JP5854075B2 - コークス製造用石炭の配合方法、及びコークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銘柄の異なる複数の種類の石炭で構成される配合炭から製造されるコークスの強度を推定する方法、推定されるコークス強度に基づいて強度の高いコークスを得るためのコークス製造用石炭の配合方法及び選定方法、並びに、最適に配合された配合炭から強度の高いコークスを製造する方法に関する。
高炉において溶銑を製造する際に原料として用いられるコークスは、強度の高いものが望ましいことが、広く知られている。なぜならば、コークスの強度が低いと高炉内でコークスが粉化し、高炉の通気性が阻害され、溶銑の生産が安定的に行えなくなるためである。
室炉式コークス炉を用いて石炭を乾留して製鉄用コークスを製造する場合、生成するコークスの強度は、原料石炭の選択方法、事前処理方法、乾留条件、消火条件、事後処理条件などの影響を受ける。これらの条件の中で、設備や操業に係わる条件は設備的制約があるために大きく変更することが難しいことから、原料石炭の選択がコークス品質を制御する上で最も重要な要素と認識されている。
所望する強度を有するコークスを得るための原料石炭の配合方法としては、非特許文献1に述べられている方法を始めとして種々の方法が知られているが、いずれも、配合する原料石炭の性状に基づいて生成するコークスの強度を予測し、予測される強度が高くなるように原料石炭の配合を決定する方法が採用されている。
しかしながら、従来の配合決定方法においては、往々にしてコークス強度が正確に推定できない場合があることが知られている。その例としては、「石炭の相性」と呼ばれている効果が挙げられ、例えば特許文献1に示すように、配合する前の石炭単味から得られるコークスの強度と、配合炭から得られるコークスの強度に加成性が成立しない場合があることが知られている。特許文献1では石炭の配合効果(相性)を求めるために、事前に配合に使用する石炭の単味炭及び2種類の石炭を配合した配合炭を乾留して得られるコークス強度測定を実施している。そこで得られた強度とビトリニット平均最大反射率(Roの平均値、以下、単にRoと記す)、最高流動度(MF)、全活性成分量(TR)を因子とする重回帰結果から配合効果係数を算出している。しかしながら、製鉄用コークスに使用する配合炭は単味炭を10種類以上配合することも珍しくなく、この10種類以上の石炭の組合せのそれぞれについて、実験的に相性(配合効果係数)を求めることは非常に困難であり、簡便性に欠ける。さらに、特許文献1における配合効果係数の因子は、MF、Ro、TRなどの従来から用いられている指標から成り立っており、相性を直接測定するものではない。
また、特許文献2にはラマンスペクトルの特性値(R値)とコークス強度が逆相関にあり、R値が低い銘柄を配合すれば強度が上昇することが示されている。一般的に石炭のRoとコークス強度は正相関にあることが知られており、特許文献2はRoとR値は逆相関にあることを示すものであるが、コークス強度の推定に際し、石炭の相性に起因する強度の影響は考慮されていない。
このような「相性」効果が発生する原因を探るべく、種々の検討が行われているが、確実に「相性」を評価し、「相性」の良い石炭の組み合わせを明確化することのできる技術は未だ未確立である。
特開平9−255966号公報 特開2005−281355号公報
宮津ら、日本鋼管技報、第67巻(1975年)、p.1
上記のように石炭の相性については不明な点が多く、配合炭から製造したコークスが予測した強度に達しない場合が発生していた。上述のように、特許文献1に記載の技術であっても、多数の石炭の組合せのそれぞれについて、実験的に相性を求めることは簡便性に欠ける。さらに、特許文献1で相性の推定に用いられる特性値がMF、Ro、TRなど、従来のコークス強度の推定に用いられる特性値であるため、従来の方法で説明できない相性効果を評価するためには不十分である。また、特許文献2は、多数の銘柄の石炭を配合する際の要素となる石炭同士の間のR値の関係を示すものではなく、石炭の相性効果に関するものではないので、やはり石炭間の相性効果を評価するためには不十分である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コークス製造における石炭間の相性を定量的に明らかにし、相性を考慮してコークス強度を推定し、また、相性を考慮したコークス強度に基づいて原料石炭を選定し、かつ原料石炭を配合し、望ましい強度のコークスを製造することのできる技術を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、石炭またはその熱処理物のラマン分光スペクトルを測定し、該測定により得られるラマン分光スペクトルのGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度の比Rにより得られる特性値が、コークス製造における石炭の相性をよく表現することを知見した。