JP5854342B2 - 微粒子−ポリロタキサン含有塗料、微粒子−ポリロタキサン含有塗膜及び塗装物品 - Google Patents
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Description
一方、例えば、バンパー部材やサイドシルスポイラー部材などは、耐屈曲性や耐衝撃性が要求されるため、軟質プラスチック製であり、例えばポリプロピレンやウレタンなどが適用されている。このような軟質プラスチック部材には、プライマー塗装後、軟質の上塗り塗料による塗装が施されている。
本発明は、この新たな課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、優れた耐傷付き性及び耐薬品性を実現させ得る微粒子−PR含有塗料、微粒子−PR含有塗膜及び塗装物品を提供することにある。
(1)カプロラクトンによる修飾基である(−CO(CH2)5OH)基を備えた修飾ポリロタキサンを含有するものであること。
(2)平均粒子径380nm未満であり、シリカ及び/又はアルミナからなる微粒子を含有するものであること。
(3)塗膜形成成分における修飾ポリロタキサンの含有量が35〜76.5質量%であり、塗膜形成成分における平均粒子径380nm未満であり、シリカ及び/又はアルミナからなる微粒子の含有量が15〜30質量%であること。
このような微粒子−PR含有塗料は、優れた耐傷付き性及び耐薬品性を実現させ得、これらの性能を必要とする塗料として好適に用いることができる。
また、上記微粒子を含有させることで塗膜内の上記修飾ポリロタキサン周囲の薬品侵入経路を塞ぐことになって薬品の浸入を低減し、膨潤を抑制する遮蔽効果がもたらされる。
上記微粒子の平均粒子径が380nm未満の場合には、この微粒子による可視光の反射、屈折などによって塗装面の色調変化を生じることなく遮蔽効果を発現させることが可能となる。
なお、本発明において「平均粒子径」とは、コールターカウンター法をもって測定されたものと定義される。
この範囲にあることで塗膜本来の延性を備えて耐衝撃性などの機械特性を維持しながら、十分に薬品の浸入を低減して耐薬品性を向上させることが可能となる。また、上記修飾ポリロタキサンの含有量も十分に確保できるため耐傷付き性も確保できる。
このような微粒子としては、例えばシリカやアルミナなどの微粒子を挙げることができる。
これらは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。また、詳しくは後述する硬化剤と反応する水酸基等の反応基を有するように、これらを処理して用いることもできる。更に、分散性を向上させるために、これらをポリシロキサン等により処理して用いることもできる。
シリカやアルミナは、表面改質が容易に行なえて塗料への分散性が優れる。
また、環状分子は、反応基を有することが好ましい。これによって、修飾基などの導入が行い易くなる。このような反応基としては、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基、アルデヒド基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、反応基としては、後述する封鎖基を形成する(ブロック化反応)際に、この封鎖基と反応しない基が好ましい。このような点を考慮すると、反応基は、水酸基、エポキシ基、アミノ基であることが好ましく、水酸基であることが特に好ましい。
このような直鎖状分子としては、例えばポリアルキル類、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリアミド類、ポリアクリル類、ベンゼン環を有する直鎖状分子を挙げることができる。これらは、単独で含有されていてもよく、2種以上が混合されて含有されていてもよい。
更に、ポリエーテル類としては、例えばポリエチレングリコールを挙げることができ、環状分子の包接性が優れるという観点から好適に用いることができ、水や水系溶剤への溶解性の観点からも好適に用いることができる。
かかる基としては、「嵩高さ」を有する基又は「イオン性」を有する基などを挙げることができる。また、ここで、「基」とは、分子基及び高分子基を含む種々の基を意味する。
また、「イオン性」を有する基のイオン性と、環状分子の有するイオン性とが相互に影響を及ぼし合い、例えば反発し合うことにより、環状分子が直鎖状分子に串刺しにされた状態を保持することができる。
このような封鎖基の具体例としては、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、これらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
ここで、溶媒はカプロラクトンによる修飾基である(−CO(CH2)5OH)基を備えた修飾ポリロタキサンを溶解させられるものであれば特に限定されず、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、トルエンなどの芳香族類といった有機溶剤などを適宜用いれば良い。これらの溶媒と混合することで優れた耐傷付き性及び耐薬品性を要求される物品の表面を被覆する塗料として好適に用いることができる。
