JP2016516071A - 瘢痕形成を軽減するためのsdf−1の使用 - Google Patents

瘢痕形成を軽減するためのsdf−1の使用 Download PDF

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Abstract

本明細書で提供される内容は、皮膚の創傷における瘢痕形成を阻害するまたは軽減するための方法であって、前記創傷中または前記創傷に近接するSDF−1の濃度を上昇させることによる方法に関する。本明細書で述べるように、SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターは、治療有効量のSDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを提供することによって創傷または創傷に近接する領域に投与することができる。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月15日に出願された米国特許仮出願第61/793,462号の優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、被験体において創傷治癒を促進する組成物および方法に関する。
哺乳動物組織における創傷(すなわち裂傷または裂孔)は、創傷面で組織破壊および微小血管系の凝固を生じさせる。そのような組織の修復は、損傷に対する秩序正しい、制御された細胞応答である。すべての軟組織損傷は、大きさにかかわらず同じような方法で治癒する。組織の成長および修復は、細胞増殖と血管新生が酸素勾配の存在下で起こる、生物学的システムである。組織修復の間に起こる連続的な形態および構造変化は極めて詳細に特性づけられており、場合によっては定量化されている(Hunt,T.K.,et al.,「Coagulation and macrophage stimulation of angiogenesis and wound healing,」in The Surgical Wound,pp.1〜18,ed.F.Dineen & G.Hildrick−Smith(Lea & Febiger,Philadelphia:1981)]。
細胞の形態は3つの異なる区域から成る。中心の無血管創傷空間は酸素が欠乏しており、アシドーシス性で、炭酸過剰であり、高い乳酸レベルを有する。創傷空間に隣接するのは、線維芽細胞を分裂させることによって生じる局所貧血(虚血)の勾配帯である。この先導帯の後方には、成熟線維芽細胞および多数の新たに形成された毛細管(すなわち新生血管形成)を特徴とする活発なコラーゲン合成の領域がある。この新たな血管の成長(血管新生)は創傷組織の治癒のために必要であるが、血管形成剤は一般に、組織修復の付加的な生合成作用を提供するという長年にわたる切実な要求を満たすことができない。創傷(すなわち重度の熱傷、外科的切開、裂傷および他の外傷)のより迅速な治癒の必要性にもかかわらず、現在まで、薬理学的物質を用いて創傷治癒を促進することには限られた成功しか得られていない。
本発明は、被験体において創傷治癒を治療するおよび/または促進する方法および組成物に関する。この方法では、SDF−1を、創傷治癒を促進するのに有効な量で直接創傷または創傷に近接する細胞に投与する。創傷には、被験体の身体の任意の部分への任意の損傷が含まれ得る。本発明の方法によって治療できる創傷の例には、急性状態または創傷、例えば熱傷、化学熱傷、放射線熱傷、紫外線照射への過度の曝露によって引き起こされる熱傷(例えば日焼け);体組織への損傷、例えば分娩および出産の結果としての会陰への損傷;医療処置、例えば会陰切開術の間持続する損傷、切断、切開、擦過創を含む外傷誘導性損傷;事故から持続する損傷;術後損傷、ならびに慢性状態、例えば褥瘡、とこずれ、糖尿病および循環不良に関連する状態、ならびにすべての種類のざ瘡が含まれる。加えて、創傷には、皮膚炎、例えば膿痂疹、間擦疹、毛包炎および湿疹;歯科手術後の創傷;歯周病;外傷後の創傷;ならびに腫瘍関連創傷が含まれ得る。
本発明の1つの態様では、創傷または創傷に近接する細胞に投与するSDF−1の量は、創傷閉鎖および創傷治癒を促進または加速する、創傷および/もしくは創傷の周囲の瘢痕形成を軽減する、創傷の周囲の細胞もしくは創傷に近接する細胞のアポトーシスを阻害する、ならびに/または創傷組織の血管再生を促すのに有効な量であり得る。SDF−1は、組織損傷および/または外傷の結果として上方調節されるSDF−1受容体を含む、創傷に近接する細胞に投与することができる。本発明の1つの態様では、SDF−1受容体はCXCR4および/またはCXCR7を含むことができ、SDF−1は細胞のAktリン酸化を増大させるのに有効な量で投与することができる。
本発明の別の態様では、創傷に近接する細胞中でSDF−1を発現させることによっておよび/またはSDF−1を含有する医薬組成物を創傷に提供することによってSDF−1を投与することができる。SDF−1は、SDF−1をコードするベクターで細胞を遺伝的に改変することによって創傷に近接する細胞から発現させることができる。SDF−1は、SDF−1をコードするプラスミドで細胞を遺伝的に改変することによって創傷に近接する細胞から発現させることができる。一部の実施形態では、配列番号:6の配列を有するDNAプラスミドを使用して、創傷に近接する細胞中でSDF−1を発現させることができる。
本発明はまた、被験体において創傷治癒の間瘢痕形成を阻害する方法および組成物にも関する。この方法では、SDF−1を、創傷中および/または創傷の周囲の瘢痕形成を軽減するのに有効な量で直接創傷にまたは創傷に近接する細胞に投与する。創傷には、被験体の身体の任意の部分への任意の損傷が含まれ得る。本発明の方法によって治療できる創傷の例には、急性状態または創傷、例えば熱傷、化学熱傷、放射線熱傷、紫外線照射への過度の曝露によって引き起こされる熱傷(例えば日焼け);体組織への損傷、例えば分娩および出産の結果としての会陰への損傷;医療処置、例えば会陰切開術の間持続する損傷、切断、切開、擦過創を含む外傷誘導性損傷;事故から持続する損傷;術後損傷、ならびに慢性状態、例えば褥瘡、とこずれ、糖尿病および循環不良に関連する状態、ならびにすべての種類のざ瘡が含まれる。加えて、創傷には、皮膚炎、例えば膿痂疹、間擦疹、毛包炎および湿疹;歯科手術後の創傷;歯周病;外傷後の創傷;ならびに腫瘍関連創傷が含まれ得る。
本発明の1つの態様では、創傷または創傷に近接する細胞に投与するSDF−1の量は、創傷閉鎖および創傷治癒を促進または加速する、創傷の組織および/もしくは創傷の周囲の組織の瘢痕線維症を軽減する、創傷の周囲の細胞もしくは創傷に近接する細胞のアポトーシスを阻害する、ならびに/または創傷組織の血管再生を促すのに有効な量であり得る。SDF−1は、組織損傷および/または外傷の結果として上方調節されるSDF−1受容体を含む、創傷に近接する細胞に投与することができる。本発明の1つの態様では、SDF−1受容体はCXCR4および/またはCXCR7を含むことができ、SDF−1は細胞のAktリン酸化を増大させるのに有効な量で投与することができる。
本発明の別の態様では、創傷に近接する細胞中でSDF−1を発現させることによっておよび/またはSDF−1を含有する医薬組成物を創傷に提供することによってSDF−1を投与することができる。SDF−1は、SDF−1を発現させるためのベクター、プラスミドDNA、電気穿孔およびナノ粒子の少なくとも1つで細胞を遺伝的に改変することによって創傷に近接する細胞から発現させることができる。一部の実施形態では、配列番号:6の配列を有するDNAプラスミドを使用して、創傷に近接する細胞中でSDF−1を発現させることができる。
本発明はさらに、被験体において創傷閉鎖を促進または加速する方法および組成物に関する。この方法では、SDF−1を、創傷閉鎖を促進するのに有効な量で直接創傷または創傷に近接する細胞に投与する。創傷には、被験体の身体の任意の部分への任意の損傷が含まれ得る。本発明の方法によって治療できる創傷の例には、急性状態または創傷、例えば熱傷、化学熱傷、放射線熱傷、紫外線照射への過度の曝露によって引き起こされる熱傷(例えば日焼け);体組織への損傷、例えば分娩および出産の結果としての会陰への損傷;医療処置、例えば会陰切開術の間持続する損傷、切断、切開、擦過創を含む外傷誘導性損傷;事故から持続する損傷;術後損傷、ならびに慢性状態、例えば褥瘡、とこずれ、糖尿病および循環不良に関連する状態、ならびにすべての種類のざ瘡が含まれる。加えて、創傷には、皮膚炎、例えば膿痂疹、間擦疹、毛包炎および湿疹;歯科手術後の創傷;歯周病;外傷後の創傷;ならびに腫瘍関連創傷が含まれ得る。
本発明の1つの態様では、創傷または創傷に近接する細胞に投与するSDF−1の量は、創傷閉鎖および創傷治癒を促進または加速する、創傷および/もしくは創傷の周囲の瘢痕形成を軽減する、創傷の周囲の細胞もしくは創傷に近接する細胞のアポトーシスを阻害する、ならびに/または創傷組織の血管再生を促すのに有効な量であり得る。SDF−1は、組織損傷および/または外傷の結果として上方調節されるSDF−1受容体を含む、創傷に近接する細胞に投与することができる。本発明の1つの態様では、SDF−1受容体はCXCR4および/またはCXCR7を含むことができ、SDF−1は細胞のAktリン酸化を増大させるのに有効な量で投与することができる。
本発明の別の態様では、創傷に近接する細胞中でSDF−1を発現させることによっておよび/またはSDF−1を含有する医薬組成物を創傷に提供することによってSDF−1を投与することができる。SDF−1は、SDF−1を発現させるためのベクター、プラスミドDNA、電気穿孔およびナノ粒子の少なくとも1つで細胞を遺伝的に改変することによって創傷に近接する細胞から発現させることができる。一部の実施形態では、配列番号:6の配列を有するDNAプラスミドを使用して、創傷に近接する細胞中でSDF−1を発現させることができる。
本発明はさらに、被験体において創傷治癒を促進するための局所製剤に関する。この製剤は、製剤を創傷に投与した場合、創傷閉鎖を促進し、創傷の瘢痕化を阻害するのに有効なSDF−1の量を含有し得る。
創傷には、被験体の身体の任意の部分への任意の損傷が含まれ得る。本発明の方法によって治療できる創傷の例には、急性状態または創傷、例えば熱傷、化学熱傷、放射線熱傷、紫外線照射への過度の曝露によって引き起こされる熱傷(例えば日焼け);体組織への損傷、例えば分娩および出産の結果としての会陰への損傷;医療処置、例えば会陰切開術の間持続する損傷、切断、切開、擦過創を含む外傷誘導性損傷;事故から持続する損傷;術後損傷、ならびに慢性状態、例えば褥瘡、とこずれ、糖尿病および循環不良に関連する状態、ならびにすべての種類のざ瘡が含まれる。加えて、創傷には、皮膚炎、例えば膿痂疹、間擦疹、毛包炎および湿疹;歯科手術後の創傷;歯周病;外傷後の創傷;ならびに腫瘍関連創傷が含まれ得る。
創傷中のSDF−1の量はまた、創傷治癒を促進または加速する、創傷および/もしくは創傷の周囲の瘢痕形成を軽減する、創傷の周囲の細胞もしくは創傷に近接する細胞のアポトーシスを阻害する、ならびに/または創傷組織の血管再生を促すのに有効な量であり得る。本発明の1つの態様では、SDF−1は、創傷に近接する細胞に投与した場合、細胞からのSDF−1の発現を促進するタンパク質またはプラスミドの形態であり得る。
本発明の前記および他の特徴は、添付の図面を参照して以下の説明を読了した後、本発明が関連する技術分野の当業者に明らかになる。
SDF−1放出足場が創傷治癒を加速することを示す写真を例示する。 SDF−1タンパク質足場、SDF−1血漿足場、生理食塩水足場および足場なしで処置したブタ創傷についての数日間にわたる治癒%を示す図表を例示する。 創傷発生の28日後にJVS−100で処置した被験体についての総瘢痕容積(A)、瘢痕の最大高さ(B)および瘢痕表面積(C)のデータのグラフ表示を提供する。 創傷発生の28日後にJVS−100で処置した被験体についての瘢痕の色(A)、瘢痕の質感(B)およびマンチェスター瘢痕スケール(Manchester Scar Scale)評価(C)のデータのグラフ表示を提供する(70%を超える離開を有する創傷はこれらの評価から除外した)。 60%を超えて離開した、創傷発生の28日後にJVS−100で処置した創傷についてのマンチェスター瘢痕スケール評価結果(A)瘢痕の質感スコア(B)および瘢痕の輪郭スコア(C)を示す。 創傷発生の90日後にJVS−100で処置した被験体についての瘢痕の質感(A)、瘢痕の輪郭(B)、瘢痕の色(C)、瘢痕のねじれ(D)および全体的なマンチェスター瘢痕スケール(E)のデータのグラフ表示を提供する。
