JP5856764B2 - 過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延板成形品およびその製造方法 - Google Patents

過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延板成形品およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延板を成形加工して得た過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品、およびその製造方法に関する。
アルミニウム−シリコン合金の共晶点組成以上、すなわち13質量%以上のシリコンを含有する過共晶アルミニウム−シリコン合金は、熱膨張が小さく、かつ耐摩耗性に優れているという特徴を有する。
このため、過共晶アルミニウム−シリコン合金を板状に成形した、過共晶アルミニウム−シリコン合金板は、その低熱膨張特性を活かして例えば半導体素子用の基板として用いられている。また、過共晶アルミニウム−シリコン合金板は、その耐摩耗性を活かして、例えば、ハウジング(筐体)等にも用いられている。
このように幅広い用途に使用可能な過共晶アルミニウム−シリコン合金板は、従来は、例えば粉末を焼結して所望形状の板を得る粉末成形法または、未公開特許出願である特許文献1に記載のようにロールキャスティング(ロール鋳造法)により得ていた。
特願2010−074895号
しかし、粉末成形法は、多くの工程を要することから、得られる過共晶アルミニウム−シリコン合金板(粉末成形品)が高価になってしまうという問題がある。
一方、ロールキャスティングにより得た過共晶アルミニウム−シリコン合金鋳造材は、通常の鋳造方法で得た鋳造材よりは、優れた靱性・延性を有するものの、それでも圧延加工以外の塑性加工を行うことがほとんど不可能なことから、得られた圧延材をさらに加工し所望の形状を得ることが困難であった。
このため所望の形状の過共晶アルミニウム−シリコン合金成形品を、粉末成形品と比べて安価に得るために、溶製材の圧延材を塑性加工して成形品を得る方法の開発が待たれていた。
本願は、このような要望に応えるものであって、溶製材を圧延して得た圧延材をさらに塑性加工(成形加工)して得られる所望形状の過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、シリコン:13.0〜30.0質量%と、マグネシウム:8.0質量%未満(0質量%を含む)と、を含み、アルミニウムの含有量が50質量%以上である、過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材を深絞り加工または張り出し加工することにより得た過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品であって、シリコン晶出物を含有し、かつその大きさが70μm以下であることを特徴とする過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品である。
本発明の過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品は、シリコンを13.0〜30.0質量%含む過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延版を張り出し加工または深絞り加工することにより得た成形品である。
従来、過共晶アルミニウム−シリコン合金の圧延板は、加工性が悪く、圧延加工以外の方法で更に成形することが極めて困難であった。
しかし、本願発明者らは、初晶シリコンおよび共晶シリコンから成るシリコン晶出物の大きさを70μm以下に制御し、さらに最適な加工温度を選択することで過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延板に張り出し加工または深絞り加工のような塑性加工を施し成形品を得ることが可能であることを見出したものである。
本願発明の態様2は、マグネシウムを4.0〜6.0質量%含有することを特徴とする態様1に記載の過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品である。
本願発明の態様3は、前記シリコン晶出物は、初晶シリコンの大きさが70μm以下であり、共晶シリコンの大きさが5μm以下であることを特徴とする態様1または2に記載の過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品である。
本願発明の態様4は、鉄:2質量%以下(0質量%を含まず)、マンガン:0.05〜2.0質量%、銅:0.06〜6.0質量%、ベリリウム:0.001〜0.01質量%、リン:0.001〜0.02質量%、ニッケル:0.05〜3.0質量%、チタン:0.01〜0.30質量%およびホウ素:0.0005〜0.01質量%から選択される少なくとも1つを含有することを特徴とする態様1〜3のいずれかに記載の過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品である。