更には、主鎖又は側鎖に水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ビニル基、チオール基又は光架橋基、及びこれらの任意の組合せに係る基を有するものが好ましい。
なお、光架橋基としては、ケイ皮酸、クマリン、カルコン、アントラセン、スチリルピリジン、スチリルピリジニウム塩、スチリルキノリン塩などを例示できる。
また、2種以上の樹脂成分を混合使用してもよいが、この場合、少なくとも1種の樹脂成分が環状分子を介してポリロタキサンと結合していることがよい。
更に、かかる樹脂成分は、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。コポリマーの場合、2種以上のモノマーから構成されるものでもよく、ブロックコポリマー、交互コポリマー、ランダムコポリマー又はグラフトコポリマーのいずれであってもよい。
具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、澱粉及びこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン及び他のオレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂などのポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートや(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びこれらの誘導体又は変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ナイロン(登録商標)などのポリアミド類、ポリイミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのポリジエン類、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、及びこれらの誘導体を挙げることができる。
誘導体としては、上述した水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ビニル基、チオール基又は光架橋基及びこれらの組合せに係る基を有するものが好ましい。
しかしながら、本発明においては、これらに限定されるものではないことは言うまでもない。
上記添加剤の具体例としては、分散剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、表面調整剤、ワキ防止剤などを用いることができる。
上記顔料の具体例としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料等の有機系着色顔料や、カーボンブラック、二酸化チタン、ベンガラ等の無機系着色顔料を用いることができる。
上記光輝剤の具体例としては、アルミ顔料、マイカ顔料などを用いることができる。
この範囲にあることで、詳しくは後述する滑車効果によって微粒子−PR含有塗料の耐傷付き性が確保できることとなり、また塗膜の平滑性を確保できて塗膜の外観品質を維持できるものである。なお、上記修飾ポリロタキサンの含有量が増加するにつれて本材料を用いた塗膜は延性が向上するものの、一方で剛性(Young率)は低下する傾向にある。
このような微粒子−PR含有塗料から微粒子−PR含有塗膜を製造するに当たっては、例えば、はけ塗り法、吹付け法、静電塗装法、電着塗装法、粉体塗装法、スパッタ法、更にはインモールドコーティング法などを利用して塗装し、加熱乾燥などを実施して成膜させればよい
また、微粒子−PR含有塗料は、上述した溶媒等を適宜調製することにより、各種溶剤系塗料や粉体塗料などとして用いることができる。
更に、微粒子−PR含有塗料は、上述した反応基や硬化剤を適宜調製することにより、常温乾型塗料や焼付け型塗料、紫外線硬化型塗料、電子線硬化型塗料などとして用いることができる。
上述の如く、本発明の微粒子−PR含有塗膜は、上述した本発明の微粒子−PR含有塗料から成る層であって、被塗物上に形成させた塗膜である。優れた耐傷付き性及び耐薬品性を要求される物品の表面を被覆する塗膜として好適に用いることができる。
同図において、微粒子−PR含有塗膜1は、修飾されたポリロタキサン10と、微粒子20と、ポリロタキサン10以外の他の樹脂30、30’とを有する。また、修飾されたポリロタキサン10は、環状分子12と、直鎖状分子14と、直鎖状分子14の両末端に配置された封鎖基16を有し、直鎖状分子14は環状分子12の開口部を貫通して環状分子12を包接している。そして、この修飾されたポリロタキサン10は、環状分子12を介して架橋点18によって他の樹脂30及び他の樹脂30’を結合している。
即ち、図1(B)に示すように、環状分子12は滑車効果によって直鎖状分子14に沿って移動可能であるため、上記応力をその内部で吸収可能である。
