上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機に適用した実施例について説明する。
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は中枠3に取り付けられており、中枠3は本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は中枠3の前面側(遊技者側)に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には円形状の窓部4aが形成されている。この窓部4aにはガラス板等の透明板が嵌め込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種LEDやランプ4b〜4fが設けられている。前面枠4の下方には上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられている。尚、パチンコ機1の左側には球貸装置13(いわゆるCRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図3参照)に供給される。皿外縁部5aには、遊技球の貸し出しを要求するための球貸ボタン5b、球貸装置13からICカードや磁気カード等の記憶媒体を排出するための返却ボタン5cなどの各種ボタン類が設けられている。また、皿外縁部5aの前面側には、演出ボタン5dが設けられており、演出ボタン5dに対する遊技者の操作を受けて、その操作を遊技演出に反映させることが可能となっている。さらに、上皿部5の左端にはスピーカー5yが設けられている。
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿6b内に貯留される。下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが作動して、発射ハンドル8の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。上述した発射装置ユニット12から発射された遊技球は、外レール14と内レール15との間を通って遊技領域11に放出され、遊技領域11を上方から下方に向かって流下する。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、中央装置26のほぼ中央には演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出図柄として3つの識別図柄27a,27b,27cを表示可能となっている。これら3つの識別図柄27a,27b,27cが、例えば「1」〜「9」の9つの数字を次々と切り換えて変動表示を実行する。また、識別図柄27a,27b,27cの背景には、様々な背景画像27eを表示することが可能となっている。
中央装置26の左斜め下方には第1図柄表示装置28が設けられ、中央装置26の右斜め下方には第2図柄表示装置32が設けられている。このうち、第1図柄表示装置28には、第1普通図柄を変動表示するためのLED(第1普図LED)や第1特別図柄を変動表示するための複数のLED(第1特図LED)が設けられており、第2図柄表示装置32には、第2普通図柄を変動表示するためのLED(第2普図LED)や第2特別図柄を変動表示するための複数のLED(第2特図LED)が設けられている。尚、以下では、第1普通図柄を「第1普図」と略記し、第2普通図柄を「第2普図」と略記することがあり、第1特別図柄を「第1特図」と略記し、第2特別図柄を「第2特図」と略記することがあるものとする。
遊技領域11の左端および右端には、左作動ゲート36と右作動ゲート37とが設けられており、これらのゲートの内部には、通過した遊技球を検知する左作動ゲートスイッチ36s(第1検知部)、右作動ゲートスイッチ37s(第2検知部)がそれぞれ設けられている。左作動ゲート36は、中央装置26の左方(第1領域)を流下する遊技球が通過可能となっており、中央装置26の右方(第2領域)を流下する遊技球は左作動ゲート36を通過不能である。一方、右作動ゲート37は、中央装置26の右方を流下する遊技球が通過可能となっており、中央装置26の左方を流下する遊技球は右作動ゲート37を通過不能である。また、左右の作動ゲート36,37と中央装置26との間には、ランプ風車24,25が設けられている。更に、これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
また、中央装置26の下方には、始動口ユニット17が設けられている。始動口ユニット17は、2つの始動口が上下に組み合わせて構成されており、上側に設けられた第1始動口17aは、遊技球が入球する開口部の大きさが不変(一定)で遊技球が常時入球可能な入球口となっている。一方、下側に設けられた第2始動口17bは、左右に開閉可能な一対の翼片部17wや、翼片部17wを動作させる始動口ソレノイド17m(図3参照)などを備えており、翼片部17wの開閉によって遊技球の入球可能性が変化する入球口となっている。第1始動口17aあるいは第2始動口17bに入球した遊技球は、それぞれの内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。第1始動口17aの内部の通路には第1始動口スイッチ17sが設けられており、第1始動口17aに入球した遊技球を検知可能である。また、第2始動口17bの内部の通路には第2始動口スイッチ17tが設けられており、第2始動口17bに入球した遊技球を検知可能である。本実施例の第1始動口17aには、中央装置26の左方を流下する遊技機が入球可能となっているが、中央装置26の右方を流下する遊技球は、中央装置26の右下部に設けられた阻止部26aや、障害釘23の配置などによって第1始動口17aに入球不能(困難)となっている。一方、第2始動口17bには、中央装置26の左方を流下する遊技球および右方を流下する遊技球の何れも入球可能となっている。
始動口ユニット17の右方には、大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開放する大入賞口31d(可変入球口)や、大入賞口31dを開閉させる開閉部材31e、開閉部材31eを動作させる大入賞口ソレノイド31m(図3参照)などから構成されている。後述する所定の条件が成立することにより、大入賞口ソレノイド31mが作動して開閉部材31eが開動作され、大入賞口31dが閉鎖状態(入球不能状態)から開放状態(入球可能状態)に変化する。この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球する遊技者にとって有利な大当り遊技(特定遊技)が開始される。また、大入賞口31dの内部には大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入球した遊技球を検知することが可能である。本実施例の大入賞口31dは、遊技領域11の中央装置26に対して右側に設けられると共に、周囲の障害釘23の配置によって、中央装置26の右方を流下する遊技球が入球可能であるのに対し、中央装置26の左方を流下する遊技球が入球不能(困難)となっている。加えて、始動口ユニット17の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下方にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、識別図柄やランプや効果音などを用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で演出表示装置27の制御を行う演出表示制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図3中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を送受信する方向を表している。
主制御基板200のCPU201は、第1始動口スイッチ17sや、第2始動口スイッチ17t、大入賞口スイッチ31s、左作動ゲートスイッチ36s、右作動ゲートスイッチ37sなどから遊技球の検知信号を受信すると、何れのスイッチからの検知信号であるかに応じて定められる各種の動作を指令するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって送信する。また、主制御基板200には、第2始動口17bに設けられた一対の翼片部17wを開閉させるための始動口ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これら始動口ソレノイド17m、大入賞口ソレノイド31m、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32に向かって駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御も行う。
サブ制御基板220には、演出表示制御基板230、装飾駆動基板226、アンプ基板224、演出ボタン基板228などが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、演出表示装置27の表示制御を行う演出表示制御基板230に対して制御内容を指定するコマンドを送信したり、スピーカー5yを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプ4b〜4fを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を送信したりすることにより、遊技の演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出ボタン基板228を介して演出ボタン5dの操作信号を受信すると、その操作に対応する演出を行う。
