以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る導電材料の接合装置10は、図1,2に示すように、導電性を有する一対の被接合部材1a,1bを、抵抗加熱および摩擦加熱を利用して互いに接合させる装置である。接合装置10は、被接合部材1a,1bを、互いに接合させる接合面2a,2bを対向させて保持し、押圧方向Z(接合面2a,2bの法線方向)に加圧しながら接合面2a,2bに沿う方向Xへ加振しつつ、抵抗加熱を行うことで被接合部材1a,1b同士を接合する。
接合装置10は、上方の被接合部材1aを固定するための第1固定部材20と、下方の被接合部材1bを摺動可能に保持するための保持手段60と、被接合部材1a,1bに電流を流すための第1電極51および第2電極52と、下方の被接合部材1bを加振するための加振装置70とを有している。
保持手段60は、下方の被接合部材1bを摺動可能に保持しつつ、被接合部材1bの押圧方向Zへの移動を規制するものである。保持手段60は、被接合部材1bが固定されて被接合部材1bとともに移動する第2固定部材30(固定部材)と、固定的に配置される枠体61と、第2固定部材30を被接合部材1bの摺動方向に沿って移動可能とする第1リニアガイド65および第2リニアガイド66とを有している。枠体61は、電磁遮断カバーとしての機能をも有している。
第1固定部材20は、被接合部材1aが嵌合可能な嵌合孔21を有しており、嵌合孔21に被接合部材1aが嵌合して固定されることで、被接合部材1aの水平方向(接合面2a,2bに沿う方向X)への移動が規制される。嵌合孔21には、上方から進退動可能な第1電極51が貫通し、第1電極51が被接合部材1aの上面と当接可能となっている。第1固定部材20は、枠体61に絶縁部材62を介して固定されている。
第2固定部材30は、被接合部材1bが嵌合可能な嵌合溝31を有しており、嵌合溝31に被接合部材1bが嵌合して保持され、第2固定部材30の水平方向の移動とともに、被接合部材1bが水平方向に加振される構造となっている。第2固定部材30の嵌合溝31には、導電性の高い銅製の電極保護プレート32が設けられており、電極保護プレート32を介して第2固定部材30と被接合部材1bが接している。第2固定部材30の下面33には、下方から進退動可能な第2電極52が当接可能となっている。
接合装置10は、更に、第2固定部材30を加振する加振装置70(加振手段、摺動手段)と、接合装置10を制御する制御装置80(制御手段)とを有している。
加振装置70は、図3に示すように、制御装置80により制御される駆動源としてのモータ71と、モータ71によって回転駆動される駆動軸72と、駆動軸72により加振される加振プレート73およびカウンタプレート74とを備えている。モータ71は、枠体61に固定され、駆動軸72は、枠体61に配置される軸受75により回転可能に保持されている。駆動軸72は、軸心と偏心している第1偏心部72aおよび第2偏心部72bを有しており、第1偏心部72aには、第1軸受76aを介して加振プレート73が連結され、第2偏心部72bには、第2軸受76bを介してカウンタプレート74が連結されている。加振プレート73は、第1リニアガイド65を介してカウンタプレート74に保持され、かつカウンタプレート74は、第2リニアガイド66を介して枠体61に保持されている。第1リニアガイド65および第2リニアガイド66の摺動方向は同一であり、加振プレート73およびカウンタプレート74が、同一方向へ個別に振動可能となっている。
第1軸受76aは、図4に示すように、加振プレート73の加振方向と直交する方向(図4の方向Y)へ長軸を有する長円孔77に嵌合している。このため、駆動軸72が回転して第1偏心部72aが振れ回ると、長軸方向の振動は加振プレート73に伝わらず、加振プレート73が一方向Xにのみ加振される。また、第2軸受76bは、カウンタプレート74の加振方向と直交する方向へ長軸を有する長円孔78に嵌合している(図3参照)。このため、第2偏心部72bが振れ回ると、長軸方向の振動はカウンタプレート74に伝わらず、カウンタプレート74が一方向Xにのみ加振される。
第1偏心部72aおよび第2偏心部72bは、偏心方向の位相が180度ずれており、加振プレート73とカウンタプレート74が逆位相で振動することで、枠体61の振動を打ち消す構造となっている。なお、加振装置の機構は、例えば超音波振動によるものや、電磁式振動によるもの、油圧式によるもの等とすることもできる。
加振プレート73には、絶縁部材79を介して第2固定部材30が固定される。第2固定部材30が上方から力を受けると、絶縁部材79、加振プレート73、第1リニアガイド65、カウンタプレート74および第2リニアガイド66を介して、固定的に配置される枠体61により力が受け止められ、第2固定部材30は下方へ移動しない。また、絶縁部材79が設けられるため、被接合部材1bと接する第2固定部材30から加振プレート73、カウンタプレート74および枠体61へ電流が流れることが抑制される。このため、第2固定部材30を移動可能に支持する可動支持部として機能する第1リニアガイド65および第2リニアガイド66の摺動部に電流が流れず、当該摺動部の加熱軟化による磨耗が抑制される。
第1電極51および第2電極52は、図1に示すように、電流を供給する電流供給装置90(電流供給手段)と接続されており、第1電極51と第2電極52の間に挟まれる部材に、電流を流すことができる。
第1電極51は、上方の第1加圧装置41(加圧手段)に連結されて進退動可能となっており、被接合部材1aを接合面方向Z(押圧方向)へ加圧することができる。第1加圧装置41は、例えば油圧シリンダ等が組み込まれており、制御装置80に接続されて制御されて、第1電極51の被接合部材1aに対する接触圧力を調整できる。
第2電極52は、下方の第2加圧装置42に連結されて進退動可能となっており、被接合部材1aを、第2固定部材30を介して押圧方向Zへ加圧することができる。第2電極52は、第2固定部材30とは別体で構成され、第2固定部材30に対して相対的に移動可能である。第2加圧装置42は、例えば油圧シリンダ等が組み込まれており、制御装置80に接続されて制御されて、第2電極52の被接合部材1bに対する接触圧力を調整できる。
第1電極51は、枠体61を非接触で貫通し、第2電極52は、加振プレート73、カウンタプレート74および枠体61を非接触で貫通している。第1電極51および第2電極52は、内部に冷却水が循環する構造を有することが好ましい。
被接合部材1a,1bは、導電性を備える材料であれば特に限定されないが、本実施形態では鋳造されたアルミニウム(Al)が用いられる。
