JP2004016084A - 新規蛋白質およびそれをコードするdna - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、2型ヘルパーT細胞に発現するが、1型には発現しない蛋白質およびそれをコードするDNA等を提供する。
【解決手段】ナイーブT細胞を種々のサイトカインおよびその抗体等の存在下で培養することにより、1型および2型ヘルパーT細胞を分化させ、両細胞中に発現するmRNAを網羅的に比較し、2型ヘルパーT細胞のみに発現するものを取得する。本発明のDNAの検体細胞内での発現量を指標として、該検体が由来する個体のTh1/Th2バランスを解析することができる。
【解決手段】ナイーブT細胞を種々のサイトカインおよびその抗体等の存在下で培養することにより、1型および2型ヘルパーT細胞を分化させ、両細胞中に発現するmRNAを網羅的に比較し、2型ヘルパーT細胞のみに発現するものを取得する。本発明のDNAの検体細胞内での発現量を指標として、該検体が由来する個体のTh1/Th2バランスを解析することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2型ヘルパーT細胞またはその分化途上に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しない蛋白質およびそれをコードするDNA、該蛋白質に対する抗体等に関する。
【0002】
【従来の技術】
免疫応答において中心的な役割を担っているヘルパーT細胞と呼ばれるリンパ球は、産生するサイトカインのパターンにより、少なくとも2つのサブセットに 分類される(Mosmann , et al., J.Immunol. (1986) 136 : 2348−2357 )。1型ヘルパーT細胞(以下、これを「Th1」と称することがある)は、インターフェロンγ(IFN−γ)やインターロイキン2(IL−2)を産生し、マクロファージやナチュラルキラー細胞を活性化することで、主にウイルス、バクテリア等に対する感染防御などの細胞性免疫に関与することが知られている(Howard, et al., Fundamental Immunology, 3ed., Raven Press, New York(1993))。一方、2型ヘルパーT細胞(以下、これを「Th2」と称することがある)は、IL−4、IL−5等のサイトカイン(以下、これを「Th2型サイトカイン」と称することがある)を産生し、主にIgE抗体産生などの液性免疫に関与することが知られている。ヒトにおいてもTh1様細胞及びTh2様細胞がクローン化されて研究が進み、前述のような考え方がおおむねヒトにおいてもあてはまることが確認されている(Romagnani, et al., Ann. Rev. Immunol., 12, 227−257(1994))。
【0003】
Th1及びTh2の比率は恒常性(TH1/Th2バランス)を保っており、そのバランスが破綻すると以下に述べるとおり疾患に対する感受性が高くなると考えられている。
すなわち、Th2型サイトカインは、アレルギー反応に関与すると考えられており、Th2はアレルギー反応の誘導細胞として重要視されている。Th2型サイトカインの代表であるIL−4は、B細胞に対してIgE抗体の産生を誘導するとともに、肥満細胞の活性化及び増殖を誘導する作用を有している。また、好酸球が血管内皮細胞に接着し、組織浸潤する際に機能する重要な分子であるVCAM−1の遺伝子発現も誘導する(ファルマシア、(1993)29:1123−1128)。さらに、IL−4はTh2自身の分化増殖因子でもある。このようなIL−4で代表されるTh2型サイトカインの特性から、Th2は、IgE抗体や肥満細胞が関与するアレルギーの即時型反応、及び好酸球が関与するアレルギーの遅発型反応という二つのアレルギー反応のいずれをも誘導する中心的な細胞であると認識されている。従って、アレルギー性疾患は、Th2の病的な機能亢進に起因した疾患であるものと推測されている。実際にアレルギー性疾患の病変部である気道や皮膚において、IL−4やIL−5等のTh2型サイトカインの産生、あるいはTh2の存在等が確かめられていることもあり、アレルギー性疾患を治療あるいは予防するためにはTh2の活性化の制御、ひいてはTh2型サイトカインの産生制御が重要であるとする考え方が、広く一般に受け入れられている(Nature (1996) 383 : 787−793 )。
【0004】
線虫などの寄生虫感染症においてもTh2機能が著しく亢進することが知られている(臨床免疫(1995)27:652−656)。また、全身性エリテマトーデス等の、抗体産生あるいは液性免疫が異常に亢進した状態にある自己免疫疾患においても、やはりTh2が病的に機能亢進した状態にあると推定されている(Medical Immunology (1988) 15 : 401)。さらに最近の研究において、エイズの発症後期においてTh2がTh1に比べて優位になるバランス異常状態が確認されており、このバランス異常状態を経過することが、最終的な免疫不全状態に移行する上で重要な段階である可能性が示唆されている。そして、このバランス異常状態を改善できればエイズの発症を遅らせる、あるいは発症を止めることができるとの指摘もなされている(Immunology Today (1993) 14 : 107−111)。
【0005】
また、Th1細胞はLT−α、IL−2およびIFN−γを産生する。これらTh1型サイトカイン は、マクロファージおよび特定の炎症性応答(例えば、IV型「遅延型」過敏症)を活性化する傾向にある。また、Th1型サイトカインは組織移植片および器官移植 物の細胞性拒絶において重要な役割を担う。これらのことからTh1の優性な機能亢進は、慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、多発性硬化症、インスリン依存性 I 型糖尿病、および炎症性腸疾患等の自己免疫疾患の発症を誘導すると考えられる。
【0006】
上記ヘルパーT細胞サブセットTh1およびTh2への機能分化は、抗原刺激を受けていないCD4陽性ナイーブT細胞(以下、これを「ナイーブT細胞」と称することがある)が活性化されることにより誘導される。この機能分化に際してサイトカイン発現パターンは変化する。
本発明者らは、先にナイーブT細胞からin vitroにおいて、Th1/Th2へ分化させる方法を報告している(Eur J Immunol (1996) 26 :2081−2086, J Immunol (2002) 163 : 1087−1094)。従来は、Th1機能の指標としてIFN−γ産生能、Th2機能の指標としてIL−4およびIL−5を主に用いていた。また、Th1細胞の分化に必至な転写因子としてT−bet、Th2細胞の分化に必至な転写因子としてGATA−3、c−Mafなどが知られており、そのmRNAの発現を検出することによってもそれぞれのタイプの存在を確認することが可能である。
【0007】
【発明が解決使用とする課題】
本発明は、Th1およびTh2またはその分化途上に発現する蛋白質をコードするmRNA(DNA)を網羅的に比較し、Th2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質およびそれをコードするDNAを取得することを目的とする。さらに該DNAがコードする蛋白質、該蛋白質に特異的に結合する抗体等を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、未分化なT細胞にイオノマイシン及びPhorobol Myristate Acetate(PMA)により刺激を与え培養することによりヘルパーT細胞系に分化させ、さらにIL−2、IL−4、抗IFN−γ抗体、抗IL−12抗体を添加して培養し、Th2を分化させた。また、上記ヘルパーT細胞に、IL−2、IL−12、抗IL−4抗体を添加して培養し、Th1を誘導した。この2つのT細胞サブセットに発現しているmRNAをディファレンシャル・ディスプレイ法により比較したところ、Th2またはその分化途上に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しないmRNAおよびその転写産物である蛋白質を見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
【0009】
即ち、本発明によれば、
(1)以下の(a)または(b)の蛋白質、
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質、
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠質、置換及び/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ2型ヘルパーT細胞に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しない蛋白質、
(2)上記(1)に記載の蛋白質をコードするDNA、
(3)DNAが、以下の(a)または(b)である上記(2)に記載のDNA、
(a)配列番号1に記載の塩基配列からなるDNA、
(b)配列番号1に記載の塩基配列またはその相補配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列を有し、かつ2型ヘルパーT細胞に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しない蛋白質をコードするDNA、
(4)DNAが、配列番号3に示すヒト由来の塩基配列を有するものである上記(3)に記載のDNA、
(5)上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAを含む組換えベクター、
(6)上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAまたは上記(5)に記載の組み換えベクターを導入したDNA導入細胞または該細胞からなる個体、
(7)上記(6)に記載の細胞により産生される、上記(1)に記載の組み換え蛋白質、
(8)上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAの塩基配列中の連続した5〜500塩基と同じ配列を有するセンスオリゴヌクレオチド、当該センスオリゴヌクレオチドと相補的な塩基配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び、当該センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチド誘導体からなる群から選ばれるオリゴヌクレオチド、
(9)上記(1)または(7)に記載の蛋白質に特異的に結合する抗体、あるいはその部分フラグメント、
(10)上記(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列から選択される少なくとも1以上のアミノ酸配列情報、および/または上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAの塩基配列から選択される少なくとも1以上の塩基配列情報を
保存したコンピュータ読み取り可能記録媒体、
(11)上記(1)に記載のタンパク質、および/または上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAを結合させた担体、
が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の蛋白質、それをコードするDNA、蛋白質発現組換ベクター、および形質転換体は、例えば以下の様にして調製される。
1型、及び2型ヘルパーT細胞で特異的に発現する蛋白質を網羅的に探索するために、未分化なT細胞から上記2つのサブセットをそれぞれ同調的に大量に分化誘導する系を用いる。この分化誘導する系を用いる発現蛋白質/cDNAの解析は、例えば、(1−i)均一で未分化な分化段階でとどまっているT細胞を大量に調製し、(1−ii)このT細胞についてT細胞抗原受容体(TCR)を介した刺激を模倣する刺激を与え、CD4陽性T細胞に分化させる、さらに(2)該CD4陽性T細胞に種々のサイトカインまたはその抗体を組み合わせて添加して培養し、各サブセット中に発現しているmRNAについてcDNAライブラリーを作製する、(3)このcDNAライブラリー中にあるcDNAを比較する(ディファレンシャル・ディスプレイ等)ことにより行うことができる。この系により、2型ヘルパーT細胞に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しない蛋白質をコードするDNAの網羅的探索が可能となる。
【0011】
さらに、(4、5)上記(3)で得られたDNAを含む組換えベクターを作製し、これを適当な宿主に導入し、該蛋白質を発現する細胞または個体を作製することができる。また、(6)上記(4)で得られたDNAの塩基配列と同じ配列を含むセンスオリゴヌクレオチド、あるいはアンチセンスオリゴヌクレオチドを取得することもでき、さらには(7)上記(4)で得られたDNAがコードする蛋白質の抗体を取得することもできる。
以下、本発明のDNA、および蛋白質並びにその調製方法について更に詳述す
る。
【0012】
(1)1型及び2型ヘルパーT細胞の調製
Th1及びTh2を調製する方法としては、このような特徴を示すT細胞を大量に取得できる方法であればいかなるものであってもよい。具体的には、例えば、大量に調製した未分化なT細胞をTCRを介した刺激、またはこれを模倣する刺激を2度与えて分化させた後に、さらに種々のサイトカインまたはその抗体を添加して各サブセットへ機能分化させる方法等が好ましく用いられる。上記の未分化T細胞は、内因性のTCRの発現がなく、トランスジェニックTCRのみを発現する動物を作製し、この主要組織適合抗原(MHC)拘束性を利用することにより、該動物の胸腺細胞の大部分を未分化な状態に保ち、この動物の胸腺細胞を使用する方法が挙げられる。具体的には、Iwata,M.et al., Eur. J. Immunol., 26, 2081(1996)に記載されているように、RAG−2遺伝子欠損マウス(Shinkai, Y. et al., Cell, 68, 855(1992))と、TCR遺伝子を導入したマウスの交配により作製したマウスに対して、このTCRのMHC拘束性を利用する方法(Ohoka, Y. et al., Int. Immunol., 8, 297(1996))を用いることができる。
【0013】
ここで得られた未分化T細胞について、さらに分化を誘導する。この誘導法は、未分化なT細胞が分化誘導され、かつその分化の各段階において経時的に細胞を取得できる方法であれば如何なるものであってもよいが、例えば、Iwata, M. et al., Eur. J. Immunol, 26, 2081(1996)に示されている方法によりCD4/CD8両陽性の未熟胸腺細胞の懸濁液を調製し、これに細胞の分化を誘導する最適濃度、例えば0.1〜0.3ng/mlのPhorbol Myristate Acetate(PMA)と0.1〜0.3 μg/mlのイオノマイシンの存在下で15〜20時間細胞を培養した後に、PMA、イオノマイシンを洗い去ってさらに18〜24時間培養する。次に該細胞を1.0〜6.0 ng/mlのPMA及び0.1〜0.3 μg/mlのイオノマイシンの存在下で15〜20時間培養して細胞を取得する方法を用いることができる。
【0014】
かくして得られたT細胞は、Th1及びTh2への分化誘導に用いることができる。この誘導法も上記サブセットへの分化が誘導される方法であれば如何なるものであってもよいが、例えば、Iwata, M. et al., Eur. J. Immunol, 26, 2081(1996)に示されている方法等が好ましく用いられる。具体的には、Th2への分化方法としては、50〜100ユニット/mlのIL−2、100〜1000ユニット/mlのIL−4、1〜5 μg/mlの抗IFN−γ抗体、及び1〜5 μg/mlの抗IL−12抗体を添加した培地で24〜96時間培養する方法が挙げられる。また、1型ヘルパーT細胞への分化方法としては、50〜100ユニット/mlのIL−2、1〜10 ng/mlのIL−12、及び1〜5 μg/mlの抗IL−4抗体を添加した培地で24〜96時間培養する方法等が挙げられる。
【0015】
(2)Th1及びTh2 cDNAライブラリーの調製
このようにして取得されたTh1及びTh2から、全RNAを調製する。全RNAの調製方法としては、例えばChomczynski,P. ,et al., Anal. Biochem., 162, 156−159(1987)に記載されているように、細胞懸濁液にグアニジウムチオシアネートを加えた後にフェノール抽出により精製し、調製する方法等が挙げられる。また、全RNAからmRNAを調製して用いてもよい。mRNAの調製方法としては、オリゴ(dT)セルロースカラムを用いた液体クロマトグラフィにかける方法、QuickPrep mRNA Purification Kit(アマシャムファルマシアバイオテク社製)、Fast Track 2.0 Kit(インビトロジェン社)等の市販のキットを用いる方法等も用いられる。
【0016】
得られた全RNAまたはmRNAを鋳型として逆転写酵素やPCR法等を用いて2本鎖cDNAを合成する。具体的にはMol. Cell. Biol., 3, 280(1983)やGene, 25, 263(1983)およびProc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998(1988)に記載の方法や、SMART PCR cDNA SynThesis Kit(クロンテック社製)やZAP−cDNA SynThesis Kit(ストラタジーン社製)等の市販のキットを用いる方法が挙げられる。