特に定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。分子生物学の一般的に理解される定義は、例えばRieger et al.,Glossary of Genetics:Classical and Molecular,5th edition,Springer−Verlag:New York,1991;およびLewin,Genes V,Oxford University Press:New York,1994に見出すことができる。
従来の分子生物学技術を含む方法を本明細書で述べる。そのような技術は一般に当分野において公知であり、方法論論文、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,vol.1〜3,ed.Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;およびCurrent Protocols in Molecular Biology,ed.Ausubel et al.,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York,1992(および定期的更新)において詳述されている。核酸の化学合成のための方法は、例えばBeaucage and Carruthers,Tetra.Letts.22:1859〜1862,1981およびMatteucci et al.,J.Am.Chem.Soc.103:3185,1981において論じられている。核酸の化学合成は、例えば市販の自動オリゴヌクレオチドシンセサイザーで実施することができる。免疫学的方法(例えば抗原特異的抗体の調製、免疫沈降および免疫ブロット法)は、例えばCurrent Protocols in Immunology,ed.Coligan et al.,John Wiley & Sons,New York,1991;およびMethods of Immunological Analysis,ed.Masseyeff et al.,John Wiley & Sons,New York,1992に記載されている。遺伝子導入および遺伝子治療の従来の方法も、本発明における使用に適合させることができる。例えば、Gene Therapy:Principles and Applications,ed.T.Blackenstein,Springer Verlag,1999;Gene Therapy Protocols(Methods in Molecular Medicine),ed.P.D.Robbins,Humana Press,1997;およびRetro−vectors for Human Gene Therapy,ed.C.P.Hodgson,Springer Verlag,1996参照。
本発明は、創傷および/または創傷に近接する細胞に、創傷治癒を促進する、細胞アポトーシスを軽減する、および/または創傷における瘢痕形成を軽減もしくは阻害するのに有効なSDF−1の量を投与することによる、哺乳動物被験体における創傷の治療および/または創傷治癒もしくは創傷閉鎖の促進に関する。本発明はまた、創傷および/または創傷に近接する細胞もしくは組織に、創傷治癒を促進する、細胞アポトーシスを軽減する、および/または創傷における瘢痕形成を軽減もしくは阻害するのに有効なSDF−1の量を投与することによる、創傷または創傷に近接する組織の瘢痕形成および/または線維症を阻害する方法に関する。本発明はさらに、SDF−1を含有する、創傷を治療するための局所製剤または創傷の細胞におけるSDF−1の発現を上方調節する作用物質に関する。
本発明の方法および/または組成物によって治療される創傷には、急性状態または創傷、例えば熱傷、化学熱傷、放射線熱傷、紫外線照射への過度の曝露によって引き起こされる熱傷(例えば日焼け);体組織への損傷、例えば分娩および出産の結果としての会陰への損傷;医療処置、例えば会陰切開術の間持続する損傷;外傷誘導性損傷、例えば切断、切開、擦過創、事故の結果として持続する損傷、潰瘍、例えば圧迫潰瘍、糖尿病性潰瘍、プラスター潰瘍および褥瘡性潰瘍、術後損傷を含む、被験体の身体の任意の部分への任意の損傷(例えば内傷または外傷)が含まれ得る。創傷には、慢性状態または創傷、例えば褥瘡、とこずれ、糖尿病および循環不良に関連する状態、ならびにすべての種類のざ瘡も含まれ得る。加えて、創傷には、皮膚炎、例えば膿痂疹、間擦疹、毛包炎および湿疹、歯科手術後の創傷;歯周病;腫瘍関連創傷が含まれ得る。
本発明の適用は前記創傷または損傷に限定されないこと、ならびに急性および/または慢性にかかわりなく他の創傷または組織損傷を本発明の組成物および方法によって治療できることが認識される。
本明細書で使用する場合、「創傷治癒を促進する」または「創傷の治癒を促進する」という用語は、創傷の閉鎖、治癒または修復を増進する、改善する、増大させるまたは誘導することを意味する。
本明細書で使用する場合、「治療する」および「治療」という用語は、症状の重症度および/または頻度の提言、症状および/または根底にある原因の排除、症状および/またはそれらの根底にある原因の発生の防止、ならびに損傷の改善または修復を指す。したがって、例えば創傷の「治療」には、創傷部位における治癒を増大させること、創傷閉鎖を促進すること、および創傷の瘢痕化を減少させることが含まれる。
本発明の方法および組成物によって治療される哺乳動物被験体には、任意の哺乳動物、例えばヒト、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、類人猿、ウサギ、ウシ等が含まれ得る。哺乳動物被験体は、成体、幼若動物および新生児を含む任意の発育段階にあり得る。哺乳動物被験体には、発生の胎児期のものも含まれ得る。
本発明の1つの態様に従って、SDF−1を、細胞のアポトーシスを軽減し、創傷治癒を促進する、創傷閉鎖を促進する、ならびに/または創傷および/もしくは創傷の周囲の瘢痕形成を軽減するために創傷に近接する細胞に投与することができる。細胞には、外傷および/または組織損傷の結果として上方調節されるSDF−1受容体を発現する細胞が含まれる。上方調節されるSDF−1受容体には、例えばCXCR4および/またはCXCR7が含まれ得る。組織損傷の結果として上方調節されたSDF−1受容体を有する細胞へのSDF−1の持続的な局所投与は細胞内のAktリン酸化を増大させ、それが次に細胞のアポトーシスを軽減できることが認められた。さらに、組織へのSDF−1の長期的な局所投与は、治療されている創傷の部位への、CXCR4および/またはCXCR7を発現する幹細胞および/または前駆細胞、例えば内皮前駆細胞の動員を促し、それが創傷の周囲の組織および/または創傷に近接する組織の血管再生を促進することができる。
一例では、SDF−1を創傷の細胞および/または創傷に近接する細胞に投与する期間は、およそ創傷および/または組織損傷の発症から、およそ組織損傷の数日後、数週間後または数か月後までであり得る。一部の実施形態では、SDF−1をコードするプラスミドを、創傷が閉鎖される(例えば縫合、接着剤または他の物理的手段によって)前に創傷に投与する。創傷へのタンパク質またはプラスミドによる局所SDF−1送達は、治癒率および創傷閉鎖を増大させるのに十分であることが認められた。さらに、SDF−1で処置した創傷はSDF−1で処置していない創傷よりも線維症が少ない傾向があり、これは、SDF−1が処置した創傷において瘢痕化を軽減できることを示唆する。また、組織損傷の発症直後に、創傷組織中または創傷の周辺または境界付近の細胞がSDF−1の発現を上方調節することも認められた。約24時間後に、細胞によるSDF−1発現が減少する。SDF−1が減少した後、細胞のアポトーシスを軽減するためにSDF−1を投与することができる。
本発明に従うSDF−1は、天然の哺乳動物SDF−1アミノ酸配列と実質的に類似するアミノ酸配列を有し得る。ヒト、マウスおよびラットを含む多くの異なる哺乳動物SDF−1タンパク質のアミノ酸配列が公知である。ヒトとラットのSDF−1アミノ酸配列は約92%同一である。SDF−1は2つのアイソフォーム、SDF−1αおよびSDF−1βを含むことができ、これらはどちらも、別段特定されない限り本明細書ではSDF−1と称される。
SDF−1は、配列番号:1と実質的に同一のアミノ酸配列を有し得る。過剰発現されるSDF−1はまた、前記哺乳動物SDF−1タンパク質の1つと実質的に類似のアミノ酸配列を有し得る。例えば、過剰発現されるSDF−1は、配列番号:2と実質的に類似のアミノ酸配列を有し得る。配列番号配列番号:1を実質的に含む配列番号:2は、ヒトSDF−1についてのアミノ酸配列であり、GenBankアクセッション番号NP954637によって同定される。過剰発現されるSDF−1はまた、配列番号:3と実質的に同一であるアミノ酸配列を有し得る。配列番号:3は、ラットSDFについてのアミノ酸配列を含み、GenBankアクセッション番号AAF01066によって同定される。
本発明に従うSDF−1はまた、哺乳動物SDF−1の変異体、例えば哺乳動物SDF−1のフラグメント、類似体および誘導体であり得る。そのような変異体には、例えば天然SDF−1遺伝子の天然に存在する対立遺伝子変異体によってコードされるポリペプチド(すなわち天然に存在する哺乳動物SDF−1ポリペプチドをコードする、天然に存在する核酸)、天然SDF−1遺伝子の選択的スプライシング形態によってコードされるポリペプチド、天然SDF−1遺伝子のホモログまたはオーソログによってコードされるポリペプチド、および天然SDF−1遺伝子の天然には存在しない変異体によってコードされるポリペプチドが含まれる。
SDF−1変異体は、1個以上のアミノ酸において天然SDF−1ポリペプチドとは異なるペプチド配列を有する。そのような変異体のペプチド配列は、SDF−1変異体の1個以上のアミノ酸の欠失、付加または置換を特徴とし得る。アミノ酸挿入は、好ましくは約1から4個の連続するアミノ酸の挿入であり、欠失は、好ましくは約1から10個の連続するアミノ酸の欠失である。変異体SDF−1ポリペプチドは、天然SDF−1の機能活性を実質的に保持する。SDF−1ポリペプチド変異体の例は、サイレント変化または保存的変化を特徴とする本発明の範囲内の核酸分子を発現させることによって作製できる。SDF−1変異体の一例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,405,195号に記載されている。
1つ以上の特定のモチーフおよび/もしくはドメインまたは恣意的な大きさに対応するSDF−1ポリペプチドフラグメントは、本発明の範囲内である。SDF−1の単離されたペプチジル部分は、そのようなペプチドをコードする核酸の対応するフラグメントから組換え生産されたペプチドをスクリーニングすることによって入手できる。例えば、本発明のSDF−1ポリペプチドを、フラグメントのオーバーラップなしで所望の長さのフラグメントに恣意的に分割し得るか、または好ましくは所望の長さのオーバーラップするフラグメントに分割し得る。フラグメントを組換えによって生産し、天然CXCR−4ポリペプチドのアゴニストとして機能することができる、それらのペプチジルフラグメントを同定するために試験することができる。
SDF−1ポリペプチドの変異体には、SDF−1ポリペプチドの組換え形態も含まれ得る。本発明による好ましい組換えポリペプチドは、SDF−1ポリペプチドに加えて、哺乳動物SDF−1をコードする遺伝子の核酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有し得る核酸によってコードされる。
