JP5856805B2 - 真空部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、真空環境内における輻射冷却の促進のための真空部品及びその製造方法に関する。
真空槽内に搬送ロボット等の発熱源が配置されることは多いが、その放熱は大気中に比べて問題となる。真空環境中では空気等の気体分子が存在せず、あるいは少ないため、気体の対流及び気体への熱伝導による放熱が小さいためである。このため、真空環境中における発熱源の放熱は、電磁波による熱の移送である輻射(熱放射)が大きな割合を占める。しかしながら、輻射は、放熱面と受熱面の表面性状に大きく影響を受ける。
特に、真空槽の内壁は、吸着ガスの放出を抑える目的で電解研磨、化学研磨等の研磨処理が施されている場合が多く、このような場合には輻射の反射率が高いために放熱が制限される。このため、発熱源に輻射を促進するための冷却面を設けることが行われている。例えば、特許文献1には、ガラスビーズ等を吹きつけ、表面粗度を上昇させることにより輻射率を向上させる方法が記載されている。また、特許文献2には、表面をAlTiNによりコーティングすることで黒化して輻射率を向上させる方法が記載されている。さらに、特許文献3には、ブラスト処理を施した金属表面に、AlTiN膜を成膜する方法が記載されている。
WO 2006/062183(段落[0059]) 特開平11−2577851号公報(段落[0014]) 特開2000−353484(段落[0028]、[0031])
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、輻射率は向上する一方で表面粗度の上昇により放出ガスが増大すると考えられる。このため、高真空や高純度雰囲気が求められるプロセスへの適用は困難である。また、特許文献2に記載の方法では、輻射率は向上するものの不十分である。ここで、特許文献3に記載のように、ブラスト処理を施した金属表面にAlTiNを成膜すれば、放出ガスの抑制と輻射率の向上を図れるように考えられた。しかしながら、実際には、放出ガスは抑制できないことが判明している。これは、ブラスト処理により、金属表面へのブラスト粒子の嵌入や金属表面の汚染が発生しているためと考えられる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、輻射率の向上と放出ガスの抑制を共に達成することが可能な真空部品及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る真空部品は、基材と、輻射層とを具備する。
上記基材は、ブラスト処理が施された後にエッチング処理が施された金属表面を有する。
上記輻射層は、上記金属表面上に積層され、AlTiNからなる。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る真空部品の製造方法は、基材の金属表面にブラスト処理を施す。
エッチング処理は、上記ブラスト処理を施した上記金属表面に施される。
AlTiNからなる輻射層は、上記エッチング処理を施した上記金属表面に積層される。
第1の実施形態に係る真空部品の製造方法を示す模式図である。 第2の実施形態に係る真空部品の製造方法を示す模式図である。 実験例の測定結果を示す表である。 基材の金属材料に応じた最小限のエッチング量を示す表である。
本発明の一実施形態に係る真空部品は、基材と、輻射層とを具備する。
上記基材は、ブラスト処理が施された後にエッチング処理が施された金属表面を有する。
上記輻射層は、上記金属表面上に積層され、AlTiNからなる。
この構成によれば、基材の金属表面は、ブラスト処理により生じるブラスト粒子の嵌入や表面の汚染が、エッチング処理によって解消される。これにより、ブラスト粒子の嵌入や汚染に起因する放出ガスが抑制される。また、ブラスト処理及びエッチング処理による金属表面の粗面化により、平滑な金属表面に輻射層を積層した場合に比べて輻射率が向上する。
上記輻射層は、より好ましくは上記金属表面上に中空陰極−活性化反応性蒸着法により成膜されたものが望ましい。
中空陰極−活性化反応性蒸着法は、高密度プラズマ雰囲気かつ高エネルギーでの成膜が可能であり、輻射層の密着性や成膜速度を良好なものとすることが可能である。
上記輻射層は、より好ましくは1μm以上5μm以下の膜厚を有するものが望ましい。
輻射層の厚さが1μm以下であると、AlTiNの色が薄くなり、輻射率も低いものとなる。また、輻射層の厚さが5μm以上であると、ブラスト処理及びエッチング処理により形成した金属表面の粗面による影響が緩和されて輻射層の表面が平滑となり、複写率の向上効果が減少してしまう。
