JP5856059B2 - 虚血組織を治療するためのsdf−1送達 - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は、その主題の全内容が参照により本明細書に組み込まれている、2009年8月28日出願の米国仮特許出願第61/237775号および2010年5月13日出願の米国仮特許出願第61/334216号に基づく優先権を請求する。
本出願は、心筋症を治療するためのSDF−1送達法および組成物、ならびに虚血性心筋症を治療するためのSDF−1送達法および組成物の使用に関する。
虚血は、血流が体の局部で完全に妨げられるまたはかなり減少して、酸素欠乏、物質供給の減少および代謝産物の蓄積を招く状態である。虚血の程度は、血管閉塞の激しさ、その持続期間、血管閉塞に対する組織感受性および副行血管の発達の程度に依存するが、通常、虚血器官または組織で機能障害が起こり、長期の虚血は、患部組織の萎縮、変性、アポトーシスおよび壊死を招く。
冠状動脈に影響を及ぼし、心筋虚血を引き起こす疾患である虚血性心筋症において、虚血性心筋細胞傷害の程度は、冠状動脈閉塞の時間の増加とともに、可逆的細胞障害から不可逆的細胞障害に進行する。
本出願は、被験体の心筋症を治療する方法に関する。心筋症には、例えば、肺塞栓、静脈血栓症、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、末梢血管障害、アテローム性動脈硬化症および/または他の心筋傷害もしくは血管病に伴う心筋症が含まれ得る。本方法は、被験体の心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に、以下のパラメーター:左室容積、左室面積、左室径、心機能、6分間歩行テスト(6MWT)またはニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類の少なくとも1つにおける機能改善をもたらすのに有効な量のSDF−1を、直接投与するまたは局所的に発現させるステップを含む。
本出願の一態様では、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積、左室駆出率、壁運動スコア指数、左室拡張末期長、左室収縮末期長、左室拡張末期面積、左室収縮末期面積、左室拡張末期容積、6分間歩行テスト(6MWT)またはニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類の少なくとも1つにおける機能改善をもたらすのに有効である。本出願の別の態様では、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を改善するのに有効である。本出願のさらなる態様では、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室駆出率を改善するのに有効である。
本出願のいくつかの態様では、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を少なくとも約10%改善するのに有効である。本出願の他の態様では、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を少なくとも約15%改善するのに有効である。本出願のなおさらなる態様では、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を少なくとも約10%改善し、左室駆出率を少なくとも約10%改善し、壁運動スコア指数を少なくとも約5%改善し、6分間歩行距離を少なくとも約30メートル改善し、かつNYHAクラスを少なくとも1クラス改善するのに有効である。本出願のさらなる態様では、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室駆出率を少なくとも約10%改善するのに有効である。
本出願の別の態様では、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、少なくとも約10%の合計安静時欠損スコア、合計負荷時欠損スコアおよび/または合計差欠損スコア(summed difference score)の改善と共に、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の脈管形成を、血管密度に基づきまたは心筋血流イメージング(例えば、SPECTもしくはPET)により測定される少なくとも約20%実質的に改善するのに有効である。SDF−1は、SDF−1発現プラスミドを含む溶液を、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に注入し、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域からSDF−1を発現させることにより、投与することができる。SDF−1は、左室収縮末期容積を改善するのに有効な量で衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域から発現させることができる。
本出願の一態様では、SDF−1プラスミドを、各注入が約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド溶液を含む溶液の複数回注入で衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。一実施例では、SDF−1プラスミドを、少なくとも約10回の注入で衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与される各注入は、少なくとも約0.2mlの容積を有し得る。SDF−1は、約3日を超える間、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域で発現させることができる。
本出願の一実施例では、SDF−1発現プラスミドを含む溶液の各注入は、少なくとも約0.2mlの注入容積および1注入当たり約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド濃度を有し得る。本出願の別の態様では、少なくとも約10箇所の注入部位中、1部位当たり少なくとも約0.2mlの注入容積および1注入当たり約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド濃度で、SDF−1プラスミドを心臓の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に注入することにより、少なくとも1つの心臓の機能的パラメーターを改善することができる。
さらなる実施例では、少なくとも1つの心臓の機能的パラメーターを改善することができる、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1プラスミドの量は、約4mgを超える。少なくとも1つの心臓の機能的パラメーターを改善することができる、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1プラスミドの溶液の容積は、少なくとも約10mlである。
本出願の別の態様では、SDF−1が投与される被験体は、ヒトまたはブタなどの大型哺乳動物であり得る。SDF−1プラスミドは、冠状動脈内カテーテル法または心室内カテーテル法などのカテーテル法により被験体に投与することができる。SDF−1プラスミドの投与前に、被験体の心筋組織を画像化して衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の範囲を限定することができ、画像化により限定された衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域にSDF−1プラスミドを投与することができる。画像化は、心エコー法、核磁気共鳴画像法、冠血管造影、電気解剖学的マッピングまたは蛍光透視法の少なくとも1つを含み得る。
本出願はまた、SDF−1プラスミドを、冠状動脈内カテーテル法または心室内カテーテル法などのカテーテル法により、哺乳動物の心筋の梗塞周囲領域に投与することにより、大型哺乳動物の心筋梗塞を治療する方法に関する。カテーテル法により投与されるSDF−1は、以下のパラメーター:左室容積、左室面積、左室径、心機能、6分間歩行テスト(6MWT)またはニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類の少なくとも1つにおける機能改善をもたらすのに有効な量で梗塞周囲領域から発現させることができる。
本出願の一態様では、梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積、左室駆出率、壁運動スコア指数、左室拡張末期長、左室収縮末期長、左室拡張末期面積、左室収縮末期面積、左室拡張末期容積、6分間歩行テスト(6MWT)またはニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類の少なくとも1つにおける機能改善をもたらすのに有効である。本出願の別の態様では、梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を改善するのに有効である。本出願のさらなる態様では、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室駆出分画を改善するのに有効である。
本出願のいくつかの態様では、梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を少なくとも約10%改善するのに有効である。本出願の他の態様では、梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を少なくとも約15%改善するのに有効である。本出願のなおさらなる態様では、梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を少なくとも約10%改善する、左室駆出率を少なくとも約10%改善する、壁運動スコア指数を少なくとも約5%改善する、6分間歩行距離を少なくとも約30メートル改善する、またはNYHAクラスを少なくとも1クラス改善するのに有効である。本出願のさらなる態様では、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室駆出率を少なくとも約10%改善するのに有効である。
本出願の別の態様では、梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、梗塞周囲領域の脈管形成を血管密度に基づき少なくとも約20%実質的に改善するのに有効である。
本出願の一態様では、SDF−1プラスミドを、各注入が約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド/溶液を含む溶液の複数回注入で衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。一実施例では、SDF−1プラスミドを、少なくとも約10回の注入で衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与される各注入は、少なくとも約0.2mlの容積を有し得る。SDF−1は、約3日を超える間、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域で発現させることができる。
本出願の一実施例では、SDF−1発現プラスミドを含む溶液の各注入は、少なくとも約0.2mlの注入容積および1注入当たり約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド濃度を有し得る。本出願の別の態様では、少なくとも約10箇所の注入部位中、1部位当たり少なくとも約0.2mlの注入容積および1注入当たり約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド濃度で、SDF−1プラスミドを心臓の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に注入することにより、少なくとも1つの心臓の機能的パラメーターを改善することができる。
さらなる実施例では、少なくとも1つの心臓の機能的パラメーターを改善することができる、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1プラスミドの量は、約4mgを超える。少なくとも1つの心臓の機能的パラメーターを改善することができる、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1プラスミドの溶液の容積は、少なくとも約10mlである。
本出願はさらに、心筋梗塞後の大型哺乳動物の左室収縮末期容積を改善する方法に関する。本方法は、SDF−1プラスミドを、心室内カテーテル法により、哺乳動物の梗塞周囲領域に投与するステップを含む。SDF−1は、左室収縮末期容積における機能改善をもたらすのに有効な量で梗塞周囲領域から発現させることができる。
本出願のいくつかの態様では、梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を少なくとも約10%改善するのに有効である。本出願の他の態様では、梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を少なくとも約15%改善するのに有効である。本出願のなおさらなる態様では、梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、左室収縮末期容積を少なくとも約10%改善する、左室駆出率を少なくとも約10%改善する、壁運動スコア指数を少なくとも約5%改善する、6分間歩行距離を少なくとも約30メートル改善する、またはNYHAクラスを少なくとも1クラス改善するのに有効である。