【0017】
(3)Th2またはその分化途上に発現する蛋白質をコードするDNAの取得
(2)で得られた、Th1及びTh2のcDNAライブラリーに含まれるcDNA断片を網羅的に比較することにより、Th2の分化に伴って発現してくるが、Th1の場合には発現しない蛋白質をコードするDNAを検出する。具体的には、ディファレンシャル・ディスプレイ法等が好ましく用いられる。ディファレンシャル・ディスプレイの方法としては、Liang, P., et al., Science 257, 967 (1992), Liang, P., et al. Nucleic Acids Res., 21, 3269 (1993), McClelland, M., et al., Trends Genet., 11, 242 (1995)等に記載の方法を挙げることができる。使用するオリゴヌクレオチドプライマー・セットとしては、例えばOperon 10−mer Kits(オペロン社製)等を用いることができ、このような市販キットを用いて行うこともできる。ディファレンシャル・ディスプレイにより得られたcDNA断片については、通常、複数回の解析を行うことにより、解析の精度を更に上げることができる。また、取得されたcDNA断片の発現が、ディファレンシャル・ディスプレイの発現パターンと同じであることを確認することによって解析の精度を向上させることができる。具体的には、Slot blot analysis(Vogeli,L.R.,et al.,Nucleic. Acid. Res., 24, 1385−1386(1996))を用いて行うことができる。
【0018】
(4)Th2またはその分化途上に発現する蛋白質をコードするDNAの解析
上記(3)で得られたcDNA断片をクローニングベクター、例えばpGEM−Teasy等にT4−DNAリガーゼ等を用いて挿入し、このプラスミドを適当な宿主、例えば大腸菌等に形質転換する。この形質転換した細胞株を培養し、形質転換体の細胞懸濁液から適当な方法を用いてプラスミドを調製する。次に、このプラスミド中に挿入されているDNAの塩基配列を解析する。塩基配列の解析法は、例えばクローニングベクターについて適当なシーケンス用プライマー、具体的にはM13Forward primer(アマシャムファルマシアバイオテク社製)やReverse Primer(アマシャムファルマシアバイオテク社製)等とオートシーケンサー用PCRシーケンスキット、例えばダイデオキシチェーンターミネーション法シーケンスキット(アマシャムファルマシアバイオテク社製)等を用いて反応を行い、これを適当なオートDNAシーケンサー、例えば日立蛍光式DNAシーケンサーSQ3000(日立電子エンジニアリング社製)等で解析する。
【0019】
取得されたcDNA断片がORFの全長を含んでいない場合には、得られたDNA断片をプローブとして、上記(2)で得られたcDNAライブラリーをスクリーニングすることによりORFの全長を含むDNAを取得することもできる。
得られたDNAが新規のものであるか否かは、これをBlast search(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/blast.cgi)等の検索サイト等を利用して検索することによって確認することができる。
【0020】
かくして得られるTh2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質をコードするDNAとして、例えば配列番号1に示す配列を有するものを挙げることができる。またこのcDNAクローンは蛋白質のコーディング領域を全て含むことが確認されている。本発明のTh2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質およびそれをコードするDNAとは、上記したディファレンシャルディスプレイにおいて、Th2において発現するが、Th1には発現しないことが確認されるもの、あるいは下述の実施例2に記載するようなmRNA量の測定において、Th2に発現するがTh1には発現しないものを意味し、必ずしもTh1で完全に発現しないことを意味するものではない。
【0021】
本発明のDNAは、配列番号1に示される塩基配列を含むもののみならず、配列番号1に記載の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつTh2に発現するがTh1には発現しない蛋白質をコードし得るDNAであれば如何なる塩基配列を有するものであってもよい。これらの塩基配列には、配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換及び/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつTh2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質をコードし得るDNAも含有される。
【0022】
ここで、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAとは、配列番号1に示される塩基配列と70%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列を含むDNA等が挙げられる。また、ストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーションとは、通常のハイブリダイゼーション緩衝液中で、温度が40〜70℃、好ましくは60〜65℃等で反応を行い、塩濃度が15〜300mM、好ましくは15〜60mM等の洗浄液中で洗浄する方法に従って行うことができる。
【0023】
また、アミノ酸残基の置換、欠失、付加等を含むアミノ酸配列をコードするDNAは、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、cDNA、cDNAライブラリー等から調製されたものでも、合成DNAでもよい。DNAの塩基配列の置換は、例えばサイトダイレクテドミュータジェネシスキット(宝酒造)や、QuickChange Site−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE社製)等の市販キットを用いることができる。
【0024】
また、配列番号1に記載の塩基配列は、マウスを由来とするものであるが、上記したcDNAライブラリーの作製法に従ってヒトのcDNAライブラリーを作製し、該ライブラリーに対して配列番号1の塩基配列を有するDNA断片をプローブとしたハイブリダイゼーションを行うことにより、配列番号1に記載の塩基配列がコードする蛋白質のヒトのホモログ蛋白質をコードするDNAを取得することもできる。本発明の配列番号1に記載の塩基配列またはその相補配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAには、このようなヒトのホモログをコードするDNAも含まれる。このようなヒト由来の配列を有する本発明のDNAとしては、例えば、配列番号3または9に記載の塩基配列を含むもの等が挙げられる。
【0025】
(5)組み換え蛋白質の取得
本発明のTh2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質の組み換え体を作製する方法としては、例えば、上記(3)で得られた該蛋白質をコードするDNAを含む組換えベクターを作製し、これを適当な宿主に導入し、該導入宿主を適当な条件下で培養した培養物から組み換え蛋白質を抽出する方法等が挙げられる。組み換え蛋白質を発現するためのベクターとしてはこれを導入する宿主内で(3)で得られたDNAまたはそれを含むDNA断片が発現されるものであれば特に制限はないが、通常宿主に適したプロモーターが挿入されている市販の蛋白質発現ベクターを用いる。また、プラスミドベクター、ファージベクターともに使うことができる。
【0026】
具体的には、ZAP Express(ストラタジーン社製)、pSVK3(アマシャムファルマシアバイオテク社製)、pEGFP−C1(クロンテック社製)等が挙げられる。また、pMKITNeo(丸山和夫、細胞工学別冊8,新細胞工学実験プロトコール、p.259,
秀潤社、(1993))等も好ましく用いられる。
本発明のDNAを発現させるためのプロモーターとしては、宿主が保有するプロモーターを一般に用いることができるが、これに限られるものではなく、具体的には宿主微生物が大腸菌の場合にはT3、T7、tac、lacプロモーター等を用いることができ、酵母の場合にはnmt1プロモーター、Gal1プロモーター等が挙げられる。また動物培養細胞の場合にはSV40プロモーター、CMVプロモーター等が挙げられる。またほ乳類由来のプロモーターが機能可能な宿主を用いる場合には、本発明のDNAに固有のプロモーターを用いることもできる。
【0027】
これらのベクターへの(3)で得られた遺伝子DNAの挿入は、該DNAまたはこれを含むDNA断片をベクター中のプロモーターの下流にプロモーターの制御下におかれるように連結して行う。また、プロモーターと本発明のDNAとの間にコザック配列(Kozak, M., Gene, 234, 187, (1999))を挿入したり、本発明のDNAの下流にタグとなるポリペプチドをコードするDNAを挿入した構造を有するベクターも好ましく用いられる。タグとなるポリペプチドとしては特に制限はないが、例えば、FLAGタグ(BioTechniques, 7, 580, (1989))等が挙げられる。
【0028】
このようにして得られた本発明の組換えベクターは、リン酸カルシウム法(Science, 221, 551(1983))、DEAEデキストラン法(Science, 215, 166(1982))、電気パルス法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 7161(1984))、インビトロパッケージング法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 72, 581(1975))、ウィルスベクター法(Cell, 37, 1053(1984))、あるいはリポフェクション法(Lipofection Reagent(GibcoBRL社製))等によって適当な宿主に導入される。
【0029】
このとき、該組み換えベクターを導入する宿主としては、該ベクターが体内で複製可能であり、かつ該DNAがコードする蛋白質が生成されるものであれば特に限定されないが、例えば大腸菌、酵母、バキュロウィルス(節足動物多角体ウイルス)−昆虫細胞、動物細胞等が挙げられる。具体的には、大腸菌ではBL21、XL−2Blue(ストラタジーン社製)等、酵母では例えばSP−Q01(ストラタジーン社製)等、バキュロウィルスでは例えばAcNPV(J. Biol. Chem., 263, 7406(1988))とその宿主であるSf−9(J. Biol. Chem., 263, 7406(1988))等が挙げられる。また動物細胞としてはマウス繊維芽細胞C127(J. Viol. , 26, 291(1978))やチャイニーズハムスター卵巣細胞CHO(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4216(1980))やアフリカミドリザル腎臓由来COS−7(ATCC CRL1651:アメリカン タイプ カルチャー コレクション)等が挙げられる。
【0030】
上記したような組み換えベクターを用いる発現方法の他に、プロモーターを連結した本発明のDNA断片を宿主の染色体中に直接挿入する相同組換え技術(A. A.Vertes et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 57, 2036(1993))、あるいはトランスポゾンや挿入配列(A. A. Vertes et al., Molecular Microbiol., 11,
739(1994))等を用いて発現させることができる。
【0031】
組み換えベクターを導入した導入体は、それぞれに適した培地により培養される。培地中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物、ビタミン、血清および耐性スクリーニングに用いられる薬剤などが含有される。具体的には、形質転換体の宿主が大腸菌の場合には、例えばLB培地(ナカライテスク社製)等、酵母の場合には、YPD培地(Genetic Engineering, 1, 117, Plenum Press(1979))等、宿主が昆虫細胞および動物細胞の場合は、20%以下のウシ胎児血清を含有するHam−12培地、MEM培地、DMEM培地、RPMI1640培地(SIGMA社製)等を挙げることができる。また、培養は通常温度20℃〜45℃、CO2濃度2〜10%の範囲で行うことが好ましい。培養時間は、宿主及び組み換えベクター等によって適宜選択することができるが、好ましくは12〜80時間である。さらに、必要に応じて通気、攪拌が行われる。これら以外の培地組成あるいは培養条件下でも導入宿主が生育し、挿入された本発明のDNAがコードする蛋白質が生成されればいかなるものであってもよい。
【0032】
このようにして培養された導入体の回収方法は、例えば宿主が細胞である場合には、培養物を遠心分離等により細胞を分離した後、細胞体あるいは培養上清として回収する方法等が用いられる。回収された細胞体からの組み換え蛋白質の抽出方法としては、それ自体既知の通常用いられる方法が挙げられるが、例えば、細胞をリン酸バッファー(Phosphate Buffered Saline:PBS)に懸濁した後に、等量のサンプルバッファー(0.25M Tris−HCl(pH6.8)、4% sodiumdodecyl sulfate(SDS)、20% glycerol、10% β−mercapto eThanol(2−ME)、0.2% bromophanol blue(BPB))を添加して98℃で1〜10分間ボイルする方法等が挙げられる。
【0033】
抽出された蛋白質は、SDS−アクリルアミドゲル電気泳動等により分離し、適当な染色試薬、例えば、クマシーブリリアントブルー(CBB)等によりゲルを染色することにより確認することができる。また、後述する本発明の蛋白質の抗体との結合性を解析することによってもその発現状態を確認することができる。
また一般的に、発現された蛋白質は生体内に存在する蛋白質分解酵素により切断されること(プロセッシング)が知られている。本発明の蛋白質も当然のことながら切断されたアミノ酸配列の部分断片であっても、Th2に発現するがTh1には発現しないものであれば、本発明の蛋白質に含まれる。
【0034】
かくして得られる蛋白質が遊離体で得られた場合には、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には遊離体または他の塩に変換することができる。この様な塩も本発明の蛋白質に含まれる。また、上記した導入宿主が産生する蛋白質を、精製前または後に適当な蛋白質修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することにより修飾蛋白質とすることができる。これらの修飾蛋白質も上記したTh2に発現するが、Th1には発現しないものであれば本発明の範囲に含まれる。
【0035】
(6)オリゴヌクレオチドの調製
上記(3)で取得した本発明のDNAまたはその断片を用いて、DNA合成機などを用いる常法により、本発明のDNAの一部の配列を有するアンチセンス・オリゴヌクレオチド、センス・オリゴヌクレオチド等のオリゴヌクレオチドを調製することができる。該オリゴヌクレオチドとしては、上記DNAの有する塩基配列中の連続した5〜500塩基と同じ配列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配列を有するDNAを挙げることができる。具体例としては、配列番号1で表される塩基配列中の連続した5〜500塩基と同じ配列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配列を有するDNAを挙げることができる。センスプライマーおよびアンチセンスプライマーとして用いる場合には、両者の融解温度(Tm)および塩基数が極端に変わることのない上記のオリゴヌクレオチドが好ましい。
【0036】
また、本発明のDNAの部分断片は、例えばこれをプローブ、またはPCRプライマーとして用いることにより、本発明の蛋白質の発現異常により免疫系の異常を来す疾患の、遺伝子診断に使用することができる。具体的には、例えば検体中の本発明の蛋白質のmRNAの発現量や、損傷の程度を本発明のDNAをプローブとした通常のノーザンハイブリダイゼーションや半定量的なリバースPCR(Sourvinos, G.et al., Oncogene, 18, 4968(1999))により解析したり、あるいは検体中の本発明の蛋白質をコードする遺伝子の変異の有無や、変異の位置をPCR−SSCP法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 86, 2766(1989))等で検知することができる。DNAプローブまたはプライマーの大きさは、上記解析または検知が可能な長さであれば特に制限されないが、通常DNAプローブとしては例えば20〜500塩基対のものが用いられ、PCRプライマーとしては15〜100塩基、好ましくは20〜40塩基程度の長さが適当である。ハイブリダイゼーションプローブとして用いる場合には、ハイブリダイゼーションの条件等にあわせて適宜選択することができる。
【0037】
