JP6760410B2 - コークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コークス強度の低下を誘引する浸透距離が大きすぎる石炭(以後、高浸透距離炭と記載する)を用いてコークスを製造するに際し、高浸透距離炭を用いることによるコークス強度の低下を抑制して強度の高いコークスを製造するコークスの製造方法に関する。
高炉で銑鉄を溶製する場合、高炉内に鉄鉱石類とコークスとを交互に装入してこれらを層状に充填し、羽口から吹き込まれる高温の熱風で鉄鉱石類やコークスを加熱するとともに、コークスから発生したCOガスで鉄鉱石類を還元する。この高炉の操業を安定して行うには、高炉内の通気性や通液性を確保する必要があり、このためには、強度、粒度および反応後強度等の諸特性に優れたコークスが不可欠である。なかでも、回転強度などのコークス強度が高いことは、特に重要な特性である。
コークスの強度は、通常、JIS K 2151に規定されている回転強度試験により測定されるドラム強度DI(150/15)などを指標として管理されている。石炭は、乾留により軟化溶融して互いに接着しコークスになる。したがって、石炭の軟化溶融特性の違いはコークス強度に大きく影響する。したがって、コークス強度を管理するために、石炭の軟化溶融特性が評価されている。ここで、石炭の軟化溶融特性とは、石炭を加熱したときに軟化溶融する性質であり、通常、軟化溶融物の流動性、粘度、接着性、膨張性、浸透性などにより評価される。
石炭の軟化溶融特性のうち、軟化溶融時の流動性を測定する一般的な方法としては、JIS M 8801に規定されるギーセラープラストメータ法による石炭流動性試験方法がある。ギーセラープラストメータ法は、径を425μm以下に粉砕した石炭を所定のるつぼに入れ、規定の昇温速度で加熱し、規定のトルクをかけた撹拌棒の回転速度を測定し、1分ごとの目盛分割(ddpm)をもって試料の軟化溶融特性を表す方法である。その他の軟化溶融特性評価方法としては、定回転方式でトルクを測定する方法、動的粘弾性測定装置による粘度の測定方法、JIS M 8801に規定されているジラトメーター法が知られている。
石炭流動性試験方法に対して、特許文献1には、コークス炉内で石炭の軟化溶融物が置かれている状況を考慮した条件、すなわち、軟化溶融した石炭が拘束された条件で、かつ周囲の欠陥構造への溶融物の移動、浸透を模擬した条件で、軟化溶融特性を評価する方法が開示されている。特許文献1には、この方法で測定される浸透距離は、従来の方法とは異なる石炭軟化溶融特性の指標であり、この方法で測定される浸透距離は、コークス強度に影響を及ぼし、高浸透距離炭をコークス製造用の配合炭に配合すると、コークス中に粗大な気孔欠陥が形成され、コークス強度が低下することが開示されている。
特許文献2には、コークス強度の低下を招く浸透距離の範囲を規定し、その範囲から外れるように、コークス製造原料として単独または他の石炭と配合して用いられる個別銘柄の石炭の浸透距離を調整することが開示されている。すなわち、配合炭の浸透距離を適正範囲に調整することで、浸透距離が大きいことに起因したコークス強度の低下を抑制できることが開示されている。
具体的な浸透距離の調整方法として、浸透距離の異なる石炭を混合して浸透距離を調整する方法が開示されている。この方法は、配合炭の浸透距離が、配合炭を構成する単味の石炭の浸透距離と、その配合率から導かれる加重平均値とがほぼ一致する、すなわち、石炭の浸透距離には加成性があることを利用した方法である。ここで、浸透距離の加成性とは、複数銘柄の石炭からなる配合炭の実際に測定される浸透距離が、配合炭中の各銘柄の石炭の配合割合を重みにして各銘柄の石炭の浸透距離を加重平均して算出される浸透距離の加重平均値と略一致する性質を意味する。なお、測定される浸透距離と浸透距離の加重平均値とが近くなる場合、「加成性がある(加成性が良い)」といい、測定値と加重平均値が異なる場合、「加成性がない(加成性が悪い)」という。
また、特許文献3には、特許文献2で調査した石炭銘柄よりも広い性状範囲の石炭で、浸透距離の加成性の成立可否を調査した結果、高浸透距離炭と、ビトリニットの平均最大反射率Roが1.25%以上で、かつ組織分析における全イナート量TIが30体積%以下である石炭(以後、浸透距離低減炭と記載する)とを組み合わせた場合、両者を混合した混合炭の浸透距離は加成値よりも大きく低下し、浸透距離低減炭と高浸透距離炭とを同時に配合し、コークスを製造することで高浸透距離炭によるコークス強度の低下を抑制できることが開示されている。
また、特許文献4には、非微粘炭を核として周囲に粘結炭を被覆した造粒炭を用いてコークスを製造することで、強度の高いコークスが製造できることが開示されている。特許文献4によると、非微粘炭を粘結炭で被覆することで、非微粘炭のガス化により形成された気孔壁が粘結炭の存在により強化され、これにより強度の高いコークスが製造できる。
特許文献5には、低品位炭と高流動度材料とを近接配合することで高品位炭のような特性の配合炭が得られ、この配合炭を用いることで強度の高いコークスが製造できることが開示されている。特許文献5には、低品位炭と高い流動度材料とを近接配合させる処理の例として、成型処理、造粒処理、接着処理または混練処理が開示されており、このうち、造粒処理および混練処理は、高流動度材料をバインダーとして用いている。
また、特許文献6には、2種類以上の石炭を石炭性状に応じて別々に粉砕し、石炭性状ごとに粒度分布を調整する冶金用コークスの製造方法が開示されている。特許文献6によると、軟化溶融層中で固相成分となり得る成分の含有量の多い石炭を細粒化し、その他の石炭は配合炭全体の粒度分布が一定になるように粒度を調整することで、大粒径および低嵩密度のコークスを得ることができる。
特開2012−073239号公報 特開2012−072391号公報 特許第5975191号公報 特開2007−231066号公報 特開2013−181100号公報 特開平11−181441号公報 特開2015−147943号公報
土肥勇介、外4名、「石炭水分が疑似粒子の形成およびコークス強度に及ぼす影響」、CAMP−ISIJ、Vol.28、2015年、p.79 佐藤宗武、他5名、「付着性微粉体を用いた粉体混合機の混合特性の評価」、粉体工学会誌、Vol.30、No.6(1993)、p.390〜p.396 A. Guedes et al. 「Micro-Raman spectroscopy of collotelinite, fusinite and macrinite」International Journal of Coal Geology 83 (2010) p.415-422
高浸透距離炭は、コークス強度の低下を招くので、配合炭に多くの高浸透距離炭を加えないでコークスを製造することが好ましい。しかしながら、原料の安定調達の観点から、多産地多銘柄となる複数種の石炭の配合を指向する現在のコークス製造においては、高浸透距離炭であっても、多量に使用したいという要請がある。
