JP2012012344A - 創傷治癒剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】創傷に対して治療効果を発揮する成分を含有する、安全性、安定性の高い創傷治癒剤を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の課題は、ペリオスチンを有効成分として含む、線維芽細胞増殖促進剤、当該線維芽細胞増殖促進剤を含む創傷治癒剤により解決される。本発明は、ペリオスチンが、線維芽細胞の増殖促進因子として作用し得ること、さらには優れた創傷治癒効果を示すことを見出したことにより達成されたものである。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の課題は、ペリオスチンを有効成分として含む、線維芽細胞増殖促進剤、当該線維芽細胞増殖促進剤を含む創傷治癒剤により解決される。本発明は、ペリオスチンが、線維芽細胞の増殖促進因子として作用し得ること、さらには優れた創傷治癒効果を示すことを見出したことにより達成されたものである。
【選択図】図2
Description
本発明は、ペリオスチンを有効成分とする線維芽細胞増殖促進剤および当該増殖促進剤を含む創傷治癒剤に関する。
創傷部位における治癒プロセスは、いくつかのグループの特殊な細胞あるいはタンパク質が関与している複雑な生物学的機構によって起こるが、成長因子が必須であることが良く知られている。成長因子は創傷領域内に放出され、創傷内に移動し、そこで成長因子が角質細胞および線維芽細胞の増殖あるいは成長を刺激し、脈管形成を開始し、基質形成および創傷領域の再造形を行う。
創傷治癒に関与する因子として、上皮細胞成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様成長因子(IGF)、インスリン、血小板由来成長因子(PDGF)などが良く知られている。EGFは線維芽細胞、血管内皮細胞、上皮細胞の増殖あるいは成長を促すほか、上皮細胞の遊走を促進し、組織修復過程においては上皮の再生に中心的な役割を果たしている。FGFは線維芽細胞、血管平滑筋細胞、血管内皮細胞の増殖あるいは成長を促すほか、血管内皮細胞の遊走を促進し、血管再生に中心的な役割を果たしている。IGFはPDGFと共同して作用し、線維芽細胞の増殖あるいは成長や上皮細胞の正常な分化増殖を促進することが知られている。
現在、これらの因子のうち塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)が創傷治癒剤として臨床に応用されているが、より効果的かつ使い勝手のよい創傷治癒剤が切望されている。
ペリオスチン(POSTN)は、細胞外マトリックスタンパク質の一種であり、約90kDaのポリペプチドからなる。各ポリペプチド鎖には、シグナル配列、システインリッチドメイン、4回繰り返しドメイン、C末端ドメインが含まれている。
ペリオスチンは、当初、骨芽細胞特異的因子−2(OSF−2)と呼ばれ、マウス骨芽細胞株MC3T3−E1細胞に特異的に発現している遺伝子として分離同定されたが、後に現在の名称であるペリオスチンと呼ばれるようになり、骨芽細胞における接着促進活性が報告された(非特許文献1)。初期の研究では、ペリオスチンは骨組織に特異的に発現する細胞外マトリックスであると考えられていたが、現在では骨組織のみならず心不全、動脈瘤、高転移性癌、子癇前症等の発症において極めて高く発現しており、また正常組織においてもごく僅かであるが発現していることが明らかになっている。
ペリオスチンの作用として、特定のペリオスチンスプライシングバリアントが細胞接着作用を有することが報告されている(非特許文献2、非特許文献3、特許文献1)。また、特定のペリオスチンスプライシングバリアントの発現を抑制することによる心不全の予防剤または治療剤が開発されている(特許文献2)。また、ペリオスチンによる結腸癌細胞の増殖作用が報告されている(非特許文献3)
ペリオスチンが創傷部位で発現することが開示されているが(非特許文献4、5)、ペリオスチンの線維芽細胞細胞増殖作用と、創傷治癒効果については、何ら報告がなされていない。
Horiuchi K. et al., J. Bone Miner. Res. (1999) 14, 1239-49