演出表示制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、画像ROM234やVDP(図示せず)を備えている。演出表示制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、その受信したコマンドに対応する演出画像を演出表示装置27の表示画面に表示するための制御を行う。画像ROM234には、図柄変動演出や大当り遊技演出など種々の遊技演出に対応する演出画像のデータ(例えば、所定のキャラクタに対応する画像を表示するためのスプライトデータや動画データなど)が格納されている。
払出制御基板240は、いわゆる賞球や貸球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、主制御基板200から賞球の払出コマンドが送信されると、このコマンドを払出制御基板240が受信して、払出モータ70mに駆動信号を送信することによって賞球の払い出しを行う。また、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸ボタン5bや返却ボタン5cを操作すると、その操作信号は、中継端子板242を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240と通信しながら、貸球の払い出しを行う。さらに、払出制御基板240は、主制御基板200からの制御の下で、遊技球の発射を許可する信号(発射許可信号)を発射制御基板260に向かって送信しており、発射制御基板260は、この発射許可信号を受信して、発射装置ユニット12の駆動により遊技球を発射するための各種制御を行っている。
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が球貸装置13にICカードや磁気カードを挿入して遊技球の貸し出しを受ける。そして、貸し出された遊技球を上皿部5の凹部に投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。このとき、遊技球が中央装置26の上方を越えない強さで発射すれば、遊技球が中央装置26の左方を流下すること(いわゆる左打ち)となり、遊技球が中央装置26の上方を越える強さで発射すれば、遊技球が中央装置26の右方を流下すること(いわゆる右打ち)となる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左端に設けられた左作動ゲート36を通過すると、第1図柄表示装置28にて第1普図LEDを点滅させて第1普図の変動表示が行われ、遊技領域11の右端に設けられた右作動ゲート37を通過すると、第2図柄表示装置32にて第2普図LEDを点滅させて第2普図の変動表示が行われる。そして、予め定められた変動時間の経過後に普通図柄LED(第1普図LEDあるいは第2普図LED)が点灯状態(当り図柄)で停止した場合は、普通図柄(第1普図あるいは第2普図)の変動表示の結果が当りとなって、第2始動口17b(始動口ユニット17の下側の始動口)が所定の開放時間だけ開放状態となる。一方、普通図柄LEDが消灯状態(外れ図柄)で停止した場合は、普通図柄の変動表示の結果が外れとなって、第2始動口17bが開放することはない。尚、普通図柄の変動表示の結果が当りとなるか外れとなるかは、主制御基板200のCPU201が行う普図当り判定で決定される。また、普通図柄の変動表示中に遊技球が左作動ゲート36あるいは右作動ゲート37を通過した場合は、この遊技球の通過が第1普通図柄の保留(第1普図保留)あるいは第2普通図柄の保留(第2普図保留)としてRAM203の記憶領域に記憶され、現在の普通図柄の変動表示が終了した後に、その普図保留に基づいて新たに普通図柄の変動表示が行われる。本実施例の第1普図保留および第2普図保留は合計して最大4つまで記憶可能となっている。尚、第1普図保留および第2普図保留をそれぞれ最大4つまで記憶可能としてもよい。
また、遊技領域11に発射した遊技球が第1始動口17aに入球すると、第1図柄表示装置28にて第1特図LEDを点滅させて第1特図の変動表示が行われ、第2始動口17bに入球すると、第2図柄表示装置32にて第2特図LEDを点滅させて第2特図の変動表示が行われる。そして、所定の変動時間が経過すると、大当り図柄または外れ図柄に対応する組合せのLEDを点灯させることで特別図柄(第1特図、第2特図)を停止表示する。その結果、特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技が開始される。尚、特別図柄を大当り図柄および外れ図柄の何れで停止表示させるかは、主制御基板200のCPU201が行う特別図柄の大当り判定で決定される。また、本実施例のパチンコ機1では、4種類の大当り図柄(A〜D)が設けられており、点灯させるLEDの組合せを互いに異ならせて設定されている。更に、第1始動口17aあるいは第2始動口17bへの遊技球の入球は、該入球に基づく特別図柄の変動表示が開始されるまで、第1特別図柄の保留(第1特図保留)あるいは第2特別図柄の保留(第2特図保留)としてRAM203の記憶領域に記憶される。第1特図保留および第2特図保留は、それぞれ最大4つまで記憶可能となっている。
さらに、特別図柄の変動表示と連動して、演出表示装置27では識別図柄27a,27b,27cを変動表示させる演出(図柄変動演出)が行われる。3つの識別図柄27a,27b,27cは、特別図柄が外れ図柄で停止表示される場合には、同じ数字で揃わない組み合わせ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合には、同じ数字で揃う組み合わせ(ゾロ目)で停止表示される。このため、3つの識別図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字で揃っていると、最後に停止表示される識別図柄も同じ数字となって大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように2つの識別図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の識別図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれ、リーチ演出によって遊技興趣を高めることができる。
大当り遊技は、大入賞口31dを開放して、所定の開放時間(例えば30秒)が経過するか、あるいは規定入球数(例えば9個)の遊技球が入球したら閉鎖するラウンド遊技を、複数回繰り返すように構成されている。大入賞口31dに遊技球が1個入球する毎に所定数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出されるので、大当り遊技では、大入賞口31dに多くの遊技球を入球させることで、遊技者は多量の賞球を獲得可能である。また、本実施例のパチンコ機1では、4種類の大当り遊技(A〜D)が設けられており、遊技者が獲得可能な利益が異なっている。何れの大当り遊技(A〜D)が開始されるかは、停止表示される大当り図柄(A〜D)の種類に対応している。従って、大当り遊技の開始によって遊技者が受け得る利益は、4種類の大当り図柄(A〜D)の何れが停止表示されるかに応じて異なる。
図4は、本実施例の4種類の大当り遊技(A〜D)を比較して示した説明図である。図示されるように4種類の大当り遊技(A〜D)は、大入賞口31dが開放状態(入球可能状態)となる回数(ラウンド数)が異なっている。ラウンド数が多いほど、獲得可能な賞球数が増えるので、15Rの大当り遊技Aが遊技者に最も有利であり、続いて10Rの大当り遊技B、5Rの大当り遊技C、2Rの大当り遊技Dの順で遊技者に不利となる。尚、ラウンド数を異ならせる以外にも、大入賞口31dの開放時間や規定入球数を異ならせることによって、4種類の大当り遊技(A〜D)で遊技者の獲得可能な利益を異ならせてもよい。
また、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄が大当り図柄で停止表示する確率(大当り確率)として、低確率と、低確率よりも高い高確率とが設けられている。大当り遊技の終了後には、特別図柄の変動回数が所定回数に達するまで大当り確率が高確率に設定されるので、この間は大当り遊技が連続して発生する(いわゆる連チャン)可能性が高い。さらに、大当り遊技の終了後には、第2始動口17bの開放時間が通常よりも長く設定される開放延長機能や、普通図柄(第1普図、第2普図)および特別図柄(第1特図、第2特図)の変動時間が通常よりも短く設定される変動短縮機能が作動し、これらの機能は、特別図柄の変動回数が所定回数に達するまで継続される。
C.第1実施例のパチンコ機1の制御内容 :
図5は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図5に示すように、遊技制御処理では、「賞球関連処理」、「普図保留関連処理」、「普通図柄遊技処理」、「第2始動口閉鎖処理」、「特図保留関連処理」、「特別図柄遊技処理」、「大当り遊技処理」などの各処理が繰り返し実行されている。CPU201は、所定周期毎に発生するタイマ割り込みに基づき遊技制御処理を行うように構成されており、第1実施例では、4msec毎にタイマ割り込みが発生するものとなっている。つまり、図5に示す遊技制御処理は、CPU201における4msec毎のタイマ割り込み処理として実行される。そして、遊技制御処理中に、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、パチンコ機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。この処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチのうち、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ17sや、第2始動口スイッチ17t、大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球の入球を検知したか否かを判断する。そして、遊技球の入球を検知した場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを送信する。払出制御基板240は、主制御基板200から送信された賞球数指定コマンドを受信するとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出モータ70mに駆動信号を送信することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。こうして賞球関連処理を終了したら、続いて、以下に説明する普図保留関連処理(S100)を開始する。
