JP5031259B2 - 耐食性部材とその製造方法およびこれを用いた半導体・液晶製造装置 - Google Patents

耐食性部材とその製造方法およびこれを用いた半導体・液晶製造装置 Download PDF

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本発明は、半導体・液晶製造装置における腐食性ガスまたはそれらのプラズマに曝される耐食性部材と、その製造方法、また耐食性部材を用いた半導体製造装置、液晶製造装置に関し、特に、半導体・液晶製造装置に用いる腐食性ガスまたはそのプラズマに対する高い耐食性が求められる部材、例えば、チャンバー、マイクロ波導入窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、シールドリング等に用いるものである。
近年、例えば、半導体・液晶製造の際のエッチングや成膜などの各工程において、プラズマを利用して被処理物への処理を施す技術が盛んに使用されている。この工程には、反応性の高いフッ素系、塩素系等のハロゲン元素を含む腐食性ガスが多用されている。従って、半導体・液晶製造装置に用いられる腐食性ガスやそのプラズマに接触する部材には高い耐食性が要求されており、このような耐食性部材には、アルミナ焼結体などのセラミックスが用いられてきた。最近では、金属やセラミックスの基材の表面にハロゲン系腐食性ガスやそれらのプラズマに対し高い耐食性を備えた材料から成る耐食膜を形成した部材が多用されるようになってきている。
このような耐食膜の材質としては、Al、Y、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)等のセラミックスが用いられており、これを溶射法、PVD法、CVD法等の成膜方法を用いて、金属、セラミックスからなる基材の表面に形成して成るものであり、半導体製造装置のチャンバー内壁や半導体ウエハのクランプリング等の腐食性ガスやそのプラズマに曝される部分に耐食膜を形成して成るものである。
このような耐食膜の成膜方法のうち、溶射法は膜厚を厚くすることが可能であるために、現在耐食膜の形成方法として主流となりつつあるが、膜の緻密化が困難であるという問題を有している。また、CVD法については、厚膜化が困難であり、また成膜速度も遅く、成膜装置が非常に高価であり、製造コストも著しく高くなるという問題を有している。これらの耐食膜の製造方法と比較して、PVD法、その中でも特にイオンプレーティング法は、膜の緻密化が可能で、製造コストも安価であり、また他のPVD法よりも比較的膜厚を厚くできる点から耐食膜の製造方法として多用されるようになってきた。
例えば、特許文献1には、基材の表面に溶射法により形成された主層と、主層表面にイオンプレーティング法によりY耐食膜からなるバリアコート層を形成したプラズマ処理容器内部材が提案されている。この構成では、低密度な溶射法により形成された主層表面を、緻密なイオンプレーティング法により形成されたバリアコート層により覆うため、耐食膜の耐食性をより高めることが可能となるが、製法の異なる耐食膜を2層形成しなければならないため、製造コストが高いという問題を有している。
また、特許文献2には、耐食膜の材料として、Ti、Al、Si等の焼結助剤を添加し、結晶粒径を制御することにより、溶射法により形成された耐食膜の緻密化を図り、かつその表面に、セラミック焼結体を蒸発源とするイオンプレーティング法によりY焼結体を用いて300〜500℃の低温でY耐食膜を形成する。この耐食膜は、高密度に結晶化させることができるために耐食性をより高められることが提案されている。
特開2004−190136号公報 特開2005−240171号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されているようなイオンプレーティング法は、例えば、基材にY耐食膜を形成する場合、真空容器内に前記基材を載置した後、Y粉末やY焼結体を蒸発源として、これを加熱手段により容器内に溶融・蒸発さ