本願発明の過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品は、その各種特性を改善するために鉄、マンガン、銅およびニッケルから選択される少なくとも1種を所定量含有してよい。
本願発明の態様5は、シリコン:13.0〜30.0質量%と、マグネシウム:8.0質量%未満(0質量%を含む)とを含み、アルミニウムの含有量が50質量%以上である、過共晶アルミニウム−シリコン合金の溶湯を回転する1組のロール間に供給し、該溶湯を該1組のロールにより冷却し、過共晶アルミニウム−シリコン合金鋳造材を作製する工程と、該過共晶アルミニウム−シリコン合金ロール鋳造材を圧延して、過共晶アルミニウム−シリコン合金ロール圧延材を得る工程と、該過共晶アルミニウム−シリコン合金ロール圧延材を400℃以上でかつ、下記(1)式で規定される温度T(℃)以下の温度に加熱し、塑性変形する工程と、を含むことを特徴とする過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延板成形品の製造方法である。

T(℃)=(540−5×<Mg>) (1)
ここで、<Mg>は、質量%で示されるマグネシウムの含有量である。
本願発明の過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延板成形品の製造方法では、上記の成分を有する過共晶アルミニウム−シリコン合金の溶湯を所謂、双ロール鋳造(ロールキャスティング)して、鋳造材を得ることで含まれるシリコン晶出物の大きさを300μm以下とする。そして、この鋳造材を圧延することでシリコン晶出物の大きさを70μm以下まで微細化する。
このようにシリコン晶出物が微細化した圧延材を400℃と(1)式で規定されるT(℃)との間に加熱して塑性加工することで、従来塑性加工が極めて困難であった過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延版の塑性加工が可能となり、成形品を得ることができる。
本願発明の態様6は、前記溶湯が、鉄:2質量%以下(0質量%を含まず)、マンガン:0.05〜2.0質量%、銅:0.06〜6.0質量%、ベリリウム:0.001〜0.01質量%、リン:0.001〜0.02質量%、ニッケル:0.05〜3.0質量%、チタン:0.01〜0.30質量%およびホウ素:0.0005〜0.01質量%から選択される少なくとも1つを含有することを特徴とする態様5に記載の製造方法である。
前記塑性加工が、パンチを前記過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延板に接触させて行う深絞り加工または張り出し加工であって、前記パンチを冷却しながら前記深絞り加工または前記張り出し加工を行うことを特徴とする態様5または6に記載の製造方法である。
本願発明により、溶製材を圧延して得た圧延材をさらに塑性加工して得られる所望形状の過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品およびその製造方法を提供することが可能となる。
図1は、アルミニウム(Al)−シリコン(Si)合金の平衡状態図である。 図2は、ロールキャスト材サンプルの金属の断面の観察結果を示しており、図2(a)は、光学顕微鏡写真であり、初晶Siの分布が分かるように撮影されたものである。同様に図2(b)は図2(a)と同じ金属組織を共晶Siの分布を見るために図2(a)よりも高い倍率で観察したSEM写真である。 図3は、張り出し試験を行ったサンプルの金属の断面の組織の観察結果を示しており、図3(a)は、光学顕微鏡写真であり、図3(b)は、図3(a)と同じ金属組織をより高い倍率で観察したSEM写真であり、図3(c)は、図3(b)と同じ金属組織をより高い倍率で観察したSEM写真である。 図4は、ロールキャスター(ロール鋳造装置)の例を示す模式断面図である。 図5は、別のロールキャスターの例を示す模式断面図である。 図6は、更に別のロールキャスターの例を示す模式断面図である。 図7は、張り出し加工を説明する概略断面図である。 図8は、押し出し試験で「◎」、「○」、「△」、「L」、「SS」および「BF」と判定されたサンプル例を示す写真である。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
ロールキャスティング(ロール鋳造)して得たロールキャスティング材を圧延して得られた、過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材については、上述したように、更に圧延以外の例えば、深絞り加工や張り出し加工等の塑性加工を行うことは極めて困難であると考えられてきた。