本出願の一態様では、SDF−1プラスミドを、各注入が約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド/溶液を含む溶液の複数回注入で衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。一実施例では、SDF−1プラスミドを、少なくとも約10回の注入で衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与される各注入は、少なくとも約0.2mlの容積を有し得る。SDF−1は、約3日を超える間、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域中で発現させることができる。
本出願の一実施例では、SDF−1発現プラスミドを含む溶液の各注入は、少なくとも約0.2mlの注入容積および1注入当たり約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド濃度を有し得る。本出願の別の態様では、少なくとも約10箇所の注入部位中、1部位当たり少なくとも約0.2mlの注入容積および1注入当たり約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド濃度で、SDF−1プラスミドを心臓の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に注入することにより、心臓の左室収縮末期容積を少なくとも約10%改善することができる。
さらなる実施例では、左室収縮末期容積を改善することができる、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1プラスミドの量は、約4mgを超える。心臓の左室収縮末期容積を改善することができる、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1プラスミドの溶液の容積は、少なくとも約10mlである。
本出願の前記特徴および他の特徴は、添付の図面を参照して以下の説明を読むことにより、本出願が関連する当該技術分野の当業者に明らかとなろう。
ブタモデルにおいて、変化するDNAの量および容積に関するルシフェラーゼ発現を説明する図表である。 SDF−1注入30日後のうっ血性心不全のブタモデルを使用した、種々の量のSDF−プラスミドに関する左室収縮末期容積変化%を説明する図表である。 SDF−1注入30日後のうっ血性心不全のブタモデルを使用した、種々の量のSDF−プラスミドに関する左室駆出率変化%を説明する図表である。 SDF−1注入30日後のうっ血性心不全のブタモデルを使用した、種々の量のSDF−プラスミドに関する壁運動スコア指数変化%を説明する図表である。 SDF−1注入90日後のうっ血性心不全のブタモデルを使用した、種々の量のSDF−プラスミドに関する左室収縮末期容積変化%を説明する図表である。 SDF−1注入30日後のうっ血性心不全のブタモデルを使用した、種々の量のSDF−プラスミドに関する血管密度変化%を説明する図表である。 本出願の一態様によるプラスミドベクターの概略図である。 ブタ心臓の実質的部分上のプラスミド発現を示す画像である。 ベースラインおよび初回注入30日後における左室収縮末期容積を説明する図表である。全群が30日で類似の左室収縮末期容積の増加を示している。全データ点についてN=3である。データは、平均値±SEMとして示される。 ベースラインおよび初回注入30日後における左室駆出率を説明する図表である。全群が左室駆出率の改善の欠如を示している。全データ点についてN=3である。データは、平均値±SEMとして示される。
特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は全て本出願が属する当該技術分野の当業者に一般的に理解されている意味と同じ意味を持つ。特に注記しない限り、本明細書の全開示中に言及される全ての特許、特許出願、公開出願および刊行物、Genbank配列、ウェブサイトならびに他の出版物は、その全内容が参照により組み込まれている。本明細書の用語について複数の定義が存在する場合には、本節の定義が優先する。特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語は全て本出願が属する当該技術分野の当業者に一般的に理解されている意味と同じ意味を持つ。一般的に理解されている分子生物学用語の定義は、例えば、Rieger等、Glossary of Genetics:Classical and Molecular、第5版、SpringerVerlag:ニューヨーク、1991;およびLewin、Genes V、Oxford University Press:ニューヨーク、1994に見出すことができる。
従来の分子生物学技術を伴う方法が本明細書中に記載されている。このような技術は、当技術分野で一般的に知られており、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、第1〜3巻、Sambrook等編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989;およびCurrent Protocols in Molecular Biology、Ausubel等編、Greene Publishing and Wiley−Interscience、ニューヨーク、1992(周期的更新を含む)などの方法論の論文に詳細に記載されている。核酸の化学合成法は、例えば、Beaucage and Carruthers、Tetra.Letts.22:1859〜1862、1981およびMatteucci等、J.Am.Chem.Soc.103:3185、1981に論じられている。核酸の化学合成は、例えば、市販の自動式オリゴヌクレオチド合成装置で行うことができる。免疫学的方法(例えば、抗原特異的抗体の調製、免疫沈降法および免疫ブロット法)は、例えば、Current Protocols in Immunology、Coligan等編、John Wiley&Sons、ニューヨーク、1991;およびMethods of Immunological Analysis、Masseyeff等編、John Wiley&Sons、ニューヨーク、1992に記載されている。従来の遺伝子導入および遺伝子治療の方法を本出願での使用に適合させることもできる。例えば、Gene Therapy:Principles and Applications、T.Blackenstein編、Springer Verlag、1999;Gene Therapy Protocols(Methods in Molecular Medicine)、P.D.Robbins編、Humana Press、1997;およびRetro−vectors for Human Gene Therapy、C.P.Hodgson編、Springer Verlag、1996を参照されたい。
URLまたは他のこのような識別子もしくはアドレスが言及される場合、このような識別子は変化することがあり、インターネット上の特定の情報は移り変わることがあるが、インターネットを検索することにより同等の情報を見出すことができることが理解される。それらの参照が、このような情報の入手可能性および公開普及の証拠となる。
本明細書で使用する「核酸」は、少なくとも2個の共有結合したヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体サブユニットを含有するポリヌクレオチドを指す。核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)またはDNAもしくはRNAの類似体であり得る。ヌクレオチド類似体は、商業的に入手可能であり、このようなヌクレオチド類似体を含有するポリヌクレオチドを調製する方法は既知である(Lin等(1994)Nucl.Acids Res.22:5220〜5234;Jellinek等(1995)Biochemistry 34:11363〜11372;Pagratis等(1997)Nature Biotechnol.15:68〜73)。核酸は、一本鎖、二本鎖またはこれらの混合物であり得る。本明細書の目的のために、特に明示しない限り、核酸は二本鎖である、またはそれは文脈から明らかである。
本明細書で使用する「DNA」は、cDNA、プラスミドならびに修飾ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含むDNAを含む、全ての種類および大きさのDNA分子を含むことになっている。
本明細書で使用する「ヌクレオチド」は、ヌクレオシド一リン酸、二リン酸および三リン酸を含む。ヌクレオチドはまた、それだけに限定されないが、ホスホロチオエートヌクレオチドおよびデアザプリンヌクレオチドおよび他のヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチドを含む。
本明細書で使用する「被験体」または「患者」という用語は、大型DNA分子を導入することができる動物を指す。ヒト、霊長動物、齧歯動物、ウシ、ブタ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、モルモット、ネコ、イヌ、ウマ、ニワトリなどを含む哺乳動物および鳥類などの高等生物が含まれる。
本明細書で使用する「大型哺乳動物」は、典型的な成体重量が少なくとも10kgである哺乳動物を指す。このような大型哺乳動物には、例えば、ヒト、霊長動物、イヌ、ブタ、ウシが含まれ、マウス、ラット、モルモットおよび他の齧歯動物などの小型動物は除外することになっている。
本明細書で使用する「被験体に投与する」は、1つもしくは複数の送達薬剤および/または大型核酸分子を、共にまたは別々に、被験体に導入または適用して、被験体中に存在する標的細胞が、最終的に薬剤および/または大型核酸分子と接触するようにする手順である。
本明細書で使用する「送達」は、「形質導入」と互換的に使用されるが、外因性核酸分子を細胞に導入し、それらが細胞内部に位置するようにする過程を指す。核酸の送達は、核酸の発現とは異なる過程である。
本明細書で使用する「マルチプルクローニングサイト(MCS)」は、複数の制限酵素部位を含有するプラスミド中の核酸領域であり、その複数の制限酵素部位のいずれを標準的組換え技術と組み合わせて使用してもベクターを消化することができる。「制限酵素消化」は、核酸分子中の特定の位置でのみ機能する酵素による、核酸分子の触媒的切断を指す。これらの制限酵素の多くは、商業的に入手可能である。このような酵素の使用は、当業者に広く理解されている。しばしば、MCS中で切断する制限酵素を使用して、ベクターを直線化または断片化して、外因性配列がベクターと連結するのを可能にする。
本明細書で使用する「複製起点(通常、「ori」と呼ばれる)」は、複製が開始される特定の核酸配列である。あるいは、宿主細胞が酵母である場合には、自律複製配列(ARS)を使用することができる。
本明細書で使用する「選択マーカーまたは選別マーカー」は、同定可能な変化を細胞に与えて、発現ベクターを含有する細胞の容易な同定を可能にする。一般的に、選択マーカーは、選択を可能にする特性を与えるものである。正の選択マーカーは、マーカーの存在がその選択を可能にするものである一方で、負の選択マーカーは、その存在がその選択を妨げるものである。正の選択マーカーの例は、薬剤耐性マーカーである。
通常、薬剤選択マーカーの包含は、形質転換体のクローニングおよび同定を助け、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシンおよびヒスチジノールに対する耐性を与える遺伝子は、有用な選択マーカーである。条件の実施に基づいて形質転換体の識別を可能にする表現型を与えるマーカーに加えて、その基礎が熱量分析であるGFPなどの選別マーカーを含む他の種類のマーカーも熟慮される。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などの選別酵素が使用され得る。当業者はまた、おそらくFACS分析と組み合わせた免疫マーカーの使用の仕方を知っているだろう。使用するマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現させることができさえすれば、重要ではないと考えられる。選択マーカーおよび選別マーカーのさらなる例は、当業者に周知である。
「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来性DNAの取り込みを指すために使用される。外因性DNAが細胞膜に導入された場合に、細胞は「トランスフェクト」されたことになる。いくつかのトランスフェクション技術は、当技術分野で一般的に知られている。例えば、Graham等、Virology 52:456(1973);Sambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1989);Davis等、Basic Methods in Molecular Biology(1986);Chu等、Gene 13:197(1981)を参照されたい。このような技術を使用して、ヌクレオチド組み込み型ベクターおよび他の核酸分子などの1つまたは複数の外因性DNA成分を、適当な宿主細胞に導入することができる。この用語は、化学的、電気的およびウイルス媒介トランスフェクション手順を取り込んでいる。
本明細書で使用する「発現」は、核酸がペプチドに翻訳される、または例えば、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質に翻訳され得るRNAに転写される過程を指す。核酸がゲノムDNA由来である場合、発現は、適当な真核宿主細胞または生物が選択された場合には、mRNAのスプライシングを含み得る。宿主細胞中で異種核酸を発現させるためには、まずそれを細胞に送達させ、いったん細胞中に行ったら、次いで、最終的に核中に存在しなければならない。