Gillan L. et al., Cancer Res. (2002) 62, 5358-64
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本発明の課題は、創傷に対して治療効果を有する物質を有効成分とし、安全性、安定性の高い創傷治癒剤を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ペリオスチンが線維芽細胞増殖促進作用を有すること、さらにはペリオスチンが創傷治癒効果を有することを確認し、ペリオスチンが線維芽細胞増殖促進剤、そして創傷治癒剤として有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.ペリオスチンを有効成分として含む、線維芽細胞増殖促進剤。
2.ペリオスチンが組み換えヒトペリオスチンである、前項1に記載の線維芽細胞増殖促進剤。
3.組み換えヒトペリオスチンが、配列番号1の22〜836番目のアミノ酸配列を有する、前項1または2に記載の線維芽細胞増殖促進剤。
4.ヒト皮膚の線維芽細胞の増殖を促進するのに有効である、前項1〜3のいずれか1に記載の線維芽細胞増殖促進剤。
5.前項1〜4のいずれか1に記載の線維芽細胞増殖促進剤を含む、創傷治癒剤。
6.薬理学的に受容可能な添加剤を含む、前項5に記載の創傷治癒剤。
1.ペリオスチンを有効成分として含む、線維芽細胞増殖促進剤。
2.ペリオスチンが組み換えヒトペリオスチンである、前項1に記載の線維芽細胞増殖促進剤。
3.組み換えヒトペリオスチンが、配列番号1の22〜836番目のアミノ酸配列を有する、前項1または2に記載の線維芽細胞増殖促進剤。
4.ヒト皮膚の線維芽細胞の増殖を促進するのに有効である、前項1〜3のいずれか1に記載の線維芽細胞増殖促進剤。
5.前項1〜4のいずれか1に記載の線維芽細胞増殖促進剤を含む、創傷治癒剤。
6.薬理学的に受容可能な添加剤を含む、前項5に記載の創傷治癒剤。
本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、ペリオスチンにより、線維芽細胞の成長あるいは増殖を促進する効果を発揮することができる。また、本発明の創傷治癒剤は、創傷に対し、公知の製剤と同等の治癒効果を有している。本発明の創傷治癒剤は、ペリオスチンを有効成分として含有しているが、公知の創傷治癒剤、例えばbFGFスプレー製剤などに比べて有効成分が安定して存在することができるため、有用である。
ペリオスチン(POSTEN)は、細胞外マトリックスの一種であり、骨芽細胞特異因子‐2とも呼ばれる、約90kDaのタンパク質である(Horiuchi K., et al., J Bone Miner Res. 1999 Jul;14(7):1239-49.)。ペリオスチンは、N末端より分泌シグナルペプチド、システイン残基に富んだEMIドメイン、4つのFAS1ドメイン、ヘパリン結合ドメインを含んだC末端ドメインから構成される。EMIドメインと4つのFAS1ドメインは、ペリオスチンのホモログであるβigh3と高い相同性を示しているが、C末端ドメインは相同性を示さず、他のタンパク質にも類似性を示さないユニークなドメインである。
ペリオスチンは、選択的スプライシングによるC末端側の長さが異なる転写物が区別可能に存在することが知られている。例えば、ヒトペリオスチン遺伝子の全てのエクソンによる転写産物が、GenBank Accession No. D13666に、ヒトのペリオスチンのその他のスプライシングバリアントが、それぞれGenBank Accession Nos. AY918092、AY140646に示されている。近年各々のバリアントの生体内での機能が、徐々に明らかにされつつあるが、未だ不明のものが多い。