特許文献1には、配合炭の浸透距離が大きくなりすぎないように、複数銘柄の石炭を配合することや、高浸透距離炭の配合割合が大きくなりすぎないようにすることが記載されている。しかしながら、特許文献1には、高浸透距離と組み合わせ得る他の石炭の特性や、浸透距離の大きな石炭の許容可能な配合割合についての基準は開示されていない。
特許文献2には、配合炭の浸透距離測定値は、それぞれの石炭の浸透距離測定値をそれぞれの石炭の混合割合を重みとした加重平均値に略一致することが開示されており、これを用いて、望ましい浸透距離を有する配合炭を調整できることが開示されている。しかしながら、実際に、配合炭の浸透距離測定値と、石炭の加重平均値とが一致しない石炭の組み合わせもあり、そのような組み合わせの石炭を含む石炭混合物の浸透距離の調整に、特許文献2の技術は適用できない。また、特許文献2には、配合炭の浸透距離測定値と、石炭の加重平均値とが一致しない場合の石炭の組み合わせについては何ら開示されていない。
特許文献3には、配合炭の浸透距離を低減できる石炭(浸透距離低減炭)の品位範囲を明らかにしており、このような浸透距離低減炭を用いることで、高浸透距離炭の浸透距離を加重平均値よりも低減できることが開示されている。しかしながら、特許文献3には、浸透距離低減炭の効果を高めることができる浸透距離低減炭と高浸透距離炭との混合方法については何ら開示されていない。
特許文献4、5には、低品位炭と粘結炭や高流動度材料とを近接配合することで、低品位炭を用いながら強度の高いコークスを製造できることが開示されている。しかしながら、高浸透距離炭と浸透距離低減炭との組み合わせに対する混合方法については何ら開示されていない。また、特許文献4、5に開示された近接配合を実施するには、造粒機や成型機などの近接配合のための専用設備を必要とするという問題点がある。
特許文献6には、石炭性状が近い石炭ごとに粉砕して粒度を調整することが開示されているが、高浸透距離炭および浸透距離低減炭といった石炭性状が異なる石炭ごとに粉砕することについては何ら開示されていない。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コークス強度の低下を招く高浸透距離炭と、高浸透距離炭のコークス強度への悪影響を緩和する浸透距離低減炭とからなる石炭混合物を含む配合炭を用いてコークスを製造する場合に、コークス強度を低下させる高浸透距離炭の悪影響を緩和する浸透距離低減炭の効果を高めて、強度の高いコークスの製造が実現できるコークスの製造方法を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は、以下の通りである。
[1]配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークスの製造方法であって、石炭混合物を製造する石炭混合ステップと、水分量を6質量%以上とした前記石炭混合物を粉砕して疑似粒子を形成させる疑似粒子形成ステップと、前記石炭混合物に他の石炭を配合して配合炭を調製する配合炭調製ステップと、前記配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークス製造ステップと、を含み、前記石炭混合物は、容器内に充填した石炭試料の上に、上下面に貫通孔を有する材料を配置して前記石炭試料を加熱することで前記貫通孔へ石炭が浸透する距離である浸透距離(mm)が下記式[I]で求まる浸透距離の値を超える高浸透距離炭と、ビトリニットの平均最大反射率Roが1.25%以上かつ全イナート量TIが30体積%以下である浸透距離低減炭と、を含み、
前記石炭混合物中の前記浸透距離低減炭の割合が前記高浸透距離炭の割合の0.25〜3.0倍の範囲となるように混合された石炭混合物である、コークスの製造方法。
浸透距離=1.3×a×logMF ・・・式[I]
但し、式[I]において、MFは、石炭のギーセラー最高流動度(ddpm)であり、定数aは、ギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMF<2.50の範囲にある少なくとも1種以上の石炭について、測定された浸透距離(mm)及びlogMFの値を用いて、原点を通る回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数である。
[2]前記定数aは、1.75<logMF<2.50の範囲にある石炭の少なくとも1種以上の浸透距離及びギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMFを測定し、その測定値を用いて原点を通る回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数である、[1]に記載のコークスの製造方法。
[3]配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークスの製造方法であって、石炭混合物を製造する石炭混合ステップと、水分量を6質量%以上とした前記石炭混合物を粉砕して疑似粒子を形成させる疑似粒子形成ステップと、前記石炭混合物に他の石炭を配合して配合炭を調製する配合炭調製ステップと、前記配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークス製造ステップと、を含み、前記石炭混合物は、容器内に充填した石炭試料の上に、上下面に貫通孔を有する材料を配置して前記石炭試料を加熱することで前記貫通孔へ石炭が浸透する距離である浸透距離(mm)が下記式[II]で求まる浸透距離の値を超える高浸透距離炭と、ビトリニットの平均最大反射率Roが1.25%以上かつ全イナート量TIが30体積%以下である浸透距離低減炭と、を含み、
前記石炭混合物中の前記浸透距離低減炭の割合が前記高浸透距離炭の割合の0.25〜3.0倍の範囲となるように混合された石炭混合物である、コークスの製造方法。
浸透距離=a’×logMF+b ・・・式[II]
但し、式[II]において、但し、MFは、石炭のギーセラー最高流動度(ddpm)であり、定数a’は、ギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMF<2.50の範囲にある少なくとも1種以上の石炭について、測定された浸透距離(mm)及びlogMFの値を用いて、原点を通る回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数であり、定数bは、前記回帰直線の作成に用いた石炭から選ばれる1種類以上の石炭について、同一試料を複数回測定した際の浸透距離の標準偏差の平均値以上前記平均値の5倍以下の範囲となる定数である。
[4]前記定数a’が、1.75<logMF<2.50の範囲にある石炭の少なくとも1種以上の浸透距離及びギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMFを測定し、その測定値を用いて回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数である、[3]に記載のコークスの製造方法。
[5]配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークスの製造方法であって、
