JP5910659B2 - 配合炭の製造方法及びそれを用いたコークスの製造方法 - Google Patents

配合炭の製造方法及びそれを用いたコークスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数銘柄の石炭から構成される配合炭の製造方法、及び、この配合炭を用いて強度の高い高炉用コークスを製造する方法に関する。
高炉用コークスは、高炉内において、還元材、熱源、そして通気性を保つための支持材として用いられており、近年では低還元材比の操業下で安定操業を実現させるために、強度の高いコークスの製造が指向されている。高炉用コークスを製造する際には、通常、複数銘柄(10品種以上)の石炭を配合した配合炭が用いられており、このため、従来から、配合炭を原料として製造したコークスの強度推定法が検討されてきた。例えば、下記の(イ)〜(ハ)の方法が知られている。
(イ):基質強度と流動性とを指標としたコークス強度推定法
石炭の性状としてビトリニット平均最大反射率(Roの平均値、以下、適宜、単に「Ro」とも記す)とギーセラープラストメーターの最高流動度(MF)の2つの指標をパラメータとしてコークスの強度を推定する配合理論であり、現在一般的に使用されている。
(ロ):NMR(Nuclear Magnetic Resonance)を用いたコークス強度推定法
NMRにより測定した石炭の粘結成分量を示す指標と石炭の粘結成分の粘度を示す指標とを用いたコークス強度推定法である(例えば、特許文献1を参照)。
(ハ):配合効果係数を指標としたコークス強度推定法
石炭は産出国、炭鉱、炭層においてその性質が異なるが、異種銘柄の石炭を配合してコークスを製造した際、石炭粒子間には相互作用が存在することが指摘されている。上記の(イ)、(ロ)等で用いている通常のコークス強度推定式では、2銘柄配合の強度は各物性値を、各銘柄の石炭の配合割合を重みとして加重平均して算出される加重平均値で推定されるため、相互作用による強度向上効果、つまり配合効果は含まれない場合が多い。これに対して、配合効果を推定する方法として、複数種の石炭からなる配合炭のコークス特性を各石炭の2種類の組み合わせの集合として、そのコークス特性と各単味炭コークス特性の加重平均からのずれを配合効果係数としてコークス強度推定式を作成する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。配合効果係数は実測または推測して求めることができる。
特開2002−294250号公報 特開平9−255966号公報
高強度コークスを製造するためのコークス強度推定法として上記のような方法が提案されているが、(イ)の方法を用いて高強度コークスを製造するためには、ビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)及びギーセラープラストメーターの最高流動度(MF)の高い石炭が必要である。このような石炭は値段が高く、コストが上昇する点が問題となる。加えて、流動性の乏しい非微粘結炭を使用する際には、流動性を示す指標の検出感度が低下することから測定そのものが困難になり、また測定値が意味を持たなくなるという問題もある。
また、(ロ)の方法は、石炭の流動性や粘度に着目するものであり、結局は最高流動度(MF)の検出感度を向上させた指標であるので、(イ)と同様にコストが上昇するという問題が生じる。
(ハ)の方法は、配合効果係数を用いることで、より正確にコークス強度を推定することが可能であるが、従来のコークス強度式のパラメータを用いているので、やはり従来法の域を脱する方法ではなく、コストの問題を解決することができない。また、石炭粒子の相互作用を評価するとはいっても、石炭の接着性に関わる物性に基づいた評価ではないので、強度の推定精度は十分ではない上に、配合効果係数を実測して求める場合には簡便性に欠けるという問題がある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、従来とは異なる指標を用いて、配合炭を原料として製造されるコークスの強度を推定し、これにより、配合炭の原料コストの増加を抑えると同時にコークス強度を高めることが可能である、配合炭の製造方法、並びに、この技術を利用したコークスの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]2種以上の石炭を配合して配合炭を製造するに際し、石炭をラマン分光測定することによって得られるピークの特性値に基づいて求められる石炭間の界面張力を、石炭配合の際の各石炭の配合割合を決定する管理指標の一つとして用いることを特徴とする、配合炭の製造方法。
[2]前記石炭間の界面張力を、前記ピークの特性値に基づいて求められる各石炭の表面張力から導出することを特徴とする、上記[1]に記載の配合炭の製造方法。
[3]前記ピークの特性値は、ラマン分光測定によって得られるスペクトルのGバンドピークの強度に対する前記スペクトルのDバンドピークの強度の比であるR値であることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の配合炭の製造方法。
[4]前記ピークの特性値は、石炭の軟化溶融開始温度以上コークス化温度以下に加熱後に冷却した石炭をラマン分光測定して得られる特性値であることを特徴とする、上記[1]ないし上記[3]のいずれか1項に記載の配合炭の製造方法。
[5]前記石炭の軟化溶融開始温度以上コークス化温度以下の加熱温度が、350℃〜800℃であることを特徴とする、上記[4]に記載の配合炭の製造方法。
[6]前記石炭間の界面張力として、下記の(1)式によって求められる界面張力γinterを用いることを特徴とする、上記[2]ないし上記[5]のいずれか1項に記載の配合炭の製造方法。
[7]前記石炭間の界面張力として、下記の(22)式及び(23)式によって求められる界面張力γinterを用いることを特徴とする、上記[2]ないし上記[5]のいずれか1項に記載の配合炭の製造方法。
但し、σγ 2:配合炭を構成する各石炭の表面張力の分散、
i:石炭1、2、・・・、i、・・・nを配合したときの石炭iの配合割合であり、1〜nまでのwiの合計値が1、
γi:石炭iの表面張力、
γinter:石炭1、2、・・・、i、・・・nを配合したときの界面張力。
[8]配合炭における石炭間の界面張力が最小となるように各石炭の配合割合を決定することを特徴とする、上記[1]ないし上記[7]のいずれか1項に記載の配合炭の製造方法。
[9]前記石炭間の界面張力γinterが0.03mN/m以下となるように各石炭の配合割合を決定することを特徴とする、上記[6]または上記[7]に記載の配合炭の製造方法。
[10]ギーセラー最高流動度(MF)のlogMF値が1.4以下である石炭の配合割合が30質量%以上の場合には、配合炭における石炭間の界面張力γinterが0.01mN/m以下となるように各石炭の配合割合を決定することを特徴とする、上記[6]または上記[7]に記載の配合炭の製造方法。
[11]2種以上の石炭を配合して配合炭を製造するに際し、石炭をラマン分光測定することによって得られるピークの特性値を、石炭配合の際の各石炭の配合割合を決定する管理指標の一つとして用いることを特徴とする、配合炭の製造方法。
