JP5851167B2 - シリンダ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シリンダ装置に関する。
シリンダ内に設けられたバルブ部材の流路をディスクバルブで開閉する構造のものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開昭64−40731号公報
シリンダ装置においては、バルブ特性の適正化を図ることが求められている。
したがって、本発明は、バルブ特性の適正化を図ることが可能となるシリンダ装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ディスクバルブが、中央側に貫通孔が設けられる円環状のバルブ本体と、該バルブ本体の内周側から中心側に向けて延びる周方向に3本以上設けられた弾性脚が形成されるものであって、バルブガイドが前記貫通孔に挿入されて設けられ、前記バルブガイドの外周側は、軸方向のシート部側から順に小径部と中径部と大径部とを有するものであって、前記弾性脚の端部と前記小径部との間に隙間を設け、前記ディスクバルブが開弁する際、バルブ本体は大径部側に移動し、前記弾性脚は前記中径部に当接し、該中径部の形状に沿って変形する構成とした。
本発明によれば、バルブ特性の適正化を図ることが可能となる。
本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態の要部を断面とした正面図である。 本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態の要部を示す拡大断面図である。 本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態のディスクバルブを示すもので、(a)は平面図、(b)は要部の拡大図である。 本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態のバルブガイドを示す断面図である。 本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態のバルブガイドに対するディスクバルブの変形状態を順に示す正面図である。 本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態のディスクバルブの変形例を示すもので、(a)は平面図、(b)は要部の拡大図である。 本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態のディスクバルブの別の変形例を示すもので、(a)は平面図、(b)は要部の拡大図である。 本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態のディスクバルブのさらに別の変形例を示すもので、(a)は平面図、(b)は要部の拡大図である。 本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態のバルブガイドの変形例を示す断面図である。 本発明に係るシリンダ装置の第2実施形態の要部を示す拡大断面図である。 本発明に係るシリンダ装置の第2実施形態の中大径部形成体を示す断面図である。 本発明に係るシリンダ装置の第2実施形態の小径部形成体の変形例および中大径部形成体を示す断面図である。
「第1実施形態」
本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態である緩衝器を図1〜図9を参照して以下に説明する。
図1に示すように、第1実施形態の緩衝器は、液体あるいは気体等の流体が封入されるシリンダ11を有している。このシリンダ11は、内筒12と、内筒12よりも大径で内筒12を覆うように同心状に設けられる外筒13とを有し、これら内筒12と外筒13との間にリザーバ室14が形成された二重筒構造をなしている。
シリンダ11の内筒12内には、ピストン17が摺動可能に嵌装されている。このピストン17は、内筒12内つまりシリンダ11内に上室18と下室19とを画成している。シリンダ11内には、具体的に、上室18および下室19内に流体としての作動液が封入され、リザーバ室14内に流体としての作動液およびガスが封入されている。
シリンダ11には、一端がシリンダ11の外部へと延出されるロッド22の他端が内筒12内に挿入されており、ピストン17は、このロッド22の内筒12内の他端にナット23により締結されている。ロッド22の一端側は、内筒12および外筒13の上端部に装着された図示略のロッドガイドおよびオイルシールに挿通されて外部へと延出されている。