石炭混合物を製造する石炭混合ステップと、水分量を6質量%以上とした前記石炭混合物を粉砕して疑似粒子を形成させる疑似粒子形成ステップと、前記石炭混合物に他の石炭を配合して配合炭を調製する配合炭調製ステップと、前記配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークス製造ステップと、を含み、前記石炭混合物は、下記(1)〜(4)で測定される浸透距離が15mm以上である高浸透距離炭と、ビトリニットの平均最大反射率Roが1.25%以上かつ全イナート量TIが30体積%以下である浸透距離低減炭と、を含み、前記石炭混合物中の前記浸透距離低減炭の割合が、前記高浸透距離炭の割合の0.25〜3.0倍の範囲で混合された石炭混合物である、コークスの製造方法。
(1)石炭を粒径2mm以下が100質量%となるように粉砕し、前記粉砕された石炭を充填密度0.8g/cmで、層厚が10mmとなるように容器に充填した石炭試料を作成し、
(2)前記石炭試料の上に直径2mmのガラスビーズを浸透距離以上の層厚となるように配置し、
(3)前記ガラスビーズの層の上部から50kPaとなるように荷重を負荷しつつ、加熱速度3℃/分で室温から550℃まで不活性ガス雰囲気下で加熱し、前記石炭試料を溶融させて前記ガラスビーズの層へ浸透させ、
(4)前記ガラスビーズの層へ浸透した石炭試料の浸透距離を測定する。
本発明の実施により、コークス強度を低下させる高浸透距離炭の悪影響を緩和する浸透距離低減炭の効果を高めることができ、コークス強度の低下をより抑制でき、同じ配合炭を用いて製造される従来のコークスよりも強度の高いコークスの製造が実現できる。また、高浸透距離炭のコークス強度を低下させる悪影響を緩和する効果を高めることができるので、製造されるコークスの強度が同じであれば、浸透距離低減炭の使用量を削減できる。一般的に、浸透距離低減炭は他の石炭よりも高価なので、浸透距離低減炭の使用量を削減することでコークスの製造コストを削減できる。
石炭試料と上下面に貫通孔を有する材料に一定荷重を負荷して、試料の浸透距離を測定する装置の一例を示す説明図である。 石炭試料と上下面に貫通孔を有する材料を一定容積に保って、試料の浸透距離を測定する装置の一例を示す説明図である。 a炭、b炭それぞれの平均ラマンスペクトルを、最小値と最大値で正規化したグラフである。 石炭混合物の光学顕微鏡像である。 ラマン解析に基づくa炭とb炭との識別結果を示す画像である。 石炭混合物に混合された石炭のRoとコークス強度との関係を示すグラフである。 石炭混合物の配合割合とコークス強度差との関係を示すグラフである。
本発明者らは、高浸透距離炭と浸透距離低減炭とを含む石炭混合物が配合された配合炭を用いてコークスを製造する場合に、所定の水分量に調整された石炭混合物を粉砕することで、水分を介して石炭混合物を凝集させて疑似粒子とする。これにより、石炭混合物に含まれる高浸透距離炭と浸透距離低減炭とを近接配置させることができ、この結果、コークス強度を低下させる高浸透距離炭の悪影響を緩和する浸透距離低減炭の効果が高められる。しかしながら、公知の情報では、粉砕のみでどの程度の疑似粒子ができるか、できた疑似粒子がコークス炉までの搬送過程やコークス炉への装入過程で壊れてしまわないか、さらには、炭化室内での昇温中に疑似粒子が壊れてコークス強度向上効果が失われてしまわないかは明らかではなかった。発明者らは、粉砕のみで疑似粒子形成が可能なこと、実機のコークス製造プロセスに適用してもコークス強度向上効果が得られることを見出して本発明を完成させた。以下、本発明の実施形態を通じて、本発明を詳細に説明する。
本実施形態に係るコークスの製造方法では、高浸透距離炭および浸透距離低減炭を含む石炭混合物が配合された配合炭が用いられる。石炭混合物における高浸透距離炭は、特許文献1に記載されている石炭の浸透距離の測定方法を用いて測定される浸透距離の範囲が所定の基準を満たす石炭である。まず、特許文献1に記載されている石炭の浸透距離の測定方法を説明する。浸透距離の測定方法の詳細は、特許文献1を参照できる。図1は、石炭試料と上下面に貫通孔を有する材料に一定荷重を負荷して、試料の浸透距離を測定する装置の一例を示す説明図である。測定装置30は、配合炭を構成する石炭などを内部に収容する容器3と、容器3を収容するスリーブ5と、スリーブ5の外側に配置される加熱装置8と、荷重装置31と、を有している。
まず、容器3に、石炭などを装入して石炭試料1の層を形成する。その試料1の層の上に上下面に貫通孔を有する材料2を配置して材料2の層を形成する。次いで、加熱装置8で、試料1を軟化溶融温度域以上に加熱し、溶融した試料1を材料2に浸透させて浸透距離を測定する。なお、材料2の形態として、貫通孔を持つ一体型の材料または粒子充填層が挙げられる。貫通孔を持つ一体型の材料とは、例えば、円形の貫通孔を持つもの、矩形の貫通孔を持つもの、不定形の貫通孔を持つものなどがある。粒子充填層とは、球形粒子充填層または非球形粒子充填層に大きく分けられる。球形粒子充填層には、ビーズなどの球形粒子が充填される。
スリーブ5は、ガス導入口11とガス排出口12とを有している。このガス導入口11から不活性ガスがスリーブ5に導入されて、容器3が不活性ガス雰囲気となる。スリーブ5内の不活性ガスは、ガス排出口12から排出される。
荷重装置31は、錘32、膨張率検出棒33および変位計34を有する。図1に示す材料2の上面に膨張率検出棒33を配置し、膨張率検出棒33の上端に荷重付加用の錘32を乗せ、その上に変位計34を配置し、膨張率を測定する。変位計34は、試料の膨張率の膨張範囲(−100〜300%)が測定可能なものを用いればよい。加熱系内を不活性ガス雰囲気に保持する必要があるので、非接触式の変位計である光学式変位計を用いることが好ましい。不活性ガス雰囲気としては、窒素雰囲気とすることが好ましい。材料2が粒子充填層の場合は、膨張率検出棒33が粒子充填層に埋没する可能性があるので、材料2と膨張率検出棒33の間に板を挟むことが好ましい。
負荷させる荷重は、材料2の上面に対して均等にかかることが好ましく、材料2の上面に対して5〜80kPa、好ましくは15〜55kPa、さらに好ましくは25〜50kPaの圧力を負荷する。この圧力は、コークス炉内における軟化溶融層の膨張圧に基づいて設定することが好ましいが、測定結果の再現性、様々な石炭での銘柄差の検出力を検討した結果、炉内の膨張圧よりはやや高めの25〜50kPa程度が測定条件として最も好ましい。
加熱装置8には温度調節器10が接続されており、容器3には温度計7が取り付けられており、温度計7には温度検出器9が接続されている。温度検出器9は、温度計7の温度を検出し、検出した温度データを温度調節器10に出力する。温度調節器10は、取得した温度データに基づいて加熱装置8の加熱温度を調整する。加熱装置8は、所定の昇温速度で加熱できる方式のものを用いることが好ましい。具体的には、電気炉や、導電性の容器と高周波誘導を組み合わせた外熱式またはマイクロ波のような内部加熱式の装置である。内部加熱式の装置を採用する場合は、試料内温度を均一にする工夫を施す必要があり、例えば、容器3の断熱性を高めることが好ましい。