本発明においてペリオスチンの語は、ペリオスチン、ペリオスチンの生物学的活性に必要な一部分のアミノ酸配列を有するペプチド又はそれらの類似物を意味する。ペリオスチンとして、配列番号1(GenBank Accession No. Q15063)に示すアミノ酸配列を有するペプチドが例示される。本発明のペリオスチンには、GenBank Accession No. BAA02836.1、GenBank Accession No. BAA02837.1、GenBank Accession No. AAN17733.1、GenBank Accession No. AAY15840.1などに示されるアミノ酸配列を有するペプチドも含まれる。また、ペリオスチンの生物学的活性に必須な一部分のアミノ酸配列を有するペプチド又はそれらの類似物として、ペリオスチンのアミノ酸配列(好ましくは配列番号1で表されるアミノ酸配列)と40%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ線維芽細胞の増殖を促進する作用を有するタンパク質などが例示される。本発明におけるペリオスチンは、これらのペリオスチン、ペリオスチンの一部分のアミノ酸配列を有するペプチド又はそれらの類似物から選択して、使用することができる。本発明におけるペリオスチンは、好ましくは、配列番号1の22〜836番目のアミノ酸配列からなるペプチドを用いることができる。本発明のペリオスチンには、C末端にヒスチジンタグ等が付加されていてもよい。
なお本発明において「ペプチド」は、「ポリペプチド」や「タンパク質」と同義に用いられる。
本発明のペリオスチンは、公知の手法により生体から単離・精製して得てもよいし、遺伝子工学的手法などによって得ることもでき、その由来は問わない。あるいは、本発明のペリオスチンは市販されている遺伝子組み換えヒトペリオスチンを用いることもでき、例えば、Recombinant Human Periostin/OSF2 (R&D Systems, Inc, Catalog Number: 3548F2)を用いてもよい。
また、本発明は、ペリオスチンを有効成分とする、線維芽細胞の成長および/または増殖を促進する効果、特に増殖を促進する効果を発揮する線維芽細胞増殖促進剤を包含する。
さらに本発明は、上記線維芽細胞増殖促進剤を含む、創傷治癒剤をさらに包含する。本発明では、ペリオスチンが創傷治癒過程を促進し、外傷の治癒を早める効果があることが確認された。
ここで、線維芽細胞とは、動物個体のほぼ全ての組織中に分散して存在し、臓器の形態形成に重要な役割を果たす線維性結合組織の成分である。線維芽細胞は、皮膚の機能を保つ上で最も重要な細胞であり、正常組織では目立った機能を有さないと考えられている。線維芽細胞は、組織に損傷があるとその損傷部に遊走し、コラーゲン等の細胞外マトリックスの産生を始めると考えられており、細胞外マトリックスを更新し、細胞と細胞外マトリックスの相互作用、傷の収縮等、創傷治癒過程の中で重要な働きを果していると予測される。
一般に、動物が外傷を負った後に起こる治癒過程(創傷治癒)には、傷口の修復等に線維芽細胞の増殖が重要な役割を果たしている。創傷治癒の過程には、(1)血小板の凝集と血管収縮で血が止まり、次いで、マクロファージ(貪食細胞)が創面の死んだ組織を取り込んできれいにする第1ステップ、(2)線維芽細胞が分泌するコラ−ゲンを主体とした肉芽組織による修復が開始される第2ステップ、(3)肉芽組織が瘢痕組織へと変化し、安定したキズになる第3ステップがある。本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、線維芽細胞の増殖を促進する作用を発揮し、主に第2ステップに貢献すると考えられる。
創傷治癒のメカニズムは皮膚、結合および支持組織において類似している。本発明において治癒対象となる組織とは、皮膚、骨、軟骨のみならず、筋肉および器官を包み込むコラーゲン基質からなる支持筋膜をも含むものである。
したがって、本発明における「創傷治癒剤」の語は、種々の創傷、潰瘍、皮膚障害等のための治癒剤を広く包含するものである。本発明の創傷治癒剤は、有効成分として、線維芽細胞の成長および増殖促進効果を発揮するペリオスチンを含有するので、種々の創傷、たとえば、角膜潰瘍、放射線角膜傷、角膜移植、他の手術誘発眼内創傷のような眼創傷および切開、やけど、切り傷、破傷、深部術創、皮膚移植によるドナー部位創および潰瘍(皮膚、とこずれ、静脈うっ血および糖尿病)のような皮膚創のごとき上皮損傷、あるいは消化管の潰瘍などの治療に用いることができる。さらに、乾せん、日焼け、皮膚発疹のような皮膚傷害にも用いることができる。
