以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
図1、図13に示されるように、コネクタ保持装置10は、パネル90に形成された貫通孔部92に対して第1コネクタ14及び第2コネクタ16を保持する部材である。
<コネクタ>
第1コネクタ14及び第2コネクタ16は、複数の雄端子又は雌端子を備え、相互に接続される雄コネクタ又は雌コネクタである。ここでは、第1コネクタ14が雄コネクタであり、第2コネクタ16が雌コネクタである。第1コネクタ14及び第2コネクタ16は、パネル90に形成された貫通孔部92を通じて接続される。
ここでは、第1コネクタ14及び第2コネクタ16は、自動車の車体とドアとの間に配索されるワイヤーハーネス12に含まれるコネクタである例で説明する。すなわち、自動車の車体には、乗員が乗り降りするための乗降口が形成され、この乗降口を開閉するためのドアが、ヒンジ等により車体に連結されている。
また、車体側からドア側にワイヤーハーネス12を挿通配索するために、車体のフロントピラーを構成するパネル90には、貫通孔部92が形成されている。例えば、パネル90は、厚さ6.5mmの金属パネルである。また、ここでは、貫通孔部92は、略楕円形(より具体的には一対の弧状部を一対の直線部が結ぶ形状)に形成されている。以下、貫通孔部92の貫通方向における向きについて、ドア側を一方側、その反対側を他方側と呼ぶことがある。
そして、ワイヤーハーネス12は、貫通孔部92を通じて、車体側からドア側に配索される。このワイヤーハーネス12は、貫通孔部92を通じて接続される車体側ワイヤーハーネス13とドア側ワイヤーハーネス15とを有している。すなわち、車体に配索される車体側ワイヤーハーネス13には第1コネクタ14が設けられ、ドアに配索されるドア側ワイヤーハーネス15には第2コネクタ16が設けられている。
なお、ここでは、第1コネクタ14及び第2コネクタ16は、ワイヤーハーネス12を構成する回路の数、貫通孔部92の径及びパネル90の板圧ごとに専用に設計される専用品ではなく、一律に用いられる汎用品であるものとする。
<第1コネクタ14>
以下の説明において、第1コネクタ14と第2コネクタ16とを互いに接続する接続方向を、コネクタ接続方向という。また、第1コネクタ14及び第2コネクタ16のうち一方のコネクタから見て、他方のコネクタに向かう方を「コネクタ接続方向前方」とし、その反対側に向かう方を「コネクタ接続方向後方」とする場合がある。例えば、第1コネクタ14から見て、第2コネクタ16に向かう方は「コネクタ接続方向前方」であり、その反対側に向かう方が「コネクタ接続方向後方」となる。
また、コネクタ保持装置10の各要素の配置関係について説明する際、図1に示される状態を基準として、上下の関係を説明する場合がある。例えば、図1に示されるように、第2コネクタ16に着目したとき、操作部166が設けられている側を「上側」とし、操作部164が設けられている側を「下側」として説明する場合がある。
図2に示されるように、第1コネクタ14は、フード部142と、端子収容部144と、連結部146とを有する。フード部142は、第1コネクタ14のうちの第2コネクタ16に対するコネクタ接続方向前方側に設けられ、第2コネクタ16の前方側部分を内側に収容する部分である。このフード部142は、内側にコネクタ接続方向前方に開口する略直方体状の空間を有する略直方体筐状に形成されている。
端子収容部144は、車体側に配索される電線に接続された複数の雄端子が挿入収容される複数のキャビティ(図示省略)が形成された部分である。端子収容部144は、略直方体形状に形成され、コネクタ接続方向においてフード部142の後方で且つ第1コネクタ14の後端側部分に設けられている。すなわち、第1コネクタ14では、端子収容部144のキャビティに挿入された雄端子に接続されている電線が、相手コネクタである第2コネクタ16に対するコネクタ接続方向における後端部から延出している。そして、端子収容部144に挿入された雄端子は、先端部がフード部142の内側に突出する形態で収容されている。
フード部142の外部形状は、コネクタ接続方向に直交する断面視において、端子収容部144の外部形状より大きく形成されている。そして、第1コネクタ14の一側面のうちのフード部142と端子収容部144との境界部分には、コネクタ接続方向における第1コネクタ14の後方に臨む端面が形成されている。
第1コネクタ14の他側面(一側面の背面)には、ブラケット、クランプ等の車体固定用部材を連結するために形成された連結部146が設けられている。連結部146は、フード部142及び端子収容部144から他側面側に突出する形状に形成され、コネクタ接続方向に臨む端面を複数有している。例えば、連結部146は、車体固定用部材をコネクタ接続方向にスライド嵌合可能な形状に形成されている。
<第2コネクタ16>
図2に示されるように、第2コネクタ16は、外部形状が全体として略直方体形状に形成されている。第2コネクタ16は、端子収容部162と、操作部164、166とを有する雌コネクタである。
端子収容部162は、略直方体形状に形成され、ドア側に配索される電線に接続された複数のメス端子が挿入収容される複数のキャビティ(図示省略)が形成された部分である。すなわち、第2コネクタ16では、端子収容部162のキャビティに挿入された雌端子に接続されている電線が、第1コネクタ14に対するコネクタ接続方向における後端部から延出している。
端子収容部162は、第2コネクタ16のうちの第1コネクタ14に対するコネクタ接続方向前方側部分が第1コネクタ14のフード部142の内側に配設可能に形成されている。操作部164、166は、第1コネクタ14に対する第2コネクタ16の着脱作業等において、押すまたは引っ張る等の操作力を作用させるための部分である。操作部164は、端子収容部162のコネクタ接続方向後端部における一側面から外周側に張り出し、コネクタ接続方向に直交する扁平なリブ状に形成されている。また、操作部166は、端子収容部162のコネクタ接続方向後端部における他側面(一側面の背面)から外周側に張り出している。操作部164、166は、コネクタ接続方向両側に臨む端面を有している。