対の被接合部材1a,1bの間には、被接合部材1a,1bと共晶反応する共晶反応材料からなる箔状の導電性を備えた共晶箔5が挟まれてもよい。被接合部材1a,1bがアルミの場合、共晶箔5には、アルミニウムと共晶反応する亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、錫(Sn)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。また、被接合部材101a,101bの少なくとも一方の融点よりも低い温度で液相化する材料であれば、共晶反応する材料でなくても、共晶箔5の代わりに適用することもできる。
電流供給装置90は、直流電流または交流電流を第1電極51および第2電極52へ供給できる装置であり、制御装置80に接続されて、電流値および電圧値等を任意に制御可能となっている。
制御装置80は、前述の第1,第2加圧装置41,42、加振装置70および電流供給装置90を統括的に制御する電子計算機である。制御装置80は、演算部、記憶部、入力部および出力部を備えている。記憶部には、接合装置10全体を制御するためのプログラムが格納されており、このプログラムが演算部にて実行されることで、接合装置10に被接合部材1a,1bの接合を遂行させる。
次に、本実施形態に係る接合装置10により導電材料を接合する方法を、図5に示すフローチャートに沿って説明する。
初めに、互いに接合する被接合部材1a,1bを準備し、図6に示すように、被接合部材1bを第2固定部材30の嵌合溝31に嵌合させて設置するとともに、被接合部材1aを第1固定部材20の嵌合孔21に設置する。このとき、第1電極51は、被接合部材1aの上面に当接しておらず、第2電極52は、第2固定部材30に当接していない。なお、共晶箔5を被接合部材1a,1bの間に配置してもよい。
次に、図7に示すように、第1加圧装置41により第1電極51を下降させ、第1電極51により被接合部材1aの上面を下方に加圧する。このとき、第2電極52は被接合部材1bに接触していないが、被接合部材1bは第2固定部材30(保持手段60)によって保持されて下降が規制されているため、被接合部材1aと被接合部材1bの間に加圧力が発生する。すなわち、第2固定部材30は、被接合部材1bを加圧する加圧手段としても機能し、かつ被接合部材1bを摺動させる摺動手段としても機能する。このときの第1加圧装置41による加圧力は、制御装置80で調整される。
次に、制御装置80により加振装置70のモータ71を駆動する。これにより、駆動軸72が回転し、加振プレート73とカウンタプレート74が逆位相で振動する。加振プレート73が振動すると、加振プレート73に固定されている第2固定部材30も振動し、第2固定部材30に固定されている被接合部材1bが、水平方向へ振動する。このとき、被接合部材1bと接する被接合部材1aは第1固定部材20によって水平方向の移動が固定的に規制されているため、被接合部材1aと被接合部材1bの間で摩擦が発生する(予備加振工程(予備摺動工程)S11)。被接合部材1aと被接合部材1bは、振動振幅に加振周波数を乗じた摺動速度を有して摺動することになる。
なお、本実施形態では、一方向加振を行っているが、被接合部材1bが接合面2a,2bに沿って公転運動するように加振することもできる。ここで公転運動とは、被接合部材1bが自転せずに円軌道を描くように振れ回ることを意味する。被接合部材1bが公転運動するように加振すれば、接合面2a,2b同士の相対的な運動が停止しないことから、動摩擦係数のみが作用して摩擦係数が安定するため、加振時の振動が滑らかとなり、接合面2a,2bを均一に磨耗させることができる。
上記のように第1電極51により加圧力を作用させながら加振する予備加振工程S11が行われると、接合面2a,2bが摺動するとともに摩擦熱により加熱されて、接合面2a,2bが塑性流動により磨耗し、接合面2a,2bの間の面圧がある程度均一化される。このとき、第2電極52が第2固定部材30と接触せずに離れているため、第2固定部材30が振動しても、第2固定部材30と第2電極52の間で摩擦が発生せず、第2電極52の磨耗を抑制できる。更に、予備加振工程S11は、アルミニウムの表面の酸化皮膜を除去して皮膜厚さの違いによる接触抵抗のばらつきを低減させ、後の工程で抵抗加熱した際の発熱量のばらつきを抑える効果も発揮する。したがって、接合する前に、アルミニウムである被接合部材1a,1bの表面を脱脂し、更にワイヤブラシによりブラッシングして表面の酸化膜を除去する等の処置が不要となり、作業性が向上する。なお、当然、予備加振工程S1の前にブラッシング等の処理を行ってもよい。
予備加振工程S11の後には、被接合部材1a,1b同士を抵抗加熱により加熱する第1接合工程S12を行う。第1接合工程S12では、図8に示すように、まず、制御装置80により加振装置70のモータ71を制御して被接合部材1a,1b間の摺動速度(振動振幅×加振周波数)を予備加振工程S11の場合よりも低下させる。次に、被接合部材1bの第2電極52を第2加圧装置42により上昇させて、第2固定部材30の下面33に第2電極52を押し付ける。この後、設定した摺動速度を維持しつつ、第1電極51と第2電極52の間に電流を流し、加振加熱および抵抗加熱の両方を併用して被接合部材1a,1bを加熱する。すなわち、第1接合工程S12では、電流による抵抗加熱量を増加させる際に、摺動速度を低減させることで、互いに接する第2電極52と第2固定部材30の間の摩擦を低減させている。これにより、抵抗加熱によって軟化する第2電極52と第2固定部材30の間の磨耗を抑制し、かつ第2電極52に第2固定部材30の材料が凝着することを抑制できるため、電極の交換頻度が減少し、コストの削減が可能となる。
また、第2固定部材30は、枠体61(保持手段60)により下方への移動か規制されるように保持されているため、第2電極52の第2固定部材30への押し付け力は、電流を流すために必要な最低限の力とすることができる。これにより、第2電極52と第2固定部材30の間の摩擦熱の発生を極力低減させて、第2電極52および第2固定部材30の磨耗、溶着および凝着を抑制できる。
第1接合工程S12では、接合面2a,2bにおける電流が集中する高面圧部において抵抗加熱が大きく作用して加熱され、接合面2a,2bの酸化膜が強制的に剥離される。更に、抵抗加熱により加熱された高面圧部に加圧力と加振が作用して塑性流動および材料拡散が生じ、かつ高面圧部が磨耗して時々刻々と電流集中箇所が変化する。これにより、電流の流れが分散し、接合面2a,2bを均一に加熱し、後の工程で接合面2a,2bの全体を均一に接合することができる。このとき、第2電極52が第2固定部材30と接触しているが、第2固定部材30の振動が予備加振工程S11と比較して低減しているため、第2固定部材30と第2電極52の間での摩擦熱の発生を極力に抑え、第2電極52および第2固定部材30の磨耗、溶着および凝着を抑制できる。なお、第1接合工程S12において、加振装置70のモータ71の回転を完全に停止して、加振せずに抵抗加熱のみで加熱して最終的に接合させることも可能である。