ピストン17は、シリンダ11内に嵌装されてシリンダ11内を上室18および下室19の2室に仕切る略円板状のピストンバルブ部材25と、ピストンバルブ部材25の上室18側に配置される減衰バルブ26と、ピストンバルブ部材25の下室19側に配置される減衰バルブ27とを有している。減衰バルブ26,27は、作動液を流す際に減衰力を発生させる。
ピストンバルブ部材25には、上室18および下室19を連通させる図示略の複数の流路が形成されている。上室18側の減衰バルブ26は、ロッド22がシリンダ11内への挿入量を増やし緩衝器の全長が縮む縮み行程において開弁して一部の流路を介して下室19から上室18へ作動液を流す縮み側の減衰バルブとなっている。下室19側の減衰バルブ27は、ロッド22がシリンダ11内への挿入量を減らし緩衝器の全長が伸びる伸び行程において開弁して残りの一部の流路を介して上室18から下室19へ作動液を流す伸び側の減衰バルブとなっている。
外筒13は、円筒状の円筒部31と、円筒部31の端部を閉塞する底蓋部32とからなっている。
図2に示すように、外筒13の底蓋部32と内筒12との間には、ベースバルブ35が設けられている。ベースバルブ35は、シリンダ11内に下室19とリザーバ室14とを画成するように設けられており、縮み行程において開弁して減衰力を発生する縮み側の減衰バルブとしてのディスクバルブ36と、伸び行程において開弁してリザーバ室14からシリンダ11内に実質的に減衰力を発生せずに作動液を流すサクションバルブとしてのディスクバルブ37とを有している。
ベースバルブ35は、シリンダ11内に嵌装されてシリンダ11内を下室19およびリザーバ室14の2室に仕切る略円板状のベースバルブ部材(バルブ部材)41を有している。ベースバルブ部材41は、上部の外周部に下部よりも小径となる段差部42が形成されており、この段差部42において内筒12の下端の内周部に嵌合する。また、ベースバルブ部材41は、下部の外周側に軸方向に突出する突出足部43を有しており、この突出足部43において外筒13の底蓋部32に当接する。この突出足部43には、径方向に貫通する流路溝44が周方向に間隔をあけて複数カ所形成されている。流路溝44によって、内筒12と外筒13との間からベースバルブ35と底蓋部32との間までの範囲が、リザーバ室14になっている。
ベースバルブ部材41には、径方向の中央にピン挿通孔46が軸方向に貫通するように形成されている。また、ベースバルブ部材41には、その軸方向の突出足部43とは反対側に、径方向のピン挿通孔46の外側にて軸方向に若干突出する円筒状のボス部47と、径方向のボス部47よりも外側にて軸方向に突出する環状の内側シート部48と、径方向の内側シート部48よりも外側にて軸方向に突出する環状の外側シート部49とが形成されている。さらに、ベースバルブ部材41には、その軸方向の突出足部43側に、径方向のピン挿通孔46の外側にて軸方向に若干突出する環状の取付ボス部51と、径方向の取付ボス部51よりも外側にて軸方向に若干突出する環状のシート部52とが形成されている。
ここで、ベースバルブ部材41の軸方向において、内側シート部48および外側シート部49は、互いに高さ位置を一致させており、ボス部47は、これらよりも突出方向の高さ位置が低くなっている。また、シート部52および取付ボス部51は互いに高さ位置を一致させている。
ベースバルブ部材41は、軸方向の一端がボス部47と内側シート部48との間に開口し、他端が取付ボス部51とシート部52との間に開口して軸方向に貫通する流路穴55が、周方向に間隔をあけて複数カ所形成されている。また、ベースバルブ部材41には、軸方向の一端が内側シート部48と外側シート部49との間に開口し、他端がシート部52よりも取付ボス部51とは反対側に開口して軸方向に貫通する流路穴56が周方向に間隔をあけて複数カ所形成されている。
内側の流路穴55は、下室19とリザーバ室14との間で作動液を流通させる一方の流路57を形成している。外側の流路穴56は、下室19とリザーバ室14との間で作動液を流通させる他方の流路58を形成している。
ベースバルブ35は、取付ピン61を有しており、取付ピン61は、ベースバルブ部材41のピン挿通孔46に挿通される軸部62と、軸部62の一端に設けられたこれよりも大径の頭部63とを有している。なお、軸部62の頭部63とは反対側の他端には、加締めにより軸部62よりも大径の加締部64が形成されることになる。