本明細書で使用する「遺伝的治療」は、治療もしくは診断が求められている障害または状態を有する哺乳動物、特にヒトの細胞への異種DNAの導入を伴う。DNAは、異種DNAが発現し、それによりコードされる治療用産物が産生されるように、選択された標的細胞に導入される。あるいは、異種DNAは、ある方法で、治療用産物をコードするDNAの発現を媒介し得る;それは、ある方法で、直接的にまたは間接的に、治療用産物の発現を媒介するペプチドまたはRNAなどの産物をコードし得る。遺伝的治療を使用して、欠陥遺伝子を取り替える、または導入される哺乳動物もしくは細胞により産生される遺伝子産物を補充するために、遺伝子産物をコードする核酸を送達することもできる。導入される核酸は、哺乳動物宿主中で通常は産生されない、または治療上有効量もしくは治療上有用な時に産生されない、その成長因子阻害剤または腫瘍壊死因子もしくはその阻害剤、例えばその受容体などの治療用化合物をコードし得る。治療用産物をコードする異種DNAは、該産物もしくはその発現を増強するまたは変化させるために、罹患宿主の細胞への導入前に修飾することができる。
本明細書で使用する「異種核酸配列」は、典型的には、それが発現する細胞により生体内で通常は産生されないRNAまたはタンパク質をコードする、あるいは転写、翻訳もしくは他の調節可能な生化学的過程に影響を及ぼすことにより内因性DNAの発現を変化させる媒介物質を媒介またはコードするDNAである。異種核酸配列は、外来性DNAとも呼ばれ得る。当業者が、それが発現する細胞にとって異種性もしくは外来性であると認識するまたはみなす任意のDNAは、本明細書中で異種DNAに包含される。異種DNAの例としては、それだけに限定されないが、薬剤耐性を与えるタンパク質などの追跡可能なマーカーをコードするDNA、抗がん剤、酵素およびホルモンなどの治療上有効な物質をコードするDNA、ならびに抗体などの他の種類のタンパク質をコードするDNAが挙げられる。異種DNAによりコードされる抗体は、異種DNAが導入された細胞の表面上で分泌または発現され得る。
本明細書で使用する「心筋症」という用語は、任意の理由による心筋(すなわち、実際の心臓の筋肉)の機能の悪化を指す。心筋症の被験体は、多くの場合、不整脈、心臓性突然死、または心不全による入院もしくは死亡のリスクがある。
本明細書で使用する「虚血性心筋症」という用語は、冠動脈疾患が最も一般的な原因である、心筋への不十分な酸素運搬による心臓の筋肉の衰弱である。
本明細書で使用する「虚血性心疾患」という用語は、血液供給の欠如もしくは相対的欠乏のために心臓筋が損傷したまたは非効率的に働く任意の状態を指す;最も一般的にはアテローム性動脈硬化症により引き起こされ、狭心症、急性心筋梗塞、慢性虚血性心疾患および突然死が含まれる。
本明細書で使用する「心筋梗塞」という用語は、心臓筋(心筋)の領域への血液供給の遮断による該領域の損傷または死を指す。
本明細書で使用する「6分間歩行テスト」または「6MWT」という用語は、患者が6分間の間に平坦な固い面を速く歩くことができる距離(6MWD)を測定する検査を指す。この検査は、肺および心血管系、体循環、末梢循環、血液、神経筋単位ならびに筋肉代謝を含む、運動中に関与する全ての系の全体的かつ統合された応答を評価する。この検査は、最大心肺運動負荷試験で可能であるような、運動に関与する異なる器官および系の各々の機能、または運動制限の機構についての特定の情報は提供しない。自己ペース6MWTは、機能的能力の最大下レベルを評価する。(例えば、AM J Respir Crit Care Med、第166巻、111〜117頁(2002)を参照されたい)。
本明細書で使用する「ニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類」は、心不全の程度についての分類を指す。この分類は、患者が身体活動中にどれほど制限されるかに基づいて、患者を4つの分類の1つに置く;制限/症状は、正常呼吸ならびに息切れおよび/または狭心痛の変化する程度に関するものである。
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本出願は、心筋機能の低下および/または障害をもたらす被験体の心筋症を治療する組成物および方法に関する。本明細書中の組成物および方法により治療される心筋症は、肺塞栓、静脈血栓症、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、末梢血管障害、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患および/または他の心筋傷害もしくは血管病に伴う心筋症が含まれ得る。心筋症を治療する方法は、心筋梗塞後の心臓の梗塞周囲領域などの衰弱心筋組織、虚血性心筋組織および/またはアポトーシス性心筋組織に、以下のパラメーター:左室容積、左室面積、左室径、心機能、6分間歩行テスト(6MWT)またはニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類の少なくとも1つにおける機能改善をもたらすのに有効な量のストロマ細胞由来因子−1(SDF−1)を、局所的に投与する(または局所的に送達する)ステップを含み得る。
ヒトの心不全を模倣する心不全のブタモデルを使用して、虚血性心筋組織の機能改善が、虚血性心筋組織に投与されるSDF−1の量、用量および/または送達に依存すること、ならびに虚血性心筋組織に対するSDF−1の量、用量および/または送達を、左室容積、左室面積、左室径または心機能などの心筋機能的パラメーターが実質的に改善されるよう最適化することができることが分かった。以下に論じるように、いくつかの態様では、有害な副作用を軽減しながら、機能的パラメーター(例えば、左室容積、左室面積、左室径、心機能、6分間歩行テスト(6MWT)および/またはニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類)を実質的に改善するように、虚血性心筋組織に投与されるSDF−1の量、濃度および容積を、調節および/または最適化することができる。
一実施例では、心筋梗塞などの虚血性心筋症の結果として左室容積、左室面積、左室径もしくは心機能などの心臓の機能的パラメーターの増悪または悪化が存在する大型哺乳動物(例えば、ブタまたはヒト)の心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に、SDF−1を直接または局所投与することができる。機能的パラメーターの増悪または悪化には、例えば、心エコー法を使用して測定される、例えば、左室収縮末期容積の増加、左室駆出率の減少、壁運動スコア指数の増加、左室拡張末期長の増加、左室収縮末期長の増加、左室拡張末期面積(例えば、僧帽弁レベルおよび乳頭筋挿入レベル)の増加、左室収縮末期面積(例えば、僧帽弁レベルおよび乳頭筋挿入レベル)の増加または左室拡張末期容積の増加が含まれ得る。
本出願の一態様では、大型哺乳動物の心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、例えば、心エコー法を使用して測定される、左室収縮末期容積の減少、左室駆出率の増加、壁運動スコア指数の減少、左室拡張末期長の減少、左室収縮末期長の減少、左室拡張末期面積(例えば、僧帽弁レベルおよび乳頭筋挿入レベル)の減少、左室収縮末期面積(例えば、僧帽弁レベルおよび乳頭筋挿入レベル)の減少または左室拡張末期容積の減少などの少なくとも1つの心筋の機能的パラメーターを改善する、ならびに被験体の6分間歩行テスト(6MWT)またはニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類を改善するのに有効な量であり得る。
本出願の別の態様では、心筋症の大型哺乳動物の心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、心エコー法により測定される投与30日後の哺乳動物の左室収縮末期容積を少なくとも約10%、より具体的には少なくとも約15%改善するのに有効である。改善パーセントは、処理される各被験体に対するものであり、治療介入もしくは治療の前または時点で測定されるそれぞれのパラメーターに基づく。
本出願のさらなる態様では、心筋症の大型哺乳動物の心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、心エコー法により測定される投与30日後の左室収縮末期容積を少なくとも約10%改善し、左室駆出率を少なくとも約10%改善し、かつ壁運動スコア指数を少なくとも約5%改善するのに有効である。
本出願のなおさらなる態様では、心筋症の大型哺乳動物の心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の脈管形成を、血管密度またはSPECTイメージングにより測定される心臓灌流の増加に基づき、少なくとも約20%改善するのに有効である。脈管形成の20%の改善は、臨床的に有意であることが示された(Losordo Circulation 2002;105:2012)。
本出願のなおさらなる態様では、心筋症の大型哺乳動物の心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1の量は、6分間歩行距離を少なくとも約30メートル改善する、またはNYHAクラスを少なくとも1クラス改善するのに有効である。
本明細書に記載のSDF−1は、組織傷害(例えば、心筋梗塞)後からSDF−1の下方制御開始約数時間後、数日後、数週後または数月後に心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。SDF−1が細胞に投与される期間には、心筋症(例えば、心筋梗塞)のほぼ発症直後から、虚血性障害もしくは組織傷害の発症約数日後、数週後または数月後までが含まれ得る。
心筋組織梗塞周囲領域の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与される本出願によるSDF−1は、野生の哺乳動物SDF−1アミノ酸配列と実質的に類似のアミノ酸配列を有し得る。ヒト、マウスおよびラットを含むいくつかの異なる哺乳動物SDF−1タンパク質のアミノ酸配列が知られている。ヒトおよびラットのSDF−1アミノ酸配列は、少なくとも約92%同一(例えば、約97%同一)である。SDF−1は、2種のアイソフォーム、SDF−1アルファおよびSDF−1ベータを含み得るが、特に識別しない限りは、本明細書中では両者をSDF−1と呼ぶ。
SDF−1は、配列番号1と実質的に同一のアミノ酸配列を有し得る。過剰発現しているSDF−1はまた、前記哺乳動物SDF−1タンパク質の1つと実質的に類似のアミノ酸配列を有し得る。例えば、過剰発現しているSDF−1は、配列番号2と実質的に類似のアミノ酸配列を有し得る。配列番号1を実質的に含む配列番号2は、ヒトSDF−1のアミノ酸配列であり、GenBank Accession番号NP954637により識別される。過剰発現しているSDF−1はまた、配列番号3と実質的に同一のアミノ酸配列を有し得る。配列番号3は、ラットSDFのアミノ酸配列を含み、GenBank Accession番号AAF01066により識別される。
本出願によるSDF−1はまた、哺乳動物SDF−1の断片、類似体および誘導体などの哺乳動物SDF−1の変異型であり得る。このような変異型には、例えば、野生SDF−1遺伝子(すなわち、天然型哺乳動物SDF−1ポリペプチドをコードする天然型核酸)の天然型対立遺伝子変異型によりコードされるポリペプチド、野生SDF−1遺伝子の代替スプライシング型によりコードされるポリペプチド、野生SDF−1遺伝子のホモログまたはオルソログによりコードされるポリペプチド、および野生SDF−1遺伝子の非天然型変異型によりコードされるポリペプチドが含まれる。
SDF−1変異型は、1個または複数個のアミノ酸が野生SDF−1ポリペプチドと異なるペプチド配列を有する。このような変異型のペプチド配列は、SDF−1変異型の1個もしくは複数個のアミノ酸の欠失、付加または置換を特徴とし得る。アミノ酸挿入は、好ましくは約1〜4個の隣接アミノ酸からなり、欠失は、好ましくは約1〜10個の隣接アミノ酸からなる。変異型SDF−1ポリペプチドは、野生SDF−1機能活性を実質的に維持している。SDF−1ポリペプチド変異型の例は、静かなまたは保存的な変化を特徴とする核酸分子を発現させることにより作成することができる。SDF−1変異型の1つの例は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7405195号に列挙されている。
1種もしくは複数種の特定のモチーフおよび/またはドメイン、あるいは任意のサイズに対応するSDF−1ポリペプチド断片は、本出願の範囲内である。単離されたSDF−1のペプチジル部分は、このようなペプチドをコードする核酸の対応する断片から組換えで作成したペプチドをスクリーニングすることにより得ることができる。例えば、SDF−1ポリペプチドは、任意で断片の重複のない所望の長さの断片に分割する、または好ましくは所望の長さの重複断片に分割することができる。断片は、組換えで作成し、そのペプチジル断片を同定するために試験することができ、野生CXCR−4ポリペプチドのアゴニストとして機能することができる。
SDF−1ポリペプチドの変異型はまた、SDF−1ポリペプチドの組換え型を含むこともできる。いくつかの実施形態における組換えポリペプチドは、SDF−1ポリペプチドに加えて、哺乳動物SDF−1をコードする遺伝子の核酸配列との少なくとも70%の配列同一性を有し得る核酸によりコードされる。
SDF−1変異型は、野生SDF−1の機能活性を恒常的に発現するタンパク質のアゴニスト型を含むことができる。他のSDF−1変異型は、例えば、プロテアーゼ標的配列を変える突然変異のために、タンパク質分解性切断に耐性のものを含むことができる。ペプチドのアミノ酸配列における変化が、1つまたは複数の野生SDF−1の機能活性を有する変異型をもたらすかどうかは、野生SDF−1機能活性について変異型を試験することにより容易に決定することができる。
SDF−1タンパク質をコードするSDF−1核酸は、野生または非野生核酸であり得、RNAの形態またはDNAの形態(例えば、cDNA、ゲノムDNAおよび合成DNA)であり得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得、一本鎖の場合、コード(センス)鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。SDF−1をコードする核酸コード配列は、配列番号4および配列番号5に示されるヌクレオチド配列などの、SDF−1遺伝子のヌクレオチド配列と実質的に類似であり得る。配列番号4および配列番号5は、それぞれ、ヒトSDF−1およびラットSDF−1の核酸配列を含み、GenBank Accession番号NM199168およびGenBank Accession番号AF189724のヌクレオチド配列と実質的に類似である。SDF−1の核酸コード配列はまた、遺伝暗号の冗長性または縮重の結果として、配列番号1、配列番号2および配列番号3と同じポリペプチドをコードする異なるコード配列であり得る。