コネクタ保持装置10は、第1コネクタ14と第2コネクタ16とを保持した状態で、貫通孔部92に取り付け可能に構成され、第1コネクタ14及び第2コネクタ16の双方を接続するように構成されている。
<コネクタ保持部材>
次に、一例として、第1コネクタ保持部材20と、第2コネクタ保持部材40とを備えるコネクタ保持装置10について説明する。
概略的には、コネクタ保持装置10は、第1コネクタ保持部材20に第1コネクタ14を保持すると共に第2コネクタ保持部材40に第2コネクタ16を保持する。この状態で、第1コネクタ保持部材20及び第2コネクタ保持部材40が、貫通孔部92の開口縁部に取り付けられることにより、第1コネクタ14と第2コネクタ16とが、接続される。
図4に示されるように、第1コネクタ保持部材20は、貫通孔取付部としての第1本体部22と、第1保持部26と、貫通孔取付部としての第1係止構造部30とを有している。また、図6に示されるように、第2コネクタ保持部材40は、貫通孔取付部としての第2本体部42と、第2保持部46と、貫通孔取付部としての第2係止構造部50と、一対の押さえ部81と、を有している。
第1本体部22は、ワイヤーハーネス12と貫通孔部92の開口縁部との間に介在して、開口縁部から主として第1コネクタ14を保護する部分である。この第1本体部22は、後述する第1保持部26の外周側に設けられ、貫通孔部92の内周側に配設可能に形成されている。すなわち、第1本体部22は、貫通孔部92と同じかそれより小さい(ここでは僅かに小さい)外周形状に形成されている。また、第1本体部22は、貫通孔部92の形状に対応して、外形が断面視略楕円形状(より具体的には、一対の弧状部の両端部を一対の直線部が結ぶ形状)の筒状に形成されている。以下、第1コネクタ保持部材20の方向を説明する際に、第1本体部22の貫通方向を基準に説明することがあり、第1保持部26に保持される第1コネクタ14のコネクタ接続方向前方を「貫通方向前方」とし、コネクタ接続方向後方を「貫通方向後方」とする場合がある。
第1保持部26は、第1コネクタ14を、相手コネクタである第2コネクタ16に接続される前端部側に向けて接続可能で、且つ、後方移動可能に保持する。ただし、第1保持部26は、後述するように、第1コネクタ14を第2コネクタ16に接続させる際に、第1コネクタ14を前後方向に移動規制した状態で保持する。この第1保持部26は、コネクタ接続方向が第1本体部22の貫通方向に沿う姿勢で第1コネクタ14を保持可能に形成されている。より具体的には、第1保持部26は、第1コネクタ14を、第1本体部22の貫通方向(コネクタ接続方向)に直交する方向において、なるべくがたつきなく(好ましくは移動不能に)保持可能に形成されている。
第1保持部26は、第1本体部22の内周側に設けられている。ここでは、第1保持部26は、支持部24によって第1本体部22の内周側に保持される筐状部分を有している。この筐状部分は、第1本体部22の貫通方向に貫通する略矩形筒状を成している。そして、第1保持部26は、第1コネクタ14の側面に面接触可能な対向する一対の壁部(筐状部分の内壁部)を有している。また、筐状部分のうちの一対の壁部に連続する一方の壁部も、第1コネクタ14の連結部146の外面に接触する位置に設けられている(図4参照)。
また、第1保持部26は、第1コネクタ14に対して第1本体部22の貫通方向(第2コネクタ16とのコネクタ接続方向)の前方又は後方から係止可能に形成されている。より具体的には、第1保持部26は、第1コネクタ14のうちのコネクタ接続方向前方を臨む端面(好ましくはコネクタ接続方向に直交する端面)に対して前方側から係止可能な前方側の係止部と、コネクタ接続方向後方を臨む端面(好ましくはコネクタ接続方向に直交する端面)に対して後方側から係止可能な後方側の係止部を有している。ここでは、第1保持部26は、前方側の係止部である固定係止部262と、後方側の係止部である弾性係止部264とを有し、第1コネクタ14に対してコネクタ接続方向両側から係止可能に形成されている。
固定係止部262は、第1コネクタ14のコネクタ接続方向前方への移動を規制する部分である。この固定係止部262は、筐状部分から内周側に張り出す形状に形成されている。そして、固定係止部262は、第1コネクタ14のコネクタ接続方向前端部のうちの平行な一対の側縁部に対して、コネクタ接続方向前方側から係止する。より具体的には、固定係止部262は、第1本体部22の貫通方向に直交して後方を向く係止面を有している。ここでは、固定係止部262は、第1保持部26に挿入される第1コネクタ14のうちのコネクタ接続方向前端縁部に対して前方側から係止可能に設けられている。
弾性係止部264は、第1コネクタ14のコネクタ接続方向後方への移動を規制する部分である。この弾性係止部264は、第1コネクタ14を第1保持部26に挿入する際、外周側に弾性変形可能に形成されている。より具体的には、弾性係止部264は、筐状部分から第1コネクタ14のコネクタ接続方向前方(第1本体部22の貫通方向前方)且つ内周側に延出するとともに前端部が自由端となっている。このようにして、弾性係止部264は、外周側に弾性変形可能に形成されている。
また、弾性係止部264は、第1本体部22の貫通方向後方側且つ内周側を向く傾斜面を有している。この傾斜面は、第1コネクタ14が第1コネクタ保持部材20に対してコネクタ接続方向後方から挿入される際に、第1コネクタ14によって押圧される面である。すなわち、弾性係止部264は、第1本体部22の後方側から第1コネクタ14が挿入されると、傾斜面に当接した第1コネクタ14に押されて、外周側に弾性変形する。そして、さらに第1コネクタ14が押し込まれることで、弾性係止部264は、フード部142を乗り越えたところで、元の形状に弾性復帰する。そして、弾性係止部264は、第1コネクタ14のコネクタ接続方向後方を臨む端面に対して後方側から係止可能となっている(図4参照)。