また、これらオリゴヌクレオチドの誘導体も本発明のオリゴヌクレオチドとして利用することができる。該オリゴヌクレオチド誘導体としては、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスフォアミデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、あるいはオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体等を挙げることができる。
【0038】
また、本発明のオリゴヌクレオチドは、これを2本鎖RNAとして調製することにより、RNAインターフェアレンス法に適用することができる。2本鎖RNAの作製方法、及びRNAインターフェアレンス法については、例えば、(Elbashir, S., et al., Nature, 411, 494−498(2001))に記載の方法等を用いることができる。上記2本鎖RNAは、そのすべてがRNAである必要はない。具体的には、その一部がDNAであるものとして、WO02/10374公報に記載のものを用いることができる。
【0039】
2本鎖ポリヌクレオチドを導入する被導入体としては、標的遺伝子がその細胞内でRNAに転写、または蛋白質に翻訳を受け得るものであれば如何なるものであってもよいが、具体的には、植物、動物、原生動物、ウィルス、バクテリア、または真菌種に属するものが挙げられる。植物は単子葉植物、双子葉植物または裸子植物であってよく、動物は、脊椎動物または無脊椎動物であってよい。好ましい微生物は、農業、林業、水産業、または工業によって使用されるものであり、そして植物または動物に対して病原性のものである。真菌には、カビ及び酵母形態両方での生物体が含まれる。脊椎動物の例には、魚類、ウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジ、ハムスター、マウス、ラット及びヒトを含む哺乳動物が含まれ、無脊椎動物には、線虫類及び他の虫類、キイロショウジョウバエ(Drosophila)、及び他の昆虫が含まれる。
【0040】
被導入体は、細胞、組織、あるいは個体を意味する。ここで細胞とは、生殖系列または体性、分化全能、または多分化能、分割または非分割、実質組織または上皮、不滅化したものまたは形質転換したもの等からであってよい。細胞は、配偶子または胚であってよく、胚の場合、単一細胞胚または構成性細胞、または多重細胞胚からの細胞であり、胎児組織を含む。さらには、幹細胞のような未分化細胞、または胎児組織を含む器官または組織の細胞からのような分化細胞、または生物内に存在する任意の他の細胞であってよい。分化している細胞型には、脂肪細胞、繊維芽細胞、筋細胞、心筋細胞、内皮細胞、神経細胞、グリア、血液細胞、巨核球、リンパ球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、白血球、顆粒球、ケラチン生成細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、肝細胞及び内分泌線または外分泌腺の細胞が含まれる。
【0041】
被導入体への2本鎖ポリヌクレオチドの導入法としては、被導入体が細胞、あるいは組織の場合は、カルシウムフォスフェート法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、ウィルス感染、2本鎖ポリヌクレオチド溶液への浸漬、あるいは形質転換法等が用いられる。また、胚に導入する方法としては、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション法、あるいはウィスル感染等が挙げられる。被導入体が植物の場合には、植物体の体腔または間質細胞等への注入または灌流、あるいは噴霧による方法が用いられる。また、動物個体の場合には、経口、局所、(皮下、筋肉内及び静脈内投与を含む)非経口、経膣、経直腸、経鼻、経眼、腹膜内投与等によって全身的に導入する方法、あるいはエレクトロポレーション法やウィルス感染等が用いられる。経口導入のための方法には、2本鎖ポリヌクレオチドを生物の食物と直接混合することができる。さらに、個体に導入する場合には、例えば埋め込み長期放出製剤等として投与することや、2本鎖ポリヌクレオチドを導入した導入体を摂取させることにより行うこともできる。
【0042】
導入する2本鎖ポリヌクレオチドの量は、導入体や、標的遺伝子によって適宜選択することができるが、細胞あたり少なくとも1コピー導入されるに充分量を導入することが好ましい。具体的には、例えば、被導入体がヒト培養細胞で、カルシウムフォスフェート法により2本鎖ポリヌクレオチドを導入する場合、0.1〜1000nMが好ましい。
【0043】
(7)本発明の蛋白質に特異的に結合する抗体
本発明の蛋白質と特異的に結合する抗体の調製方法としては、通常用いられる公知の方法を用いることができ、抗原として用いられるポリペプチドについても、公知の方法に従って抗原性が高くエピトープ(抗原決定基)として適した配列を選択して用いることができる。エピトープの選択方法としては、例えばEpitope Adviser(富士通九州システムエンジニアリング社製)等の市販のソフトウェア等を用いて行うことができる。
【0044】
上記の抗原として用いるポリペプチドは、公知の方法に従って合成した合成ペプチドでも、また本発明の蛋白質そのものを用いることもできる。抗原となるポリペプチドは、公知の方法に従って適当な溶液等に調製して、哺乳動物、例えばウサギ、マウス、ラット等に免疫を行えばよいが、安定的な免疫を行ったり抗体価を高めるために抗原ペプチドを適当なキャリア蛋白質とのコンジュゲートにして用いたり、アジュバント等を加えて免疫を行うのが好ましい。
【0045】
免疫に際しての抗原の投与経路は特に限定されず、例えば皮下、腹腔内、静脈内、あるいは筋肉内等のいずれの経路を用いてもよい。具体的には、例えばBALB/cマウスに抗原ポリペプチドを数日〜数週間おきに数回接種する方法等が用いられる。また、抗原の摂取量としては、抗原がポリペプチドの場合0.3〜0.5mg/1回程度が好ましいが、ポリペプチドの種類、また免疫する動物種によっては適宜調節される。
【0046】
免疫後、適宜試験的に採血を行って固相酵素免疫検定法(以下、これを「ELISA法」と称することがある)やウエスタンブロッティング等の方法で抗体価の上昇を確認し、十分に抗体価の上昇した動物から採血を行う。これに抗体の調製に用いられる適当な処理を行えばポリクローナル抗体を得ることができる。具体的には、例えば、公知の方法に従い血清から抗体成分を精製した精製抗体を取得する方法等が挙げられる。抗体成分の精製は、遠析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の方法を用いることができる。
【0047】
また、該動物の脾臓細胞とミエローマ細胞とを用いて公知の方法に従って融合させたハイブリドーマを用いる(Milstein, et al., Nature, 256, 495(1975))ことによりモノクローナル抗体を作製することもできる。モノクローナル抗体は、例えば以下の方法により取得することができる。
まず、上記した抗原の免疫により抗体価の高まった動物から抗体産生細胞を取得する。抗体産生細胞は、形質細胞、及びその前駆細胞であるリンパ球であり、これは個体の何れから取得してもよいが、好ましくは脾臓、リンパ節、末梢血等から取得する。これらの細胞と融合させるミエローマとしては、一般的にはマウスから得られた株化細胞、例えば8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来等)ミエローマ細胞株であるP3X63−Ag8.653(ATCC:CRL−1580)とP3−NS1/1Ag4.1(理研セルバンク:RCB0095)、あるいはP3X63−Ag8.653由来のハイブリドーマSP2/0−Ag14 (ATCC:CRL−1581)等が好ましく用いられる。細胞の融合は、抗体産生細胞とミエローマ細胞を適当な割合で混合し、適当な細胞融合培地、例えばRPMI1640やイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、あるいはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)等に、50%ポリエチレングリコール(PEG)を溶解したもの等を用いることにより行うことができる。また電気融合法(U. Zimmer− mann. et al., Naturwissenschaften, 68, 577(1981))によっても行うことができる。
【0048】
ハイブリドーマは、用いたミエローマ細胞株が8−アザグアニン耐性株であることを利用して適量のヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)液を含む正常培地(HAT培地)中で5%CO2、37℃で適当時間培養することにより選択することができる。この選択方法は用いるミエローマ細胞株によって適宜選択して用いることができる。選択されたハイブリドーマが産生する抗体の抗体価を上記した方法により解析し、抗体価の高い抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法等により分離し、分離した融合細胞を適当な培地で培養して得られる培養上清から硫安分画、アフィニティクロマトググラフィー等の適当な方法により精製してモノクローナル抗体を得ることができる。また精製には市販のモノクローナル抗体精製キットを用いることもできる。さらには、免疫した動物と同系統の動物、またはヌードマウス等の腹腔内で上記で得られた抗体産生ハイブリドーマを増殖させることにより、本発明のモノクローナル抗体を大量に含む腹水を得ることもできる。
【0049】
また、本発明の蛋白質としてヒト由来のものを取得した場合には、かかるポリペプチド、あるいはその部分ペプチドを抗原として、ヒト末梢血リンパ球を移植したSevere combined immune deficiency(SCID)マウスに上記した方法と同様にして免疫し、該免疫動物の抗体産生細胞とヒトのミエローマ細胞とのハイブリドーマを作製することによってもヒト型抗体を作製することができる(Mosier, D. E., et al. Nature, 335, 256−259 (1988); Duchosal, M. A., et al., Nature, 355, 258−262( 1992)。
【0050】
また、取得したヒト型抗体を産生するハイブリドーマからRNAを抽出し、目的のヒト型抗体をコードする遺伝子DNAをクローニングして、この遺伝子DNAを適当なベクターに挿入し、これを適当な宿主に導入して発現させることにより、さらに大量にヒト型抗体を作製することができる。ここで、抗原との結合性の低い抗体は、それ自体既知の進化工学的手法を用いることによりさらに結合性の高い抗体として取得することもできる。一価性抗体等の部分フラグメントは、例えばパパイン等を用いてFab部分とFc部分を切断し、アフィニティカラム等を用いてFab部分を回収することによって作製することができる。
【0051】
かくして得られる本発明の蛋白質と特異的に結合する抗体は、本発明の蛋白質に特異的に結合することによって該蛋白質が発現している組織あるいは細胞等を特定すること等に用いられる。
【0052】
(8)本発明の蛋白質またはそれをコードするDNA、特異抗体の利用方法
本発明の蛋白質またはこれをコードするmRNA等の生成の有無、またはそれらの体液中またはT細胞内の濃度の高低を測定することでTh2機能のレベルを推定することができる。Th2機能は花粉症や食物アレルギーの発症に必須の機能であり、この機能レベルを知ることにより、アトピー素因の有無やアレルギー患者の発症原因の特定に役立つ。また、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫病においてもTh2機能が異常に亢進していると考えられ、逆に慢性関節リウマチやシェグレン症候群などの自己免疫病ではTh1機能に比してTh2機能が低下していると考えられる。従って、特にT細胞による該蛋白質等の生成能とIFN−γの生成能を合わせて測定することにより、Th1機能とTh2機能のバランスを推定することができ、これらの疾患の有無、または罹患し易さを推定することができる。また、線虫などの寄生虫の感染の際にはTh2機能が抗原非特異的に亢進することが知られており、該蛋白質等はこれらの寄生虫感染の有無を知るための指標としても役立つ。さらに、妊娠期においてはTh1機能に比してTh2機能が亢進することが知られており、該蛋白質等の生成が正常な妊娠維持の指標の一つとして役立つ。
【0053】
また、該蛋白質等はサイトカインとしての性質を持つので、その受容体が存在すると考えられ、その受容体を探索するために該蛋白質、およびそれをコードするDNAの導入体等を用いることができる。受容体のスクリーニング方法としては、本発明の蛋白質と相互作用する物質を、それ自体既知の方法により選抜する方法や、被検物質の本発明の蛋白質に対する結合性を本発明の蛋白質に特異的に結合する抗体との競合実験によって解析する方法等が挙げられる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1 マウス T 細胞の2型ヘルパーT細胞への機能分化の際に誘導されるが、1型ヘルパー T 細胞の場合には発現しない蛋白質をコードする DNA の取得( PCR Differential Display MeThod )
(1)2型ヘルパーT細胞への機能分化を誘導したT細胞からのcDNA調製
遺伝子源となるマウスは、RAG−2遺伝子欠損マウスと、T細胞抗原受容体(TCR)を遺伝子導入したマウスの、交配により作成した。RAG−2遺伝子欠損マウスは、常法に従って作成されたもの(Shinkai, Y., et al., Cell, 68, 855 (1992))を用いた。また、TCR遺伝子導入マウスは、卵白アルブミン(OVA)に特異的なTCR遺伝子を定法(発生工学実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987))に従って導入、作製した(Ohoka, Y., et al., Int. Immunol., 8, 297, (1996))。両マウスを交配することにより、RAG−2を欠損した遺伝的背景に、単一のTCRを発現する、つまり内因性のTCR発現がなく、導入されたTCRのみを発現するマウスが作製された。このマウスでは主要組織適合抗原(MHC)拘束性を利用することにより、胸腺においてT細胞の分化をCD4/CD8両陽性細胞の段階で停止させることができ、大部分の胸腺細胞が未熟なCD4/CD8両陽性細胞となる特徴がある。
【0055】
上記マウスをSPF条件下にて飼育し、この胸腺を無菌的に取り出し、Current Protocol in Immunology,John Wily&Sons,Inc.(1992)に記載の方法により、10%非働化ウシ血清を含むDMEM培地(シグマ社製)で4×106cells/mlの濃度の細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁液に、Iwata,M. et al., Eur. J. Immunol. 26, 2081(1996)に記載の方法によって、試験管内で、Ionomycin(カルビオケム社製)0.2μg/mlとPhorobol Myristate Acetate(PMA、シグマ社製)0.2ng/μlを加え、10%CO2、37℃の環境で20時間刺激培養した。培養後、細胞を洗浄し、新しい培養液中でIonomycinとPMAを加えずにさらに24時間培養した。この時点でほとんどの細胞はCD4陽性T細胞系列にコミットしていた。
【0056】
これらの細胞を5×106cells/mlの濃度で新たな培地に懸濁し、Ionomycin、0.2μg/mlとPMA、3.0ng/mを加え、2度目の刺激培養を17時間行なった後、細胞を洗浄した。
これらの細胞をTh2に分化させるために、新たな培地中に1×106cells/mlの濃度で懸濁し、20units/mlのリコンビナント・マウス・IL−2:Biosource社製、1,000units/mlのリコンビナント・マウス・IL−4:Genzyme社製、1μg/mlのモノクローナル抗マウス・IFN−γ抗体(BD PharMingen社製:クローンXMG1.2)、および1μg/mlのモノクローナル抗マウス・IL−12
抗体(BD Pharmingen社製:クローンC17.8)を添加して24〜96時間培養した。
【0057】
一方、Th1に分化させるためには、20units/mlのリコンビナント・マウス・IL−2:Genzyme社製、10ng/mlのリコンビナント・マウスIL−12(Genzyme社製)、および1μg/mlのモノクローナル抗マウスIL−4抗体(BD PharMingen社製:クローン11B11)を添加して24〜96時間培養した。
【0058】
これらの培養で得た細胞からAcid guanidium Thiocyanate−phenol chloroformmeThod(Chomczynski,P. et al., Anal Biochem., 162(1), 156−9(1987))によりTotal RNAを調製した。調製したTotal RNAのうち0.5μgを、ジチオスレイトール(DTT)10mM、MMLV reverse transcriptase(GibcoBRL社製)300U、RNAse inhibitor(プロメガ社製)117U、アンカープライマー(配列番号4)2.5μM、dNTP20μMを含む逆転写反応液に供してインキュベートを行った。
【0059】