ベースバルブ35は、ベースバルブ部材41の軸方向の突出足部43側に、ベースバルブ部材41側から順に、減衰バルブとして作用する上記したディスクバルブ36、スペーサ66およびバルブ規制部材67を有している。また、ベースバルブ35は、ベースバルブ部材41の軸方向の突出足部43とは反対側に、サクションバルブとして作用する図3に示すディスクバルブ37と、図4に示すバルブガイド70とを有している。
図2に示すように、ディスクバルブ36の径方向の中央にはピン挿通孔72が、スペーサ66の径方向の中央にはピン挿通孔73が、バルブ規制部材67の径方向の中央にはピン挿通孔74が、それぞれ軸方向に貫通して形成されている。ディスクバルブ36がベースバルブ部材41の取付ボス部51およびシート部52に当接させられ、ディスクバルブ36にスペーサ66が、スペーサ66にバルブ規制部材67がそれぞれ重ねられることになり、この状態で、それぞれのピン挿通孔72、ピン挿通孔73およびピン挿通孔74に取付ピン61の軸部62が挿通されることになる。ディスクバルブ36、スペーサ66およびバルブ規制部材67は、取付ピン61の頭部63とベースバルブ部材41とによって内周側がクランプされる。
ディスクバルブ36は、有孔円板状の複数枚の同一外径のディスクが軸方向に重ねられて構成されるもので、その外径が、シート部52の外径より若干大径となっており、ベースバルブ部材41の取付ボス部51とシート部52とに当接して内側の流路57を閉じる。縮み行程で図1に示すピストン17が下室19側に移動して下室19の圧力が上昇すると、ディスクバルブ36は、図2に示すシート部52から離座して内側の流路57を開く。これにより、ベースバルブ部材41に設けられた内側の流路57は、縮み行程にて作動液が下室19からリザーバ室14に向け流通することになり、ディスクバルブ36は、この流路57を開閉し減衰力を発生する縮み側のディスクバルブとなっている。なお、ディスクバルブ36は、ピストン17に設けられた縮み側の減衰バルブ26との関係から、主としてロッド22のシリンダ11への進入により生じる液の余剰分を排出するように下室19からリザーバ室14に液を流す機能を果たす。なお、縮み側のディスクバルブをシリンダ内圧が高くなったときに圧力をリリーフするリリーフ弁としてもよい。
スペーサ66は、その外径が、ディスクバルブ36の外径よりも小径であって取付ボス部51の外径より若干大径の外径となっている。バルブ規制部材67は、その外径が、ディスクバルブ36の外径と同径となっている。バルブ規制部材67は、ディスクバルブ36がシート部52から離れる方向に所定量変形したときに、ディスクバルブ36に当接してそのさらなる変形を規制する。
バルブガイド70は、切削加工を主体として形成されるものであり、図4に示すように、中央側にピン挿通孔77が設けられることで円環状をなす。バルブガイド70の軸方向の両端面は、軸直交方向に沿っており、バルブガイド70の外周側は、軸方向一端側の小径部78と、これより大径の軸方向他端側の大径部79と、これら小径部78および大径部79の間の中径部80となっている。
小径部78は、その外周面が一定径の円筒面となっており、大径部79も、その外周面が一定径の円筒面となっている。中径部80の外周面は、全周にわたって、その軸方向の小径部78側が小径部78の外周面に繋がっており小径部78から軸方向に離れるほど大径となるように傾斜している。中径部80の外周面は、球面状をなしており、言い換えれば、バルブガイド70の中心を含む面で断面としたときの形状が、中径部80の軸方向の小径部78とは反対側に曲率の中心を有する湾曲形状をなしている。中径部80の外周面の大径部79側の端部は大径部79の外周面よりも小径となっており、よって、大径部79は中径部80側に軸直交方向に沿う端面を有している。
ディスクバルブ37は、プレス成形により形成される一体品であり、図3に示すように、中央側に貫通孔84が設けられることで円環状をなすバルブ本体部85と、バルブ本体部85の内周部から中心に向けて延びる3本の弾性脚86とからなっている。
バルブ本体部85は、径方向に一定幅をなしている。3本の弾性脚86は、バルブ本体部85の円周方向の等間隔位置に形成されており、同形状をなしている。弾性脚86は、円周方向の幅が一定であり、延出方向の端部つまり内端部がバルブ本体部85と同心の円弧状をなしている。言い換えれば、弾性脚86の内端部はディスクバルブ37の中心を中心とする円弧状をなしている。3カ所の弾性脚86の内端部は同一円上に配置されており、この円の径は、バルブガイド70の小径部78の径よりも所定量大径となっている。また、弾性脚86は、バルブ本体部85からの延出長さLが、円周方向の幅Wよりも長くなっている。これら弾性脚86は、片持ち状となっているため、円環状のバルブ本体部85よりも剛性が低く変形し易くなっている。言い換えれば、円環状のバルブ本体部85は、弾性脚86よりも剛性が高く変形しにくくなっている。