SDF−1変異体には、天然SDF−1の機能活性を構成的に発現するアゴニスト形態のタンパク質が含まれ得る。他のSDF−1変異体には、例えばプロテアーゼ標的配列を変化させる突然変異に起因して、タンパク質分解切断に抵抗性であるものが含まれ得る。ペプチドのアミノ酸配列の変化が天然SDF−1の1つ以上の機能活性を有する変異体を生じさせるか否かは、変異体を天然SDF−1の機能活性に関して試験することによって容易に決定できる。
SDF−1タンパク質をコードするSDF−1核酸は、天然または非天然核酸であり得、RNAの形態またはDNAの形態(例えばcDNA、ゲノムDNAおよび合成DNA)であり得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得、一本鎖である場合は、コード(センス)鎖または非コード(アンチセンス)鎖であってよい。SDF−1をコードする核酸コード配列は、SDF−1遺伝子のヌクレオチド配列、例えば配列番号:4および配列番号:5に示すヌクレオチド配列と実質的に類似であり得る。配列番号:4および配列番号:5は、それぞれ、ヒトSDF−1およびラットSDF−1の核酸配列を含み、GenBankアクセッション番号NM199168およびGenBankアクセッション番号AF189724の核酸配列と実質的に類似である。SDF−1についての核酸コード配列はまた、遺伝暗号の重複性または縮重の結果として、配列番号:1、配列番号:2および配列番号:3と同じポリペプチドをコードする異なるコード配列であり得る。
本発明の範囲内のSDF−1をコードする他の核酸分子は、天然SDF−1の変異体、例えば天然SDF−1のフラグメント、類似体および誘導体をコードするものである。そのような変異体は、例えば天然SDF−1遺伝子の天然に存在する対立遺伝子変異体、天然SDF−1遺伝子のホモログもしくはオーソログ、または天然SDF−1遺伝子の天然には存在しない変異体であってよい。これらの変異体は、1個以上の塩基において天然SDF−1遺伝子とは異なるヌクレオチド配列を有する。例えば、そのような変異体のヌクレオチド配列は、天然SDF−1遺伝子の1個以上のヌクレオチドの欠失、付加または置換を特徴とし得る。核酸挿入は、好ましくは約1から10個の連続するヌクレオチドの挿入であり、欠失は、好ましくは約1から10個の連続するヌクレオチドの欠失である。
他の適用では、構造の実質的な変化を示す変異体SDF−1は、コードされるポリペプチドに保存的変化より少ない変化を生じさせるヌクレオチド置換を行うことによって作製できる。そのようなヌクレオチド置換の例は、(a)ポリペプチド骨格の構造;(b)ポリペプチドの電荷もしくは疎水性;または(c)アミノ酸側鎖のかさ、の変化を生じさせるものである。一般にタンパク質特性に最大の変化を生じさせると予想されるヌクレオチド置換は、コドンに非保存的変化を生じさせるものである。タンパク質構造に重要な変化を生じさせる可能性が高いコドン変化の例は、(a)親水性残基(例えばセリンもしくはトレオニン)による、疎水性残基(例えばロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリンもしくはアラニン)の置換(もしくは疎水性残基による親水性残基の置換);(b)システインもしくはプロリンによる、任意の他の残基の置換(もしくは他の任意の残基によるシステインもしくはプロリンの置換);(c)電気陽性側鎖を有する残基(例えばリシン、アルギニンもしくはヒスチジン)による、電気陰性残基(例えばグルタミンもしくはアスパルチン)の置換(もしくは電気陰性残基による電気陽性側鎖を有する残基の置換);または(d)かさ高い側鎖を有する残基(例えばフェニルアラニン)による、側鎖を有さない残基(例えばグリシン)の置換(もしくは側鎖を有さない残基によるかさ高い側鎖を有する残基の置換)、を生じさせるものである。
本発明の範囲内の天然SDF−1遺伝子の天然に存在する対立遺伝子変異体は、天然SDF−1遺伝子と少なくとも70%の配列同一性を有し、および天然SDF−1ポリペプチドと構造類似性を有するポリペプチドをコードする、哺乳動物組織から単離された核酸である。本発明の範囲内の天然SDF−1遺伝子のホモログは、天然遺伝子と少なくとも70%の配列同一性を有し、および天然SDF−1ポリペプチドと構造類似性を有するポリペプチドをコードする、他の種から単離された核酸である。天然SDF−1遺伝子と高い配列同一性パーセント(例えば70%以上)を有する他の核酸分子を同定するために、公的および/または特許核酸データベースを検索することができる。
天然には存在しないSDF−1遺伝子変異体は、自然界には存在せず(例えば人の手によって作製される)、天然SDF−1遺伝子と少なくとも70%の配列同一性を有し、および天然SDF−1ポリペプチドと構造類似性を有するポリペプチドをコードする核酸である。天然には存在しないSDF−1遺伝子変異体の例は、天然SDF−1タンパク質のフラグメントをコードするもの、ストリンジェントな条件下で天然SDF−1遺伝子または天然SDF−1遺伝子の相補体にハイブリダイズするもの、および天然SDF−1遺伝子または天然SDF−1遺伝子の相補体と少なくとも65%の配列同一性を共有するものである。
本発明の範囲内の天然SDF−1遺伝子のフラグメントをコードする核酸は、天然SDF−1のアミノ酸残基をコードするものである。天然SDF−1のフラグメントをコードする核酸をコードするまたは前記核酸とハイブリダイズするより短いオリゴヌクレオチドは、プローブ、プライマーまたはアンチセンス分子として使用することができる。天然SDF−1のフラグメントをコードする核酸をコードするまたは前記核酸とハイブリダイズするより長いポリヌクレオチドも、本発明の様々な態様において使用することができる。天然SDF−1のフラグメントをコードする核酸は、酵素消化によって(例えば制限酵素を使用して)または全長天然SDF−1遺伝子もしくはその変異体の化学分解によって作製することができる。
前記核酸の1つにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸も、本発明において使用することができる。例えば、そのような核酸は、本発明の範囲内で低ストリンジェンシー条件、中ストリンジェンシー条件または高ストリンジェンシー条件下で前記核酸の1つにハイブリダイズするものであり得る。
SDF−1融合タンパク質をコードする核酸分子も本発明において使用し得る。そのような核酸は、適切な標的細胞に導入された場合、SDF−1融合タンパク質を発現する構築物(例えば発現ベクター)を調製することによって作製できる。例えば、そのような構築物は、適切な発現系におけるその構築物の発現が融合タンパク質を生成するように、インフレームで融合したSDF−1タンパク質をコードする第一ポリヌクレオチドを、別のタンパク質をコードする第二ポリヌクレオチドと連結することによって作製できる。
SDF−1をコードする核酸は、例えば分子の安定性、ハイブリダイゼーション等を改善するために、塩基部分、糖部分またはリン酸骨格で修飾することができる。本発明の範囲内の核酸は、他の付加的な基、例えばペプチド(例えばインビボで標的細胞受容体を標的とするため)、または細胞膜を横断する輸送を促進する作用物質、ハイブリダイゼーション誘発性切断を促進する作用物質等をさらに含み得る。このために、核酸を別の分子(例えばペプチド)、ハイブリダイゼーション誘発性架橋因子、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発性切断剤等に結合し得る。
SDF−1は、創傷に近接する細胞のアポトーシスを軽減し、創傷領域への血管新生を促進し、ならびに創傷閉鎖を加速して創傷の瘢痕化を阻害するために、創傷、創傷の周辺または創傷に近接する細胞に直接投与することができる。SDF−1は、SDF−1タンパク質を創傷もしくは創傷に近接する細胞に投与することによって、またはSDF−1の発現を生じさせる、増大させるおよび/もしくは上方調節する作用物質(すなわちSDF−1剤)を標的細胞に導入することによって、創傷または創傷に近接する細胞に送達することができる。標的細胞において発現されるSDF−1タンパク質は、遺伝的に改変された細胞の発現産物であり得る。標的細胞には、創傷内もしくは創傷の周辺の細胞または治療されている組織と生体適合性であるエクスビボ細胞が含まれ得る。生体適合性細胞には、治療されている被験体から採取される自己細胞および/または生体適合性の同種異系もしくは同系細胞、例えば自己、同種異系もしくは同系幹細胞(例えば間葉系幹細胞)、前駆細胞(例えば多能性成体前駆細胞)および/またはさらに分化した、治療されている組織と生体適合性である他の細胞も含まれ得る。前記細胞には、皮膚移植、骨移植、遺伝子工学的に改変された組織および創傷を治療するために使用される他の組織置換療法において提供される細胞が含まれ得る。
前記作用物質は、細胞に導入されて複製することができる組換え核酸構築物、典型的にはDNA構築物に組み込まれる、本発明に従うおよび上述した、天然または合成核酸を含み得る。そのような構築物は、複製系および所与の標的細胞中でポリペプチドをコードする配列を転写および翻訳することができる配列を含み得る。
他の作用物質も、細胞からのSDF−1の発現を促進するために細胞に導入することができる。例えば、SDF−1をコードする遺伝子の転写を増大させる、SDF−1をコードするmRNAの翻訳を増大させる、および/またはSDF−1をコードするmRNAの分解を減少させる作用物質を、SDF−1タンパク質レベルを増大させるために使用することができる。細胞内の遺伝子からの転写の割合を増大させることは、SDF−1をコードする遺伝子の上流に外因性プロモーターを導入することによって達成できる。異種遺伝子の発現を促進するエンハンサーエレメントも使用し得る。
他の作用物質には、さらに、標的細胞に投与された場合標的細胞からのSDF−1の発現を上方調節することができる他のタンパク質、ケモカインおよびサイトカインが含まれ得る。そのような作用物質には、例えば:間葉系幹細胞(MSC)に投与された場合SDF−1の発現を上方調節することが示されたインスリン様増殖因子(IGF)−1(Circ.Res.2008,Nov.21;103(11):1300−98);成体線維芽細胞に投与された場合SDF−1の発現を上方調節することが示されたソニックヘッジホッグ(Shh)(Nature Medicine,Volume 11,Number 11,Nov.23);ヒト腹膜中皮細胞(HPMC)に投与された場合SDF−1の発現を上方調節することが示されたトランスフォーミング増殖因子β(TGF−β);骨髄間質細胞(BMSC)と混合した一次ヒト骨芽細胞(HOB)およびヒト骨芽細胞様細胞株に投与された場合SDF−1の発現を上方調節することが示されている、IL−1β、PDG−BF、VEGF、TNF−αおよびPTH(Bone,2006,April;38(4):497〜508);骨髄細胞(BMC)に投与された場合発現を上方調節することが示されたチモシンβ4(Curr.Pharm.Des.2007;13(31):3245−51);および骨髄由来前駆細胞に投与された場合SDF−1の発現を上方調節することが示された低酸素誘導因子1α(HIF−1)(Cardiovasc.Res.2008,E.Pub.)が含まれ得る。特定のサイトカインに関してSDF−1の発現を上方調節することができるそのような細胞が存在するまたは投与される場合、これらの作用物質を使用して、特定の創傷または損傷を治療することができる。
作用物質を標的細胞に導入する1つの方法は、遺伝子治療を用いることを含む。本発明に従う遺伝子治療を使用して、インビボまたはインビトロで標的細胞からSDF−1タンパク質を発現させることができる。