[12]前記ピークの特性値は、ラマン分光測定によって得られるスペクトルのGバンドピークの強度に対する前記スペクトルのDバンドピークの強度の比であるR値であることを特徴とする、上記[11]に記載の配合炭の製造方法。
[13]前記ピークの特性値は、石炭の軟化溶融開始温度以上コークス化温度以下に加熱後に冷却した石炭をラマン分光測定して得られる特性値であることを特徴とする、上記[11]または上記[12]に記載の配合炭の製造方法。
[14]前記石炭の軟化溶融開始温度以上コークス化温度以下の加熱温度が、350℃〜800℃であることを特徴とする、上記[13]に記載の配合炭の製造方法。
[15]上記[1]ないし上記[14]の何れか1項に記載の配合炭の製造方法を用いて配合炭を製造し、製造された配合炭を乾留してコークスを製造することを特徴とする、コークスの製造方法。
なお、本発明において管理指標とは、石炭の配合割合を決定するのに使用される指標を指す。一般的に使用される管理指標としては、例えば、ビトリニット平均反射率Ro、ギーセラー最高流動度MF、揮発分VM、膨張率TD、全イナート量TI、水分TM、粒度等があげられる。
本発明によれば、ラマン分光測定から求められる石炭間の界面張力、或いは、ラマン分光測定よって得られるピークの特性値を、石炭配合の際の各石炭の配合割合を決定する指標の一つとして用いるので、つまり、従来とは異なる指標を用いてコークス製造のため配合炭を構成するので、コークス強度推定式の推定精度が高まり、従来の石炭性状パラメータでは想起できない配合条件で配合炭並びにコークスを製造することができる。また、石炭性状パラメータが増えることにより原料購買の自由度が高まり、原料コストを増加させることなくコークス強度を高めることが可能となる。またさらに、本発明はギーセラープラストメーターを用いた評価が困難である流動性の低い非微粘結炭にも適用できるので、原料炭配合の自由度をより一層高めることができる。
フィルム・フローテーション法による表面張力測定の原理を示す図である。 表面張力の分布を頻度分布曲線で示した図である。 石炭のラマンスペクトル及びピーク分離結果の一例を示す図である。 石炭試料のラマン分光測定から得られるR値と表面張力との相関を示した図である。 2種類の石炭を1:1で配合した際の、コークス内部のある平面の模式図である。 配合炭を構成する各銘柄の表面張力の分散と界面張力の関係を示す図である。 ドラム強度に及ぼす界面張力の影響を示す図である。 低MF炭多配合時のドラム強度に及ぼす界面張力の影響を示す図である。
石炭は乾留されることにより軟化溶融して互いに融着し、コークスが製造される。そのため、石炭粒子間の接着強度がコークス強度に影響を与えていると考えられる。
石炭粒子間の接着強度は、一般的に、接着界面の界面張力が小さくなるほど向上する。その理由は、界面張力とは、その単位がmN/mであることからもわかるように界面に存在する自由エネルギーと考えることができ、従って、界面張力が存在するということは界面に力として働きうる自由エネルギーが存在するということであり、界面張力が大きいことは接着界面での破壊のし易さにつながるためである。
本発明は、石炭粒子間の接着強度に界面張力が影響を及ぼしていると考え、界面張力を指標として石炭粒子間の接着強度を評価するものであり、2種以上の石炭を配合して乾留し、コークスを製造する際に、石炭の軟化溶融時の石炭間の接着強度に影響を及ぼす石炭間の界面張力を、前記配合の際の石炭の配合割合を決定する管理指標の一つとして用いることを特徴としている。この場合、界面張力は、少なくとも管理指標の一つとして用いればよく、他の指標と組み合わせて用いることも可能である。そして、本発明は、界面張力とコークス強度との関係をあらかじめ求めておき、配合炭の界面張力(2種以上の石炭間の界面張力)が、所望のコークス強度を示す界面張力の範囲内となるように石炭を配合することによって、石炭間の接着強度を高め、コークス強度を向上させることを意図している。本発明では、コークス強度を向上させるべく、界面張力を用いて石炭の配合割合を決定するが、従来、界面張力を求めるための好適な表面張力の測定条件や、表面張力から界面張力を推定する方法、さらには、それらのコークス強度への影響度などが未解明であった。本発明者らはこれらの事項について鋭意検討を行ない、コークス強度の推定に効果的な方法を見出し、本発明を完成させた。
界面張力は異なる銘柄の石炭粒子間の界面において直接測定することが望ましいが、その測定は容易ではない。直接測定する以外には、個々の物質の表面張力の値から界面張力の値を求めることが可能である。界面張力は接着する物質の表面張力によって表され、接着する物質の表面張力から導出することができる。異なる物質A、物質Bについて、界面張力は物質A、物質Bの表面張力から求めることができ、例えば、グリファルコ−グッド(Girifalco-Good)の式を用いて下記(2)式で表される。
但し、γA:物質Aの表面張力、γB:物質Bの表面張力、γAB:物質Aと物質Bとの界面張力、φ:相互作用係数である。φは実験によって求めることができ、物質A、物質Bによって異なることが知られている。また、リーとニューマン(D.Li、A.W.Neumann)らは、φの値がγA、γBの値が離れるほど大きくなると仮定し、(2)式を拡張した下記(3)式を提案している。
但し、βは定数である。βは実験によって導出される値であり、リーとニューマンらは0.0001247(m2/mJ)2と計算している(参考文献:J.K.Spelt and D.Li,The equation of state approach to interfacial tentions,in Applied Surface Thermodynamics,A.W.Neumann and J.K.Spelt(Eds),Advances in Chemistry Series,vol.63,Marcel Dekker,New York,1996,pp.239-292.)。よって、石炭A、B間の界面張力は、石炭A、石炭Bの表面張力を測定し、(2)式または(3)式に測定した表面張力を代入することによって導出することができるといえる。但し、(2)式を用いる場合はφの値を実験から求めなければならないので、界面張力の導出を簡便にするという意味で、φの値を推定している(3)式を用いることが望ましい。
以上のように、本発明では2種以上の石炭を配合して配合炭を製造する際に、または当該配合炭を乾留してコークスを製造する際に、石炭間の界面張力または該界面張力に対応するパラメータを各石炭の表面張力から導出し、導出したパラメータを使用して配合炭を製造する。
石炭粒子間の接着強度は、軟化溶融を開始してコークス化するまでの石炭の表面張力の影響を受けていると考えられるので、軟化溶融を開始してコークス化するまでの温度範囲内で石炭の表面張力を測定することが望ましい。しかし、石炭が実際に軟化溶融して融着しているときの表面張力を測定することは困難である。本発明者らは検討の結果、石炭が軟化溶融する温度まで空気を遮断して、つまり不活性雰囲気中で石炭を加熱した後、10℃/sec以上の冷却速度で急冷した石炭試料の表面張力を測定することで、軟化溶融状態の石炭の表面張力を推定可能であることを見出した。