加熱速度は、コークス炉内での石炭の軟化溶融挙動を模擬するために、コークス炉内での石炭の加熱速度と一致させることが好ましい。コークス炉内での軟化溶融温度域における石炭の加熱速度は、概ね2〜10℃/分であることから平均的な加熱速度として2〜4℃/分とすることが好ましく、さらに好ましくは3℃/分程度である。しかし、非微粘結炭のように流動性の低い石炭の場合、3℃/分では浸透距離や膨張が小さく、検出が困難になる可能性がある。石炭は急速加熱することによりギーセラープラストメータによる流動性が向上することが一般的に知られており、例えば、浸透距離が1mm以下の流動性の低い石炭を測定する場合には、検出感度を向上させるために加熱速度を10〜1000℃/分に高めてもよい。
石炭の軟化溶融特性の評価が目的であるので、加熱を行なう温度範囲は、石炭の軟化溶融温度域の温度以上まで加熱できる温度範囲であればよい。コークス製造用の石炭の軟化溶融温度域を考慮すると、0〜550℃の範囲内では、石炭の軟化溶融温度である300〜550℃の範囲において上記の加熱速度で加熱すればよい。
石炭試料1とする石炭は、予め粉砕され、所定の密度で所定の層厚になるように装入される。石炭試料1の石炭の粉砕粒度は、粒径3mm以下の粒子の比率が全体の70〜80質量%程度にすることが好ましいが、小さい装置での測定であることを考慮して粒径2mm以下が全体の100質量%となるように粉砕した粉砕物を用いることがさらに好ましい。石炭の密度は、コークス炉内の充填密度に合わせて0.7〜0.9g/cmの範囲にすることが好ましく、再現性、検出力を検討した結果、0.8g/cm(いずれも乾燥基準の密度)にすることがさらに好ましい。また、石炭試料1の層厚は、コークス炉内における軟化溶融層の厚みに基づいて5〜20mmの範囲にしてよいが、再現性、検出力を検討した結果、10mmにすることが好ましい。
材料2として均一な粒径のガラスビーズを用いる場合、直径0.2mmから3.5mm程度のガラスビーズを選択することが好ましく、さらに好ましくは直径2mmである。
石炭の軟化溶融物の浸透距離は、加熱中に常時連続的に測定できることが好ましい。しかし、試料から発生するタールの影響などによって、常時測定は容易ではない。加熱による石炭の膨張、浸透現象は不可逆的であり、一旦膨張、浸透した後は冷却してもほぼその形状が保たれているので、石炭溶融物が浸透終了した後、容器3全体を冷却し、冷却後の浸透距離を測定することで、加熱中における試料が浸透した位置を測定してもよい。このように測定することで、冷却後の容器3から材料2を取り出し、ノギスや定規で直接測定することが可能になる。また、材料2として粒子を使用した場合には、粒子間の空隙に浸透した軟化溶融物は、浸透した部分までの粒子層全体を固着させている。したがって、予め粒子充填層の質量と高さとの関係を求めておけば、浸透終了後、固着していない粒子の質量を測定し、初期質量から差し引くことで固着している粒子の質量を算出でき、これから浸透距離を算出できる。
図2は、石炭試料と上下面に貫通孔を有する材料を一定容積に保って、試料の浸透距離を測定する装置の一例を示す説明図である。図2において、図1と共通する構成には同じ参照番号を付して重複する説明を省略する。測定装置40は、石炭試料1と材料2とを一定容積に保って、石炭試料1の浸透距離を測定する装置である。
荷重装置41は、圧力検出棒42及びロードセル43を有している。図2は、石炭試料1と材料2とを一定容積に保ちつつ石炭試料1を加熱する装置であり、材料2を介して石炭試料1の浸透時の圧力を測定できる。図2に示すように、材料2の上面に圧力検出棒42を配置し、圧力検出棒42の上端にロードセル43を接触させて圧力を測定できる。一定容積を保つために、圧力検出棒42及びロードセル43が上下方向に動かないよう固定されている。なお、加熱前に、容器3に収容された石炭試料1に対し、材料2、圧力検出棒42、ロードセル43間に隙間ができないように、それぞれを密着させることが好ましい。また、材料2が粒子充填層の場合は、圧力検出棒42が粒子充填層に埋没する可能性があるので、材料2と圧力検出棒42の間に板を挟むことが好ましい。測定装置40の他の構成は測定装置30と同じである。このような構成の測定装置40を用いても、石炭試料1の浸透距離を測定できる。
本実施形態に係るコークスの製造方法に用いられる高浸透距離炭は、測定装置30または測定装置40を用いて測定される浸透距離の範囲が、特許文献2に記載されている以下の基準[A]、[B]および[C]の何れかを満たす石炭である。
[A]下記式[I]で求まる浸透距離の値を超える範囲
浸透距離=1.3×a×logMF ・・・式[I]
但し、式[I]において、MFは、石炭のギーセラー最高流動度(ddpm)であり、定数aは、ギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMF<2.50の範囲にある少なくとも1種以上の石炭について、測定された浸透距離及びlogMFの値を用いて、原点を通る回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数である。
[B]下記式[II]で求まる浸透距離の値を超える範囲
浸透距離=a’×logMF+b ・・・式[II]
但し、式[II]において、MFは、石炭のギーセラー最高流動度(ddpm)であり、定数a’は、ギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMF<2.50の範囲にある少なくとも1種以上の石炭について、測定された浸透距離及びlogMFの値を用いて、原点を通る回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数である。定数bは、前記回帰直線の作成に用いた銘柄から選ばれる1種類以上の同一試料を複数回測定した際の浸透距離の標準偏差の平均値以上前記平均値の5倍以下の範囲となる定数である。
[C]下記(1)〜(4)で測定される浸透距離が15mm以上の範囲
(1)測定装置30のような石炭試料に一定荷重を加える装置を用いて、石炭を粒径2mm以下が100質量%となるように粉砕し、粉砕された石炭を充填密度0.8g/cmで層厚が10mmとなるように容器3に充填した石炭試料1を作成する。
(2)石炭試料1の上に、直径2mmのガラスビーズからなるカラスビーズの層を浸透距離以上の層厚となるように配置する。
(3)ガラスビーズの層の上部から50kPaとなるように荷重を負荷しつつ、加熱速度3℃/分で室温から550℃まで不活性ガス雰囲気下で加熱し、石炭試料を溶融させてガラスビーズの層へ浸透させる。
(4)ガラスビーズの層へ浸透した石炭試料の浸透距離を測定する。
なお、基準[A]、[B]における定数a及び定数a’を求める際の浸透距離及びギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMFの測定対象の石炭は、1.75<logMF<2.50の範囲となる石炭であることが好ましく、定数a及び定数a’は、その測定値を用いて原点を通る回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数であることが好ましい。MFが小さい石炭では浸透距離が小さく誤差が大きくなりやすいので、logMFの下限を1.75を超える値とすることで、誤差が大きくなることを抑制できる。