本発明の1つの態様では、遺伝子治療は、SDF−1タンパク質をコードするヌクレオチドを含むベクターを使用することができる。「ベクター」(時として遺伝子送達または遺伝子導入「ビヒクル」と称される)とは、インビトロまたはインビボのいずれかで、標的細胞に送達されるべきポリヌクレオチドを含む高分子または分子の複合体を指す。送達されるべきポリヌクレオチドは、遺伝子治療における関心対象のコード配列を含み得る。ベクターには、例えばウイルスベクター(例えばアデノウイルス(Ad)、アデノ随伴ウイルス(AAV)およびレトロウイルス)、リポソームおよび他の脂質含有複合体、ならびに標的細胞へのポリヌクレオチドの送達を媒介することができる他の高分子複合体が含まれる。
ベクターはまた、遺伝子送達および/または遺伝子発現をさらに調節する、または標的細胞に有益な特性を与える他の成分または機能性も含むことができる。そのような他の成分には、例えば細胞への結合または標的化に影響を及ぼす成分(細胞型特異的または組織特異的結合を媒介する成分を含む);細胞によるベクター核酸の取り込みに影響を及ぼす成分;取り込み後の細胞内でのポリヌクレオチドの局在化に影響を及ぼす成分(例えば核局在化を媒介する作用物質);およびポリヌクレオチドの発現に影響を及ぼす成分が含まれる。そのような成分には、マーカー、例えばベクターによって送達された核酸を取り込み、発現している細胞を検出または選択するために使用できる検出マーカーおよび/または選択マーカーも含まれ得る。そのような成分は、ベクターの天然の特徴として提供され得るか(例えば結合および取り込みを媒介する成分もしくは機能性を有する特定のウイルスベクターの使用)、またはそのような機能性を提供するようにベクターを修飾することができる。
選択マーカーは陽性、陰性または二機能性であり得る。陽性選択マーカーは、マーカーを担持する細胞の選択を可能にし、一方陰性選択マーカーは、マーカーを担持する細胞を選択的に除外することを可能にする。二機能性(すなわち陽性/陰性)マーカーを含む、様々なそのようなマーカー遺伝子が記述されている(例えば1992年5月29日公開のLupton,S.、国際公開第92/08796号;および1994年12月8日公開のLupton,S.、国際公開第94/28143号参照)。そのようなマーカー遺伝子は、遺伝子治療の状況において好都合であり得る付加的な制御手段を提供することができる。多種多様なそのようなベクターが当分野で公知であり、一般的に入手可能である。
本発明における使用のためのベクターには、ウイルスベクター、脂質ベースのベクターおよび本発明に従うヌクレオチドを標的細胞に送達することができる他の非ウイルスベクターが含まれる。ベクターは、標的化ベクター、特に創傷に近接する細胞に選択的に結合する標的化ベクターであり得る。本発明における使用のためのウイルスベクターには、標的細胞に対して低い毒性を示し、治療的に有用な量のSDF−1タンパク質の産生を組織特異的に誘導するものが含まれ得る。
ウイルスベクターの例は、アデノウイルス(Ad)またはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するものである。ヒトウイルスベクターおよび非ヒトウイルスベクターの両方を使用することができ、組換えウイルスベクターはヒトにおいて複製欠損であり得る。ベクターがアデノウイルスである場合、そのベクターは、SDF−1タンパク質をコードする遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターを有するポリヌクレオチドを含むことができ、ヒトにおいて複製欠損である。
本発明に従って使用できる他のウイルスベクターには、単純ヘルペスウイルス(HSV)に基づくベクターが含まれる。1つ以上の前初期遺伝子(IE)を欠失したHSVベクターは、一般に非細胞傷害性であり、標的細胞中で潜伏期と同様の状態で存続し、効率的な標的細胞の形質導入をもたらすため、好都合である。組換えHSVベクターは約30kbの異種核酸を組み込むことができる。
レトロウイルス、例えばC型レトロウイルスおよびレンチウイルスも本発明において使用し得る。例えば、レトロウイルスベクターはマウス白血病ウイルス(MLV)に基づき得る。例えばHu and Pathak,Pharmacol.Rev.52:493〜511,2000およびFong et al.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.17:1〜60,2000参照。MLVベースのベクターは、ウイルス遺伝子の代わりに8kbまでの異種(治療用)DNAを含有し得る。異種DNAには、組織特異的プロモーターおよびSDF−1核酸が含まれ得る。創傷に近接する細胞への送達の方法において、異種DNAは組織特異的受容体に対するリガンドをコードしてもよい。
使用し得るさらなるレトロウイルスベクターは、ヒト免疫不全(HIV)ベースのベクターを含む、複製欠損レンチウイルスベースのベクターである。例えばVigna and Naldini,J.Gene Med.5:308〜316,2000およびMiyoshi et al.,J.Virol.72:8150〜8157,1998参照。レンチウイルスベクターは、活発に分裂している細胞と分裂していない細胞の両方に感染することができるという点で好都合である。それらはまた、ヒト上皮細胞に形質導入するのにも極めて効率的である。
本発明における使用のためのレンチウイルスベクターは、ヒトおよび非ヒト(SIVを含む)レンチウイルスに由来し得る。レンチウイルスベクターの例には、ベクター増殖のために必要な核酸配列ならびにSDF−1遺伝子に作動可能に連結された組織特異的プロモーターが含まれる。これらの前者は、ウイルスLTR、プライマー結合部位、ポリプリン配列、att部位およびキャプシド形成部位を含有し得る。
レンチウイルスベクターは、任意の適切なレンチウイルスキャプシドにパッケージングし得る。ある粒子タンパク質の、異なるウイルス由来の別の粒子タンパク質による置換は、「偽型化」と称される。ベクターキャプシドは、マウス白血病ウイルス(MLV)または水疱性口内炎ウイルス(VSV)を含む、他のウイルス由来のウイルスエンベロープタンパク質を含有し得る。VSV Gタンパク質の使用は、高いベクター力価を生じさせ、ベクターウイルス粒子のより大きな安定性をもたらす。
アルファウイルスベースのベクター、例えばセムリキ森林ウイルス(SFV)およびシンドビスウイルス(SIN)から作製されるものも本発明において使用し得る。アルファウイルスの使用は、Lundstrom,K.,Intervirology 43:247〜257,2000およびPerri et al.,Journal of Virology 74:9802〜9807,2000に記載されている。
組換え複製欠損アルファウイルスベクターは、高レベルの異種(治療用)遺伝子発現の能力を有し、広範囲の標的細胞に感染することができるため、好都合である。アルファウイルスレプリコンは、それらのビリオン表面に、コグネイト結合パートナーを発現する標的細胞への選択的結合を可能にする機能的異種リガンドまたは結合ドメインを提示することによって特定の細胞型に標的化され得る。アルファウイルスレプリコンは、標的細胞中で潜伏性、それゆえ長期の異種核酸発現を確立し得る。レプリコンはまた、標的細胞中で一過性の異種核酸発現も示し得る。
本発明の方法と適合性のウイルスベクターの多くでは、2個以上の異種遺伝子がベクターによって発現されることを可能にするために2つ以上のプロモーターがベクター中に含まれ得る。さらに、ベクターは、標的細胞からのSDF−1遺伝子産物の分泌を促進するシグナルペプチドまたは他の部分をコードする配列を含むことができる。
2つのウイルスベクター系の好都合な特性を組み合わせるために、ハイブリッドウイルスベクターを使用して、SDF−1核酸を標的組織に送達し得る。ハイブリッドベクターの構築のための標準的な技術は当業者に周知である。そのような技術は、例えばSambrook,et al.,In Molecular Cloning:A laboratory manual.Cold Spring Harbor,N.Y.または組換えDNA技術を論じた多くの実験室マニュアルにおいて見出すことができる。AAVとアデノウイルスITRの組合せを含むアデノウイルスキャプシド中の二本鎖AAVゲノムを使用して、細胞に形質導入し得る。別の変法では、AAVベクターを「ガットレス」、「ヘルパー依存性」または「高能力」アデノウイルスベクターに入れてもよい。アデノウイルス/AAVハイブリッドベクターは、Lieber et al.,J.Virol.73:9314〜9324,1999の中で論じられている。レトロウイルス/アデノウイルスハイブリッドベクターは、Zheng et al.,Nature Biotechnol.18:176〜186,2000において論じられている。アデノウイルス内に含まれるレトロウイルスゲノムは、標的細胞ゲノム内に組み込まれて、安定なSDF−1遺伝子発現を生じさせ得る。
SDF−1遺伝子の発現およびベクターのクローニングを促進する他のヌクレオチド配列エレメントがさらに企図される。例えば、プロモーターの上流のエンハンサーの存在またはコード領域の下流のターミネーターの存在は、例えば発現を促進することができる。
本発明の別の態様に従って、組織特異的プロモーターをSDF−1遺伝子に融合させることができる。アデノウイルス構築物内のそのような組織特異的プロモーターを融合させることにより、導入遺伝子発現が特定の組織に限定される。組織特異的プロモーターによって提供される遺伝子発現の有効性および特異性の程度は、本発明の組換えアデノウイルス系を用いて決定することができる。
ウイルスベクターに基づく方法に加えて、非ウイルス法も、SDF−1核酸を標的細胞に導入するために使用し得る。遺伝子送達の非ウイルス法の総説は、Nishikawa and Huang,Human Gene Ther.12:861〜870,2001において提供されている。本発明による非ウイルス遺伝子送達法の一例は、SDF−1核酸を細胞に導入するためにプラスミドDNAを用いる。プラスミドに基づく遺伝子送達法は、一般に当分野において公知である。
プラスミドDNAとの多分子凝集体を形成するように合成遺伝子導入分子を設計することができる。これらの凝集体は、標的細胞に結合するように設計することができる。リポポリアミンを含むカチオン性両親媒物質およびカチオン性脂質を使用して、標的細胞(例えば心筋細胞)への受容体非依存性SDF−1核酸導入を提供し得る。加えて、予め形成したカチオン性リポソームまたはカチオン性脂質をプラスミドDNAと混合して、細胞トランスフェクト複合体を生成してもよい。カチオン性脂質製剤を含む方法は、Feigner et al.,Ann N.Y.Acad.Sci.772:126〜139,1995およびLasic and Templeton,Adv.Drug Delivery Rev.20:221〜266,1996において総説されている。遺伝子送達のために、DNAを両親媒性カチオン性ペプチドに結合してもよい(Fominaya et al.,J.Gene Med.2:455〜464,2000)。
ウイルスおよび非ウイルスベースの成分の両方を含む方法を本発明に従って使用し得る。例えば、治療用遺伝子送達のためのエプスタイン−バーウイルス(EBV)ベースのプラスミドが、Cui et al.,Gene Therapy 8:1508〜1513,2001に記載されている。さらに、アデノウイルスに結合したDNA/リガンド/ポリカチオン性付加物を含む方法が、Curiel,D.T.,Nat.Immun.13:141〜164,1994に記載されている。
さらに、電気穿孔技術を用いて標的細胞をトランスフェクトすることによってSDF−1核酸を標的細胞に導入することができる。電気穿孔技術は周知であり、プラスミドDNAを用いた細胞のトランスフェクションを促進するために使用することができる。
SDF−1の発現をコードするベクターは、必要に応じて、生理食塩水などの医薬的に許容される担体を含有する注射用製剤の形態で標的細胞に送達することができる。他の医薬担体、製剤および投与量も、本発明に従って使用することができる。一部の実施形態では、配列番号:6の配列を有するSDF−1をコードするDNAプラスミドを標的細胞に送達することができる。