被接合部材1a,1bの間に共晶箔5を用いた場合には、共晶箔5が共晶反応により被接合部材1a,1bよりも低融点で液相化し、酸素を遮断して再酸化を抑制する役割を果たす。共晶箔5を用いることで、真空雰囲気と長時間が必要であった真空ろう付けに対し、大気中における短時間、低入熱で加熱して最終的に接合することが可能となり、量産化が容易となる。
第1接合工程S12では、加振による摩擦加熱および抵抗加熱の両方を併用するため、接合面2a,2bに高い加圧力を付与する必要がなく、接合面2a,2bの面積の大きな被接合部材1a,1bであっても加熱して、後の工程で接合することができる。すなわち、例えば加振による摩擦加熱のみで加熱して接合する場合には、摩擦入熱量を稼ぐために高面圧で材料を押し付ける必要があるが、材料が変形してしまうため、限定された面積や形状の被接合部材しか接合できない。また、例えば抵抗加熱のみで加熱して接合する場合には、高面圧部に電流が集中して流れて接合されることになり、接合面の接合箇所が不均一になるため、やはり接合面の大きさや形状が限定される。また、例えば高周波加熱を利用して加熱して接合する場合には、接合面の外周しか加熱できず、やはり接合面の大きさや形状が限定される。
これに対し、本実施形態では、第1接合工程S12において、加振による摩擦加熱および抵抗加熱を併用して加熱させるため、接合面2a,2bに高い加圧力を付与せずとも電流集中箇所が変化し、接合面2a,2bが大面積の場合や複雑な形状の場合であっても加熱して最終的に接合することができ、かつ低歪みな面接合が可能である。
また、接合面2a,2bの表層のみを溶融して最終的に接合するため、加熱時間を短縮でき、更に、材料内に気体を含有している鋳造品であっても、加熱により材料内の気体が膨張、噴出し難く、良好な接合を実現できる。
また、例えば被接合部材の一方を回転させて接合面で摩擦熱を発生させて接合する場合には、接合面の形状が円形に限定されるのに対し、第1接合工程S12では、加振により摩擦熱を発生させるため、接合面2a,2bの形状が円形に限定されない。このため、例えば内部に流体の流路を有する複雑な形状等であっても、接合面2a,2bの全体を気密性を保ちつつ加熱して接合することができる。
また、第1接合工程S12の工程中において、加振による摩擦加熱と抵抗加熱の比率を、制御装置80により制御して調整することもできる。そして、加振による摺動速度が相対的に大きくなる場合には、第2加圧装置42により第2電極52の第2固定部材30に対する接触圧を低減させる。これにより、摺動速度が相対的に大きくなる場合に、第2電極52と第2固定部材30の間の摩擦熱の発生を抑え、第2電極52および第2固定部材30の磨耗、溶着および凝着を抑制できる。なお、第2電極52の第2固定部材30に対する接触圧力を低減させる際には、第2電極52を第2固定部材30から完全に離してもよい。これにより、第2電極52の接触面が空気に晒され、冷却されるとともに表面に酸化皮膜が形成され、第2電極52の磨耗が低減される。
第1接合工程S12の後には、第2接合工程S13が行われる。第2接合工程S13では、図9に示すように、電流供給装置90による電流の供給を停止し、第2電極52を第2固定部材30から離間させる。さらに、加振装置70を稼働させて、第2固定部材30に設置された被接合部材1bを加振する。このように、抵抗加熱による発熱量を減少させ、かつ加振による発熱量を増加させることで、接触抵抗により材料を高温にして軟化を促進する過程から、軟化された材料を加振によって掻き混ぜるようにして一体化を促進する過程へ移行する。
第2接合工程S13においては、加振による摺動速度が増加するが、通電不要のために第2固定部材30と接する必要のなくなった第2電極52を第2固定部材30から離間させることで、第2電極52および第2固定部材30の磨耗、溶着および凝着を抑制できる。
第2接合工程S13を終了する際には、加振装置70を停止させるが、被接合部材1a,1bを望ましい相対的位置で最終的に接合するために、最終的に加振装置70によって被接合部材1a,1bを規定の位置に位置決めする。この際には、第1加圧装置41の加圧力が大きいと位置決め精度が低下するため、加振装置70を停止させる前に、第1加圧装置41による加圧力を低下させてもよい。第1加圧装置41による加圧力を低下させると、被接合部材1a,1bが望ましい相対的位置となった状態で加振装置70を停止させることができる。なお、被接合部材1a,1bを位置決めするための他の構成を別途設けてもよい。
第2接合工程S13の後には、被接合部材1a,1bを冷却する冷却工程S14へ移行する。冷却工程S14では、制御装置80が、加振装置70および電流供給装置90を停止させ、第1加圧装置41による加圧力を上昇させる。予め設定した時間を経過すると、冷却が終了したと判断し、第1加圧装置41による加圧を終了させる。または被接合部材1a,1bの温度を計測する温度計(不図示)から制御装置80へ入力される信号が所定値以下となった後、冷却が終了したと判断し、第1加圧装置41による加圧を終了させることもできる。この後、第1電極51を上昇させて被接合部材1aから離間させ、接合された被接合部材1a,1bが装置から取り外される。
接合された被接合部材101a,101bの接合界面には、被接合部材1a,1bの材料が拡散することで接合される拡散接合面、被接合部材1a,1bの材料が塑性流動することで接合される塑性流動接合面、さらに共晶箔5(中間材料)を挟んだ場合には中間材料を介在して接合される中間層介在接合面が、混在して形成される。
なお、予備加振工程S11は、かならずしも設けずに省略することができる。また、予備加振工程S11の代わり若しくは予備加振工程S11の前に、加振装置70により摺動させるのではなしに、電流供給装置90により電流を供給することで、接合面2a,2bを抵抗加熱により軟化させてもよい。また、第1接合工程S12と第2接合工程S13の間で、電流の供給を減少させる一方で加圧力を増加させることなしに、第1接合工程S12および第2接合工程S13を1つの接合工程として実施することもできる。また、冷却工程S14も、かならずしも設けずに省略することができる。
