LEDで構成される車輌用前照灯を点灯させる点灯装置として、車輌に搭載したバッテリを入力電源とし、LEDに電力を供給するDC/DCコンバータを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
そして、バッテリの電源電圧が所定値を下回ると、出力電流を抑制するようにDC/DCコンバータを制御する構成が開示されており(例えば、特許文献1参照)、その回路構成を図16に示す。
まず、点灯装置A101は、DC/DCコンバータ101、制御電源生成部102、出力電流検出回路103、一次電流検出回路104、電源電圧検出回路105a、コンパレータ106、フリップフロップ107、制御部110を主構成として備える。
DC/DCコンバータ101は、トランスT101の一次巻線N101と、スイッチング素子Q101との直列回路を、バッテリE101の両端間に接続している。そして、スイッチング素子Q101をオン・オフすることによって、トランスT101の二次巻線N102の両端間に誘起電圧が発生する。二次巻線N102に発生した誘起電圧は、ダイオードD101で整流され、コンデンサC101で平滑されることによって、コンデンサC101の両端電圧は、バッテリE101の電源電圧を昇圧または降圧した電圧になる。LEDユニット120は、1または複数のLED素子で構成されており、コンデンサC101の両端間の直流電圧が印加されることで、点灯する。
制御電源生成部102は、バッテリE101の電源電圧を所定の直流電圧に変換し、点灯装置A101の各部に制御電源として供給する。
次に、制御部110は、マイクロコンピュータを含んで構成され、DC/DCコンバータ101の出力電流をフィードバック制御する機能を有する。
DC/DCコンバータ101からLEDユニット120に至る出力経路には、抵抗R101が直列接続している。出力電流検出回路103は、抵抗R101の両端電圧に基づいて、DC/DCコンバータ101からLEDユニット120に供給される出力電流を検出し、この検出結果(出力電流検出値)を制御部110へ出力する。なお、この出力電流検出値は、出力電流の平均値であってもよい。
また、電源電圧検出回路105aは、バッテリE101の直流電圧(電源電圧)を検出し、この検出結果(電源電圧検出値)を制御部110へ出力する。
制御部110は、記憶部110aと、演算部110bと、比較部110cとを備える。
記憶部110aは、バッテリE101の電源電圧検出値とDC/DCコンバータ101の出力電流の指令値との対応関係を示す出力特性データY101を記憶している。この出力特性データY101は、図17に示す電源電圧による電流制限カーブであり、電源電圧が8V以上の領域では、出力電流指令値を、LEDユニット120の定格電流に等しい0.7Aに設定している。そして、電源電圧が8V未満になると、電源電圧が低下するにしたがって、出力電流指令値を0.7Aから直線的に減少させる。電源電圧が6V未満の領域では、出力電流指令値を0.5Aに設定している。
演算部110bは、記憶部110aの出力特性データY101に基づいて、電源電圧検出回路105aの電源電圧検出値に対応する出力電流指令値を設定する。
比較部110cは、出力電流検出回路103の出力電流検出値を、演算部110bが設定した出力電流指令値と比較し、出力電流検出値が出力電流指令値に一致するような一次電流指令値を演算して、コンパレータ106へ出力する。
さらに、一次電流検出回路104は、スイッチング素子Q101の両端電圧を検出することによって、トランスT101の一次巻線N101を流れる一次電流を検出し(一次電流検出値)、コンパレータ106へ出力している。例えば、スイッチング素子Q101がFETである場合、そのオン抵抗は略オーミック抵抗となるので、オペアンプ等で構成される一次電流検出回路104によりドレイン電圧を増幅することによって、一次電流を検出できる。
コンパレータ106は、一次電流検出値と一次電流指令値との比較結果に応じて、HレベルまたはLレベルのリセット信号をフリップフロップ107のリセット端子へ出力する。フリップフロップ107は、HレベルとLレベルとを高周波で交互に繰り返すセット信号をセット端子に入力しており、フリップフロップ107の出力は、セット信号の周期毎にHレベルとなって、スイッチング素子Q101がオンする。スイッチング素子Q101がオンすると、バッテリE101からトランスT101の一次巻線N101を介して漸増する電流が流れ、トランスT101にエネルギーが蓄積される。そして、一次電流検出値が一次電流指令値に達すると、コンパレータ106の出力が反転し、フリップフロップ107をリセットすることで、フリップフロップ107の出力はLレベルとなって、スイッチング素子Q101はオフする。スイッチング素子Q101がオフすると、トランスT101の蓄積エネルギーによる逆起電力が二次巻線N102に発生し、ダイオードD101を介してコンデンサC101が充電される。
以上の回路構成により、DC/DCコンバータ101のスイッチング素子Q101のオン時間をPWM制御することにより、LEDユニット120の定電流制御を実現している。
上記回路構成の点灯装置A101における制御部110の制御フローを図18に示し、以下、この制御フローについて説明する。なお、ステップS103〜S108において、フィードバックを用いたLEDユニット120の定電流制御を実現している。
まず、制御部110に電源が供給され、リセットが解除されて動作を開始し(S101)、制御部110に搭載されるソフトウェアの各種初期化処理を行う(S102)。次に、LOWビームスイッチがオンしているか否かを判断し(S103)、LOWビームスイッチがオンしていない場合、ステップS104以降のLEDユニット120を点灯させるステップへは移行しない。
次に、演算部110bは、制御部110が内蔵するA/D変換器を通して、電源電圧検出回路105aが検出した電源電圧検出値を読み込む(S104)。次に、演算部110bは、記憶部110aの出力特性データY101に基づいて、電源電圧検出値に対応する出力電流指令値を演算する(S105)。この出力電流指令値の演算は、図17に示す出力特性データY101の電流制限カーブをデータテーブル化したものを参照することによって行われる。