すなわち、弾性係止部264は、第1コネクタ14のフード部142と端子収容部144との境界の段差部分(図2参照)に対して、コネクタ接続方向後方側から係止する。弾性係止部264は、第1本体部22の貫通方向に直交して前方を向く係止面264Sを有している。この弾性係止部264の係止面264Sは、固定係止部262の係止面264Sとの間に、コネクタ接続方向におけるフード部142の寸法と同じかそれより大きい(ここでは僅かに大きい)間隔をあけて設けられている。
なお、係止面264Sは、コネクタ接続方向の前方のみではなく、内周側(下側)を臨むとともに、内周側に凸となる曲面とされている。第1コネクタ14が固定係止部262及び弾性係止部264によって係止固定された状態において、第1コネクタ14に対し、コネクタ接続方向後方に向けた力が加えられると、係止面264Sが第1コネクタ14に押されることによって、弾性係止部264が外周側へ弾性変形することとなる。
具体的には、第1コネクタ14と第2コネクタ16とが接続された状態で、第2コネクタ保持部材40が第1コネクタ保持部材20に向けて押されることにより、第1コネクタ14がコネクタ接続方向後方に押される。これにより、弾性係止部264が外側に弾性変形する(図11参照)。すると、弾性係止部264による第1コネクタ14の係止固定が解除され、第1コネクタ14が、第2コネクタ16とともに、第1コネクタ保持部材20に対してコネクタ接続後方に向けて相対移動することとなる。
なお、弾性係止部264の係止面264Sは、必ずしも曲面である必要はなく、第1コネクタ14のコネクタ接続方向前方且つ内周側を向く面であればどのような面でもよい。ただし、弾性係止部264の係止固定が解除され始めた後(すなわち弾性変形し始めた後)において、第1コネクタ14が係止面264Sに引っ掛かることなく、第1コネクタ保持部材20に対してコネクタ接続方向後方に円滑に相対移動させるため、係止面264Sは1つの滑らかな面であることが好ましい。ただし、係止面264Sは、傾斜角度が異なる複数の平面、曲率が変化する曲面、または、これらの組み合わせた面を含んでいてもよい。
弾性係止部264の外周側(上側)には、後述する第2コネクタ保持部材40から延出する一対の押さえ部81に当接する、一対の凸部82が突設されている。この一対の凸部82は、第1コネクタ14の幅方向において、所要間隔を隔てて設けられており、且つ、一対の押さえ部81が備える突出部811のそれぞれに対応する位置(すなわち、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40とが接続された際に、内外方向に重なる位置)に設けられている。
また、凸部82は、第1コネクタ14のコネクタ接続方向前方且つ外周側を向く傾斜面と、該傾斜面のコネクタ接続方向後端部に連続しており、コネクタ接続方向に平行で且つ外周側(上側)を臨む平面とを有している。弾性係止部264のうち、係止面264Sよりもコネクタ接続方向手前側の部分における、凸部82を含んだ弾性係止部264の内外方向の厚みは、第1コネクタ保持部材20に保持された第1コネクタ14のフード部142の上面と、突出部811の下面との間の距離と略同一に設定されている(図9参照)。また、凸部82の平面の内外方向における高さ位置は、突出部811の内面(内周側を臨む面)の内外方向における高さ位置と略一致している。このため、突出部811が第1コネクタ保持部材20の内部へ侵入すると、凸部82の平面上を摺接する(図9、図10参照)。これにより、第1コネクタ14を係止固定する弾性係止部264が外周側へ弾性変形することが抑制される。したがって、第1コネクタ14が第1コネクタ保持部材20に対して固定されたまま、第2コネクタ16に接続されることとなる。
また、図10に示されるように、突出部811のコネクタ接続方向後端部が、凸部82を乗り越えるところで、弾性係止部264が弾性変形可能となる。この状態で、第2コネクタ16を保持した第2コネクタ保持部材40が、第1コネクタ保持部材20に向けて押し込まれることにより、第1コネクタ14が、第2コネクタ16によって、コネクタ接続方向後方に押し込まれることとなる。これにより、係止面264Sが押動されて、弾性係止部264が弾性変形し、弾性係止部264による第1コネクタ14の係止固定が解除される。すると、第1コネクタ14が、第1コネクタ保持部材20に対して、コネクタ接続方向後方に相対的に移動した後、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40とが接続される(図10、図11参照)。
このように、第1保持部26は、第1コネクタ14を、弾性係止部264によって第2コネクタ16に接続させるときの接続位置で係止固定するとともに、コネクタ接続後は、第1コネクタ14を該接続位置よりもコネクタ接続方向後方に移動可能に保持する。
なお、図9〜11は、図5及び図7に示されるように、第1コネクタ保持部材20及び第2コネクタ保持部材40を部分的に切断したコネクタ保持装置10の側面図である。
第2本体部42は、ワイヤーハーネス12と貫通孔部92の開口縁部との間に介在して、開口縁部から主として第2コネクタ16を保護する部分である。第2本体部42は、後述する第2保持部46の外周側に設けられ、貫通孔部92の内周側に配設可能に形成されている。すなわち、第2本体部42は、貫通孔部92と同じかそれより小さい(ここでは小さい)外周形状に形成されている。ここでは、第2本体部42は、貫通孔部92の形状に対応して、外形が断面視略楕円形状(より具体的には、一対の弧状部の両端部を一対の直線部が結ぶ形状)の筒状に形成されている。以下、第2コネクタ保持部材40の方向を説明する際に、第2本体部42の貫通方向を基準に説明することがある。また、第2保持部46に保持される第2コネクタ16のコネクタ接続方向前方を貫通方向前方、コネクタ接続方向後方を貫通方向後方ということがある。