また、本発明の微粒子−PR含有塗膜は、図示したように、所定の平均粒子径を有する微粒子が分散して含まれているものであり、上述した滑車効果を阻害することがないため、優れた耐傷付き性及び耐薬品性を有するものである。更に、優れた耐汚れ性、平滑性を維持することもできる。
同図において、修飾されたポリロタキサン10は、直鎖状分子14と、環状分子12と、直鎖状分子14の両末端に配置された封鎖基16を有し、直鎖状分子14は環状分子12の開口部を貫通して環状分子12を包接している。
そして、環状分子12は、カプロラクトンによる修飾基である(−CO(CH2)5OH)基12aを有している。
特に限定されるものではないが、透明クリヤー塗膜や濁りクリヤー塗膜として適用する場合には、その膜厚を20〜40μmとすることが好ましく、エナメル塗膜として適用する場合には、その膜厚を20〜40μmとすることが好ましく、ベースコート塗膜として適用する場合には、その膜厚を10〜20μmとすることが好ましく、下塗り塗膜として適用する場合には、その膜厚を20〜40μmとすることが好ましい。
このような範囲の膜厚とすると、耐汚染性、耐薬品性、耐傷付き性、耐衝撃性などの効果・品質を長期にわたって保持できる。
また、濁りクリヤー塗膜やエナメル塗膜、ベースコート塗膜、下塗り塗膜には、顔料が通常含まれている。なお、濁りクリヤー塗膜の場合には、その含有量が通常5%以下である。濁りクリヤー塗膜とするには、さらに樹脂ビーズ等の艶消し剤を加えればよい。エナメル塗膜、ベースコート塗膜、下塗り塗膜に含まれる顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ペニレン系顔料などの有機系着色顔料や、カーボンブラック、二酸化チタン、ベンガラなどの無機系着色顔料などを例示することができる。
積層塗膜は、上述した本発明の微粒子−PR含有塗膜から成る層を1層以上備えるものであって、優れた耐傷付き性及び耐薬品性を要求される物品の表面を被覆する積層塗膜として好適に用いることができる。
このような積層塗膜においては、耐傷付き性を考慮すると微粒子−PR含有塗膜から成る層を最表層とすることが好ましい。
図3は、本発明の塗膜の一実施形態であって、微粒子−PR含有塗膜をクリヤー塗膜層に適用した一例を示す概略断面図である。
同図に示すように、この積層塗膜40は、下塗り塗膜層41と、カラーベース塗膜層42と、微粒子−PR含有塗膜を適用したクリヤー塗膜層43から構成されている。
なお、図示しないが、下塗り塗膜層のカラーベース層と反対側には被塗物がある。
同図に示すように、この積層塗膜40’は、下塗り塗膜層41と、微粒子−PR含有塗膜を適用したエナメル塗膜層44から構成されている。
なお、図示しないが、下塗り塗膜層のエナメル塗膜層と反対側には図示しない被塗物がある。
このように微粒子−PR含有塗膜を最表層に適用すると、優れた耐傷付き性及び耐薬品性を効果的に発揮することができる。
なお、微粒子−PR含有塗膜を上記下塗り塗膜層41及び/又はカラーベース塗膜層42に適用しても良い。これにより例えば自動車などが走行する際に跳ね石などによる入力(チッピング入力)を積層塗膜40や積層塗膜40’が受けた場合に万が一クリヤー塗膜層43やエナメル塗膜層44が破損しても下塗り塗膜層41、カラーベース塗膜層42によって塗膜全層にまで破損が拡大することを防止することができる。
上述の如く、本発明の塗装物品は、上述した本発明の微粒子−ポリロタキサン含有塗膜と被塗物とを備え、物品に微粒子−ポリロタキサン含有塗膜が形成されているものであって、優れた耐傷付き性及び耐薬品性を有するものである。
なお、上述した積層塗膜を備え、物品に積層塗膜が形成されているものであっても本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
また、上記被塗物の具体例としては、耐傷付き性が要求される自動車のボディ、メッキ、蒸着、スパッタリング等の処理が施されたアルミホイール、ドアミラーや、屋内・屋外における樹脂製品、階段、床、家具等の木工製品などを挙げることができる。
1.ポリロタキサンの準備
ポリロタキサンを国際公開第2005/052026号及び国際公開第2005/080469号に記載される方法と同様に調製した。以下にその例を示す。
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製
ポリエチレングリコール(PEG)(重量平均分子量35000)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mLに溶解させた。市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mLを添加し、室温で10分間撹拌した。余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるために、エタノールを最大5mLまでの範囲で添加して反応を終了させた。