次に、比較部110cは、制御部110が内蔵するA/D変換器を通して、出力電流検出回路103が検出した出力電流検出値を読み込む(S106)。次に、比較部110cは、出力電流検出値と出力電流指令値とを比較し(S107)、出力電流検出値が出力電流指令値に一致するような一次電流指令値を演算して、一次電流指令値を更新する(S108)。次に、その他の制御を行う(S109)。
一般に、車輌用の前照灯を点灯させる前照灯点灯装置では、バッテリE101の通常の電源電圧は、9〜16V程度であり、電源電圧が低下するほど回路ロスが増大する。
しかしながら、点灯装置A101を本制御フローにて制御した場合、電源電圧による出力電流の設定は、図17の出力特性データY101に従って行われるので、低電源電圧時は出力電流指令値を減少させて、低電源電圧時の回路ロスを低減させている。例えば、図19に示すように、電源電圧が8V以上であれば、出力電流を0.7Aに維持し、電源電圧が6V以上8V未満であれば、電源電圧が低下するにしたがって、出力電流を低減させている。
また、装置本体または装置周辺の温度(装置温度)を検出し、装置温度が所定値を超えると、出力電流を低減させる点灯装置も開示されており(例えば、特許文献2参照)、その構成を図20に示す。
図20に示す点灯装置A102は、温度検出回路105bを備えており、温度検出回路105bは、装置温度を検出し、この検出結果(温度検出値)を制御部110へ出力する。
そして、制御部110の記憶部110aは、温度検出値とDC/DCコンバータ101の出力電流の指令値との対応関係を示す出力特性データY102を記憶している。この出力特性データY102は、図21に示す装置温度による電流制限カーブであり、装置温度が105℃未満の領域では、出力電流の指令値を、LEDユニット120の定格電流に等しい0.7Aに設定している。そして、装置温度が105℃以上になると、装置温度が上昇するにしたがって、出力電流の指令値を0.7Aから直線的に減少させる。装置温度が135℃以上の領域では、出力電流の指令値を0.5Aに設定している。
演算部110bは、記憶部110aの出力特性データY102に基づいて、温度検出回路105bの温度検出値に対応する出力電流指令値を設定する。
比較部110cは、出力電流検出回路103の出力電流検出値を、出力電流指令値と比較し、出力電流検出値が出力電流指令値に一致するような一次電流指令値を演算して、コンパレータ106へ出力する。
以降は、図16の従来技術と同様に、DC/DCコンバータ101のスイッチング素子Q101のオン時間をPWM制御することにより、LEDユニット120の定電流制御を実現している。
点灯装置A102において、装置温度による出力電流の設定は、図21の出力特性データY102に従って行われるので、装置温度が高い時は出力電流指令値が減少し、高温時の回路ロスが低減して、熱破壊を防止している。
また、点灯装置において、LED等の負荷の接続が一瞬だけオープンとなってすぐに接続する負荷チャタリング、電源電圧の瞬間的な上昇等によって、過大な出力電流が流れる場合がある。この過大な出力電流によって、LED等の負荷や、点灯装置に不具合が発生する虞がある。
そこで、負荷や電源の状態が急激に変化した場合に、出力電圧の所定時間内の変化を検出し、この変化幅が所定幅を超えれば、出力電流を低減する構成も開示されており(例えば、特許文献3参照)、その構成を図22に示す。
図22に示す点灯装置A103は、出力電圧検出回路105cを備え、コンデンサC101の両端間には、抵抗R102,R103の直列回路が接続されている。抵抗R102,R103は、DC/DCコンバータ101の出力電圧を分圧する。出力電圧検出回路105cは、この分圧電圧を検出することによって、出力電圧を検出し、この検出結果(出力電圧検出値)を制御部110へ出力する。
そして、制御部110の記憶部110aは、単位時間あたりの出力電圧の変化幅の検出値とDC/DCコンバータ101の出力電流指令値の低減幅(指令低減幅)との対応関係を示す出力特性データY103を記憶している。この出力特性データY103は、図23に示す電流制限カーブであり、出力電圧の変化幅が50V/ms未満の領域では、指令低減幅を0Aに設定する。そして、出力電圧の変化幅が50V/ms以上になると、出力電圧の変化幅が増大するにしたがって、指令低減幅を0Aから直線的に増大させる。出力電圧の変化幅が90V/ms以上の領域では、指令低減幅を0.3Aに設定している。
演算部110bは、記憶部110aの出力特性データY103に基づいて、単位時間あたりの出力電圧の変化幅に対応する指令低減幅を決定し、LEDユニット120の定格電流から指令低減幅を引いた値を、新たな出力電流指令値に設定する。
比較部110cは、出力電流検出回路103の出力電流検出値を、出力電流指令値と比較し、出力電流検出値が出力電流指令値に一致するような一次電流指令値を演算して、コンパレータ106へ出力する。
以降は、図16の従来技術と同様に、DC/DCコンバータ101のスイッチング素子Q101のオン時間をPWM制御することにより、LEDユニット120の定電流制御を実現している。
点灯装置A103において、出力電圧の変化幅による指令低減幅の設定は、図23の出力特性データY103に従って行われ、出力電圧の変化幅が大きい時は、指令低減幅が増大し、出力電流指令値が減少する。すなわち、負荷や電源の状態が急激に変化した場合に、過大な出力電流による不具合を防止している。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は、点灯装置A1の回路構成をし、点灯装置A1は、DC/DCコンバータ1、制御電源生成部2、出力電流検出回路3、一次電流検出回路4、電源電圧検出回路5a、コンパレータ6、フリップフロップ7、制御部10を主構成として備える。なお、点灯装置A1は、車輌の前照灯を点灯させる前照灯点灯装置である。