第2保持部46は、第2本体部42の内周側に設けられ、第2コネクタ16をコネクタ接続方向前方端側に向けて挿入接続可能で、且つ、第2コネクタ16を前後両方向に移動規制しつつ保持可能に形成されている(図6、図7参照)。第2保持部46は、第2コネクタ16を、第1コネクタ14に対するコネクタ接続方向が第2本体部42の貫通方向に沿う姿勢で保持する。
また、第2保持部46は、第2コネクタ16を、第2本体部42の貫通方向(コネクタ接続方向)に直交する方向において、なるべくがたつきなく(好ましくは移動不能に)保持可能に形成されている。ここでは、第2保持部46は、第2本体部42の内周部のうちの中心軸方向後端側部分に、第2コネクタ16の外周面に対して挿入途中で接触可能な部分環状の内周面を有する。この内周面は、第2コネクタ16のコネクタ接続方向における投影形状に対応した形状(投影形状より僅かに大きい略相似形状)に形成されている。第2コネクタ16を第2コネクタ保持部材40に挿入する際、この内周面により第2コネクタ16が案内される。また、この内周面は、第2本体部42の貫通方向後端部で外周側に拡がる形状に形成されている。また、第2保持部46は、第2コネクタ16のコネクタ接続方向に延在する4つの角部において隣接する外面の一部分にそれぞれ面接触可能な断面視L字状の内面を有している。
また、第2保持部46は、第2コネクタ16に対して第2本体部42の貫通方向(第1コネクタ14とのコネクタ接続方向)の前方及び後方から係止可能に形成されている。より具体的には、第2保持部46は、第2コネクタ16のうちのコネクタ接続方向前方又は後方を臨む端面(好ましくはコネクタ接続方向に直交する端面)に対して前方側または後方側から係止可能に形成されている。ここでは、第2保持部46は、固定係止部462と、弾性係止部464、466とを有し、第2コネクタ16に対してコネクタ接続方向両側から係止可能に形成されている。
固定係止部462は、第2コネクタ16のコネクタ接続方向前方への移動を規制する部分である。この固定係止部462は、上述した部分環状の内周面から内周側に張り出す形状に形成されている。そして、固定係止部462は、第2コネクタ16のコネクタ接続方向前端部のうちの一側縁部に対して、コネクタ接続方向前方側から係止する。より具体的には、固定係止部462は、第2本体部42の貫通方向に直交して後方を向く係止面を有している。ここでは、固定係止部462は、第2保持部46に挿入される第2コネクタ16の操作部164のコネクタ接続方向前端面に対して前方側から係止可能に設けられている。
弾性係止部464、466は、第2コネクタ16のコネクタ接続方向後方への移動を規制する部分である。この弾性係止部464、466は、第2コネクタ16を保持するために第2保持部46に挿入する際に、外周側に弾性変形可能に形成されている。より具体的には、弾性係止部464、466は、部分環状の内周面から第2コネクタ16のコネクタ接続方向前方(第2本体部42の貫通方向前方)且つ内周側に延出し、前端側部分が自由端となっている。これにより、弾性係止部464,466は、外周側に弾性変形可能に形成されている。また、弾性係止部464、466は、第2本体部42の貫通方向後方側且つ内周側を向く傾斜面を有している。この傾斜面は、第2コネクタ16が第2コネクタ保持部材40に挿入された際に、第2コネクタ16の操作部164、166によって押圧される面である。
弾性係止部464は、第2保持部46に挿入される第2コネクタ16の操作部164のコネクタ接続方向後端面に対して後方側から係止可能に設けられている。この弾性係止部464は、第2本体部42の貫通方向に直交して前方を向く係止面を有している。この弾性係止部464の係止面は、固定係止部462の係止面から、第2コネクタ16のコネクタ接続方向における操作部164の寸法と同じかそれより大きい(ここでは僅かに大きい)間隔を隔てて設けられている。
また、弾性係止部466は、第2保持部46に挿入される第2コネクタ16の操作部166のコネクタ接続方向後端面に対して後方側から係止可能に設けられている。この弾性係止部466は、第2本体部42の貫通方向に直交して前方を向く係止面を有している。
弾性係止部464、466は、第2本体部42の後方側から第2コネクタ16が挿入されると、傾斜面に当接した第2コネクタ16に押されて外周側に弾性変形する。そして、第2コネクタ16がさらに押し込まれると、弾性係止部464,466は、それぞれ操作部164、166を乗り越えたところで元の形状に弾性復帰する。これにより、弾性係止部464、466は、それぞれ第2コネクタ16の操作部164、166に対して、コネクタ接続方向後方側から係止する。
ここで、第1本体部22と第2本体部42との関係について説明しておく。第1本体部22と第2本体部42とは、第1コネクタ保持部材20及び第2コネクタ保持部材40の貫通孔部92に対する取り付け状態で、第1保持部26に保持される第1コネクタ14と第2保持部46に保持される第2コネクタ16との接続状態において、第1コネクタ14と第2コネクタ16との接続方向の各前方側部分が内外方向に重なるように形成されている。すなわち、第1本体部22と第2本体部42とは、一方が他方の内周側に挿入される。これにより、内外方向に重なった第1本体部22及び第2本体部42の内外方向における強度を向上させることができる。
ここでは、第1コネクタ14が、第2コネクタ16より先にパネル90に保持される待受けコネクタである。このため、車体側ワイヤーハーネス13に設けられた第1コネクタ14を予め貫通孔部92に対して所定の位置に保持しておいた状態で、ドア側ワイヤーハーネス15に設けられた第2コネクタ16を第1コネクタ14に接続する。すなわち、第1コネクタ保持部材20を貫通孔部92に取り付けてから、貫通孔部92に第2コネクタ保持部材40を取り付けて第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40とを組み合わせる。このため、貫通孔部92に対して第1コネクタ保持部材20だけが取り付けられた状態でも安定した取り付け状態を維持することができるようになっていることが好ましい。