せる。同時に真空容器中にプラズマ励起するためのAr、O等のガスを導入し、ガスに高周波を印してプラズマを発生させ、前記溶融・蒸発させたYをプラズマ中で解離し、前記基材に直流マイナス電圧を印することで、膜成分となるYを基材表面に堆積させていく。このとき、前記Ar、Oガスについては、一定量で容器内に導入していたために、蒸発源として用いたY成分は、Y元素とO元素の構成比率が2:3の定比のままで耐食膜として基材上に成膜される。即ち、従来より用いられているイオンプレーティング法により形成したY耐食膜は、その成分比が蒸発源となる粉末や焼結体の組成の理論比と同一となる。そのため、形成された耐食膜の耐食性は、Y焼結体と同等となり、更なる耐食性の向上が要求される半導体製造装置に搭載された場合、プラズマ等により腐食が進行しやすいため寿命が短いという課題を有していた。特に、直接プラズマが接触する部位やプラズマ源の周辺に搭載される部材として用いた場合は、さらに腐食が進行しやすく寿命が短くなるという課題を有していた。
本発明は前記課題に鑑み、セラミックスまたは金属からなる基材の少なくとも一部の表面上にY元素およびO元素を主成分とする耐食膜を備えた耐食性部材であって、前記耐食膜の表面部におけるY元素の組成比率が40mol%を超え、80mol%以下であり、前記耐食膜における前記Y元素の組成比率が基材側に漸増してなることを特徴とする。
さらに、前記耐食膜は、その厚みが5μm以上であることを特徴とする。
またさらに、前記基材は、アルミナ質セラミックスからなることを特徴とする。
さらにまた、前記耐食膜は、イオンプレーティング法を用いて形成したPVD耐食膜であることを特徴とする。
また、前記耐食性部材の製造方法であって、前記基材に、Y質焼結体を蒸発源として、反応ガスである酸素の流量を漸減させながらイオンプレーティング法により耐食膜を成膜することを特徴とする耐食性部材の製造方法。
さらに、本発明の半導体・液晶製造装置は、前記耐食性部材を用いたことを特徴とする。
本発明の耐食性部材によれば、基材の少なくとも一部の表面上に形成され、Y元素および元素を主成分とし、かつそのY元素の組成比率が40mol%を超え、80mol%以下である耐食膜と、から成ることから、従来の理論比からなるY耐食膜よりも優れた耐食性を有する耐食膜とすることができ、ハロゲン系腐食性ガスとの反応生成物の融点が高く、優れた耐食性を得ることができる。さらに、Y元素の組成比率を増加させたことにより耐食膜中の酸素欠陥が増加した場合にも、耐食膜の発熱を極力抑えることが可能となり、耐食膜と基材が熱膨張差により剥離してしまうことを防止することができる。
また、前記耐食膜は、前記Y元素の組成比率が基材側に漸増してなることから、長期間の使用に供して耐食膜表面から腐食が進行するが、基材側ほど耐食性が高くなるため、基材が腐食されるのを有効に防止し、より長期間の使用に供することができる耐食性部材を得ることができる。
本発明の最良の実施形態について説明する。
本発明の耐食性部材は、セラミックスまたは金属からなる基材の表面に、少なくとも一層の耐食膜を形成してなるものである。
前記基材は、セラミックスまたは金属からなり、基材に耐食膜を形成することで、用途に応じて基材の特性を生かした耐食性部材を作製することが可能である。前記セラミックスとしては、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニア、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)等が適用でき、金属としては、ステンレス鋼(SUS)、合金工具鋼、炭素工具鋼、クロム鋼、アルミニウム、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼等が適用できる。
特に、セラミックスの中でもアルミナ、窒化珪素を主成分とするアルミナ質セラミックス、窒化珪素質セラミックスは、機械的強度、破壊靭性、耐熱衝撃性等の諸特性に優れていることから半導体製造装置用の各部材として広範囲に適用することができる。また、アルミナ質セラミックスは、安価なため、半導体製造装置では腐食性ガスとの接触面積が一番多い内壁材として好適に用いられ、また窒化珪素質セラミックスは高強度、炭化珪素質セラミックスは高熱伝導率を有し、それぞれの特性に適した部位の半導体製造装置用部材として用いられている。
さらに、前記基材がセラミックスからなる場合、その相対密度が95%以上とすることが好ましく、基材の電気的、機械的特性を活かしたまま、耐食膜によってさらに耐食性を付与することができる。95%より低いものでは、基材の材質の本来の電気的、機械的特性が得られにくいからである。
前記基材の少なくとも一部の表面に形成されたY元素および元素を主成分とする耐食膜は、耐食膜の表面部におけるY元素の組成比率が40mol%を超え、80mol%以下であることが重要である。