DC/DCコンバータ1は、トランスT1の一次巻線N1と、スイッチング素子Q1との直列回路を、バッテリE1の両端間に接続している。そして、スイッチング素子Q1をオン・オフすることによって、トランスT1の二次巻線N2の両端間に誘起電圧が発生する。二次巻線N2に発生した誘起電圧は、ダイオードD1で整流され、コンデンサC1で平滑されることによって、コンデンサC1の両端電圧は、バッテリE1の電源電圧を昇圧または降圧した電圧になる。LEDユニット20は、1または複数のLED素子で構成されており、コンデンサC1の両端間の直流電圧が印加されることで、点灯する。
制御電源生成部2は、バッテリE1の電源電圧を所定の直流電圧に変換し、点灯装置A1の各部に制御電源として供給する。
次に、制御部10は、マイクロコンピュータを含んで構成され、DC/DCコンバータ1の出力電流をフィードバック制御する機能を有する。
DC/DCコンバータ1からLEDユニット20に至る出力経路には、抵抗R1が直列接続している。出力電流検出回路3は、抵抗R1の両端電圧に基づいて、DC/DCコンバータ1からLEDユニット20に供給される出力電流を検出し、この検出結果(出力電流検出値)を制御部10へ出力する。なお、この出力電流検出値は、出力電流の平均値であってもよい。
また、電源電圧検出回路5aは、バッテリE1の直流電圧(電源電圧)を検出し、この検出結果(電源電圧検出値)を制御部10へ出力する。
制御部10は、記憶部10aと、演算部10bと、比較部10cとを備える。
記憶部10aは、バッテリE1の電源電圧検出値とDC/DCコンバータ1の出力電流の指令値との対応関係を示す出力特性データY1(図2(a)〜(c)参照)を記憶している。この出力特性データY1は、電源電圧による電流制限カーブであり、出力電流検出回路3、電源電圧検出回路5aの各検出誤差を考慮し、これらの検出誤差に基づいて予め補正されている。なお、出力特性データY1は、出力特性データY11,Y12.Y13,...を区別しない場合に用いる。
演算部10bは、記憶部10aの出力特性データY1に基づいて、電源電圧検出回路5aの電源電圧検出値に対応する出力電流指令値を設定する。
比較部10cは、出力電流検出回路3の出力電流検出値を、演算部10bが設定した出力電流指令値と比較し、出力電流検出値が出力電流指令値に一致するような一次電流指令値を演算して、コンパレータ6へ出力する。
さらに、一次電流検出回路4は、スイッチング素子Q1の両端電圧を検出することによって、トランスT1の一次巻線N1を流れる一次電流を検出し(一次電流検出値)、コンパレータ6へ出力している。例えば、スイッチング素子Q1がFETである場合、そのオン抵抗は略オーミック抵抗となるので、オペアンプ等で構成される一次電流検出回路4によりドレイン電圧を増幅することによって、一次電流を検出できる。
コンパレータ6は、一次電流検出値と一次電流指令値との比較結果に応じて、HレベルまたはLレベルのリセット信号をフリップフロップ7のリセット端子へ出力する。フリップフロップ7は、HレベルとLレベルとを高周波で交互に繰り返すセット信号をセット端子に入力しており、フリップフロップ7の出力は、セット信号の周期毎にHレベルとなって、スイッチング素子Q1がオンする。スイッチング素子Q1がオンすると、バッテリE1からトランスT1の一次巻線N1を介して漸増する電流が流れ、トランスT1にエネルギーが蓄積される。そして、一次電流検出値が一次電流指令値に達すると、コンパレータ6の出力が反転し、フリップフロップ7をリセットすることで、フリップフロップ7の出力はLレベルとなって、スイッチング素子Q1はオフする。スイッチング素子Q1がオフすると、トランスT1の蓄積エネルギーによる逆起電力が二次巻線N2に発生し、ダイオードD1を介してコンデンサC1が充電される。
以上の回路構成により、DC/DCコンバータ1のスイッチング素子Q1のオン時間をPWM制御することにより、LEDユニット20の定電流制御を実現している。
上記回路構成の点灯装置A1における制御部10の制御フローを図3に示し、以下、この制御フローについて説明する。なお、ステップS3〜S8において、フィードバックを用いたLEDユニット20の定電流制御を実現している。
まず、制御部10に電源が供給され、リセットが解除されて動作を開始し(S1)、制御部10に搭載されるソフトウェアの各種初期化処理を行う(S2)。次に、LOWビームスイッチがオンしているか否かを判断し(S3)、LOWビームスイッチがオンしていない場合、ステップS4以降のLEDユニット20を点灯させるステップへは移行しない。
次に、演算部10bは、制御部10が内蔵するA/D変換器を通して、電源電圧検出回路5aが検出した電源電圧検出値を読み込む(S4)。次に、演算部10bは、記憶部10aの出力特性データY1に基づいて、電源電圧検出値に対応する出力電流指令値を演算する(S5)。この出力電流指令値の演算は、出力特性データY1の電流制限カーブ(図2(a)〜(c)参照)をデータテーブル化したものを参照することによって行われる。
次に、比較部10cは、制御部10が内蔵するA/D変換器を通して、出力電流検出回路3が検出した出力電流検出値を読み込む(S6)。次に、比較部10cは、出力電流検出値と出力電流指令値とを比較し(S7)、出力電流検出値が出力電流指令値に一致するような一次電流指令値を演算して、一次電流指令値を更新する(S8)。次に、その他の制御を行う(S9)。
一般に、車輌用の前照灯を点灯させる前照灯点灯装置では、バッテリE1の通常の電源電圧は、9〜16V程度であり、電源電圧が低下するほど回路ロスが増大する。
しかしながら、点灯装置A1を本制御フローにて制御した場合、電源電圧による出力電流の設定は、出力特性データY1(図2(a)〜(c)参照)に従って行われるので、低電源電圧時は出力電流指令値を減少させて、低電源電圧時の回路ロスを低減させている。