本発明の創傷治癒剤は、種々の剤型にすることができ、種々の薬理学的に受容可能な添加剤等の成分を配合することができる。例えば、ペリオスチンは、薬剤として一般的に用いられる担体、例えば滅菌水や生理食塩水、植物油(例、ゴマ油、オリーブ油)、鉱油(例、ワセリン、パラフィン)、高級アルコール(例、セタノール、ステアリルアルコール)、高級脂肪酸(例、ステアリン酸、パルミチン酸)、無害性有機溶媒(例、エタノール)等、さらには必要に応じて賦形剤(例、マンニトール、カルボキシメチルセルロース)、着色剤、乳化剤(例、コレステロール)、懸濁剤(例、アラビアゴム)、界面活性剤(例、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油系界面活性剤、ポリエチレングリコール系界面活性剤)、溶解補助剤(例、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム)、安定化剤(例、糖、糖アルコール、アルブミン)または保存剤(例、ベンジルアルコール、パラベン)、保湿剤(例、尿素、コレステロール)、酸化防止剤(例、トコフェロール)等と適宜組み合わせて、生体に効果的に投与するのに適した注射剤、経皮吸収剤、点眼剤、経鼻吸収剤、経口剤等の医薬用製剤、好ましくは注射剤もしくは経皮吸収剤に調製することが出来る。例えば、注射剤の製剤としては、凍結乾燥品や、注射用水剤、あるいは浸透圧ポンプに封入した形などで提供できる。また、経皮吸収剤としては、液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、バップ剤、人工皮膚類等で提供できる。
本発明の創傷治癒剤の投与方法としては、例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、経口投与等の方法によって、ペリオスチンとして一日約0.01〜1000μg/kg、さらに好ましくは、0.1〜100μg/kgとなる量を投与したり、浸透圧ポンプ等に封入し生体に留置することにより連続的に投与することが出来る。また、経皮吸収剤として、熱傷、創傷部位に、液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、バップ剤等の方法により局所適用することにより、例えば、ペリオスチンを約0.001〜1000μg/ml、さらに好ましくは、0.01〜100μg/mlの濃度で適用することができる。さらに、熱傷のときに用いる培養皮膚移植等に際しては、細胞の培養液中に、例えば、ペリオスチンを約0.001〜1000μg/ml、さらに好ましくは、0.001〜10μg/mlの濃度で添加することもできる。
また、本発明のペリオスチンを含有する創傷治癒剤は、ペリオスチン以外の物質、FGF−5、PDGF、TGF−β1などのサイトカインや、創傷治癒効果を発揮する物質、例えばIGF−1またはインスリンまたはEGFまたはヒトb−FGF製剤などをさらに含有していてもよい。
以下、実施例および参考例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)ペリオスチンによる線維芽細胞の増殖作用
ヒト真皮線維芽細胞(Normal Human Dermal Fibroblast : NHDF)を、0.5%ウシ胎児血清を含むDMEM培地に懸濁し、96ウェルの培養プレートに1ウェルあたり1000個の密度で播種し、37℃、5%CO2/95%Airの条件で培養した。24時間後、遺伝子組み換え精製ペリオスチン(Recombinant Human Periostin/OSF2、R&D Systems, Inc(Catalog Number: 3548F2))を、0、10、100、または1000ng/mlの濃度で含むDMEM培地に培地交換し、24、72、120時間後に、Cell Count Reagent SF(ナカライテスク社)を用いて発色の度合いについて吸光度を測定することで生細胞数を測定した。
ヒト真皮線維芽細胞(Normal Human Dermal Fibroblast : NHDF)を、0.5%ウシ胎児血清を含むDMEM培地に懸濁し、96ウェルの培養プレートに1ウェルあたり1000個の密度で播種し、37℃、5%CO2/95%Airの条件で培養した。24時間後、遺伝子組み換え精製ペリオスチン(Recombinant Human Periostin/OSF2、R&D Systems, Inc(Catalog Number: 3548F2))を、0、10、100、または1000ng/mlの濃度で含むDMEM培地に培地交換し、24、72、120時間後に、Cell Count Reagent SF(ナカライテスク社)を用いて発色の度合いについて吸光度を測定することで生細胞数を測定した。