なお、本発明では、組み合わせることで製造されるコークスの強度が増加またはほとんど変化しないような石炭の配合を相性の良い石炭と定義し、組み合わせることで製造されるコークスの強度が低下するような石炭の配合を相性の悪い石炭と定義する。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]複数の種類の石炭のラマン分光スペクトルをそれぞれ測定し、測定したそれぞれの石炭のラマン分光スペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比Rの差に基づいて、前記複数の種類の石炭を混合して製造されるコークスの強度を推定することを特徴とする、コークス強度の推定方法。
[2]複数の種類の石炭のラマン分光スペクトルをそれぞれ測定し、測定したそれぞれの石炭のラマン分光スペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比Rの差に基づいて、前記複数の種類の石炭を混合して製造されるコークスの強度を推定し、前記コークスの強度が高くなるように配合する石炭を決定することを特徴とする、コークス製造用石炭の配合方法。
[3]1種類の石炭または複数の種類の石炭の混合物に対し、さらに石炭を混合してコークスを製造する場合において、前記1種類の石炭または複数の種類の石炭の混合物をラマン測定することによって得られたラマン分光スペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比を強度比Rave.とし、混合しようとする別の石炭のラマン測定によって得られたラマン分光スペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比を強度比Rとしたとき、前記強度比Rと前記強度比Rave.との比(強度比R/強度比Rave.)が、0.90以上0.90の逆数以下の範囲内となる石炭を選択し、選択した石炭を混合する石炭として使用することを特徴とする、コークス製造用石炭の配合方法。
[4]複数の種類の石炭のラマン分光スペクトルをそれぞれ測定し、測定したそれぞれの石炭のラマン分光スペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比Rの差に基づいて、前記複数の種類の石炭を混合して製造されるコークスの強度を推定し、前記コークスの強度が高くなるようにコークス用石炭を選定することを特徴とする、コークス製造用石炭の選定方法。
[5]前記石炭を熱処理した後に、前記ラマン分光スペクトルを測定することを特徴とする、上記[1]に記載のコークス強度の推定方法。
[6]前記石炭を熱処理した後に、前記ラマン分光スペクトルを測定することを特徴とする、上記[2]または上記[3]に記載のコークス製造用石炭の配合方法。
[7]前記石炭を熱処理した後に、前記ラマン分光スペクトルを測定することを特徴とする、上記[4]に記載のコークス製造用石炭の選定方法。
[8]上記[2]、上記[3]、上記[6]の何れか1項に記載のコークス製造用石炭の配合方法で配合された石炭を乾留してコークスを製造することを特徴する、コークスの製造方法。
本発明によれば、原料として用いる石炭間の相性を、ラマン分光スペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比Rの差に基づいて定量的に評価するので、複数の種類の石炭を混合してコークスを製造した場合に製造されるコークスの強度を正確に推定することが可能となり、また、製造されるコークスの強度が高くなるように配合する石炭を選定しかつ決定することが可能となり、さらには高強度のコークスを製造することが可能となる。
レーザーラマン分光測定法で得られた石炭のラマン分光スペクトルの一例を示す図である。 図1に示すラマン分光スペクトルを、Gバンドピーク分離スペクトル及びDバンドピーク分離スペクトルに分離した例を示すグラフである。 ラマンピーク強度比Rのベースの配合炭との差が小さい石炭A、及び、差が大きい石炭Bを、ベースの配合炭に添加した場合のコークス強度の変化を示すグラフである。
一般に、極性溶媒は極性物質をよく溶解し、無極性溶媒は無極性物質をよく溶解することが知られている。固体物質においても同様に、化学的特性の異なる2種の物質が接着した場合、その特性(例えば表面張力値など)が近似しているほど接着の強度は高くなる。石炭がコークス化する過程では、加熱により石炭が一旦溶融して再固化し、コークスが生成するが、その過程において、異なる石炭同士が接着して強固なコークス構造を形成する必要がある。