そして、図2(a)〜(c)は、本実施形態の記憶部10aに記憶している出力特性データY1の一例を示す。図2(a)は、標準の出力特性データY11を示しており、電源電圧が8V以上の領域では、出力電流指令値を、LEDユニット20の定格電流に等しい0.7Aに設定している。そして、電源電圧が8V未満になると、電源電圧が低下するにしたがって、出力電流指令値を0.7Aから直線的に減少させる。電源電圧が6V未満の領域では、出力電流指令値を0.5Aに設定している。このような出力特性データY11では、電源電圧「7.0V」のときに、出力電流指令値「0.6A」となる。
しかしながら、電源電圧検出回路5a、出力電流検出回路3の各検出誤差によって、出力特性データY11を用いた場合に、電源電圧に合った所望の出力電流に制御されないことがある。
そこで、図2(b)は、電源電圧検出回路5aの検出誤差に基づいて、標準の出力特性データY11から予め補正された出力特性データY12を示す。出力特性データY12は、電源電圧が8.3V以上の領域では、出力電流指令値を、LEDユニット20の定格電流に等しい0.7Aに設定している。そして、電源電圧が8.3V未満になると、電源電圧が低下するにしたがって、出力電流指令値を0.7Aから直線的に減少させる。電源電圧が6.1V未満の領域では、出力電流指令値を0.5Aに設定している。このような出力特性データY12では、電源電圧「7.2V」のときに、出力電流指令値「0.6A」になる。
例えば、標準の出力特性データY11を用いて、電源電圧7.0V時に出力電流を0.60Aに制御する定電流制御を行う場合に、電源電圧検出回路5aの検出誤差によって、実際の電源電圧が7.0Vであるにも関わらず、電源電圧検出値が7.2Vになったとする(図24(b)で表される誤差)。このような電源電圧検出回路5aの検出誤差がある場合に、出力特性データY12を用いることによって、出力電流指令値を、実際の電源電圧に合った所望の値に設定できる。
また、図2(c)は、電源電圧検出回路5aおよび出力電流検出回路3の各検出誤差に基づいて、標準の出力特性データY11から予め補正された出力特性データY13を示す。出力特性データY13は、電源電圧が8.3V以上の領域では、出力電流指令値を、0.68Aに設定している。そして、電源電圧が8.3V未満になると、電源電圧が低下するにしたがって、出力電流指令値を0.68Aから直線的に減少させる。電源電圧が6.1V未満の領域では、出力電流指令値を0.48Aに設定している。このような出力特性データY13では、電源電圧「7.2V」のときに、出力電流指令値「0.58A」になる。
例えば、標準の出力特性データY11を用いて、電源電圧7.0V時に出力電流を0.60Aに制御する定電流制御を行う場合に、電源電圧検出回路5aおよび出力電流検出回路3の各検出誤差によって、実際の出力電流が0.64Aになったとする(図24(d)で表される誤差)。このような電源電圧検出回路5aおよび出力電流検出回路3の各検出誤差がある場合に、出力特性データY13を用いることによって、出力電流指令値を、実際の電源電圧に合った所望の値に設定できる。
そして、記憶部10aには、電源電圧検出回路5aおよび出力電流検出回路3の各検出誤差に基づいて補正された1つの出力特性データY1(例えば、出力特性データY11またはY12またはY13またはその他)が格納される。
このように、本実施形態では、記憶部10aに記憶される出力特性データY1として、電源電圧検出回路5a、出力電流検出回路3の各検出誤差に基づいて予め補正されたデータを用いる。すなわち、点灯装置A1の個体毎に、電源電圧検出回路5aおよび出力電流検出回路3の各検出誤差が予め測定され、この各検出誤差の測定結果に基づいて、点灯装置A1の個体毎に補正された出力特性データY1が、記憶部10aに予め格納される。
したがって、図25に示す従来の制御フローのように、検出値を読み込む毎に補正処理を行うことがないので、無駄な補正処理時間がかかることなく、出力電流のフィードバック制御に遅延が発生することがない。さらに、電源電圧検出回路5a、出力電流検出回路3の各検出値に検出誤差が含まれている場合でも、出力電流指令値を、実際の電源電圧に合った所望の値に設定できる。
すなわち、点灯装置A1を用いることによって、フィードバック制御が遅れることなく、各種検出回路の誤差を補正して、同一条件下(同一の電源電圧)にある複数の装置間の光出力のばらつきを軽減できる。
また、演算部10bが記憶部10aの出力特性データY1を参照する簡単な方法としては、出力特性データY1で示される電流制限カーブをデータテーブルとし、このデータテーブルを用いて電源電圧検出値から出力電流指令値を取得できるようにすればよい。
また、点灯装置A1による定電流制御として、PWM調光により平均電流を低減させてもよい(例えば、PWM周波数を100Hzとし、そのデューティを通常の電源電圧時には100%とし、低電源電圧時には2%/分の割合で低減させる)。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は、例示した出力特性データ、および出力特性データ中の電源電圧や出力電流の値は、これに限定されるものではない。
(実施形態2)
図4に示す本実施形態の点灯装置A2は、温度検出回路5bを備えており、温度検出回路5bは、装置本体または装置周辺の温度(装置温度)を検出し、この検出結果(温度検出値)を制御部10へ出力する。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
そして、制御部10の記憶部10aは、温度検出値とDC/DCコンバータ1の出力電流の指令値との対応関係を示す出力特性データY2(図5(a)〜(c)参照)を記憶している。この出力特性データY2は、装置温度による電流制限カーブであり、出力電流検出回路3、温度検出回路5bの各検出誤差を考慮し、これらの検出誤差に基づいて予め補正されている。なお、出力特性データY2は、出力特性データY21,Y22.Y23,...を区別しない場合に用いる。
演算部10bは、記憶部10aの出力特性データY2に基づいて、温度検出回路5bの温度検出値に対応する出力電流指令値を設定する。
比較部10cは、出力電流検出回路3の出力電流検出値を、出力電流指令値と比較し、出力電流検出値が出力電流指令値に一致するような一次電流指令値を演算して、コンパレータ6へ出力する。