この石炭の加熱温度は、石炭粒子間の接着に表面張力が影響を及ぼしているという考えから、石炭が軟化溶融を開始し、接着、固化し、コークス化が完了するコークス化温度までの温度域、つまり軟化溶融を開始する350℃以上で、かつ、コークス化が完了する800℃までの温度域とすることが適当である。加熱温度である350〜800℃において、特に接着に寄与している温度は軟化溶融時の温度であるが、コークス製造に用いられる石炭の軟化溶融温度域は350〜500℃であり、全ての種類の石炭が軟化溶融しているといえる温度は500℃となるので、加熱温度としては特に500℃近傍として450〜520℃が好ましい。
冷却して室温にする理由は、軟化溶融状態での分子構造を保つためである。従って、冷却速度は10℃/sec以上とすることが好ましい。冷却の方法としては、液体窒素、氷水、水、窒素ガスやアルゴンガスやヘリウムガスのような不活性ガス、または空気を用いる方法などがあるが、氷水、水による冷却では水分の付着により表面張力の測定に影響を与えてしまうこと、また、空気は酸素による試料の酸化により表面張力の測定に影響を与えてしまうことから、液体窒素や不活性ガスを用いて冷却することが望ましい。
表面張力の測定方法として、静滴法、毛管上昇法、最大泡圧法、液重法、懸滴法、輪環法、プレート法(Wilhelmy法)、拡張/収縮法、滑落法、フィルム・フローテーション(Film Flotation)法などが知られている。石炭は様々な分子構造で構成されており、その表面張力も一様ではないことが予想されるため、前述の方法の中では、表面張力分布の評価が期待できるフィルム・フローテーション法(D.W.Fuerstenau:Internatinal Journal of Mineral Processing,20(1987),153.)を用いることが特に好ましい。フィルム・フローテーション法は固体の表面張力を測定できる手法である。
フィルム・フローテーション法の基本原理を、図1を用いて説明する。フィルム・フローテーション法は、粉砕した試料粒子3を気相1中から液体2の表面上に落下させて、試料粒子3が液体2にまさに浸漬するとき(図1の中央の試料粒子の場合であり、接触角がほぼ0°に等しいとき)、試料粒子の表面張力と液体の表面張力とが等しいとする考え方を応用した手法である。図1の矢印4は試料粒子3の表面張力を示している。図1中央の白矢印は浸漬の向きを、水平方向の矢印は、左側(H側)が液体の表面張力が高く、右側(L側)が液体の表面張力が低い場合であることを示している。表面張力が異なる種々の液体に試料粒子を落下させ、それぞれの液体に対して浮遊した試料粒子の質量割合を求め、その結果を頻度分布曲線に表すことで、図2に示すような表面張力分布を得ることができる。また、フィルム・フローテーション法は固体の表面張力を測定できるので、強粘結炭、非微粘結炭、無煙炭など、炭種を問わず、あらゆる石炭の表面張力を測定できる。なお、フィルム・フローテーション法で直接求められる表面張力は、臨界表面張力(接触角が0°のときの液体表面張力)であり、以下のように、この臨界表面張力から石炭の表面張力を求めることができる。
つまり、γS:固体(石炭)の表面張力、γL:液体の表面張力、γSL:界面張力、γC:臨界表面張力、φ:固体と液体との相互作用係数とした場合、上記(2)式より、
γSL=γS+γL−2φ(γSγL0.5 …(4)
であり、ヤング(Young)の式より、
γS=γLcosθ+γSL …(5)
であり、(4)式、(5)式から
1+cosθ=2φ(γS/γL0.5 …(6)
が導かれ、この(6)式にθ=0°、γL=γCを代入すると、
1+1=2φ(γS/γC0.5 …(7)
であり、(7)式の両辺を2乗すると、
φ2γS=γC …(8)
が得られ、この(8)式から、臨界表面張力γCと相互作用係数φとから石炭の表面張力γSを求めることができる。フィルム・フローテーション法で用いる液体の構造と石炭の構造とは大きく異なるが、その違いに比べると石炭の種類(例えば銘柄)による違いは小さいものと考えられる。相互作用係数φは互いの分子構造に影響を受けるパラメータであるため、相互作用係数φは石炭銘柄によらず一定と仮定すると、表面張力γSは臨界表面張力γCのみで表される。よって、石炭の表面張力は臨界表面張力のみでも評価できるといえる。本発明においては、相互作用係数φを1と考え、石炭の表面張力γSの値は臨界表面張力γCと等しいと考える。
以下、フィルム・フローテーション法による表面張力測定についての諸条件を述べる。フィルム・フローテーション法で用いる液体は、常温時の石炭及び軟化溶融時の石炭の表面張力値が20〜73mN/mの範囲に分布していることから、この範囲内の表面張力を有する液体を用いればよい。例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、tert−ブタノール、アセトンなどの有機溶媒を用いて、これらの有機溶媒の水溶液から20〜73mN/mの表面張力を持つ液体を作製することが可能である。表面張力を測定するサンプルの粒度については、前述の測定原理から接触角がほぼ0°に等しいときの表面張力を測定することが望ましく、粉砕した試料粒子の粒径が大きくなるにつれて接触角が増加することから粒径は小さいほど望ましいが、試料粒子の粒径が53μm未満の場合は凝集しやすいので、この凝集を防止するために試料粒子は粒径53〜150μmに粉砕することが好ましい。
また、フィルム・フローテーション法は表面張力による物質の浮遊を利用していることから、物質の重力が無視できる条件下で測定を行う必要がある。物質の密度が高いと重力の影響を受け、接触角が大きくなってしまうからである。よって、重力が接触角に影響を及ぼさないと考えられる、密度が2000kg/m3以下の物質を測定することが望ましい。様々な種類の石炭はこの条件を満たすことから、強粘結炭、非微粘結炭、無煙炭など、炭種を問わず、あらゆる石炭の表面張力を測定できる。さらには、ピッチ、オイルコークス、粉コークス、ダスト、廃プラスチック、その他バイオマスなどの添加物も同様に測定可能である。
フィルム・フローテーション法に用いる試料作製方法の一例として、石炭を粒径200μm以下に粉砕し、不活性ガス雰囲気中で3℃/minで500℃まで加熱し、液体窒素で急冷後、粒径150μm以下に粉砕し、乾燥された不活性ガス気流中120℃で2時間乾燥する方法があり、この方法を用いることができる。石炭や不活性ガス雰囲気中での加熱後の試料の粉砕粒度は、組織や性状などが不均一である石炭から均質な試料を作製するという観点から、JIS M8812に記載されている石炭の工業分析における粉砕粒度である250μm以下が望ましい。加熱速度は、コークス炉においてコークスが製造されるときの加熱速度が約3℃/minであるので3℃/minとしたが、界面張力による評価の対象となるコークスが製造されるときの加熱速度に応じて変えることが望ましい。乾燥方法については表面に付着した水分を除去できる方法ならばどのような方法でも構わず、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中で100〜200℃に加熱する方法の他にも、減圧下で乾燥する方法なども採用できる。