従来の考え方では、この接着構造は石炭同士の融着によって形成されるものと考え、石炭の溶融性(例えばギーセラー最高流動度MF)が重要な役割を担っているとされてきた。これに対し、本発明者らは、異種の石炭が接着する現象自体に着目し、この接着の強さもコークスの強度に何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えて検討を行った。その結果、ラマン分光測定により得られる特性値とコークス強度との関係を実験的に確認することができた。
図1に、レーザーラマン分光測定法で得られた、石炭のラマン分光スペクトルの一例を示す。図1の横軸はレーザーの波数(cm-1)であり、縦軸はラマン強度(a.u.)である。石炭及びコークスのレーザーラマン測定では、図1に示すように、波数1600cm-1付近に位置するGバンドピークと、波数1400cm-1付近に位置するDバンドピークとが得られる。ここで、Gバンドピークは、炭素の二重結合に起因し、石炭のグラファイト構造に由来する石炭分子中の芳香族縮合環の骨格構造の性質を表している。また、Dバンドピークは、本来、石炭の無秩序な構造に由来するが、やはり石炭分子の構造についての情報を示すことが知られている。
Gバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比R(Dバンドピーク強度/Gバンドピーク強度)は炭素材料の構造、性質と密接な相関があり、例えば、強度比Rが大きい石炭及びコークスほど芳香族縮合環の拡がりが少なくなることなどが知られている。このようにピーク強度比Rの値が近いものほど、その構造及び特性が近似していることを示しており、ラマンピーク強度比Rは、相性の良し悪しを判定する指標、つまり定量的に石炭間の相溶性の度合いを示す指標となると考えられる。
上記の接着現象を検討する場合、実際に石炭が軟化溶融している温度(350℃〜550℃)において溶融物のラマン測定を行い、その特性値を利用することが望ましいと考えられる。しかしながら、こうした高温状態を維持したまま直接ラマン測定を行い、正確な数値を算出するのは困難である。そこで、本発明者らは種々の代替法を検討した結果、一旦、石炭の軟化溶融温度以上コークス化温度以下である350〜800℃で熱処理した石炭を常温に冷却した後のラマン分光測定により得られる特性値、好ましくは常温に急冷却した後のラマン分光測定により得られる特性値を用いることで石炭間の接着強度をよく表現でき、これらの接着現象がコークスの強度にも影響を及ぼすことを見出した。また、上記ラマン分光測定により得られる特性値は、原料石炭のラマン分光測定により得られる特性値から推定可能であることも見出した。
この新たな知見に基づき、本発明は完成に至った。以下にその詳細を説明する。
先ず、いくつかの種類(それは銘柄毎であることが多い)の石炭について、その石炭毎にそれぞれラマン分光測定法によるスペクトル測定を行う。測定に用いる石炭試料は、石炭が実際に軟化溶融している状態を近似できることから、熱処理後の石炭を用いることが好ましい。
この石炭加熱温度としては、350℃〜800℃とすることが好ましい。ここで、加熱温度が350℃未満の場合は、測定対象の石炭に水分や低分子量成分が多く残存する場合があるために、スペクトル測定の結果から算出する強度比Rが正確に測れない場合がある。また、加熱温度が800℃を超えると、ラマン分光測定において、ノイズの発生が大きくなり、S/N比が悪くなり、算出した強度比Rの信頼性が低下する場合がある。
また、スペクトル測定に供する石炭の粒径は、組織や性状などが不均一である石炭から均質な試料を作製するという観点から、JIS M8812に記載されている石炭の工業分析における粉砕粒度である250μm以下、望ましくは150μm以下が好ましい。
つまり、ラマン分光測定に用いる石炭試料の作製方法の一例としては、次のような条件が好ましい。石炭を粒径200μm以下に粉砕し、不活性ガス雰囲気中で3℃/minで500℃まで加熱し、液体窒素で急冷後、150μm以下に粉砕し、乾燥された不活性ガス気流中120℃で2時間乾燥する方法である。但し、この条件に限定する必要はなく、この条件に準じて変更することができる。
ラマン分光スペクトルは、一般に市販されている分光器によって測定することができる。光源は特に指定するものではなく、一般に使用されているものであればよい。光源にレーザーを使用する場合のレーザーの種類は特に限定されるものではなく、Arレーザー、He−Neレーザーなどを用いることができる。