この逆転写反応液0.5μlを、dNTP2μM、0.6U AmpliTaq DNA Polymerase(Perkin Elmer社製)、67nM[α−33P]dCTP、アンカープライマー(配列番号4)2.5μM、及びアービトラリープライマー(配列番号5)0.5μMを含むポリメラーゼチェインリアクション(PCR)緩衝液(AmpliTaq DNA Polymeraseに添付)4.5μlに供し、PCRを行った。PCRは、94℃−3分、40℃−5分、72℃−5分を1サイクル、94℃−30秒、40℃−2分、72℃−30秒を35サイクル、さらに72℃−5分の条件で行った。
【0060】
(2)2型ヘルパーT細胞への機能分化に伴い発現誘導されるが、1型ヘルパーT細胞の場合には発現しない蛋白質をコードするDNAの取得
上記(1)でTh2及びTh1より調製したRNAより得られたcDNAを鋳型としたPCRにより増幅されたDNA断片を、6%ポリアクリルアミドシークエンスゲルを用いた電気泳動により分離し、オートラジオグラフィーによって可視化し、両DNA断片を比較した。ここで、Th2への分化過程でのみ観察されるDNA断片が含まれるゲルを切り出し、100μlの沸騰水中でDNAを抽出した。この抽出液に含まれるDNAを50μgのGlycogenを含むエタノールにて沈殿させ、これを10μlの水に溶解した。
【0061】
このうち4μlをdNTP25μM、2.5U AmpliTaq DNA Polymerase(Perkin Elmer社製)、アンカープライマー(配列番号4)1.0μM、及びアービトラリープライマー(配列番号5)0.5μMを含むPCR緩衝液(AmpliTaq DNA Polymeraseに添付)19μlに供し、PCRを行った。PCRは、94℃−30秒、40℃−2分、72℃−30秒を35サイクル、さらに72℃−5分の条件で行った。このPCRにより増幅されたDNA断片が1種類のものであることを、2%アガロースゲルによる電気泳動で分離し確認した。
【0062】
この増幅されたDNA断片をpGEM−Teasyベクター(Promega社製)に、ベクターに添付のマニュアルに準じてクローニングした。さらに、このDNA断片をSlot blotanalysis(Vogeli, L. R. et al., Nucleic. Acid. Res., 24, 1385−1386(1996))に供し、上記で行ったオリジナルのdifferential displayの発現パターンと同じであることを確認した。
【0063】
ここで増幅されたDNA断片は253bpで、コーディング領域を含んでいなかったので、これをプローブとして、上記(1)で取得したTh2由来のcDNAライブラリーをスクリーニングし、さらに選抜されたクローンに含まれる3種類のDNA断片をシーケンスして、配列番号1の塩基番号1519〜4020にあたる2500bpのクローン、3458〜4021にあたる564bpのクローン、および3737〜4020にあたる284bpのクローンを取得した。この3つはコンティグを形成した。
【0064】
得られたDNA断片の塩基配列を種々のデータベースでホモロジー検索したところ、1)ESTマウスデータベース(Accession number:AA472114)、2)ESTラットデータベース(Accession number:AI112374)、3)EMBLヒトデータベース(Accession number:HSM801054)、4)ヒトゲノムデータベース(Accession XM 046264)、及び5)ヒトゲノムデータベース(Accession number:AC092042.2)に相同性を有するDNAが登録されていた。しかし、1)および2)はコーディング領域を含まないcDNAの3’端断片であり、3)および4)はC末端側のコーディング領域の一部とその下流の一部を含むcDNA断片であった。5)に関しては、N末端側のコーディング領域が同定されていなかった。また、いずれのDNA断片についてもそれがコードする蛋白質の機能については記載がされていなかった。
【0065】
上記で得られた2500bp中の243bpのDNA断片(配列番号1の塩基番号3778〜4020に相当する)をプローブとして、正常マウス脳由来のcDNAライブラリー(Clontech社製)からコーディング領域の大部分を含み、N末端部分をコードする領域を欠く3715bpのクローンを得た。そこで、さらにこれに基づき、コーディング領域の一部を含む373bpのDNA断片(配列番号1の塩基番号563〜935に相当する)をプローブとして、上記した正常マウス脳由来のcDNAライブラリーから961bpのDNA断片(配列番号1の塩基番号1〜961に相当する)を単離した。これらはコンティグを形成し、これらを用いてコーディング領域(配列番号1のアミノ酸連記部分)を含む配列番号1に示したcDNAの全長(以下、これを「242C cDNA」、これと対応するmRNAを「242C mRNA」と称することがある)が得られた。
【0066】
該DNAのオープンリーディングフレーム(ORF)は533アミノ酸(配列番号1の塩基番号548〜2242)に渡っており、N末端側アミノ酸の約33〜43残基はシグナル配列を形成していた(図1)。従って、該DNAがコードする蛋白質(以下これを「242C蛋白質」と称することがある)は分泌性蛋白質または新規サイトカインであると考えられた。
【0067】
該DNAを、上記ヒトゲノムデータベースによりさらに解析したところ、このcDNAのヒトホモログは少なくとも5つのエキソンから成っており、ヒトでは第3染色体p21.32の付近に位置していた。しかし、マウスcDNAのN末端の5アミノ酸をコードする塩基配列のヒト相同部位については、今の所、同定できない。このヒト由来のcDNA配列を配列番号3に示す。
【0068】
実施例2 Th2 細胞への分化誘導に伴う 242C mRNA 発現の解析
実施例1(1)に記載の方法により、胸腺細胞にin vitroで2度のionomycin/PMA刺激を加えた後、新たな培地中でサイトカインと抗体を添加して培養し、Th1とTh2を誘導した。このサイトカインと抗体を添加した培養において、経時的に細胞を回収し、細胞中の242C mRNAの発現レベルをコントロールのβ−actin mRNAレベルとRT−PCRを用いて比較した(図2)。その結果、242C mRNAの発現はTh2への分化に伴って誘導されるが、Th1の場合には発現しないことが見出された。
【0069】
この結果を他のTh1/Th2分化誘導系において確認するために、BALB/cマウス(日本クレア社製)の脾臓細胞からMiyaura, H., & Iwata, M., J. Immunol., 168, 1087, (2002)に記載の方法により、CD4陽性ナイーブT細胞を調製し、この細胞からTh1およびTh2を分化誘導した。Th2に分化させるためには、新たな培地中に5×105cells/mlの濃度で懸濁し、20units/mlのリコンビナント・マウスIL−2(Genzyme社製)、1,000units/mlのリコンビナント・マウスIL−4(Genzyme社製)、2μg/mlのモノクローナル抗マウス・インターフェロン−γ抗体(BD Pharmingen社製:クローンXMG1.2)、および1μg/mlのモノクローナル抗マウスIL−12抗体(BD Pharmingen社製:クローンC17.8)を添加して、ハムスター・モノクローナル抗マウスCD3抗体(クローン145−2C11、Leo, O., et
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 1374, (1987))とハムスター・モノクローナル抗マウスCD28抗体(BD PharMingen社製:クローン37.51)をコートしたプレート中で、24〜96時間培養した。
【0070】
一方、Th1に分化させるためには、20units/mlのリコンビナント・マウスIL−2(Genzyme社製)、10ng/mlのリコンビナント・マウスIL−12(Genzyme社製)、および1μg/mlのモノクローナル抗マウスIL−4抗体(BD Pharmingen社製:クローン11B11)を添加して、Th2の場合と同様に抗CD3抗体と抗CD28抗体をコートしたプレート中で、24〜96時間培養した。経時的に細胞を回収し、細胞中の242C mRNAの発現レベルをコントロールのβ−actin mRNAレベルとRT−PCRを用いて比較した(図2)。その結果、242C mRNAの発現はやはりTh2への分化に伴って誘導されることが確認された。
【0071】
実施例3 抗242C抗体の作製
配列番号2のアミノ酸番号365〜378の部分ペプチドのN末端にシステインを付加した15残基のペプチドA(配列番号6)を合成し(サワディーテクノロジー社に依頼)、Keyhole Limpet hemocyanineにコンジュゲートしてウサギに免疫した(サワディーテクノロジー社に依頼)。初回免疫は0.15mgをフロイント完全アジュバンドとともに行い、その後2週間ごとに2回目から4回目まで0.3mgをフロイント不完全アジュバンドとともに皮下に注射した。5回目の免疫は4回目から4週間後に行い、その10日後に血液を採取し、Antibodies/A Laboratory Manual (Harlow E., and Lane D.)に記載の方法により血清を精製した(以下、これを「抗242CペプチドA血清」と称することがある)を取得した。得られた抗血清は公知の固相酵素免疫検定法(以下、これを「ELISA法」と称することがある)を用いてその抗体価を確認した。
【0072】
同様に、配列番号2のアミノ酸番号95〜114に相当する20残基のペプチドB(242CペプチドB:配列番号7)を合成し、同様の方法でウサギ抗242CペプチドB血清を取得し、同様にその抗体価を確認した。
モノクローナル抗体を得るため、Keyhole Limpet hemocyanineにコンジュゲートした0.1mgの242CペプチドBをフロイント完全アジュバンドと混合し、2カ所に分けてメスのWKY/NCrjラット(SJL社製)の皮下に注射した。3週間後、リンパ節を集め、そのリンパ球と、8−アザグアニン耐性マウス由来ハイブリドーマSP2/0−Ag14細胞(ATCC:CRL−1581;BALB/c由来ミエローマ細胞株P3X63−Ag8.653とBALB/c脾細胞のバイブリッドを2〜3:1の割合で混合し、DMEM培地等に、Hybrimax(Sigma社製)を用いて、Antibodies/A Laboratory Manual(Harlow E., and Lane D.)に記載の方法により細胞融合を行った。
【0073】
ハイブリドーマは、用いたミエローマ細胞株が8−アザグアニン耐性株であることを利用して適量のヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)液を含む正常培地(HAT培地)中で5%CO2、37℃で10〜14日培養することにより選択した。選択されたハイブリドーマが産生する抗体の抗体価は、上記した242CペプチドBまたはそれを含む242C蛋白質の部分ポリペプチド断片(アミノ酸残基44〜182に相当する:配列番号8)を平底96穴ELISA用プレートにコートして、ELISA法により解析した。
【0074】
抗体価の高い抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法により分離し、分離した融合細胞を培養して得られる培養上清からプロテインGアガロース・カラム(Amersham Pharmacia社製)を用いてAntibodies/A Laboratory Manual (Harlow E., and Lane D.)に記載の方法により精製した。さらに、ヌードマウス(BALB/cA Jcl−nu:日本クレア社製)の腹腔内において、上記で得られた抗体産生ハイブリドーマを増殖させ、本発明のモノクローナル抗体を大量に含む腹水からAntibodies/A Laboratory Manual(Harlow E., and Lane D.)に記載の方法により、硫安分画、カプリル酸分画を利用して抗242Cモノクローナル抗体を精製した。
【0075】
実施例4 動物細胞系での242C蛋白質の強制発現、及び242C蛋白質の細胞内外での発現の解析
(1)CHO細胞への242C cDNAの導入
上記実施例1で得られた242C cDNA断片を鋳型として、動物細胞用発現ベクターpMKITneo(東京医科歯科大学医学部、丸山和夫助教授より供与)に挿入することにより動物細胞発現ベクター、a)pMKIT−242CKSPF、b)pMKIT−242CKSP、c)pMKIT−242CSPF、およびd)pMKIT−242CSPを作製した。a)には翻訳開始点近傍上流にコザック配列、下流にFLAGタグをコードする配列を挿入した。b)には翻訳開始点近傍上流にコザック配列を、c)にはFLAGタグをコードする配列を、それぞれ挿入した。d)にはコザック配列もFLAGタグをコードする配列も挿入しなかった。得られたDNAを精製後、制限酵素SmaIで切断して線状DNAとし、Lipofectin Reagent(GibcoBRL社製)を用いてチャイニーズハムスター卵巣細胞CHO(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 77, 4216(1980))に導入した。
【0076】
(2)ウェスタンブロッティング解析
実施例4(1)で得られた導入細胞を、ウシ胎児血清を10%含むHam−12培地(Sigma社製)中で増殖させた。培養上清を除去後、培養器に接着した細胞を血清を含まないHam−12で洗浄し、同じ培地中で、37℃、5%CO2で72時間培養した。培養後、培養上清と細胞を回収分離し、該細胞を氷中でPBSに懸濁し、等量のサンプルバッファー(0.25M Tris−HCl(pH6.8)、4% SDS、20% glycerol、10% β−mercapto ethanol、0.2% bromophenol blue)を加えて98℃で5分間ボイルした。培養上清については、50%アセトンを加えて蛋白質を沈殿させた。沈殿蛋白質に50%濃度の上記サンプルバッファーを加えて98℃で5分間ボイルした。
【0077】
これらのサンプルを10% SDSアクリルアミドゲルにより電気泳動し、48mM Tris、39mM glycine、0.037% SDS、20% ethanolの存在下でニトロセルロースメンブレン(NitroBind:Osmonics社製)に電気的にトランスファーした。このメンブレンを5%スキムミルクを含むT−TBS(Tris buffered saline:10mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、0.1% Tween−20)に1時間浸透し、その後T−TBSで250倍希釈した上記実施例3で取得した抗ペプチドA血清と室温で2時間反応させた。また、対象実験として動物細胞用発現ベクターpMKITneoのみを導入したCHO細胞から得た蛋白質を用いて同様に反応を行った。
【0078】
さらにT−TBSで3回洗浄後、それぞれT−TBSで5,000倍希釈したHorseradish peroxidase結合型ヤギ抗ウサギIgG二次抗体(Zymed社製)と室温で40分間反応させた。T−TBSで3回洗浄後、enhanced chemiluminescence detection system(Amersham Pharmacia Biotech社製)を用いて化学発光によるシグナル検出を行った。
【0079】
この結果を図3に示す。コントロールベクターのみを導入した細胞では、242C蛋白質の発現は認められなかった。242C cDNAを導入したCHO細胞では、コザック配列またはFLAGタグの有無による発現量の違いは認められるものの、242C蛋白質は主に培養上清中に産生されていることが確認された。この蛋白質は2つのサイズのバンドとして検出され、242C蛋白質のアミノ酸配列のシグナル部分を除く全長およびその一部を欠く蛋白質に相当すると思われる。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、アレルギーの即時反応及び遅発型反応のいずれをも制御する中心的な細胞であると考えられているTh2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質、及びそれをコードするDNAが提供される。ある個体、またはその組織中で発現する該蛋白質の量を定量比較することにより、該個体または組織がアレルギーを発症し易い状態にあるか等を解析することができる。
【0081】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛋白質をコードするcDNAの構造を示す図である。
【図2】本発明の蛋白質をコードするmRNAがTh2への分化に伴い発現するが、Th1の場合には発現しないことを示す図である。
【図3】本発明のDNAを導入したCHO細胞中およびその培養上清中の本発明の蛋白質の発現をウェスタンブロッティング解析により示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は2型ヘルパーT細胞またはその分化途上に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しない蛋白質およびそれをコードするDNA、該蛋白質に対する抗体等に関する。
【0002】
【従来の技術】