そこで、第1コネクタ保持部材20及び第2コネクタ保持部材40は、第1コネクタ保持部材20及び第2コネクタ保持部材40の貫通孔部92に対する取り付け状態において、第1本体部22の前方側部分が第2本体部42の前方側部分の外周側に重なる形状に形成されている。すなわち、先に貫通孔部92に取り付けられる第1コネクタ保持部材20の第1本体部22を第2本体部42の外周側に配設することにより、第1本体部22の外周形状を貫通孔部92に対応した形状(貫通孔部92と同じかそれより僅かに小さい形状)に形成できる。そして、第2本体部42の前方側部分が第1本体部22の前方側部分の内周側に挿入される。好ましくは、第1本体部22及び第2本体部42は、第2本体部42の外周形状が第1本体部22の内周形状に対応した形状で該内周形状と同じかそれより僅かに小さく設定される。
また、第1本体部22は、内周側に配設される第2本体部42の前方側部分から外周側に張り出す第2係止部52を避ける形状に形成されている。より具体的には、第1本体部22は、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40との組み合わせ状態において一対の第2係止部52に対応する位置(内外方向に重複する位置)に前方側に開口する第1凹部23を有している(図1、図4及び図6参照)。すなわち、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40との組み合わせ状態において、一対の第2係止部52は一対の第1凹部23の内側にそれぞれ配設される。
また、第1本体部22と第1保持部26とは、一対の支持部24によって連結されている。より具体的には、一対の支持部24は、第1本体部22の各弧状部分から内周側に延出して第1保持部26(筐状部分)の外周部に連なっている。そして、第2本体部42は、第1本体部22の内周側に位置する一対の支持部24を避ける形状に形成されている。より具体的には、第2本体部42は、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40との組み合わせ状態において一対の支持部24に対応する位置(内外方向に重複する位置)に前方側に開口する第2凹部43を有している。すなわち、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40との組み合わせ状態において、一対の支持部24は一対の第2凹部43の内側にそれぞれ配設される。
第1係止構造部30は、第1本体部22の外周部から外周側に張り出して、貫通孔部92の開口縁部に対して少なくとも貫通方向一方側から係止可能に形成された部分である。この第1係止構造部30は、第1係止部32と、第1抜止め部36とを有している(図8参照)。
第1係止部32は、第1保持部26に保持される第1コネクタ14の外周周りに部分的に設けられ、第1コネクタ14のコネクタ接続方向後方側に係止面を有すると共に貫通孔部92の開口縁部に対して貫通方向一方側から係止可能に形成されている。より具体的には、第1係止部32は、第1本体部22の外周部から周方向において部分的に外周側に張り出している(図4、図5参照)。
この第1係止部32は、第1保持部26に保持される第1コネクタ14と第2コネクタ保持部材40の第2保持部46に保持される第2コネクタ16とが接続されるコネクタ接続方向において、第1本体部22のうちの前方側部分に設けられている。より具体的には、第1係止部32は、第1本体部22の外周部のうちの前端部から外周側に張り出しつつ後方に向けて延在し、後端側部分が自由端となる形状に形成されている。そして、第1係止部32は、コネクタ接続方向前方側且つ外周側を向く傾斜面を有し、内周側に弾性変形可能となっている。また、第1係止部32は、第1本体部22の貫通方向に直交して後方を向く係止面を有している。好ましくは、第1係止部32は、第1本体部22の周方向において等間隔に複数設けられる。ここでは、第1係止部32は、第1本体部22の周方向において一対の弧状部の各中間部分に、すなわち等間隔に2箇所に設けられている。
第2係止構造部50は、第2本体部42の外周部から外周側に張り出して貫通孔部92の開口縁部に対して少なくとも貫通方向他方側から係止可能に形成された部分である(図6参照)。この第2係止構造部50は、第2係止部52と、第2抜止め部56とを有している。
第2係止部52は、第2保持部46に保持される第2コネクタ16の外周周りに部分的に設けられ、第2コネクタ16のコネクタ接続方向後方側に係止面を有すると共に貫通孔部92の開口縁部に対して貫通方向他方側から係止可能に形成されている。より具体的には、第2係止部52は、第2本体部42の外周部から周方向において部分的に外周側に張り出している。
第2係止部52は、第2コネクタ16のコネクタ接続方向において、第2本体部42のうちの前方側部分に設けられている。より具体的には、第2係止部52は、第2本体部42の外周部のうちの前端部から外周側に張り出しつつ後方に向けて延在し、後端側部分が自由端となる形状に形成されている。そして、第2係止部52は、前方側且つ外周側を向く係止面を有し内周側に弾性変形可能となっている。また、第2係止部52は、第2本体部42の貫通方向後方を向く係止面を有している。好ましくは、第2係止部52は、第2本体部42の周方向において等間隔に複数設けられる。ここでは、第2係止部52は、第2本体部42の周方向において一対の直線部の各中間部分に、すなわち等間隔に2箇所に設けられている。
ここで、第1係止部32と第2係止部52との関係について説明しておく。第1係止部32と第2係止部52とは、第1コネクタ保持部材20及び第2コネクタ保持部材40の貫通孔部92に対する取り付け状態で、第1保持部26に保持される第1コネクタ14及び第2保持部46の外周回りにおいて、第1本体部22及び第2本体部42の周方向において互いに重複しない位置に設けられている(図1参照)。