ラマン分光スペクトルから、個々の石炭銘柄について、Gバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度の比(強度比R)を求める。強度比Rは、例えば、次のようにして求めることができる。
図1に示すようなラマン分光スペクトルに対し、ピークの底線を定めるベースラインによって、バンドピークの形状を規定した後、このピークをスペクトルから抽出し、そのバンドピーク強度を求める。図2に、図1に示すラマン分光スペクトルを、Gバンドピーク分離スペクトル及びDバンドピーク分離スペクトルに分離した例を示す。なお、バンドピーク強度の求め方は、例えば、コンピュータなどを用いて、バンドピークの形状を決定した後に、カーブフィッティングなど最小自乗法によるピーク分割によりバンドピークを求める方法であってもよい。
コークス製造用原料として用いる石炭について、品種(種類)毎に、上記方法によってラマン分光測定により得られるスペクトルのGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比Rを予め求めておく。強度比Riの石炭と強度比Rjの石炭との2種の石炭の相性を判定する場合には、それぞれの石炭の強度比Rの比(Ri/Rj)をとり、その値が1.0に近いほど相性が良く、1.0から乖離するほど相性が悪いと判定する。種々の配合について検討した結果、2種の石炭の強度比Rの比(Ri/Rj)が1.0±0.1よりも乖離すると、生成するコークスの強度が著しく低下することが認められたことから、相性の良し悪しを判定する閾値としては、上記の「比(Ri/Rj)=1.0±0.1」の値を用いることが可能である。
この時、比較するそれぞれの石炭のラマンピーク強度比Rとしては、同じ熱処理温度での値同士を比較することが最も望ましいが、或る温度域でのラマンピーク強度比Rの平均値を判定に用いることもできる。また、石炭毎に、軟化溶融特性温度(例えば、最高流動温度、軟化開始温度、再固化温度)でのラマンピーク強度比Rを比較することもできる。或る石炭と2種以上の石炭の混合物との相性を評価する場合には、2種以上の石炭混合物の強度比Rとしてその混合物のラマンピーク強度比Rの実測値を用いてもよいし、混合物中のそれぞれの石炭のラマンピーク強度比Rの平均値(組成を考慮した加重平均値が好ましい)を用いてもよい。
このようにして、石炭間の相性が定量的に評価できるので、その評価に基づいて、コークス強度を推定することが可能となる。また、例えば従来用いられている強度の予測式にラマンピーク強度比Rを含む修正項を付加することによって可能である。相性の評価に基づいて、製造されるコークスの強度が高くなるように、望ましい石炭銘柄を選択することが可能となり、そうして選択された石炭銘柄から構成される配合炭を乾留することで高強度のコークスを製造することが可能となる。ここで、目的とするコークスの強度は、高炉の容積や操業条件などから適宜定めることができる。
複数の石炭からなる配合炭を乾留してコークスを製造する場合、その配合相性を判断する指標として、ラマンピーク強度比Rの比に基づく次の指標を用いることが好ましい。すなわち、n種類(1種類を含む)の石炭の混合物からなる配合炭中に、さらに別の石炭を配合する場合、n種類の石炭の混合物からなる配合炭のラマン分光スペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比をRave.とし、混合しようとする別の石炭のラマン測定によって得られたラマン分光スペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比をRとして、前記強度比Rと強度比Rave.との比(強度に対するDバンドピークの強度比をRとして、前記強度比Rと強度比Rave.との比(強度比R/強度比Rave.)が1.0に近い石炭、すなわち、強度比R/強度比Rave.あるいは強度比Rave./強度比Rを、高強度コークスを製造するための石炭の選択指標とする場合には、0.90以上0.90の逆数以下の範囲内となる石炭を選択する。ここで0.90の逆数とは、1/0.90のことであり、1.111・・・のことである。
なお、上記説明は、コークス原料用の大部分を占める石炭について本発明を適用した例を示したが、それ以外の配合原料、たとえばオイルコークス類、ピッチ類、その他有機物類に対する適用も原理的に可能である。