図6は、普図保留関連処理を示すフローチャートである。図示されるように普図保留関連処理では、先ず、左作動ゲート36または右作動ゲート37を遊技球が通過したか否かを判断する(S102)。前述したように左作動ゲート36および右作動ゲート37の内部には左作動ゲートスイッチ36sおよび右作動ゲートスイッチ37sがそれぞれ設けられており、通過した遊技球を検知可能となっている。左作動ゲート36および右作動ゲート37の何れも遊技球が通過していない場合は(S102:no)、そのまま普図保留処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
一方、左作動ゲート36または右作動ゲート37を遊技球が通過した場合は(S102:yes)、第1普図保留および第2普図保留の合計が保留数の上限値(本実施例では4つ)に達しているか否かを判断する(S104)。既に保留数の上限値に達している場合は(S104:yes)、普図保留関連処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、第1普図保留および第2普図保留の合計が未だ保留数の上限値に達していない場合は(S104:no)、右作動ゲート37を遊技球が通過したか否かを判断する(S106)。右作動ゲート37を遊技球が通過していない場合は(S106:no)、左作動ゲート36を遊技球が通過したと判断されるので、普図当り判定乱数値を取得して、その取得した乱数値を第1普図保留としてRAM203の所定の記憶領域に記憶する(S108)。ここで、普図当り判定乱数値は、普通図柄の変動表示の結果を当りとするか外れとするかを決定する普図当り判定で用いられる乱数値である。こうした乱数は、200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。そして、第1普図保留を記憶したら、普図保留関連処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
一方、S106の判断において、右作動ゲート37を遊技球が通過した場合は(S106:yes)、続いて、開放延長フラグがONに設定されているか否かを判断する(S110)。開放延長フラグは、開放延長機能(第2始動口17bの開放時間を通常よりも長く設定する機能)が作動していることを示すフラグであり、RAM203の所定のアドレスが開放延長フラグの記憶領域として割り当てられている。開放延長フラグがONに設定されている場合、すなわち、開放延長機能の作動中である場合は(S110:yes)、普図当り判定乱数値を取得して、その取得した乱数値を第2普図保留としてRAM203の所定の記憶領域に記憶する(S114)。また、開放延長フラグがONに設定されていない場合は(S110:no)、次に、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S112)。大当りフラグは、大当り遊技中であることを示すフラグであり、RAM203の所定のアドレスが大当りフラグの記憶領域として割り当てられている。大当りフラグがONに設定されている場合、すなわち、大当り遊技中である場合は(S112:yes)、普図当り判定乱数値を取得して、その取得した乱数値を第2普図保留としてRAM203の所定の記憶領域に記憶する(S114)。
これに対して、開放延長フラグがONに設定されておらず(S110:no)、且つ、大当りフラグがONに設定されていない場合は(S112:no)、第2普図保留を記憶することなく、普図保留関連処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。すなわち、第1実施例のパチンコ機1では、開放延長機能の作動中と大当り遊技中に限り、右作動ゲート37を通過した遊技球が有効とされ、開放延長機能が作動しておらず、且つ、大当り遊技中でもない通常状態では、右作動ゲート37を遊技球が通過しても無効とされる。
図5の遊技制御処理では、普図保留関連処理(S100)から復帰すると、以下に説明する普通図柄遊技処理(S150)を実行する。
図7は、普通図柄遊技処理を示すフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、普通図柄遊技処理を開始すると、第2始動口17bが開放中であるか否かを判断する(S152)。前述したように第2始動口17bは、普通図柄(第1普図、第2普図)の変動表示の結果が当りになると、開放状態になる。第2始動口17bが開放中である場合は(S152:yes)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
一方、第2始動口17bが開放中ではない場合は(S152:no)、第1普図および第2普図の何れかが変動表示中であるか否かを判断する(S154)。第1普図および第2普図の何れも変動表示していない場合は(S154:no)、次いで、第1普図または第2普図の確定表示中であるか否かを判断する(S156)。普通図柄の変動表示が終了すると、その結果を確定させるために、所定の確定表示時間が経過するまでは、停止表示された普通図柄を維持することで確定表示を行う。そして、第1普図および第2普図が変動表示中ではなく、確定表示中でもない場合は(S156:no)、さらに、第1普図および第2普図の保留数が「0」であるか否かを判断する(S158)。第1普図および第2普図の保留数が「0」である場合は(S158:yes)、普通図柄の変動表示を開始することができないため、普通図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、第1普図および第2普図の保留数が「0」ではない場合は(S158:no)、RAM203に記憶した順で最も古い第1普図保留あるいは第2普図保留(普図当り判定乱数値)を読み出す(S160)。こうして第1普図保留あるいは第2普図保留を読み出したら、普通図柄の変動表示を開始するための処理(普図変動開始処理)を実行する(S170)。
図8は、第1実施例の普図変動開始処理を示すフローチャートである。普図変動開始処理では、先ず、開放延長フラグがONに設定されているか否かを判断する(S1700)。そして、開放延長フラグがONに設定されていない場合は(S1700:no)、低確率用の普図当り判定テーブルを選択する(S1702)。一方、開放延長フラグがONに設定されている場合は(S1700:yes)、高確率用の普図当り判定テーブルを選択する(S1704)。ここで、普図当り判定テーブルとは、普通図柄の変動表示の結果を当りとするか外れとするかを決定する普図当り判定で参照するテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
図9は、普図当り判定テーブルの例を概念的に示した説明図である。図9(a)には、低確率用の普図当り判定テーブルが示されており、図9(b)には、高確率用の普図当り判定テーブルが示されている。図示されるように、普図当り判定テーブルには、0〜99の普図当り判定乱数値に対して、「当り」または「外れ」の判定結果が対応付けられており、図9(a)の低確率用の普図当り判定テーブルよりも、図9(b)の高確率用の普図当り判定テーブルの方が多くの乱数値に「当り」の判定結果が設定されている。具体的には、低確率用の普図当り判定テーブルでは、2/100の確率で「当り」の判定結果が得られるようになっているのに対して、高確率用の普図当り判定テーブルでは、98/100の確率で「当り」の判定結果が得られるようになっている。
図8の普図変動開始処理では、開放延長フラグの設定に応じて普図当り判定テーブルを選択すると、その選択したテーブルを参照して、図7のS160で第1普図保留あるいは第2普図保留として読み出した普図当り判定乱数値が「当り」に対応付けられている乱数値であるか否か、すなわち、判定結果が当りであるか否かを判断する(S1706)。判定結果が当りではない場合は(S1706:no)、停止図柄を外れ図柄(普通図柄LEDが消灯状態)に設定する(S1708)。一方、判定結果が当りである場合は(S1706:yes)、停止図柄を当り図柄(普通図柄LEDが点灯状態)に設定する(S1710)。
また、普図当り判定の結果が当りである場合は、続いて、第2始動口17bの開放パターン(開放時間)の設定を行う。先ず、開放延長フラグがONに設定されているか否かを判断し(S1712)、開放延長フラグがONに設定されている場合は(S1712:yes)、長開放パターン(例えば、開放時間が5秒)に設定する(S1714)。これに対して、開放延長フラグがONに設定されていない場合は(S1712:no)、次いで、図7のS160で読み出した普図保留が第2普図保留であるか否かを判断する(S1716)。第2普図保留ではない場合は(S1716:no)、第1普図保留であると判断されるので、第1普図用の開放パターン決定テーブルを参照して、開放パターンを設定する(S1718)。一方、第2普図保留である場合は(S1716:yes)、第2普図用の開放パターン決定テーブルを参照して、開放パターンを設定する(S1720)。