表面部におけるY元素の組成比率をYの理論比である40mol%を超えた比率とすることにより、より耐食性に優れるY元素の組成比率を高めたものとできる。このような構造の半導体製造装置用部材として半導体製造装置内で用いられた場合、前記耐食膜はSF、CF、CHF、ClF、NF、C、HF等のフッ素系、Cl、HCl、BCl、CCl等の塩素系ガス、或いはBr、HBr、BBr等の臭素系ガスや、それらのプラズマと接触した際に、耐食膜を成すYとフッ素系ガスが反応すると主にYFを、塩素系ガスと反応すると主にYClを、臭素系ガスと反応すると主にYBrをそれぞれ生成するが、これらの反応生成物の融点は、YF:1152℃、YCl:680℃、YBr:904℃となっており、従来、耐食性部材として用いられていた石英やアルミナとの反応により生成される反応生成物の融点より高いため、腐食性ガスやプラズマに高温で曝されたとしてもより安定した耐食性を備えることができる。また、その表面をガスとの反応生成物であるYFやYCl量を増加させた表面とすることが可能となる。前記YFやYClは、前述のように融点が高く、溶融・蒸発しにくい物質で、耐食膜表面から除去されにくく、これら反応生成物の割合を高めれば、耐食膜の耐食性を高めることとなり、これら反応生成物の割合を高めるには、上述のように耐食膜における前記Y元素の組成比率40mol%を超えた比率とすることが有効である。
同時に、前記耐食膜のY元素の組成比率を80mol%以下とすることで、半導体製造装置の部材として用いた際にも、そのプラズマ生成領域において耐食膜と基材の密着強度
の低下を防止することができる。耐食膜のY元素の組成比率が80mol%を超えると、耐食膜中に多くの酸素欠陥が生じやすくなるため、半導体製造装置用部材、特にプラズマの生成領域、あるいはそれら近傍の部材として用いると、耐食膜に高温で電界が加わることになり、酸素欠陥に生じた陰イオンからの電子の放出によって、耐食膜自体が発熱し、基材との熱膨張差が原因となって、耐食膜が基材から剥離しやすくなる。
さらには、前記耐食膜のY元素の組成比率を60mol%以上、80mol%以下とすることで、より高耐食性の耐食膜とすることができる。
なお、前記耐食膜のY元素の組成比率40mol%を超え、且つ80mol%以下とする耐食膜の製造方法について詳細は後述するが、成膜時に用いる酸素量等を調整することにより、Y元素の組成比率を前記範囲内で調整することが可能である。
ここでは、耐食膜におけるY元素の組成比率は、耐食膜の表面から基材側へμm以下の範囲内の領域を耐食膜の表面部とし、エネルギー分散型X線分析装置を用いて耐食膜の表面の10箇所を測定し、全元素量のカウント数に対するY元素のカウント数を測定、算出し、この値を基にモル比率に換算することによって得ることができる。このときの透過電子顕微鏡の測定条件は、倍率1万倍、電子線照射スポット径0.5〜5nm、測定時間30〜75sec、測定エネルギー幅0.1〜50keVとする。
また、本発明の耐食膜中には、不可避不純物として、Si,Ca,Fe,Cr,Na等が合計で1質量%以下とすることが好ましい。これら不可避不純物は蛍光X線分析法やICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法を用いて検出することができる。
また、前記耐食膜は、そのY元素の組成比率が表面側から基材側に漸増してなる。これにより、長期間の使用に供して耐食膜表面から腐食が進行するが、基材側ほど耐食性が高くなるため、基材が腐食されるのを有効に防止し、より長期間の使用に供することができる耐食性部材を得ることができる。また、耐食膜成分と半導体製造装置内で使用される反応ガスとの反応生成物の生成量を腐食の進行とともに増加させることでさらに長期間の使用に供することができるものである。さらには、この耐食膜のY元素の組成比率は、表面側から基材側に漸増するが、表面から厚み方向に1μmまでの領域である表面部と、基材と耐食膜との境界より厚み方向に耐食膜側に1μmの領域である境界部のそれぞれのY元素の組成比率の差が50%以下であることが好ましく、基材と耐食膜の境界部との熱膨張係数を近似するものとして基材からの剥離を防止することができる。
なお、Y元素の組成比率の測定は、エネルギー分散型X線分析装置を用いた上述の方法と同様であるが、それぞれ耐食膜の表面、耐食膜の厚みの半分の位置となるように表面より研磨加工により除去した耐食膜の厚みの中央部、さらに耐食膜をラップ研磨加工して基材から例えば1μmの厚みである基材との境界部の少なくとも箇所を測定して厚み方向のY元素の組成比率を測定した。