以上のようにして、コークス製造用石炭間における相性が明確に示されることにより、以下に示す判断が可能になる。例えば、石炭の購入にあたり、現在使用している他の銘柄の石炭と相性が良く、コークスを製造した場合に高強度のコークスが製造できると予想されるような石炭銘柄を選んで購入することが可能となる。また、石炭を販売する場合には、その石炭と相性のよい銘柄を常用している購入先に販売することで、その工場において高強度のコークスを製造可能とさせることができる。また、石炭を使用する場合においては、可能な限り相性の良い(ラマンピーク強度比Rの近い)石炭を組み合わせて使用することにより、高強度のコークスを製造することができる。また、ラマンピーク強度比Rの差や比(強度比R/強度比Rave.)を指標とすることで、配合炭から生成するコークスの強度が向上するあるいは低下してしまうといった推定(判定)がより正確にできるようになり、コークス強度の推定精度が向上し、高炉操業の安定にも寄与する。
このように、石炭またはその熱処理物のラマンピーク強度比Rを利用することにより、従来の方法では不可能であった石炭間の相性の定量的評価が可能になったことで、購買及び使用における石炭の効果的な選定が可能になるという効果が得られる。
石炭のR値は以下のようにして求めた。すなわち、コークス原料用として用いる各々の石炭を試料として、この石炭を粒径200μm以下に粉砕し、不活性ガス雰囲気中で3℃/minで500℃まで加熱し、液体窒素で急冷後、150μm以下に粉砕し、乾燥された不活性ガス気流中120℃で2時間乾燥したものを作製した。ラマン分光法によってそれぞれの試料のピーク強度比Rを求めた。レーザーラマン分光測定にはThermo Electron社製のNICOLET ALMEGA XR(レーザー波長532nm、レーザー出力:1%、露光時間:20秒、露光回数:2回、レーザー径:10μm程度)を用いた。データの代表性及び正確さを得るために、測定は同一試料内でランダムに36ポイント測定した。このときの測定時間は約26分であった。得られたラマン分光スペクトルそれぞれについて、ピーク分離した後、Gバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度の比を求め、それらを平均することで各石炭の強度比Rを求めた。
ベースの配合炭(石炭の混合物)として、5銘柄の石炭からなる配合炭(配合S1)を準備した。このとき、配合炭のR値を上記方法にて直接測定して求めた平均ラマンピーク強度比Rave.は0.563であり、一方、配合S1を構成する各石炭銘柄のラマンピーク強度比Rを、配合S1の組成における各石炭銘柄の配合率を重みにして加重平均して求めたRave.(加重平均値)は0.564であった。このベースの配合炭(配合S1)に対し、当該配合炭に含まれない銘柄の石炭として、ラマンピーク強度比Rが0.563である石炭Aと、ラマンピーク強度比Rが0.493である石炭Bとを用意した。
ベースの配合炭(配合S1)に対し、配合率を変えて石炭A及び石炭Bをそれぞれ配合し、容量16kgの乾留試験炉で炉壁温度1000℃、乾留時間6時間の条件で乾留を行ってコークスを製造した。このときに得られたコークスの強度(DI150/6指数)と、ベース配合炭のみから製造したコークスの強度との差(ΔDI)を図3に示す。この時の配合率とは、ベースの配合炭と添加した石炭Aまたは石炭Bとの合計を100とした際の石炭Aまたは石炭Bの割合である。また、コークスの強度の評価に用いたDI150/6指数は従来公知の方法により求めたものである。
なお、石炭Aまたは石炭Bを配合する場合には、ベース配合炭中の石炭の構成を配合S1から若干変えて、石炭Aまたは石炭Bを添加した配合炭のビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)の加重平均値が1.01%、ギーセラープラストメーターの最高流動度MFの常用対数値(logMF)の加重平均値が2.35(単位:log ddpm)となるように調整した。その際、配合構成が若干異なることによりベース配合炭のラマンピーク強度比Rave.が若干変動したが、その値は、上記のベース配合炭(配合S1)の値に対して0.002以内であった。
従来のコークス強度推定の考え方によれば、コークス強度は、配合炭のビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)の加重平均値と、ギーセラープラストメーターの最高流動度MFの常用対数値(logMF)の加重平均値とで、決定されることが知られている。従って、この試験においては、製造されるコークスの強度は、石炭A及び石炭Bの配合率に影響することなく概略同程度と推定するのが妥当である。しかしながら図3によれば、ベース配合炭とラマンピーク強度比Rの近い石炭Aを添加した場合には、コークス強度がほとんど変化しなかった(すなわち、低下しなかった)のに対し、ベース配合炭とラマンピーク強度比Rが大きく異なる石炭Bを配合した場合には、配合率が高くなるほど強度低下を起こすことが明らかとなった。