しかし、本願発明者らは、圧延加工においてシリコン晶出物が微細化されることから、所定の加熱条件に加熱した後であれば、ロールキャスティング材を圧延して得られた、過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材に対して、例えば深絞り加工や張り出し加工等の塑性加工(圧延以外の塑性加工)を行うことができることを見出したのである。
そして、加熱温度の下限は400℃であり、上限は以下の(1)式で示される温度T(℃)である。
T(℃)=(540−5×<Mg>) (1)
ここで、<Mg>は、質量%で示されるマグネシウムの含有量である。
すなわち、下限400℃と上限T(℃)との間の温度に加熱することで、ロールキャスティング材を圧延して得られた、過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材に圧延以外の塑性加工を行うことができることを見出し本願発明に至ったものである。
そして、このような温度範囲内に加熱後、塑性変形を行って得られた本発明に係る過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品は、シリコン晶出物(Si晶出物)を含有し、かつその大きさが70μm以下であることを特徴とする。
圧延材をさらに塑性加工して本願発明の成形品を得ることできる理由は、このようにSi晶出物が微細であるためと推定される。しかし、これは本願発明者らが現時点で推測するメカニズムであって本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
以下に本願発明に係る詳細を説明する。
図1は、アルミニウム(Al)−シリコン(Si)合金の平衡状態図である。本願発明の対象は過共晶Al−Si合金であるため、共晶点組成(Si:12.6質量%)以上、より具体的には13.0〜30.0質量%のシリコン(Si)を含有している。そして、図1から判るようにSi濃度が高くなるほど液相線と固相線の間隔が大きくなっており、例えばSi量が25%の場合は、液相線温度が761℃であり、固相線温度が577℃となっている。
すなわち、平衡状態に比較的近い条件の冷却である鋳型を用いた通常の鋳造を行うと、この液相温度付近に達すると初晶Siが晶出し始め、その後温度が比較的ゆっくりと低下する間この初晶Siは成長を続ける。そして、さらに温度が低下し固相線温度付近に達すると共晶Siが晶出する。
通常の鋳造では初晶Siが晶出を開始してから、Si晶出物(共晶Siおよび初晶Si)の晶出が終了するまでの間、初晶SiはSiの拡散が容易な高温の状態に比較的長時間留まることから、初晶Siは容易に粗大化し、その大きさは例えば1mm以上程度になる。このような粗大Si晶出物は、延性に悪影響を及ぼすことからこのような鋳造材は、通常、圧延を含む塑性加工を行うことが困難である。
これに対して、ロールキャスティング(ロール鋳造)を行い急冷凝固させることにより、初晶SiはSiの拡散が容易な高温状態を極めて短時間で通過する。このため、初晶Siの粗大化が抑制され、また共晶Siも極めて微細になる。
図2(a)は、後述する実施例で詳細を説明するロール鋳造を行ったAl−25質量%Si合金の金属組織を示す光学顕微鏡写真であり、図2(b)は図2(a)と同じ試料の金属組織を図(a)よりも高い倍率で観察したSEM写真である。
図2(a)、図(b)から判るように、Si晶出物として、針状の初晶Siと球形の共晶Siが認められる。そして、初晶Siはその大きさが300μm以下であり、共晶Siは4μm以下程度である。
このように、ロールキャスティングを行うことで、Si晶出物を微細化できる。
そして、Si晶出物、とりわけ初晶Siが微細化することが、過共晶アルミニウム−シリコン合金のロールキャスティング材に圧延加工を行うことができる理由であると考えられる。
なお、上述したように、初晶Siと共晶Siとの区別は、当業者が通常行う方法、すなわち光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)による組織観察において形態および大きさの違いにより行っている。
また、本願明細書において、初晶Siの大きさおよび共晶Siの大きさとは、当業者が広く行っている方法による。すなわち光学顕微鏡またはSEMによる組織観察において、観察される初晶Siおよび共晶Siそれぞれの最長寸法または長径を測定し、そのうちの最大寸法を大きさとしている。
ロールキャスティングを行って得た鋳造材を圧延して、圧延材を得る。そして、この圧延材を上述のように、400℃と(1)式で示される温度T(℃)との間の温度に加熱した後、例えば、深絞りまたは張り出し加工のような圧延以外の塑性加工を行い所望形状の成形品を得る。