さらに、前記耐食膜は、その厚みは種々の用途にあわせて設定すればよいが、特に5μm以上とすることが好ましい。膜厚が5μm未満であると、耐食膜の寿命が極端に短く、充分な耐久性を得ることができない。耐食膜の厚みは50μm以上、さらには100μm前後がより好ましく、さらに緻密な耐食膜を得ることも可能である。
また、前記耐食膜は、その相対密度を70%以上とすることが好ましい。70%より低い場合には耐食性が著しく低下するためである。なお、膜密度はX線反射率法を用い測定した値を用い、その値から相対密度を算出すればよい。
以下、本発明の耐食性部材の製造方法について説明する。
本発明の耐食膜は、イオンプレーティング法、スパッタ法、イオンビームスパッタ法等のPVD(物理的蒸着)法やCVD(化学的蒸着)により形成されたものであり、この中でも特に成膜レートを向上させ、より緻密なPVD耐食膜を形成することが可能で、密着強度を高くすることが可能な、イオンプレーティング法を用いることが好適である。
以下、イオンプレーティング法を用いた耐食膜の形成方法について詳細を説明する。
先ず、耐食膜を成膜する前に、基材を約300℃にハロゲンヒーターを用いて予熱する。
基材中には、有機物が残存しており、この状態で基材表面に耐食膜を形成した場合、耐食膜形成後の加熱により膜と基材の境界部に前記有機物のガスが急激な体積膨張を伴って発生するため、基材から耐食膜が剥がれやすい。そのため、予熱により、基材中の有機物を除去する。また、有機物除去には他に紫外線(UV)洗浄等も効果的である。
次に、イオンプレーティング装置を用いて基材表面に耐食膜を成膜する。イオンプレーティング装置としては、例えば図1に示すような装置1を用いる。
このイオンプレーティング装置1の真空チャンバー2内の基材支持部3には成膜を施す基材4を載置する。そして、ガス導入系5から酸化促進用の反応ガスである酸素ガスとアルゴンガスを導入し、真空排気系6に備えた真空ポンプ(不図示)にてチャンバー2内を真空度1×10−3Paに整える。そして、導入した反応ガスにRFコイル7にて13.56MHzの高周波を印加し図1に示すように、RFコイル7の周囲にプラズマ8を発生させる。
次に、溶融・蒸発容器9内に充填した蒸発源10となるY 焼結体に、電子線源11から電子線12を照射して溶融・蒸発させ、イオン化した蒸気とする。この時、基材4側の背面に設置した金属背面板13に直流マイナス電圧を印加することで成膜成分であるイオン化した蒸気と反応ガスを基材4側に加速、堆積させる。この蒸発したYがプラズマ8中で解離し、基材4の表面に成膜される。この際、成膜速度は約0.1〜10Å/secで所定の膜厚となるまで付着させる。なお、前記ガス導入系5、真空排気系6、RFコイル7への入力、金属背面板11への印電圧のコントロール等は全てパーソナルコンピュータからなる制御系14にてコントロールするようになっている。
ここで、前記耐食膜のY元素の組成比率を調整するためには、第に、反応性ガスとして用いる酸素の流量を成膜中に漸減させる。基材表面に成膜を開始した成膜前半では、軽元素である酸素が解離し易い状態、即ち、軽元素である酸素の叩き出し効果が大きいため、耐食膜中の酸素欠陥が増大してしまう傾向にある。よって、酸素の流量を増加させて、酸素欠陥の総量を少なくする。これにより、耐食膜中のY元素の組成比率を80mol%以下に制御することが可能となる。また、表面部の成膜となる成膜後半では、Yイオンがこれまで堆積させた耐食膜の表面への衝突が減少するため、軽元素である酸素は解離しにくくなり、蒸発源10であるY質焼結体のY元素の組成比率に近い耐食膜となってしまうため、Y元素の組成比率をより高めるために酸素の流量を低減させる。これによりY元素の組成比率を高いものとすることができる。
例えば、反応性ガスである酸素の流量については、25℃、1気圧(1,013hPa)で10〜200sccm(standard cc/min)の範囲で調整すれば良く
、10sccmより少ない流量では、成膜後半で酸素の流量を低減しても、Yの理論比である40mol%よりY元素の組成比率を高めることができ、また、200sccmより多い酸素流量では、耐食膜中の酸素量がY理論比より多くなり、耐食膜の耐食性が低下してしまう。