第1実施形態に係る導電材料の接合装置10によれば、第2電極52が、接触対象である第2固定部材30に対して接触圧力を調整可能であるため、第2電極52を条件に適した接触圧力に設定できる。したがって、加振や通電等の条件に応じて接触圧力を調整し、第2電極52および第2電極52の接触対象における磨耗、溶着および凝着を抑制して寿命を向上させることができる。
また、第2固定部材30が、被接合部材101bを加圧しつつ摺動させる加圧手段および摺動手段として機能することから、加圧手段および摺動手段が一体的に構成されているといえる。そして、第2電極52は第2固定部材30と別体であるため、第2電極52は加圧手段および摺動手段と別体で構成される。したがって、摺動、加圧および通電等の条件に応じて、第2電極52の接触圧力を個別に調整することができ、第2電極52および第2電極52の接触対象における磨耗、溶着および凝着を抑制して第2電極52の寿命を向上させることができる。
また、第2電極52が第2固定部材30と別体で構成され、押圧方向Zへ第2固定部材30と独立して移動可能であるため、第2固定部材30により被接合部材1bを保持しつつも、第2電極52による接触圧力を、加振や通電等の条件に適した値に設定できる。
また、制御装置80が、被接合部材1a,1b間の抵抗加熱量が相対的に大きい場合に、被接合部材1a,1b間の摺動速度を相対的に小さくすれば、電流の増大により第2電極52と接触対象(第2固定部材30)の間で増大し得る摩擦熱の発生を極力低減できる。これによって、第2電極52や接触対象における磨耗、溶着および凝着の発生を抑制できる。
また、制御装置80が、被接合部材1a,1b間の摺動速度が相対的に大きい場合に、第2電極52の接触対象(第2固定部材30)との接触圧力を相対的に小さくすれば、第2電極52と接触対象の間の摩擦熱の発生を抑制し、第2電極52および接触対象の磨耗、溶着および凝着を低減できる。
また、制御装置80が、被接合部材1a,1bの加振中に、第2電極52を接触対象(第2固定部材30)と非接触状態とするようにすれば、第2電極52の接触面が空気に晒され、冷却されるとともに表面に酸化皮膜が形成され、第2電極52の磨耗が低減される。
また、第2固定部材30と保持手段60の間に、第2固定部材30を移動可能に支持する可動支持部(第1リニアガイド65および第2リニアガイド66)が設けられ、可動支持部が第2固定部材30から絶縁されているため、可動支持部の摺動部に電流が流れず、当該摺動部の加熱軟化による磨耗を抑制できる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る導電材料の接合装置100は、第1実施形態と、被接合部材1aを上方から押圧する構造が異なる。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する部位については同一の符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
第2実施形態に係る導電材料の接合装置100は、図10に示すように、接触圧力を調整可能に被接合部材1aを上方から押圧する加圧部110が、第1電極51とは別体として設けられる。加圧部110は、制御装置80により制御される第3加圧装置(不図示)に連結されており、第1電極51と個別に進退動可能となっている。加圧部110は、電流供給装置90に接続されておらず、被接合部材1aへ電流を流す構成ではない。
次に、本実施形態に係る接合装置100により導電材料を接合する方法を、図5に示すフローチャートに沿って説明する。
初めに、互いに接合する被接合部材1a,1bを準備し、被接合部材1bを第2固定部材30の嵌合溝31に嵌合させて設置するとともに、被接合部材1aを第1固定部材20の嵌合孔21に設置する(図10参照)。このとき、第1電極51および加圧部110は、被接合部材1aの上面に当接しておらず、第2電極52は、第2固定部材30に当接していない。
次に、図11に示すように、第1電極51は下降させずに、第3加圧装置により加圧部110を下降させ、加圧部110により被接合部材1aを下方に押圧する。このとき、第2電極52は被接合部材1bに接触していないが、被接合部材1bは第2固定部材30によって保持されて下降が規制されおり、被接合部材1aと被接合部材1bの間に押圧力が発生する。
次に、制御装置80により加振装置70を駆動すると、第2固定部材30に固定されている被接合部材1bが、水平方向へ振動する。このとき、被接合部材1bと接する被接合部材1aは第1固定部材20によって水平方向の移動が固定的に規制されているため、被接合部材1aと被接合部材1bの間で摩擦が発生する(予備加振工程(予備摺動工程)S21)。
ここで,被接合部材1aは第1固定部材20によって水平方向の移動が固定的に規制されているが、固定部材20の変形、被接合部材1aと固定部材20の間の微小な隙間により、被接合部材1aと第1電極51の間にも微振動が発生しており、第1電極51の摩耗を引き起こす。
第2実施形態における予備加振工程S21では、第1実施形態における予備加振工程S11と異なり、被接合部材1aの押圧に第1電極51を用いないため、第1電極51が被接合部材1aに接触せず、第1電極51の磨耗を防止できる。
予備加振工程S21の後には、被接合部材1a,1b同士を抵抗加熱により加熱する第1接合工程S22を行う。第1接合工程S22では、まず、制御装置80により加振装置70のモータ71を制御して被接合部材1a,1b間の摺動速度(振動振幅×加振周波数)を予備加振工程S21の場合よりも低下させる。次に、図12に示すように、被接合部材1bの第2電極52を第2加圧装置42により上昇させて、第2固定部材30の下面33に第2電極52を押し付ける。さらに、第1電極51を第1加圧装置41により下降させて、第1電極51を被接合部材1aに当接させる。なお、加圧部110は、予備加振工程S21に引き続き被接合部材1aを下方に押圧している。この後、設定した摺動速度を維持しつつ、第1電極51と第2電極52の間に電流を流し、加振加熱および抵抗加熱の両方を併用して被接合部材1a,1bを加熱する。
第1接合工程S22では、第2固定部材30は、保持手段60により下方への移動が規制されるように保持されているため、第2電極52の第2固定部材30への押し付け力は、電流を流すために必要な最低限の力とすることができる。これにより、第2電極52と第2固定部材30の間の摩擦熱の発生を極力低減させて、電極の磨耗を抑制できる。更に、被接合部材1aは、第1電極51および加圧部110の両方により押圧されているため、第1電極51の被接合部材1aに対する接触面圧を条件に適した最適な値とし、第1電極51のみでは足りない押圧力を加圧部110により付与することができる。また、被接合部材1aは、第1電極51および加圧部110の両方により押圧されているため、第1電極51の被接合部材1aに対する接触面圧を低減し、第1電極51の磨耗を低減できる。