以降は、実施形態1と同様に、DC/DCコンバータ1のスイッチング素子Q1のオン時間をPWM制御することにより、LEDユニット20の定電流制御を実現している。
点灯装置A2において、装置温度による出力電流の設定は、出力特性データY2(図5(a)〜(c)参照)に従って行われるので、装置温度が高い時は出力電流指令値が減少し、高温時の回路ロスが低減して、熱破壊を防止している。
そして、図5(a)〜(c)は、本実施形態の記憶部10aに記憶している出力特性データY2の一例を示す。図5(a)は、標準の出力特性データY21を示しており、装置温度が105℃未満の領域では、出力電流の指令値を、LEDユニット20の定格電流に等しい0.7Aに設定している。そして、装置温度が105℃以上になると、装置温度が上昇するにしたがって、出力電流の指令値を0.7Aから直線的に減少させる。装置温度が135℃以上の領域では、出力電流の指令値を0.5Aに設定している。このような出力特性データY21では、装置温度「120℃」のときに、出力電流指令値「0.6A」となる。
しかしながら、温度検出回路5b、出力電流検出回路3の各検出誤差によって、出力特性データY21を用いた場合に、装置温度に合った所望の出力電流に制御されないことがある。
そこで、図5(b)は、温度検出回路5bの検出誤差に基づいて、標準の出力特性データY21から予め補正された出力特性データY22を示す。出力特性データY22は、装置温度が103℃未満の領域では、出力電流の指令値を、LEDユニット20の定格電流に等しい0.7Aに設定している。そして、装置温度が103℃以上になると、装置温度が上昇するにしたがって、出力電流の指令値を0.7Aから直線的に減少させる。装置温度が131℃以上の領域では、出力電流の指令値を0.5Aに設定している。このような出力特性データY22では、装置温度「117℃」のときに、出力電流指令値「0.6A」になる。
例えば、温度検出回路5bは、図6(a)に示す検出誤差の特性を有しており、実際の装置温度が120℃であるにも関わらず、温度検出値が117℃になったとする。このような温度検出回路5bの検出誤差がある場合に、出力特性データY22を用いることによって、出力電流指令値を、実際の装置温度に合った所望の値に設定できる。
また、図5(c)は、温度検出回路5bおよび出力電流検出回路3の各検出誤差に基づいて、標準の出力特性データY21から予め補正された出力特性データY23を示す。出力特性データY23は、装置温度が103℃未満の領域では、出力電流の指令値を、0.7Aより大きい値に設定している。そして、装置温度が103℃以上になると、装置温度が上昇するにしたがって、出力電流の指令値を直線的に減少させる。装置温度が131℃以上の領域では、出力電流の指令値を0.5Aより大きい値に設定している。このような出力特性データY23では、装置温度「117℃」のときに、出力電流指令値「0.63A」になる。
例えば、温度検出回路5bは、図6(a)に示す検出誤差の特性を有しており、実際の装置温度が120℃であるにも関わらず、温度検出値が117℃になったとする。さらに、出力電流検出回路3は、図6(b)に示す検出誤差を有しており、実際の出力電流が0,60Aであるにも関わらず、出力電流検出値が0.63Aになったとする。このような温度検出回路5bおよび出力電流検出回路3の各検出誤差がある場合に、出力特性データY32を用いることによって、出力電流指令値を、実際の装置温度に合った所望の値に設定できる。
そして、記憶部10aには、温度検出回路5bおよび出力電流検出回路3の各検出誤差に基づいて補正された1つの出力特性データY2(例えば、出力特性データY21またはY22またはY23またはその他)が格納される。
このように、本実施形態では、記憶部10aに記憶される出力特性データY2として、温度検出回路5b、出力電流検出回路3の各検出誤差に基づいて予め補正されたデータを用いる。すなわち、点灯装置A2の個体毎に、温度検出回路5bおよび出力電流検出回路3の各検出誤差が予め測定され、この各検出誤差の測定結果に基づいて、点灯装置A2の個体毎に補正された出力特性データY2が、記憶部10aに予め格納される。
したがって、図25に示す従来の制御フローのように、検出値を読み込む毎に補正処理を行うことがないので、無駄な補正処理時間がかかることなく、出力電流のフィードバック制御に遅延が発生することがない。さらに、温度検出回路5b、出力電流検出回路3の各検出値に検出誤差が含まれている場合でも、出力電流指令値を、実際の装置温度に合った所望の値に設定できる。
すなわち、点灯装置A2を用いることによって、フィードバック制御が遅れることなく、各種検出回路の誤差を補正して、同一条件下(同一の装置温度)にある複数の装置間の光出力のばらつきを軽減できる。
また、演算部10bが記憶部10aの出力特性データY2を参照する簡単な方法としては、出力特性データY2で示される電流制限カーブをデータテーブルとし、このデータテーブルを用いて温度検出値から出力電流指令値を取得できるようにすればよい。
また、点灯装置A2による定電流制御として、PWM調光により平均電流を低減させてもよい(例えば、PWM周波数を100Hzとし、そのデューティを、装置温度が低い時には100%とし、装置温度が高い時には2%/分の割合で低減させる)。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は、例示した出力特性データ、および出力特性データ中の装置温度や出力電流の値は、これに限定されるものではない。
(実施形態3)
図7に示す本実施形態の点灯装置A3は、出力電圧検出回路5cを備え、コンデンサC1の両端間には、抵抗R2,R3の直列回路が接続されている。抵抗R2,R3は、DC/DCコンバータ1の出力電圧を分圧する。出力電圧検出回路5cは、この分圧電圧を検出することによって、出力電圧を検出し、この検出結果(出力電圧検出値)を制御部10へ出力する。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