ここで、定数aおよびa’、bともに範囲を規定しているのは、これらの値を減少させることで、強度低下を招く石炭がより確実に検出できるようになるからであり、その値は操業上の要求によって調整できる。ただし、この値を小さくしすぎると、コークス強度に悪影響を及ぼすと推定される石炭が多くなりすぎるという問題および実際は強度低下を招かない石炭であっても強度低下を起こすと誤認してしまうという問題が生じてしまう。このため、aおよびa’については回帰直線の傾きの0.7〜1.0倍とすることが好ましく、また、bについては同一試料を複数回測定した際の標準偏差の1〜5倍とすることが好ましい。
浸透距離の範囲が基準[A]、[B]および[C]の何れかを満たす高浸透距離炭は、コークスの原料石炭(原料炭)として用いられると、コークス化の際に粗大な欠陥を残し、かつ薄い気孔壁の組織構造が形成されるので、製造されるコークス強度が低下する。このコークス強度低下を抑制させるために本実施形態に係るコークスの製造方法では、高浸透距離炭に浸透距離低減炭を混合した石炭混合物を用いている。特に、MFの高い石炭は浸透距離が大きく、コークス強度の低下を招きやすい傾向があるので、logMFが2.50以上であり、かつ浸透距離が大きい石炭を本実施形態における高浸透距離炭として用いると、コークス強度低下の抑制効果が大きくなる。
本実施形態に係るコークスの製造方法に用いられる浸透距離低減炭は、高浸透距離炭に混合されることでコークス強度を低下させる高浸透距離炭の悪影響を緩和する石炭である。浸透距離低減炭は、特許文献3に記載されているように、ビトリニットの平均最大反射率Roが1.25%以上かつ全イナート量TIが30体積%以下の石炭である。ここで、ビトリニットの平均最大反射率Roは、JIS M 8816の石炭のビトリニットの平均最大反射率であり、全イナート量TIは、JIS M 8816の石炭の微細組織成分の測定方法およびその解説に記載のParrの式に基づいた式(X)で算出した石炭組織分析における全イナート量(体積%)である。
全イナート量(体積%)=フジニット(体積%)+ミクリニット(体積%)+(2/3)×セミフジニット(体積%)+鉱物質(体積%)・・・式(X)
浸透距離低減炭は、石炭混合物中の浸透距離低減炭の質量割合が高浸透距離炭の質量割合の0.25〜3.0倍の範囲になるように石炭混合物に混合される。浸透距離低減炭の質量割合が高浸透距離炭の質量割合の0.25〜3.0倍の範囲となるように、浸透距離低減炭と高浸透距離炭とを混合することで、石炭混合物の浸透距離を加成値に対して大きく低下させることができる。
高浸透距離炭と浸透距離低減炭とを含む石炭混合物は、水分量が6質量%以上となるように調整された後に粉砕機で粉砕される。後述する実施例に示す通り、水分量を6質量%以上とした石炭混合物を粉砕することで、粉砕された石炭混合物は、水分を介して凝集して疑似粒子となる。このように、石炭混合物を疑似粒子とすることで、疑似粒子内で高浸透距離炭および浸透距離低減炭は、互いに近接した状態となる。このように、石炭混合物を疑似粒子とし、高浸透距離炭と浸透距離低減炭とを近接配置させることで、コークス強度を低下させる高浸透距離炭の悪影響を緩和する浸透距離低減炭の効果を高めることができる。なお、石炭混合物の水分量の調整に代えて、混合前の浸透距離低減炭および高浸透距離炭の水分量を調整してもよく、混合後の石炭混合物の水分量が6質量%以上になっていればよい。
非特許文献1には、水分量が6質量%以上になると粒径1mm以上の疑似粒子が増加することが開示されている。したがって、疑似粒子を形成させるための石炭混合物の水分量としては、6質量%以上であればよい。しかしながら、石炭混合物の水分量が多すぎると、コークス製造時に水分を蒸発させるために必要となるエネルギーが多くなる。このため、石炭混合物の水分量の上限を12質量%とし、水分量を12質量%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係るコークスの製造方法に用いられる石炭混合物は、高浸透距離炭または浸透距離低減炭ではない他の石炭を含んでもよい。他の石炭は、高浸透距離炭および浸透距離低減炭とともに事前混合され、水分量が調整されて粉砕されることで、高浸透距離炭、浸透距離低減炭および他の石炭が近接配置された疑似粒子が形成される。ただし、他の石炭の含有量が多くなりすぎると近接配置の効果が小さくなるので、他の石炭の含有量の上限は70%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係るコークスの製造方法に用いられる配合炭全体に対する石炭混合物の割合は、0を超えて100質量%未満までの範囲の何れでもよい。すなわち、石炭混合物を少しでも含有する配合炭を用いて製造されるコークス強度は、当該石炭混合物に含まれる高浸透距離炭のみを含む配合炭を用いて製造されるコークス強度よりも高くなる。ただし、配合炭全体に対する高浸透距離炭の割合が増えすぎると、それに応じて浸透距離低減炭の割合も増える。このため、配合炭中の高浸透距離炭および浸透距離低減炭以外の石炭の含有率が低下し、石炭選択の自由度が低下する。この点を考慮すると、配合炭全体に対する高浸透距離炭の配合割合を40質量%以下にすることが好ましく、30質量%以下にすることがより好ましい。一方、コークス強度の低下を抑制するという観点では、配合炭全体に対する高浸透距離炭の配合割合が大きいほどコークス強度の低下を抑制する効果は大きくなるので、配合炭全体に対する高浸透距離炭の配合割合を10質量%以上にすることが好ましい。石炭混合物中の高浸透距離炭の割合および配合炭全体に対する石炭混合物以外の部分の高浸透距離炭の割合を鑑みて、上記範囲内で、配合炭全体に対する石炭混合物の割合を調整することが好ましい。
また、本実施形態に係るコークスの製造方法に用いられる配合炭は、石炭混合物以外の他の石炭を含んでもよい。他の石炭としては、従来からコークスの製造に用いられている石炭を用いてよい。また、プラスチック類、油類、コークス粉、粘結材、有機物を含有する廃棄物などを含んでいてもよい。
高浸透距離炭と浸透距離低減炭とを含む石炭混合物の疑似粒子では、高浸透距離炭および浸透距離低減炭が近接配置されており、これにより、コークス強度を低下させる高浸透距離炭の悪影響を緩和する浸透距離低減炭の効果が高められる。このため、他の石炭を含むか否かに関わらず、本実施形態に係るコークスの製造方法の実施により、同じ配合炭を用いて製造される従来のコークスよりも強度の高いコークスを製造できる。
次に、本実施形態に係るコークスの製造方法について説明する。本実施形態に係るコークスの製造方法は、石炭混合ステップと、疑似粒子形成ステップと、配合炭調整ステップと、コークス製造ステップとを含んで構成される。
本実施形態に係るコークスの製造は、コークスの製造に用いられる配合炭に高浸透距離炭が含まれる場合に適用できる。このため、石炭混合ステップでは、まず、コークスの製造に用いられる配合炭から浸透距離の範囲が上記基準[A]、[B]および[C]の何れかを満足する高浸透距離炭を特定する。