免疫応答において中心的な役割を担っているヘルパーT細胞と呼ばれるリンパ球は、産生するサイトカインのパターンにより、少なくとも2つのサブセットに 分類される(Mosmann , et al., J.Immunol. (1986) 136 : 2348−2357 )。1型ヘルパーT細胞(以下、これを「Th1」と称することがある)は、インターフェロンγ(IFN−γ)やインターロイキン2(IL−2)を産生し、マクロファージやナチュラルキラー細胞を活性化することで、主にウイルス、バクテリア等に対する感染防御などの細胞性免疫に関与することが知られている(Howard, et al., Fundamental Immunology, 3ed., Raven Press, New York(1993))。一方、2型ヘルパーT細胞(以下、これを「Th2」と称することがある)は、IL−4、IL−5等のサイトカイン(以下、これを「Th2型サイトカイン」と称することがある)を産生し、主にIgE抗体産生などの液性免疫に関与することが知られている。ヒトにおいてもTh1様細胞及びTh2様細胞がクローン化されて研究が進み、前述のような考え方がおおむねヒトにおいてもあてはまることが確認されている(Romagnani, et al., Ann. Rev. Immunol., 12, 227−257(1994))。
【0003】
Th1及びTh2の比率は恒常性(TH1/Th2バランス)を保っており、そのバランスが破綻すると以下に述べるとおり疾患に対する感受性が高くなると考えられている。
すなわち、Th2型サイトカインは、アレルギー反応に関与すると考えられており、Th2はアレルギー反応の誘導細胞として重要視されている。Th2型サイトカインの代表であるIL−4は、B細胞に対してIgE抗体の産生を誘導するとともに、肥満細胞の活性化及び増殖を誘導する作用を有している。また、好酸球が血管内皮細胞に接着し、組織浸潤する際に機能する重要な分子であるVCAM−1の遺伝子発現も誘導する(ファルマシア、(1993)29:1123−1128)。さらに、IL−4はTh2自身の分化増殖因子でもある。このようなIL−4で代表されるTh2型サイトカインの特性から、Th2は、IgE抗体や肥満細胞が関与するアレルギーの即時型反応、及び好酸球が関与するアレルギーの遅発型反応という二つのアレルギー反応のいずれをも誘導する中心的な細胞であると認識されている。従って、アレルギー性疾患は、Th2の病的な機能亢進に起因した疾患であるものと推測されている。実際にアレルギー性疾患の病変部である気道や皮膚において、IL−4やIL−5等のTh2型サイトカインの産生、あるいはTh2の存在等が確かめられていることもあり、アレルギー性疾患を治療あるいは予防するためにはTh2の活性化の制御、ひいてはTh2型サイトカインの産生制御が重要であるとする考え方が、広く一般に受け入れられている(Nature (1996) 383 : 787−793 )。
【0004】
線虫などの寄生虫感染症においてもTh2機能が著しく亢進することが知られている(臨床免疫(1995)27:652−656)。また、全身性エリテマトーデス等の、抗体産生あるいは液性免疫が異常に亢進した状態にある自己免疫疾患においても、やはりTh2が病的に機能亢進した状態にあると推定されている(Medical Immunology (1988) 15 : 401)。さらに最近の研究において、エイズの発症後期においてTh2がTh1に比べて優位になるバランス異常状態が確認されており、このバランス異常状態を経過することが、最終的な免疫不全状態に移行する上で重要な段階である可能性が示唆されている。そして、このバランス異常状態を改善できればエイズの発症を遅らせる、あるいは発症を止めることができるとの指摘もなされている(Immunology Today (1993) 14 : 107−111)。
【0005】
また、Th1細胞はLT−α、IL−2およびIFN−γを産生する。これらTh1型サイトカイン は、マクロファージおよび特定の炎症性応答(例えば、IV型「遅延型」過敏症)を活性化する傾向にある。また、Th1型サイトカインは組織移植片および器官移植 物の細胞性拒絶において重要な役割を担う。これらのことからTh1の優性な機能亢進は、慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、多発性硬化症、インスリン依存性 I 型糖尿病、および炎症性腸疾患等の自己免疫疾患の発症を誘導すると考えられる。
【0006】
上記ヘルパーT細胞サブセットTh1およびTh2への機能分化は、抗原刺激を受けていないCD4陽性ナイーブT細胞(以下、これを「ナイーブT細胞」と称することがある)が活性化されることにより誘導される。この機能分化に際してサイトカイン発現パターンは変化する。
本発明者らは、先にナイーブT細胞からin vitroにおいて、Th1/Th2へ分化させる方法を報告している(Eur J Immunol (1996) 26 :2081−2086, J Immunol (2002) 163 : 1087−1094)。従来は、Th1機能の指標としてIFN−γ産生能、Th2機能の指標としてIL−4およびIL−5を主に用いていた。また、Th1細胞の分化に必至な転写因子としてT−bet、Th2細胞の分化に必至な転写因子としてGATA−3、c−Mafなどが知られており、そのmRNAの発現を検出することによってもそれぞれのタイプの存在を確認することが可能である。
【0007】
【発明が解決使用とする課題】
本発明は、Th1およびTh2またはその分化途上に発現する蛋白質をコードするmRNA(DNA)を網羅的に比較し、Th2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質およびそれをコードするDNAを取得することを目的とする。さらに該DNAがコードする蛋白質、該蛋白質に特異的に結合する抗体等を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、未分化なT細胞にイオノマイシン及びPhorobol Myristate Acetate(PMA)により刺激を与え培養することによりヘルパーT細胞系に分化させ、さらにIL−2、IL−4、抗IFN−γ抗体、抗IL−12抗体を添加して培養し、Th2を分化させた。また、上記ヘルパーT細胞に、IL−2、IL−12、抗IL−4抗体を添加して培養し、Th1を誘導した。この2つのT細胞サブセットに発現しているmRNAをディファレンシャル・ディスプレイ法により比較したところ、Th2またはその分化途上に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しないmRNAおよびその転写産物である蛋白質を見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
【0009】
即ち、本発明によれば、
(1)以下の(a)または(b)の蛋白質、
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質、
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠質、置換及び/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ2型ヘルパーT細胞に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しない蛋白質、
(2)上記(1)に記載の蛋白質をコードするDNA、
(3)DNAが、以下の(a)または(b)である上記(2)に記載のDNA、
(a)配列番号1に記載の塩基配列からなるDNA、
(b)配列番号1に記載の塩基配列またはその相補配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列を有し、かつ2型ヘルパーT細胞に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しない蛋白質をコードするDNA、
(4)DNAが、配列番号3に示すヒト由来の塩基配列を有するものである上記(3)に記載のDNA、
(5)上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAを含む組換えベクター、
(6)上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAまたは上記(5)に記載の組み換えベクターを導入したDNA導入細胞または該細胞からなる個体、
(7)上記(6)に記載の細胞により産生される、上記(1)に記載の組み換え蛋白質、
(8)上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAの塩基配列中の連続した5〜500塩基と同じ配列を有するセンスオリゴヌクレオチド、当該センスオリゴヌクレオチドと相補的な塩基配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び、当該センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチド誘導体からなる群から選ばれるオリゴヌクレオチド、
(9)上記(1)または(7)に記載の蛋白質に特異的に結合する抗体、あるいはその部分フラグメント、
(10)上記(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列から選択される少なくとも1以上のアミノ酸配列情報、および/または上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAの塩基配列から選択される少なくとも1以上の塩基配列情報を
保存したコンピュータ読み取り可能記録媒体、
(11)上記(1)に記載のタンパク質、および/または上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAを結合させた担体、
が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の蛋白質、それをコードするDNA、蛋白質発現組換ベクター、および形質転換体は、例えば以下の様にして調製される。
1型、及び2型ヘルパーT細胞で特異的に発現する蛋白質を網羅的に探索するために、未分化なT細胞から上記2つのサブセットをそれぞれ同調的に大量に分化誘導する系を用いる。この分化誘導する系を用いる発現蛋白質/cDNAの解析は、例えば、(1−i)均一で未分化な分化段階でとどまっているT細胞を大量に調製し、(1−ii)このT細胞についてT細胞抗原受容体(TCR)を介した刺激を模倣する刺激を与え、CD4陽性T細胞に分化させる、さらに(2)該CD4陽性T細胞に種々のサイトカインまたはその抗体を組み合わせて添加して培養し、各サブセット中に発現しているmRNAについてcDNAライブラリーを作製する、(3)このcDNAライブラリー中にあるcDNAを比較する(ディファレンシャル・ディスプレイ等)ことにより行うことができる。この系により、2型ヘルパーT細胞に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しない蛋白質をコードするDNAの網羅的探索が可能となる。
【0011】
さらに、(4、5)上記(3)で得られたDNAを含む組換えベクターを作製し、これを適当な宿主に導入し、該蛋白質を発現する細胞または個体を作製することができる。また、(6)上記(4)で得られたDNAの塩基配列と同じ配列を含むセンスオリゴヌクレオチド、あるいはアンチセンスオリゴヌクレオチドを取得することもでき、さらには(7)上記(4)で得られたDNAがコードする蛋白質の抗体を取得することもできる。
以下、本発明のDNA、および蛋白質並びにその調製方法について更に詳述す
る。
【0012】
(1)1型及び2型ヘルパーT細胞の調製
Th1及びTh2を調製する方法としては、このような特徴を示すT細胞を大量に取得できる方法であればいかなるものであってもよい。具体的には、例えば、大量に調製した未分化なT細胞をTCRを介した刺激、またはこれを模倣する刺激を2度与えて分化させた後に、さらに種々のサイトカインまたはその抗体を添加して各サブセットへ機能分化させる方法等が好ましく用いられる。上記の未分化T細胞は、内因性のTCRの発現がなく、トランスジェニックTCRのみを発現する動物を作製し、この主要組織適合抗原(MHC)拘束性を利用することにより、該動物の胸腺細胞の大部分を未分化な状態に保ち、この動物の胸腺細胞を使用する方法が挙げられる。具体的には、Iwata,M.et al., Eur. J. Immunol., 26, 2081(1996)に記載されているように、RAG−2遺伝子欠損マウス(Shinkai, Y. et al., Cell, 68, 855(1992))と、TCR遺伝子を導入したマウスの交配により作製したマウスに対して、このTCRのMHC拘束性を利用する方法(Ohoka, Y. et al., Int. Immunol., 8, 297(1996))を用いることができる。
【0013】
ここで得られた未分化T細胞について、さらに分化を誘導する。この誘導法は、未分化なT細胞が分化誘導され、かつその分化の各段階において経時的に細胞を取得できる方法であれば如何なるものであってもよいが、例えば、Iwata, M. et al., Eur. J. Immunol, 26, 2081(1996)に示されている方法によりCD4/CD8両陽性の未熟胸腺細胞の懸濁液を調製し、これに細胞の分化を誘導する最適濃度、例えば0.1〜0.3ng/mlのPhorbol Myristate Acetate(PMA)と0.1〜0.3 μg/mlのイオノマイシンの存在下で15〜20時間細胞を培養した後に、PMA、イオノマイシンを洗い去ってさらに18〜24時間培養する。次に該細胞を1.0〜6.0 ng/mlのPMA及び0.1〜0.3 μg/mlのイオノマイシンの存在下で15〜20時間培養して細胞を取得する方法を用いることができる。
【0014】
かくして得られたT細胞は、Th1及びTh2への分化誘導に用いることができる。この誘導法も上記サブセットへの分化が誘導される方法であれば如何なるものであってもよいが、例えば、Iwata, M. et al., Eur. J. Immunol, 26, 2081(1996)に示されている方法等が好ましく用いられる。具体的には、Th2への分化方法としては、50〜100ユニット/mlのIL−2、100〜1000ユニット/mlのIL−4、1〜5 μg/mlの抗IFN−γ抗体、及び1〜5 μg/mlの抗IL−12抗体を添加した培地で24〜96時間培養する方法が挙げられる。また、1型ヘルパーT細胞への分化方法としては、50〜100ユニット/mlのIL−2、1〜10 ng/mlのIL−12、及び1〜5 μg/mlの抗IL−4抗体を添加した培地で24〜96時間培養する方法等が挙げられる。
【0015】
(2)Th1及びTh2 cDNAライブラリーの調製
このようにして取得されたTh1及びTh2から、全RNAを調製する。全RNAの調製方法としては、例えばChomczynski,P. ,et al., Anal. Biochem., 162, 156−159(1987)に記載されているように、細胞懸濁液にグアニジウムチオシアネートを加えた後にフェノール抽出により精製し、調製する方法等が挙げられる。また、全RNAからmRNAを調製して用いてもよい。mRNAの調製方法としては、オリゴ(dT)セルロースカラムを用いた液体クロマトグラフィにかける方法、QuickPrep mRNA Purification Kit(アマシャムファルマシアバイオテク社製)、Fast Track 2.0 Kit(インビトロジェン社)等の市販のキットを用いる方法等も用いられる。
【0016】
得られた全RNAまたはmRNAを鋳型として逆転写酵素やPCR法等を用いて2本鎖cDNAを合成する。具体的にはMol. Cell. Biol., 3, 280(1983)やGene, 25, 263(1983)およびProc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998(1988)に記載の方法や、SMART PCR cDNA SynThesis Kit(クロンテック社製)やZAP−cDNA SynThesis Kit(ストラタジーン社製)等の市販のキットを用いる方法が挙げられる。
【0017】
(3)Th2またはその分化途上に発現する蛋白質をコードするDNAの取得
(2)で得られた、Th1及びTh2のcDNAライブラリーに含まれるcDNA断片を網羅的に比較することにより、Th2の分化に伴って発現してくるが、Th1の場合には発現しない蛋白質をコードするDNAを検出する。具体的には、ディファレンシャル・ディスプレイ法等が好ましく用いられる。ディファレンシャル・ディスプレイの方法としては、Liang, P., et al., Science 257, 967 (1992), Liang, P., et al. Nucleic Acids Res., 21, 3269 (1993), McClelland, M., et al., Trends Genet., 11, 242 (1995)等に記載の方法を挙げることができる。使用するオリゴヌクレオチドプライマー・セットとしては、例えばOperon 10−mer Kits(オペロン社製)等を用いることができ、このような市販キットを用いて行うこともできる。ディファレンシャル・ディスプレイにより得られたcDNA断片については、通常、複数回の解析を行うことにより、解析の精度を更に上げることができる。また、取得されたcDNA断片の発現が、ディファレンシャル・ディスプレイの発現パターンと同じであることを確認することによって解析の精度を向上させることができる。具体的には、Slot blot analysis(Vogeli,L.R.,et al.,Nucleic. Acid. Res., 24, 1385−1386(1996))を用いて行うことができる。
【0018】
(4)Th2またはその分化途上に発現する蛋白質をコードするDNAの解析