標的細胞が治療されている創傷に近接する細胞を含む場合、ベクターを、極めて有効な治療法を可能にする程度にSDF−1タンパク質を発現させるのに十分な量で直接注射によって送達することができる。ベクターを創傷に直接または創傷の周辺に注射することにより、ベクタートランスフェクションをかなり有効に標的化し、組換えベクターの喪失を最小限にすることが可能である。この種の注射は、特に創傷付近の、所望数の細胞の局所トランスフェクションを可能にし、それによって遺伝子導入の治療効果を最大化して、ウイルスタンパク質に対する炎症応答の可能性を最小限に抑える。一部の実施形態では、注射は針を用いて実施し得る。一部の実施形態では、注射は無針皮膚注射として実施し得る。
標的細胞が、その後創傷に移植される培養細胞(例えば組織移植片)である場合、ベクターを培地へ直接注射することによって送達することができる。細胞にトランスフェクトするSDF−1核酸は、調節配列に作動可能に連結し得る。
トランスフェクトした標的細胞を、次に、移植片移植などの周知の移植技術によって創傷に移植することができる。標的細胞を最初にインビトロでトランスフェクトし、次にトランスフェクトした標的細胞を創傷に移植することにより、創傷に近接する細胞へのベクターの直接注射と比較して、創傷に近接する組織における炎症応答の可能性が最小限に抑えられる。
SDF−1は、標的細胞内で任意の適切な長さの時間発現させることができ、一過性発現および安定な長期発現が含まれる。本発明の1つの態様では、SDF−1核酸を、創傷に近接する細胞におけるアポトーシスを軽減するおよび/または幹細胞もしくは前駆細胞の創傷へのホーミングを促進するのに有効な規定された長さの時間にわたって治療量で発現させる。この時間量は、創傷の治癒を促進する、創傷の閉鎖を加速するおよび/または瘢痕形成を阻害するのに有効な量であり得る。
治療量は、治療される動物またはヒトにおいて医学的に所望の結果を生じさせることができる量である。医学技術分野で周知のように、ある任意の動物またはヒトについての投与量は、被験体の大きさ、体表面積、年齢、投与される特定の組成物、性別、投与の時間および経路、全般的な健康状態、ならびに同時に投与される他の薬剤を含む多くの因子に依存する。タンパク質および核酸の特定の投与量は、以下で述べる実験方法を用いて当業者によって容易に決定され得る。
標的細胞からのSDF−1の発現を生じさせる、増大させるおよび/または上方調節するSDF−1タンパク質または作用物質を、創傷の細胞、創傷に近接する細胞、またはそのままもしくは医薬組成物中で創傷に投与される細胞(例えばSDF−1を発現するようにトランスフェクトされたMSC)に投与することができる。医薬組成物は、創傷に近接する細胞、治療される細胞または創傷に投与される細胞への、SDF−1またはSDF−1剤の局所的な放出を提供することができる。本発明に従う医薬組成物は、一般に、意図される用途に依存して、様々な最終濃度を与えるように、滅菌水溶液などの許容される医薬希釈剤または賦形剤と混合した一定量のSDF−1またはSDF−1剤を含有する。調製の技術は、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Ed.Mack Publishing Company,1980に例示されるように一般に当分野において周知である。さらに、ヒトの投与に関しては、調製物は、FDA生物学的基準局(FDA Office of Biological Standards)によって要求される無菌性、発熱原性、一般的安全性および純度基準を満たすべきである。
医薬組成物は、単位投与注射形態(例えば溶液、懸濁液および/または乳剤)であり得る。注射用に使用できる医薬製剤の例には、滅菌水溶液または分散液および滅菌注射用溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末が含まれる。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、これらの適切な混合物および植物油を含有する溶媒または分散媒であり得る。
適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合は必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。非水性ビヒクル、例えば綿実油、ゴマ油、オリーブ油、ダイズ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油または落花生油、およびミリスチン酸イソプロピルなどのエステルも、化合物組成物のための溶媒系として使用し得る。
さらに、抗菌防腐剤、抗酸化剤、キレート剤および緩衝剤を含む、組成物の安定性、無菌性および等張性を増強する様々な添加剤を添加することができる。様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等によって微生物の作用の防止を確保することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖類、塩化ナトリウム等を含有することが望ましい。吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によって注射用医薬形態の持続的な吸収をもたらすことができる。本発明によれば、しかし、使用されるいかなるビヒクル、希釈剤または添加剤も、本発明の化合物と適合性でなければならない。
滅菌注射用溶液は、本発明を実施する際に利用される化合物を、所望に応じて様々な量のその他の成分と共に、必要な量の適切な溶媒中に組み込むことによって調製できる。
医薬「徐放性」カプセルまたは「持続放出性」組成物もしくは調製物を使用してもよく、これらは一般に適用可能である。徐放性製剤は、一般に長期間にわたって一定な薬剤レベルを与えるように設計され、SDF−1またはSDF−1剤を送達するために使用し得る。徐放性製剤は、典型的には創傷部位の近傍、例えば創傷中または創傷付近のCXCR4および/またはCXCR7を発現する細胞の部位に移植する。
持続放出性調製物の例には、SDF−1またはSDF−1剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、前記マトリックスは、成形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態である。持続放出性マトリックスの例には、ポリエステル;ヒドロゲル、例えばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール);ポリラクチド、例えば米国特許第3,773,919号;L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートのコポリマー;非分解性エチレン−酢酸ビニル;分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから成る注射用ミクロスフェア);ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。
エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーは、100日間を超える分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲルは、より短期間タンパク質を放出する。カプセル化した場合、SDF−1またはSDF−1剤は長時間にわたって体内にとどまることができ、37℃で水分に曝露される結果として変性または凝集し、したがって生物活性が低下し得るおよび/または免疫原性が変化し得る。関与する機構に依存して、安定化のために合理的な戦略が利用可能である。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交換を介した分子間S−S結合形成を含む場合、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥して、水分含量を調節し、適切な添加剤を使用して、特定のポリマーマトリックス組成物を開発すること等によって達成される。
特定の実施形態では、リポソームおよび/またはナノ粒子も、SDF−1またはSDF−1剤と共に使用し得る。リポソームの形成および使用は、以下に要約するように、一般に当業者に公知である。
リポソームは、水性媒質中に分散したリン脂質から形成され、多層同心性二重層小胞(多層小胞(MLV)とも称される)を自発的に形成する。MLVは、一般に25nm〜4μmの直径を有する。MLVの超音波処理は、コアに水溶液を含有する、200〜500Åの範囲の直径を有する小型単層小胞(SUV)の形成をもたらす。
リン脂質は、脂質と水のモル比に依存して、水中に分散した場合、リポソーム以外の様々な構造を形成することができる。低い比率では、リポソームが好ましい構造である。リポソームの物理特性は、pH、イオン強度および二価カチオンの存在に依存する。リポソームは、イオン性物質および極性物質に対して低い透過性を示し得るが、高温ではその透過性を著しく変化させる相転移を受ける。相転移は、ゲル状態として知られる、密に詰め込まれた規則正しい構造から、流体状態として知られる、ゆるく詰め込まれたより規則正しくない構造への変化を含む。これは、特有の相転移温度で起こり、イオン、糖類および薬剤に対する透過性の上昇をもたらす。
リポソームは4つの異なる機構を介して細胞と相互作用する:マクロファージおよび好中球などの細網内皮系の食細胞によるエンドサイトーシス;非特異的な弱い疎水性力もしくは静電力のいずれかによる、または細胞表面成分との特異的相互作用による、細胞表面への吸着;リポソーム内容物の細胞質への同時放出を伴う、形質膜へのリポソームの脂質二重層の挿入による形質細胞膜との融合;ならびにリポソーム内容物の会合を伴わない、リポソーム脂質の細胞膜もしくはオルガネラ膜への輸送、またはその逆の輸送。リポソーム製剤を変化させることにより、いずれの機構が作動するかを変化させることができるが、2つ以上の機構が同時に作動し得る。
ナノカプセルは、一般に安定で再現性のある方法で化合物を封入することができる。細胞内ポリマーの過負荷による副作用を回避するため、そのような超微粒子(約0.1μmの大きさ)は、インビボで分解され得るポリマーを使用して設計されるべきである。これらの要件を満たす生分解性ポリアルキル−シアノアクリレートナノ粒子が本発明の方法における使用のために企図され、そのような粒子は容易に作製し得る。
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、医薬的に許容される担体は任意の適切な形態(例えば固体、液体、ゲル等)であり得る。固体担体は、希釈剤、着香剤、結合剤、防腐剤および/または封入剤としても働き得る1つ以上の物質であり得る。
本発明の別の態様では、SDF−1またはSDF−1剤は、表面創傷を治療するための局所投与用に製剤化することができる。局所製剤には、皮膚の少なくとも1つの層(すなわち表皮、真皮および/または皮下層)がSDF−1またはSDF−1剤と接触するように口(口腔)を介した送達および皮膚への送達用のものが含まれる。本発明の局所製剤を投与するために局所送達システムを使用し得る。
皮膚への局所投与のための製剤には、医薬的に許容される担体中で投与されるSDF−1またはSDF−1剤を含有する軟膏、クリーム、ゲルおよびペーストが含まれ得る。局所製剤は、当業者に周知のように、油性または水溶性軟膏基剤を使用して調製することができる。例えば、これらの製剤は、植物油、獣脂、およびより好ましくは石油から得られる半固体炭化水素を含み得る。使用される特定の成分には、白色軟膏、黄色軟膏、セチルエステルワックス、オレイン酸、オリーブ油、パラフィン、ワセリン、白色ワセリン、鯨ろう、グリセリンデンプン、白ろう、黄ろう、ラノリン、無水ラノリンおよびモノステアリン酸グリセリルが含まれ得る。例えばグリコールエーテルおよび誘導体、ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリオキシル40およびポリソルベートを含む、様々な水溶性軟膏基剤も使用し得る。