上記輻射層は、AlTi1−xN(ただし0.6≦x≦0.95)からなってもよい。
AlTiNはAlのTiに対する組成比(モル比)が大きくなるにつれて、AlTiNの色が黒色に近づき、輻射率が大きくなるという特性がある。このため、AlTi1−xNにおけるxを大きくすることにより、輻射層の輻射率を向上させることが可能である。また、xが大きくなることによりAlTiNが緻密となり、放出ガスも抑制される。
上記エッチング処理は、上記基材を構成する金属の自然酸化層の厚さの3倍をエッチング量の下限とする
ブラスト処理が施された金属表面には室温で形成される自然酸化層が形成される。また、ブラスト処理による表面近傍の歪により自然酸化層は歪がない場合に比べ厚くなっている。このため、自然酸化層の厚さの3倍をエッチング量の下限とすることにより、エッチングにより十分に自然酸化層を除去することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る真空部品の製造方法は、基材の金属表面にブラスト処理を施す。
エッチング処理は、上記ブラスト処理を施した上記金属表面に施される。
AlTiNからなる輻射層は、上記エッチング処理を施した上記金属表面に積層される。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る真空部品の製造方法を示す模式図である。
図1(a)に基材1を示す。基材1は、Al合金、SUS合金、Cu合金、Ti合金、Ta合金、Ni合金等の各種金属とすることができる。基材1の表面を金属表面1aとする。
次に、図1(b)に示すように、金属表面1aに対してブラスト処理を施す。ブラスト粒子は、例えばアルミナ、ガラスビーズ、金属粒、砂等を用いることができる。同図に模式的に示すように、金属表面1aへのブラスト粒子Bの嵌入や金属表面1aの汚染が発生する。
金属表面1aの汚染は、具体的には、室温で金属表面1aに形成される自然酸化層である。ブラストの汚れは自然酸化層が形成されている最中にその自然酸化層の中に入り込むので、ブラスト時に形成される自然酸化層は汚染されていると考えられる。このため、金属表面1aにガス分子が吸着しやすい状態となっている。
ガス分子が吸着しやすいと、後述する輻射層2(AlTiN、TiCN、DLC(diamond‐like carbon)等)の成膜を行う際に金属表面1aからガス、それも、ハイドロカーボンを含む水等の不純物が放出されている状態になり、輻射層2にそれらの不純物ガスが混入する。このため、輻射層2は形態的にぼそぼそになり、ガスが吸着しやすく、すなわちガス放出の多い膜になる。
汚れは、普通はハイドロカーボンである。水の吸着エネルギーは約100kJ/mol程度なので、水(表面の吸着水)だけならば成膜中に基材1を200℃以上に加熱すれば、瞬時に脱ガス可能なため、輻射層2の成膜前に清浄をすることができる。ところが、ハイドロカーボンは吸着エネルギーが水よりも大きく、分子量が大きければ更に脱ガスしにくいため、200℃程度に基材1を加熱しても基本的には清浄化できない。
このため、図1(c)に示すように、ブラスト処理された金属表面1aにエッチング処理を施す。エッチング処理は、エッチング液に基材1を浸漬させる化学研磨とすることができ、エッチング液は例えばリン酸系溶液とすることができる。また、エッチング処理は、電解研磨、電解酸浄、酸性アルカリ洗浄等の方法によってすることも可能である。同図に模式的に示すように、エッチング処理により金属表面1aの凹凸が緩和され、ブラスト粒子Bも除去される。
エッチングは、少なくとも上記自然酸化層の厚さ分以上となるように施されるべきである。また、ブラスト処理による金属表面1a近傍の歪により自然酸化層は歪がない場合に比べ厚くなっている。図4に、それぞれの金属材料に施すべき最低限のエッチング量を示す。最低限エッチング量は、自然酸化層が歪により若干厚くなっていること及びエッチングが均一におこなわれないことを考慮して決定した。また、エッチング量の上限は、エッチング後の金属表面1aの算術表面粗さRaが1μm以上10μm以下となる程度が好適である。
次に、図1(d)に示すように、エッチング処理された金属表面1aに、輻射層2を積層する。輻射層2は、AlTiNからなるものとすることができる。特に、TiとAlの組成比(モル比)が、AlTi1−xNとしてxが0.6以上0.95以下であるものが好適である。この組成とすることで、AlTiNの色が黒色に近づき、xが0.6未満の場合に比べて輻射率も上昇する。なお、工具のコーティング等に用いられる一般的なAlTiNの組成は、AlTi1−xNとしてxが0.25以上0.50以下程度であり、色は金色から暗赤金色である。