SDF−1をコードする他の核酸分子は、野生SDF−1の断片、類似体および誘導体をコードするものなどの、野生SDF−1の変異型である。このような変異型は、例えば、野生SDF−1遺伝子の天然型対立遺伝子変異型、野生SDF−1遺伝子のホモログもしくはオルソログ、または野生SDF−1遺伝子の非天然型変異型であり得る。これらの変異型は、1個または複数個の塩基が野生SDF−1遺伝子と異なるヌクレオチド配列を有する。例えば、このような変異型のヌクレオチド配列は、野生SDF−1遺伝子の1個もしくは複数個のヌクレオチドの欠失、付加または置換を特徴とし得る。核酸挿入は、好ましくは約1〜10個の隣接ヌクレオチドからなり、欠失は、好ましくは約1〜10個の隣接ヌクレオチドからなる。
他の用途では、構造における実質的な変化を示す変異型SDF−1を、コードされるポリペプチドにおける保存的変化を決してもたらさないヌクレオチド置換を作り出すことにより作成することができる。このようなヌクレオチド置換の例は、(a)ポリペプチド主鎖の構造;(b)ポリペプチドの電荷もしくは疎水性;または(c)アミノ酸側鎖の嵩、における変化をもたらすものである。タンパク質特性における最も大きな変化を生み出すと一般的に予測されるヌクレオチド置換は、コドンの非保存的変化をもたらすものである。タンパク質構造の主要な変化をもたらしそうなコドンの変化の例は、(a)疎水性残基(例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリンもしくはアラニン)による親水性残基(例えば、セリンもしくはスレオニン)の;(b)任意の他の残基によるシステインもしくはプロリンの;(c)電気陰性残基(例えば、グルタミンもしくはアスパルチン(aspartine))による電気陽性側鎖を有する残基(例えば、リジン、アルギニンもしくはヒスチジン)の;または(d)側鎖を有さない残基(例えば、グリシン)による嵩高い側鎖を有する残基(例えば、フェニルアラニン)の置換をもたらすものである。
野生SDF−1遺伝子の天然型対立遺伝子変異型は、野生SDF−1遺伝子との少なくとも70%の配列同一性を有し、野生SDF−1ポリペプチドとの構造的類似性を有するポリペプチドをコードする、哺乳動物組織から単離される核酸である。野生SDF−1遺伝子のホモログは、野生遺伝子との少なくとも70%の配列同一性を有し、野生SDF−1ポリペプチドとの構造的類似性を有するポリペプチドをコードする、他の種から単離される核酸である。公開および/または所有核酸データベースを検索して、野生SDF−1遺伝子との高いパーセント(例えば、70%以上)の配列同一性を有する他の核酸分子を同定することができる。
非天然型SDF−1遺伝子変異型は、自然には生じず(例えば、人の手により作成される)、野生SDF−1遺伝子との少なくとも70%の配列同一性を有し、野生SDF−1ポリペプチドとの構造的類似性を有するポリペプチドをコードする核酸である。非天然型SDF−1遺伝子変異型の例は、野生SDF−1タンパク質の断片をコードするもの、ストリンジェントな条件下で野生SDF−1遺伝子または野生SDF−1遺伝子の相補鎖とハイブリッド形成するもの、および野生SDF−1遺伝子または野生SDF−1遺伝子の相補鎖と少なくとも65%の配列同一性を共有するものである。
いくつかの実施形態で野生SDF−1遺伝子の断片をコードする核酸は、野生SDF−1のアミノ酸残基をコードするものである。野生SDF−1の断片をコードする核酸をコードするまたはこれとハイブリッド形成するより短いオリゴヌクレオチドは、プローブ、プライマーまたはアンチセンス分子として使用することができる。野生SDF−1の断片をコードする核酸をコードするまたはこれとハイブリッド形成するより長いポリヌクレオチドもまた、本出願の種々の態様で使用することができる。野生SDF−1の断片をコードする核酸は、完全長野生SDF−1遺伝子もしくはその変異型の酵素消化(例えば、制限酵素を使用する)または化学分解により作成することができる。
ストリンジェントな条件下で前記核酸の1つとハイブリッド形成する核酸も本明細書で使用することができる。例えば、このような核酸は、低ストリンジェントな条件、中程度ストリンジェントな条件または高ストリンジェントな条件下で前記核酸の1つとハイブリッド形成するものであり得る。
いくつかの実施形態では、SDF−1融合タンパク質をコードする核酸分子も使用され得る。このような核酸は、適当な標的細胞に導入するとSDF−1融合タンパク質を発現する構築物(例えば、発現ベクター)を調製することにより作成することができる。例えば、このような構築物は、フレーム中で融合するSDF−1タンパク質をコードする第1ポリヌクレオチドを、別のタンパク質をコードする第2ポリヌクレオチドと連結して、適当な発現系における構築物の発現が融合タンパク質をもたらすようにすることにより作成することができる。
SDF−1をコードする核酸は、例えば、分子の安定性、ハイブリッド形成等を向上させるために、塩基部分、糖部分またはリン酸骨格で修飾することができる。本明細書に記載の核酸は、(例えば、生体内で標的細胞受容体を標的化するための)ペプチドなどの他の付加基、または細胞膜を横切る輸送、ハイブリッド形成誘引切断を促進する剤をさらに含み得る。このために、核酸は、別の分子(例えば、ペプチド)、ハイブリッド形成誘引架橋剤、輸送剤、ハイブリッド形成誘引切断剤等と結合され得る。
SDF−1は、SDF−1タンパク質を衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することにより、あるいはSDF−1の発現を引き起こす、増加させるおよび/または上方制御する剤(すなわち、SDF−1剤)を心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の細胞に導入することにより、心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に送達することができる。細胞から発現するSDF−1タンパク質は、遺伝子組換え細胞の発現産物であり得る。
SDF−1の発現を引き起こす、増加させるおよび/または上方制御する剤は、心筋組織の細胞への導入および該細胞中での複製が可能な、組換え核酸構築物、典型的にはDNA構築物に組み込まれる、本明細書に記載の天然または合成核酸を含むことができる。このような構築物は、複製系、ならびに所与の細胞中でペプチドコード配列の転写および翻訳が可能な配列を含むことができる。
前記剤を標的細胞に導入する1つの方法は、遺伝子治療を使用するステップを含む。本出願のいくつかの実施形態で、遺伝子治療を使用して、生体内で心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の細胞からSDF−1タンパク質を発現させることができる。
本出願の一態様では、遺伝子治療は、SDF−1タンパク質をコードするヌクレオチドを含むベクターを使用することができる。「ベクター」(時々、遺伝子送達または遺伝子導入「媒体」と呼ばれる)は、試験管内もしくは生体内のいずれかの標的細胞に送達されるポリヌクレオチドを含む巨大分子または分子の複合体を指す。送達されるポリヌクレオチドは、遺伝子治療で対象となるコード配列を含み得る。ベクターには、例えば、ウイルスベクター(アデノウイルス(Ad)、アデノ随伴ウイルス(AAV)およびレトロウイルスなど)、非ウイルスベクター、リポソーム、および他の脂質含有複合体、および標的細胞へのポリヌクレオチドの送達を媒介することができる他の巨大分子複合体が含まれる。
ベクターはまた、遺伝子送達および/または遺伝子発現をさらに調節するあるいは標的化細胞に有益な特性を提供する、他の成分または機能性を含むことができる。このような他の成分には、例えば、細胞に対する結合または標的化に影響を及ぼす成分(細胞型もしくは組織特異的結合を媒介する成分を含む);細胞によるベクター核酸の取り込みに影響を及ぼす成分;取り込み後の細胞内のポリヌクレオチドの局在化に影響を及ぼす成分(核局在化を媒介する剤など);およびポリヌクレオチドの発現に影響を及ぼす成分が含まれる。このような成分はまた、ベクターにより送達される核酸を取り込んで発現している細胞を検出または選択するために使用することができる、検出可能なマーカーおよび/または選択マーカーなどのマーカーを含み得る。このような成分を、ベクターの自然の特徴として提供することができるか(結合および取り込みを媒介する成分または機能性を有する特定のウイルスベクターの使用など)、またはベクターを修飾してこのような機能性を提供することができる。
選択マーカーは、正、負または二機能性であり得る。正の選択マーカーは、マーカーを保有している細胞の選択を可能にする一方で、負の選択マーカーは、マーカーを保有している細胞を選択的に除去することを可能にする。二機能性(すなわち、正/負の)マーカーを含む、種々のこのようなマーカー遺伝子が記載されてきた(例えば、1992年5月29日に公開されたLupton,S.、WO92/08796;および1994年12月8日に公開されたLupton,S.、WO94/28143参照)。このようなマーカー遺伝子は、遺伝子治療の状況において有利であり得る追加の調節手段をもたらすことができる。多種多様のこのようなベクターは、当技術分野で既知であり、一般的に入手可能である。
本明細書で使用するためのベクターには、ヌクレオチドを心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の細胞に送達することができるウイルスベクター、脂質を用いたベクターおよび他の非ウイルスベクターが含まれる。ベクターは、標的化ベクター、特に、心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の細胞に優先的に結合する標的化ベクターであり得る。本明細書中の方法で使用するためのウイルスベクターには、心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の細胞に対して示す毒性が低く、組織特異的な方法で治療上有用量のSDF−1タンパク質の産生を誘導するものが含まれ得る。
ウイルスベクターの例は、アデノウイルス(Ad)またはアデノ随伴ウイルス(AAV)から得られるものである。ヒトおよび非ヒトウイルスベクターの両方を使用することができ、組換えウイルスベクターはヒト中で複製欠損性であり得る。ベクターがアデノウイルスの場合、ベクターは、SDF−1タンパク質をコードする遺伝子と作動可能に連結された(operably linked)プロモーターを有するポリヌクレオチドを含むことができ、ヒト中で複製欠損性である。
本出願の方法にしたがって使用することができる他のウイルスベクターには、単純ヘルペスウイルス(HSV)を用いたベクターが含まれる。1つまたは複数の前初期遺伝子(IE)を欠失させたHSVは、一般的に非細胞毒性であり、標的細胞中で潜伏と類似の状態で生き残り、効率的な標的細胞形質導入を与えるので有利である。組換えHSVベクターは、約30kbの異種核酸を組み込むことができる。
本出願のいくつかの実施形態では、C型レトロウイルスおよびレンチウイルスなどのレトロウイルスを使用することもできる。例えば、レトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MLV)を用いたものであり得る。例えば、HuおよびPathak、Pharmacol.Rev.52:493〜511、2000ならびにFong等、Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.17:1〜60、2000を参照されたい。MLVを用いたベクターは、ウイルス遺伝子の代わりに8kbまでの異種(治療用)DNAを含み得る。異種DNAは、組織特異的プロモーターおよびSDF−1核酸を含み得る。創傷に近接する細胞への送達方法において、このベクターはまた、組織特異的受容体に対するリガンドをコードし得る。
使用され得る追加のレトロウイルスベクターは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を用いたベクターを含む、複製欠損レンチウイルスを用いたベクターである。例えば、VignaおよびNaldini、J.Gene Med.5:308〜316、2000ならびにMiyoshi等、J.Virol.72:8150〜8157、1998を参照されたい。レンチウイルスベクターは、活発な分裂細胞および非分裂細胞の両方に感染することができるという点で有利である。レンチウイルスベクターはまた、ヒト上皮細胞の形質導入に極めて優れている。
本明細書中の方法で使用するためのレンチウイルスベクターは、ヒトおよび非ヒト(SIVを含む)レンチウイルスから得られるものであり得る。レンチウイルスベクターの例は、ベクター伝播に必要とされる核酸配列ならびにSDF−1遺伝子と作動可能に連結された組織特異的プロモーターを含む。これらの前者は、ウイルスLTR、プライマー結合部位、ポリプリントラクト、att部位およびカプシド形成部位を含み得る。
レンチウイルスベクターは、任意の適当なレンチウイルスカプシド中にパッケージングされ得る。ある粒子タンパク質の、異なるウイルス由来の別のタンパク質による置換は、「シュードタイピング」と呼ばれる。ベクターカプシドは、マウス白血病ウイルス(MLV)または水疱性口内炎ウイルス(VSV)を含む他のウイルス由来のウイルス外被タンパク質を含有し得る。VSV G−タンパク質の使用は、高いベクター力価をもたらし、ベクターウイルス粒子のより高い安定性をもたらす。
セムリキ森林ウイルス(SFV)およびシンドビスウイルス(SIN)から作られるものなどのアルファウイルスを用いたベクターも本明細書で使用され得る。アルファウイルスの使用は、Lundstrom,K.、Intervirology 43:247〜257、2000およびPerri等、Journal of Virology 74:9802〜9807、2000に記載されている。