試料を500℃程度まで加熱後、不活性雰囲気下で冷却する理由は、表面張力測定誤差を減少させるためである。加熱直後の石炭は高温であり、含酸素雰囲気で冷却した場合、表面が部分的に酸化して構造変化を起こし、表面張力測定値に誤差が生じてしまう。本測定方法で、冷却雰囲気を変えて表面張力を測定した結果を表1に示す。表1は、ある石炭を加熱し、冷却雰囲気のみを変えて、各方法で2回ずつ(n=1、2)表面張力平均値を求めた結果である。冷却雰囲気は、大気雰囲気(20℃)での冷却、不活性(窒素ガス)雰囲気(20℃)での冷却の2通りで行った。
表1によれば、不活性雰囲気(20℃)での冷却の2回の測定結果の差は0.3と小さいが、大気雰囲気(20℃)での冷却の2回の測定結果の差は1.2と大きいことがわかる。本発明者らの検討によると、本発明方法で用いる表面張力測定方法における測定誤差が0.4であることを考慮すると、バラツキを小さくするという点でも、窒素ガスを用いるような不活性雰囲気下での冷却が望ましい。不活性雰囲気としては、アルゴンガス等の希ガスまたは窒素ガスを用いた雰囲気が使用可能であるが、通常は窒素ガスを用いる。
上記のフィルム・フローテーション法の説明から理解できるとおり、フィルム・フローテーション法による表面張力測定では、非常に多くの工程を経るので、測定に長時間(通常約1日)を要し、かつ測定者の熟練度により測定値に差を生じる可能性も高い。本来は、測定時間が短く、かつ測定者の熟練度に拘わらず安定して、表面張力値が得られる測定方法であることが望ましい。高炉用コークスの製造には、非常に多くの種類(特に、銘柄)の石炭を取り扱うことが一般的である。さらに、同一銘柄でも採掘時期や場所によって、表面張力値を含む石炭の物性値は変化することが予想される。つまり、配合を決定するために、石炭の銘柄毎、採掘時期毎、または採掘場所毎といった、非常に多量の表面張力値を測定する場合もある。このような場合には、測定時間が短く、かつ測定者の熟練度に拘わらず安定した測定値が得られる方がよい。
そこで、本発明者らは、石炭の物性測定に実績があり、測定時間が短く、かつ測定者の熟練度に拘わらず安定した測定値が出る測定方法として、ラマン分光測定方法を選択し、適否を検討した。具体的には、様々な石炭銘柄について、フィルム・フローテーション法による表面張力測定並びにラマン分光測定を行い、石炭の表面張力値の調査及び検討を行った。その結果、本発明者らは、ラマンスペクトルから得られる特性値、すなわち波数1600cm-1付近に位置するGバンドピークの強度に対する、波数1400cm-1付近に位置するDバンドピークの強度の比(Dバンドピーク強度/Gバンドピーク強度、以下、この値を適宜「ピークの強度比R」または「R値」と記す)が石炭の銘柄によらず、表面張力測定値と強い相関関係を示すことを初めて見出し、特に、350℃〜800℃で加熱処理した石炭試料のラマン分光測定によるR値と表面張力の測定値との間に、非常に強い相関が認められることを見出した。
図3に、レーザーラマン分光測定法で得られた、石炭のラマンスペクトルの一例を示す。図3の横軸はレーザーの波数(cm-1)であり、縦軸はラマン強度(a.u.)である。石炭の場合、図3に示すように、波数1600cm-1付近に位置するGバンドピークと1400cm-1付近に位置するDバンドピークが得られる。ここで、Gバンドピークは、炭素の二重結合であるsp2結合に起因し、石炭のグラファイト構造に由来する石炭分子中の芳香族縮合環の骨格構造の性質を表している。また、Dバンドピークは、本来、石炭の無秩序な構造に由来するが、やはり石炭分子の構造についての情報を示すことが知られている。
つまり、このDバンドピークとGバンドピークとの比であるR値(Dバンドピーク強度/Gバンドピーク強度)が大きい石炭ほど芳香族縮合環の拡がりが少なく、芳香環のエッジ部が多くなることが期待できる。この芳香環のエッジ部炭素は内部炭素と比較して極性を有し、一般的に、この極性が大きいものほど表面張力は大きくなる。したがって、芳香環エッジ部が多いもの、すなわち芳香族縮合環の極性が大きいものほど、表面張力が大きくなることが期待できる。そのため、芳香環エッジ部の大小を示すR値と表面張力γとには強い相関関係が得られることが予想される。
そこで、本発明者らは、いくつかの石炭について上記ラマンスペクトルのピークに関わる特性値であるR値と、その表面張力値との関係を調べた。R値とフィルム・フローテーション法による石炭の表面張力値との関係を調査すると、石炭銘柄に関係なくそのR値が大きい石炭ほど、表面張力値が大きくなることが、初めて確認できた。従って、この相関関係を用いれば、石炭の表面張力値を正確に推定することができ、簡易かつ高精度に表面張力を測定することが可能となる。以下、ラマン分光測定の手順について具体的に説明する。
先ず、いくつかの種類(それは銘柄毎であることが多い)の石炭についてその石炭毎にそれぞれ、ラマン分光測定法によるスペクトル測定を行う。測定に用いる石炭試料は、フィルム・フローテーション法と同様に加熱後の石炭を用いることが好ましい。
石炭の加熱温度としては、不活性ガス雰囲気下の350℃〜800℃とすることが好ましい。ここで、加熱温度が350℃未満の場合は、測定対象の石炭に水分や低分子量成分が多く残存する場合があるために、スペクトル測定の結果から算出する表面張力の値が正確に測れない場合がある。また、加熱温度が800℃を超えると、ラマン分光測定において、ノイズの発生が大きくなり、S/N比が悪くなり、算出した表面張力の値の信頼性が低下する場合がある。
また、スペクトル測定に供する石炭の粒径は、上述のフィルム・フローテーション法による表面張力測定に供した石炭と同様の粒径のものを用いることが望ましい。
ラマンスペクトルは、一般に市販されている分光器を用いて測定することができる。光源は特に指定するものではなく、一般に使用されているものであればよい。光源にレーザーを使用する場合のレーザーの種類は特に限定されるものではなく、Arレーザー、He−Neレーザーなどを用いることができる。
個々の石炭銘柄について、測定したラマンスペクトルから、Gバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度の比(R値)を求める。R値は、例えば、次のようにして求めることができる。
図3に示すようなラマンスペクトルに対し、ピークの底線を定めるベースラインによって、バンドピークの形状を規定した後、このピークをスペクトルから抽出し、そのバンドピーク強度を求める。図3において、ピークが1600cm-1付近に位置する滑らかな曲線がGバンドピーク分離スペクトル、ピークが1400cm-1付近に位置する滑らかな曲線がDバンドピーク分離スペクトルである。なお、バンドピーク強度の求め方は、例えば、コンピュータなどを用いて、バンドピークの形状を決定した後に、カーブフィッティングなど最小自乗法によるピーク分割によりバンドピークを求める方法であってもよい。ラマン分光測定は1点あたり1分程度の時間で測定が終了することから、10点測定してその平均値を用いることとしてもその測定時間は10分ほどで完了する。そのため、ラマン分光測定は非常に迅速な測定方法であるといえる。
複数種類(望ましくは複数銘柄)の石炭についてフィルム・フローテーション法による表面張力値とレーザーラマン測定によるR値との相関関係に基づく検量線(その一例が、後述する図4である)をあらかじめ作成しておけば、ラマン分光を用いることで、未知石炭における表面張力値を、フィルム・フローテーション法に比較してより簡易かつ短時間で求めることが可能となる。また、表面張力値から界面張力が求まるので、あらかじめ、石炭の表面張力とR値との相関関係に基づく検量線を作成しておけば、ラマン分光を用いることで、配合炭を構成する全ての石炭の石炭間の界面張力に対応するR値を求めることができる。