輻射層2は、中空陰極−活性化反応性蒸着(HCD−ARE:Hollow Cathode Discharg−Activated Reactive Evaporation)法によって成膜することができる。蒸発源はTiとAlを各2基ずつとし、窒素ガスを正のバイアスが印加されたノズル(活性化ノズル)から導入する。これにより活性化ノズル近傍においてプラズマが発生して窒素ガスが活性化され、金属表面1a上にAlTiNが成膜される。このときの基材1の温度は200℃以上500℃以下が好適である。
HCD−ARE法は、高密度プラズマ雰囲気かつ高エネルギーでの成膜が可能であり、輻射層2の密着性や成膜速度を良好なものとすることが可能である。この方法により、金属表面1aにAlTiNからなる輻射層2が形成される。なお、輻射層2の成膜には、アークイオンプレーティング法、スパッタリング法、蒸着法等の他の成膜方法を用いることも可能である。また、輻射層2は、AlTiNの他に、TiCNやDLC(diamond‐like carbon)等からなるものとすることもできる。
輻射層2の膜厚は1μm以上5μm以下が好適である。膜厚が1μm以下であると、AlTiNの色が薄くなり、輻射率が小さくなるためである。また、膜厚が5μm以上であると、金属表面1aの凹凸が輻射層2の凹凸に反映されにくくなり、ブラスト処理(粗面化)による輻射率の上昇効果が小さくなるためである。
また、AlTiNにおけるTiとAlの組成比をxが0.6以上0.95以下とすることにより、輻射層12は均質で緻密な膜構造となる。これにより、ガス分子が吸着可能な吸着サイトの数がxが0.6未満の場合に比べて少なく、放出ガスを低減することが可能である。
以上のようにして、ブラスト処理及びエッチング処理が施された金属表面1a上に、AlTiNからなる輻射層2が積層された真空部品が形成される。当該真空部品は、真空槽内に設けられた搬送ロボット等の発熱源や真空槽の内壁に設けられ、発熱源の熱を輻射により放熱する。上述のように、ブラスト処理により形成された金属表面1aへのブラスト粒子の嵌入や金属表面1aの汚染がエッチング処理において除去されるため、後述の実験例に示すように放出ガスが低減される。また、ブラスト処理及びエッチング処理による金属表面1aの粗面化により、輻射率を向上させることが可能である。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。
図2は、第2の実施形態に係る真空部品の製造方法を示す模式図である。
図2(a)に基材11示す。基材11は、Al合金、SUS合金、Cu合金、Ti合金、Ta合金、Ni合金等の各種金属とすることができる。基材11の表面を金属表面11aとする。
次に、図2(b)に示すように、金属表面11aに、輻射層12を積層する。輻射層12は、AlTiNからなるものとすることができる。輻射層12は、HCD−ARE法によって成膜することができる。蒸発源はTiとAlを各2基ずつとし、窒素ガスを正のバイアスが印加されたノズル(活性化ノズル)から導入する。これにより活性化ノズル近傍においてプラズマが発生して窒素ガスが活性化され、金属表面11a上にAlTiNが成膜される。このときの基材11の温度は200℃以上500℃以下が好適である。このようにして、金属表面1aにAlTiNからなる輻射層12が形成される。なお、輻射層12の成膜には、アークイオンプレーティング法、スパッタリング法、蒸着等の他の成膜方法を用いることも可能である。
ここで、輻射層12の成膜では、AlTiNにおけるTiとAlの組成比が、AlTi1−xNとしてxが0.6以上0.95以下となるように調整する。これにより、AlTiNの色が黒色に近づき、xが0.6未満の場合に比べて輻射率も上昇する。なお、工具のコーティング等に用いられる一般的なAlTiNの組成は、AlTi1−xNとしてxが0.25以上0.50以下程度であり、色は金色から暗赤金色である。輻射層12の膜厚は1μm以上5μm以下が好適である。輻射層12の厚さが1μm未満であると、その薄さのために色が黒色ではなく干渉色となり、輻射率が小さくなる。
また、AlTiNにおけるTiとAlの組成比をxが0.6以上0.95以下とすることにより、輻射層12は均質で緻密な膜構造となる。これにより、ガス分子が吸着可能な吸着サイトの数がxが0.6未満の場合に比べて少なく、放出ガスを低減することが可能である。