ディスクバルブ37は、図2に示すように、バルブガイド70を貫通孔84内に挿入させるようにして配置されることになり、より具体的には、3カ所の弾性脚86の内側にバルブガイド70の小径部78を挿入させることになる。言い換えれば、ディスクバルブ37の周方向に3本設けられた弾性脚86がバルブガイド70に向けて延びる状態とする。この状態で、バルブガイド70が、軸方向の小径部78側の端面でベースバルブ部材41のボス部47に当接させられることになる。そして、バルブガイド70のピン挿通孔77に取付ピン61の軸部62が挿通されることになり、この状態で取付ピン61が加締められることで、バルブガイド70が、取付ピン61の加締部64とベースバルブ部材41とによってクランプされ、ディスクバルブ37は、バルブガイド70とベースバルブ部材41とで支持される。
ここで、バルブガイド70の小径部78の軸方向長さは、ベースバルブ部材41のボス部47からの内側シート部48および外側シート部49の軸方向高さとディスクバルブ37の軸方向長さ(板厚)とを加算した値と同等となっている。よって、ディスクバルブ37は、中径部80の小径部78側の端部と、内側シート部48および外側シート部49とに同時に当接する。また、3カ所の弾性脚86の内端部と小径部78との間には隙間が設けられている。
ディスクバルブ37は、バルブ本体部85の外径が外側シート部49の外径よりも若干大径であり、バルブ本体部85の内径が内側シート部48の内径よりも若干小径となっている。よって、バルブ本体部85において内側シート部48および外側シート部49の両方に同時に当接して外側の流路58を閉じることになる。ディスクバルブ37には、バルブ本体部85よりも内側の3カ所の弾性脚86が隣り合うもの同士隙間を有して形成されているため、これらの隙間が、ベースバルブ部材41の内側の流路57を常に下室19に連通させている。
ディスクバルブ37は、伸び行程にて図1に示すピストン17が上室18側に移動して下室19の圧力が下降するとディスクバルブ37が弾性脚86をバルブガイド70の中径部80に当接させながら変形させてバルブ本体85を外側シート部49および内側シート部48から離間させて流路58を開く。このとき、ディスクバルブ37の内周側に設けられた3カ所の弾性脚86は、バルブガイド70の中径部80に当接することでバルブ本体部85の外側シート部49および内側シート部48からの所定値以上の離間を規制する規制部87を構成している。バルブガイド70の中径部80および大径部79は、ディスクバルブ37のバルブガイド70からの抜けも規制する。
ディスクバルブ37は、縮み行程やピストン17が停止状態にあって閉弁しているとき、図5(a)に示すように、全体としてバルブガイド70の中心軸に対して直交する初期状態にあってバルブガイド70の小径部78の位置に位置しており、中径部80と図2に示す内側シート部48および外側シート部49の両方に当接して流路58を閉じている。そして、伸び行程にて開弁する際には、図5(a)から、図5(b)、図5(c)、さらに図5(d)に示すように、バルブ本体85が、流体圧によってバルブガイド70の大径部79側に移動し、図2に示す内側シート部48および外側シート部49の両方から離間して流路58を開く。その際に、図5(b)から図5(c)、さらに図5(d)に示すように、バルブ本体85から延出する3カ所の弾性脚86が、バルブガイド70の中径部80に当接し、略半球形状の中径部80の湾曲形状に沿って徐々に変形量を大きくするように円滑に変形させられることになる。ここで、3カ所の弾性脚86の剛性は低く、しかも内端部が小径部78に対して固定されず径方向に隙間を有していて軸方向に移動可能であるため、剛性が高いバルブ本体85を、その変形を抑制しつつ、内側シート部48および外側シート部49に対して平行移動つまりリフトさせることができる。
他方、伸び行程が終了し、バルブ本体85に加わる流体圧が減少すると、ディスクバルブ37は、図5(d)から図5(c)、図5(b)さらに図5(a)に示すように、3カ所の弾性脚86が弾性によって戻ることになり、全体としてバルブガイド70の中心軸に対して直交する初期状態となり、バルブガイド70の小径部78の位置に位置して図2に示す内側シート部48および外側シート部49の両方に当接して流路58を閉じる。