なお、検量線は、図4のように複数銘柄をまとめて1つの検量線を作成しても良いし、石炭銘柄毎に独立した検量線を作成しても良い。正確さを求めるならば後者の方が望ましく、より正確さを求めて、産地毎や産出時期毎などより細かい条件毎に検量線を作成することもできる。前述したフィルム・フローテーション法により導出された表面張力値と併用することもできる。
石炭の表面張力を示す指標としては、表面張力分布の平均値、表面張力分布の標準偏差、表面張力分布のピーク値の表面張力、表面張力分布の最大表面張力と最小表面張力との2つの値、表面張力分布の分布関数などが挙げられる。表面張力分布の平均値(γの平均値)は、例えば下記(9)式のように表される。
但し、上線付きγ:表面張力分布の平均値、γ:表面張力、f(γ):表面張力分布の頻度である。表面張力分布の標準偏差(σγ)についても、例えば下記(10)式のように表される。
表面張力分布のピーク値の表面張力、表面張力分布の最小表面張力及び最大表面張力については、図2の5、6及び7に示す点のとおりである。表面張力の分布関数については、表面張力分布と形状の似ている分布、例えば、正規分布、対数正規分布、F分布、χ2乗分布、指数分布、ガンマ分布、ベータ分布などが挙げられる。
石炭の表面張力の測定時期は、石炭を配合、乾留してコークスを製造する直前(乾留時期から7日以内)に測定することが望ましい。表面張力は石炭の分子構造に影響を受けるので、石炭の保存状態や風化により表面張力測定値が変化する可能性があり、測定から乾留までの時間は短いことが好ましい。また、同一銘柄であっても、山元での性状調整や石炭のブレンドの程度により表面張力が変化する可能性があるので、入荷毎に表面張力を測定することが望ましい。
表面張力を示す指標として(9)式により導出される表面張力分布の平均値を用い、界面張力を(3)式により導出する場合の一例を以下に示す。
ここにA炭、B炭という表面張力の異なる2種類の石炭があるとする。図5に示すように、A炭8、B炭9を1:1で均一に配合してコークスを作成した場合、コークス内部の或る平面11では、A炭8とA炭8との由来の界面10a、B炭9とB炭9との由来の界面10d、A炭8とB炭9との由来の界面10b、10cが存在することが考えられる。これらの界面をそれぞれa−a界面、b−b界面、a−b界面とそれぞれ異なる界面とすると、A炭、B炭の界面張力は、a−a界面、b−b界面、a−b界面の界面張力の影響を集約した値である必要がある。
そこでA炭、B炭の界面張力を、各界面の界面張力と各界面の存在確率とを乗じたものの総和と定義する。具体的な導出式を下記(11)式に示す。
γAB=paaγaa+pabγab+pbbγbb …(11)
但し、γAB:A炭、B炭の界面張力、paa:a−a界面の存在確率、pab:a−b界面の存在確率、pbb:b−b界面の存在確率、γaa:a−a界面の界面張力、γab:a−b界面の界面張力、γbb:b−b界面の界面張力である。各界面の界面張力はA炭、B炭の表面張力分布の平均値を(3)式に代入して導出できるものとする。各界面の存在確率はA炭、B炭の配合割合により変化するものと考えられる。そこで各界面の存在確率をA炭、B炭の配合割合の積より導出されるものとした。以下に詳細を示す。
a−a界面:A炭配合割合とA炭配合割合とを乗じて導出する。A炭とB炭とは1:1で配合されているので、配合割合は両者とも50%である。よって界面の存在確率は以下の(12)式から25%となる。
0.5×0.5=0.25 …(12)
a−b界面:A炭配合割合とB炭配合割合とを乗じて導出する。a−b界面及びb−a界面は同じ界面とみなす。界面の存在確率は以下の(13)式から50%となる。
0.5×0.5+0.5×0.5=0.5 …(13)
b−b界面:B炭配合割合とB炭配合割合とを乗じて導出する。界面の存在確率は以下の(14)式から25%となる。
0.5×0.5=0.25 …(14)
以上をまとめ、(11)式中の界面の存在確率を配合割合に書き改めた、界面張力の導出式を下記(15)式に示す。
γAB=waaγaa+wbbγbb+2wabγab …(15)
但し、wa:A炭の配合割合、wb:b炭の配合割合である。
この考え方を2種以上の石炭からなる配合炭に拡張する。n種類の石炭を配合する場合、各石炭の配合割合の関係は下記(16)式で表される。
但し、wi:1、2、…、i、…、n炭の配合割合である。i炭とj炭とによって形成されるi−j界面の存在確率は、wiとwjとの積で表される。界面の存在確率とその界面の界面張力との積の総和を配合炭の界面張力と定義しているので、配合炭の界面張力は(17)式のように表される。
但し、γinter:配合炭の界面張力である。また、i−j界面の界面張力とj−i界面の界面張力とは、下記(18)式に示すように同一である。
γij=γji …(18)
(17)式を行列で書き表すと、下記(1)式が得られる。
但し、(1)式におけるtは、転置行列を表す記号であり、また(1)式におけるΓ及びWは、それぞれ下記(19)式及び(20)式で表される。
(3)式において、γABを最小にするときの条件は、下記(21)式の条件のときである。
γA=γB …(21)
つまり表面張力が等しい石炭を配合した場合に、界面張力が最小となる。このことから、(1)式を用いて界面張力の小さい配合を決定することは、石炭表面張力値の石炭毎の差が小さくなるように配合を決定することと同じことであるといえる。
さらに、本発明者らは(1)式を用いる代わりに、配合炭を構成する各石炭の表面張力の分散から界面張力を推定する方法を見出した。これは過去2年間に実操業で採用された配合に対し、(1)式より導出した界面張力と、配合炭を構成する各石炭の表面張力の分散との相関が非常に高いことを応用したものである。相関図を図6に示す。また、配合炭を構成する各石炭の表面張力の分散を導出する式を下記(22)式に、分散と界面張力の相関式を下記(23)式に示す。
但し、σγ 2:配合炭を構成する各石炭の表面張力の分散であり、
i:1、2、…、i、…、n炭(石炭1、2、・・・、i、・・・n)の配合割合で(16)式を満たすものであり、
γi:石炭iの表面張力であり、
γinter:石炭1,2、・・・、i、・・・、nを配合したときの界面張力である。
実操業において配合計算をする場合にはしばしば表計算ソフトが用いられるが、(1)式を用いて界面張力を計算する方法は、行列計算を含むことから同一シート上での計算が難しく、計算が煩雑になる。しかし、(22)式及び(23)式を用いる方法ならば表計算ソフト上での計算式が簡略化されるので、界面張力の管理をより一層容易に行うことができる。