そして、制御部10の記憶部10aは、単位時間あたりの出力電圧の変化幅の検出値とDC/DCコンバータ101の出力電流指令値の低減幅(指令低減幅)との対応関係を示す出力特性データY3(図8(a)(b)参照)を記憶している。この出力特性データY3は、電流制限カーブであり、出力電流検出回路3、出力電圧検出回路5cの各検出誤差を考慮し、これらの検出誤差に基づいて予め補正されている。なお、出力特性データY3は、出力特性データY31,Y32,...を区別しない場合に用いる。
演算部10bは、記憶部10aの出力特性データY3に基づいて、単位時間あたりの出力電圧の変化幅に対応する指令低減幅を決定し、LEDユニット20の定格電流(ここでは、0.7A)から指令低減幅を引いた値を、新たな出力電流指令値に設定する。
比較部10cは、出力電流検出回路3の出力電流検出値を、出力電流指令値と比較し、出力電流検出値が出力電流指令値に一致するような一次電流指令値を演算して、コンパレータ6へ出力する。
以降は、実施形態1と同様に、DC/DCコンバータ1のスイッチング素子Q1のオン時間をPWM制御することにより、LEDユニット20の定電流制御を実現している。
点灯装置A3において、出力電圧の変化幅による指令低減値の設定は、出力特性データY3(図8(a)(b)参照)に従って行われるので、出力電圧の変化幅が大きい時は、指令低減値が増大して、出力電流指令値が減少する。すなわち、負荷や電源の状態が急激に変化した場合に、過大な出力電流による不具合を防止している。
そして、図8(a)(b)は、本実施形態の記憶部10aに記憶している出力特性データY3の一例を示す。図8(a)は、標準の出力特性データY31を示しており、出力電圧の変化幅が50V/ms未満の領域では、指令低減幅を0Aに設定する。そして、出力電圧の変化幅が50V/ms以上になると、出力電圧の変化幅が増大するにしたがって、指令低減幅を0Aから直線的に増大させる。出力電圧の変化幅が90V/ms以上の領域では、指令低減幅を0.3Aに設定している。このような出力特性データY31では、出力電圧の変化幅「70V/ms」のときに、指令低減幅「0.15A」となり、LEDユニット20の定格電流0.7Aから0.15Aを引いた値「0.55A」が、出力電流指令値になる。
しかしながら、出力電圧検出回路5c、出力電流検出回路3の各検出誤差によって、出力特性データY31を用いた場合に、出力電圧の変化幅に合った所望の出力電流に制御されないことがある。
そこで、図8(b)は、出力電圧検出回路5cの検出誤差に基づいて、標準の出力特性データY31から予め補正された出力特性データY32を示す。出力特性データY32は、出力電圧の変化幅が50V/ms未満の領域では、指令低減幅を0Aに設定する。そして、出力電圧の変化幅が50V/ms以上になると、出力電圧の変化幅が増大するにしたがって、指令低減幅を0Aから直線的に増大させる。出力電圧の変化幅が80V/ms以上の領域では、指令低減幅を0.3Aに設定している。このような出力特性データY32では、出力電圧の変化幅「65V/ms」のときに、指令低減幅「0.15A」になる。
例えば、出力電圧検出回路5cは、図9(a)に示す検出誤差の特性を有しており、実際の出力電圧変化幅が70V/msであるにも関わらず、出力電圧変化幅の検出値が65V/msになったとする。このような出力電圧検出回路5cの検出誤差がある場合に、出力特性データY32を用いることによって、出力電流指令値を、実際の出力電圧変化幅に合った所望の値に設定できる。
また、出力電流検出回路3が、図9(b)に示すように検出誤差を有していない場合も、出力特性データY32を用いることによって、出力電流指令値を、実際の出力電圧変化幅に合った所望の値に設定できる。
また、出力電流検出回路3が検出誤差を有する場合は、この出力電流検出回路3の検出誤差に基づいて、予め補正された出力特性データY3を用いることで、出力電流指令値を、実際の出力電圧変化幅に合った所望の値に設定できる。
そして、記憶部10aには、出力電圧検出回路5cおよび出力電流検出回路3の各検出誤差に基づいて補正された1つの出力特性データY3(例えば、出力特性データY31またはY32またはその他)が格納される。
このように、本実施形態では、記憶部10aに記憶される出力特性データY3として、出力電圧検出回路5c、出力電流検出回路3の各検出誤差に基づいて予め補正されたデータを用いる。すなわち、点灯装置A3の個体毎に、出力電圧検出回路5cおよび出力電流検出回路3の各検出誤差が予め測定され、この各検出誤差の測定結果に基づいて、点灯装置A3の個体毎に補正された出力特性データY3が、記憶部10aに予め格納される。
したがって、図25に示す従来の制御フローのように、検出値を読み込む毎に補正処理を行うことがないので、無駄な補正処理時間がかかることなく、出力電流のフィードバック制御に遅延が発生することがない。さらに、出力電圧検出回路5c、出力電流検出回路3の各検出値に検出誤差が含まれている場合でも、出力電流指令値を、実際の出力電圧変化幅に合った所望の値に設定できる。
すなわち、点灯装置A3を用いることによって、フィードバック制御が遅れることなく、各種検出回路の誤差を補正して、同一条件下(同一の出力電圧変化幅)にある複数の装置間の光出力のばらつきを軽減できる。
また、演算部10bが記憶部10aの出力特性データY3を参照する簡単な方法としては、出力特性データY3で示される電流制限カーブをデータテーブルとし、このデータテーブルを用いて出力電圧変化幅の検出値から指令低減幅を取得できるようにすればよい。
また、点灯装置A3による定電流制御として、PWM調光により平均電流を低減させてもよい(例えば、PWM周波数を100Hzとし、そのデューティを出力電圧変化幅が小さい時には100%とし、出力電圧変化幅が大きい時には2%/分の割合で低減させる)。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は、例示した出力特性データ、および出力特性データ中の出力電圧変化幅や指令低減幅の値は、これに限定されるものではない。
(実施形態4)