以上、ベースバルブ部材41に設けられた外側の流路58は、ロッド22が伸び側に移動したときに流体がリザーバ室14から下室19に向け流通することになり、ディスクバルブ37は、この流路58を開閉する伸び側のディスクバルブとなっている。また、このディスクバルブ37は、中心側が取り除かれた形状をなすことで内周部が固定されずに軸方向に移動可能となっており、閉弁時はバルブガイド70の中径部80と内側シート部48および外側シート部49とで挟持される準フローティング構造となっている。なお、ディスクバルブ37は、ピストン17に設けられた伸び側の減衰バルブ27との関係から、主としてロッド22のシリンダ11からの突出に伴う作動液の不足分を補うようにリザーバ室14から下室19に作動液を実質的に抵抗なく(減衰力が出ない程度)流す機能を果たす。
以上に述べた第1実施形態の緩衝器によれば、ディスクバルブ37の内周側に設けられる規制部87を、ディスクバルブ37の軸方向への移動を規制するバルブガイド70に向かって延びディスクバルブ37の周方向に3本設けられた弾性脚86で構成したため、バルブ特性の適正化を図ることが可能となり、搭載車両の乗り心地を改善することができる。
より具体的に、ディスクバルブ37は、中央側に貫通孔84が設けられ、この貫通孔84から中心側に向けて延びて3本の弾性脚86が形成されるものであって、バルブガイド37を貫通孔84に挿入させて設けられるため、貫通孔84の外側のバルブ本体85を環状としてその剛性を高めるとともに、バルブガイド70で移動が規制される弾性脚86を片持ちとして剛性を低くできる。よって、バルブ本体85の変形を抑制しつつ3本の弾性脚86を容易に変形させて流路58を開閉することができる。その結果、ディスクバルブ37の厚さを確保しつつバルブ剛性を低減できることになるため、流体の作用によるディスクバルブ37の振動等を抑制して減衰力特性の安定化が図れるとともに、開閉の応答性を向上させることができる。
また、ディスクバルブ37の弾性脚86を、ディスクバルブ37の周方向に3本設けているため、組み付け位相差等の影響を小さくでき、性能が安定する。この場合、弾性脚86を、ディスクバルブ37の周方向に4本以上設けても良い。
また、バルブガイド70の外周側は、小径部78と、大径部79と、これらの間にあって外周面が球面状とされた中径部80とを有するものであって、3本の弾性脚86の内端部と小径部78との間に隙間を有するため、3本の弾性脚86を、小径部78に引っかかりを生じることなく中径部80の球面状の外周面で円滑に変形させることができる。
また、ディスクバルブ37の弾性脚86の数や幅W、長さLを調整すれば、容易に、必要とするバルブ剛性を得ることができ、必要とする特性を得ることができる。
また、バルブガイド70の中径部80の外周面の形状を調整することによっても、必要とする特性を得ることができる。
また、コイルスプリング等を必要としないため、部品点数を低減することができ、構造を簡素化できる。
なお、ディスクバルブ37の弾性脚86の形状は、上記に限定されることなく種々の形状を採用できる。例えば、図6に示す弾性脚86のように、バルブ本体部85側の幅W2が先端側の幅W1よりも広い先細形状とし、弾性脚86の先端部を基端側に中心を有する円弧状とすることも可能である。
また、図7に示す弾性脚86のように、弾性脚86毎に幅W11,W12,W13を異ならせて、敢えて剛性に差を付けることで、バルブ本体部85を部分的に順番に開弁させるようにすれば、急激な減衰力特性の変化を抑制できる。図6のディスクバルブ37についても、同様に、図8に示す弾性脚86のように、弾性脚毎に、先端側の幅W21,W22,W23を異ならせるとともに基端側の幅W31,W32,W33を異ならせることが可能である。
加えて、弾性脚86の変形をガイドする中径部80および小径部78を全周にわたって形成する以外にも、図9に示すように、各弾性脚86の位置に中径部80および小径部78を溝部90で形成しても良い。この場合、溝部90の円周方向両側に側壁91が形成されることになり、ディスクバルブ37の回転を規制することができる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を主に図10〜図12に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態においては、図10に示すように、上記とは異なるバルブガイド70が用いられている。第2実施形態のバルブガイド70は、板材からプレス成形される中大径部形成体70Aと、円環状の小径部形成体70Bと、二枚のスペーサ70C,70Dとからなっている。