第1接合工程S22の後には、第2接合工程S23が行われる。第2接合工程S23では、電流供給装置90による電流の供給を停止し、図13に示すように、第1電極51を被接合部材1aから離間させるとともに、第2電極52を第2固定部材30から離間させる。さらに、加振装置70を稼働させて、第2固定部材30に設置された被接合部材1bを加振する。これにより、接触抵抗により材料を高温にして軟化を促進する過程から、軟化された材料を加振によって掻き混ぜるようにして一体化を促進する過程へ移行する。
第2接合工程S23においては、第1実施形態における第2接合工程S13と異なり、第1電極51が被接合部材1aから離間されているため、第1電極51の磨耗を抑制できる。
第2接合工程S23の後には、被接合部材1a,1bを冷却する冷却工程S24へ移行し、制御装置80によって加振装置70および電流供給装置90を停止させ、第1加圧装置41および第2加圧装置の少なくとも一方による加圧力を上昇させる。予め設定した時間を経過すると、冷却が終了したと判断し、加圧を終了させる。この後、第1電極51および加圧部110を上昇させて被接合部材1aから離間させ、接合された被接合部材1a,1bが装置から取り外される。
第2実施形態に係る導電材料の接合装置100によれば、第1電極51とは別体である加圧部110が設けられ、第1電極51が、接触対象に対する接触圧力を調整可能であるため、条件に適した接触圧力に設定できる。したがって、加振や通電等の条件に応じて接触圧力を調整し、第1電極51および第1電極51の接触対象の磨耗、溶着および凝着を抑制して寿命を向上させることができる。
また、制御装置80が、被接合部材1a,1b間の摺動速度が相対的に大きくなる場合に、第1電極51の接触対象(被接合部材1a)に対する接触圧力を相対的に小さくすれば、第1電極51と接触対象の間の摩擦熱の発生を抑制し、第1電極51および接触対象の磨耗、溶着および凝着を低減できる。
また、制御装置80が、被接合部材1bの加振中に、第1電極51を接触対象(被接合部材1a)と非接触の状態とするようにすれば、第1電極51の接触面が空気に晒され、冷却されるとともに表面に酸化皮膜が形成され、第1電極51の磨耗が低減される。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、第1電極51は、直接的に被接合部材1aに接触しなくてもよく、第1固定部材20を介して被接合部材1aを押圧する構造であってもよい。また、例えば、第2電極52は、第2固定部材30に接触しなくてもよく、被接合部材1bに直接的または間接的に接触してもよい。また、被接合部材は、接合面が接触した状態で加振可能であれば、形状は限定されない。
また、加振装置70は、第2固定部材30を介して被接合部材1bを加振しているが、かならずしもこのような構造に限定されず、例えば、被接合部材1bを摺動可能に支持する第2固定部材30とは異なる他の構造を被接合部材1bに接触させて、被接合部材1bを加振することもできる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る接合装置100は、加工される被接合部材101a,101bに後述するフランジ部104a,104b(延設部)を形成し、このフランジ部を加圧する点で、第1,2実施形態に係る接合装置と異なる。
接合装置100は、図14に示すように、導電性を有する一対の被接合部材101a,101bを、接合面102a,102bの間に中間材料103を挟んで保持し、押圧方向Z(接合面102a,102bの法線方向)に加圧しながら接合面102a,102bに沿う方向Xへ加振しつつ、抵抗加熱を行うことで被接合部材101a,101b同士を接合する装置である。中間材料103は、被接合部材101a,101bと共晶反応する共晶反応材料か、若しくは被接合部材101a,101bの少なくとも一方の融点よりも低い温度で液相化する材料からなる。
被接合部材101aは、被接合部材101aの接合面102a側に、接合面102aに沿う方向へ突出して形成されるフランジ部104aを有している。また、被接合部材101bも、被接合部材101bの接合面102b側に、接合面102bに沿う方向へ突出して形成されるフランジ部104bを有している。フランジ部104aおよびフランジ部104bは、互いに接するように対応して形成されている。フランジ部104aおよびフランジ部104bは、接合面102a,102bの周囲の、加圧装置114が配置される位置に対応して形成されており、接合後に取り除かれる。
接合装置100は、被接合部材101aを摺動させるための加振装置111と、被接合部材101a,101bに電流を流すための第1電極112および第2電極113と、被接合部材101a,101bを加圧するための加圧装置114と、を有している。
接合装置100は、下方の被接合部材101aを接合面102aに沿う方向へ固定的に保持する第1固定部材115と、上方の被接合部材101bを摺動可能に保持する第2固定部材116とを備えており、第2固定部材116に加振装置111が連結されている。したがって、加振装置111を作動させることで、第2固定部材116を介して被接合部材101bを摺動させることができる。
対をなす第1電極112および第2電極113は、電流を供給するための電流供給装置117(電流供給手段)に接続される。
加圧装置114は、連結されている第2加圧部材118を進退動させて押圧することで、被接合部材101bのフランジ部104bを加圧できる。そして、被接合部材101aのフランジ部104aは、第2加圧部材118と対向するようにして固定的に配置される第1加圧部材119に、下方への移動を規制されて保持される。したがって、加圧装置114、第2加圧部材118および第1加圧部材119は、被接合部材101a,101bのフランジ部104a,104bを挟むようにして対向する接合面102a,102bの間に加圧力を作用させる加圧手段として機能する。
そして、接合装置120は、加振装置111、電流供給装置117および加圧装置114を統括的に制御する電子計算機である制御装置121を備えている。制御装置121によって制御装置121の記憶部に格納されたプログラムが実行されることで、接合装置120による被接合部材101a,101bの接合が遂行させる。
次に、本実施形態に係る接合装置120により被接合部材101a,101bを接合する方法を説明する。