図3(a)は、後述する実施例で詳細を説明するが、本願発明に係るAl−25質量%Si合金圧延材成形品の金属組織を示す光学顕微鏡写真であり、図3(b)は、図3(a)と同じ金属組織をより高い倍率で観察したSEM写真であり、図3(c)は、図3(b)と同じ金属組織をより高い倍率で観察したSEM写真である。
図3(c)に例示したように、初晶Siはその大きさが70μm以下であり、共晶Siは5μm以下程度である。すなわち、Si晶出物の大きさは、ロールキャスティング材よりも更に微細化していることがわかる。
本願発明者らは、ロールキャスティング時に形成した初晶Siが、その後の圧延時に破砕して大きさ70μm以下に微細化することを見出した。
そして、初晶Siが70μm以下に微細化している圧延材を400℃と(1)式で示される温度T(℃)との間の温度に加熱することで、材料の変形能を高める適正温度に加熱することの効果と圧延により初晶Siを微細化した効果との相乗効果により、従来不可能と思われていた、ロールキャスティング材を圧延して得た過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材の塑性加工(圧延以外の塑性加工)を可能にしたものである。
すなわち、本願発明の特徴の1つは、ロールキャスティングにより初晶Siを微細化した後、さらに圧延加工により初晶Siを更に微細化し、この2段階で微細化された初晶Siを含む圧延材を適正温度(400℃と(1)式で示されるT(℃)との間の温度)に加熱することで、該圧延材の加工性を得ることである。
なお、図2(b)および図3(c)から判るように、ロールキャスティング材と成形品では、成形品の共晶Siが若干大きくなっている。これは、共晶Siはロールキャスティング時に既に充分小さくなっているため、圧延時には更に微細化することがあまりなく、圧延後の塑性変形時の加熱の際に若干成長するものと思われる。
ただし、これらのメカニズムは組織観察結果から本願発明者が現時点において推定しているメカニズムであって、本願発明の技術的範囲を制限するものではない。
以下に、合金組成、ロールキャスティング、圧延、圧延以外の塑性加工のそれぞれについてより詳細を説明する。
(1)合金組成
本願発明に過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品は、シリコン:13.0〜30.0質量%とマグネシウム:8.0質量%未満(0質量%を含む)とを含み、アルミニウムの含有量が50質量%以上である。
次にシリコンおよびマグネシウムの組成範囲を詳述する。
・シリコン(Si)
シリコンの含有量は、13.0〜30.0質量%である。
共晶点組成である12.6質量%を超える13.0質量%以上を含有することにより、初晶Siおよび共晶Siを確実に形成できる。これにより低い熱膨張係数と高い耐摩耗性を得ることができる。
一方、Si量が30.0質量%を超えると初晶Siの粗大化が起こり、延性が低下する場合がある。
なお、Si量が多いほど、熱膨張係数は低下することから、好ましくは、Si量は20.0〜30.0質量%であり、より好ましくは23.0〜30.0質量%である。
・マグネシウム(Mg)
マグネシウムは、得られた成形品の強度を向上させることができる。また、伸びが向上することから成形性を向上できる。マトリクスの強化により得られた成形品の表面状態も美麗になる。さらにロールキャスト性の向上、すなわちバリの発生および表面の窪みの発生を抑制できる効果がある。
これらの効果をより確実に得るためには、2.0質量%以上含有するのが好ましく、4.0質量%以上含有するのがより好ましい。これは,ロールキャスト性が向上すること、特にロール周速を向上できるので生産性が向上できること、およびロールキャスト時のロール荷重を低減することが可能なことから、ロールの摩耗を低減することができるからである。
しかし、8.0質量%以上添加すると得られた成形品の靱性を低下させる場合があるため上限は8.0%未満である。そして、より好ましくは、上限は6.0質量%以下である。
好ましい実施形態の1つにおいては、シリコン:13.0〜30.0質量%とマグネシウム:8.0質量%未満(0質量%を含む)とを含み残部がアルミニウムと不可避の不純物からなる。
しかし、これに限定されるものではなく、シリコン:13.0〜30.0質量%とマグネシウム:8.0質量%未満(0質量%を含む)と、アルミニウム50質量%とを含有している限りは、得られた成形品の各種の特性の向上を目的に、さらに任意の元素を添加してよい。
このように特性の向上を目的として添加してよい元素の例を以下に示す。
・鉄(Fe)
鉄(Fe)を2.0質量%以下含有してよい。
鉄は、張り出し加工および深絞り加工等の塑性加工の際に、被加工物(加熱された圧延材)が、パンチやダイス等への焼き付くのを防止する効果がある。また、ロールキャスト性を向上する効果と得られた成形品の耐摩耗性を向上させる効果も有する。
2.0質量%を超えると材料の延性を低下させる場合がある。