配合炭に含まれる石炭から高浸透距離炭が特定された場合に、ビトリニットの平均最大反射率Roが1.25%以上であって、全イナート量TIが30体積%以下である浸透距離低減炭を選定する。選定された浸透距離低減炭の質量割合が特定された高浸透距離炭の質量割合の0.25〜3.0の範囲となるように、浸透距離低減炭を高浸透距離炭に事前混合して石炭混合物を製造する。
石炭混合ステップの後に、疑似粒子形成ステップが実施される。疑似粒子形成ステップでは、まず、石炭混合物の水分含有量を6質量%以上に調整する。次に、水分量が調整された石炭混合物を、粉砕機で、例えば、粒径3mm以下が70質量%以上になるように粉砕する。これにより、石炭混合物中の高浸透距離炭および浸透距離低減炭は水分を介して凝集して疑似粒子となる。なお、本実施形態において、粒径とは、乾燥した石炭をJIS Z 8801−1に準拠した公称目開きの篩を用いて篩分けして求められた粒径であり、粒径3mm以下とは、JIS Z 8801−1に準拠した公称目開き3mmの篩を用いて篩下に篩分けされる粒径を意味する。
疑似粒子形成ステップの後に、配合炭調製ステップが実施される。配合炭調製ステップでは、疑似粒子となった石炭混合物に、石炭混合物と同様の粒度に粒度調整した他の石炭を配合して配合炭を調製する。但し、石炭混合物に他の石炭を配合することは必須ではなく、他の石炭を配合しなくてもよい。他の石炭を配合したい場合には、疑似粒子となった石炭混合物が配合炭になる。
配合炭の調製は、例えば、山元、貨車からの荷卸し、積出・揚地港、貯炭ヤードで行ってもよく、配合槽やミキサーを用いて行ってもよい。特許文献7に開示されているように、水分を介して疑似粒子化した石炭は、せん断混合を伴う混合性能の高いミキサーを使用して混合しない限りは疑似粒子の状態が維持される。配合炭の調製でミキサーを用いる場合には、非特許文献2に開示されている対流混合が主体のミキサーを用いることが望ましい。
配合炭調製ステップの後にコークス製造ステップが実施される。コークス製造ステップでは、配合炭調製ステップで調製された配合炭がコークス炉に装炭され、コークス炉内で乾留されてコークスが製造される。
このように、本実施形態に係るコークスの製造方法では、高浸透距離炭と浸透距離低減炭と事前混合して石炭混合物を製造し、その後、水分量を調整した石炭混合物を粉砕する。これにより、高浸透距離炭と浸透距離低減炭とが近接配置された疑似粒子を形成でき、当該疑似粒子とされた石炭混合物が配合された配合炭を用いることで、コークス強度を低下させる高浸透距離炭の悪影響を緩和する浸透距離低減炭の効果を高めることができ、同じ配合炭を用いて製造される従来のコークスよりも強度の高いコークスの製造が実現できる。
また、本実施形態に係るコークスの製造方法の実施により、高浸透距離炭のコークス強度を低下させる悪影響を緩和する浸透距離低減炭の効果を高めることができるので、製造されるコークスの強度が同じであれば、浸透距離低減炭の使用量を削減できる。一般的に、浸透距離低減炭は他の石炭よりも高価なので、浸透距離低減炭の使用量を削減することでコークスの製造コストを低減できる。
一方、事前混合せずに高浸透距離炭と浸透距離低減炭とを別々に粉砕した後にこれら石炭を配合して配合炭とした場合には、粉砕後にそれぞれの石炭の疑似粒子が形成されてしまい、その後にこれらを混合しても高浸透距離炭と浸透距離低減とが近接配置された疑似粒子を形成させることができない。このため、水分量を6質量%以上に調整された高浸透距離炭と浸透距離低減炭とを別々に粉砕した後に、これら石炭を配合して配合炭とした場合には、高浸透距離炭の悪影響を緩和する浸透距離低減炭の効果を高めることができない。
まず、疑似粒子となった石炭混合物における各石炭の近接状態を確認した結果について説明する。高浸透距離炭であるa炭(Ro=0.70(%)、logMF=3.90(log ddpm)、浸透距離=21.2mm)と、浸透距離低減炭であるb炭(Ro=1.57(%)、logMF=1.28(log ddpm)、TI=24.8vol%、浸透距離=4.2mm)とを各々の石炭の水分が5.5または10質量%となるように調整した。水分調整後のa炭とb炭を質量比が1:3になるように混合し、その石炭混合物を粉砕機で粒径3mm以下が100質量%になるように粉砕した。
水分量を5.5質量%に調整した石炭混合物では部分的に疑似粒子とならない石炭混合物が確認されたのに対し、水分量を10質量%に調整した石炭混合物では、ほぼすべてが1mm以上の疑似粒子になった。この水分量を10質量%以上に調整し、疑似粒子化した石炭混合物を用いて、各石炭の近接状態を確認した。
光学顕微鏡を用いた石炭混合物の観察では、石炭種類の識別は困難である。一方、ラマン顕微鏡を用いることで、石炭種の差違に応じた分子構造の違いを反映した特徴の異なるスペクトル、すなわち多次元の情報が得られる。さらに、ラマンスペクトルの2次元マッピングも得られる。
ラマン分光分析を石炭に適用する場合、波長1600cm−1付近に位置するGバンドピークと1350cm−1付近に位置するDバンドピークを有するラマンスペクトルが得られる。Gバンドピークは、炭素二重結合であるSP2結合のラマンスペクトルであり、グラファイト構造に由来する石炭分子中の芳香族縮合環の骨格構造に起因する。また、Dバンドピークは、無秩序な構造に起因することが知られている。このように、炭素構造の異なる炭種に応じて種々のスペクトルが得られるので、ラマン分光分析を石炭に適用することで石炭種類の識別が可能となる。
多くの研究によって、石炭のラマンスペクトル情報と従来指標との関係性が整理されている。例えば、炭素構造の骨格の完全性(結晶性)の指標として一般的に用いられるR値(GバンドピークとDバンドピークのラマン強度の比)は、石炭化度の指標であるビトリニットの平均最大反射率Ro(JIS M 8816)と相関関係が得られることが知られている(例えば、非特許文献3)。
疑似粒子化した石炭混合物のラマンスペクトルの測定は、ラマン顕微鏡(ナノフォトン株式会社製 Raman Force)を用いて行った。疑似粒子状態が変化しないように石炭混合物を樹脂埋めし、研磨した試料を作製した。作製した試料のラマン測定を実施してラマンマッピングを取得し、その後、R値マッピングに変換して石炭の識別を行った。分析条件を下記表1に示す。
図3は、a炭、b炭それぞれの平均ラマンスペクトルを、最小値が0.0、最大値が1.0となるように正規化したグラフである。図3において、横軸は波数(cm−1)であり、縦軸は正規化散乱強度(−)である。図3に示すように、a炭、b炭で、それぞれ大きく波形の異なるスペクトルが得られた。
それぞれのラマンスペクトルに対して、1000から2000cm−1で1次直線によるベースライン補正し、1350cm−1のピーク値/1600cm−1のピーク値の比、すなわちR値を求めた。その結果、a炭のR値は0.86となり、b炭のR値は0.65となった。a炭とb炭とのR値の大小関係は、過去の知見と整合した。