本発明の別の態様では、SDF−1またはSDF−1剤を、SDF−1またはSDF−1剤の創傷への送達のために基質、固体支持体および/もしくは創傷包帯中で、ならびに/または基質、固体支持体および/もしくは創傷包帯上で提供することができる。本明細書で使用する場合、「基質」または「固体支持体」および「創傷包帯」という用語は、保護、吸収、ドレナージ等のために創傷用に調製され、創傷に適用される場合、広く任意の基質を指す。本発明は、フィルム(例えばポリウレタンフィルム)、親水コロイド(ポリウレタンフォームに結合した親水コロイド粒子)、ヒドロゲル(少なくとも約60%の水を含む架橋ポリマー)、発泡体(親水性または疎水性)、アルギン酸カルシウム(アルギン酸カルシウムからの繊維の不織布複合材料)およびセロハン(可塑剤を含有するセルロース)を含む、市販されている数多くの種類の基質および/または裏当ての任意の1つを含み得る。創傷の形状および大きさを測定し、測定に基づく正確な部位に合わせて作製した創傷包帯を創傷に提供し得る。創傷部位は機械的強度、厚さ、感受性等に関して異なり得るので、基質は、特に部位の機械的および/または他の必要性に対処するように形作ることができる。例えば、高度に神経分布する場所、例えば指先については基質の厚さを最小限にし得る。他の創傷部位、例えば指、足首、膝、肩等はより高い機械的ストレスに曝露され、多層の基質を必要とし得る。
一例では、基質は、ポリマーマトリックスおよびマトリックス中に分散したSDF−1またはSDF−1剤を含む生体吸収性インプラントであり得る。ポリマーマトリックスは、膜、スポンジ、ゲルまたは任意の他の望ましい形状であり得る。ポリマーマトリックスは、生分解性ポリマーから形成することができる。しかし、ポリマーマトリックスは無機または有機複合材料を付加的に含み得ることが認識される。ポリマーマトリックスは、例えばキトサン、ポリエチレンオキシド、ポリ乳酸、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリメタクリル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリ(p−スチレンスルホン酸)、ポリビニルスルホン酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリ無水物、ポリ(L−リシン)、ポリ(L−グルタミン酸)、ポリ(γ−グルタミン酸)、ポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリアミド、ポリヒドロキシル酸、ポリスルホン、ポリアミン、ポリサッカリド。ポリHEMA、ポリ無水物、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン(GAG)、ポリヒアルロン酸、ポリアルギン酸ナトリウム、アルギネート、ヒアルロナン、アガロース、ポリヒドロキシブチレート(PHB)等を含む公知の材料のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むことができる。
当業者は任意の望ましい形状、構造または密度のポリマーマトリックスを創出し得ることが認識される。例えばポリマー濃度、溶媒濃度、加熱温度、反応時間および他のパラメータを変化させることにより、当業者は任意の所望の物理特性を有するポリマーマトリックスを創出することができる。例えば、ポリマーマトリックスを様々な密度のスポンジ様構造に形成し得る。ポリマーマトリックスは、その後創傷を包み込むまたは創傷に合わせて形作ることができる膜またはシートにも形成し得る。ポリマーマトリックスはまた、ゲル、メッシュ、プレート、ねじ、栓または棒としても作製し得る。ポリマーマトリックスの想定されるあらゆる形状または形態は本発明の範囲内である。本発明の一例では、ポリマーマトリックスにはアルギネートマトリックスが含まれ得る。
本発明の別の態様では、少なくとも1つの前駆細胞をポリマーマトリックス中で提供することができる。前駆細胞の例は、全能性幹細胞、多能性幹細胞(pluripotent stem cell)、多能性幹細胞(multipotent stem cell)、間葉系幹細胞、神経幹細胞、造血幹細胞、膵幹細胞、心筋幹細胞、胚性幹細胞、神経冠幹細胞、腎幹細胞、肝幹細胞、肺幹細胞、血管芽細胞および血管内皮前駆細胞から選択することができるが、これらに限定されない。前駆細胞のさらなる例は、脱分化軟骨形成細胞、筋形成細胞、骨原性細胞、腱形成細胞、靭帯形成細胞、脂質生成細胞および皮膚形成細胞から選択することができるが、これらに限定されない。
本発明のポリマーマトリックスに、少なくとも1つの前駆細胞およびSDF−1またはSDF−1剤を接種し得る。SDF−1またはSDF−1剤をマトリックス中に分散させるおよび/または接種した前駆細胞から発現させることができる。前駆細胞には自己細胞が含まれ得る;しかし、異種、同種異系または同系細胞も使用し得ることが認識される。細胞が自己細胞ではない場合、免疫拒絶反応を最小限に抑えるために免疫抑制剤を投与することが望ましいと考えられる。使用する前駆細胞は、初代細胞、外植片または細胞株であり得、分裂中の細胞または非分裂細胞であってよい。前駆細胞を、ポリマーマトリックスへの導入の前にエクスビボで増殖させ得る。十分な数の生細胞が宿主から採取できない場合、好ましくは自己細胞をこのような方法で増殖させる。
SDF−1またはSDF−1剤はまた、内傷および/または外傷を治療するために使用される医療装置中または医療装置の表面上で提供することもできる。医療装置には、任意の器具、用具、機械、装置、インプラント、または部品もしくはパーツを含む他の類似のもしくは関連する製品、または、例えば公式米国国民医薬品集、米国薬局方またはその何らかの補遺において認められており;ヒトまたは他の動物での、疾患もしくは他の状態の診断における、または疾患の治癒、軽減、治療もしくは予防における使用を意図されており;またはヒトもしくは他の動物の身体の構造もしくは何らかの機能に影響を及ぼすことを意図されており、およびヒトまたは他の動物の体内または身体上への化学的作用を通してその主たる使用目的のいずれかを達成するのではなく、およびその主たる使用目的のいずれかの達成のために代謝されることに依存しない、付属品が含まれ得る。
医療装置には、例えば、冠動脈内医療装置などの血管内医療装置が含まれ得る。冠動脈内医療装置の例には、ステント、薬剤送達カテーテル、移植片、および被験体の血管系で利用される薬剤送達バルーンが含まれ得る。医療装置がステントを含む場合、ステントは、末梢ステント、末梢冠動脈ステント、分解性冠動脈ステント、非分解性冠動脈ステント、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステントおよび食道ステントを包含し得る。医療装置には、動静脈移植片、バイパス移植片、陰茎インプラント、血管インプラントおよび移植片、静脈内カテーテル、小径移植片、人工肺カテーテル、電気生理学カテーテル、骨ピン、縫合アンカー、血圧およびステントグラフトカテーテル、乳房インプラント、良性前立腺過形成および前立腺癌インプラント、骨修復/増強装置、乳房インプラント、整形外科用関節インプラント、歯科インプラント、埋め込み型薬剤注入管、腫瘍用インプラント、疼痛管理インプラント、神経系カテーテル、中心静脈アクセスカテーテル、カテーテルカフ、血管アクセスカテーテル、泌尿器カテーテル/インプラント、アテレクトミーカテーテル、血餅抽出カテーテル、PTAカテーテル、PTCAカテーテル、スタイレット(血管および非血管)、薬剤注入カテーテル、血管造影用カテーテル、血液透析カテーテル、神経血管バルーンカテーテル、胸腔吸引ドレナージカテーテル、電気生理学カテーテル、脳卒中治療カテーテル、膿瘍ドレナージカテーテル、胆道ドレナージ製品、透析カテーテル、中心静脈アクセスカテーテル、ならびにパレンタルフィーディングカテーテルも含まれ得る。
医療装置にはさらに、埋め込み型ペースメーカーまたは除細動器、血管移植片、括約筋装置、尿道装置、膀胱装置、腎臓装置、胃腸および吻合装置、椎間板、止血バリア、クランプ、外科用ステープル/縫合糸/スクリュー/プレート/ワイヤー/クリップ、グルコースセンサー、血液酸素付加装置管類、血液酸素付加装置膜、血液バッグ、バースコントロール/IUDおよび関連妊娠調節装置、軟骨修復装置、整形外科的骨折修復装置、組織足場、CSFシャント、歯科的骨折修復装置、硝子体内薬剤送達装置、神経再生導管、電気刺激リード、脊髄/整形外科的修復装置、創傷包帯、塞栓保護フィルタ、腹部大動脈瘤移植片および装置、神経動脈瘤治療コイル、血液透析装置、子宮出血パッチ、吻合部閉鎖、動脈瘤除去装置、ニューロパッチ、大静脈フィルタ、泌尿器拡張器、内視鏡手術および創傷ドレーン、外科用組織抽出器、移行シースおよび拡張器、冠動脈および末梢ガイドワイヤ、循環補助システム、鼓膜切開術通気管、脳脊髄液シャント、除細動器リード、経皮的閉鎖装置、ドレナージ管、気管支チューブ、血管コイル、血管保護装置、血管フィルタおよび遠位支持装置および塞栓フィルタ/取り込み補助器具を含む血管介入装置、AVアクセス移植片、外科用タンポン、心臓弁、ならびに骨移植片および皮膚移植片などの三次元人工組織が含まれ得る。
以下の実施例は説明だけを目的とするものであり、本明細書に付属する特許請求の範囲を限定することを意図しない。
実施例1−アルギネート足場における間質細胞由来因子1の放出:特性づけおよび創傷治癒を加速する能力
我々は、SDF−1タンパク質またはプラスミドのいずれかの徐放性送達が創傷治癒へのその有効性を増大させると仮定した。それゆえ、我々は、ブタ急性手術創傷にSDF−1を長期間送達するための臨床的に重要な送達システムであるアルギネート足場を使用した。我々は、アルギネート足場をインビトロで使用してSDF−1送達を特性づけ、SDF−1タンパク質およびプラスミドを急性手術創傷に送達するためにこの足場を使用することによるインビボでの治療的利益の潜在的可能性を明らかにした。
インビボ適用のための足場の調製
インビボ適用のために、特注の1cm×6cmのアルギネート足場を上述したのと同じ工程によって生成した。次に、以下で述べる工程によって足場をSDF−1プラスミド(n=6)、SDF−1タンパク質(n=10)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(n=4)に負荷した。
SDF−1プラスミド足場のために、ヒトSDF−1をコードする遺伝子をpcDNA3.1骨格(Invitrogen Corporation,Carlsbad,Calif.)に挿入することによってプラスミドを作製した。PBS 2.33ml中にSDF−1プラスミド3.5mを混合して1.5mg/ml溶液を生成することによって負荷溶液を調製した。各々の足場に関して、負荷溶液を、各1滴が足場の1cm×1cmの面積を覆うように等しい間隔で60μlの6滴(合計360μl)として無菌条件下で足場にピペットで分注した。
SDF−1タンパク質足場については、担体不含のSDF−1タンパク質(R&D systems,Minneapolis,Minn.)10μgをPBS 5mLおよび1000IU/mlの注射用ヘパリン(Baxter Healthcare Corporation,Deerfield,Ill.)3mlと混合して1.5μg/ml溶液を生成することによって負荷溶液を調製した。各々の足場に関して、負荷溶液を、等しい間隔の60μlの6滴として無菌条件下で足場にピペットで分注した。
PBS足場を陰性対照として使用した。PBS 1.35mLと1000IU/mlの注射用ヘパリン0.45mlを混合することによって負荷溶液を調製した。負荷溶液を、等しい間隔の60μlの6滴として無菌条件下で足場にピペットで分注した。
すべての負荷した足場を、創傷に適用する前に4℃で12時間保存した。
ブタ手術創傷治癒モデルおよび死前フォローアップ
2匹の飼育ヨークシャーブタにおいて、全身麻酔を誘導した。カフ付き気管内チューブを設置し、換気補助付き再呼吸システムを通して酸素中で送達したイソフルランで全身麻酔を維持した。急性手術創傷の標準モデルを使用した。各動物に、約7.5cmの間隔を置いて12の5cm全層切開(脊柱の各々の側に6ずつ)を作製した。各々の切開は脊柱に対して垂直に作製し、脊柱から7.5cmのところから出発して、腹部に向かって切断した。出血が止まるまで切開部にガーゼを置いた。ガーゼを取り除き、切開を縫合して閉じた。