また、添加する場合は、その効果を確実に得るために0.5質量%以上添加することが好ましい。
・マンガン(Mn)
マンガン(Mn)を0.05〜2.0質量%含有してよい。
マンガンを過共晶アルミニウム−シリコン合金に添加すると、合金が鋳造時および塑性加工の加熱時等に高温となった場合に、表面の酸化を抑制する効果を有する。また、鉄と同様に焼き付き防止効果を有する。
添加する場合、添加量が0.05質量%より少ないとその効果を充分に得られない場合がある。一方、2.0質量%を超えて添加すると延性を低下させる等の問題を生ずる場合がある。
・銅(Cu)
銅(Cu)を0.06〜6.0質量%含有してよい。
銅は、得られた成形品の強度を向上させる効果、およびマグネシウムと同様のロールキャスト性を向上させる効果を有する。
添加する場合、添加量が0.06質量%より少ないとその効果を充分に得られない場合がある。一方、6.0質量%を超えて添加すると延性を低下させる等の問題を生ずる場合がある。
・ベリリウム(Be)
ベリリウム(Be)を0.001〜0.01質量%含有してよい。
ベリリウムはロール鋳造時に晶出する初晶Siを微細化する効果を有する。
しかしながら0.001%未満ではその効果が小さく、0.01%を超えると、得られた板状のロールキャスト材の靭性が低下する場合があるため、0.001〜0.01%の範囲が好ましい。
・リン(P)
リン(p)を0.001〜0.02質量%含んでもよい。リンは初晶Siを晶出させる際にシードとして機能する異質核AlP(リン化アルミニウム)を生成する。0.001重量%未満の含有量では、十分な量の異質核が生成せず、初晶Siの微細化作用が充分でない場合がある。一方、リンの添加効果は、0.02重量%で飽和するため、0.02重量%を超える量を添加しても添加量に見合った改善が得られないことが多い。
・ニッケル(Ni)
ニッケル(Ni)を0.05〜3.0質量%含有してよい。ニッケルは、得られた成形品の強度を向上させる効果を有する。
添加する場合、添加量が0.05質量%より少ないとその効果を充分に得られない場合がある。一方、3.0質量%を超えて添加すると延性を低下させる等の問題を生ずる場合がある。
・チタン(Ti)
Ti(チタン)を0.01〜0.30質量%含有してよい。チタンはロール鋳造の際に微細化材として作用しロール鋳造性を向上させるとともに、組織を均一化することにも有効な元素である。これらの効果を確実に得るためには、0.05質量%以上含有させることが好ましい。しかし、0.30質量%を超えると、機械的性質が低下する場合がある。
・ホウ素(B)
ホウ素(B)を0.0005〜0.01質量%含有してよい。ホウ素はロール鋳造の際に微細化材として作用しロール鋳造性を向上させるとともに、組織を均一化することにも有効な元素である。これらの効果を確実に得るためには、0.0005質量%以上含有させることが好ましい。しかし、0.01質量%を超えると、機械的性質が低下する場合がある。
好ましい実施形態の1つにおいては、シリコン:13.0〜30.0質量%とマグネシウム:8.0質量%未満(0質量%を含む)とを含み、さらに、鉄:2質量%以下(0質量%を含まず)、マンガン:0.05〜2.0質量%、銅:0.06〜6.0質量%、ベリリウム:0.001〜0.01質量%、リン:0.001〜0.02質量%、ニッケル:0.05〜3.0質量%、チタン:0.01〜0.30質量%およびホウ素:0.0005〜0.01質量%から選択される少なくとも1つを含有し、残部がアルミニウムと不可避の不純物からなる。
しかし、これに限定されるものではなく、シリコン:13.0〜30.0質量%とマグネシウム:8.0質量%未満(0質量%を含む)と、アルミニウム50質量%とを含有し、さらに、鉄:2質量%以下(0質量%を含まず)、マンガン:0.05〜2.0質量%、銅:0.06〜6.0質量%、ベリリウム:0.001〜0.01質量%、リン:0.001〜0.02質量%、ニッケル:0.05〜3.0質量%、チタン:0.01〜0.30質量%およびホウ素:0.0005〜0.01質量%から選択される少なくとも1つを含有している限りは、得られた成形品の各種の特性の向上を目的に更に任意の元素を添加してよい。
(2)ロールキャスティング
合金原料を加熱溶融させて、上述の組成を有する過共晶アルミニウム−シリコン合金の溶湯(溶融金属)を得る。溶湯を得る際の加熱溶融は、高周波誘導溶融等既知の方法を用いてよい。
得られた溶湯を回転する1組のロールの間に供給し、溶湯をこのロールに接触させ急冷凝固することで鋳造材を得るロールキャスティング法であれば任意の方法を用いてよい。
図4は、ロールキャスター(ロール鋳造装置)の例を示す断面図である。
図4に示すロールキャスター100では、ロール2とロール4より成る1組のリールがそれぞれの矢印の方向に回転する。坩堝6内の溶湯10aは樋7を介してロール2、4の上部に供給される。ロール2とロール4との間に設けた所定の間隔を有するギャップに溶湯10aを安定して供給できるように、ロール2とロール4とのギャップの上にダムプレート(耐熱材)9により四方を囲んだ溶湯プールが形成されており、そこに溶湯10aが蓄えられている。