上記(3)で得られたcDNA断片をクローニングベクター、例えばpGEM−Teasy等にT4−DNAリガーゼ等を用いて挿入し、このプラスミドを適当な宿主、例えば大腸菌等に形質転換する。この形質転換した細胞株を培養し、形質転換体の細胞懸濁液から適当な方法を用いてプラスミドを調製する。次に、このプラスミド中に挿入されているDNAの塩基配列を解析する。塩基配列の解析法は、例えばクローニングベクターについて適当なシーケンス用プライマー、具体的にはM13Forward primer(アマシャムファルマシアバイオテク社製)やReverse Primer(アマシャムファルマシアバイオテク社製)等とオートシーケンサー用PCRシーケンスキット、例えばダイデオキシチェーンターミネーション法シーケンスキット(アマシャムファルマシアバイオテク社製)等を用いて反応を行い、これを適当なオートDNAシーケンサー、例えば日立蛍光式DNAシーケンサーSQ3000(日立電子エンジニアリング社製)等で解析する。
【0019】
取得されたcDNA断片がORFの全長を含んでいない場合には、得られたDNA断片をプローブとして、上記(2)で得られたcDNAライブラリーをスクリーニングすることによりORFの全長を含むDNAを取得することもできる。
得られたDNAが新規のものであるか否かは、これをBlast search(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/blast.cgi)等の検索サイト等を利用して検索することによって確認することができる。
【0020】
かくして得られるTh2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質をコードするDNAとして、例えば配列番号1に示す配列を有するものを挙げることができる。またこのcDNAクローンは蛋白質のコーディング領域を全て含むことが確認されている。本発明のTh2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質およびそれをコードするDNAとは、上記したディファレンシャルディスプレイにおいて、Th2において発現するが、Th1には発現しないことが確認されるもの、あるいは下述の実施例2に記載するようなmRNA量の測定において、Th2に発現するがTh1には発現しないものを意味し、必ずしもTh1で完全に発現しないことを意味するものではない。
【0021】
本発明のDNAは、配列番号1に示される塩基配列を含むもののみならず、配列番号1に記載の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつTh2に発現するがTh1には発現しない蛋白質をコードし得るDNAであれば如何なる塩基配列を有するものであってもよい。これらの塩基配列には、配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換及び/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつTh2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質をコードし得るDNAも含有される。
【0022】
ここで、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAとは、配列番号1に示される塩基配列と70%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列を含むDNA等が挙げられる。また、ストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーションとは、通常のハイブリダイゼーション緩衝液中で、温度が40〜70℃、好ましくは60〜65℃等で反応を行い、塩濃度が15〜300mM、好ましくは15〜60mM等の洗浄液中で洗浄する方法に従って行うことができる。
【0023】
また、アミノ酸残基の置換、欠失、付加等を含むアミノ酸配列をコードするDNAは、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、cDNA、cDNAライブラリー等から調製されたものでも、合成DNAでもよい。DNAの塩基配列の置換は、例えばサイトダイレクテドミュータジェネシスキット(宝酒造)や、QuickChange Site−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE社製)等の市販キットを用いることができる。
【0024】
また、配列番号1に記載の塩基配列は、マウスを由来とするものであるが、上記したcDNAライブラリーの作製法に従ってヒトのcDNAライブラリーを作製し、該ライブラリーに対して配列番号1の塩基配列を有するDNA断片をプローブとしたハイブリダイゼーションを行うことにより、配列番号1に記載の塩基配列がコードする蛋白質のヒトのホモログ蛋白質をコードするDNAを取得することもできる。本発明の配列番号1に記載の塩基配列またはその相補配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAには、このようなヒトのホモログをコードするDNAも含まれる。このようなヒト由来の配列を有する本発明のDNAとしては、例えば、配列番号3または9に記載の塩基配列を含むもの等が挙げられる。
【0025】
(5)組み換え蛋白質の取得
本発明のTh2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質の組み換え体を作製する方法としては、例えば、上記(3)で得られた該蛋白質をコードするDNAを含む組換えベクターを作製し、これを適当な宿主に導入し、該導入宿主を適当な条件下で培養した培養物から組み換え蛋白質を抽出する方法等が挙げられる。組み換え蛋白質を発現するためのベクターとしてはこれを導入する宿主内で(3)で得られたDNAまたはそれを含むDNA断片が発現されるものであれば特に制限はないが、通常宿主に適したプロモーターが挿入されている市販の蛋白質発現ベクターを用いる。また、プラスミドベクター、ファージベクターともに使うことができる。
【0026】
具体的には、ZAP Express(ストラタジーン社製)、pSVK3(アマシャムファルマシアバイオテク社製)、pEGFP−C1(クロンテック社製)等が挙げられる。また、pMKITNeo(丸山和夫、細胞工学別冊8,新細胞工学実験プロトコール、p.259,
秀潤社、(1993))等も好ましく用いられる。
本発明のDNAを発現させるためのプロモーターとしては、宿主が保有するプロモーターを一般に用いることができるが、これに限られるものではなく、具体的には宿主微生物が大腸菌の場合にはT3、T7、tac、lacプロモーター等を用いることができ、酵母の場合にはnmt1プロモーター、Gal1プロモーター等が挙げられる。また動物培養細胞の場合にはSV40プロモーター、CMVプロモーター等が挙げられる。またほ乳類由来のプロモーターが機能可能な宿主を用いる場合には、本発明のDNAに固有のプロモーターを用いることもできる。
【0027】
これらのベクターへの(3)で得られた遺伝子DNAの挿入は、該DNAまたはこれを含むDNA断片をベクター中のプロモーターの下流にプロモーターの制御下におかれるように連結して行う。また、プロモーターと本発明のDNAとの間にコザック配列(Kozak, M., Gene, 234, 187, (1999))を挿入したり、本発明のDNAの下流にタグとなるポリペプチドをコードするDNAを挿入した構造を有するベクターも好ましく用いられる。タグとなるポリペプチドとしては特に制限はないが、例えば、FLAGタグ(BioTechniques, 7, 580, (1989))等が挙げられる。
【0028】
このようにして得られた本発明の組換えベクターは、リン酸カルシウム法(Science, 221, 551(1983))、DEAEデキストラン法(Science, 215, 166(1982))、電気パルス法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 7161(1984))、インビトロパッケージング法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 72, 581(1975))、ウィルスベクター法(Cell, 37, 1053(1984))、あるいはリポフェクション法(Lipofection Reagent(GibcoBRL社製))等によって適当な宿主に導入される。
【0029】
このとき、該組み換えベクターを導入する宿主としては、該ベクターが体内で複製可能であり、かつ該DNAがコードする蛋白質が生成されるものであれば特に限定されないが、例えば大腸菌、酵母、バキュロウィルス(節足動物多角体ウイルス)−昆虫細胞、動物細胞等が挙げられる。具体的には、大腸菌ではBL21、XL−2Blue(ストラタジーン社製)等、酵母では例えばSP−Q01(ストラタジーン社製)等、バキュロウィルスでは例えばAcNPV(J. Biol. Chem., 263, 7406(1988))とその宿主であるSf−9(J. Biol. Chem., 263, 7406(1988))等が挙げられる。また動物細胞としてはマウス繊維芽細胞C127(J. Viol. , 26, 291(1978))やチャイニーズハムスター卵巣細胞CHO(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4216(1980))やアフリカミドリザル腎臓由来COS−7(ATCC CRL1651:アメリカン タイプ カルチャー コレクション)等が挙げられる。
【0030】
上記したような組み換えベクターを用いる発現方法の他に、プロモーターを連結した本発明のDNA断片を宿主の染色体中に直接挿入する相同組換え技術(A. A.Vertes et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 57, 2036(1993))、あるいはトランスポゾンや挿入配列(A. A. Vertes et al., Molecular Microbiol., 11,
739(1994))等を用いて発現させることができる。
【0031】
組み換えベクターを導入した導入体は、それぞれに適した培地により培養される。培地中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物、ビタミン、血清および耐性スクリーニングに用いられる薬剤などが含有される。具体的には、形質転換体の宿主が大腸菌の場合には、例えばLB培地(ナカライテスク社製)等、酵母の場合には、YPD培地(Genetic Engineering, 1, 117, Plenum Press(1979))等、宿主が昆虫細胞および動物細胞の場合は、20%以下のウシ胎児血清を含有するHam−12培地、MEM培地、DMEM培地、RPMI1640培地(SIGMA社製)等を挙げることができる。また、培養は通常温度20℃〜45℃、CO2濃度2〜10%の範囲で行うことが好ましい。培養時間は、宿主及び組み換えベクター等によって適宜選択することができるが、好ましくは12〜80時間である。さらに、必要に応じて通気、攪拌が行われる。これら以外の培地組成あるいは培養条件下でも導入宿主が生育し、挿入された本発明のDNAがコードする蛋白質が生成されればいかなるものであってもよい。
【0032】
このようにして培養された導入体の回収方法は、例えば宿主が細胞である場合には、培養物を遠心分離等により細胞を分離した後、細胞体あるいは培養上清として回収する方法等が用いられる。回収された細胞体からの組み換え蛋白質の抽出方法としては、それ自体既知の通常用いられる方法が挙げられるが、例えば、細胞をリン酸バッファー(Phosphate Buffered Saline:PBS)に懸濁した後に、等量のサンプルバッファー(0.25M Tris−HCl(pH6.8)、4% sodiumdodecyl sulfate(SDS)、20% glycerol、10% β−mercapto eThanol(2−ME)、0.2% bromophanol blue(BPB))を添加して98℃で1〜10分間ボイルする方法等が挙げられる。
【0033】
抽出された蛋白質は、SDS−アクリルアミドゲル電気泳動等により分離し、適当な染色試薬、例えば、クマシーブリリアントブルー(CBB)等によりゲルを染色することにより確認することができる。また、後述する本発明の蛋白質の抗体との結合性を解析することによってもその発現状態を確認することができる。
また一般的に、発現された蛋白質は生体内に存在する蛋白質分解酵素により切断されること(プロセッシング)が知られている。本発明の蛋白質も当然のことながら切断されたアミノ酸配列の部分断片であっても、Th2に発現するがTh1には発現しないものであれば、本発明の蛋白質に含まれる。
【0034】
かくして得られる蛋白質が遊離体で得られた場合には、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には遊離体または他の塩に変換することができる。この様な塩も本発明の蛋白質に含まれる。また、上記した導入宿主が産生する蛋白質を、精製前または後に適当な蛋白質修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することにより修飾蛋白質とすることができる。これらの修飾蛋白質も上記したTh2に発現するが、Th1には発現しないものであれば本発明の範囲に含まれる。
【0035】
(6)オリゴヌクレオチドの調製
上記(3)で取得した本発明のDNAまたはその断片を用いて、DNA合成機などを用いる常法により、本発明のDNAの一部の配列を有するアンチセンス・オリゴヌクレオチド、センス・オリゴヌクレオチド等のオリゴヌクレオチドを調製することができる。該オリゴヌクレオチドとしては、上記DNAの有する塩基配列中の連続した5〜500塩基と同じ配列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配列を有するDNAを挙げることができる。具体例としては、配列番号1で表される塩基配列中の連続した5〜500塩基と同じ配列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配列を有するDNAを挙げることができる。センスプライマーおよびアンチセンスプライマーとして用いる場合には、両者の融解温度(Tm)および塩基数が極端に変わることのない上記のオリゴヌクレオチドが好ましい。
【0036】
また、本発明のDNAの部分断片は、例えばこれをプローブ、またはPCRプライマーとして用いることにより、本発明の蛋白質の発現異常により免疫系の異常を来す疾患の、遺伝子診断に使用することができる。具体的には、例えば検体中の本発明の蛋白質のmRNAの発現量や、損傷の程度を本発明のDNAをプローブとした通常のノーザンハイブリダイゼーションや半定量的なリバースPCR(Sourvinos, G.et al., Oncogene, 18, 4968(1999))により解析したり、あるいは検体中の本発明の蛋白質をコードする遺伝子の変異の有無や、変異の位置をPCR−SSCP法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 86, 2766(1989))等で検知することができる。DNAプローブまたはプライマーの大きさは、上記解析または検知が可能な長さであれば特に制限されないが、通常DNAプローブとしては例えば20〜500塩基対のものが用いられ、PCRプライマーとしては15〜100塩基、好ましくは20〜40塩基程度の長さが適当である。ハイブリダイゼーションプローブとして用いる場合には、ハイブリダイゼーションの条件等にあわせて適宜選択することができる。
【0037】
また、これらオリゴヌクレオチドの誘導体も本発明のオリゴヌクレオチドとして利用することができる。該オリゴヌクレオチド誘導体としては、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスフォアミデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、あるいはオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体等を挙げることができる。
【0038】
また、本発明のオリゴヌクレオチドは、これを2本鎖RNAとして調製することにより、RNAインターフェアレンス法に適用することができる。2本鎖RNAの作製方法、及びRNAインターフェアレンス法については、例えば、(Elbashir, S., et al., Nature, 411, 494−498(2001))に記載の方法等を用いることができる。上記2本鎖RNAは、そのすべてがRNAである必要はない。具体的には、その一部がDNAであるものとして、WO02/10374公報に記載のものを用いることができる。
【0039】
2本鎖ポリヌクレオチドを導入する被導入体としては、標的遺伝子がその細胞内でRNAに転写、または蛋白質に翻訳を受け得るものであれば如何なるものであってもよいが、具体的には、植物、動物、原生動物、ウィルス、バクテリア、または真菌種に属するものが挙げられる。植物は単子葉植物、双子葉植物または裸子植物であってよく、動物は、脊椎動物または無脊椎動物であってよい。好ましい微生物は、農業、林業、水産業、または工業によって使用されるものであり、そして植物または動物に対して病原性のものである。真菌には、カビ及び酵母形態両方での生物体が含まれる。脊椎動物の例には、魚類、ウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジ、ハムスター、マウス、ラット及びヒトを含む哺乳動物が含まれ、無脊椎動物には、線虫類及び他の虫類、キイロショウジョウバエ(Drosophila)、及び他の昆虫が含まれる。