図10は、開放パターン決定テーブルの例を概念的に示した説明図である。図10(a)には、第1普図用の開放パターン決定テーブルが示されており、図10(b)には、第2普図用の開放パターン決定テーブルが示されている。これらのテーブルは、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。開放パターン決定テーブルには、0〜99の開放パターン決定乱数値に対して、長開放パターンに比べて第2始動口17bへの遊技球の入球が不利な短開放パターン(例えば、開放時間が0.5秒)、または短開放パターンに比べて第2始動口17bへの遊技球の入球が有利な中開放パターン(例えば、開放時間が3秒)が対応付けられている。開放パターン決定乱数値は、普図当り判定で当りとなった場合に取得する乱数値である。尚、開放パターン決定乱数値は、普図当り判定乱数値と同様に左作動ゲート36あるいは右作動ゲート37を遊技球が通過したことに基づいて取得してもよい。S1718およびS1720の処理では、開放パターン決定テーブルを参照し、取得した開放パターン決定乱数値に対応付けられている開放パターンを設定する。図示されるように、図10(a)の第1普図用の開放パターン決定テーブルよりも、図10(b)の第2普図用の開放パターン決定テーブルの方が多くの乱数値に中開放パターンが対応付けられている。具体的には、第1普図用の開放パターン決定テーブルを参照すると、10/100の確率で中開放パターンが設定されるのに対して、第2普図用の開放パターン決定テーブルを参照すると、90/100の確率で中開放パターンが決定される。従って、第1普図で当りになるよりも、第2普図で当りになった方が、中開放パターンが設定され易くなっている。
以上のようにして第1普図あるいは第2普図の停止図柄や、第2始動口17bの開放パターンを設定したら、次に、第1普図あるいは第2普図を変動表示させる時間(変動時間)の設定を行う。変動時間の設定に際しては、先ず、変動短縮フラグがONに設定されているか否かを判断する(S1722)。変動短縮フラグは、変動短縮機能(普通図柄および特別図柄の変動時間を通常よりも短く設定する機能)が作動していることを示すフラグであり、RAM203の所定のアドレスが変動短縮フラグの記憶領域として割り当てられている。変動短縮フラグがONに設定されていない場合は(S1722:no)、変動時間を通常時間(例えば、20秒)に設定する(S1724)。これに対して、変動短縮フラグがONに設定されている場合、すなわち、変動短縮機能の作動中である場合は(S1722:yes)、変動時間を短時間(例えば、1秒)に設定する(S1726)。
こうして変動時間を設定したら、第1普図保留に基づくものであれば、第1普図の変動表示を開始し、第2普図保留に基づくものであれば、第2普図の変動表示を開始する(S1728)。そして、普通図柄の変動表示を開始すると、普図変動開始処理を終了して、図7の普通図柄遊技処理に復帰する。また、普通図柄遊技処理では、普図変動開始処理(S170)から復帰すると、そのまま処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
以上では、図7のS154の判断において、第1普図および第2普図の何れも変動表示していない場合(S154:no)に行われる処理について説明した。これに対して、第1普図または第2普図が変動表示中である場合は(S154:yes)、普通図柄(第1普図、第2普図)の変動時間が経過したか否かを判断する(S172)。前述したように普通図柄の変動表示を開始する際には、変動時間が設定される(図8のS1724、S1726)。そして、未だ普通図柄の変動時間が経過していない場合は(S172:no)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
一方、普通図柄の変動時間が経過した場合は(S172:yes)、変動表示中の普通図柄を、予め設定しておいた停止図柄(当り図柄または外れ図柄)で停止表示させ(S174)、次いで、普通図柄の確定表示時間(停止表示させた普通図柄を維持する時間)を設定する(S176)。
こうして普通図柄を停止表示させると、普通図柄の確定表示時間が経過したか否かを判断する(S178)。未だ普通図柄の確定表示時間が経過していない場合は(S178:no)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
一方、普通図柄の確定表示時間が経過した場合は(S178:yes)、普通図柄が当り図柄(普通図柄LEDが点灯状態)で停止表示されたか否かを判断する(S180)。普通図柄が当り図柄で停止表示された場合は(S180:yes)、主制御基板200のCPU201(第2始動口制御手段)が始動口ソレノイド17mを作動させて、第2始動口17bの翼片部17wを直立させた閉鎖状態(通常の態様)から外側に回動させた開放状態に変化させることにより、第2始動口17bを開放する(S182)。これに対して、普通図柄が当り図柄で停止表示されていない場合は(S180:no)、第2始動口17bを開放することなく、普通図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
図5の遊技制御処理では、普通図柄遊技処理(S150)から復帰すると、第2始動口17bが開放状態であるか否かを判断する(S190)。そして、開放状態である場合は(S190:yes)、第2始動口17bを開放状態から閉鎖状態にするための処理(第2始動口閉鎖処理)を行う(S200)。一方、第2始動口17bが開放状態ではない場合は(S190:no)、第2始動口閉鎖処理を行う必要はないので省略する。
第2始動口閉鎖処理(S200)では、第2始動口17bの開放時間が経過したか否かを判断する。そして、開放時間が経過した場合は、開放状態の第2始動口17bを閉鎖状態にする。前述したように第2始動口17bの開放パターンとして、短開放パターン(例えば、開放時間が0.5秒)と、中開放パターン(例えば、開放時間が3秒)と、長開放パターン(例えば、開放時間が5秒)とが設けられており、開放延長機能が作動している状態では、長開放パターンに設定される。また、開放延長機能が作動していない状態では、第1普図で当りになるよりも、第2普図で当りになった方が、中開放パターンに設定される確率が高くなっている。一方、第2始動口17bの開放時間が経過していない場合は、第2始動口17bを開放状態としたまま、第2始動口閉鎖処理(S200)を終了する。こうして第2始動口閉鎖処理を終了すると、以下に説明する特図保留関連処理(S250)を実行する。
図11は、特図保留関連処理を示すフローチャートである。特図保留関連処理では、先ず、第1始動口17aに遊技球が入球したか否かを判断する(S252)。前述したように第1始動口17aに入球した遊技球は、第1始動口スイッチ17sによって検知可能となっている。遊技球が第1始動口17aに入球した場合は(S252:yes)、第1特別図柄の保留数(第1特図保留数)が上限値(本実施例では4つ)に達しているか否かを判断する(S254)。第1特図保留数が上限値に達していない場合は(S254:no)、各種の判定乱数値(取得情報)を取得する(S256)。ここで、判定乱数値としては、後述する特別図柄の大当り判定で用いられる大当り判定乱数値や、特別図柄の変動表示の終了時に停止表示させる図柄の決定に用いられる図柄決定乱数値や、特別図柄の変動表示の態様(変動パターン)の決定に用いられる変動パターン決定乱数値などを取得する。そして、取得した判定乱数値を第1特図保留としてRAM203(第1記憶手段)の所定の記憶領域に記憶すると(S258)、第1特図保留数に1を加算する(S260)。
これに対して、第1始動口17aに遊技球が入球していない場合や(S252:no)、第1特図保留数が既に上限値に達していた場合は(S254:yes)、判定乱数値を取得したり、記憶したりする一連の処理(S256〜S260)を省略する。
続いて、第2始動口17bに遊技球が入球したか否かを判断する(S262)。前述したように第2始動口17bに入球した遊技球は、第2始動口スイッチ17tによって検知可能となっている。第2始動口17bに遊技球が入球した場合は(S262:yes)、第2特別図柄の保留数(第2特図保留数)が上限値(本実施例では4つ)に達しているか否かを判断する(S264)。第2特図保留数が上限値に達していない場合は(S264:no)、各種の判定乱数値(大当り判定乱数値、図柄決定乱数値、変動パターン決定乱数値など)を取得する(S266)。そして、取得した判定乱数値を第2特図保留としてRAM203(第2記憶手段)の所定の記憶領域に記憶すると(S268)、第2特図保留数に1を加算する(S270)。
これに対して、第2始動口17bに遊技球が入球していない場合や(S262:no)、第2特図保留数が既に上限値に達していた場合は(S264:yes)、判定乱数値を取得したり、記憶したりする一連の処理(S266〜S270)を省略する。
以上のようにして、第1特図保留および第2特図保留に関する処理を終了したら、特図保留関連処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。そして、遊技制御処理では、特図保留関連処理から復帰すると、以下に説明する特別図柄遊技処理(S300)を開始する。
図12および図13は、特別図柄遊技処理を示すフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、特別図柄遊技処理を開始すると、大当り遊技中であるか否か(大当りフラグがONに設定されているか否か)を判断する(S302)。そして、大当り遊技中である場合は(S302:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。これに対して、大当り遊技中ではない場合は(S302:no)、第1特図および第2特図の何れかが変動表示中であるか否かを判断する(S304)。