まず、被接合部材101a,101bの接合面102a,102bの間に中間材料103を挟み、被接合部材101aのフランジ部104aが第1加圧部材119と一致するように配置する。この後、加圧装置114を作動させて第2加圧部材118により被接合部材101bのフランジ部104bを押圧する。これにより、被接合部材101a,101bのフランジ部104a,104bが、第2加圧部材118と第1加圧部材119の間に挟まれて、対向する接合面102a,102bの間に加圧力が生じる。
この後、図15に示すように、第1,第2実施形態における接合方法と略同様に、予備摺動工程S31、第1接合工程S32、第2接合工程S33および冷却工程S34を実施して、被接合部材101a,101b同士を接合する。
すなわち、まず、被接合部材101aを第1固定部材115により保持しつつ、加振装置111を作動させて、第2固定部材116に固定された被接合部材101bを摺動させる。これにより接合面102a,102bが摺動するとともに摩擦熱により加熱され、接合面102a,102bの特に高面圧の部位に塑性流動および磨耗が発生し、接合面2a,2bの間の面圧がある程度均一化される。更に、予備摺動工程S31は、アルミニウムの表面の酸化皮膜を除去して皮膜厚さの違いによる接触抵抗のばらつきを低減させ、後の工程で抵抗加熱した際の発熱量のばらつきを抑える効果も発揮する。したがって、接合する前に、アルミニウムである被接合部材101a,101bの表面を脱脂し、更にワイヤブラシによりブラッシングして表面の酸化膜を除去する等の処置が不要となり、作業性が向上する。なお、当然、予備加振工程S1の前にブラッシング等の処理を行ってもよい。
予備摺動工程S31の後には、第1接合工程S32を行う。第1接合工程S32では、まず、制御装置121により加振装置111を制御して被接合部材101a,101b間の摺動速度(振動振幅×加振周波数)を予備摺動工程S31の場合よりも低下させる。次に、第1電極112および第2電極113を被接合部材101a,101bに接触させ、設定した摺動速度を維持しつつ、第1電極112と第2電極113の間に電流供給装置117によって電流を供給する。これにより、加振加熱および抵抗加熱の両方を併用して被接合部材101a,101bを加熱する。第1接合工程S32では、接合面102a,102bにおける電流が集中する高面圧部において抵抗加熱が大きく作用して加熱され、接合面102a,102bの酸化膜が強制的に剥離される。更に、抵抗加熱により加熱された高面圧部に加圧力と摺動が作用して塑性流動および材料拡散が生じ、かつ高面圧部が磨耗して時々刻々と電流集中箇所が変化する。これにより、電流の流れが分散し、接合面102a,102bが均一に加熱される。
第1接合工程S32の後には、第2接合工程S33が行われる。第2接合工程S33では、電流供給装置117による電流の供給を減少させる一方、加振装置111による加圧力を増加させることによって摩擦熱が増加させられる。これにより、抵抗加熱による発熱量が減少し、軟化された材料を摺動によって掻き混ぜるようにして一体化を促進する過程へ移行することになる。なお、電流供給装置105による電流の供給は、最終的には停止される。また、摩擦熱の増加は、加振装置111を制御することによっても達成することが可能である。
なお、第2接合工程S33では、電流供給装置117による電流の供給を停止し、第2電極113を被接合部材101bから離間させてもよい。第2接合工程S33においては、加振による摺動速度が増加するが、通電不要のために必要のなくなった第2電極113を被接合部材101aから離間させることで、第2電極113および被接合部材101aの磨耗、凝着および溶着を抑制できる。
第2接合工程S33を終了する直前には、加振装置111を停止させるが、被接合部材101a,101bを望ましい相対的位置で接合するために、最終的に加振装置111によって被接合部材101a,101bを規定の位置に位置決めする。なお、加圧装置114の加圧力が大きいと位置決め精度が低下するため、加振装置111を停止させる前に、加圧装置114による加圧力を低下させてもよい。加圧装置114による加圧力を低下させると、被接合部材101a,101bが望ましい相対的位置となった状態で加振装置111を停止させることができる。なお、被接合部材101a,101bを位置決めするための他の構成を別途設けてもよい。
第2接合工程S33の後には、被接合部材101a,101bを冷却する冷却工程S34へ移行する。冷却工程S34では、制御装置121が、加振装置111および電流供給装置117を停止させ、加圧装置114による加圧力を上昇させる。予め設定した時間を経過すると、冷却が終了したと判断し、加圧装置114による加圧を終了させる。この後、接合された被接合部材101a,101bが装置から取り外される。
この後、接合されたフランジ部104a,104bを削り取り、作業が終了する。
本実施形態における接合方法では、摺動および抵抗加熱を併用して接合するため、接合面102a,102bに高い加圧力を付与せずとも、電流集中箇所が変化して均一な加熱が可能となり、接合面102a,102bが大面積の場合や複雑な形状の場合であっても接合することができ、かつ低歪みで均一な面接合が可能である。また、接合面102a,102bの表層のみを溶融して接合するため、加熱時間を短縮でき、更に、材料内に気体を含有している鋳造品であっても、加熱により材料内の気体が膨張、噴出し難く、良好な接合を実現できる。
本接合方法によって接合された被接合部材101a,101bの接合界面には、被接合部材101a,101bの材料が拡散することで接合される拡散接合面、被接合部材101a,101bの材料が塑性流動することで接合される塑性流動接合面、および共晶材101cを介在して接合される中間層介在接合面が混在して形成される。
被接合部材101a,101bの間に設けられた中間材料103は、被接合部材101a,101bよりも低融点で液相化し、酸素を遮断して再酸化を抑制する役割を果たす。これにより、真空雰囲気と長時間が必要であった真空ろう付けに対し、大気中における短時間、低入熱での接合が可能となり、量産化が容易となる。
なお、予備摺動工程S31は、かならずしも設けずに省略することができる。また、予備摺動工程S31の代わり若しくは予備摺動工程S31の前に、加振装置111により摺動させるのではなしに、電流供給装置117により電極112,113へ電流を供給することで、接合面102a,102bを抵抗加熱により軟化させてもよい。また、第1接合工程S32と第2接合工程S33の間で、電流の供給を減少させつつ加圧力を増加させることなしに、第1接合工程S32および第2接合工程S33を1つの接合工程として実施することもできる。また、冷却工程S34も、かならずしも設けずに省略することができる。