組換え、複製欠損アルファウイルスベクターは、高レベルの異種(治療用)遺伝子発現が可能であり、広範囲の標的細胞に感染することができるので有利である。アルファウイルスレプリコンは、同族結合相手を発現する標的細胞への選択的結合を可能にする機能的異種リガンドまたは結合ドメインをそのウイルス粒子表面に示すことにより特定の細胞型に標的化され得る。アルファウイルスレプリコンは、標的細胞中で、潜伏性の、それゆえに長期の異種核酸発現を確立し得る。レプリコンはまた、標的細胞中で一過性の異種核酸発現を示し得る。
本出願の方法に適合性のウイルスベクターの多くでは、ベクター中に2つ以上のプロモーターを含ませて、ベクターが2つ以上の異種遺伝子を発現するのを可能にすることができる。さらに、ベクターは、標的細胞からのSDF−1遺伝子産物の発現を促進するシグナルペプチドまたは他の部分をコードする配列を含むことができる。
2つのウイルスベクター系の有利な特性を組み合わせるために、ハイブリッドウイルスベクターを使用してSDF−1核酸を標的組織に送達してもよい。ハイブリッドベクターを構築するための標準的技術は、当業者に周知である。このような技術は、例えば、Sambrook等、In Molecular Cloning:A laboratory manual.Cold Spring Harbor、N.Y.または組換えDNA技術について論じるいくつもの実験室マニュアル中に見出すことができる。AAVおよびアデノウイルスITRの組み合わせを含有するアデノウイルスカプシド中の二本鎖AAVゲノムを使用して細胞に形質導入してもよい。別のバリエーションでは、AAVベクターを、「gutless」、「ヘルパー依存性」または「高能力」アデノウイルスベクターに入れてもよい。アデノウイルス/AAVハイブリッドベクターは、Lieber等、J.Virol.73:9314〜9324、1999に論じられている。レトロウイルス/アデノウイルスハイブリッドベクターは、Zheng等、Nature Biotechnol.18:176〜186、2000に論じられている。アデノウイルス中に含有されるレトロウイルスゲノムは、標的細胞ゲノムと統合されて安定なSDF−1遺伝子発現をもたらし得る。
SDF−1遺伝子の発現およびベクターのクローンニングを促進する他のヌクレオチド配列要素をさらに熟考する。例えば、プロモーターの上流のエンハンサーまたはコード領域の下流のターミネーターの存在は、発現を促進することができる。
本出願の別の態様によると、組織特異的プロモーターをSDF−1遺伝子に融合させることができる。このような組織特異的プロモーターをアデノウイルス構築物中に融合させることにより、導入遺伝子発現が特定の組織に制限される。組織特異的プロモーターにより提供される遺伝子発現の効率および特異性の程度は、本明細書に記載の組換えアデノウイルス系を使用して決定することができる。
ウイルスベクターを用いた方法に加えて、非ウイルス法を使用してSDF−1核酸を標的細胞に導入してもよい。遺伝子送達の非ウイルス法の概要は、NishikawaおよびHuang、Human Gene Ther.12:861〜870、2001に提供されている。本発明による非ウイルス遺伝子送達法の例は、プラスミドDNAを使用してSDF−1核酸を細胞に導入する。プラスミドを用いた遺伝子送達法は、当技術分野で一般的に知られている。一実施例では、プラスミドベクターは、図7に概略的に示す構造を有することができる。図7のプラスミドベクターは、SDF−1α cDNA(RNA)配列の上流にCMVエンハンサーおよびCMVプロモーターを含む。
任意で、プラスミドSDF−1 DNAと多分子凝集体を形成するように合成遺伝子導入分子を設計することができる。これらの凝集体は、心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の細胞に結合するよう設計することができる。リポポリアミンを含むカチオン性両親媒性物質およびカチオン性脂質を使用して、受容体非依存的SDF−1核酸を標的細胞(例えば、心筋細胞)に導入してもよい。さらに、予備形成カチオン性リポソームまたはカチオン性脂質をプラスミドDNAと混合して、細胞トランスフェクト複合体を生成してもよい。カチオン性脂質製剤を伴う方法は、Felgner等、Ann.N.Y.Acad.Sci.772:126〜139、1995ならびにLasicおよびTempleton、Adv.Drug Delivery Rev.20:221〜266、1996に概説されている。遺伝子送達のために、DNAを両親媒性カチオン性ペプチドに結合させてもよい(Fominaya等、J.Gene Med.2:455〜464、2000)。
ウイルスおよび非ウイルス成分の両方を伴う方法が本明細書で使用され得る。例えば、治療用遺伝子送達のためのエプスタイン−バーウイルス(EBV)を用いたプラスミドは、Cui等、Gene Therapy 8:1508〜1513、2001に記載されている。さらに、アデノウイルスに結合したDNA/リガンド/ポリカチオン性補助剤を伴う方法は、Curiel,D.T.、Nat.Immun.13:141〜164、1994に記載されている。
さらに、電気穿孔技術を使用して標的細胞にトランスフェクトすることにより、SDF−1核酸を標的細胞に導入することができる。電気穿孔技術は周知であり、これを使用してプラスミドDNAを使用した細胞のトランスフェクションを促進することができる。
SDF−1の発現をコードするベクターは、必要に応じて、生理食塩水などの薬学的に許容される担体を含有する注入可能な製剤の形態で標的細胞に送達することができる。他の医薬担体、製剤および投与量も、本発明にしたがって使用することができる。
本発明の一態様では、ベクターは、例えば、図7などのSDF−1プラスミドを含むことができる。SDF−1プラスミドは、左室容積、左室面積、左室径または心機能などの少なくとも1つの心筋機能的パラメーターを改善する、ならびに被験体の6分間歩行テスト(6MWT)またはニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類を改善するのに有効な量で、SDF−1プラスミドベクターを心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に直接注入することにより、心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の細胞に送達することができる。ベクターを、心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に直接、あるいはこれらの領域の周辺近くに注入することにより、ベクタートランスフェクションをかなり効率的に標的化し、組換えベクターの損失を最小限にすることができる。この種の注入は、特に心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の近くでの所望の数の細胞の局所的トランスフェクションを可能にし、それにより、遺伝子導入の治療効率を最大化し、ウイルスタンパク質に対する炎症反応の可能性を最小限にする。
本出願の一態様では、SDF−1プラスミドを、各注入が約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド/溶液を含むSDF−1発現プラスミドDNAの溶液の複数回注入で衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。一実施例では、SDF−1プラスミドを、少なくとも約10回の注入、少なくとも約15回の注入または少なくとも約20回の注入で衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域へのSDF−1プラスミドの複数回注入は、より広い面積および/またはより多い数の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の細胞を治療することを可能にする。
衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与される各注入は、少なくとも約0.2mlの容積を有し得る。少なくとも1つの心臓の機能的パラメーターを改善することができる衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1プラスミドの量を含む溶液の総容積は、少なくとも約10mlである。
一実施例では、SDF−1プラスミドを、少なくとも約10回の注入で衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与される各注入は、少なくとも約0.2mlの容積を有し得る。SDF−1は、約3日を超える間、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域で発現させることができる。
例えば、SDF−1発現プラスミドを含む溶液の各注入は、少なくとも約0.2mlの注入容積および1注入当たり約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド濃度を有し得る。本出願の別の態様では、少なくとも約10箇所の注入部位中、1部位当たり少なくとも約0.2mlの注入容積および1注入当たり約0.33mg/ml〜約5mg/mlのSDF−1プラスミド濃度で、SDF−1プラスミドを心臓の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に注入することにより、少なくとも1つの心臓の機能的パラメーターを改善することができる。
約0.33mg/ml未満または約5mg/ml超の濃度および1箇所の注入部位当たり約0.2ml未満の注射容積を有するSDF−1プラスミドの溶液の心不全のブタモデルへの注入が、処理心臓の左室容積、左室面積、左室径または心機能の機能改善をほとんどもたらさないことが、うっ血性心不全のブタモデルで分かった。
本出願の別の態様では、少なくとも1つの心臓の機能的パラメーターを改善することができる衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与されるSDF−1プラスミドの量は、1回の治療介入当たり約4mg超および約100mg未満である。本明細書で治療介入により投与されるSDF−1プラスミドの量は、治療効果に影響するまたは治療効果を誘発するよう設計された治療手順中に被験体に投与される総SDF−1プラスミドを指す。これは、特定の治療介入のために単回注入で投与される総SDF−1プラスミドまたは治療介入のために複数回注入により投与される総SDF−1プラスミドを含むことができる。SDF−1プラスミドの直接注入による心臓への約4mgのSDF−1プラスミドDNAの投与が、処理心臓の左室容積、左室面積、左室径または心機能の機能改善をもたらさないことが、うっ血性心不全のブタモデルで分かった。さらに、SDF−1プラスミドの直接注入による心臓への約100mgのSDF−1プラスミドDNAの投与は、処理心臓の左室容積、左室面積、左室径または心機能の機能改善をもたらさなかった。
本出願のいくつかの態様では、SDF−1を、SDF−1プラスミドベクターによるトランスフェクション後に衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域で、治療上有効量または用量で約3日を超える間発現させることができる。3日を超える間の、治療上有効用量または量のSDF−1の発現は、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に治療効果をもたらすことができる。好都合には、SDF−1を、SDF−1プラスミドベクターによるトランスフェクション後に衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域で、治療上有効量で約90日未満の間発現させて、被験体へのSDF−1の投与の治療効率を阻害し得る潜在的な慢性および/または細胞毒性効果を軽減することができる。
任意の一動物またはヒトに投与されるSDF−1プラスミドの量、容積、濃度および/または用量は、被験体の大きさ、体表面積、年齢、投与される特定の組成物、性別、投与の時間および経路、全身の健康ならびに同時に投与される他の薬物を含む多くの因子に依存することが認識されよう。SDF−1プラスミドの上記量、容積、濃度および/または用量の特定のバリエーションは、下記の実験方法を使用して当業者により容易に決定され得る。
本出願の別の態様では、SDF−1プラスミドは、心室内カテーテル法または心筋内カテーテル法などのカテーテル法を使用した直接注入により投与することができる。一実施例では、偏向可能なガイドカテーテル(deflectable guide catheter)装置を、大動脈弁を横切って逆光して左室に進ませることができる。いったん装置を左室に配置したら、SDF−1プラスミドを左室の梗塞周囲領域(中隔および外側の両側面)に注入することができる。典型的には、1.0mlのSDF−1プラスミド溶液を、約60秒の期間にわたって注入することができる。処理される被験体は、少なくとも約10回の注入(例えば、合計で約15〜約20回の注入)を受けることができる。
SDF−1プラスミドの投与前に被験体の心筋組織を画像化して、SDF−1プラスミドの投与前に、衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の範囲を限定することができる。画像化による衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の限定は、より正確な衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域への、SDF−1プラスミドの介入および標的化を可能にする。心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域を限定するために使用される画像化技術には、任意の既知の心臓画像化技術が含まれ得る。このような画像化技術には、例えば、心エコー法、核磁気共鳴画像法、冠血管造影、電気解剖学的マッピングまたは蛍光透視法の少なくとも1つが含まれ得る。衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域を限定することができる他の画像化技術も使用することができることが認識されよう。