第1特図および第2特図の何れも変動表示中ではない場合は(S304:no)、第1特図または第2特図が確定表示中であるか否かを判断する(S306)。特別図柄(第1特図、第2特図)の変動表示が終了すると、その結果を確定させるために、所定の確定表示時間が経過するまでは、停止表示された特別図柄を維持することで確定表示を行う。そして、第1特図および第2特図が変動表示中でもなく、確定表示中でもない場合は(S306:no)、特別図柄の変動表示を開始するための処理(特図変動開始処理)を実行する(S310)。
図14および図15は、特図変動開始処理を示すフローチャートである。図示されるように特図変動開始処理では、先ず、第2特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S3100)。第2特図保留数が「0」ではない場合は(S3100:no)、記憶されている第2特図保留の中から最も古くに記憶された第2特図保留を読み出す(S3102)。このS3102の処理では、第2特図保留として記憶されている各種の判定乱数値(大当り判定乱数値、図柄決定乱数値、変動パターン決定乱数値など)を読み出す。
一方、第2特図保留数が「0」である場合は(S3100:yes)、次に、第1特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S3104)。第1特図保留数が「0」ではない場合は(S3104:no)、記憶されている第1特図保留の中から最も古くに記憶された第1特図保留を読み出す(S3106)。このS3106の処理では、第1特図保留として記憶されている各種の判定乱数値(大当り判定乱数値、図柄決定乱数値、変動パターン決定乱数値など)を読み出す。これに対して、第1特図保留数が「0」である場合は(S3104:yes)、既に第2特図保留数も「0」と判断されていることから、第1特図保留および第2特図保留の何れも記憶されていないと判断されるので、第1特図あるいは第2特図の変動表示を開始する必要はない。そこで、特図変動開始処理を終了して、図12および図13に示した特別図柄遊技処理に復帰する。
尚、上述したように特図変動開始処理では、先ず、第2特図保留が記憶されているか否かを判断し(S3100)、第2特図保留が記憶されていない場合にだけ(S3100:yes)、第1特図保留が記憶されているか否かを判断している(S3104)。従って、第1特図保留と第2特図保留とが両方とも記憶されている場合には、常に第2特図保留が第1特図保留に優先して読み出される(第2特図保留を優先消化する)こととなり、第1特図保留が読み出されるのは、第2特図保留が記憶されていない場合に限られる。
以上のようにして、第1特図保留または第2特図保留を読み出したら(S3102またはS3106)、高確率フラグがONに設定されているか否かを判断する(S3108)。前述したように特別図柄(第1特図、第2特図)が大当り図柄で停止表示される確率(大当り確率)として、低確率と、低確率よりも高い高確率とが設けられている。高確率フラグは、大当り確率が高確率に設定されていることを示すフラグであり、RAM203の所定のアドレスが高確率フラグの記憶領域として割り当てられている。高確率フラグがONに設定されていない場合は(S3108:no)、低確率用の大当り判定テーブルを選択し(S3120)、高確率フラグがONに設定されている場合は(S3108:yes)、高確率用の大当り判定テーブルを選択する(S3122)。ここで、大当り判定テーブルとは、特別図柄の変動表示の結果を大当りとするか外れとするかを決定する大当り判定で参照するテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
図16は、大当り判定テーブルの例を概念的に示した説明図である。図16(a)には低確率用の大当り判定テーブルが示されており、図16(b)には高確率用の大当り判定テーブルが示されている。図16(a)に示すように、低確率用の大当り判定テーブルには、0〜599の大当り判定乱数値のうち13,14の値に対して「大当り」の判定結果が設定されている。これに対して、図16(b)に示すように、高確率用の大当り判定テーブルには、0〜599の大当り判定乱数値のうち13〜32の値に対して「大当り」の判定結果が設定されている。
図16(a)と図16(b)とを比較すれば明らかなように、図16(b)に示す高確率用の大当り判定テーブルは、図16(a)に示す低確率用の大当り判定テーブルよりも多くの乱数値に「大当り」の判定結果が設定されている。換言すれば、高確率用の大当り判定テーブルには、低確率用の大当り判定テーブルよりも「大当りの判定結果が得られる乱数値(大当り値)」が多くの設定されている。従って、図16(b)の高確率用の大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行った場合には、図16(a)の低確率用の大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行った場合よりも、高い確率で「大当り」の判定結果が得られることになる。
続いて、図14の特図変動開始処理では、S3120またはS3122で選択した大当り判定テーブルを参照し、第1特図保留または第2特図保留として読み出した大当り判定乱数値が「大当り」に対応する値(大当り値)であるか否か、すなわち、大当り判定の結果が大当りであるか否かを判断する(S3124)。大当り判定の結果が大当りではない(外れである)場合は(S3124:no)、停止表示させる図柄(停止図柄)として外れ図柄を主制御基板200のRAM203に記憶する(S3126)。
これに対して、大当り判定の結果が大当りである場合は(S3124:yes)、その大当り判定が第2特図保留に基づいて行われたものであるか否かを判断する(S3128)。第2特図保留に基づくものではない場合は(S3128:no)、第1特図保留に基づくものと判断されるので、第1特図用の大当り図柄決定テーブルを参照して、大当り図柄を決定する(S3130)。一方、第2特図保留に基づくものである場合は(S3128:yes)、第2特図用の大当り図柄決定テーブルを参照して、大当り図柄を決定する(S3132)。
図17は、大当り図柄決定テーブルの例を概念的に示した説明図である。図17(a)には、第1特図用の大当り図柄決定テーブルが示されており、図17(b)には、第2特図用の大当り図柄決定テーブルが示されている。これらのテーブルは、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。図示されるように、大当り図柄決定テーブルには、0〜99の図柄決定乱数値に対して、4種類の大当り図柄(A〜D)の何れかが対応付けられている。S3130およびS3132の処理では、大当り図柄決定テーブルを参照し、第1特図保留または第2特図保留として読み出した図柄決定乱数値に対応付けられている図柄を、停止表示させる大当り図柄に決定する。前述したように4種類の大当り図柄(A〜D)は、4種類の大当り遊技(A〜D)とそれぞれ対応している(図4参照)ことから、停止表示させる大当り図柄が決定されると同時に、実行される大当り遊技の内容(ラウンド数)も決定されることになる。
図17(a)に示した第1特図用の大当り図柄決定テーブルでは、0〜99の図柄決定乱数値のうち、0〜9(10%)に大当り図柄Aが設定され、10〜19(10%)に大当り図柄Bが設定され、20〜59(40%)に大当り図柄Cが設定され、60〜99(40%)に大当り図柄Dが設定されている。従って、第1特図で大当りとなった場合には、停止表示させる大当り図柄として、大当り図柄Aまたは大当り図柄Bよりも、大当り図柄Cまたは大当り図柄Dが決定され易い(全体の80%)。
一方、図17(b)に示した第2特図用の大当り図柄決定テーブルでは、0〜99の図柄決定乱数のうち、0〜39(40%)に大当り図柄Aが設定され、40〜79(40%)に大当り図柄Bが設定され、80〜89(10%)に大当り図柄Cが設定され、90〜99(10%)に大当り図柄Dが設定されている。従って、第2特図で大当りとなった場合には、停止表示させる大当り図柄として、大当り図柄Cまたは大当り図柄Dよりも、大当り図柄Aまたは大当り図柄Bが決定され易い(全体の80%)。図4を用いて前述したように大当り遊技A,Bは、大当り遊技C,Dに比べてラウンド数が多いことから、第2特図で大当りになる方が、第1特図で大当りになるよりも遊技者にとって有利である。
こうして4種類の大当り図柄(A〜D)の中から一の大当り図柄を決定したら、その決定した大当り図柄を、停止表示させる図柄(停止図柄)として主制御基板200のRAM203に記憶する(S3134)。
以上のようにして大当り判定の結果に応じて停止図柄を記憶すると、特別図柄(第1特図、第2特図)の変動表示の態様(変動パターン)を決定する処理(変動パターン決定処理)を実行する(S3136)。ここで、特別図柄の変動表示の態様は、実際には第1特図LEDまたは第2特図LEDの点滅を繰り返すことであり、特別図柄の変動パターンとは、特別図柄を変動表示させる時間(変動時間)に対応するものである。変動パターン決定処理は、変動パターン決定テーブル(図示せず)を参照しながら行う。変動パターン決定テーブルには、変動パターン決定乱数値と、複数の変動パターン(変動時間)との対応関係が設定されている。また、変動パターン決定テーブルは、大当り判定の結果が大当りであるか否か、変動短縮機能の作動中であるか否かなどの様々な条件に応じて複数設けられており、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。S3136の処理では、現在の条件に応じて適切な変動パターン決定テーブルを参照し、第1特図保留または第2特図保留として読み出した変動パターン決定乱数値に対応付けられている変動パターンを、当該保留に基づいて変動表示を開始する特別図柄の変動パターンに決定する。
変動パターン決定処理(S3136)を終了すると、第2特図保留に基づいて行われた大当り判定であるか否かを判断する(図15のS3138)。第2特図保留に基づいて行われた大当り判定であった場合は(S3138:yes)、第2特図の変動表示を開始して(S3140)、第2特図保留数から1を減算する(S3142)。一方、第1特図保留に基づいて行われた大当り判定であった場合は(S3138:no)、第1特図の変動表示を開始して(S3144)、第1特図保留数から1を減算する(S3146)。