【0040】
被導入体は、細胞、組織、あるいは個体を意味する。ここで細胞とは、生殖系列または体性、分化全能、または多分化能、分割または非分割、実質組織または上皮、不滅化したものまたは形質転換したもの等からであってよい。細胞は、配偶子または胚であってよく、胚の場合、単一細胞胚または構成性細胞、または多重細胞胚からの細胞であり、胎児組織を含む。さらには、幹細胞のような未分化細胞、または胎児組織を含む器官または組織の細胞からのような分化細胞、または生物内に存在する任意の他の細胞であってよい。分化している細胞型には、脂肪細胞、繊維芽細胞、筋細胞、心筋細胞、内皮細胞、神経細胞、グリア、血液細胞、巨核球、リンパ球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、白血球、顆粒球、ケラチン生成細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、肝細胞及び内分泌線または外分泌腺の細胞が含まれる。
【0041】
被導入体への2本鎖ポリヌクレオチドの導入法としては、被導入体が細胞、あるいは組織の場合は、カルシウムフォスフェート法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、ウィルス感染、2本鎖ポリヌクレオチド溶液への浸漬、あるいは形質転換法等が用いられる。また、胚に導入する方法としては、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション法、あるいはウィスル感染等が挙げられる。被導入体が植物の場合には、植物体の体腔または間質細胞等への注入または灌流、あるいは噴霧による方法が用いられる。また、動物個体の場合には、経口、局所、(皮下、筋肉内及び静脈内投与を含む)非経口、経膣、経直腸、経鼻、経眼、腹膜内投与等によって全身的に導入する方法、あるいはエレクトロポレーション法やウィルス感染等が用いられる。経口導入のための方法には、2本鎖ポリヌクレオチドを生物の食物と直接混合することができる。さらに、個体に導入する場合には、例えば埋め込み長期放出製剤等として投与することや、2本鎖ポリヌクレオチドを導入した導入体を摂取させることにより行うこともできる。
【0042】
導入する2本鎖ポリヌクレオチドの量は、導入体や、標的遺伝子によって適宜選択することができるが、細胞あたり少なくとも1コピー導入されるに充分量を導入することが好ましい。具体的には、例えば、被導入体がヒト培養細胞で、カルシウムフォスフェート法により2本鎖ポリヌクレオチドを導入する場合、0.1〜1000nMが好ましい。
【0043】
(7)本発明の蛋白質に特異的に結合する抗体
本発明の蛋白質と特異的に結合する抗体の調製方法としては、通常用いられる公知の方法を用いることができ、抗原として用いられるポリペプチドについても、公知の方法に従って抗原性が高くエピトープ(抗原決定基)として適した配列を選択して用いることができる。エピトープの選択方法としては、例えばEpitope Adviser(富士通九州システムエンジニアリング社製)等の市販のソフトウェア等を用いて行うことができる。
【0044】
上記の抗原として用いるポリペプチドは、公知の方法に従って合成した合成ペプチドでも、また本発明の蛋白質そのものを用いることもできる。抗原となるポリペプチドは、公知の方法に従って適当な溶液等に調製して、哺乳動物、例えばウサギ、マウス、ラット等に免疫を行えばよいが、安定的な免疫を行ったり抗体価を高めるために抗原ペプチドを適当なキャリア蛋白質とのコンジュゲートにして用いたり、アジュバント等を加えて免疫を行うのが好ましい。
【0045】
免疫に際しての抗原の投与経路は特に限定されず、例えば皮下、腹腔内、静脈内、あるいは筋肉内等のいずれの経路を用いてもよい。具体的には、例えばBALB/cマウスに抗原ポリペプチドを数日〜数週間おきに数回接種する方法等が用いられる。また、抗原の摂取量としては、抗原がポリペプチドの場合0.3〜0.5mg/1回程度が好ましいが、ポリペプチドの種類、また免疫する動物種によっては適宜調節される。
【0046】
免疫後、適宜試験的に採血を行って固相酵素免疫検定法(以下、これを「ELISA法」と称することがある)やウエスタンブロッティング等の方法で抗体価の上昇を確認し、十分に抗体価の上昇した動物から採血を行う。これに抗体の調製に用いられる適当な処理を行えばポリクローナル抗体を得ることができる。具体的には、例えば、公知の方法に従い血清から抗体成分を精製した精製抗体を取得する方法等が挙げられる。抗体成分の精製は、遠析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の方法を用いることができる。
【0047】
また、該動物の脾臓細胞とミエローマ細胞とを用いて公知の方法に従って融合させたハイブリドーマを用いる(Milstein, et al., Nature, 256, 495(1975))ことによりモノクローナル抗体を作製することもできる。モノクローナル抗体は、例えば以下の方法により取得することができる。
まず、上記した抗原の免疫により抗体価の高まった動物から抗体産生細胞を取得する。抗体産生細胞は、形質細胞、及びその前駆細胞であるリンパ球であり、これは個体の何れから取得してもよいが、好ましくは脾臓、リンパ節、末梢血等から取得する。これらの細胞と融合させるミエローマとしては、一般的にはマウスから得られた株化細胞、例えば8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来等)ミエローマ細胞株であるP3X63−Ag8.653(ATCC:CRL−1580)とP3−NS1/1Ag4.1(理研セルバンク:RCB0095)、あるいはP3X63−Ag8.653由来のハイブリドーマSP2/0−Ag14 (ATCC:CRL−1581)等が好ましく用いられる。細胞の融合は、抗体産生細胞とミエローマ細胞を適当な割合で混合し、適当な細胞融合培地、例えばRPMI1640やイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、あるいはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)等に、50%ポリエチレングリコール(PEG)を溶解したもの等を用いることにより行うことができる。また電気融合法(U. Zimmer− mann. et al., Naturwissenschaften, 68, 577(1981))によっても行うことができる。
【0048】
ハイブリドーマは、用いたミエローマ細胞株が8−アザグアニン耐性株であることを利用して適量のヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)液を含む正常培地(HAT培地)中で5%CO2、37℃で適当時間培養することにより選択することができる。この選択方法は用いるミエローマ細胞株によって適宜選択して用いることができる。選択されたハイブリドーマが産生する抗体の抗体価を上記した方法により解析し、抗体価の高い抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法等により分離し、分離した融合細胞を適当な培地で培養して得られる培養上清から硫安分画、アフィニティクロマトググラフィー等の適当な方法により精製してモノクローナル抗体を得ることができる。また精製には市販のモノクローナル抗体精製キットを用いることもできる。さらには、免疫した動物と同系統の動物、またはヌードマウス等の腹腔内で上記で得られた抗体産生ハイブリドーマを増殖させることにより、本発明のモノクローナル抗体を大量に含む腹水を得ることもできる。
【0049】
また、本発明の蛋白質としてヒト由来のものを取得した場合には、かかるポリペプチド、あるいはその部分ペプチドを抗原として、ヒト末梢血リンパ球を移植したSevere combined immune deficiency(SCID)マウスに上記した方法と同様にして免疫し、該免疫動物の抗体産生細胞とヒトのミエローマ細胞とのハイブリドーマを作製することによってもヒト型抗体を作製することができる(Mosier, D. E., et al. Nature, 335, 256−259 (1988); Duchosal, M. A., et al., Nature, 355, 258−262( 1992)。
【0050】
また、取得したヒト型抗体を産生するハイブリドーマからRNAを抽出し、目的のヒト型抗体をコードする遺伝子DNAをクローニングして、この遺伝子DNAを適当なベクターに挿入し、これを適当な宿主に導入して発現させることにより、さらに大量にヒト型抗体を作製することができる。ここで、抗原との結合性の低い抗体は、それ自体既知の進化工学的手法を用いることによりさらに結合性の高い抗体として取得することもできる。一価性抗体等の部分フラグメントは、例えばパパイン等を用いてFab部分とFc部分を切断し、アフィニティカラム等を用いてFab部分を回収することによって作製することができる。
【0051】
かくして得られる本発明の蛋白質と特異的に結合する抗体は、本発明の蛋白質に特異的に結合することによって該蛋白質が発現している組織あるいは細胞等を特定すること等に用いられる。
【0052】
(8)本発明の蛋白質またはそれをコードするDNA、特異抗体の利用方法
本発明の蛋白質またはこれをコードするmRNA等の生成の有無、またはそれらの体液中またはT細胞内の濃度の高低を測定することでTh2機能のレベルを推定することができる。Th2機能は花粉症や食物アレルギーの発症に必須の機能であり、この機能レベルを知ることにより、アトピー素因の有無やアレルギー患者の発症原因の特定に役立つ。また、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫病においてもTh2機能が異常に亢進していると考えられ、逆に慢性関節リウマチやシェグレン症候群などの自己免疫病ではTh1機能に比してTh2機能が低下していると考えられる。従って、特にT細胞による該蛋白質等の生成能とIFN−γの生成能を合わせて測定することにより、Th1機能とTh2機能のバランスを推定することができ、これらの疾患の有無、または罹患し易さを推定することができる。また、線虫などの寄生虫の感染の際にはTh2機能が抗原非特異的に亢進することが知られており、該蛋白質等はこれらの寄生虫感染の有無を知るための指標としても役立つ。さらに、妊娠期においてはTh1機能に比してTh2機能が亢進することが知られており、該蛋白質等の生成が正常な妊娠維持の指標の一つとして役立つ。
【0053】
また、該蛋白質等はサイトカインとしての性質を持つので、その受容体が存在すると考えられ、その受容体を探索するために該蛋白質、およびそれをコードするDNAの導入体等を用いることができる。受容体のスクリーニング方法としては、本発明の蛋白質と相互作用する物質を、それ自体既知の方法により選抜する方法や、被検物質の本発明の蛋白質に対する結合性を本発明の蛋白質に特異的に結合する抗体との競合実験によって解析する方法等が挙げられる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1 マウス T 細胞の2型ヘルパーT細胞への機能分化の際に誘導されるが、1型ヘルパー T 細胞の場合には発現しない蛋白質をコードする DNA の取得( PCR Differential Display MeThod )
(1)2型ヘルパーT細胞への機能分化を誘導したT細胞からのcDNA調製
遺伝子源となるマウスは、RAG−2遺伝子欠損マウスと、T細胞抗原受容体(TCR)を遺伝子導入したマウスの、交配により作成した。RAG−2遺伝子欠損マウスは、常法に従って作成されたもの(Shinkai, Y., et al., Cell, 68, 855 (1992))を用いた。また、TCR遺伝子導入マウスは、卵白アルブミン(OVA)に特異的なTCR遺伝子を定法(発生工学実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987))に従って導入、作製した(Ohoka, Y., et al., Int. Immunol., 8, 297, (1996))。両マウスを交配することにより、RAG−2を欠損した遺伝的背景に、単一のTCRを発現する、つまり内因性のTCR発現がなく、導入されたTCRのみを発現するマウスが作製された。このマウスでは主要組織適合抗原(MHC)拘束性を利用することにより、胸腺においてT細胞の分化をCD4/CD8両陽性細胞の段階で停止させることができ、大部分の胸腺細胞が未熟なCD4/CD8両陽性細胞となる特徴がある。
【0055】
上記マウスをSPF条件下にて飼育し、この胸腺を無菌的に取り出し、Current Protocol in Immunology,John Wily&Sons,Inc.(1992)に記載の方法により、10%非働化ウシ血清を含むDMEM培地(シグマ社製)で4×106cells/mlの濃度の細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁液に、Iwata,M. et al., Eur. J. Immunol. 26, 2081(1996)に記載の方法によって、試験管内で、Ionomycin(カルビオケム社製)0.2μg/mlとPhorobol Myristate Acetate(PMA、シグマ社製)0.2ng/μlを加え、10%CO2、37℃の環境で20時間刺激培養した。培養後、細胞を洗浄し、新しい培養液中でIonomycinとPMAを加えずにさらに24時間培養した。この時点でほとんどの細胞はCD4陽性T細胞系列にコミットしていた。
【0056】
これらの細胞を5×106cells/mlの濃度で新たな培地に懸濁し、Ionomycin、0.2μg/mlとPMA、3.0ng/mを加え、2度目の刺激培養を17時間行なった後、細胞を洗浄した。
これらの細胞をTh2に分化させるために、新たな培地中に1×106cells/mlの濃度で懸濁し、20units/mlのリコンビナント・マウス・IL−2:Biosource社製、1,000units/mlのリコンビナント・マウス・IL−4:Genzyme社製、1μg/mlのモノクローナル抗マウス・IFN−γ抗体(BD PharMingen社製:クローンXMG1.2)、および1μg/mlのモノクローナル抗マウス・IL−12
抗体(BD Pharmingen社製:クローンC17.8)を添加して24〜96時間培養した。
【0057】
一方、Th1に分化させるためには、20units/mlのリコンビナント・マウス・IL−2:Genzyme社製、10ng/mlのリコンビナント・マウスIL−12(Genzyme社製)、および1μg/mlのモノクローナル抗マウスIL−4抗体(BD PharMingen社製:クローン11B11)を添加して24〜96時間培養した。
【0058】
これらの培養で得た細胞からAcid guanidium Thiocyanate−phenol chloroformmeThod(Chomczynski,P. et al., Anal Biochem., 162(1), 156−9(1987))によりTotal RNAを調製した。調製したTotal RNAのうち0.5μgを、ジチオスレイトール(DTT)10mM、MMLV reverse transcriptase(GibcoBRL社製)300U、RNAse inhibitor(プロメガ社製)117U、アンカープライマー(配列番号4)2.5μM、dNTP20μMを含む逆転写反応液に供してインキュベートを行った。
【0059】
この逆転写反応液0.5μlを、dNTP2μM、0.6U AmpliTaq DNA Polymerase(Perkin Elmer社製)、67nM[α−33P]dCTP、アンカープライマー(配列番号4)2.5μM、及びアービトラリープライマー(配列番号5)0.5μMを含むポリメラーゼチェインリアクション(PCR)緩衝液(AmpliTaq DNA Polymeraseに添付)4.5μlに供し、PCRを行った。PCRは、94℃−3分、40℃−5分、72℃−5分を1サイクル、94℃−30秒、40℃−2分、72℃−30秒を35サイクル、さらに72℃−5分の条件で行った。
【0060】
(2)2型ヘルパーT細胞への機能分化に伴い発現誘導されるが、1型ヘルパーT細胞の場合には発現しない蛋白質をコードするDNAの取得
上記(1)でTh2及びTh1より調製したRNAより得られたcDNAを鋳型としたPCRにより増幅されたDNA断片を、6%ポリアクリルアミドシークエンスゲルを用いた電気泳動により分離し、オートラジオグラフィーによって可視化し、両DNA断片を比較した。ここで、Th2への分化過程でのみ観察されるDNA断片が含まれるゲルを切り出し、100μlの沸騰水中でDNAを抽出した。この抽出液に含まれるDNAを50μgのGlycogenを含むエタノールにて沈殿させ、これを10μlの水に溶解した。
【0061】
このうち4μlをdNTP25μM、2.5U AmpliTaq DNA Polymerase(Perkin Elmer社製)、アンカープライマー(配列番号4)1.0μM、及びアービトラリープライマー(配列番号5)0.5μMを含むPCR緩衝液(AmpliTaq DNA Polymeraseに添付)19μlに供し、PCRを行った。PCRは、94℃−30秒、40℃−2分、72℃−30秒を35サイクル、さらに72℃−5分の条件で行った。このPCRにより増幅されたDNA断片が1種類のものであることを、2%アガロースゲルによる電気泳動で分離し確認した。
【0062】