図10に示す本実施形態の点灯装置A4は、選択部8、開放・短絡回路9、抵抗R4を備え、制御部10には、3つの記憶部11a,12a,13aを設けている。なお、実施形態2と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
抵抗R4の一端は、バッテリE1の負極に接続し、抵抗R4の他端は、開放・短絡回路9を介して選択部8に接続している。選択部8は、図11に示すように抵抗R5を有しており、抵抗R5の一端は、開放・短絡回路9を介して抵抗R4の他端に接続し、抵抗R5の他端は、制御電源生成部2が生成した制御電圧に接続している。そして、抵抗R4,R5の接続点の電圧が、選択部8の出力電圧となり、演算部11bに接続している。
開放・短絡回路9は、抵抗R4を短絡する機能と、抵抗R4−抵抗R5間の接続を開放する機能とを有し、これらの機能は図示しないスイッチ等で構成される。そして、開放・短絡回路9の短絡機能、開放機能を動作させることによって、抵抗R4,R5の接続点の電圧(選択部8の出力電圧)が切り替わる。演算部11bは、選択部8の出力電圧に基づいて、記憶部11a,12a,13aのいずれかに記憶している出力特性データY4を選択して用いる。なお、出力特性データY4は、出力特性データY41,Y42.Y43,...を区別しない場合に用いる。
例えば、記憶部11aには、図12(a)の出力特性データY41が記憶され、記憶部12aには、図12(b)の出力特性データY42が記憶され、記憶部13aには、図12(c)の出力特性データY43が記憶されている。
例えば、制御電圧:5V、抵抗R4:10kΩ、抵抗R5:10kΩとする。そして、抵抗R4,R5が直列接続している場合、選択部8の出力電圧:2.5Vになる。また、開放・短絡回路9が抵抗R4を短絡した場合、選択部8の出力電圧:0Vになる。また、開放・短絡回路9が抵抗R4−抵抗R5間の接続を開放した場合、選択部8の出力電圧:5Vになる。この動作によって、選択部8は、3通りの出力電圧を得ることができる。
演算部10bは、これら3種類の電圧を判別し、判別した電圧値に応じて、記憶部11a,12a,13aのいずれかを選択する。例えば、選択部8の出力電圧:0Vの場合、記憶部11aを選択し、選択部8の出力電圧:2.5Vの場合、記憶部12aを選択し、選択部8の出力電圧:5Vの場合、記憶部13aを選択する。そして、演算部10bは、選択した記憶部に格納されている出力特性データY4に基づいて、温度検出回路5bの温度検出値に対応する出力電流指令値を設定する。
このような記憶部11a,12a,13aの使い分けは、点灯装置A4に接続されるLEDユニット20の素子数の違いや、LEDユニット20が発する光束の違いによって実施する。例えば、複数のLEDユニット20は同じ順方向電流を流した時でも、LEDユニット20の個体毎に発する光束にばらつきがある。よって、本実施形態のような定電流制御によってLEDユニット20を点灯させる場合では、LEDユニット20の個体差によって、その光束にばらつきを生じる。つまり、点灯装置間で光出力にばらつきを生じることになる。
そこで、LEDユニット20が発する光束をある程度ランク分けしておき、ユーザが、予め調べたLEDユニット20の光束ランクに応じて開放・短絡回路9を操作して、選択部8の出力電圧を切り替える。演算部10bは、選択部8の出力電圧に応じて、記憶部11a,12a,13aからいずれか1つの記憶部を選択する。
例えば、LEDユニット20が発する光束が低い場合、ユーザが開放・短絡回路9を操作して、選択部8の出力電圧を0Vに切り替え、演算部10bは、記憶部11aを選択する。記憶部11aの出力特性データY41は、図12(a)に示すように、装置温度が105℃未満の領域では、出力電流の指令値を、LEDユニット20の定格電流に等しい0.7Aに設定している。そして、装置温度が105℃以上になると、装置温度が上昇するにしたがって、出力電流の指令値を0.7Aから直線的に減少させる。装置温度が135℃以上の領域では、出力電流の指令値を0.5Aに設定している。すなわち、装置温度が低いときは、出力電流指令値が、LEDユニット20の定格電流に等しい0.7Aになる。
また、LEDユニット20が発する光束が少し高い場合、ユーザが開放・短絡回路9を操作して、選択部8の出力電圧を2.5Vに切り替え、演算部10bは、記憶部12aを選択する。記憶部12aの出力特性データY42は、図12(b)に示すように、装置温度が105℃未満の領域では、出力電流の指令値を、LEDユニット20の定格電流より低い0.69Aに設定している。そして、装置温度が105℃以上になると、装置温度が上昇するにしたがって、出力電流の指令値を0.69Aから直線的に減少させる。装置温度が135℃以上の領域では、出力電流の指令値を0.495Aに設定している。すなわち、出力特性データY41に比べて、全体的に出力電流指令値を低めに設定している。
また、LEDユニット20が発する光束が高い場合、ユーザが開放・短絡回路9を操作して、選択部8の出力電圧を5Vに切り替え、演算部10bは、記憶部13aを選択する。記憶部13aの出力特性データY43は、図12(c)に示すように、装置温度が105℃未満の領域では、出力電流の指令値を、0.68Aに設定している。そして、装置温度が105℃以上になると、装置温度が上昇するにしたがって、出力電流の指令値を0.68Aから直線的に減少させる。装置温度が135℃以上の領域では、出力電流の指令値を0.490Aに設定している。すなわち、出力特性データY42に比べて、全体的に出力電流指令値をさらに低めに設定している。
したがって、点灯装置A4は、接続されるLEDユニット20の光束ランクに関わらず、所望の光出力を得ることができる。また、互いに異なる光束ランクのLEDユニット20を用いる複数の点灯装置A4間において、光出力のばらつきを抑えることができるとともに、LEDユニット20には、定格電流以上の電流が流れない。