こうして第1特図あるいは第2特図の変動表示を開始すると、変動表示を開始した特別図柄(第1特図、第2特図)の変動パターンの種類を指定する変動パターン指定コマンドや、特別図柄の停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドを、変動開始時コマンドとしてサブ制御基板220に向けて送信する(S3148)。
尚、サブ制御基板220に搭載されたCPU221は、変動開始時コマンドを受信すると、変動パターン指定コマンドに基づいて、演出表示装置27で実行する図柄変動演出(識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始してから停止表示するまでの演出パターン)を選択し、識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始する。また、停止図柄指定コマンドに基づいて、演出表示装置27で停止表示させる識別図柄27a,27b,27cの組み合わせを選択する。
主制御基板200のCPU201は、変動開始時コマンドをサブ制御基板220に向けて送信すると、特図変動開始処理を終了して、図12および図13の特別図柄遊技処理に復帰する。また、特別図柄遊技処理では、特図変動開始処理(S310)から復帰すると、そのまま処理を終了して、図5に示す遊技制御処理に復帰する。
以上では、図12および図13の特別図柄遊技処理の実行に際して大当り遊技中ではなく(S302:no)、第1特図および第2特図の何れも変動表示していない(S304:no)場合の処理について説明した。これに対して、大当り遊技中ではないが、第1特図または第2特図が変動表示中である場合は(S304:yes)、既に特別図柄(第1特図または第2特図)の変動パターンと停止図柄とが決定されて、第1特図または第2特図の変動表示が開始されている場合に該当する。そこで、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S312)。第1特図または第2特図の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、第1特図または第2特図の変動表示を開始すると同時に所定のタイマ(変動時間計測タイマ)に変動時間を設定することにより、変動時間が経過したか否かを判断することができる。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S312:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図5に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過した場合は(S312:yes)、変動表示中の第1特図または第2特図を、予め決定しておいた停止図柄(図14のS3126,S3134)で停止表示させ(S314)、特別図柄を停止表示させたことを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって送信する(S316)。そして、停止表示させた特別図柄を維持する時間(確定表示時間)を設定し(S318)、その確定表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。確定表示時間が経過していない場合は(S320:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図5に示す遊技制御処理に復帰する。
こうして第1特図あるいは第2特図が停止表示された状態で、図5の遊技制御処理に復帰した後、再びS300の特別図柄遊技処理(図12および図13)が実行されると、第1特図および第2特図が変動表示中ではないと判断され(S304:no)、続いて、特別図柄の確定表示中であるか否かの判断では、確定表示中と判断されるので(S306:yes)、再び確定表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。そして、確定表示時間が経過した場合は(S320:yes)、特別図柄(第1特図あるいは第2特図)が大当り図柄で停止表示されたか否かを判断する(図13のS322)。特別図柄が大当り図柄で停止表示された場合は(S322:yes)、停止表示された大当り図柄の種類(A〜D)に応じて大当り遊技の内容(ラウンド数)を設定し(S324)、大当りフラグをONに設定する(S326)。
また、大当り遊技を開始するにあたって、高確率フラグ、開放延長フラグ、変動短縮フグなどの各種フラグがONに設定されていれば、ONのフラグをOFFに設定する(S328)。これらのフラグは、大当り遊技を終了する際に改めて設定される。
こうして大当り遊技を開始するためのフラグ設定処理を終了すると(S326、S328)、大当り遊技の開始を示すコマンド(大当り遊技開始コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信する(S330)。サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技開始コマンドを受信すると、大当り遊技に対応した演出を実行する。また、主制御基板200のCPU201は、大当り遊技開始コマンドを送信したら(S330)、特別図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
以上では、図12および図13の特別図柄遊技処理にて特別図柄(第1特図あるいは第2特図)が大当り図柄で停止表示された場合(S322:yes)の処理について説明した。これに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示されなかった場合、すなわち、外れ図柄で停止表示された場合は(S322:no)、以下のような処理を行う。
先ず、高確率フラグがONに設定されているか否かを判断する(S334)。高確率フラグは、大当り確率が高確率に設定されていることを示すフラグであり、前述したように大当り遊技が終了すると、特別図柄の変動回数が所定回数に達するまで大当り確率が高確率に設定される。高確率フラグがONに設定されている場合は(S334:yes)、高確率カウンタから1を減算して(S336)、高確率カウンタが「0」になったか否かを判断する(S338)。高確率カウンタは、大当り確率の高確率設定を終了するまでの残り変動回数が設定されるカウンタであり、特別図柄の変動表示が終了する毎に1を減算する。その結果、高確率カウンタが「0」になった場合は(S338:yes)、大当り確率の高確率設定を終了するべく、高確率フラグをOFFに設定する(S340)。
一方、S334の判断において、高確率フラグがONに設定されていない場合は(S334:no)、S336〜S340の処理を省略し、また、S338の判断において、高確率カウンタが「0」になっていない場合は(S338:no)、大当り確率の高確率設定が継続されるので、S340の処理を省略する。
続いて、変動短縮フラグがONに設定されているか否かを判断する(S342)。変動短縮フラグは、変動短縮機能が作動中であることを示すフラグであり、前述したように大当り遊技の終了後は、変動短縮機能および開放延長機能が作動し、特別図柄の変動回数が所定回数に達するまで継続される。変動短縮フラグがONに設定されている場合は(S342:yes)、変動短縮カウンタから1を減算して(S344)、変動短縮カウンタが「0」になったか否かを判断する(S346)。変動短縮カウンタは、変動短縮機能を停止(終了)するまでの残り変動回数が設定されるカウンタであり、特別図柄の変動表示が終了する毎に1を減算する。その結果、変動短縮カウンタが「0」になった場合は(S346:yes)、変動短縮機能および開放延長機能を停止するべく、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFに設定する(S348)。
これに対して、S342の判断において、変動短縮フラグがONに設定されていない場合は(S342:no)、S344〜S348の処理を省略し、また、S346の判断において、変動短縮カウンタが「0」になっていない場合は(S346:no)、変動短縮機能および開放延長機能が継続されるので、S348の処理を省略する。
こうして高確率フラグ、変動短縮フラグ、開放延長フラグの設定に関する処理を行ったら、サブ制御基板220に向かって遊技状態指定コマンドを送信する(S350)。ここで、遊技状態指定コマンドとは、高確率フラグや変動短縮フラグや開放延長フラグなどの設定に応じて定まる遊技状態をサブ制御基板220に指定するためのコマンドである。サブ制御基板220のCPU221は、遊技状態指定コマンドを受信すると、遊技状態に応じた演出モードに切り換える。また、主制御基板200のCPU201は、遊技状態指定コマンドを送信すると、特別図柄遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
図5の遊技制御処理では、特別図柄遊技処理(S300)から復帰すると、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S380)。前述したように大当りフラグは、大当り遊技中であることを示すフラグである。そこで、主制御基板200のCPU201は、大当りフラグがONに設定されている場合は(S380:yes)、以下の大当り遊技処理を実行する(S400)。一方、大当りフラグがONに設定されていない場合は(S380:no)、大当り遊技処理(S400)を省略して、遊技制御処理の先頭に戻る。