界面張力を制御して高強度コークスを製造するためには、使用する石炭の配合構成によって決定される、配合炭の界面張力の値をどのような値に制御すべきかが問題となる。理論的には、界面張力を最小値とすることが、石炭間の接着強度を高め、コークス強度を向上させる上で好ましい。つまり、あらかじめ、配合炭を構成する石炭の候補を定め、その配合割合を仮決めし、それら候補の石炭の表面張力を求め、それから、(2)式、(3)式などに基づいて各界面の界面張力を算出し、各界面の界面張力と配合に用いる石炭の配合割合とを、必要であれば、(1)式あるいは(22)及び(23)式に代入して配合炭の界面張力を導出し、仮決めしておいた配合割合を変化させて、配合炭の界面張力が、より小さくなるような配合を採用する方法である。しかしながら、実操業上は必ずしも界面張力が最小値でなくても所望のコークス強度が得られる場合も考えられる。よって、界面張力を変化させた配合を複数作成してコークス強度試験を行い、界面張力とコークス強度との関係をあらかじめ求めておき、所望のコークス強度が得られる界面張力の範囲内に配合炭の界面張力値が収まるように配合を構成する方法が、界面張力を制御して高強度コークスを製造する方法として、配合構成の自由度が高く、好適である。
石炭の界面張力を制御して配合炭やコークスを製造する際には、従来の石炭性状パラメータであるビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)、ギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)の制御と併用することが望ましい。なぜならば、これら従来の石炭性状パラメータによるコークス強度推定が一定の効果を発現するからであり、さらに、本発明によるコークス強度向上法がこれら従来の石炭性状パラメータとは異なる原理に基づくものだからである。実操業では配合に用いる各石炭のビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)を、配合割合を重みとして加重平均した値を0.90%から1.30%の範囲に、また、各石炭のギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF:単位=log(MF/ddpm))を配合割合で加重平均した値を、2.3log(MF/ddpm)から2.8log(MF/ddpm)の範囲に制御して配合を決定している。この制御範囲内において、さらに界面張力の制御を加えることにより、コークス強度推定精度をより高めることが可能となる。
本発明者らは、ビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)の配合炭での加重平均値とギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)の配合炭での加重平均値とを一定に保ちつつ、(1)式を用いて導出した界面張力γinterを増加させた場合、γinterが0.03mN/mを超えると、γinterの増加に伴いコークス強度が低下することを見出した。このことから、ビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)の配合炭加重平均値とギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)の配合炭加重平均値とを配合の指標とする場合には、従来よりもコークス強度を向上させるためには、γinterを0.03mN/m以下に保つことが好ましいといえる。
また、本発明者らは上記の操業範囲内において、配合に用いる石炭のうち、ギーセラープラストメーターの最高流動度の低い石炭(「低MF炭」と記す)の配合割合が高い場合、具体的にはlogMF値が1.4以下の石炭の配合割合が30質量%以上の場合には、界面張力のコークス強度に及ぼす影響が大きくなることを見出した。この原因について以下に述べる。
石炭間の接着には界面張力だけでなく、流動性も影響を及ぼすことが知られている。低MF炭の配合割合が低い場合には、各石炭が流動して互いに溶融し合うため、接着には界面張力だけでなくこの溶融性も大きく影響を及ぼすが、低MF炭の配合割合が高い場合には、一方の石炭が溶融しても、もう一方の石炭が低MF炭であると溶融しないため、流動性による接着効果が小さくなり、結果として界面張力が接着に寄与する割合が大きくなると考えられる。これが原因となり、低MF炭の配合割合が高い場合においては、界面張力のコークス強度に及ぼす影響が大きくなると考えられる。近年、強粘結炭価格の高騰を受けギーセラープラストメーターの最高流動度の低い非微粘結炭の使用量が増加しており、logMF値が1.4以下の石炭の割合が30質量%以上の配合になることが従来以上に多くなっている。従って、近年の石炭需給状況を鑑みると、本技術は非微粘結炭多量配合下でのコークス強度向上技術として非常に効果的であるといえる。
「石炭の種類」という場合、山元が販売している銘柄名での分類を用いることができる。但し、山元によっては、異なる産出場所や炭層から採掘した石炭を配合したものを、同一銘柄として販売することがあり、産出場所や炭層が異なる場合には、一般に石炭性状も異なるので、本発明においては産出場所や炭層毎に石炭の種類が異なるものとして扱うことが好ましい。このような場合には、本発明でいう「石炭の種類(炭種)」とは、銘柄名にとらわれないものとし、山元が販売している1つの銘柄の石炭であっても、様々な種類の石炭を配合した配合炭とみなして、2種以上の石炭として扱い、本発明を適用することができる。なお、炭層とは、或る地点において地層中に一般に複数の層に分かれて層状に存在する石炭のそれぞれの層のことを指す。近接した地点の近接した炭層から産出された石炭であって、その性状に実質的な差がないと判断される場合には、同じ種類の石炭として評価してもよい。
本発明方法は、通常の石炭の配合だけでなく成型炭配合にも適用することができる。また、2種以上の石炭の他に、ピッチ、オイルコークス、粉コークス、ダスト、廃プラスチック、その他バイオマスなどを添加材として少量添加するときにも同様に本発明方法を適用することができる。ここで少量添加とは、添加材を総石炭量に対して最大10質量%程度、通常は5質量%以下を添加することである。少量の添加であるので、本発明方法の実施にあたっては、添加剤の存否に拘わらず、石炭間の界面張力のみから石炭の配合割合を決定する監理指標を得ることができる。
以上説明したように、石炭の界面張力は石炭間の接着強度、さらにはコークス強度を評価できる指標として好適に利用できる。この界面張力を新しいパラメータとしてコークス強度推定式に導入することにより、従来の指標とは異なる観点からのコークス強度の推定が可能である。従って、界面張力を考慮することにより、コストを大幅に増加させることなく、配合炭およびコークスの製造が可能となる。
なお、上記の説明は、ラマン分光測定で求めたR値を表面張力値に変換し、表面張力値から導出される界面張力を石炭配合の際の各石炭の配合割合を決定する管理指標として使用する方法を説明したが、ラマン分光測定で求めたR値を表面張力値に変換せず、ラマン分光測定で求めたR値から界面張力を直接導出し、この界面張力を石炭配合の際の各石炭の配合割合を決定する管理指標として使用することもできる。
またさらに、ラマン分光測定で求めたR値を表面張力値に変換せず、かつ、ラマン分光測定で求めたR値から界面張力を導出することなく、ラマン分光測定で求めたR値そのものを石炭配合の際の各石炭の配合割合を決定する管理指標として使用することも可能である。
レーザーラマン分光測定結果に基づき算出したR値と、石炭の表面張力との相関関係を調査した。その一例を示す。
銘柄毎に石炭を粒径200μm以下に粉砕し、3℃/minで300℃〜800℃における任意温度に加熱し、液体窒素で冷却後、150μm以下に粉砕し、30℃で8時間真空乾燥させたものを試料とした。この試料を22種類作成した。