そして溶湯10aが回転するロール2またはロール4のいずれかに接触して急冷凝固されて、板状のロールキャスティング材(ロール鋳造材)10bを得る。
上述のように、この急冷凝固により、ロールキャスティング材10bは、微細な初晶Siと共晶Siを含む。
このように溶湯10aを確実に急冷凝固できるように、ロールキャスティング材10bの厚さは、5mm以下であることが好ましい。また、引き続いて圧延することを考慮するとロールキャスティング材10bは薄すぎるとハンドリングし難くなるため、厚さは1mm以上であることが好ましい。
また、より確実に急冷凝固させるために、ロール2およびロール4は、銅や軟鋼等の熱伝導性に優れた金属より成ることが好ましい。
さらに、図4に示すロールキャスター100において、ロール2はその内部に冷却水流路2aを有している。この冷却水流路2aに冷却水を流して、ロール2内部に冷却水を循環させてロール2を水冷している。
同様にロール4はその内部に冷却水流路4aを有している。この冷却水路4aに冷却水を流して、ロール4内部に冷却水を循環させてロール4を水冷している。
また、ロール2およびロール4は、5〜100m/分の周速で回転することが好ましい。
このようにしてロール2およびロール4は40W/mK以上の熱伝導率を有することが好ましい。
また、例えば、ばねまたはダンパー等を用いて、ロール2およびロール4の少なくとも一方を付勢し、半凝固状態にあるロールキャスティング材10bを圧下して、偏析を抑制することが好ましい。
図5は、別のロールキャスターの例を示す模式断面図である。
図5に示すロールキャスター100Aでは、上述のロールキャスター100と異なり、ロール2およびロール4は、冷却水流路を有していない。このため、ロール2およびロール4は、空冷により冷却される。
ロール2および4を空冷により、より速く冷却するように、図5に示すように、ロール2および4は内部に空洞を有してよい。
図6は、更に別のロールキャスターの例を示す模式断面図である。
図6に示すロールキャスター100Bは、上述のロールキャスター100と異なり、ロール2とロール4の直径が異なる、所謂異径双ロールキャスターである。
上方に位置するロール4の直径と比べて下方に位置するロール2の直径が大きくなっている。このため同じ回転数で回転させるとロール2の周速の方がロール4の周速より速くなる。そして、ロール4の回転中心とロール2の回転中心を結ぶ線が垂直方向に対して角度αだけ鋳造方向に傾いている。このため、バックダムプレート8とロール4と図示しないサイドダムプレートとにより側面を取り囲まれた溶湯プールが形成される。
角度αは例えば10°と40°との間の任意の角度に設定される。
このような構成を有するロールキャスター100Bは、直径の大きいロール2の表面において凝固距離を長くできるという利点を有する。
なお、ロールキャスター100Bのロール2とロール4は、それぞれ冷却水路2aと冷却水路4aを有し、これにより水冷されているが、これに代えて空冷により冷却してもよい。
(3)圧延加工
次に上述のロールキャスティングにより得られた板状の鋳造材を圧延し、初晶Siを微細化する。
圧延は、冷間圧延および熱間圧延のいずれでもよく、また両者を組み合わせてもよい。熱間圧延を行う際は、より確実に初晶Siを粉砕し微細化するために、圧延温度は400〜540℃であることが好ましい。また、この圧延温度で0〜60分保持した後圧延を行うのが好ましい。
なお、ここでいう0分とは所定の温度に達した後、意図的に遅延させることなく直ちに圧延を行うことを意味する。
圧延の際のトータルの圧下率は、より確実に初晶Siを粉砕し微細化するために、30%以上であることが好ましい。
また、過度な歪による割れの発生等を避けるためにトータル圧下率は、70%以下であることが好ましい。
この好ましいトータルの圧下率は、1パスの圧延で実現してもよく、また複数パスに亘る圧延で実現してもよい。特に高い値の圧下率を得るときは、1パスの圧下率を40%以下にして、複数パスの圧延を行うのが好ましい。
用いる圧延装置は、アルミニウム合金の圧延に用いられる一般的な圧延装置を用いてよい。このようにして得た圧延材に圧延以外の塑性加工を施す。
(4)塑性加工
この塑性加工の際には上述のように、400℃とT(℃)=(540−5×<Mg>)間(ただし<Mg>は質量%で表されるマグネシウムの含有量)の温度に加熱を行った後、塑性加工を行う。
加熱温度が400℃より低いと、圧延材の変形抵抗が大きく、充分な塑性加工を行うことが難しい。一方、温度が540℃を超えると固相線温度(577℃)に近づき材料が軟化してしまい塑性加工が困難である。特に、マグネシウムを添加している場合は、この軟化の傾向が顕著である。このことから、加熱温度の上限を(1)式に示すようにマグネシウム含有量1質量%あたり5℃下げる必要がある。