また、RFコイル7に印する自己電圧を、400〜800Vの範囲内で種々の値を選択することが好ましい。これは、蒸発源10であるY 焼結体のイオン化率を高くすることができ、基板4側へ加速されるイオン数を増加させることができる。堆積した膜はイオンの衝突によって、踏み固められるように緻密化が促進すると同時に、軽元素である酸素が膜中から解離することに影響を与える。このイオンの加速に関しては、直流マイナス電圧も影響し、直流マイナス電圧としては300〜600Vの範囲内とするのが好ましい。
なお、RFコイル7の自己電圧、直流マイナス電圧が、上記数値より小さいと、耐食膜の緻密性が乏しくなり、発生する膜応力に耐えきれずクラックが発生する。一方、上記数値より大きいと、堆積した耐食膜へのスパッタ作用が過大となり成膜速度が著しく低下してしまう。
このような条件下で成膜したY元素および元素を主成分とする耐食膜は、そのY元素の組成比率は40mol%を超え、且つ80モル%以下とすることができる。
このようなイオンプレーティング法により、基材4表面に形成されたY元素および元素を主成分とする耐食膜は、300〜500℃と低温で形成されるために、基材4成分と耐食膜成分の反応は起こりにくく、耐食膜表面のほとんど好ましくは全てが高密度に結晶化させたYとできるために耐食性を高めることが可能である。また、耐食膜は真空チャンバー2中で蒸発粒子をイオン化させ、これを負に帯電させた基材4に対して運動エネルギーをもって加速衝突させる物理的衝突にて形成しており、基材4表面に強固に付着させることができるばかりか、緻密な耐食膜とできる。さらには、RFコイル7の自己電圧と金属背面板に印する直流マイナス電圧を制御することで、膜中のY元素の組成比率を高め、耐食性を更に向上させることができる。
なお、ここではイオンプレーティング法を用いた成膜条件を成膜中に変化、調整することで耐食膜のY元素の組成比率を蒸発源等の成膜源の理論比よりも高くできることを示したが、イオンプレーティング法以外にも、PVD(物理的蒸着)法やCVD(化学的蒸着)法における反応性ガス、成膜用のガス組成の条件を成膜中に変化させることで耐食膜中のY元素の組成比率を調整することが可能である。
このように形成された耐食膜を有する耐食性部材は、特に、半導体・液晶製造装置に用いる腐食性ガスまたはそのプラズマに対する高い耐食性が求められる部材、例えば、チャンバー、マイクロ波導入窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、シールドリング等に用いるものであり、さらに、このような耐食性部材を備えた半導体・液晶製造装置として好適に用いることができる。
以上、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内であれば種々変更をしてもよいことは言うまでもない。
以下、本発明の実施例について詳細を示す。
本発明の耐食性部材を図1に示すイオンプレーティング装置1を用いて作製した。
まず、縦50mm、横50mm、厚さ5mmで正方形をした基材4をアルミナ質セラミックスにより数枚作製した。基材の表面粗さは、市販の表面粗さ計を用いて測定したところ、JIS B 0601に準拠した算術平均高さ(Ra)1μmであった。
また、イオンプレーティング法の蒸発源10としては、相対密度95%以上、純度99.5%以上のY質焼結体を使用した。
そして、これら80枚の基材4、蒸発源10を図1のイオンプレーティング装置1の基材支持部3に金属背面板13と接触させた状態でセットした。しかる後、真空排気系6を作動させてチャンバー2内を1×10−3Paの真空度にし、ガス導入系5から反応ガスとして酸素、アルゴンガスを導入して真空チャンバー2内の雰囲気を整え。成膜源10であるY 焼結体を溶融・蒸発させるために、電子線源11から電子線12を蒸発源10に照射して、溶融・蒸発させ。そしてそれと同時にRFコイル7に13.56MHzの高周波を印し、その周囲にプラズマ8を発生させ、前記金属背面板13に直流マイナス電圧を印させることにより、溶融・蒸発した蒸発源10であるY質焼結体がプラズマ8中で解離、イオン化され、これが基材4表面に引きつけられ、加速して基材4表面に衝突することにより堆積し、Y元素および元素を主成分とする耐食膜基材4表面に成膜した。耐食膜の厚さはそれぞれ10μmとし、また前記RFコイルに印する電圧は600V、金属背面板には400Vの直流マイナス電圧を印
なお、本実施例では、反応ガスである酸素ガスの流量を表1のように開始から終了まで漸減させることにより、同条件で各5枚の基材試料に耐食膜を成膜し、得られた耐食膜のY元素の組成比率を調整した。