これらの試料に対して、フィルム・フローテーション法で表面張力γを測定した。フィルム・フローテーション法での表面張力測定に利用する液体としては安価かつ取り扱いが簡便なエタノールを用いた。また、レーザーラマン分光測定には、Thermo Electron社製のNICOLET ALMEGA XR(レーザー波長532nm、レーザー出力:1%、露光時間:20秒、露光回数:2回、レーザー径:10μm程度)を使用した。
ラマン分光測定は、データの代表性及び正確さを得るために同一試料内でランダムに36点測定し、異常スペクトルを除いた残りを算出対象スペクトルとした。このとき、石炭1試料あたりの測定時間は約26分であった。得られたラマンスペクトルからピーク分離した後、Gバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度の比であるR値を求めた。さらに、算出対象スペクトルから算出したR値を平均した値を、最終的に1試料のR値とした。
図4に、22試料のラマン分光測定から得られたR値とその表面張力γとの相関を表す。この結果から、ラマン測定から得られるR値と石炭の表面張力値γは非常に強い相関関係にあることがわかる。従って、この相関関係から求められる一次の直線式(検量線)より未知の石炭試料において、ラマン分光測定から得られるR値から、その表面張力値γを簡易にかつ短時間で求め得ることが示された。
実施例1に記載した方法により加熱処理した5種類の石炭(石炭銘柄1〜5)について、同じく実施例1により作成した検量線の図4を用いて、ラマン分光測定の結果から算出した表面張力値γRと、フィルム・フローテーション法で求めた表面張力実測値γとを比較した。表2に、その結果を示す。なお、石炭5については、3つの試料について測定を行った。フィルム・フローテーション法による測定時間は、1石炭銘柄あたり約4時間、ラマン分光測定による測定時間は、1石炭銘柄あたり約30分であった。
表2に示すように、図4の検量線を使ってラマン分光測定の結果から算出した表面張力値γRと、フィルム・フローテーション法で測定した表面張力値γは、良く一致していた。以上の結果から、ラマン分光測定の結果を用いて、石炭の表面張力値を迅速かつ精度よく算出できることが確認できた。
次に、界面張力に基づきコークスを製造して、界面張力がコークス強度に及ぼす影響を検証した。その例を示す。
従来の石炭性状パラメータでは評価できない条件においてコークスを製造することを目的として、従来の石炭性状パラメータを一定にした条件下で実験を行った。13種類の石炭(石炭銘柄A〜M)を用意し、先ず、これらの石炭に対して性状試験を実施し、従来の石炭性状パラメータであるビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)、ギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)を求めた。また、13種類の石炭を粒径200μm以下に粉砕し、3℃/minで500℃まで加熱し、液体窒素で冷却後、150μm以下に粉砕し、30℃で8時間真空乾燥した試料を実施例1と同一の方法でラマン分光測定した。そして、あらかじめ銘柄別に求めたラマン分光測定から得られるR値と表面張力γとの検量線に基づき各石炭の表面張力を算出した。一部の石炭は、フィルム・フローテーション法によって表面張力を測定し、ラマン分光測定から求められた表面張力と、フローテーション法による表面張力とが一致していることを確認した。
測定した表面張力分布より(9)式を用いて表面張力分布の平均値を導出し、この表面張力分布の平均値を各石炭の表面張力の指標とした(γ)。
測定した性状試験結果に基づき、界面張力値の異なる4水準の配合(配合A〜D)を決定した。つまり、コークス強度に影響を及ぼす他のパラメータの影響を除外するために、従来コークス強度推定に利用されているパラメータであるビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)の配合炭の平均値、及び、ギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)の配合炭の平均値は各水準で一定となるように、AからMまでの石炭の配合割合を調整した。ビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)の配合炭の平均値、ギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)の配合炭の平均値は、実操業で採用されている値とした。界面張力(γinter)の導出には(1)式を用いた。13種類の石炭の性状を表3、配合割合を表4、配合炭の性状を表5に示す。
界面張力のコークス強度に及ぼす影響を検証するために、JIS K2151の回転強度試験法に基づくドラム強度で評価を行った。表4に記した4水準の配合で製造したコークスに対しドラム強度測定試験を実施した。粒度3mm以下100質量%、水分8質量%に調整した配合炭16kgを嵩密度750kg/m3に充填し、電気炉で乾留した。炉壁温度1100℃で6時間乾留後、窒素冷却し、ドラム強度試験を実施した。JIS K2151の回転強度試験法に基づき、15rpm、150回転で粒径15mm以上のコークスの質量割合を測定し、回転前との質量比をドラム強度DI150/15として算出した。
界面張力(γinter)とドラム強度の関係を図7に示す。図7によれば、界面張力が小さいほどドラム強度が高くなる傾向があることが分かる。但し、界面張力が0.03mN/m以下の場合は界面張力の変化に対し強度は一定であった。本実施例における4水準の配合においては従来コークス強度推定に利用されているパラメータ(ビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)の配合炭の平均値、ギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)の配合炭の平均値)はほぼ等しいことから、この結果は従来知見では推測不可能であったといえる。よって界面張力によりコークス強度を充分に向上させるためには、少なくとも界面張力を0.03mN/m以下に制御すればよいことがわかる。
従って、石炭が複数種あり、これらの石炭を配合してコークスを製造する場合、従来の石炭性状パラメータの最適化に加え、配合炭の界面張力が小さくなるように、少なくとも0.03mN/m以下にして配合することで、従来以上に高強度のコークスを製造可能であることが示された。以上の結果より、本発明方法を用いて配合条件を決定することで、従来以上に高強度を有するコークスが製造できることが明らかとなった。
低MF炭配合割合が高い配合条件下において、界面張力を制御することによってコークスを製造した例を示す。
8種類の石炭を用意し、先ずこれらの石炭に対して性状試験を実施した。測定項目は、上記の実施例3と同様に、ビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)、ギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)、及び表面張力とした。測定方法は実施例3と同様である。測定した表面張力分布から(9)式を用いて表面張力分布の平均値を導出し、この表面張力分布の平均値を石炭の表面張力の指標とした(γ)。