中大径部形成体70Aには、取付ピン61を挿通させるピン挿通孔77Aが、図11に示すように径方向の中央に形成されており、第1実施形態と同様の大径部79および中径部80が形成されている。プレス成形で大径部79および中径部80を形成することにより、これらとは反対側に凹部100が形成されている。図10に示すように、小径部形成体70Bは円環状をなしており、中央に取付ピン61を挿通させるピン挿通孔77Bが、外周側に第1実施形態と同様の小径部78が形成されている。そして、凹部100による軸方向高さの不足分を補うように円環状のスペーサ70C,70Dが凹部100内に配置されている。スペーサ70Cの中央には取付ピン61を挿通させるピン挿通孔77Cが、スペーサ70Dの中央には取付ピン61を挿通させるピン挿通孔77Dが、それぞれ形成されている。軸方向の中大径部形成体70A側のスペーサ70Cは小径の外径を有しており、中大径部形成体70Aとは反対側のスペーサ70Dがスペーサ70Cよりも大径の外径を有している。ここでは、スペーサ70Cを小径部形成体70Bと同じ部品で構成し部品の共用化を図っている。
そして、小径部形成体70Bが、ベースバルブ部材41のボス部47に当接させられることになり、小径部形成体70Bの径方向外側にディスクバルブ37が配置される。さらに、小径部形成体70Bに中大径部形成体70Aが、中大径部形成体70Aにスペーサ70Cが、スペーサ70Cにスペーサ70Dが、それぞれ当接させられることになる。この状態で、ピン挿通孔77A〜77Dに取付ピン61の軸部62が挿通されることになり、この状態で取付ピン61が加締められることで、小径部形成体70B、中大径部形成体70Aおよびスペーサ70C,70Dが、取付ピン61の加締部64とベースバルブ部材41とによってクランプされる。
以上に述べた第2実施形態の緩衝器によれば、バルブガイド70の中大径部形成体70Aをプレス成形により形成できるため、加工コストを低減できる。
なお、第2実施形態においても、図12に示すように、小径部形成体70Bの各弾性脚86の位置にのみ小径部78を溝部101で形成しても良い。これにより、溝部101の円周方向両側に側壁102が形成されることになり、ディスクバルブ37の回転を規制することができる。
11 シリンダ
14 リザーバ室(室)
19 下室(室)
22 ロッド
37 ディスクバルブ
41 ベースバルブ部材(バルブ部材)
48 内側シート部
49 外側シート部
58 流路
70 バルブガイド
78 小径部
79 大径部
80 中径部
84 貫通孔
86 弾性脚
87 規制部

Claims (3)

  1. 流体が封入されるシリンダと、
    該シリンダ内に嵌装され、該シリンダ内を少なくとも2室に仕切るバルブ部材と、
    一端が前記シリンダの外部へ延出されるロッドと、
    前記バルブ部材に設けられ、前記ロッドが移動したときに流体が流通する流路と、
    該流路の内外周に形成されるシート部と、
    該シート部に当接可能であり、前記流路を開閉するディスクバルブと、
    前記ディスクバルブの軸方向への移動を規制するバルブガイドとを備えたシリンダ装置であって、
    前記ディスクバルブは、中央側に貫通孔が設けられる円環状のバルブ本体と、該バルブ本体の内周側から中心側に向けて延びる周方向に3本以上設けられた弾性脚が形成されるものであって、前記バルブガイドが前記貫通孔に挿入されて設けられ、
    前記バルブガイドの外周側は、軸方向の前記シート部側から順に小径部と中径部と大径部とを有するものであって、前記弾性脚の端部と前記小径部との間に隙間を設け、
    前記ディスクバルブが開弁する際、バルブ本体は大径部側に移動し、前記弾性脚は前記中径部に当接し、該中径部の形状に沿って変形することを特徴とするシリンダ装置。
  2. 前記バルブ本体は、前記弾性脚よりも剛性が高いことを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置。
  3. 前記小径部および大径部の外周面は一定径の円筒面であり、前記中径部は球面状であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダ装置。
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