以上のようにして、金属表面11a上に、AlTiN(ただし、AlTi1−xNとしてxが0.6以上0.95以下)からなる輻射層12が積層された真空部品が形成される。当該真空部品は、真空槽内に設けられた搬送ロボット等の発熱源や真空槽の内壁に設けられ、発熱源の熱を輻射により放熱する。上述のようにAlTiNの組成比の範囲を規定することにより、真空部品の輻射率を向上させ、放出ガスを抑制することが可能である。
[実験例]
第1の実施形態及び第2の実施形態に係る実験例について説明する。
図3は実験例の測定結果を示す表である。
(実験例1)
A5052(アルミニウム)からなる、直径45mm、厚さ3mmの円板を基材として用いた。この基材の表面に♯180のアルミナをブラスト粒子としてブラスト処理を施した。次に、当該基材をリン酸系溶液に浸漬させてエッチング処理を施した。エッチング処理後の金属表面の算術平均粗さRaは1.7μmであった。続いて、当該金属表面上に、HCD−ARE法によりAlTiNを積層し、輻射層を形成した。AlTiNの組成はAl0.9Ti0.1Nとし、輻射層の膜厚は1.5μmとした。
このようにして作成した真空部品のガス放出量を測定した。ガス放出量は昇温脱離測定により測定した。真空部品にK熱電対をスポット溶接により取り付け、石英管内に吊り下げて真空排気した。この真空部品を、石英管の外部に配置されたゴールドイメージ炉により加熱した。0.1℃/sの昇温速度で300℃まで加熱し、300℃で30分保持し、その後加熱を停止し、真空部品を自然冷却させた。300℃到達までの単位面積あたりのガスを測定した。ガス放出量は、2.0Pa・m・m−2であった。
また、当該真空部品の輻射率を測定した。輻射率は、輻射率測定器(ジャパンセンサー株式会社製 TSS−5X)を用いて測定した。この測定器では、測定波長源から真空部品に赤外線(波長2〜22μm)を照射し、その反射エネルギー量を検出する。測定条件は室温、大気圧とした。輻射率は0.8であった。
(実験例2)
A5052(アルミニウム)からなる、直径45mm、厚さ3mmの円板を基材として用いた。この基材の表面に♯180のアルミナをブラスト粒子としてブラスト処理を施した。基材表面の算術平均粗さRaは1.6μmであった。次に、当該金属表面上に、HCD−ARE法によりAlTiNを積層し、輻射層を形成した。AlTiNの組成はAl0.9Ti0.1Nとし、輻射層の膜厚は1.5μmとした。
当該真空部品のガス放出量と輻射率を上述のようにして測定した。ガス放出量は6.1Pa・m・m−2であり、輻射率は0.85であった。
(実験例3)
A5052(アルミニウム)からなる、直径45mm、厚さ3mmの機械加工を行った円板を基材として用いた。この基材表面の算術平均粗さRaは0.8μmであった。この基材の表面にHCD−ARE法によりAlTiNを積層し、輻射層を形成した。AlTiNの組成はAl0.9Ti0.1Nとし、輻射層の膜厚は1.5μmとした。
当該真空部品のガス放出量と輻射率を上述のようにして測定した。ガス放出量は0.8Pa・m・m−2であり、輻射率は0.67であった。
実験例2と実験例3の測定結果により、ブラスト処理によって輻射率が上昇するものの、ガス放出量が大幅に増加していることがわかる。これに対し、実験例1では、輻射率は若干低下するものの、ガス放出量が抑制されていることがわかる。即ち、エッチング処理により、ブラスト処理によって形成された粗面が緩和され、ガス放出量が抑制されたと考えられる。
(実験例4)
A5052(アルミニウム)からなる、直径45mm、厚さ3mmの円板を基材として用いた。金属表面上に、HCD−ARE法によりAlTiNを積層し、輻射層を形成した。AlTiNの組成はAl0.9Ti0.1Nとし、輻射層の膜厚は1.5μmとした。
当該真空部品のガス放出量と冷却速度を昇温脱離測定により測定した。真空部品にK熱電対をスポット溶接により取り付け、石英管内に吊り下げて真空排気した。この真空部品を、石英管の外部に配置されたゴールドイメージ炉により加熱した。0.1℃/sの昇温速度で300℃まで加熱し、300℃で30分保持し、その後加熱を停止し、真空部品を自然冷却させた。300℃到達までの単位面積あたりのガスを測定した。ガス放出量は、0.8Pa・m・m−2であった。また、250℃の時点での冷却速度は0.46℃/sであった。
また、当該真空部品の輻射率を測定した。輻射率は、輻射率測定器(ジャパンセンサー株式会社製 TSS−5X)を用いて測定した。この測定器では、測定波長源から真空部品に赤外線(波長2〜22μm)を照射し、その反射エネルギー量を検出する。測定条件は室温、大気圧とした。輻射率は0.67であった。