性状試験結果に基づき、界面張力の異なる5水準の配合(配合E〜I)を決定した。つまり、コークス強度に影響を及ぼす他のパラメータの影響を除外するため、従来コークス強度推定に利用されているパラメータであるビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)の配合炭平均値、及びギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)の配合炭平均値は各水準で一定となるように、各石炭の配合割合を調整した。また、ギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)が1.4以下の石炭の割合が30質量%以上となるように配合を決定した。ビトリニット平均最大反射率(Roの平均値)の配合炭平均値及びギーセラープラストメーターの最高流動度(logMF)の配合炭平均値は、実操業で採用されている値とした。界面張力として、(1)式で定義されるγinterを用いた。8種類の石炭の性状を表6、配合割合を表7、配合炭の性状を表8に示す。
界面張力のコークス強度に及ぼす影響を検証するため、実施例3と同様に乾留試験を行い、ドラム強度試験を実施した。界面張力(γinter)とドラム強度の関係を図8に示す。
図8によれば、低MF炭を30質量%以上多量に配合した時も、実施例3と同じく界面張力が小さいほどドラム強度が高くなる傾向が読み取れる。図8には、参考までに実施例3の結果も比較のために併せて示している。
実施例3の結果と、今回の結果つまりlogMF値が1.4以下の石炭配合割合が30質量%以上配合の結果と比較すると、logMF値が1.4以下の石炭配合割合を高めることで、強度を低下させない界面張力の範囲が0.03mN/mから0.01mN/mへと狭くなっていることがわかる。従って、低MF炭の配合割合が高い場合、具体的にはlogMF値が1.4以下の銘柄の割合が30質量%以上の場合には、従来のコークス性状パラメータの最適化に加え、配合炭の界面張力が小さくなるように、具体的には配合炭の界面張力が少なくとも0.01mN/m以下となるように配合することで、従来以上に高強度のコークスを製造可能であることが示された。以上の結果より、本発明方法を用いて配合条件を決定することで、従来以上に高強度を有するコークスが製造できることが明らかとなった。
配合炭を構成する各銘柄の表面張力の分散から界面張力を推定し、その界面張力を制御することによってコークスを製造した例を示す。測定項目、強度試験結果は実施例3及び実施例4と同じ値を用い、界面張力の導出のみ(22)式及び(23)式を用いるものとした。配合AからIにおいて、(22)式及び(23)式を用いて界面張力を導出した結果を表9に示す。
表9には(1)式で導出したγinterも参考までに併せて示している。(1)式で導出したγinterと(22)式及び(23)式で導出したγinterはほぼ一致することが表9より確認できた。よって(22)式及び(23)式により推定した界面張力とドラム強度の関係も、実施例3及び実施例4とほぼ一致すると考えられる。以上の結果より、(22)式及び(23)式により界面張力を推定し、配合条件を決定することで、従来以上に高強度を有するコークスが製造できることが明らかとなった。
1 気相
2 液体
3 試料粒子
4 表面張力
5 表面張力分布のピーク値
6 表面張力分布の最小表面張力
7 表面張力分布の最大表面張力
8 石炭A
9 石炭B
10(10a、10b、10c、10d) 石炭同士の接触界面
11 石炭A、石炭Bの配合炭で製造したコークス内部の断面

Claims (11)

  1. 2種以上の石炭を配合して配合炭を製造するに際し、石炭をラマン分光測定することによって得られるピークの特性値に基づいて求められる石炭の界面張力が、所望のコークス強度を示す界面張力の範囲内となるように石炭配合の際の各石炭の配合割合を決定する管理指標の一つとして用いることを特徴とする、配合炭の製造方法。
  2. 前記石炭間の界面張力を、前記ピークの特性値に基づいて求められる各石炭の表面張力から導出することを特徴とする、請求項1に記載の配合炭の製造方法。
  3. 前記ピークの特性値は、ラマン分光測定によって得られるスペクトルのGバンドピークの強度に対する前記スペクトルのDバンドピークの強度の比であるR値であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の配合炭の製造方法。
  4. 前記ピークの特性値は、石炭の軟化溶融開始温度以上コークス化温度以下に加熱後に冷却した石炭をラマン分光測定して得られる特性値であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配合炭の製造方法。
  5. 前記石炭の軟化溶融開始温度以上コークス化温度以下の加熱温度が、350℃〜800℃であることを特徴とする、請求項4に記載の配合炭の製造方法。
  6. 前記石炭間の界面張力として、下記の(1)式によって求められる界面張力γinterを用いることを特徴とする、請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の配合炭の製造方法。
  7. 前記石炭間の界面張力として、下記の(22)式及び(23)式によって求められる界面張力γinterを用いることを特徴とする、請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の配合炭の製造方法。

    但し、σγ :配合炭を構成する各石炭の表面張力の分散、
    :石炭1、2、・・・、i、・・・nを配合したときの石炭iの配合割合であり、
    1〜nまでのwの合計値が1、
    γ:石炭iの表面張力、
    γinter:石炭1、2、・・・、i、・・・nを配合したときの界面張力。
  8. 配合炭における石炭間の界面張力が最小となるように各石炭の配合割合を決定することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の配合炭の製造方法。
  9. 前記石炭間の界面張力γinterが0.03mN/m以下となるように各石炭の配合割合を決定することを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の配合炭の製造方法。
  10. ギーセラー最高流動度(MF)のlogMF値が1.4以下である石炭の配合割合が30質量%以上の場合には、配合炭における石炭間の界面張力γinterが0.01mN/m以下となるように各石炭の配合割合を決定することを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の配合炭の製造方法。
  11. 請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の配合炭の製造方法を用いて配合炭を製造し、製造された配合炭を乾留してコークスを製造することを特徴とする、コークスの製造方法。
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