この増幅されたDNA断片をpGEM−Teasyベクター(Promega社製)に、ベクターに添付のマニュアルに準じてクローニングした。さらに、このDNA断片をSlot blotanalysis(Vogeli, L. R. et al., Nucleic. Acid. Res., 24, 1385−1386(1996))に供し、上記で行ったオリジナルのdifferential displayの発現パターンと同じであることを確認した。
【0063】
ここで増幅されたDNA断片は253bpで、コーディング領域を含んでいなかったので、これをプローブとして、上記(1)で取得したTh2由来のcDNAライブラリーをスクリーニングし、さらに選抜されたクローンに含まれる3種類のDNA断片をシーケンスして、配列番号1の塩基番号1519〜4020にあたる2500bpのクローン、3458〜4021にあたる564bpのクローン、および3737〜4020にあたる284bpのクローンを取得した。この3つはコンティグを形成した。
【0064】
得られたDNA断片の塩基配列を種々のデータベースでホモロジー検索したところ、1)ESTマウスデータベース(Accession number:AA472114)、2)ESTラットデータベース(Accession number:AI112374)、3)EMBLヒトデータベース(Accession number:HSM801054)、4)ヒトゲノムデータベース(Accession XM 046264)、及び5)ヒトゲノムデータベース(Accession number:AC092042.2)に相同性を有するDNAが登録されていた。しかし、1)および2)はコーディング領域を含まないcDNAの3’端断片であり、3)および4)はC末端側のコーディング領域の一部とその下流の一部を含むcDNA断片であった。5)に関しては、N末端側のコーディング領域が同定されていなかった。また、いずれのDNA断片についてもそれがコードする蛋白質の機能については記載がされていなかった。
【0065】
上記で得られた2500bp中の243bpのDNA断片(配列番号1の塩基番号3778〜4020に相当する)をプローブとして、正常マウス脳由来のcDNAライブラリー(Clontech社製)からコーディング領域の大部分を含み、N末端部分をコードする領域を欠く3715bpのクローンを得た。そこで、さらにこれに基づき、コーディング領域の一部を含む373bpのDNA断片(配列番号1の塩基番号563〜935に相当する)をプローブとして、上記した正常マウス脳由来のcDNAライブラリーから961bpのDNA断片(配列番号1の塩基番号1〜961に相当する)を単離した。これらはコンティグを形成し、これらを用いてコーディング領域(配列番号1のアミノ酸連記部分)を含む配列番号1に示したcDNAの全長(以下、これを「242C cDNA」、これと対応するmRNAを「242C mRNA」と称することがある)が得られた。
【0066】
該DNAのオープンリーディングフレーム(ORF)は533アミノ酸(配列番号1の塩基番号548〜2242)に渡っており、N末端側アミノ酸の約33〜43残基はシグナル配列を形成していた(図1)。従って、該DNAがコードする蛋白質(以下これを「242C蛋白質」と称することがある)は分泌性蛋白質または新規サイトカインであると考えられた。
【0067】
該DNAを、上記ヒトゲノムデータベースによりさらに解析したところ、このcDNAのヒトホモログは少なくとも5つのエキソンから成っており、ヒトでは第3染色体p21.32の付近に位置していた。しかし、マウスcDNAのN末端の5アミノ酸をコードする塩基配列のヒト相同部位については、今の所、同定できない。このヒト由来のcDNA配列を配列番号3に示す。
【0068】
実施例2 Th2 細胞への分化誘導に伴う 242C mRNA 発現の解析
実施例1(1)に記載の方法により、胸腺細胞にin vitroで2度のionomycin/PMA刺激を加えた後、新たな培地中でサイトカインと抗体を添加して培養し、Th1とTh2を誘導した。このサイトカインと抗体を添加した培養において、経時的に細胞を回収し、細胞中の242C mRNAの発現レベルをコントロールのβ−actin mRNAレベルとRT−PCRを用いて比較した(図2)。その結果、242C mRNAの発現はTh2への分化に伴って誘導されるが、Th1の場合には発現しないことが見出された。
【0069】
この結果を他のTh1/Th2分化誘導系において確認するために、BALB/cマウス(日本クレア社製)の脾臓細胞からMiyaura, H., & Iwata, M., J. Immunol., 168, 1087, (2002)に記載の方法により、CD4陽性ナイーブT細胞を調製し、この細胞からTh1およびTh2を分化誘導した。Th2に分化させるためには、新たな培地中に5×105cells/mlの濃度で懸濁し、20units/mlのリコンビナント・マウスIL−2(Genzyme社製)、1,000units/mlのリコンビナント・マウスIL−4(Genzyme社製)、2μg/mlのモノクローナル抗マウス・インターフェロン−γ抗体(BD Pharmingen社製:クローンXMG1.2)、および1μg/mlのモノクローナル抗マウスIL−12抗体(BD Pharmingen社製:クローンC17.8)を添加して、ハムスター・モノクローナル抗マウスCD3抗体(クローン145−2C11、Leo, O., et
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 1374, (1987))とハムスター・モノクローナル抗マウスCD28抗体(BD PharMingen社製:クローン37.51)をコートしたプレート中で、24〜96時間培養した。
【0070】
一方、Th1に分化させるためには、20units/mlのリコンビナント・マウスIL−2(Genzyme社製)、10ng/mlのリコンビナント・マウスIL−12(Genzyme社製)、および1μg/mlのモノクローナル抗マウスIL−4抗体(BD Pharmingen社製:クローン11B11)を添加して、Th2の場合と同様に抗CD3抗体と抗CD28抗体をコートしたプレート中で、24〜96時間培養した。経時的に細胞を回収し、細胞中の242C mRNAの発現レベルをコントロールのβ−actin mRNAレベルとRT−PCRを用いて比較した(図2)。その結果、242C mRNAの発現はやはりTh2への分化に伴って誘導されることが確認された。
【0071】
実施例3 抗242C抗体の作製
配列番号2のアミノ酸番号365〜378の部分ペプチドのN末端にシステインを付加した15残基のペプチドA(配列番号6)を合成し(サワディーテクノロジー社に依頼)、Keyhole Limpet hemocyanineにコンジュゲートしてウサギに免疫した(サワディーテクノロジー社に依頼)。初回免疫は0.15mgをフロイント完全アジュバンドとともに行い、その後2週間ごとに2回目から4回目まで0.3mgをフロイント不完全アジュバンドとともに皮下に注射した。5回目の免疫は4回目から4週間後に行い、その10日後に血液を採取し、Antibodies/A Laboratory Manual (Harlow E., and Lane D.)に記載の方法により血清を精製した(以下、これを「抗242CペプチドA血清」と称することがある)を取得した。得られた抗血清は公知の固相酵素免疫検定法(以下、これを「ELISA法」と称することがある)を用いてその抗体価を確認した。
【0072】
同様に、配列番号2のアミノ酸番号95〜114に相当する20残基のペプチドB(242CペプチドB:配列番号7)を合成し、同様の方法でウサギ抗242CペプチドB血清を取得し、同様にその抗体価を確認した。
モノクローナル抗体を得るため、Keyhole Limpet hemocyanineにコンジュゲートした0.1mgの242CペプチドBをフロイント完全アジュバンドと混合し、2カ所に分けてメスのWKY/NCrjラット(SJL社製)の皮下に注射した。3週間後、リンパ節を集め、そのリンパ球と、8−アザグアニン耐性マウス由来ハイブリドーマSP2/0−Ag14細胞(ATCC:CRL−1581;BALB/c由来ミエローマ細胞株P3X63−Ag8.653とBALB/c脾細胞のバイブリッドを2〜3:1の割合で混合し、DMEM培地等に、Hybrimax(Sigma社製)を用いて、Antibodies/A Laboratory Manual(Harlow E., and Lane D.)に記載の方法により細胞融合を行った。
【0073】
ハイブリドーマは、用いたミエローマ細胞株が8−アザグアニン耐性株であることを利用して適量のヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)液を含む正常培地(HAT培地)中で5%CO2、37℃で10〜14日培養することにより選択した。選択されたハイブリドーマが産生する抗体の抗体価は、上記した242CペプチドBまたはそれを含む242C蛋白質の部分ポリペプチド断片(アミノ酸残基44〜182に相当する:配列番号8)を平底96穴ELISA用プレートにコートして、ELISA法により解析した。
【0074】
抗体価の高い抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法により分離し、分離した融合細胞を培養して得られる培養上清からプロテインGアガロース・カラム(Amersham Pharmacia社製)を用いてAntibodies/A Laboratory Manual (Harlow E., and Lane D.)に記載の方法により精製した。さらに、ヌードマウス(BALB/cA Jcl−nu:日本クレア社製)の腹腔内において、上記で得られた抗体産生ハイブリドーマを増殖させ、本発明のモノクローナル抗体を大量に含む腹水からAntibodies/A Laboratory Manual(Harlow E., and Lane D.)に記載の方法により、硫安分画、カプリル酸分画を利用して抗242Cモノクローナル抗体を精製した。
【0075】
実施例4 動物細胞系での242C蛋白質の強制発現、及び242C蛋白質の細胞内外での発現の解析
(1)CHO細胞への242C cDNAの導入
上記実施例1で得られた242C cDNA断片を鋳型として、動物細胞用発現ベクターpMKITneo(東京医科歯科大学医学部、丸山和夫助教授より供与)に挿入することにより動物細胞発現ベクター、a)pMKIT−242CKSPF、b)pMKIT−242CKSP、c)pMKIT−242CSPF、およびd)pMKIT−242CSPを作製した。a)には翻訳開始点近傍上流にコザック配列、下流にFLAGタグをコードする配列を挿入した。b)には翻訳開始点近傍上流にコザック配列を、c)にはFLAGタグをコードする配列を、それぞれ挿入した。d)にはコザック配列もFLAGタグをコードする配列も挿入しなかった。得られたDNAを精製後、制限酵素SmaIで切断して線状DNAとし、Lipofectin Reagent(GibcoBRL社製)を用いてチャイニーズハムスター卵巣細胞CHO(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 77, 4216(1980))に導入した。
【0076】
(2)ウェスタンブロッティング解析
実施例4(1)で得られた導入細胞を、ウシ胎児血清を10%含むHam−12培地(Sigma社製)中で増殖させた。培養上清を除去後、培養器に接着した細胞を血清を含まないHam−12で洗浄し、同じ培地中で、37℃、5%CO2で72時間培養した。培養後、培養上清と細胞を回収分離し、該細胞を氷中でPBSに懸濁し、等量のサンプルバッファー(0.25M Tris−HCl(pH6.8)、4% SDS、20% glycerol、10% β−mercapto ethanol、0.2% bromophenol blue)を加えて98℃で5分間ボイルした。培養上清については、50%アセトンを加えて蛋白質を沈殿させた。沈殿蛋白質に50%濃度の上記サンプルバッファーを加えて98℃で5分間ボイルした。
【0077】
これらのサンプルを10% SDSアクリルアミドゲルにより電気泳動し、48mM Tris、39mM glycine、0.037% SDS、20% ethanolの存在下でニトロセルロースメンブレン(NitroBind:Osmonics社製)に電気的にトランスファーした。このメンブレンを5%スキムミルクを含むT−TBS(Tris buffered saline:10mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、0.1% Tween−20)に1時間浸透し、その後T−TBSで250倍希釈した上記実施例3で取得した抗ペプチドA血清と室温で2時間反応させた。また、対象実験として動物細胞用発現ベクターpMKITneoのみを導入したCHO細胞から得た蛋白質を用いて同様に反応を行った。
【0078】
さらにT−TBSで3回洗浄後、それぞれT−TBSで5,000倍希釈したHorseradish peroxidase結合型ヤギ抗ウサギIgG二次抗体(Zymed社製)と室温で40分間反応させた。T−TBSで3回洗浄後、enhanced chemiluminescence detection system(Amersham Pharmacia Biotech社製)を用いて化学発光によるシグナル検出を行った。
【0079】
この結果を図3に示す。コントロールベクターのみを導入した細胞では、242C蛋白質の発現は認められなかった。242C cDNAを導入したCHO細胞では、コザック配列またはFLAGタグの有無による発現量の違いは認められるものの、242C蛋白質は主に培養上清中に産生されていることが確認された。この蛋白質は2つのサイズのバンドとして検出され、242C蛋白質のアミノ酸配列のシグナル部分を除く全長およびその一部を欠く蛋白質に相当すると思われる。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、アレルギーの即時反応及び遅発型反応のいずれをも制御する中心的な細胞であると考えられているTh2に発現するが、Th1には発現しない蛋白質、及びそれをコードするDNAが提供される。ある個体、またはその組織中で発現する該蛋白質の量を定量比較することにより、該個体または組織がアレルギーを発症し易い状態にあるか等を解析することができる。
【0081】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛋白質をコードするcDNAの構造を示す図である。
【図2】本発明の蛋白質をコードするmRNAがTh2への分化に伴い発現するが、Th1の場合には発現しないことを示す図である。
【図3】本発明のDNAを導入したCHO細胞中およびその培養上清中の本発明の蛋白質の発現をウェスタンブロッティング解析により示す図である。
Claims (11)
- 以下の(a)または(b)の蛋白質。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質。
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠質、置換及び/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ2型ヘルパーT細胞に発現するが1型ヘルパーT細胞には発現しない蛋白質。 - 請求項1に記載の蛋白質をコードするDNA。
- DNAが、以下の(a)または(b)である請求項2に記載のDNA。
(a)配列番号1に記載の塩基配列からなるDNA。
(b)配列番号1に記載の塩基配列またはその相補配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列を有し、かつ2型ヘルパーT細胞に発現するが、1型ヘルパーT細胞には発現しない蛋白質をコードするDNA。 - DNAが、配列番号3に示すヒト由来の塩基配列を有するものである請求項3に記載のDNA。
- 請求項2〜4のいずれかに記載のDNAを含む組換えベクター。
- 請求項2〜4のいずれかに記載のDNAまたは請求項5に記載の組み換えベクターを導入したDNA導入細胞または該細胞からなる個体。
- 請求項6に記載の細胞により産生される、請求項1に記載の組み換え蛋白質。
- 請求項2〜4のいずれかに記載のDNAの塩基配列中の連続した5〜500塩基と同じ配列を有するセンスオリゴヌクレオチド、当該センスオリゴヌクレオチドと相補的な塩基配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び、当該センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチド誘導体からなる群から選ばれるオリゴヌクレオチド。
- 請求項1または7に記載の蛋白質に特異的に結合する抗体、あるいはその部分フラグメント。
- 請求項1に記載のタンパク質のアミノ酸配列から選択される少なくとも1以上のアミノ酸配列情報、および/または請求項2〜4のいずれかに記載のDNAの塩基配列から選択される少なくとも1以上の塩基配列情報を保存したコンピュータ読み取り可能記録媒体。
- 請求項1に記載のタンパク質、および/または請求項2〜4のいずれかに記載のDNAを結合させた担体。
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JP2016516071A (ja) * | 2013-03-15 | 2016-06-02 | ユベンタス セラピューティクス,インコーポレイテッド | 瘢痕形成を軽減するためのsdf−1の使用 |
-
2002
- 2002-06-14 JP JP2002175001A patent/JP2004016084A/ja active Pending
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