また、従来の考え方からすれば、複数銘柄の石炭を配合して配合炭とし、該配合炭を乾留してコークスを製造したとき、その配合炭のラマンピーク強度比Rが小さい方がコークス強度が高いとされている。本実施例による石炭Aを35%配合したときの配合炭に関し、本実施例の方法で求めたラマンピーク強度比Rは0.563であったのに対し、石炭Bを30%配合したときの配合炭のラマンピーク強度比Rは0.544であった。ラマンピーク強度比Rは、石炭Bを配合した配合炭の方が小さいにも拘らず、図3に示すように、コークス強度は石炭Aを配合した配合炭から作製したコークスの方が高いことが分かった。すなわち、コークス強度は、単純に配合炭のR値によって決まるものではないことが分かった。
この結果は、石炭を混合した場合の「相性」が顕著に現われている例である。すなわち、ベース配合炭に対し、石炭Aは相性が良く(配合により強度低下しない)、石炭Bは相性が悪い(配合により強度低下する)と判断される。このとき、ラマンピーク強度比Rの比を調べてみると、石炭A配合の場合には石炭Aとベース配合炭とのラマンピーク強度比の差は小さく、両者の強度比Rの比は1.0であり、石炭B配合の場合には石炭Bとベース配合炭とのラマンピーク強度比Rの差が大きく、両者の強度比Rの比は0.88(=0.493/0.563)であって1.0からは大きく乖離している。
これらの結果から、石炭間のラマンピーク強度比Rの差及び強度比Rの比は石炭の相性の良し悪しを判断するための指標となることが明らかとなった。
実施例1で用いた、石炭Bを30質量%配合した条件において(b配合と呼ぶ)、ベース配合炭を構成する石炭のうちのラマンピーク強度比Rが0.583の石炭(石炭C)を、ラマンピーク強度比Rが0.536の石炭Dに置換した(b’配合と呼ぶ)。なお、石炭Cと石炭Dは、ビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)及びギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)がほぼ同じ石炭であり、石炭Dはもともとのベース配合炭には含まれない石炭である。
この石炭Cから石炭Dへの変更により、ベース配合炭のラマンピーク強度比Rは実測値で0.545となった。これにより、ベース配合炭と添加する石炭Bとのラマンピーク強度比Rの差は、b’配合の方がb配合の場合よりも小さくなった。b’配合から得られたコークスの強度を調査したところ、b配合の場合に比べて、強度がDI150/6指数で0.5ポイント向上した。なお、b配合におけるベース配合炭のピーク強度比Rave.と添加する石炭Bのピーク強度比Rとの比は0.88(=0.493/0.563)であり、b’配合におけるベース配合炭のピーク強度比Rave.と添加する石炭Bのピーク強度比Rとの比は0.90(=0.493/0.545)である。
この結果からも、配合する石炭のラマンピーク強度比Rの差が小さいほど強度が向上することが明らかとなった。同様に、複数の種類の石炭の混合物に対し、さらに石炭を混合する場合において、前記石炭混合物のラマン測定におけるピーク強度比Rave.と、混合する石炭のラマンピーク強度の比Rとの比(強度比R/強度比Rave.)が0.90〜0.90の逆数の範囲内となるように配合をすることで、コークス強度が向上することが確認できた。
また、この結果より、石炭Bの性質そのものが悪いために実施例1において石炭Bの配合によって強度低下を引き起こしたわけではなく、石炭の組み合わせの良し悪しによってコークス強度に影響が現れたものと結論づけることができる。

Claims (3)

  1. 1種類の石炭または複数の種類の石炭の混合物に対し、さらに石炭を混合してコークスを製造する場合において、前記1種類の石炭または複数の種類の石炭の混合物をラマン測定することによって得られたラマン分光スペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比を強度比Rave.とし、
    混合しようとする別の石炭のラマン測定によって得られたラマン分光スペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度比を強度比Rとしたとき、前記強度比Rと前記強度比Rave.との比(強度比R/強度比Rave.)が、0.90以上0.90の逆数以下の範囲内となる石炭を選択し、
    選択した石炭を混合する石炭として使用することを特徴とする、コークス製造用石炭の配合方法。
  2. 前記石炭を熱処理した後に、前記ラマン分光スペクトルを測定することを特徴とする、請求項に記載のコークス製造用石炭の配合方法。
  3. 請求項1又は2に記載のコークス製造用石炭の配合方法で配合された石炭を乾留してコークスを製造することを特徴する、コークスの製造方法。
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