環状溝116,117とが係合さえすれば、止め輪112の寸法はどのようなものであってもよい。
上記第1および第2実施形態では、線材として金属製の止め輪112を用いていたが、例えばゴム製または樹脂製の止め輪を用いてもよい。
また、上記第1実施形態では、第1の環状溝116は、無端の円形の溝であったが、例えば、図2に示す中心角が約270度の止め輪112が入る程度の、約270度の円弧状の溝であってもよい。
なお、この明細書では、環状溝とは、無端の円形に限らず、有端の円形、例えば、略270度の略円弧状の溝であっても、環状溝と言う。
上記第1および第2実施形態では、係合孔212は、第1の環状溝116の円周方向において、その第1の環状溝116に重なる位置に設けていたが、第1の環状溝の円周方向に重ならない位置に設けてもよい。この場合、線材を係合孔に向けて案内するガイド溝などのガイド部を設けるのが望ましい。
また、上記第1および第2実施形態では、係合孔212は、図4〜6に示すように、第1の環状溝116の外部の平坦部136に設けたが、第1の環状溝116自体、つまり、第1の環状溝116と交わる位置に設けてもよい。この場合、第1の環状溝116に連通する案内溝を設けるのが望ましい。
また、上記第1および第2実施形態では、上記線材112の先端112aは、L字形状に屈曲していたが、それに代えて、線材の先端を球状の膨出部とし、この膨出部を係合孔に係合させてもよい。
また、上記第1実施形態では、上記切欠き131の一側面に連なるテーパ面141設けて、このテーパ面141で、止め輪112の組み付け時に、止め輪112をスムーズに案内できるようにしているが、テーパ面141は設け無くてもよい。
第1および第2実施形態および変形例で述べた構成要素は、適宜、組み合わせてもよく、また、適宜、選択、置換、あるいは、削除してもよいのは、勿論である。
101 ハウジング
102 回転軸
104 ピストン
105 斜板
106 斜板支持台
112 止め輪
112a 先端
114 凹部
116 第1の環状溝
117 第2の環状溝
119 プラグ
121 係合部材
212 係合孔
136 平坦部
141 テーパ面
426 兼用部材

Claims (10)

  1. 有底筒形状のハウジング(101)と、
    上記ハウジング(101)内に回転可能に設けられた回転軸(102)と、
    上記ハウジング(101)内において上記回転軸(102)周りに回転可能に設けられ、上記回転軸(102)周りの回転に伴って往復運動する複数のピストン(104)を有するシリンダブロック(103)と、
    上記ハウジング(101)内に収容され、上記ピストン(104)を往復運動させるための反力を受けるための反力受け部材(106,426)と
    を備え、
    上記ハウジング(101)は、上記反力受け部材(106,426)が嵌合する凹部(114)を底部(101a)の内側に有し、
    上記反力受け部材(106,426)の外周面には、第1の環状溝(116)が設けられ、
    上記凹部(114)の内周面には、上記第1の環状溝(116)に対向する第2の環状溝(117)が設けられ、
    上記第1,第2の環状溝(116,117)には線材(112)が係合し、
    上記反力受け部材(106,426)は、上記線材(112)の先端が係合する係合孔(212)を有する
    ことを特徴とする液圧装置。
  2. 請求項1に記載の液圧装置において、
    上記係合孔(212)は、上記第1の環状溝(116)の円周方向において、上記第1の環状溝(116)と重なる位置に設けられていることを特徴とする液圧装置。
  3. 請求項2に記載の液圧装置において、
    上記係合孔(212)は、上記第1の環状溝(116)の外側の平坦部(136)に設けられていることを特徴とする液圧装置。
  4. 請求項1から3までの何れか1つに記載の液圧装置において、
    上記線材(112)の先端(112a)は、L字形状に屈曲していることを特徴とする液圧装置。
  5. 請求項1から4までの何れか1つに記載の液圧装置において、
    上記ハウジング(101)は、上記反力受け部材(106,426)を上記ハウジング(101)に対して相対的に回転させると、上記係合孔(212)に対向可能な開口(131)を有することを特徴とする液圧装置。
  6. 請求項5に記載の液圧装置において、
    上記開口(131)は、切欠き(131)であることを特徴とする液圧装置。
  7. 請求項6に記載の液圧装置において、
    上記切欠き(131)の一側面に連なるテーパ面(141)を有することを特徴とする液圧装置。
  8. 請求項1から7までの何れか1つに記載の液圧装置において、
    上記ハウジング(101)と上記反力受け部材(106,426)とに係合する係合部材(119)を有することを特徴とする液圧装置。
  9. 請求項8に記載の液圧装置において、
    上記係合部材(119)は、上記第1の環状溝(116)の周方向に、上記線材(112)に重なる位置に設けられていることを特徴とする液圧装置。
  10. 請求項1から9までの何れか1つに記載の液圧装置において、
    上記第1および第2の環状溝(116,117)の深さ方向の上記線材(112)の寸法は、上記第1の環状溝(116)の深さと上記第2の環状溝(117)の深さとの和に略等しいことを特徴とする液圧装置。
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