また、第1係止部32と第2係止部52とは、第1コネクタ保持部材20及び第2コネクタ保持部材40の貫通孔部92に対する取り付け状態で、第1保持部26に保持される第1コネクタ14及び第2保持部46に保持される第2コネクタ16の外周回りにおいて交互に位置するように設けられている。さらに、第1係止部32と第2係止部52とは、第1本体部22又は第2本体部42の周方向において交互に位置するように設けられている。また、第1係止部32と第2係止部52とは、第1本体部22及び第2本体部42の周方向(第1保持部26に保持される第1コネクタ14及び第2保持部46に保持される第2コネクタ16の外周周り)においてそれぞれ等間隔で設けられている。
第1係止部32及び第2係止部52は、第1保持部26に保持された第1コネクタ14と第2保持部46に保持された第2コネクタ16との接続状態であって、且つ、第1コネクタ保持部材20及び第2コネクタ保持部材40の接続状態において、貫通孔部92の開口縁部に対して貫通方向両側から係止する位置に設けられている(図12、図13参照)。すなわち、第1係止部32及び第2係止部52は、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40との接続状態で、第1係止部32と第2係止部52とがそれぞれの係止面間にパネル90の厚さ寸法と同じかそれより僅かに大きい間隔をあけて位置するように設けられている。そして、第1本体部22の第1凹部23及び第2本体部42の第2凹部43の深さ寸法(コネクタ接続方向の寸法)は、第1係止部32と第2係止部52とが上記位置関係となるまで第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40とを近接させることが可能な大きさに設定されている。
第1抜止め部36は、第1本体部22の外周部から外周側に張り出し、貫通孔部92の開口縁部に対して貫通方向他方側から係止可能に形成されている。第1抜止め部36は、第1本体部22の中心軸方向において、第1係止部32の係止面に対して少なくともパネル90の厚さ寸法より大きい間隔をあけた位置に設けられる。ここでは、第1抜止め部36は、第1本体部22の外周部のうちのコネクタ接続方向後端部から外周側に鍔状に張り出す形状に形成されている。
第2抜止め部56は、第2本体部42の外周部から外周側に張り出し、貫通孔部92の開口縁部に対して貫通方向一方側から係止可能に形成されている。第2抜止め部56は、第2本体部42の中心軸方向において、第2係止部52の係止面に対して少なくともパネル90の厚さ寸法より大きい間隔をあけた位置に設けられる。ここでは、第2抜止め部56は、第2本体部42の外周部のうちのコネクタ接続方向後端部から外周側に鍔状に張り出す形状に形成されている。
一対の押さえ部81は、第2本体部42の内周側に固定されており、コネクタ接続方向に沿って延びる部分である。一対の押さえ部81は、第2コネクタ16の幅方向において、所要間隔を隔てて設けられている。一対の押さえ部81のそれぞれの先端部は、対向する内側部分に、内周側へ突出する突出部811となっている(図6参照)。突出部811の内面(内周側を臨む面)は、コネクタ接続方向に平行な平面を形成している。この平面は、凸部82が形成する平面と平行とされている。このため、図9〜図11に示されるように、突出部811は、第1コネクタ保持部材20の弾性係止部264に対して、第1コネクタ14とは反対側(すなわち、凸部82が設けられている側)から当接する。また、第2コネクタ保持部材40が、第1コネクタ保持部材20に向けて押し込まれることで、第1コネクタ保持部材20に対して相対的に移動したときに、突出部811は、弾性係止部264の凸部82の平面に対して摺接する部分となっている。
上述したように、弾性係止部264の凸部82のうち、第1コネクタ14のコネクタ接続方向前方側の部分が傾斜面を形成しているため、第1コネクタ14のコネクタ接続方向後方に向かうに連れて、凸部82の内外方向の厚みが次第に大きくなっている。このため押さえ部81を第1コネクタ保持部材20の内部に侵入させた時に、押さえ部81が凸部82に引っ掛からないようにしつつ、且つ、突出部811をスムーズに凸部82の平面部分の上側へ案内することができる。
<コネクタ保持部材に対するコネクタの保持作業>
次に、コネクタ保持装置10に対するコネクタ14、16の保持作業について説明する。
まず、第1コネクタ14を第1コネクタ保持部材20に保持する(図4、図5参照)。より具体的には、第1コネクタ14を第1保持部26に対して、第1本体部22の貫通方向後方から前方に向けて挿入する。この際、弾性係止部264は、第1保持部26に挿入される第1コネクタ14のコネクタ接続方向前端部に押動されて外周側に弾性変形する。そして、フード部142と端子収容部144との境界部分の段差が弾性係止部264の係止面を乗り越える位置まで第1コネクタ14が挿入されると、弾性係止部264は元の形状に弾性復帰する。最終的に、第1コネクタ14は、フード部142が固定係止部262と弾性係止部264とによってコネクタ接続方向に挟まれた状態となり、接続方向両側において移動規制される。また、第1コネクタ14のコネクタ接続方向に直交する方向の移動は、第1保持部26の筐状部分の内壁面と弾性係止部264とによって規制される。
次に、第2コネクタ16を第2コネクタ保持部材40に保持する(図6、図7参照)。より具体的には、第2コネクタ16を第2保持部46に対して、第2本体部42の貫通方向後方から前方に向けて挿入する。この際、弾性係止部464、466は、第2保持部46に挿入される第2コネクタ16の操作部164、166によってそれぞれ押動されて外周側に弾性変形する。そして、操作部164、166がそれぞれ弾性係止部464、466の係止面を乗り越える位置まで第2コネクタ16が挿入されると、弾性係止部464、466は元の形状に弾性復帰する。最終的に、第2コネクタ16は、操作部164が固定係止部462と弾性係止部464に挟まれると共に操作部166が弾性係止部466によりコネクタ接続方向後方側に移動規制されることにより、コネクタ接続方向両側において移動規制される。また、第2コネクタ16のコネクタ接続方向に直交する方向の移動は、第2保持部46の部分環状の内周部によって規制される。