その後、石炭混合物のラマンマッピングデータに対して、まず、樹脂部分のスペクトルをソフト上で除去した。その後、石炭粒子部分における各測定点のラマンスペクトルの全てに対して、上記と同様の方法でR値を算出した。算出したR値に対して、R値=0.75を閾値として、それぞれの測定点をR値が0.75未満の領域と、R値が0.75以上の領域とに区分した。
図4は、石炭混合物の光学顕微鏡像である。また、図5は、ラマン解析に基づくa炭とb炭との識別結果を示す画像である。図4から、石炭混合物が擬似粒子化していることがわかる。図5において、R値が0.75以上となる領域がa炭であり、R値が0.75未満となる領域がb炭であると推定される所、この推定に基づけば、疑似粒子では、a炭とb炭が混合状態となっていることがわかる。これらの結果から、高浸透距離炭および浸透距離低減炭を混合した石炭混合物を水分調整して粉砕処理することで、これら石炭が含まれる単一の疑似粒子が形成され、高浸透距離炭および浸透距離低減炭を近接配置できることが確認された。
本実施形態に係るコークスの製造方法の効果を検証するため、コークスの製造試験を実施した。コークスの製造試験に使用した各銘柄の石炭の性状(Ro、LogMF、TI、浸透距離)、配合率、実施例と比較例における石炭混合物の組み合わせおよび製造されたコークスのコークス強度を表2に示す。ここで、浸透距離は、石炭を粒径2mm以下が100質量%となるように粉砕し、粉砕された石炭を充填密度0.8g/cmで、層厚が10mmとなるように容器に充填した石炭試料を作成し、当該石炭試料の上に直径2mmのガラスビーズを浸透距離以上の層厚となるように配置し、ガラスビーズの層の上部から50kPaとなるように荷重を負荷しつつ、加熱速度3℃/分で室温から550℃まで不活性ガス雰囲気下で加熱する方法によって測定した。また、コークスの製造試験に用いた配合炭の品位(Ro、LogMF、TI、浸透距離)を表3に示す。なお、配合炭の配合構成は、本コークスの製造試験では、実施例1、2および比較例1〜3で全て同一である。表2に示した石炭において、ギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMF<2.5の範囲にある石炭について、浸透距離/logMFの値(原点を通る回帰直線のlogMFの係数)を求めると、2.50〜3.67となり、また、測定された浸透距離の標準偏差の平均値は0.6であったことから、A炭が高浸透距離炭であり、RoとTIの値よりD炭およびE炭が浸透距離低減炭であると判定できる。
コークスの製造試験の手順を説明する。各銘柄の石炭の水分量を10質量%に調整し、A炭とB〜E炭とを表2の○印に示した組み合わせと配合率で事前混合して実施例1、実施例2、比較例2、3のコークス製造方法に用いる石炭混合物を作製した。
石炭混合物を、粉砕機を用いて粒径3mm以下が100質量%になるように粉砕した。粉砕後の石炭混合物は、水分によって凝集して疑似粒子になっていた。石炭混合物に事前混合しなかった他の銘柄の石炭も、石炭混合物と同じく粉砕機を用いて粒径3mm以下が100質量%になるように粉砕した。
粉砕後、石炭混合物と他の銘柄の石炭とを表2に示した配合率で配合し、ドラムミキサーを用いて30秒間混合して配合炭を調製した。なお、比較例1は、石炭を事前混合せずに、表2に示した配合率で各銘柄の石炭を配合して配合炭を調整した。この配合炭16.5kgを乾燥炭基準の嵩密度が750kg/mになるように乾留缶に充填し、錘を乗せた状態で炉壁温度1050℃の電気炉内で6時間乾留した。乾留後、電気炉から取り出し、窒素冷却したコークスのコークス強度を測定した。コークス強度として、JIS K 2151の回転強度試験法に基づいてコークスのドラム強度DI(150/15)を測定した。
図6は、石炭混合物に混合された石炭のRoとコークス強度との関係を示すグラフである。図6において、横軸は高浸透距離炭に混合されたB炭〜E炭のRo(%)であり、縦軸はコークスのドラム強度DI(150/15)である。図6から、実施例1および実施例2のコークス強度は、比較例1〜3のいずれのコークス強度よりも高くなることが確認された。この結果から、高浸透距離炭であるA炭と浸透距離低減炭であるD炭およびE炭とを事前混合し、粉砕して疑似粒子とした石炭混合物を含む配合炭を用いることで、同じ配合炭を用いて製造される従来のコークスよりも高い強度のコークスが製造できることが確認された。
次に、石炭混合物の疑似粒子がコークス強度に与える影響を確認するため、水分量を調整した配合炭を用いて同様のコークスの製造試験を実施した。このコークスの製造試験に使用した各銘柄の石炭の性状(Ro、LogMF、TI、浸透距離)および配合率を表4に示す。浸透距離の測定方法は表2の例と同じであり、表4に示した石炭において、G炭が高浸透距離炭であり、J炭が浸透距離低減炭である。
コークスの製造試験の手順を説明する。各銘柄の石炭の水分量を8〜10質量%に調整し、これら石炭を表4に示す配合率で事前混合して石炭混合物を作製した。粉砕機を用いて、この石炭混合物を粒径3mm以下の割合が約73質量%となるように粉砕した。
この石炭混合物の配合割合を0〜60質量%の範囲内で変更しつつ、配合炭の平均品位がRo:0.96〜1.01%、logMF:2.38〜2.48lоgddpm、TI:31.5〜33.0体積%の範囲内になるように別途粒径3mm以下の割合が約73質量%となるように粉砕した石炭を添加して配合炭を調製した。実施例3のコークス製造方法では、この配合炭の水分量を8〜10質量%に維持したままコークス炉に装炭し、乾留した後、CDQで冷却してコークスを製造し、当該コークスのコークス強度を測定した。実施例4のコークス製造方法では、この配合炭の水分量を6質量%にし、その後、配合炭をコークス炉に装炭し、乾留した後、CDQで冷却してコークスを製造し、当該コークスのコークス強度を測定した。
図7は、石炭混合物の配合割合とコークス強度差との関係を示すグラフである。図4において、横軸は石炭混合物の配合割合(質量%)であり、縦軸はコークスのドラム強度差ΔDI(150/15)である。ドラム強度差とは、各条件で製造されたコークスのドラム強度から石炭混合物の配合割合を0質量%として実施例3または4の条件で製造されたコークスのドラム強度の平均値を減じた値である。図7に示すように、水分量を8〜10質量%とした実施例3では、石炭混合物の配合割合を増加させるに従いコークス強度が大きく向上した。一方、水分量を6質量%とした実施例4も石炭混合物の配合割合を増加させるに従いコークス強度が向上したが、そのコークス強度向上効果は、水分量を8〜10質量%とした実施例3よりも小さかった。
疑似粒子は、水分を介して凝集しているので、水分量が少なくなった実施例4の疑似粒子は、凝集力が低下し解砕されやすくなる。このため、実施例4の疑似粒子は、配合炭の装炭工程における衝撃で解砕され、高浸透距離炭と浸透距離低減炭との近接配置状態が維持できず、このような石炭混合物の配合割合を増加させても実施例3ほどコークス強度が向上しなかったと考えられる。