また、フランジ部104a,104bは、接合面102a,102bの周囲の、加圧装置114が配置される部位に対応して形成されずに、被接合部材101a,101bの接合面102a,102bを囲む全周に亘って形成されてもよい。また、フランジ部104a,104bは、必ずしも接合の後に取り除かれなくてもよい。フランジ部104a,104b(延設部)を、被接合部材101a,101bの接合面102a,102bに沿う全周に形成すれば、接合面102a,102bに作用する加圧力が全周に均一に分散し、接合むらを低減できる。また、フランジ部104a,104b(延設部)が全周ではなく部分的に形成されれば、フランジ部104a,104bの除去が容易となる。
第3実施形態によれば、第2電極113が、加圧部材118,119(加圧手段)と別体で構成されるため、第2電極113の接触圧力を低減させることができる。したがって、第2電極113と被接合部材101bとの間での摩擦熱の発生を極力に抑え、第2電極52および被接合部材101bの磨耗、凝着および溶着を抑制でき、かつ第2電極52の寿命を向上させることができる。更に、第2電極113が、第2固定部材116(摺動手段)と別体で構成されるため、第2電極113の被接合部材101bとの接触部位に作用する摺動を低減できる。したがって、第2電極113と被接合部材101bとの間での摩擦熱の発生を極力に抑え、第2電極113および被接合部材101bの磨耗、凝着および溶着を抑制でき、かつ第2電極113の寿命を向上させることができる。
また、第3実施形態では、被接合部材101a,101bの接合面102a,102b側に、接合面102a,102bに沿う方向へ突出して形成されるフランジ部104a,104bが形成され、加圧部材118,119(加圧手段)が、このフランジ部104a,104bを加圧する。したがって、接合面102a,102bが複雑な形状であっても、接合面102a,102bに加圧力を発生させやすいフランジ部104a,104bを設けることで、接合面102a,102b同士を接合することができる。
また、被接合部材101bの第2電極113が電気的に接続する部位が、接合面102bに対して、被接合部材101bの第2固定部材116(摺動手段)が接続する部位よりも離れているため、第2電極113の被接合部材101bに対する接触部位に振動が伝わり難い。したがって、第2電極113および被接合部材101bの磨耗、凝着および溶着を抑制でき、かつ第2電極113の寿命を向上させることができる。
また、第1電極122および第2電極123の被接合部材101a,101bに対する接触圧力を低減できることから、図16に示す第3実施形態に係る製造装置の変形例のように、被接合部材101a,101bの例えば剛性の低い部位等にも第1電極122および第2電極123を接続でき、接続位置の選択の自由度が拡大する。
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態に係る接合装置130は、一方の被接合部材131aのフランジ部134a(延設部)の形状が、第3実施形態と異なる。なお、第3実施形態に係る接合装置120と同様の機能を有する部位については同一の符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
接合装置130は、図17に示すように、導電性を有する一対の被接合部材131a,131bを、接合面132a,132bの間に中間材料103を挟んで保持し、押圧方向Zに加圧しながら接合面132a,132bに沿う方向Xへ加振しつつ、抵抗加熱を行うことで被接合部材131a,131b同士を接合する装置である。
接合装置130により接合される被接合部材131aは、被接合部材131aの接合面132a側に、接合面132aに沿う方向へ突出して形成されるフランジ部134aを有している。また、被接合部材131bも、被接合部材131bの接合面132b側に、接合面132bに沿う方向へ突出して形成されるフランジ部134b(延設部)を有している。フランジ部134aおよびフランジ部134bは、互いに接するように対応して形成されている。フランジ部134aおよびフランジ部134bは、接合面132a,132bの周囲の、加圧装置114が配置される位置に対応して形成されており、接合後に取り除かれる。
そして、被接合部材131aのフランジ部134aには、接合面132aと反対側の面に、接合面132aに対して傾斜する傾斜面135が形成されている。したがって、フランジ部134aは、接合面132aの縁部へ向かうほど薄肉となっている。
被接合部材131aのフランジ部134aは、第2加圧部材118と対向するようにして固定的に配置される第1加圧部材136に、下方への移動を規制されて保持される。フランジ部134aの第1加圧部材136が接する面には、傾斜面135が形成されており、第1加圧部材136の先端部は、傾斜面135と対応して傾斜して形成される。
また、接合装置130は、第3実施形態において被接合部材101aを固定的に保持するために設けられた第1固定部材115(図16参照)が設けられていない。
第4実施形態では、第1加圧部材136(加圧手段)が、被接合部材131aの傾斜面135と対応する形状を有しているため、第1加圧部材136により被接合部材131aを加圧すると、対向する接合面132a,132bに加圧力を発生させるだけでなく、被接合部材131aを接合面132aに沿う方向へ固定することができる。すなわち、第1加圧部材136は、第3実施形態における第1固定部材115(図16参照)と同様の機能をも果たし、加圧および加振に対する保持を同一部品で実現することができる。
<第5実施形態>
本発明の第5実施形態に係る接合装置140は、両方の被接合部材141a、141bのフランジ部144a,144b(延設部)に、傾斜面145,146が形成される点で、第4実施形態と異なる。なお、第3、第4実施形態に係る接合装置と同様の機能を有する部位については同一の符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
接合装置140は、図18に示すように、導電性を有する一対の被接合部材141a,141bを、接合面142a,142bの間に中間材料103を挟んで保持し、押圧方向Zに加圧しながら接合面142a,142bに沿う方向Xへ加振しつつ、抵抗加熱を行うことで被接合部材141a,141b同士を接合する装置である。