任意で、SDF−1核酸(例えば、SDF−1プラスミド)以外の他の剤を心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に導入して衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の細胞からのSDF−1の発現を促進することができる。例えば、SDF−1をコードする遺伝子の転写を増加させる剤、SDF−1をコードするmRNAの翻訳を増加させる剤、および/またはSDF−1をコードするmRNAの分解を減少させる剤を使用して、SDF−1タンパク質レベルを増加させることができるだろう。SDF−1をコードする遺伝子の上流に外因性プロモーターを導入することにより、細胞内の遺伝子からの転写の速度を増加させることができる。異種遺伝子の発現を促進するエンハンサー要素を使用してもよい。
標的細胞に投与すると、心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域からのSDF−1の発現を上方制御することができる他の剤には、他のタンパク質、ケモカインおよびサイトカインが含まれ得る。このような剤には、例えば、間葉系肝細胞(MSC)に投与するとSDF−1の発現を上方制御することが示されたインスリン様成長因子(IGF)−1(Circ.Res.2008年11月21日;103(11):1300〜98);成人の線維芽細胞に投与するとSDF−1の発現を上方制御することが示されたソニックヘッジホッグ(Shh)(Nature Medicine、第11巻、第11番、11月23日);ヒト腹膜中皮細胞(HPMC)に投与するとSDF−1の発現を上方制御することが示されたトランスフォーミング成長因子β(TGF−β);初代ヒト骨芽細胞(HOB)、混合骨髄間質細胞(BMSC)およびヒト骨芽細胞様細胞株に投与するとSDF−1の発現を上方制御することが示されたIL−1β、PDGF、VEGF、TNF−αおよびPTH(Bone、2006年4月;38(4):497〜508);骨髄細胞(BMC)に投与すると発現を上方制御することが示されたチモシンβ4(Curr.Pharm.Des.2007;13(31):3245〜51);ならびに骨髄由来前駆細胞に投与するとSDF−1の発現を上方制御することが示された低酸素誘導因子1α(HIF−1)(Cardiovasc.Res.2008、E.Pub.)が含まれ得る。これらの剤を使用して、特定のサイトカインに関してSDF−1の発現を上方制御することができるこのような細胞が存在するまたは投与される特定の心筋症を治療することができる。
SDF−1の発現を増加させるおよび/または上方制御する、SDF−1タンパク質または剤は、そのままでまたは医薬組成物で、心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域に投与することができる。医薬組成物は、処理される衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の細胞への、SDF−1または剤の局在的放出をもたらすことができる。本出願による医薬組成物は、一般的に、所期の用途に応じて一定の範囲の最終濃度を与える滅菌水溶液などの許容される医薬賦形剤もしくは添加剤と混合された一定量のSDF−1または剤を含むだろう。調製の技術は、参照により本明細書に組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Mack Publishing Company、1980により例証されるように、当技術分野で一般的に周知である。さらに、ヒトへの投与のために、調製物は、生物基準のFDA局により要求される無菌性、発熱原性、一般的安全性および純度基準を満たすべきである。
医薬組成物は、単位用量注入可能剤形(例えば、溶液、懸濁液および/または乳濁液)であり得る。注入に使用することができる医薬製剤の例には、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注入可能溶液または分散液へ再構成するための滅菌粉末が含まれる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、ブドウ糖、生理食塩水もしくはリン酸緩衝生理食塩水、これらの適当な混合物および植物油を含有する溶媒または分散媒体であり得る。
例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には必要とされる粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、適当な流動性を維持することができる。非水性媒体、例えば、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、大豆油、トウモロコシ油、ヒマワリ油または落花生油、およびミリスチン酸イソプロピルなどのエステルを化合物の組成物のための溶媒系として使用してもよい。
さらに、抗菌保存剤、抗酸化剤、キレート化剤および緩衝剤を含む、組成物の安定性、無菌性および等張性を増強する種々の添加物を添加することができる。種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などにより微生物の活動の阻止を確保することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含むことが望ましいだろう。吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用により、注入可能剤型の吸収の延長をもたらすことができる。しかしながら、本明細書に記載の方法にしたがって、使用される任意の媒体、賦形剤または添加物は、化合物に適合性でなければならないだろう。
滅菌注入可能溶液は、所望であれば種々の量の他の成分と共に、本明細書に記載の方法の実施に利用される化合物を、必要とされる量の適当な溶媒に組み込むことにより調製することができる。
医薬「遅放性」カプセルまたは「徐放性」組成物もしくは調製物を使用してもよく、これらは一般的に適用可能である。遅放性製剤は、一般的に、長期間にわたって一定の薬物レベルをもたらすよう設計され、SDF−1または剤を送達するために使用され得る。遅放性製剤は、典型的には、心筋組織の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域の近くに埋め込まれる。
徐放性調製物の例には、SDF−1または剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透性基質が含まれ、該基質は、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放性基質の例には、ポリエステル;ハイドロゲル、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール);ポリ乳酸、例えば、米国特許第3773919号;L−グルタミン酸およびγエチル−L−グルタメートの共重合体;非分解性エチレン−酢酸ビニル;分解性乳酸−グリコール酸共重合体、例えばLUPRON DEPOT(乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸リュープロリドから構成される注入可能マイクロスフェア);ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。
エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーは100日を超える間分子を放出することができる一方で、特定のハイドロゲルは、より短期間タンパク質を放出する。カプセル化すると、SDF−1または剤は、体内に長時間残ることができ、37℃での水分への暴露の結果として変性または凝集し、したがって、生物活性が減少および/または免疫原性が変化し得る。関与する機構に応じて安定化のための合理的戦略が利用可能である。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交換を通した分子間S−S結合形成を伴う場合、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分含量を調節し、適当な添加物を使用し、特定のポリマー基質組成物を発達させるなどにより、安定化が達成される。
特定の実施形態では、SDF−1または剤と共にリポソームおよび/またはナノ粒子も使用され得る。リポソームの形成および使用は、以下に要約するように、当業者に一般的に知られている。
リポソームは、水溶性媒体中に分散しているリン脂質から形成され、多層同心円二層小胞(多層小胞(MLV)とも呼ばれる)を自発的に形成する。MLVは、一般的に、約25nm〜4μmの直径を有する。MLVの超音波処理は、核中に水溶液を含有する、200〜500Åの範囲の直径を有する小単層小胞(SUV)の形成をもたらす。
リン脂質は、脂質と水のモル比に応じて、水中に分散させると、リポソーム以外の種々の構造を形成することができる。低い比では、リポソームが好ましい構造である。リポソームの物理特性は、pH、イオン強度および二価カチオンの存在に依存する。リポソームは、イオン性物質および極性物質への低い透過性を示し得るが、高温では、その透過性を著しく変化させる相転移を受ける。相転移は、ゲル状態として知られる、密に詰め込まれた規則正しい構造から、流体状態として知られる、ゆるく詰め込まれたあまり規則正しくない構造への変化を伴う。これは、特有の相転移温度で起こり、イオン、糖および薬物への透過性の増加をもたらす。
リポソームは、4つの異なる機構を通して細胞と相互作用する:マクロファージおよび好中球などの細網内皮系の食細胞によるエンドサイトーシス;非特異的な弱い疎水性力もしくは静電力による、または細胞表面成分との特異的相互作用による、細胞表面への吸着;形質膜へのリポソームの脂質二重層の挿入による形質細胞膜との融合とリポソーム内容物の細胞質への同時の放出;ならびにリポソーム内容物の会合なしでの、リポソーム脂質の細胞膜もしくは細胞内膜への移送、またはその逆。2つ以上の機構が同時に働き得るが、リポソーム製剤を変化させることにより、どの機構が働くかを変化させることができる。
ナノカプセルは、一般的に、安定かつ再現性のある方法で化合物を捕捉することができる。細胞内重合体の過積載による副作用を避けるために、このような超微粒子(約0.1μmの大きさ)は、生体内で分解できる重合体を使用して設計すべきである。これらの要件を満たす生分解性ポリアルキル−シアノアクリレートナノ粒子が、本方法における使用のために熟考され、このような粒子は容易に作成され得る。
本出願の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は、任意の形態(例えば、固体、液体、ゲル等)とすることができる。固体担体は、1種または複数種の物質とすることができ、それはまた賦形剤、香味剤、結合剤、保存剤および/またはカプセル化剤として働いてもよい。以下の実施例は、説明のみを目的としたものであり、本明細書に添付の特許請求の範囲を限定することを意図していない。
実施例
実施例1
ストロマ細胞由来因子−1またはSDF−1は、組織傷害に応じてその発現が迅速に上方制御される天然型ケモカインである。SDF−1誘導は、いくつかの保護的抗炎症経路を刺激し、前炎症性メディエーター(MMP−9およびIL−8など)の下方制御をもたらし、細胞をアポトーシスから保護することができる。さらに、SDF−1は、器官特異的に、骨髄由来幹細胞および前駆細胞を組織傷害部位に向ける強力な化学誘引物質であり、組織保護および血管発生を促進する。虚血性動物モデルにおいて、SDF−1発現の増加が心機能の改善をもたらしたという知見に基づき、発明者等は、虚血性心血管疾患の治療のための非ウイルス、ネイキッドDNA SDF−1コードプラスミドの開発に焦点を合わせた。開発の経過中、以下に記載の細胞培養および小動物研究結果に基づいてプラスミドを最適化した。心組織で導入遺伝子を発現し、虚血性心筋症の前臨床動物モデルで心機能を一貫して改善する能力に基づいて、プラスミドACL−01110Skを選択した。ACL−01110Sk中でのSDF−1導入遺伝子の発現は、CMVエンハンサー/プロモーター、CMVイントロンAおよびRU5翻訳エンハンサーにより駆動する。製剤、JVS−100(以前はACRX−100)は、5%ブドウ糖中プラスミドACL−01110Skから構成されている。
心不全のラットモデルにおける初期研究は、ACL−01110S(SDF−1を発現するACL−01110Skの前駆体)が、MI4週間後でのラット心臓の梗塞境界領域への該プラスミドの直接注入後に心機能を改善することを示した。有益性は、注入後少なくとも8〜10週間持続し、ACL−01110S処理動物中での脈管形成の増加と相関した。ACL−01110Sを、その発現プロファイルを最適化するよう修正した。
MIのラットモデルにおけるプラスミド用量依存的発現
ラット心組織中で最大の発現をもたらす1注入当たりのプラスミド用量を決定するために、段階的に増大する用量(10、50、100、500μg)のACL−00011Lルシフェラーゼプラスミドを、梗塞性ラット心臓に注入した。Lewisラットを胸骨正中切開に供し、左前下行枝(LAD)を永久結紮し、PBS中100μlのACL−00011LプラスミドをMI周囲の一部位に注入した。ベースラインならびに注入1、2、3、4および5日後に非侵襲的生物発光イメージング(Xenogen、Hopkinton、MA)により、各用量コホート(n=3)で全身のルシフェラーゼ発現を測定した。ピーク発現は、100μgの用量まで増加し、それより高い用量では飽和した。この用量−応答曲線に基づいて、100μgの用量がラット心臓中での最大のプラスミド発現に十分であることが決定された。ACL−00011Lは、SDF−1を発現するACL−00011Sの構築に使用されるものと同等のベクターバックボーンからルシフェラーゼ遺伝子を発現した。