図18は、大当り遊技処理を示すフローチャートである。主制御基板200のCPU201(特定遊技実行手段)は、大当り遊技処理を開始すると、大入賞口31dが開放中であるか否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、大当り遊技が開始されない限りは閉鎖されており、大当り遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖している。そこで、大入賞口31dは開放中ではないと判断して(S402:no)、ラウンド遊技の回数(ラウンド数)が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。
当然のことながら、大当り遊技が開始された直後は、ラウンド数は所定回数に達していないので(S404:no)、大入賞口31dの閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口31dの閉鎖時間とは、ラウンド遊技とラウンド遊技との間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。大当り遊技が開始された直後は、当然、大入賞口31dの閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開放させてラウンド遊技を開始する(S408)。そして、大当り遊技処理を一旦終了して、図5に示す遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図5に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び大当り遊技処理(S400)を開始する。このときには、S402の判断において、大入賞口31dが開放中(S402:yes)と判断される。
続いて、大入賞口31dの閉鎖条件が満たされたか否かを判断する。ラウンド遊技では、大入賞口31dが開放された後、所定の開放時間が経過するか、あるいは大入賞口31dに規定数の遊技球が入球すると、大入賞口31dが閉鎖される。そこで、先ず大入賞口31dが開放してから所定の開放時間が経過したか否かを判断し(S412)、開放時間が経過した場合は(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S416)。一方、開放時間が経過していない場合は(S412:no)、次に、大入賞口31dに規定数の遊技球が入球したか否かを判断し(S414)、規定数の遊技球が入球した場合は(S414:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S416)。これに対して、大入賞口31dに規定数の遊技球が入球していない場合は(S414:no)、大入賞口31dの閉鎖条件が成立していないので、大入賞口31dを開放させたまま、大当り遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰する。
図5の遊技制御処理を繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dが開放してから所定の開放時間が経過するか(S412:yes)、大入賞口31dに規定数の遊技球が入球すると(S414:yes)、大入賞口31dを閉鎖して(S416)、1回のラウンド遊技が終了する。
そして、次に大当り遊技処理が実行される際には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンド遊技が終了したか否かを判断する(S404)。前述したように大当り遊技中に行われるラウンド遊技の回数(ラウンド数)は、特別図柄で停止表示された大当り図柄の種類(A〜D)によって異なっている。そこで、S404の処理では、大当り図柄(A〜D)の種類に応じて設定されたラウンド数だけラウンド遊技が行われたか否かを判断する。そして、全てのラウンド遊技が終了していなければ(S404:no)、大入賞口31dの閉鎖時間が経過したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開放状態として新たなラウンド遊技を開始する(S408)。一方、S404において、所定回数のラウンド遊技が終了したと判断された場合は(S404:yes)、大当り遊技を終了させるべく、大当りフラグをOFFに設定する(S418)。そして、大当り遊技の終了を示すコマンド(大当り遊技終了コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信した後(S420)、以下のように高確率フラグ、変動短縮フラグ、開放延長フラグの設定に関する処理を行う。
先ず、大当り確率を高確率とするために高確率フラグをONに設定する(S422)。第1実施例のパチンコ機1では、大当り遊技が終了すると、特別図柄の変動回数が最大で(大当りが発生しなければ)100回に達するまで大当り確率が高確率に設定される。そこで、高確率フラグをONに設定したら、高確率カウンタに100を設定する(S424)。
続いて、主制御基板200のCPU201(高頻度遊技状態発生手段)は、変動短縮機能および開放延長機能を作動させるために変動短縮フラグおよび開放延長フラグをONに設定する(S426)。第1実施例のパチンコ機1では、大当り遊技の終了後に特別図柄の変動回数が最大で(大当りが発生しなければ)200回に達するまで変動短縮機能および開放延長機能が継続される。そこで、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをONに設定したら、変動短縮カウンタに200を設定する(S428)。尚、変動短縮フラグおよび開放延長フラグは、同じタイミングでONあるいはOFFに設定されるので、何れか一方のフラグのみを設定して、該一方のフラグを他方のフラグに代えて利用する構成としてもよい。
こうして各種フラグを設定したら、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板220に向かって送信して(S430)、大当り遊技処理を終了する。また、大当り遊技処理を終了して、図5の遊技制御処理に復帰すると、処理の先頭に戻って、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、パチンコ機1での遊技を進行させる。ここで、前述したように、第1実施例のパチンコ機1では、遊技球が左作動ゲート36を通過したことに基づいて第1普図の変動表示を行い、遊技球が右作動ゲート37を通過したことに基づいて第2普図の変動表示を行うようになっており、第1普図または第2普図が当り図柄で停止表示されると、第2始動口17bが開放状態となって、第2始動口17bへの遊技球の入球(第2特図保留の蓄積)が可能となる。この第2始動口17bの開放延長機能の非作動時における開放パターンとして、開放時間が短い短開放パターン(第1の態様)と、短開放パターンより開放時間が長い中開放パターン(第2の態様)とが設けられており、第1普図が当り図柄で停止表示された場合よりも、第2普図が当り図柄で停止表示された場合の方が、中開放パターンに設定される確率が高くなっている。こうすることで、大当り遊技の終了時点で第2特図の保留が存在しないことによるストレスを遊技者に与えてしまうことを極力防止することが可能となっている。以下では、この点について詳しく説明する。
図19は、第1実施例のパチンコ機1における遊技の進行を例示したタイムチャートである。先ず、変動短縮機能および開放延長機能が作動しておらず、且つ、大当り遊技中でもない通常状態では、遊技球を中央装置26の左方を流下するように発射すること(いわゆる左打ちを行うこと)によって、第1始動口17aに遊技球を入球させることが可能であり、その入球に基づいて第1特図の変動表示が行われる。尚、前述したように第1始動口17aには、中央装置26の左方を流下する遊技球が入球可能となっており、中央装置26の右方を流下する遊技球が入球不能(困難)となっている。
また、左打ちによって遊技球が左作動ゲート36を通過すると、第1普図の変動表示が行われ、当り図柄が停止表示されることで第2始動口17bが開放されるので、第2始動口17bへの遊技球の入球が可能となる。但し、開放延長機能が作動しておらず、第1普図で当り図柄が停止表示された場合は、第2始動口17bの開放パターンとして開放時間の短い短開放パターンに設定され易いので、左打ちによる第2始動口17bへの遊技球の入球頻度は高くはなく、第2特図保留の発生可能性は低い。そのため、第1特図を主体とする遊技が進行し、大当り図柄が停止表示されると、大当り遊技が開始される。
大当り遊技中は、通常状態と同様に変動短縮機能および開放延長機能が作動していないが、通常状態では閉鎖されている大入賞口31dが開放される。この大入賞口31dには、中央装置26の右方を流下する遊技球が入球可能となっており、中央装置26の左方を流下する遊技球が入球不能(困難)となっている。そのため、遊技球を中央装置26の右方を流下するように発射すること(いわゆる右打ちを行うこと)によって大入賞口31dに遊技球を入球させることが可能である。また、右打ちによって遊技球が右作動ゲート37を通過すると、第2普図の変動表示が行われ、当り図柄が停止表示されることで第2始動口17bが開放されるので、第2始動口17bへの遊技球の入球が可能となる。