そして、第1コネクタ14が保持された第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ16が保持された第2コネクタ保持部材40とを、それぞれパネル90の両側から貫通孔部92に対して取り付けることにより、第1コネクタ14と第2コネクタ16とが接続される(図9参照)。このとき、第1コネクタ14と第2コネクタ16とが完全に接続されるまでの間、押さえ部81の突出部811が弾性係止部264の弾性変形が抑制される。これにより、第1コネクタ14を第2コネクタ16に対して確実に接続することができる。すなわち、コネクタ保持装置10は、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40とにより貫通孔部92の貫通方向両側からパネル90を挟んだ貫通孔部92に対する取り付け状態で、第1保持部26に保持された第1コネクタ14と第2保持部に保持された第2コネクタ16とを接続できる。
第1コネクタ14及び第2コネクタ16の接続が完了するまで、弾性係止部264によって第1コネクタ14を強固に係止固定されていることが望ましい。このため、第1コネクタ14のコネクタ接続方向前端面と、第2コネクタ16のコネクタ接続方向前端面とが接触する際には、突出部811のコネクタ接続方向前端部分が凸部82に摺接して、弾性係止部264が押さえられることが好ましい。より具体的には、コネクタ接続方向における、端子収容部162前端から、突出部811の前端までの長さL1が、コネクタ接続方向における、フード部142の前端から凸部82の平面部分前端までの長さL2よりも大きくなるように設定されることが好ましい(図9参照)。これにより、コネクタ接続前に弾性係止部264が弾性変形してしまうことを抑制できる。
また、好ましくは、コネクタ接続方向における突出部811の内面の長さは、第2コネクタ16の端子収容部162のうち、第1コネクタ14のフード部142に挿入される部分の長さと同じかそれよりも長くなるように設定される。これにより、コネクタ接続が完了する前に、弾性係止部264が弾性変形してしまうことを抑制できる。
なお、コネクタ接続方向における、突出部811の長さ、及び、凸部82の平面部の長さは、第2コネクタ16の端子収容部162の前方端がフード部142に対して完全に奥まで挿入されたときに、突出部811が凸部82を完全に乗り超えることができる大きさに設定される。これにより、第1コネクタ14と第2コネクタ16とが完全に接続された直後において、第2コネクタ16を、第1コネクタと共にコネクタ接続方向前方へ移動させることができる。すなわち、コネクタ接続直後に、第2コネクタ保持部材40を第1コネクタ保持部材20に向けてさらに押し込むことが可能となる。
コネクタ接続が完了した状態で、第2コネクタ保持部材40が第1コネクタ保持部材20に向けてさらに押し込まれることにより、第2コネクタに接続された第1コネクタが、第1コネクタ保持部材20に対してコネクタ接続方向後方に相対的に移動する。そして、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40とが接続状態となる。これにより、貫通孔取付部を構成する第1係止部32及び第2係止部52の双方が、パネル90の貫通孔部92に取り付け可能な位置に配置される。したがって、第1コネクタ14を保持した第1保持部26及び第2コネクタ16を保持した第2保持部46を、貫通孔部92に対して取り付けることができる。
具体的には、第1コネクタ保持部材20がパネル90に対して貫通孔部92の貫通方向他方側への移動を規制されると共に、第2コネクタ保持部材40がパネル90に対して貫通孔部92の貫通方向一方側への移動を規制される。すなわち、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40とは、貫通孔部92の貫通方向に離間移動不能となり、組み合わせ状態に維持される。換言すると、第1コネクタ保持部材20の第1保持部26に保持された第1コネクタ14と第2コネクタ保持部材40の第2保持部46に保持された第2コネクタ16とは、接続された状態に維持される。
以上のように、上記実施形態に係るコネクタ保持装置10によると、第2コネクタ16(第1コネクタ14)に対するコネクタ接続方向における後端部から電線が延出した第1コネクタ14(第2コネクタ16)を、第2コネクタ16(第1コネクタ14)に接続される前端部側に向けて挿入可能で且つ前後両方向に移動規制して保持可能に形成されている第1保持部26(第2保持部46)と、第1保持部26(第2保持部46)を貫通孔部92に対して支持可能な貫通孔取付部とを備えている。このため、第1コネクタ14(第2コネクタ16)の後端部から延出する電線を第1本体部22(第2本体部42)に挿通する作業又は第1保持部26(第2保持部46)により第1コネクタ14(第2コネクタ16)を保持した後に端子を第1コネクタ14(第2コネクタ16)に挿入する作業を省略して、第1コネクタ14(第2コネクタ16)の保持作業を簡単化することができる。
また、第1保持部26(第2保持部46)が第1コネクタ14(第2コネクタ16)のコネクタ接続方向前方を臨む端面に対して係止可能な前方側の係止部とコネクタ接続方向後方を臨む端面に対して係止可能な後方側の係止部とを有しているため、より確実に第1コネクタ14(第2コネクタ16)を保持することができる。
また、後方側の係止部が、保持する第1コネクタ14(第2コネクタ16)のコネクタ接続方向前方且つ内周側に延出して外周側に弾性変形可能に形成され、第1コネクタ14(第2コネクタ16)のコネクタ接続方向後方を臨む端面に対して係止可能な弾性係止部264(弾性係止部464、466)である。このため、第1コネクタ14(第2コネクタ16)を第1保持部26(第2保持部46)に対してコネクタ接続方向前端側から弾性係止部264(弾性係止部464、466)を弾性変形させつつ挿入することができ、第1コネクタ14(第2コネクタ16)の保持作業をよりスムーズにすることができる。