(実験例5)
A5052(アルミニウム)からなる、直径45mm、厚さ3mmの円板を基材として用いた。金属表面上に、HCD−ARE法によりAlTiNを積層し、輻射層を形成した。AlTiNの組成はAl0.9Ti0.1Nとし、輻射層の膜厚は0.6μmとした。
実験例4と同様にして、ガス放出量、冷却速度及び輻射率を測定した。ガス放出量は0.4Pa・m・m−2であり、250℃時点での冷却速度は0.30℃/s、輻射率は0.42であった。輻射層の色は黒色ではなく干渉色であった。実験例1と比較して膜厚が薄いために干渉色になり、冷却効果が小さくなっている。
(実験例6)
A5052(アルミニウム)からなる、直径45mm、厚さ3mmの円板を基材として用いた。金属表面上に、HCD−ARE法によりAlTiNを積層し、輻射層を形成した。AlTiNの組成はAl0.3Ti0.7N、Al0.5Ti0.5N及びAl0.9Ti0.1Nの3種類とし、輻射層の膜厚はそれぞれ3μmとした。
目視により各真空部品の輻射層の色を観察した。Tiに対するAlの割合が増加するにつれ、輻射層の色は赤みがかった金色から黒灰色、黒色へと変化した。各真空部品の輻射率はそれぞれ0.1、0.43及び0.67であった。このように、輻射率の観点からはTiに対するAlの割合が高い方が好適であることがわかった。
(実験例7)
A5052(アルミニウム)からなる、直径45mm、厚さ3mmの円板を基材として用いた。この基材の表面に化学研磨と精密洗浄を施し、10nm程度の緻密な酸化皮膜を形成した。この処理は真空槽の内壁に一般的に施される研磨処理である。
この真空部品について実験例4と同様にして、ガス放出量、冷却速度及び輻射率を測定した。ガス放出量は0.2Pa・m・m−2であり250℃時点での冷却速度は0.05℃/s、輻射率は0.07であった。ガス放出量は小さいが、輻射率も非常に小さいものであった。
実験例6の結果からわかるように、AlTiNの組成は輻射率に影響を及ぼし、Tiに対するAlの割合が高いほうが好適であることがわかった。また、輻射層の膜厚は、少なくとも1μm以上が必要であるといえる。
(実験例8)
ステンレス鋼SUS304からなる30mm×30mm×3mmの圧延板を基材として用いた。この基材をアセトン中で超音波洗浄を施した。この試料について実験例4と同様にしてガス放出量、冷却速度及び輻射率を測定した。ガス放出量は、0.91Pa・m・m−2であり、250℃時点での冷却速度は0.12℃/s、輻射率は0.19であった。
(実験例9)
ステンレス鋼SUS304からなる30mm×30mm×3mmの圧延板を基材として用いた。この基材をアセトン中で超音波洗浄を施したのち、基材の表面にHCD−ARE法によりAlTiNを積層し、輻射層を形成した。AlTiNの組成は、Al0.85Ti0.15Nとし、輻射層の膜厚は、1.0μmとした。この真空部品について実験例4と同様にしてガス放出量、冷却速度及び輻射率を測定した。ガス放出量は、0.4Pa・m・m−2であり、250℃時点での冷却速度は0.33℃/s、輻射率は0.6であった。冷却速度は、上述の基材よりも大きくなり、また、ガス放出量も基材よりも少なくなった。
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更され得る。
1、11…基材
1a、11a…金属表面
2、12…輻射層

Claims (4)

  1. 基材の金属表面にブラスト処理を施し、
    前記ブラスト処理を施した前記金属表面にエッチング処理を施し、
    前記エッチング処理を施した前記金属表面にAlTiNからなる輻射層を積層し、
    前記エッチング処理は、前記基材を構成する金属の自然酸化層の厚さの3倍をエッチング量の下限とする
    真空部品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の真空部品の製造方法であって、
    前記輻射層は、前記金属表面上に中空陰極−活性化反応性蒸着法により成膜され
    真空部品の製造方法
  3. 請求項2に記載の真空部品の製造方法であって、
    前記輻射層は、1μm以上5μm以下の膜厚を有する
    真空部品の製造方法
  4. 請求項1に記載の真空部品の製造方法であって、
    前記輻射層は、AlTi1−xN(ただし0.6≦x≦0.95)からなる
    真空部品の製造方法
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