虚血性心不全のラットモデルにおける心臓のベクター発現の比較
いくつかのSDF−プラスミド候補のルシフェラーゼ発現同等物を、心筋梗塞(MI)のラットモデルの心組織中での発現について試験した。プラスミド候補は、発現を駆動するプロモーター、およびエンハンサー要素の存在において異なっていた。Lewisラットを胸骨正中切開に供し、左前下行枝(LAD)を永久結紮し、胸部を閉じた。4週間後、胸部を再び開き、ルシフェラーゼ発現プラスミドを4箇所の心筋梗塞周囲部位に直接注入した(1注入当たり100μl中100μg)。注入1、2、4、6、8および10日後(ならびにその後3〜4日毎に)、ラットに麻酔をかけ、ルシフェリンを注入し、全身Xenogen Luciferaseイメージングシステムで画像化した。
試験した2つのCMV駆動プラスミド、ACL−00011LおよびACL−01110Lは、注入の24時間以内に検出可能なルシフェラーゼ発現をもたらし、注入2日後に発現の初期ピークをもたらした。
ACL−01110Lのピーク発現は、ACL−00011Lより7倍強く、発現は約10日長かった(注入16日後まで続いた)。対照的に、ACL−00021L(αMHC駆動プラスミド)は、初期ピークを示さなかったが、注入25日後まで低レベルで発現した。これらの結果は、CMV駆動プラスミドを心臓における局在的、一過性タンパク質発現に使用することができること、およびエンハンサー要素の包含を通して、治療用タンパク質発現の時間フレームを調節することができることを示す以前の研究を裏付けている。
MIのラットモデルにおけるSDF−1プラスミドの効率
心臓の機能的有益性が達成され得るかどうかを決定するために、MIのラットモデルでSDF−1コードプラスミドを試験した。Lewisラットを胸骨正中切開に供し、最初の分岐と遠位のLADを直ちに永久結紮した。4週間後、胸部を再び開き、3種のSDF−1発現プラスミド(ACL−01110S、ACL−00011SもしくはACL−00021S)の1種または生理食塩水を4箇所のMI周囲部位に注入した(100μl注入当たり100μg)。
ベースラインならびに注入2、4、8週間後で、ラットに麻酔をかけ、Mモード心エコー法により画像化した。LVEF、左室内径短縮率およびLV径を、ランダム化のために盲検化した熟練した音波検査者により測定した。
生理食塩水対照と比較して、両CMV駆動プラスミド、ACL−01110SおよびACL−00011Sで、心機能の改善の強い傾向が観察された。ACL−01110Sは、4週目で左室内径短縮率の統計学的に有意な増加を誘発し、これは注入8週間後まで持続した。対照的に、αMHC駆動プラスミドACL−00021Sと生理食塩水との間では機能の差は観察されなかった。さらに、対照と比較して、ACL−01110SおよびACL−00011S処理動物は、大血管密度の有意な増加(ACL−01110S:21±1.8血管/mm;ACL−00011S:17±1.5血管/mm;生理食塩水:6±0.7血管/mm、両者対生理食塩水についてp<0.001)および梗塞サイズの減少(ACL−01110S:16.9±2.8%;ACL−00011S:17.8±2.6%;生理食塩水:23.8±4.5%)を示した。重要なことに、ACL−01110Sによる処理は、心機能および脈管形成の最も大きい改善を示し、梗塞サイズの最も大きい減少をもたらした。
要するに、虚血性心不全のラットモデルにおいて、CMVプロモーターにより駆動される両SDF−1コードプラスミドが、生理食塩水処理と比較して、心臓の機能的有益性をもたらし、脈管形成を増加させ、梗塞サイズを減少させた。試験した全パラメーターにおいて、ACL−01110Sが最も有意な有益性をもたらした。
H9C2細胞におけるACL−01110SkおよびACL−01010Skのトランスフェクション効率
トランスフェクション試薬を使用しないH9C2心筋細胞の試験管内トランスフェクション(すなわち、ネイキッドプラスミドDNAを培養液中の細胞に添加した)を使用して、GFPバージョンのJuventas leadプラスミドベクター、ACL−01110SkおよびACL−01010Skの生体内トランスフェクション効率を推定した。H9C2細胞を試験管内で培養し、種々の量のpDNA(0.5μg、2.0μg、4.0μg、5.0μg)を5%ブドウ糖に添加した。ACL−01110Sk(ACL−01110G)またはACL−01010Sk(ACL−01010G)バックボーンからGFPベクターを構築した。トランスフェクション3日後で、FACSによりGFP蛍光を評価して、トランスフェクション効率を推定した。5%ブドウ糖中のACL−01110GおよびACL−01010Gベクターのトランスフェクション効率は、1.08〜3.01%に及んだ。試験したpDNAの各量で、両ベクターは、類似の試験管内トランスフェクション効率を有した。発明者等は、本研究で観察された1〜3%のトランスフェクション効率は、同様のレベルの生体内トランスフェクション効率を示す以前の研究からの知見と一致していると結論づけている。具体的には、JVS−100は、限られた、しかし十分な数の心細胞にトランスフェクトし、治療量のSDF−1を産生するだろう。
実施例2
ブタ心筋におけるプラスミドの発現
適当な大型動物モデルとして、左前下行枝(LAD)のブタ閉塞/再灌流MIモデルを選択し、ACRX−100の有効性および安全性を試験した。このモデルでは、MIと処理との間に4週間の回復を与えて、追加の心臓リモデリングのための時間を与え、慢性虚血性心不全をシミュレートする。
外科的手順
ヨークシャーブタに麻酔をかけ、300秒以上の活性化凝固時間(ACT)までヘパリン処理(heparinize)し、背臥位に置いた。LVの輪郭を決定するために、左室造影を前後および側面像の両方で行った。
ブタ心筋へのルシフェラーゼプラスミドの送達
偏向可能なガイドカテーテル装置を、大動脈弁を横切って逆光して左室に進ませ、ガイドワイヤーを除去し、LV心内膜ニードル注入カテーテルを、ガイドカテーテルを通してLV腔に入れた。ルシフェラーゼプラスミドを所与の容量および濃度で4箇所の部位で注入し、心臓の隔壁または側壁のいずれか中に存在するようにした。プラスミド濃度(0.5、2または4mg/ml)および部位注入容積(0.2、0.5、1.0ml)の5つの組み合わせを試験した。0.5mg/mlのプラスミドはUSPブドウ糖に緩衝させ、他の全てはUSPリン酸緩衝生理食塩水に緩衝させた。各注入について、針を心内膜に挿入し、遺伝子溶液を0.8〜1.5ml/分の速度で注入した。注入後、針を15秒間固定し、次いで引き抜いた。注入が完了した後、全計測手段を除去し、切開を閉じ、動物を回復させた。
心筋組織の収集
注入3日後で、動物を剖検に出した。安楽死後、心臓を取り出し、秤量し、血液が透明になるまで乳酸リンゲル液で灌流した。LVを開き、注入部位を同定した。各注入部位の周りで1cm立方体の組織を取得した。任意の注入部位から離れた後壁から収集した4つの立方体は、負の対照として働いた。組織サンプルは、液体窒素中で凍結させ、−20〜−70℃で保管した。
ルシフェラーゼ発現の評価
組織サンプルを解凍し、5mlガラス管に入れた。溶解緩衝液(0.5〜1.0ml)を添加し、氷上でPolytronを用いた均質化(PT1200モデル)を使用して組織を破砕した。組織ホモジネートを遠心分離し、Bio−rad Detergent−Compatible(DC)タンパク質アッセイおよび既知の量のウシ血清アルブミン(BSA)の標準曲線を使用して、各組織サンプルについて上清のタンパク質濃度を決定した。Luciferaseアッセイキット(Promega)を使用して、組織サンプルホモジネート(1〜10μl)を分析した。
実験の結果を図1に示す。データは、ベクターの発現が、注入容積の増加およびDNAの濃度の増加にともなって増加することを示している。
実施例3
虚血性心筋症のブタモデルにおけるSDF−1プラスミド処理による心機能の改善
ヨークシャーブタに麻酔をかけ、250秒以上の活性化凝固時間(ACT)までヘパリン処理(heparinize)し、背臥位に置いた。ガイドカテーテルを通してLADへ進めることにより、バルーンカテーテルを最初の主要な分岐より下に導入した。次いで、バルーンを、動脈の完全閉塞を確保するのに十分な圧力まで拡張して、90〜120分間動脈中で拡張したままにした。完全なバルーンの拡張および収縮は、蛍光透視で確認した。次いで、バルーンを除去し、切開を閉じ、動物を回復させた。
組み入れ基準
MI1月後に、各ブタの心機能を心エコー法により評価した。LVEFが40%未満であり、かつLVESVが56.7mlを超えたら、そのブタを本研究に組み入れた。
外科的手順
組み入れられた各ブタに麻酔をかけ、300秒以上の活性化凝固時間(ACT)までヘパリン処理(heparinize)し、背臥位に置いた。LVの輪郭を決定するために、左室造影を前後および側面像の両方で行った。
心筋へのSDF−1プラスミド(ACL−01110Sk)の送達
各ブタを、3つの屠殺点:処理3日後、30日後または90日後の1つ、および4つの処理群:対照(20回注入、緩衝液のみ)、低(15回注入、0.5mg/ml)、中(15回注入、2.0mg/ml)または高(20回注入、5.0mg/ml)の1つにランダム化した。全プラスミドは、USPブドウ糖に緩衝させた。注入手順は以下に記載する。
偏向可能なガイドカテーテル装置を、大動脈弁を横切って逆光して左室に進ませ、ガイドワイヤーを除去し、LV心内膜ニードル注入カテーテルを、ガイドカテーテルを通してLV腔に入れた。ランダム化された用量のSDF−1プラスミドまたは緩衝液を、カテーテルに接続された1ml注射器に充填した。各注入容積は1.0mlとした。各注入について、針を心内膜に挿入し、溶液を60秒間にわたって注入した。注入後、針を15秒間固定し、次いで引き抜いた。注入が完了した後、全計測手段を除去し、切開を閉じ、動物を回復させた。
屠殺時に、心臓および他の主要器官からの組織サンプルを切除し、PCRおよび病理組織学的分析のために急速凍結した。
心機能の評価
注入0日、30日、60日および90日後(または屠殺まで)に、標準的2次元心エコー法により各動物の心機能を評価した。左室容積、面積および壁運動スコアの測定を、独立したコア研究室で行った。測定した効果パラメーターを以下の表1に示す。
Figure 0005856059
SDF−1プラスミドの機能改善への影響を図2〜5に示す。図2〜4は、低用量および中用量のSDF−1プラスミドが、対照と比較して、注入30日後でLVESV、LVEFおよび壁運動スコア指数を改善する一方で、高用量は有益性を示さないことを示している。図5は、低用量および中用量の両方が、対照と比較して、病理学的リモデリングの著しい減弱、すなわち、LVESVのより小さい増加を示しているので、低用量および中用量における心臓の有益性が90日まで持続していることを示している。
脈管形成の評価
30日目に屠殺した動物の左室の血管密度を、各ホルマリン固定心臓から収集した7〜9個の組織サンプルを使用して評価した。ゲノムDNAを抽出し、ミニカラムによる精製法(Qiagen)を使用してホルマリン固定組織サンプルから効率的に精製した。定量的PCRにより、SDF−1処理動物および対照動物からのサンプルのプラスミドDNAの存在について試験した。各動物についてバックグラウンドの少なくとも4倍超のプラスミドDNAコピーを含有することが分かった3〜5個の組織サンプル(対照動物中のものを除く)を使用して、スライドを調製し、イソレクチンで免疫染色した。横断面を同定し、1組織当たり20〜40のランダム場で血管を数えた。1つの場当たりの血管を、血管/mmに変換し、各動物について平均した。各用量について、その用量を投与された全ての動物からの平均の血管/mmとしてデータを報告する。
図6は、機能的有益性をもたらした両用量がまた、対照と比較して、30日目に血管密度を有意に増加させることを示している。対照的に、機能を改善しなかった高用量は、血管密度を実質的に増加させなかった。このデータは、SDF−1プラスミドが虚血性心筋症において心機能を改善させている推定上の生物学的機構を提供する。
体内分布データ
心組織および非心組織中のJVS−100分布を、MIのブタモデルにおける中心的効果および中毒学研究で、注入3日、30日および90日後に測定した。心組織では、各時点で、平均JVS−100プラスミド濃度は、用量とともに増加した。各用量で、JVS−100のクリアランスを注入3日、30日および90日後で観察し、約99.999999%が90日目で心組織から排除された。JVS−100は、比較的高血流の非心器官(例えば、心臓、腎臓、肝臓および肺)に分布しており、注入3日後に最も高濃度が見られた。JVS−100は、主に腎臓に存在しており、これはプラスミドの腎クリアランスと矛盾しない。30日では存続のレベルが低く、JVS−100は、90日において非心組織中で本質的に検出不能であった。
結論
JVS−100による処理は、7.5および30mgの単回心内膜心筋注入後の虚血性心不全のブタにおいて、血管形成の有意な増加をもたらし、心機能を改善した。試験した最も高用量のJVS−100(100mg)は、血管形成の増加の傾向を示したが、心機能の改善は示さなかった。どの用量のJVS−100も、毒性の徴候、臨床病理パラメーターへの有害効果または病理組織学と関連しなかった。JVS−100は、主に心臓に分布し、約99.999999%が処理90日後に心組織から排除された。JVS−100は、比較的高血流の非心器官(例えば、心臓、腎臓、肝臓および肺)に分布しており、注入3日後に腎臓で最も高濃度が見られた。JVS−100は、注入90日後において体内で本質的に検出不能であり、投与した量のごく少量のみが非心組織中で見つかった。これらの知見に基づき、MIのブタモデルにおけるJVS−100についての無作用量(NOAEL)は、心内膜心筋注入により投与される100mgであった。
実施例4
ブタの探索的試験:慢性MIブタにおける経動脈注入によるLUC注入
方法
以前のLAD閉塞/再灌流MIおよびEF>40%の1頭のブタに、経動脈カテーテルでACL−01110Skを注入した。2回のLADへの注入および2回のLCXへの注入を、2.5mlの注入容積および125〜130秒の総注入時間で行った。150秒の総注入時間で、3.0mlのLCXへの1回の追加の注入を、プラスミドと混合した対照で行った。
屠殺および組織回収