創傷閉鎖後、足場を創傷の隣に置き、写真撮影した(図1)。各々のブタに関して、足場の設置順序を以下のような分布で無作為化した:
・SDF−1タンパク質足場(n=5)
・SDF−1プラスミド足場(n=3)
・PBS足場(対照、n=2)
・足場なし(疑似、n=2)
足場を創傷の上に置き(疑似群を除く)、各創傷をTegaderm(商標)パッチで手当てした。
創傷治癒率へのSDF−1の作用を決定するため、同じ獣医が0日目(足場設置の前)および犠死の前に創傷の長さを測定した。創傷の長さを以下の関係式によって治癒パーセントに変換した:
(初期創傷長−最終創傷長)/初期創傷長×100%
創傷治癒へのSDF−1の急性および慢性作用を観測するため、4日目に犠死させた1番目のブタにおいて急性作用を評価し、9日目に犠死させた2番目のブタにおいて慢性作用を評価した。
死後フォローアップ
犠死後、組織病理学的および免疫組織化学的分析のために各創傷部位の中心から1つの切片を切り出した。標準的なヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色を使用して、4日目に線維増殖の程度、炎症および壊死を評価し、9日目に壊死、線維症および肉芽性炎を評価した。各パラメータを、盲検によりランダム化された組織病理学者が定性的スケールに関して以下のいずれかに分類した:なし(存在せず)、最小、軽度、中程度または重度。同じ組織切片に関して免疫組織化学染色を実施した。創傷内への線維芽細胞浸潤に対するSDF−1の作用をビメンチン染色によって検出した。血管形成への作用をCD31によって決定し、平滑筋の存在を平滑筋アクチン染色によって検出した。試料当たりの各染色の量を、上記と同じ定性的スケール(最小...重度)を用いて同じ病理学者が採点した。
創傷治癒へのSDF−1放出足場の影響を図1および図2にも示している。図1は、0日目(上のパネル)および9日目(下のパネル)の対照(PBS)足場、SDF−1タンパク質足場およびSDF−1プラスミド足場で処置した創傷の代表的な例を示す。すべての全層切開創傷(中央)は、5.0±0.1cmの長さを有する。
9日目に、対照足場で処置した創傷はまだはっきり見えており、0%の治癒パーセントを有する。これに対し、SDF−1タンパク質およびSDF−1プラスミドで処置した創傷はどちらも9日目にはもはや目に見えず、いずれも100%の治癒パーセントを有する。
図2は、すべての処置創傷についての治癒パーセントデータを要約する。4日目のデータは1番目のブタからであり、9日目のデータは2番目のブタからである。9日目に、SDF−1プラスミドまたはタンパク質足場のいずれか(黒いマーカーおよび実線)で処置した創傷は、対照または疑似群(白いマーカーおよび点線)よりも大きな程度に治癒していた。特に、3つのSDF−1プラスミド処置創傷の1つおよび5つのSDF−1タンパク質処置創傷の2つは9日目に100%治癒しており、一方対照または疑似創傷では、9日目に20%を超えて治癒したものはない。
我々は、線維芽細胞浸潤、新血管形成および平滑筋へのSDF−1の影響を、それぞれビメンチン、CD31および平滑筋アクチンの免疫組織化学染色を用いて検討した。群間でいずれの染色の量にも実質的な差は存在しない。H & E分析は、対照または疑似と比較してSDF−1タンパク質およびプラスミド処置創傷において線維症のわずかな減少を示し、他のすべてのパラメータは同様であった。結果を以下の表に示す。
結果を以下の表に示す。
Figure 2016516071
Figure 2016516071
Figure 2016516071
Figure 2016516071
実施例2−デュロック種赤ブタにおける創傷治癒および瘢痕減少の評価
過形成性瘢痕の広く認められたモデルである、デュロック種赤ブタにおいて創傷治癒および瘢痕修復を促進するSDF−1の能力を評価するために試験を実施した。各動物に、背側正中線の各々の側に5〜6の全層切除創傷を作製した。次に創傷をファスナーで閉じ、SDF−1をコードするプラスミド(JVS−100)または対照ビヒクルを創傷の付近に皮下注射した。図3に示すように、総瘢痕容積(A)、瘢痕の最大高さ(B)および瘢痕表面積(C)は、創傷が発生した28日後にJVS−100で処置した被験体に関してすべて減少した。さらに、マンチェスター瘢痕スケール(MSS)での色、質感および平均スコアはすべて改善した(図4および5)。発生の90日後の創傷の評価からの対応する結果は、SDF−1処置創傷に関して約40%の改善を示した(図6(A〜E))。
実施例3-外科的閉鎖直後のSDF−1過剰発現はヒト患者において瘢痕形成を最小限に抑える
開心術後の胸骨創傷の周縁に送達されたSDF−1をコードするプラスミドが患者において創傷治癒を改善し、瘢痕形成を低減することができるかどうかを判定するために、盲検無作為化用量漸増試験を実施した。26名の患者を無作為化し、胸骨損傷に沿ってJVS−100またはプラセボを投与した。各コホートにおいて、無針皮膚注射によって2名にはプラセボを投与し、6名にはJVS−100を投与した。三次元画像化および患者と医師の質問票を使用して、1か月目に安全性を評価し、創傷閉鎖および美容に関する効果を6か月まで評価した。現在まで、すべての試験者が盲検化されたままである。6か月のフォローアップを完了した患者(1番目のコホートおよび2番目のコホートの半数)の完全なデータセットに対する最小二乗適合の中間解析は、手術の6か月後に、瘢痕幅(プラセボ:35.9mm対コホート1:18.5mm、P<0.0001)および瘢痕異常容積(P:13.9ml対1.4ml、P<0.0001)の用量依存的減少を明らかにする。瘢痕の患者評価の総合視覚的アナログスケールは、プラセボと比較してコホート1において切開外観の有意の改善(p<0.0001)を示した;しかし、医師および患者のマンチェスター瘢痕スケール評価は、瘢痕外観の有意の改善を明らかにしなかった。これらの結果は、JVS−100がヒト被験体において外科的切開の治癒を有意に促進し、瘢痕形成を最小限に抑えることができることを示唆する。
本発明の上記説明から、当業者は改善、変更および修正を認識する。当分野の技術範囲内であるそのような改善、変更および修正は、付属の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。本明細書で引用するすべての特許、特許出願および公表文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
関心対象の配列
配列番号1
KPVSLLYRCPCRFFESHVARANVKHLKILNTPNCALQIVARLKNNNRQVCIDPKLKWIQEYLEKALNK
配列番号2
MNAKVVVVLVLVLTALCLSDGKPVSLSYRCPCRFFESHVARANVKHLKILNTPNCALQIVARLKNNNRQVCIDPKLKWIQEYLEKALNK
配列番号3
MDAKVVAVLALVLAALCISDGKPVSLSYRCPCRFFESHVARANVKHLKILNTPNCALQIVARLKSNNRQVCIDPKLKWIQEYLDKALNK
配列番号4
GCCGCACTTTCACTCTCCGTCAGCCGCATTGCCCGCTCGGCGTCCGGCCCCCGACCCGCGCTCGTCCGCCCGCCCGCCCGCCCGCCCGCGCCATGAACGCCAAGGTCGTGGTCGTGCTGGTCCTCGTGCTGACCGCGCTCTGCCTCAGCGACGGGAAGCCCGTCAGCCTGAGCTACAGATGCCCATGCCGATTCTTCGAAAGCCATGTTGCCAGAGCCAACGTCAAGCATCTCAAAATTCTCAACACTCCAAACTGTGCCCTTCAGATTGTAGCCCGGCTGAAGAACAACAACAGACAAGTGTGCATTGACCCGAAGCTAAAGTGGATTCAGGAGTACCTGGAGAAAGCTTTAAACAAGTAAGCACAACAGCCAAAAAGGACTTTCCGCTAGACCCACTCGAGGAAAACTAAAACCTTGTGAGAGATGAAAGGGCAAAGACGTGGGGGAGGGGGCCTTAACCATGAGGACCAGGTGTGTGTGTGGGGTGGGCACATTGATCTGGGATCGGGCCTGAGGTTTGCCAGCATTTAGACCCTGCATTTATAGCATACGGTATGATATTGCAGCTTATATTCATCCATGCCCTGTACCTGTGCACGTTGGAACTTTTATTACTGGGGTTTTTCTAAGAAAGAAATTGTATTATCAACAGCATTTTCAAGCAGTTAGTTCCTTCATGATCATCACAATCATCATCATTCTCATTCTCATTTTTTAAATCAACGAGTACTTCAAGATCTGAATTTGGCTTGTTTGGAGCATCTCCTCTGCTCCCCTGGGGAGTCTGGGCACAGTCAGGTGGTGGCTTAACAGGGAGCTGGAAAAAGTGTCCTTTCTTCAGACACTGAGGCTCCCGCAGCAGCGCCCCTCCCAAGAGGAAGGCCTCTGTGGCACTCAGATACCGACTGGGGCTGGGCGCCGCCACTGCCTTCACCTCCTCTTTCAACCTCAGTGATTGGCTCTGTGGGCTCCATGTAGAAGCCACTATTACTGGGACTGTGCTCAGAGACCCCTCTCCCAGCTATTCCTACTCTCTCCCCGACTCCGAGAGCATGCTTAATCTTGCTTCTGCTTCTCATTTCTGTAGCCTGATCAGCGCCGCACCAGCCGGGAAGAGGGTGATTGCTGGGGCTCGTGCCCTGCATCCCTCTCCTCCCAGGGCCTGCCCCACAGCTCGGGCCCTCTGTGAGATCCGTCTTTGGCCTCCTCCAGAATGGAGCTGGCCCTCTCCTGGGGATGTGTAATGGTCCCCCTGCTTACCCGCAAAAGACAAGTCTTTACAGAATCAAATGCAATTTTAAATCTGAGAGCTCGCTTTGAGTGACTGGGTTTTGTGATTGCCTCTGAAGCCTATGTATGCCATGGAGGCACTAACAAACTCTGAGGTTTCCGAAATCAGAAGCGAAAAAATCAGTGAATAAACCATCATCTTGCCACTACCCCCTCCTGAAGCCACAGCAGGGTTTCAGGTTCCAATCAGAACTGTTGGCAAGGTGACATTTCCATGCATAAATGCGATCCACAGAAGGTCCTGGTGGTATTTGTAACTTTTTGCAAGGCATTTTTTTATATATATTTTTGTGCACATTTTTTTTTACGTTTCTTTAGAAAACAAATGTATTTCAAAATATATTTATAGTCGAACAATTCATATATTTGAAGTGGAGCCATATGAATGTCAGTAGTTTATACTTCTCTATTATCTCAAACTACTGGCAATTTGTAAAGAAATATATATGATATATAAATGTGATTGCAGCTTTTCAATGTTAGCCACAGTGTATTTTTTCACTTGTACTAAAATTGTATCAAATGTGACATTATATGCACTAGCAATAAAATGCTAATTGTTTCATGGTATAAACGTCCTACTGTATGTGGGAATTTATTTACCTGAAATAAAATTCATTAGTTGTTAGTGATGGAGCTTAAAAAAAA
配列番号5
CATGGACGCCAAGGTCGTCGCTGTGCTGGCCCTGGTGCTGGCCGCGCTCTGCATCAGTGACGGTAAGCCAGTCAGCCTGAGCTACAGATGCCCCTGCCGATTCTTTGAGAGCCATGTCGCCAGAGCCAACGTCAAACATCTGAAAATCCTCAACACTCCAAACTGTGCCCTTCAGATTGTTGCAAGGCTGAAAAGCAACAACAGACAAGTGTGCATTGACCCGAAATTAAAGTGGATCCAAGAGTACCTGGACAAAGCCTTAAACAAGTAAGCACAACAGCCCAAAGGACTT