50mLの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰り返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレーターで塩化メチレンを留去し、250mLの温エタノールに溶解させてから冷凍庫(−4℃)中に一晩おいて、PEG−カルボン酸のみを抽出させ、回収し、乾燥した。
上記調製したPEG−カルボン酸3g及びα−シクロデキストリン(α−CD)12gをそれぞれ別々に用意した70℃の温水50mLに溶解させ、双方を混合し、よく振り混ぜた後、冷蔵庫(4℃)中に一晩静置した。クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥して、回収した。
スラリー状になった試料を冷蔵庫(4℃)中に一晩静置した。一晩静置した後、DMF/メタノール混合溶媒(体積比1/1)50mLを添加し、混合し、遠心分離して、上澄みを捨てた。上記のDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰り返した後、更にメタノール100mLを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰り返した。
得られた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mLのDMSOに溶解させ、得られた透明な溶液を700mLの水中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。
上記のDMSOに溶解、水中で析出、回収、乾燥のサイクルを2回繰り返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。なおα−CDの包接量は0.25である。
上記調製したポリロタキサン500mgを1mol/LのNaOH水溶液50mLに溶解し、プロピレンオキシド3.83g(66mmol)を添加し、アルゴン雰囲気下、室温で一晩撹拌した。1mol/LのHCl水溶液で中和し、透析チューブにて透析した後、凍結乾燥し、回収して、ヒドロキシルプロピル化ポリロタキサンを得た。
得られたヒドロキシルプロピル化ポリロタキサンは、1H−NMR及びGPCで同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。なおヒドロキシプロピル基による修飾度は0.5であった。
上記調製したヒドロキシルプロピル化ポリロタキサン500mgに、モレキュラーシーブで乾燥させたε−カプロラクトン2.3gを加え、80℃で30分間撹拌して、浸透させた。次いで、2−エチルヘキサン酸スズ0.2mLを加え、100℃で1〜8時間反応させ、目視で確認しながら終了させた。反応終了後、試料を50mLのトルエンに溶解させ、撹拌したヘキサン450mL中に滴下して、修飾ポリロタキサンを析出させた。析出した修飾ポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させて、本例で用いる修飾ポリロタキサンを得た。
上記調製した修飾ポリロタキサンをトルエンで濃度が10%となるように溶解した。
次に、アクリル・メラミン硬化型クリア塗料(日本油脂株式会社製、製品名:ベルコートNo.6200GN1)に、溶解した修飾ポリロタキサンを撹拌しながら添加した。
しかる後、上記塗料にシリカ製の微粒子(日産化学工業株式会社製、製品名:スノーテックスXS、平均粒子径:5nm)を撹拌しながら更に添加して、本例の微粒子−PR含有塗料を得た。
なお、微粒子−PR含有塗料は、微粒子−PR含有塗膜を形成した際に、塗膜中の微粒子の含有量が15%、修飾ポリロタキサンの含有量が1%となるように調製した。
リン酸亜鉛処理した厚み0.8mm、70mm×150mmのダル鋼板に、カチオン電着塗料(日本ペイント社製、製品名:パワートップU600M)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装した後、160℃で30分間焼き付けた。
次に、下塗り塗料(BASFコーティングスジャパン株式会社製、製品名:ハイエピコNo.500、グレー)を、乾燥膜厚が30μmとなるように塗装した後、140℃で30分間焼き付けた。
次に、メタリック塗料(BASFコーティングスジャパン株式会社製、製品名:ベルコート6010)を、乾燥膜厚が10μmとなるように塗装し、ウェットオンウェットで上記調製した微粒子−PR含有塗料を、乾燥膜厚が30μmとなるように塗装した後、140℃で30分間焼き付けて、本例の積層塗膜を得た。
得られた微粒子−ポリロタキサン含有塗膜の仕様を表1に示す。
微粒子−ポリロタキサン含有塗料の作製に当たり、用いる微粒子の平均粒子径、微粒子−PR含有塗膜を形成した際の塗膜中の微粒子の含有量及び修飾ポリロタキサンの含有量が表1に示す仕様となるようにした以外は、参考例1と同様の操作を繰り返して、各例の積層塗膜を得た。