この加熱は、高周波誘導加熱、炉内での雰囲気加熱またはソルトバスによる加熱を含む既知の加熱手段により実施してよい。
なお、加熱温度は、圧延材に温度センサー等を付けて到達温度を確認するのが好ましいが、しかし工業的に広く行われている方法、例えば炉内温度を加熱温度として用いる等の方法により確認してもよい。
また、この加熱温度は、塑性加工時の材料の温度を保証する意味に解釈してはならない。上記のように加熱温度を確認した後(あるいは、加熱温度を確認し、その温度で所定時間保持した後)、意図的な遅滞なく、塑性加工を開始すれば足りることに留意されたい。
この加熱温度において、圧延材は0〜5分保持した後、塑性加工を行うのが好ましい。圧延材の温度を均一にするためである。
用いる塑性加工は、圧延以外の各種の塑性加工を行うことができる。
このような塑性加工として、例えばパンチを圧延材に接触させて後、さらにパンチを押し込んで変形する、張り出し加工および深絞り加工がある。また、これ以外にも曲げ加工(例えば、曲げ加工よる表面に突起を有する板を成形する)を例示できる。
図7は、張り出し加工を説明する概略断面図である。上述の加熱を行った圧延材30を中央部に貫通孔を設けた金型22およびダイス24で挟んで固定する。
そして、その直径が金型22の貫通孔より少し小さいパンチ20を押し下げて貫通孔の中に挿入し、パンチ20を圧延材30に接触させる。そして、接触させたまま、パンチ20をさらに押し下げることで、圧延材30がパンチ20により塑性変形する。
なお、図7に示すようにパンチ20の先端にRを付けてもよい。
図7の例では、ダイス24の貫通孔の直径はパンチの直径より大きいため、加工された圧延材30がダイス24の貫通孔の側面と接触することはほとんどない。
ダイス24の貫通孔の内径をパンチ20の直径より少し大きい程度にすると、パンチ20により押されて変形した圧延材30が、ダイス24の貫通孔の内面と接触し、内面に沿って変形する。これにより深絞り加工を行うことができる。
なお、張り出し加工または深絞り加工を行う場合、パンチ20を冷却しながら加工を行うことが好ましい。
張り出し加工または深絞り加工で材料の破断が起こる時は多くの場合、パンチの先端部または肩部と接触している部分より破壊が進展し破断に至る。これは、これらの部分がパンチにより拘束されているため、他の部分より強い力がこれらの部分に作用するためと思われる。
そこで、パンチ20を冷却することで、これらの部分を優先的に冷却し、他の部分よりも強度を向上させることで、破断を抑制することができる。
なお、上述の張り出し加工(図7に示した)および深絞り加工では、ダイス24に設けた孔として貫通孔を示したが、言うまでもなく、貫通孔に代えて、図7において、上方が開口し、下方が閉じている凹部を用いてよい。
(A)ロールキャスティング
図4に示すロールキャスター100を用いて、表1に有する成分を有する厚さ2.4mmの板状のロールキャスティング材(ロール鋳造材)を得た。
ロールキャスティングは、直径300mmの軟鋼製のロール2、4を用いてロール周速20m/分でロール2、4を回転させ、試料とロールの接触距離(凝固距離)100mm、注湯温度760℃で行った。
Figure 0005856764
得られたロールキャスト材の断面を鏡面研磨後、2%フッ化水素水溶液により腐食して、断面の板厚方向の略中央部を光学顕微鏡およびSEMにより金属組織を観察した。
図2は、ロールキャスト材サンプルAl−25Siの金属観察結果を示しており、図2(a)は、光学顕微鏡写真であり、初晶Siの分布が分かるように撮影されており、図2(b)は図2(a)と同じ金属組織を共晶Siの分布を見るために図2(a)よりも高い倍率で観察したSEM写真である。
さらに、初晶Siの大きさの観察には、光学顕微鏡の倍率を変えて1mm×0.7mmの視野サイズにて行い、共晶Siの大きさの観察には、SEMの倍率を変えて24μm×14.5μmの視野サイズにて行った。
Al−25Si以外のマグネシウムを含む他のサンプルも全て同様の金属組織であった。すなわち、全てのサンプルにおいて、初晶Siの大きさは、大きいものでも100〜250μm程度と300μmよりも小さく、また、共晶Siの大きさは、大きいもので4μmであった。
(B)圧延
得られた厚さ2.4mmのロールキャスト材を500℃に加熱して30分間保持した後、厚さ1.0mmに熱間圧延した。圧延は2パスで行い、1パス目で1.5mmまで圧延し、2パス目で1.0mmまで圧延した。加熱は1パス毎に行った。
(c)張り出し試験
図7に示す張り出し方法により張り出し試験を行った。
また、圧延材30として、表1に示すそれぞれのサンプルを表2に示す380℃〜570℃まで、加熱温度を変えて加熱した。加熱は電気炉により行い、所定の温度到達後直ちに、圧延材30を予め圧延材30と同じ所定の温度に加熱しておいた金型22とダイス24により挟み、張り出し試験を開始した。