接合装置140により接合される被接合部材141aは、被接合部材141aの接合面142a側に、接合面142aに沿う方向へ突出して形成されるフランジ部144aを有している。また、被接合部材141bも、被接合部材141bの接合面142b側に、接合面142bに沿う方向へ突出して形成されるフランジ部144bを有している。フランジ部144aおよびフランジ部144bは、互いに接するように対応して形成されている。フランジ部144aおよびフランジ部144bは、接合面142a,142bの周囲の、加圧装置114が配置される位置に対応して形成されており、接合後に取り除かれる。
そして、被接合部材141aのフランジ部144aには、接合面142aと反対側の面に、接合面142aに対して傾斜する傾斜面145が形成されている。したがって、フランジ部144aは、接合面142aの縁部へ向かうほど薄肉となっている。
また、被接合部材141bのフランジ部144bにも、接合面142bと反対側の面に、接合面142bに対して傾斜する傾斜面146が形成されている。したがって、フランジ部144bは、接合面142bの縁部へ向かうほど薄肉となっている。
被接合部材141aのフランジ部144aは、第1加圧部材136によって下方への移動を規制されて保持される。フランジ部144aの第1加圧部材136が接する面には、傾斜面145が形成されており、第1加圧部材136の先端部は、傾斜面145と対応して傾斜して形成される。
被接合部材141bのフランジ部144bは、被接合部材141bを摺動可能に保持する第2固定部材147に固定される。この第2固定部材147に加振装置111が連結されているため、加振装置111を作動させることで、第2固定部材147を介して被接合部材141bを摺動させることができる。また、第2固定部材147には、フランジ部144bの傾斜面146と対応する傾斜した形状を有している。したがって、第2固定部材147は、被接合部材141bを摺動させつつ加圧することができ、加圧および摺動を同一部品で実現することができる。
そして、接合装置140は、第2〜4実施形態において設けられた加圧装置114(図14,16,17参照)が設けられていない。
第5実施形態では、第2固定部材147(加圧手段)が、被接合部材141bの傾斜面146と対応する傾斜した形状を有しているため、第2固定部材147のみで、被接合部材141bを加圧しつつ摺動させることができる。
図19は、第5実施形態に係る製造装置の変形例であるが、被接合部材151a,151bの複雑な形状に合わせて、被接合部材151a,151bに第1電極148および第2電極149が接触可能な電極接触面152,153を設けることができる。
<第6実施形態>
本発明の第6実施形態に係る接合装置160は、加工される被接合部材161a,161bが、管状体である点で、第3実施形態と異なる。なお、第3実施形態と同様の機能を有する部位については同一の符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
接合装置160は、図20に示すように、導電性を有する一対の被接合部材161a,161bを、加振装置111によって押圧方向Zに加圧しながら接合面162a,162bに沿う方向Xへ加圧装置114により加振しつつ、抵抗加熱を行うことで被接合部材161a,161b同士を接合する装置である。
被接合部材161aは、被接合部材161aの接合面162a側に、接合面162aに沿う方向へ突出して形成されるフランジ部164a(延設部)を有する管状の部材である。また、被接合部材161bも、被接合部材161bの接合面162b側に、接合面162bに沿う方向へ突出して形成されるフランジ部164b(延設部)を有する管状の部材である。被接合部材161aは、管形状の被接合部材161bの内側に収まり、フランジ部164aおよびフランジ部164bが接合されることで、隙間を有する2重管となる。
フランジ部164aおよびフランジ部164bは、互いに接するように対応して形成されている。フランジ部164aおよびフランジ部164bは、接合面162a,162bの周囲の、加圧装置114が配置される位置に対応して形成されており、接合後に取り除かれる。
接合装置170は、被接合部材161aのフランジ部164a側に接する第1電極165と、被接合部材161bのフランジ部164bが形成される側と反対側の端部に接する第2電極166とを有している。
第6実施形態のように、2重管を構成する被接合部材161a,161bであっても、フランジ部164aおよびフランジ部164bを設けることで容易に接合することができる。
<第7実施形態>
本発明の第7実施形態に係る接合装置170は、被接合部材161a,161bを接合する点で、第6実施形態と共通するが、第1電極171および第2電極172の両方が、接合面162a、162bに対して同じ側に位置する点で、第6実施形態と異なる。なお、第6実施形態と同様の機能を有する部位については同一の符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
接合装置170には、図21に示すように、加圧装置114より加圧される第2加圧部材118と対向して、被接合部材161aのフランジ部164aの下方への移動を規制するための第1加圧部材173が固定的に設けられる。したがって、加圧装置114、第2加圧部材118および第1加圧部材173は、被接合部材161a,161bのフランジ部164a,164bを挟むようにして対向する接合面162a,162bの間に加圧力を作用させる加圧手段として機能する。
接合装置170は、内管を構成する被接合部材161aのフランジ部164aと反対側に接する第1電極171と、外管を構成する被接合部材161bのフランジ部164bが形成される側と反対側に接する第2電極172とを有している。すなわち、被接合部材161aおよび被接合部材161bが、フランジ部164a,164bで接し、いずれもフランジ部164a,164bから同方向へ延在しているため、第1電極171および第2電極172が、接合面162a,162bに対して同じ側に位置することになる。
第7実施形態によれば、第1電極171および第2電極172が、接合面162a,162bに対して同じ側に位置するため第1電極171および第2電極172を加圧するための装置を共用とすることができ、装置の省スペース化が可能である。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、各々の実施形態における第1電極および第2電極の数は、特に限定されない。また、第1電極および第2電極は、被接合部材に対して一方向から接触するのではなく、異なる方向から接触する構造であってもよい。また、延設部であるフランジ部は、全周的に設けられても部分的に設けられてもよい。