なお、参考例2、実施例4、実施例5、参考例6、実施例7ではシリカ製の微粒子(ビックケミー・ジャパン株式会社製、製品名:NANOBYK−3650、平均粒子径:25nm)、参考例3ではシリカ製の微粒子(日産化学工業株式会社製、製品名:MP−2040、平均粒子径:200nm)、比較例2ではシリカ製の微粒子(日産化学工業株式会社製、製品名:MP−4540M、平均粒子径:450nm)を使用した。
微粒子−ポリロタキサン含有塗料の作製に当たり、アルミナ製の微粒子(ビックケミー・ジャパン株式会社製、製品名:NANOBYK−3610、平均粒子径:25nm)を用い、微粒子−PR含有塗膜を形成した際の塗膜中の修飾ポリロタキサンの含有量が表1に示す仕様となるようにした以外は、参考例1と同様の操作を繰り返して、本例の積層塗膜を得た。
また、各例の微粒子−ポリロタキサン含有塗膜の仕様を表1に併記する。
上記各例の積層塗膜について、以下の(1)〜(3)について評価を行った。
焼付け後の微粒子ーポリロタキサン含有塗膜のにごり性を目視により評価した。
なお、表1中のにごり性の評価において、「○」はにごりが全くないこと、「△」は気になるほどではないがにごりが殆どないこと、「×」は白濁しており色味の変化があることを示す。
摩耗試験機の摺動子にダストネル(摩擦布)を両面テープで張り付け、0.22g/cm2の荷重下、微粒子−ポリロタキサン含有塗膜上を50回往復させて、傷の有無を目視評価した。得られた結果を表1に併記する。
なお、表1中の耐傷付き性の評価において、「◎」は傷がないこと、「○」は殆ど傷がないこと、「△」は少し傷があること、「×」は目立つほど多くの傷があることを示す。
ガソリン試験(無鉛レギュラーガソリンを滴下し、乾燥させた後、塗面を布で拭き取る。)による塗膜の軟化・膨潤の有無を確認した。得られた結果を表1に併記する。
なお、表1中の耐薬品性の評価について、「◎」は塗膜が変化していないこと、「○」は塗膜が若干軟化していること、「△」は塗膜が軟化していること、「×」は塗膜が軟化し、膨潤していることを示す。
更に、表中には示さないが、架橋密度や破断強度についても大きく変化しないことが確認された。
10 ポリロタキサン
12 環状分子
12a カプロラクトンによる修飾基((−CO(CH2)5OH)基)
14 直鎖状分子
16 封鎖基
18 架橋点
20 微粒子
30,30’ 他の樹脂
40,40’ 積層塗膜
41 下塗り塗膜層
42 カラーベース塗膜層
43 クリヤー塗膜層
44 エナメル塗膜層
Claims (6)
- 溶剤系塗料に、
カプロラクトンによる修飾基である(−CO(CH2)5OH)基を備えた修飾ポリロタキサンと、
平均粒子径380nm未満であり、シリカ及び/又はアルミナからなる微粒子と、
を含有させ、
塗膜形成成分における修飾ポリロタキサンの含有量が35〜76.5質量%であり、
塗膜形成成分における平均粒子径380nm未満であり、シリカ及び/又はアルミナからなる微粒子の含有量が15〜30質量%である
ことを特徴とする微粒子−ポリロタキサン含有塗料。 - 上記修飾ポリロタキサンは、環状分子、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子、及びこの直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基を有するポリロタキサンであって、
上記環状分子がシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の一部又は全部が修飾基で修飾され、その修飾基がカプロラクトンによる修飾基である(−CO(CH2)5OH)基を有するポリロタキサンである、ことを特徴とする請求項1に記載の微粒子−ポリロタキサン含有塗料。 - 上記修飾ポリロタキサンは、環状分子、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子、及びこの直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基を有するポリロタキサンであって、
上記環状分子がシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の一部又は全部が修飾基で修飾され、その修飾基が、−O−C3H6−O−基と結合した、カプロラクトンによる修飾基である(−CO(CH2)5OH)基を有するポリロタキサンである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒子−ポリロタキサン含有塗料。 - 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の微粒子−ポリロタキサン含有塗料から成る層を、被塗物上に形成させたことを特徴とする微粒子−ポリロタキサン含有塗膜。
- 透明クリヤー塗膜、濁りクリヤー塗膜、エナメル塗膜、ベースコート塗膜又は下塗り塗膜である、ことを特徴とする請求項4に記載の微粒子−ポリロタキサン含有塗膜。
- 請求項4又は5に記載の微粒子−ポリロタキサン含有塗膜と、被塗物とから成ることを特徴とする塗装物品。
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