上記では、LEDユニット20の光束によって出力特性データY4を使い分けるようにしたが、LEDユニット20の素子数によって使い分けるようにしてもよい。LEDユニット20の素子数が多い場合は、出力電流指令値を低く、LEDユニット20の素子数が少ない場合は、出力電流指令値を高く設定しておけば、上記同様の効果を得ることができる。
また、出力特性データY41,Y42,Y43のそれぞれは、温度検出回路5b、出力電流検出回路3の各検出誤差に基づいて予め補正されたデータを用いる。
なお、実施形態1,3も、本実施形態と同様の構成を備えることによって、同様の効果を得ることができる。
(実施形態5)
図13に示す本実施形態の点灯装置A5は、制御部10に、モード選択部14を設けている。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
実施形態1〜4では、点灯装置の個体毎に、各検出回路の検出誤差が予め測定され、この各検出誤差の測定結果に基づいて点灯装置の個体毎に補正された出力特性データが、ユーザによって記憶部に予め格納されていた。
しかし、本実施形態の点灯装置A5では、制御部10が、補正後の出力特性データを作成し、記憶部10aに格納する。
そこで、電源電圧検出回路5a、出力電流検出回路3の各検出誤差を求める必要がある。そのため、点灯装置A5は、通常モードと設定モードとを切替可能に動作する。点灯装置A5は、通常モードにおいて、出力電流検出値を出力電流指令値に一致させるフィードバックを用いた定電流制御を行う。また、点灯装置A5は、設定モードにおいて、出力電流検出値に関係なく、スイッチング素子Q1をオープンループ制御でオン・オフ駆動する。
具体的に、点灯装置A5に対して所定の操作を行うことによって、モード選択部14が設定モードを選択する。例えば、バッテリE1の電源電圧を、図14に示すように変化させることによって、モード選択部14が設定モードを選択する。このような特殊な操作をする目的は、通常モードから、不用意に設定モードに移行することを防ぐためである。
まず、バッテリE1が、通常時の電源電圧9〜16Vを供給すると(電源投入時t0)、この電源電圧検出値を取得したモード選択部14は、通常モードを選択する。
次に、モード選択部14は、図示しないタイマを用いて計時動作を開始する。そして、モード選択部14は、計時時間がT1(例えば、1〜2秒)の間に、電源電圧検出値が7Vになれば、計時動作をリセットして、計時動作を再度開始する。さらに、モード選択部14は、計時時間がT2(例えば、1〜2秒)の間に、電源電圧検出値が9〜16Vになれば、以降の期間Taでは設定モードを選択する。
電源電圧の上記変化がない場合、モード選択部14は、電源投入時に選択した通常モードを維持し、点灯装置A5は、フィードバックを用いた定電流制御を行う。
次に、設定モードにおける処理を説明する。
まず、ユーザは、抵抗値が予めわかっている抵抗RLを、LEDユニット20の代わりに、点灯装置A5に接続する。モード選択部14は、設定モードにおいて、フリップフロップ7のセット端子に入力されるセット信号と連動したリセット信号を、フリップフロップ7のリセット端子へ出力する。このリセット信号は、出力電流検出値に関係なく生成されており、DC/DCコンバータ1は一定の動作を行う。つまり、出力電流のフィードバック制御を行わず、出力電流検出値に関係ないオープンループ制御を行う。
そして、図示しない精度のよい測定手段を用いて、抵抗RLに実際に流れる電流を計測し、演算部10bは、この計測結果を、出力電流検出回路3の出力電流検出値と比較する。出力電流検出回路3の出力電流検出値は、制御部10が内蔵するA/D変換器を通して読み込まれる。この作業を、抵抗値が異なる複数の抵抗RLに対して行う。そして、抵抗値が異なる複数の抵抗RLに実際に流れる各電流と、出力電流検出回路3の各出力電流検出値とから、出力電流検出回路3の検出誤差を求めることができる。
さらに、図示しない精度のよい測定手段を用いて、バッテリE1の実際の電源電圧を測定する。演算部10bは、この計測結果を、電源電圧検出回路5aの電源電圧検出値と比較することによって、電源電圧検出回路5aの検出誤差を求めることができる。
演算部10bは、上記のように求めた出力電流検出回路3の検出誤差、および電源電圧検出回路5aの検出誤差に基づいて、標準の出力特性データY11を補正し、例えば出力特性データY12またはY13を作成する(図2(a)〜(c)参照)。演算部10bは、この作成した補正後の出力特性データを、記憶部10aに記憶させる。
このように、設定モードを用いることで、ユーザは、LEDユニット20の代わりに抵抗RLを接続するだけで、補正後の出力特性データを記憶部10aに記憶させることができるので、製造工程などで出力特性データY1を設定する作業を容易に行うことができる。
なお、本実施形態では、設定モードを選択するトリガとして、バッテリE1の電源電圧の変化を用いたが、他の方法を用いて設定モードを選択するトリガとしてもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
なお、実施形態2〜4も、本実施形態と同様の構成を備えることによって、同様の効果を得ることができる。
(実施形態6)
本実施形態では、実施形態1〜5の点灯装置A1〜A5のいずれかを用いて、車輌の前照灯を点灯させる前照灯点灯装置A0を構成する。
図15では、前照灯点灯装置A0と、この前照灯点灯装置A0によって点灯するLEDユニットで構成された前照灯20a(すれ違いビーム)とで、前照灯装置を構成しており、この前照灯装置が車輌Bに搭載されている。
また、LOWビームスイッチ電源E1aは、車載用のバッテリE1と図示しないLOWビームスイッチとの直列回路で構成されており、LOWビームスイッチがオンされると、バッテリE1から前照灯点灯装置A0に直流電源が供給されて、前照灯20aが点灯する。
したがって、実施形態1〜5の点灯装置A1〜A5のいずれかを用いることによって、実施形態1〜5のいずれかと同様の効果を得ることができる前照灯点灯装置、前照灯装置、および車輌になる。
なお、上記各実施形態において、電源電圧検出回路5a、温度検出回路5b、出力電圧検出回路5cが、本発明の物理量検出部に相当する。