配列番号6
AGATCTCCTAGGGAGTCCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATCGCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGGGACCGATCCAGCCTCCGCGGCCGGGAACGGTGCATTGGAACGCGGATTCCCCGTGCCAAGAGTGACGTAAGTACCGCCTATAGAGTCTATAGGCCCACCCCCTTGGCTTCTTATGCATGCTATACTGTTTTTGGCTTGGGGTCTATACACCCCCGCTTCCTCATGTTATAGGTGATGGTATAGCTTAGCCTATAGGTGTGGGTTATTGACCATTATTGACCACTCCCCTATTGGTGACGATACTTTCCATTACTAATCCATAACATGGCTCTTTGCCACAACTCTCTTTATTGGCTATATGCCAATACACTGTCCTTCAGAGACTGACACGGACTCTGTATTTTTACAGGATGGGGTCTCATTTATTATTTACAAATTCACATATACAACACCACCGTCCCCAGTGCCCGCAGTTTTTATTAAACATAACGTGGGATCTCCACGCGAATCTCGGGTACGTGTTCCGGACATGGGCTCTTCTCCGGTAGCGGCGGAGCTTCTACATCCGAGCCCTGCTCCCATGCCTCCAGCGACTCATGGTCGCTCGGCAGCTCCTTGCTCCTAACAGTGGAGGCCAGACTTAGGCACAGCACGATGCCCACCACCACCAGTGTGCCGCACAAGGCCGTGGCGGTAGGGTATGTGTCTGAAAATGAGCTCGGGGAGCGGGCTTGCACCGCTGACGCATTTGGAAGACTTAAGGCAGCGGCAGAAGAAGATGCAGGCAGCTGAGTTGTTGTGTTCTGATAAGAGTCAGAGGTAACTCCCGTTGCGGTGCTGTTAACGGTGGAGGGCAGTGTAGTCTGAGCAGTACTCGTTGCTGCCGCGCGCGCCACCAGACATAATAGCTGACAGACTAACAGACTGTTCCTTTCCATGGGTCTTTTCTGCAGTCACCGTCCTTGCCATCGGTGACCACTAGTGGCTCGCATCTCTCCTTCACGCGCCCGCCGCCCTACCTGAGGCCGCCATCCACGCCGGTTGAGTCGCGTTCTGCCGCCTCCCGCCTGTGGTGCCTCCTGAACTGCGTCCGCCGTCTAGGTAAGTTTAAAGCTCAGGTCGAGACCGGGCCTTTGTCCGGCGCTCCCTTGGAGCCTACCTAGACTCAGCCGGCTCTCCACGCTTTGCCTGACCCTGCTTGCTCAACTCTACGTCTTTGTTTCGTTTTCTGTTCTGCGCCGTTACAGATCGGTACCAAGCTTGCCACCACCATGAACGCCAAGGTCGTGGTCGTGCTGGTCCTCGTGCTGACCGCGCTCTGCCTCAGCGACGGGAAGCCCGTCAGCCTGAGCTACAGATGCCCATGCCGATTCTTCGAAAGCCATGTTGCCAGAGCCAACGTCAAGCATCTCAAAATTCTCAACACCCCAAACTGTGCCCTTCAGATTGTAGCCCGGCTGAAGAACAACAACAGACAAGTGTGCATTGACCCGAAGCTAAAGTGGATTCAGGAGTACCTGGAGAAAGCCTTAAACAAGTAATCTAGAGGGCCCTATTCTATAGTGTCACCTAAATGCTAGAGCTCGCTGATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCTTCTGAGGCGGAAAGAACCAGGGCCGCGGTGGCCATCATGACCAAAATCCCTTAACGTGAGTTTTCGTTCCACTGAGCGTCAGACCCCGTAGAAAAGATCAAAGGATCTTCTTGAGATCCTTTTTTTCTGCGCGTAATCTGCTGCTTGCAAACAAAAAAACCACCGCTACCAGCGGTGGTTTGTTTGCCGGATCAAGAGCTACCAACTCTTTTTCCGAAGGTAACTGGCTTCAGCAGAGCGCAGATACCAAATACTGTTCTTCTAGTGTAGCCGTAGTTAGGCCACCACTTCAAGAACTCTGTAGCACCGCCTACATACCTCGCTCTGCTAATCCTGTTACCAGTGGCTGCTGCCAGTGGCGATAAGTCGTGTCTTACCGGGTTGGACTCAAGACGATAGTTACCGGATAAGGCGCAGCGGTCGGGCTGAACGGGGGGTTCGTGCACACAGCCCAGCTTGGAGCGAACGACCTACACCGAACTGAGATACCTACAGCGTGAGCTATGAGAAAGCGCCACGCTTCCCGAAGGGAGAAAGGCGGACAGGTATCCGGTAAGCGGCAGGGTCGGAACAGGAGAGCGCACGAGGGAGCTTCCAGGGGGAAACGCCTGGTATCTTTATAGTCCTGTCGGGTTTCGCCACCTCTGACTTGAGCGTCGATTTTTGTGATGCTCGTCAGGGGGGCGGAGCCTATGGAAAAACGCCAGCAACGCGGCCTTTTTACGGTTCCTGGCCTTTTGCTGGCCTTTTGCTCACATGAATTCAGAAGAACTCGTCAAGAAGGCGATAGAAGGCGATGCGCTGCGAATCGGGAGCGGCGATACCGTAAAGCACGAGGAAGCGGTCAGCCCATTCGCCGCCAAGCTCTTCAGCAATATCACGGGTAGCCAACGCTATGTCCTGATAGCGGTCCGCCACACCCAGCCGGCCACAGTCGATGAATCCAGAAAAGCGGCCATTTTCCACCATGATATTCGGCAAGCAGGCATCGCCATGGGTCACGACGAGATCCTCGCCGTCGGGCATGCTCGCCTTGAGCCTGGCGAACAGTTCGGCTGGCGCGAGCCCCTGATGCTCTTCGTCCAGATCATCCTGATCGACAAGACCGGCTTCCATCCGAGTACGTGCTCGCTCGATGCGATGTTTCGCTTGGTGGTCGAATGGGCAGGTAGCCGGATCAAGCGTATGCAGCCGCCGCATTGCATCAGCCATGATGGATACTTTCTCGGCAGGAGCAAGGTGAGATGACAGGAGATCCTGCCCCGGCACTTCGCCCAATAGCAGCCAGTCCCTTCCCGCTTCAGTGACAACGTCGAGCACAGCTGCGCAAGGAACGCCCGTCGTGGCCAGCCACGATAGCCGCGCTGCCTCGTCTTGCAGTTCATTCAGGGCACCGGACAGGTCGGTCTTGACAAAAAGAACCGGGCGCCCCTGCGCTGACAGCCGGAACACGGCGGCATCAGAGCAGCCGATTGTCTGTTGTGCCCAGTCATAGCCGAATAGCCTCTCCACCCAAGCGGCCGGAGAACCTGCGTGCAATCCATCTTGTTCAATCATGCGAAACGATCCTCATCCTGTCTCTTGATC

Claims (20)

  1. 皮膚の創傷における瘢痕組織の形成を阻害するおよび/または軽減するための方法であって、前記創傷および/または前記創傷に近接する領域に治療有効量のSDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを投与することにより、前記創傷中または前記創傷に近接するSDF−1の濃度を増加させることを含む、方法。
  2. 前記皮膚の創傷が、熱傷、化学熱傷、放射線熱傷、紫外線照射への過度の曝露によって引き起こされる熱傷、医療処置の間持続する損傷、切開、外傷誘導性損傷、切断または裂傷から選択される急性創傷である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記皮膚の創傷が、褥瘡、とこずれ、糖尿病もしくは循環不良に関連する創傷、または皮膚炎もしくはざ瘡から生じる創傷から選択される慢性創傷である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記創傷および/または前記創傷に近接する領域にSDF−1タンパク質を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記創傷および/または前記創傷に近接する領域にSDF−1発現ベクターを投与することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記SDF−1発現ベクターがウイルスベクターである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記SDF−1発現ベクターが非ウイルスベクターである、請求項5に記載の方法。
  8. 前記非ウイルスベクターが配列番号:6の配列を有するDNAプラスミドである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを、SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターおよび医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物の形態で投与する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記医薬組成物が注射用製剤である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記注射用製剤を直接前記創傷または前記創傷に近接する領域へ注射することによって投与する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを局所製剤の形態で投与する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを基質、固体支持体もしくは創傷包帯中でまたは基質、固体支持体もしくは創傷包帯上で投与する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを基質中または基質上で投与し、および前記基質が生体吸収性インプラントの形態である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを創傷包帯中または創傷包帯上で投与する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを前記創傷の外表面に投与する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを外科的処置の一部として投与する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを創傷の発生から24時間以内に投与する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記SDF−1タンパク質またはSDF−1発現ベクターを創傷の発生から24時間超経過後に投与する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記創傷を、医療処置を介して閉じる、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
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