この結果から、高浸透距離炭と浸透距離低減炭とを事前混合し、粉砕して疑似粒子とした石炭混合物が配合された配合炭を用いることで強度の高いコークスが製造できること、および、疑似粒子とした石炭混合物の配合割合を増加させることで、より強度の高いコークスが製造できることが確認された。また、水分量が6質量%未満になると、疑似粒子は解砕されやすくなるので、コークス炉に装炭されるまで配合炭の水分量を6質量%以上に維持することが好ましいことがわかる。
1 石炭試料
2 材料
3 容器
5 スリーブ
7 温度計
8 加熱装置
9 温度検出器
10 温度調節器
11 ガス導入口
12 ガス排出口
30 浸透距離の測定装置(一定荷重)
31 荷重装置(一定荷重)
32 錘
33 膨張率検出棒
34 変位計
40 浸透距離の測定装置(一定容積)
41 荷重装置(一定容積とするように荷重を加える)
42 圧力検出棒
43 ロードセル

Claims (5)

  1. 配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークスの製造方法であって、
    石炭混合物を製造する石炭混合ステップと、
    水分量を6質量%以上とした前記石炭混合物を粉砕して疑似粒子を形成させる疑似粒子形成ステップと、
    前記石炭混合物に他の石炭を配合して配合炭を調製する配合炭調製ステップと、
    前記配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークス製造ステップと、
    を含み、
    前記石炭混合物は、容器内に充填した石炭試料の上に、上下面に貫通孔を有する材料を配置して前記石炭試料を加熱することで前記貫通孔へ石炭が浸透する距離である浸透距離(mm)が下記式[I]で求まる浸透距離の値を超える高浸透距離炭と、ビトリニットの平均最大反射率Roが1.25%以上かつ全イナート量TIが30体積%以下である浸透距離低減炭と、を含み、
    前記石炭混合物中の前記浸透距離低減炭の割合が前記高浸透距離炭の割合の0.25〜3.0倍の範囲となるように混合された石炭混合物である、コークスの製造方法。
    浸透距離=1.3×a×logMF ・・・式[I]
    但し、式[I]において、MFは、石炭のギーセラー最高流動度(ddpm)であり、定数aは、ギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMF<2.50の範囲にある少なくとも1種以上の石炭について、測定された浸透距離(mm)及びlogMFの値を用いて、原点を通る回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数である。
  2. 前記定数aは、1.75<logMF<2.50の範囲にある石炭の少なくとも1種以上の浸透距離及びギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMFを測定し、その測定値を用いて原点を通る回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数である、請求項1に記載のコークスの製造方法。
  3. 配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークスの製造方法であって、
    石炭混合物を製造する石炭混合ステップと、
    水分量を6質量%以上とした前記石炭混合物を粉砕して疑似粒子を形成させる疑似粒子形成ステップと、
    前記石炭混合物に他の石炭を配合して配合炭を調製する配合炭調製ステップと、
    前記配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークス製造ステップと、
    を含み、
    前記石炭混合物は、容器内に充填した石炭試料の上に、上下面に貫通孔を有する材料を配置して前記石炭試料を加熱することで前記貫通孔へ石炭が浸透する距離である浸透距離(mm)が下記式[II]で求まる浸透距離の値を超える高浸透距離炭と、ビトリニットの平均最大反射率Roが1.25%以上かつ全イナート量TIが30体積%以下である浸透距離低減炭と、を含み、
    前記石炭混合物中の前記浸透距離低減炭の割合が前記高浸透距離炭の割合の0.25〜3.0倍の範囲となるように混合された石炭混合物である、コークスの製造方法。
    浸透距離=a’×logMF+b ・・・式[II]
    但し、式[II]において、但し、MFは、石炭のギーセラー最高流動度(ddpm)であり、定数a’は、ギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMF<2.50の範囲にある少なくとも1種以上の石炭について、測定された浸透距離(mm)及びlogMFの値を用いて、原点を通る回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数であり、定数bは、前記回帰直線の作成に用いた石炭から選ばれる1種類以上の石炭について、同一試料を複数回測定した際の浸透距離の標準偏差の平均値以上前記平均値の5倍以下の範囲となる定数である。
  4. 前記定数a’が、1.75<logMF<2.50の範囲にある石炭の少なくとも1種以上の浸透距離及びギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMFを測定し、その測定値を用いて回帰直線を作成した際のlogMFの係数の0.7から1.0倍の範囲の定数である、請求項3に記載のコークスの製造方法。
  5. 配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークスの製造方法であって、
    石炭混合物を製造する石炭混合ステップと、
    水分量を6質量%以上とした前記石炭混合物を粉砕して疑似粒子を形成させる疑似粒子形成ステップと、
    前記石炭混合物に他の石炭を配合して配合炭を調製する配合炭調製ステップと、
    前記配合炭をコークス炉に装炭して乾留するコークス製造ステップと、
    を含み、
    前記石炭混合物は、下記(1)〜(4)で測定される浸透距離が15mm以上である高浸透距離炭と、ビトリニットの平均最大反射率Roが1.25%以上かつ全イナート量TIが30体積%以下である浸透距離低減炭と、を含み、
    前記石炭混合物中の前記浸透距離低減炭の割合が、前記高浸透距離炭の割合の0.25〜3.0倍の範囲で混合された石炭混合物である、コークスの製造方法。
    (1)石炭を粒径2mm以下が100質量%となるように粉砕し、前記粉砕された石炭を充填密度0.8g/cmで、層厚が10mmとなるように容器に充填した石炭試料を作成し、
    (2)前記石炭試料の上に直径2mmのガラスビーズを浸透距離以上の層厚となるように配置し、
    (3)前記ガラスビーズの層の上部から50kPaとなるように荷重を負荷しつつ、加熱速度3℃/分で室温から550℃まで不活性ガス雰囲気下で加熱し、前記石炭試料を溶融させて前記ガラスビーズの層へ浸透させ、
    (4)前記ガラスビーズの層へ浸透した石炭試料の浸透距離を測定する。
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