また、Y元素および元素を主成分とする耐食膜のY元素の組成比率については、a.耐食膜表面、b.耐食膜を表面から5μmラップ加工したもの、c.耐食膜と基材の境界部である10μmの高精度ラップ加工を施したものをそれぞれ準備し、この表面のY元素カウント数をエネルギー分散型X線分析装置を用いて算出した後、算出されたY元素カウント数と、その他の元素の分子量から、その部分のY元素量割合を算出する。そしてこの方法をそれぞれの条件で基材試料5枚、基材試料1枚あたり10箇所にわたって実施し、それらの平均値を算出した後、これをモル比率に換算することによってY元素の組成比率を求めた。このときの透過電子顕微鏡の倍率としては1万倍、電子線照射スポット径はφ0.5〜5nmとし、測定時間30〜75sec、測定エネルギー幅0.1〜50keVの条件にて測定を実施した。
その後、前記試料について、RIE(リアクティブ・イオン・エッチング)装置を用いて、チャンバー内に各々試料を入れ、フッ素系のCF、CHF、Arの混合ガス雰囲気中にて高周波出力140Wを印し、プラズマを発生させ、一定時間保持した後、試料の体積減少率を確認した。なお、前記耐食性はY 焼結体の体積減少率の値を1として算出しており、1より小さいほど耐食性が優れている。また前記体積減少率とは、耐食性測定前後の試料の量を測定して量減少を算出した後、これを試料の密度で除した値である。
さらに、前記耐食性試験実施後に、各試料について金属顕微鏡を用いた外観検査を実施し、耐食膜に剥離等の不具合がないかどうかの確認を行った。
結果を表1に示す。
Figure 0005031259
表1より、本発明範囲内である耐食膜の表面部におけるY元素の組成比率が40mol%を超え、80mol%以下である試料(No.2〜7)は、エッチングレート比が0.5〜0.9と小さく、高い耐食性を示し、耐食性評価後の膜剥離も生じることはなかった。特に、耐食膜の表におけるY元素の組成比率が60mol%を超え、80mol%以下である試料(No.2、3)は、エッチングレート比が0.5以下とさらに高い耐食性とすることができた。
これに対し、耐食膜の表面部におけるY元素の組成比率が80mol%を超える試料(No.1)は、耐食膜中に多くの酸素欠陥が生じ、耐食膜が基材から剥離した。また、成膜時の酸素流量が一定の試料(No.8)は、耐食膜の表におけるY元素の組成比率が40mol%以下であり、エッチングレートも高くなり耐食性は低いものであった。
また、成膜後半における酸素流量が多い試料(No.9)は、耐食膜表面部における元素の組成比率が32mol%と少なく、エッチングレートも高くなり耐食性は低いものであった。
本発明の耐食性部材のY元素および元素を主成分とする耐食膜を基材表面に成膜するイオンプレーティング装置を示す概略図である。
1:イオンプレーティング装置
2:真空チャンバー
3:基材支持部
4:基材
5:ガス導入系
6:真空排気系
7:RFコイル
8:プラズマ
9:溶融・蒸発容器
10:成膜源
11:電子線源
12:電子線
13:金属背面板
14:制御系

Claims (6)

  1. セラミックスまたは金属からなる基材の少なくとも一部の表面上にY元素およびO元素を主成分とする耐食膜を備えた耐食性部材であって、前記耐食膜の表面部におけるY元素の組成比率が40mol%を超え、80mol%以下であり、前記耐食膜における前記Y元素の組成比率が基材側に漸増してなることを特徴とする耐食性部材。
  2. 前記耐食膜は、その厚みが5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐食性部材。
  3. 前記基材は、アルミナ質セラミックスからなることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性部材。
  4. 前記耐食膜は、イオンプレーティング法を用いて形成したPVD耐食膜であることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の耐食性部材。
  5. 請求項1に記載の耐食性部材の製造方法であって、前記基材に、Y質焼結体を蒸発源として、反応ガスである酸素の流量を漸減させながらイオンプレーティング法により耐食膜を成膜することを特徴とする耐食性部材の製造方法。
  6. 請求項1乃至の何れかに記載の耐食性部材を用いたことを特徴とする半導体・液晶製造装置。
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