用いたパンチ20の直径は20mmであり、先端に半径10mmのRを有する。ダイス24の貫通孔の内径は25mmであった。パンチ20を速度50mm/秒で押し下げ、サンプル30を12mmまで押し込んだ。張り出し試験は全て、パンチ20が室温まで冷却されるのを待ってから開始した。これは、工業的に連続して張り出し加工を行う場合、パンチ20を例えば水冷または空冷により室温まで冷却していることに相当する。
張り出し試験の結果を表2に示す。
張り出し加工により成形を行うことができた場合には、その変形量(張り出し量)ミリ単位で記載した。そして、成形部外表面の状態を◎、○、△で示した。すなわち、外表面に欠陥がなく健全な場合は「◎」とし、肌荒れが認められた場合は「○」とし、微細なクラック(貫通していない)が発生した場合は「△」とした。
また、これら以外の場合は、数値を記載せずに「×」とした。そして、さらに×の状態を3種類に分類してL、SS、BFで示した。すなわち、半凝固状態で液相が過多で、圧延板の破断が、パンチ20が接触していない個所でも起った場合は「L」とし、半凝固状態で成形部にて破断が起った場合は「SS」とし、固相で温度が低くそのため成形が不可能であった場合は「BF」とした。
図8は、張り出し試験で「◎」、「○」、「△」、「L」、「SS」および「BF」と判定されたサンプル例を示す写真である。尚(f)は写真ではわかりにくいが微細なクラック(貫通していない)が発生しているため「△」と評価した。
また、表2には(1)式により計算したT(℃)の値を示している。
Figure 0005856764
表2から判るように、マグネシウムを8質量%含むサンプルは、いずれの加熱温度においても「×」であり、充分に塑性変形した成形体を得ることができなかった。これに対して、マグネシウムを6質量%以下含むまたはマグネシウムを含まないサンプルは、400℃以上において、成形できることが判る。また、成形可能な上限温度は、概ね(1)式より得られるT(℃)と一致していることが判る。
図3は、サンプルAl−25Siの加熱条件520℃で張り出し試験を行ったサンプルの金属組織観察結果を示しており、図3(a)は、断面の光学顕微鏡写真であり、図3(b)は、断面の略中央部を図3(a)と同じ金属組織をより高い倍率で観察したSEM写真であり、図3(c)は、図3(b)と同じ金属組織をより高い倍率で観察したSEM写真である。
初晶Siの大きさの観察には、光学顕微鏡の倍率を変えて1mm×0.7mmの視野サイズにて行い、共晶Siの大きさの観察には、SEMの倍率を変えて24μm×14.5μmの視野サイズにて行った。
表2において、張り出し加工ができた(評価が◎、○または△のサンプル)は全て、同様の金属組織であった。すなわち、張り出し試験時の加熱条件によって、多少の大きさの差はあるものの、押し出し加工ができた全てのサンプルにおいて、初晶Siの大きさは、大きいものでも30〜45μmと70μmよりも小さく、また、共晶Siの大きさは、大きいもので4〜6μm程度であった。
2、4 ロール
2a、4a 冷却水路
6 坩堝
7 樋
8 バックダムプレート
9 ダムプレート
10a 溶湯
10b ロールキャスティング材(ロール鋳造材)
20 パンチ
22 金型
24 ダイス
100、100A、100B ロールキャスター

Claims (3)

  1. シリコン:20.0〜30.0質量%と、マグネシウム:2.0〜6.0質量%とを含み、残部がアルミニウムと不可避の不純物からなる、過共晶アルミニウム−シリコン合金の溶湯を回転する1組のロール間に供給し、該溶湯を該1組のロールにより冷却し、過共晶アルミニウム−シリコン合金鋳造材を作製する工程と、
    該過共晶アルミニウム−シリコン合金ロール鋳造材を圧延して、過共晶アルミニウム−シリコン合金ロール圧延材を得る工程と、
    該過共晶アルミニウム−シリコン合金ロール圧延材を400℃以上でかつ、下記(1)式で規定される温度T(℃)以下の温度に加熱し、塑性変形する工程と、
    を含むことを特徴とする過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延板成形品の製造方法。

    T(℃)=(540−5×<Mg>) (1)
    ここで、<Mg>は、質量%で示されるマグネシウムの含有量である。
  2. 過共晶アルミニウム−シリコン合金の溶湯が、マグネシウムを4.0〜6.0質量%含有することを特徴とする請求項に記載の過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延材成形品の製造方法。
  3. 前記塑性加工が、パンチを前記過共晶アルミニウム−シリコン合金圧延板に接触させて行う深絞り加工または張り出し加工であって、前記パンチを冷却しながら前記深絞り加工または前記張り出し加工を行うことを特徴とする請求項またはに記載の製造方法。
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