また、貫通孔取付部が、第1保持部26(第2保持部46)の外周側に設けられて貫通孔部92の内周側に配設可能な筒状の第1本体部22(第2本体部42)と、第1本体部22(第2本体部42)の外周部から外周側に張り出して貫通孔部92の開口縁部に対して少なくとも貫通方向一方側から係止可能な第1係止構造部30(第2係止構造部50)とを含んでいるため、より確実に第1コネクタ14(第2コネクタ16)を貫通孔部92に保持することができる。
また、第1コネクタ保持部材20により第1コネクタ14を保持すると共に、第2コネクタ保持部材40により第2コネクタ16を保持する構成を採用しているため、各コネクタ14、16をそれぞれより確実にパネル90に対して固定しておくことができる。
また、本実施形態によるコネクタ保持装置10では、第1コネクタ14及び第2コネクタ16の接続(コネクタ結合)が完了した後に、第1コネクタ保持部材20及び第2コネクタ保持部材40の接続(パネル結合)が行われる。このため、コネクタ同士の結合が不完全な状態(半嵌合である状態等)でコネクタ保持部材同士が接続され、パネル90の貫通孔部92に固定されることを抑制することができる。
なお、固定係止部262、462及び弾性係止部264、464並びに466は、それぞれのコネクタ14、16をコネクタ接続方向両側に移動規制可能に設けられていればよく、上述した数より多く又は少なく設けられていてもよい。また、固定係止部262、462及び弾性係止部264、464並びに466の位置も、それぞれのコネクタ14、16をコネクタ接続方向両側に移動規制可能に設けられていれば、上述した位置に限られるものではない。
また、弾性係止部264、464及び466は、上述した形状に限られるものではなく、外周側に弾性変形して弾性復帰可能なものであればよく、例えばコネクタ14、16の保持用空間内に突出するゴム部材であってもよい。
また、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40との組み合わせ状態において、2つの第1係止部32と2つの第2係止部52とが第1本体部22及び第2本体部42の周方向において交互に等間隔で設けられている例で説明してきたが、第1係止部32及び第2係止部52の配設形態は上記形態に限られるものではない。すなわち、第1係止部32及び第2係止部は、それぞれ3以上の複数設けられていてもよいし、交互でない並び方で設けられていてもよい。また、第1係止部32及び第2係止部52は、第1本体部22及び第2本体部42の周方向においてそれぞれ異なる間隔で設けられていてもよい。
また、第1本体部22と第2本体部42とは、第1コネクタ保持部材20と第2コネクタ保持部材40との組み合わせ状態において第1本体部22が第2本体部42の外周側に重なる形状に限られるものではない。すなわち、第2本体部42が第1本体部22の外周側に重なる形状に形成されていてもよい。また、第1本体部22と第2本体部42とは、内外に重なる形状に形成されていなくてもよい。すなわち、第1本体部及び第2本体部の前方側部分が周方向に並ぶ凹凸形状に形成され、この第1本体部と第2本体部との前方側部分を凹凸嵌合する形態で突き合わせることにより第1コネクタ保持部材と第2コネクタ保持部材とを組み合わせる構成であってもよい。
また、貫通孔部92における止水を図るための止水部材70を備えるコネクタ保持装置110を採用することもできる(図14、図15参照)。止水部材70は、密着部72と、嵌合部74と、筒状部76とを有している。この止水部材70は、エラストマー、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等を射出成型して形成されるとよい。
密着部72は、貫通孔部92の貫通方向において、第2抜止め部56と貫通孔部92の開口縁部との間に介在して貫通孔部92の開口縁部に密着する部分である。この密着部72は、貫通孔部92の開口縁部に対して周方向全体に亘って接触可能な環状に形成されている。また、密着部72は、環状の中心軸方向において第2係止部52が貫通孔部92の開口縁部に係止した状態におけるパネル90と第2抜止め部56との間隔より大きい寸法に設定されている。すなわち、密着部72は、貫通孔部92の開口縁部と第2抜止め部56との間に挟まれた状態で、第2抜止め部56により貫通孔部92の開口縁部に押し付けられて密着する。ここでは、密着部72は、内外方向において2つの環状接触部分を有している。例えば、密着部72は、内周側でより強く貫通孔部92の開口縁部に対して押し付けられる部分と、外周側でより広い範囲に面接触する部分とを有しているとよい。
嵌合部74は、第2抜止め部56の外周部に嵌合して第2コネクタ保持部材40に対する止水部材70の位置決めをする部分である。この嵌合部74は、密着部72に連続して環状に形成され、周方向全体に亘って内周側に開口する溝部75を有している。嵌合部74の溝部75は、内側に第2コネクタ保持部材40の第2抜止め部56を配設可能に形成されている。そして、嵌合部74の溝部75の内側に第2抜止め部56が配設されることにより、止水部材70が第2コネクタ保持部材40に取り付けられる。
筒状部76は、ドア側ワイヤーハーネス15の外周を覆う形状に形成された部分である。この筒状部76は、嵌合部74に連続した筒状に形成されている。また、筒状部76は、ドア側ワイヤーハーネス15のうちの車体からドアの間で配索される部分全体を覆う範囲に設けられているとよい。
このコネクタ保持装置110によると、貫通孔部92における止水を図ることができる。
以上のように、コネクタ保持装置10、110は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。