注入3日後、動物を安楽死させた。安楽死後、心臓を取り出し、血液を排出し、氷冷まな板上に置き、剖検技師または病理医によりさらに解剖した。右室を開くことにより、中隔から非注入心筋を得た。右室を心臓から切り取り、冷心筋保護液に入れた。切片の各々について新しいメスの刃を使用した。
次に、左室を開き、尖部から基部へ6つの切片にスライスすることにより左室全体を切除した。LVを3つの切片に均等に分割した。切除後、各切片を平置することができた。各切片(3つのLV切片、1つのRV切片および1つの胸筋)を、湿った氷上の冷心筋保護液を含む別々のラベルを付した容器に入れ、ルシフェラーゼ分析のために運搬した。
ルシフェラーゼ画像化
回収した組織全てをルシフェリンに浸漬し、Xenogen画像化システムで画像化してプラスミド発現を測定した。
結果
心臓の代表的な画像を図8に示す。着色された点は、ルシフェラーゼ発現領域を示す。これらの点は、バックグラウンドの2桁上を超える、10単位を超える相対発光単位(RLU)を示した。このデータは、カテーテルが、心臓の有意な部分上での実質的なプラスミド発現をもたらすのに十分なプラスミドを送達することを示した。
実施例5
臨床研究例
上昇的用量のJVS−100を投与して、虚血性心筋症の被験体のHFを処理した。全有害事象(AE)を実証することにより、各用量で安全性を追跡し、主要な安全性のエンドポイントは、30日目での主要な心臓のAEの数とした。各コホートで、被験体は、単一用量のJVS−100を受ける。全コホートで、標準的心エコー測定、単一光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングによる心臓灌流、ニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類、6分間歩行距離および生活の質により、心機能への影響を測定することにより、治療効果を評価する。
全被験体は、収縮不全、以前のMIの既知の病歴を有しており、最新の適当ながん検診により確認して現在はがんを有してはいない。全被験体は、医師の訪問および心臓の心エコー図で選別する。SPECT灌流イメージングなどのさらなるベースライン検査を行う。各被験体は、心内膜ニードルカテーテルにより梗塞境界領域内の部位に送達されるJVS−100の15回の1ml注入を受ける。3つのコホート(A、B、C)を研究する。表2に示すように、注入部位の数を15箇所で一定に、および注入容積を1mlに維持しながら、1注入部位当たりのDNAの量を増加させることにより、用量を段階的に増加させる。安全上の懸念がないことを保証するために、被験体を注入後約18時間監視し、注入3日後および7日後に訪問を予定した。患者は、注入後18時間は病院に留まり、確実に全ての必要な採血(すなわち、心筋酵素、血漿SDF−1タンパク質濃度)を行う。全被験体は、30日(1月)、120日(4月)および360日(12月)にフォローアップを受け、安全性および心機能を評価する。主要な安全性のエンドポイントは、治療送達後1月以内の主要有害心イベント(MACE)とする。研究の間中、各被験体についてAEを追跡する。以下の安全性および効果のエンドポイントを測定する:
安全性:
・注入30日後の主要有害心イベント(MACE)の数
・12月のフォローアップ期間中の有害事象
・血液ラボ分析(Cardiac Enzymes、CBC、ANA)
・SDF−1血漿濃度
・物理的評価
・心エコー法
・AICDモニタリング
・ECG
効果:
・LVESV、LVEDV、LVEFおよび壁運動スコア指数のベースラインからの変化
・NYHA分類および生活の質のベースラインからの変化
・SPECTイメージングにより測定される灌流のベースラインからの変化
・6分間歩行テスト距離のベースラインからの変化
Figure 0005856059
前臨床データに基づき、JVS−100の送達は、4月で心機能および症状の改善を誘発し、それは12月まで持続すると予期される。JVS−100注入4月後で、ベースライン値と比較して、約30メートルを超える6分間歩行距離の改善、約10%の生活の質のスコアの改善および/または約1のNYHAクラスの改善が予測される。同様に、発明者等は、ベースライン値と比較して約10%のLVESV、LVEFおよび/またはWMSIの相対的改善を予期している。
比較実施例1
ACL−01110SkまたはACL−01010Skによる処理後の慢性心不全ブタにおける心エコー法による心機能の評価
目的
本研究の目的は、虚血性心不全のブタモデルにおいて心内膜心筋カテーテル送達後のSDF−1プラスミドACL−01110SkまたはACL−01010Skに対する機能的心臓応答を比較することである。
本研究は、ブタ虚血性心不全モデルの機能改善におけるACL−01110SkおよびACL−01010Skの効果を比較した。本研究では、心室内ニードル注入カテーテルによりプラスミドを送達した。心エコー法により、治療の心臓リモデリング(すなわち、左室容積)および機能(すなわち、左室駆出率(LVEF))への影響を測定することにより、効果を評価した。
方法
手短に言えば、雄ヨークシャーブタを、90分間のバルーン血管形成術によるLAD閉塞により心筋梗塞にした。梗塞30日後にMモード心エコー法により測定した駆出率が40%未満のブタを組み入れた。心室内ニードル注入カテーテル送達システムを使用して、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、対照)、PBS中ACL−01110SkまたはPBS中ACL−01010Skのいずれかを注入する3つの群の1つにブタをランダム化した(表3)。
Figure 0005856059
注入前ならびに注入30日後および60日後に心エコー図を記録した。以下の表4は、本報告で言及される変数を定義している。
Figure 0005856059
結果
心エコー法コア研究室により報告された、本報告において組み入れられた全動物(n=9)についての初回注入時(MI30日後)のベースライン心エコー特性を以下の表5に示す。
Figure 0005856059
表5は、初回注入0日後および30日後のLVESV、LVEFおよびLVEDVを示す。対照PBS動物は、この心不全モデルに矛盾せず、LVESVおよびLVEDVの増加を示したが、LVEFの改善は示さなかった。処理群は、対照と比較して、心臓容積が減少しないか、LVEFが増加しなかった。初回注入60日後で同様の結果が得られた。
比較実施例2
心筋梗塞のブタモデルにおいてSDF−1のカテーテルに基づく経心内膜送達により梗塞周囲領域への幹細胞ホーミングを増大させる戦略を調査して、それが左室灌流および機能を改善するかどうかを決定した。カテーテルに基づくアプローチは、ヒトにおける細胞移植および血管新生促進因子の送達のために首尾よく使用されてきた。
雌ドイツ産ランドレース種ブタ(30kg)を使用した。一晩絶食後、動物に麻酔をかけ、挿管した。
動物を仰臥位にして、7フレンチのシースを大腿動脈に入れた。オーバーザワイヤーバルーンを末梢LADまで進めた。バルーンを2atmで拡張し、バルーンカテーテルを通してアガロースビーズを1分にわたってゆっくり末梢LADに注入した。1分後、バルーンを収縮し、末梢LADの閉塞を血管造影により実証した。心筋梗塞の誘導後、リズムおよび血圧が安定するまで動物を3〜4時間監視した。動脈シースを除去し、カルプロフェン(4mg/kg)を筋肉内投与し、動物を人工呼吸器から引き離した。心筋梗塞2週間後、動物に麻酔をかけた。動物を仰臥位にして、8F大腿シースにより左室の電気機械的マッピングを行った。左室の完全なマップが得られた後、注入カテーテルを通して、18回の注入(100μml生理食塩水中5μg)により、ヒトSDF−1(Peprotec、Rocky−Hill、NJ)を梗塞領域および梗塞周囲領域に送達した。1注入当たり5μgを使用して、報告されたカテーテル注入の効率に調整した。注入は、カテーテルの先端が左室壁に対して垂直であり、ループ安定性が2mm未満であり、かつ心筋内の針の突起が異所性心室性期外拍動を誘発したときにのみ、20秒にわたってゆっくり行った。対照動物は、偽注射による同一手順を受けた。心エコー法により、介入後心嚢液貯留を排除した。
20頭の動物が研究プロトコルを完了した:8頭の対照動物および12頭のSDF−1処理動物。技術的問題のために、心筋灌流イメージングについては、6頭の対照動物しか評価できなかった。梗塞位置は全動物において前壁中隔であった。
テトラゾリウム染色により測定した左室の梗塞サイズのパーセント値は、対照群で8.9±2.6%であり、SDF−1群で8.9±1.2%であった。左室筋肉容積は、両群で類似であった(83±14ml対95±10ml、p=ns)。蛍光免疫染色は、対照動物よりもSDF−1処理動物において、梗塞周囲領域中でよりvWF−陽性の血管を有意に明らかにした(349±17/mm対276±21/mm、p<0.05)。対照動物と比較して、SDF−1処理動物で梗塞周囲領域中のコラーゲンの重度の喪失が観察された(32±5%対61±6%、p<0.005)。梗塞周囲領域中の炎症細胞(好中球およびマクロファージ)の数は、両群で類似であった(332±51/mm対303±55/mm、p=ns)。全体的心筋灌流は、ベースラインからフォローアップのSPECTまで変化せず、群の間で差はなかった。最終的な梗塞サイズは両群で類似であり、テトラゾリウム染色の結果とよく比較した。心筋灌流のセグメント分析は、心筋セグメント間の有意な差と共に肺尖区および前壁中隔区のトレーサー取り込みの減少を明らかにした。しかしながら、ベースラインおよびフォローアップ時のトレーサー取り込みは、対照動物およびSDF−1処理動物でほぼ同一であった。群の間で拡張末期および収縮末期容積に差はなかった。しかしながら、一回拍出量は、対照動物で増加し、SDF−1処理動物でわずかに減少した。両群間の差は有意であった。
同様に、駆出率は、対照動物で増加し、SDF−1処理動物で減少した。群の間での差は、強い傾向を示した(p=0.05)。局所的短縮、心室力学的機能の別のパラメーターは、対照動物で変化しなかった。しかしながら、局所的短縮は、SDF−1処理動物で有意に減少し、群の間での有意な差をもたらした。群内および群の間で単極電圧の有意な差はなかった。ベースライン駆出率および一回拍出量とベースライン局所的短縮との間の有意な相関(EFおよびLS:r=0.71、SVおよびLS:r=0.59)が認められた。フォローアップ値についても同様の結果が得られた(EFおよびLS:r=0.49、SVおよびLS:r=0.46)。局所的短縮における変化は、駆出率(r=0.52)および一回拍出量(r=0.46)における変化と有意に相関した。局所的短縮と拡張末期容積との間に相関はなく(ベースラインr=−0.03、フォローアップr=0.12)、駆出率と拡張末期容積との間にも相関はなかった(ベースラインr=−0.04、フォローアップr=0.05)。EEMデータのセグメント分析は、前壁中隔区における単極電圧および局所的短縮の減少を示し、ベースラインにおいて心筋セグメント間で有意な差があった。心筋セグメントの単極電圧値の分布はベースラインおよびフォローアップ時で両群において類似であった。セグメントの局所的短縮は、対照群で変化しなかった。しかしながら、これは、主として左室の外側区および後区における減少のために、SDF−1群で減少した。SDF−1への割当とフォローアップ対ベースラインとの間に有意な相互作用があった。
上記研究は、SDF−1タンパク質の単一適用は心臓の機能的有用性をもたらすのには不十分であることを示した。
本出願の上記記載から、当業者は、改善、変更および修正を認知するだろう。当業者が備えている技能の範囲内でのこのような改善、変更および修正は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。本明細書に引用される全ての特許、特許出願および刊行物は、その全内容が参照により組み込まれている。

Claims (14)

  1. SDF−1α cDNAの発現が、CMVエンハンサーおよびプロモーター、CMV−イントロンAおよびRU5翻訳エンハンサーにより駆動する、前記SDF−1α cDNA配列を含む、SDF−1プラスミドであって、
    前記プラスミドは、ナノ粒子内にカプセル化されていない、または、任意に水溶性担体中にある、
    SDF−1プラスミド
  2. 前記プラスミドが、5´から3´の順で、CMVエンハンサー、CMVプロモーター、CMV−イントロンA、RU5、SDF−1α、BGHポリA、ColE1オリジンおよびカナマイシンRをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のSDF−1プラスミド。
  3. 請求項1に記載のSDF−1プラスミドおよび薬学的に許容される担体を含む、注入可能な製剤。
  4. 前記薬学的に許容される担体が、5%ブドウ糖である、請求項3に記載の注入可能な製剤。
  5. 0.33mg/mlから5mg/mlの前記SDF−1プラスミドを含む、請求項3に記載の注入可能な製剤。
  6. 患者の心筋症を治療するために使用される、請求項3から5のいずれか1項に記載の製剤。
  7. 前記製剤が、心筋の衰弱領域、虚血領域および/または梗塞周囲領域を含む、前記患者の心筋に直接投与される、請求項6に記載の製剤。
  8. 前記投与されたSDF−1プラスミドの合計量が、4mgを超える、請求項7に記載の製剤。
  9. 前記製剤が、直接注入により投与される、請求項6から8のいずれか1項に記載の製剤。
  10. 前記製剤が、前記心筋の少なくとも10の部位に投与され、かつ各部位が、前記製剤の少なくとも0.2mlの量を受ける、請求項6から9のいずれか1項に記載の製剤。
  11. 前記投与された製剤の前記合計量が、少なくとも10mlである、請求項10に記載の製剤。
  12. 前記製剤が、各15の部位に1.0mlの量で投与され、かつ前記製剤中のプラスミドの濃度が、0.5mg/mlから2.0mg/mlである、請求項6から11のいずれか1項に記載の製剤。
  13. 前記製剤が、カテーテル法を介して投与される、請求項6から12のいずれか1項に記載の製剤。
  14. 前記製剤が、心室内カテーテル法または心筋内カテーテル法を介して投与される、請求項13に記載の製剤。
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