結果を図1に示す。ペリオスチンは正常ヒト線維芽細胞においても、無処理(ペリオスチン0ng/ml)の線維芽細胞と比較して10倍の増殖率を示した。線維芽細胞の増殖因子として作用することがわかった。
(実施例2)ペリオスチンによる創傷治癒促進作用
ペリオスチンの創傷治癒促進作用を確認するために、既存の創傷治癒剤として販売されているbFGF製剤(フィブラストスプレー(科研製薬株式会社))との比較試験を行った。
まず、マウスの背中の皮膚をハサミを切り取り、直径1cmの傷を作製した。続いて20μgまたは2μgの遺伝子組み換え精製ペリオスチン、5μgまたは1μgのbFGF製剤(フィブラストスプレー)、およびコントロールとしてPBSを傷口に直接塗布した。1、3,5,7日後の経過を観察し、傷口面積を測定した。
ペリオスチンの創傷治癒促進作用を確認するために、既存の創傷治癒剤として販売されているbFGF製剤(フィブラストスプレー(科研製薬株式会社))との比較試験を行った。
まず、マウスの背中の皮膚をハサミを切り取り、直径1cmの傷を作製した。続いて20μgまたは2μgの遺伝子組み換え精製ペリオスチン、5μgまたは1μgのbFGF製剤(フィブラストスプレー)、およびコントロールとしてPBSを傷口に直接塗布した。1、3,5,7日後の経過を観察し、傷口面積を測定した。
結果を図2,3に示す。コントロールのPBS群における傷口面積の減少率と比較して、ペリオスチン投与群はいずれの投与量においても著しい面積の減少が認められ、bFGF製剤と同等の創傷治癒効果が認められた。
(参考例1)サイトカイン刺激による、ペリオスチンの誘導
実施例1と同様の手法により線維芽細胞を培養した。サイトカインとしてFGF−5、PDGF−A、またはTGF−β1を、各々1、10、または100ng/mlの濃度で含む培地にて培養した。その後培養上清について、抗ペリオスチン抗体を用いてウエスタンブロット法により解析を行った。
実施例1と同様の手法により線維芽細胞を培養した。サイトカインとしてFGF−5、PDGF−A、またはTGF−β1を、各々1、10、または100ng/mlの濃度で含む培地にて培養した。その後培養上清について、抗ペリオスチン抗体を用いてウエスタンブロット法により解析を行った。
結果を図4に示す。FGF−5、PDGF−A、またはTGF−β1により刺激すると、ペリオスチンが発現することが確認された。これらのサイトカインがペリオスチンの発現を誘導する因子と成り得ることが示唆された。
本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、効率的に線維芽細胞を増殖することができ有用である。また本発明の創傷治癒剤は、線維芽細胞の増殖を促進する効果を発揮するため、種々の創傷の治療に用いることができる。ペリオスチンはbFGFの下流に存在するため(Erkan M. et al., Gastroenterology. 2007 Apr;132(4):1447-64.)、本発明の創傷治癒剤は、より直接的かつ効率よく創傷治癒効果を発揮することができるものと期待される。さらにペリオスチンは、公知の創傷治癒剤、例えばbFGF製剤などに比べて安定して存在することができるため、使い勝手がよく、臨床応用に適している。
Claims (6)
- ペリオスチンを有効成分として含む、線維芽細胞増殖促進剤。
- ペリオスチンが組み換えヒトペリオスチンである、請求項1に記載の線維芽細胞増殖促進剤。
- 組み換えヒトペリオスチンが、配列番号1の22〜836番目のアミノ酸配列を有する、請求項1または2に記載の線維芽細胞増殖促進剤。
- ヒト皮膚の線維芽細胞の増殖を促進するのに有効である、請求項1〜3のいずれか1に記載の線維芽細胞増殖促進剤。
- 請求項1〜4のいずれか1に記載の線維芽細胞増殖促進剤を含む、創傷治癒剤。
- 薬理学的に受容可能な添加剤を含む、請求項5に記載の創傷治癒剤。
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