ここで、従来のパチンコ機1では、開放延長機能が作動していない大当り遊技中と通常状態とで第2特図保留の発生可能性にほとんど変化がなく、大当り遊技の終了時点で第2特図保留が存在しない状況が発生し得る。この場合、第1特図保留に基づいて第1特図の変動表示が行われることになり、第1特図で大当り図柄が停止表示されると、せっかく大当りが発生しても、遊技者にとって不利となってしまう。この理由について補足して説明する。先ず、大当り遊技の終了後に変動短縮機能および開放延長機能の作動状態が設定されると、普通図柄(第1普図および第2普図)の当り確率が高くなって第2始動口17bが頻繁に開放すると共に、第2始動口17bの開放パターンが長開放パターンに設定されることにより、第2始動口17bへの遊技球の入球頻度が非常に高くなるので、第2特図保留の発生可能性が高まる。そして、第2特図で大当りになる方が、第1特図で大当りになるよりも利益の高い大当り遊技(大当り遊技A,B)となる可能性が高い。そのため、大当り遊技の終了時点で第2特図保留が存在しないと、せっかく変動短縮機能および開放延長機能の作動状態となって遊技者に有利な第2特図保留の発生可能性が高まるのに、第1特図保留に基づいて第1特図の変動表示が開始されて大当りが発生してしまっては、利益の低い大当り遊技(大当り遊技C,D)となる可能性が高くなる。このように大当り遊技の終了時点で第2特図保留が存在していない状況は、遊技者にとって不利となるため、遊技者にストレスを与えてしまう。
そこで、第1実施例のパチンコ機1では、大当り遊技中に右打ちして遊技球が右作動ゲート37を通過したことに基づいて第2普図の変動表示が行われると、遊技球が左作動ゲート36を通過したことに基づいて第1普図の変動表示が行われる場合に比べて、当り確率は同じであるものの、当りが発生した際に第2始動口17bの開放パターンが中開放パターンに設定される確率が高くなっている。これにより、大当り遊技中における第2始動口17bへの遊技球の入球頻度が高められるので、第2特図保留の確保が容易となる。その結果、大当り遊技の終了時点で第2特図保留が存在しないことによるストレスを遊技者に与えることを極力防止することができる。
また、第1実施例のパチンコ機1では、通常状態にて右打ちを行うと、第1始動口17aに遊技球が入球せず、第1特図を変動表示させることができないので、通常状態では遊技者に左打ちを行うように促すことができる。加えて、右作動ゲート37は、開放延長機能の作動中と大当り遊技中に限り、遊技球の通過が有効とされ、通常状態では、遊技球が通過しても無効とされる(第2始動口17bが開放状態とされることがない)ので、通常状態での右打ちを抑制することができる。こうすることで、通常状態において第2特図保留が頻繁に発生して遊技者に過度に有利となることを防止できる。更に、通常状態で左打ちを行っていても、左作動ゲート36を遊技球が通過したことに基づいて第1普図の変動表示が行われ、当り図柄が停止表示されると、短開放パターンに設定され易いものの第2始動口17bが開放されるので、第2始動口17bへの遊技球の入球可能性を持たせることができる。
D.第2実施例のパチンコ機1の制御内容 :
第2実施例の説明に際しては、第1実施例と共通する部分については同じ符号を用いることとして説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
図20は、第2実施例の普図変動開始処理を示すフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、第2実施例の普図変動開始処理を開始すると、開放延長フラグがONに設定されているか否かを判断し(S1700)、開放延長フラグがONに設定されていない場合は(S1700:no)、図7のS160で読み出した普図保留が第2普図保留であるか否かを判断する(S1701)。第2普図保留ではない場合は(S1701:no)、図9(a)に示した低確率用の普図当り判定テーブルを選択する(S1702)。これに対して、第2普図保留である場合は(S1701:yes)、中確率用の普図当り判定テーブルを選択する(S1703)。
図21は、第2実施例の中確率用の普図当り判定テーブルの例を概念的に示した説明図である。図示されるように中確率用の普図当り判定テーブルには、0〜99の普図当り判定乱数値に対して、「当り」または「外れ」の判定結果が対応付けられており、図9(a)の低確率用の普図当り判定テーブルと比較すると、図21の中確率用の普図当り判定テーブルの方が多くの乱数値に「当り」の判定結果が設定されている。具体的には、低確率用の普図当り判定テーブルでは、2/100の確率で「当り」の判定結果が得られるようになっているのに対して、中確率用の普図当り判定テーブルでは、60/100の確率で「当り」の判定結果が得られるようになっている。
一方、S1700の判断において、開放延長フラグがONに設定されている場合は(S1700:yes)、高確率用の普図当り判定テーブルを選択する(S1704)。こうして開放延長フラグの設定、および普図保留が第1普図保留か第2普図保留かに応じて普図当り判定テーブルを選択すると、その選択したテーブルを参照して、図7のS160で第1普図保留あるいは第2普図保留として読み出した普図当り判定乱数値が「当り」に対応付けられている乱数値であるか否か、すなわち、判定結果が当りであるか否かを判断する(S1706)。前述したように、開放延長フラグがONに設定されていない(開放延長機能が作動していない)場合、第1普図保留であれば低確率用の普図当り判定テーブルが選択され、第2普図保留であれば中確率用の普図当り判定テーブルが選択されるので、第1普図保留に基づく普図当り判定よりも、第2普図保留に基づく普図当り判定の方が、判定結果が当りになり易くなっている。
そして、判定結果が当りではない場合は(S1706:no)、停止図柄を外れ図柄に設定する(S1708)。一方、判定結果が当りである場合は(S1706:yes)、停止図柄を当り図柄に設定する(S1710)。また、普図当り判定の結果が当りである場合は、続いて、第2始動口17bの開放パターン(開放時間)の設定を行う。先ず、開放延長フラグがONに設定されているか否かを判断し(S1712)、開放延長フラグがONに設定されている場合は(S1712:yes)、長開放パターン(例えば、開放時間が5秒)に設定する(S1714)。これに対して、開放延長フラグがONに設定されていない場合は(S1712:no)、普図保留が第1普図保留であるか第2普図保留であるかに拘らず、短開放パターン(例えば、開放時間が0.5秒)に設定する(S1715)。
以上のようにして第1普図あるいは第2普図の停止図柄や、第2始動口17bの開放パターンを設定したら、次に、第1普図あるいは第2普図を変動表示させる時間(変動時間)の設定を行う。先ず、変動短縮フラグがONに設定されているか否かを判断し(S1722)、変動短縮フラグがONに設定されていない場合は(S1722:no)、変動時間を通常時間(例えば、20秒)に設定する(S1724)。これに対して、変動短縮フラグがONに設定されている場合は(S1722:yes)、変動時間を短時間(例えば、1秒)に設定する(S1726)。
こうして変動時間を設定したら、第1普図保留に基づくものであれば、第1普図の変動表示を開始し、第2普図保留に基づくものであれば、第2普図の変動表示を開始する(S1728)。そして、普通図柄の変動表示を開始すると、普図変動開始処理を終了して、図7の普通図柄遊技処理に復帰する。
図22は、第2実施例のパチンコ機1における遊技の進行を例示したタイムチャートである。先ず、変動短縮機能および開放延長機能が作動しておらず、且つ、大当り遊技中でもない通常状態では、遊技球を中央装置26の左方を流下するように発射すること(いわゆる左打ちを行うこと)によって、第1始動口17aに遊技球を入球させることが可能であり、その入球に基づいて第1特図の変動表示が行われる。尚、前述したように第1始動口17aには、中央装置26の左方を流下する遊技球が入球可能となっており、中央装置26の右方を流下する遊技球が入球不能(困難)となっている。
また、左打ちによって遊技球が左作動ゲート36を通過すると、第1普図の変動表示が行われ、当り図柄が停止表示されることで第2始動口17bが開放されるので、第2始動口17bへの遊技球の入球が可能となる。但し、第1普図の当り判定は、低確率用の普図当り判定テーブルを参照して行われるので、第1普図で当りとなって第2始動口17bが開放される頻度は高くはなく、第2特図保留の発生可能性は低い。そのため、第1特図を主体とする遊技が進行し、大当り図柄が停止表示されると、大当り遊技が開始される。
大当り遊技中は、通常状態と同様に変動短縮機能および開放延長機能が作動していないが、通常状態では閉鎖されている大入賞口31dが開放される。この大入賞口31dには、中央装置26の右方を流下する遊技球が入球可能となっており、中央装置26の左方を流下する遊技球が入球不能(困難)となっている。そのため、遊技球を中央装置26の右方を流下するように発射すること(いわゆる右打ちを行うこと)によって大入賞口31dに遊技球を入球させることが可能である。また、右打ちによって遊技球が右作動ゲート37を通過すると、第2普図の変動表示が行われ、当り図柄が停止表示されることで第2始動口17bが開放されるので、第2始動口17bへの遊技球の入球が可能となる。
ここで、従来のパチンコ機1では、大当り遊技中と通常状態とで普通図柄の当り確率(第2始動口17bの開放頻度)にほとんど変化がなく、大当り遊技の終了時点で第2特図保留が存在しない状況が発生し得る。この場合、第1特図保留に基づいて第1特図の変動表示が行われることになり、第1特図で大当り図柄が停止表示されると、せっかく大当りが発生しても、遊技者にとって不利となってしまう。この理由について補足して説明する。先ず、大当り遊技の終了後に変動短縮機能および開放延長機能の作動状態が設定されると、普通図柄(第1普図および第2普図)の当り確率が高くなって第2始動口17bが頻繁に開放すると共に、第2始動口17bの開放パターンが長開放パターンに設定されることにより、第2始動口17bへの遊技球の入球頻度が非常に高くなるので、第2特図保留の発生可能性が高まる。そして、第2特図で大当りになる方が、第1特図で大当りになるよりも利益の高い大当り遊技(大当り遊技A,B)となる可能性が高い。そのため、大当り遊技の終了時点で第2特図保留が存在しないと、せっかく変動短縮機能および開放延長機能の作動状態となって遊技者に有利な第2特図保留の発生可能性が高まるのに、第1特図保留に基づいて第1特図の変動表示が開始されて大当りが発生してしまっては、利益の低い大当り遊技(大当り遊技C,D)となる可能性が高くなる。このように大当り遊技の終了時点で第2特図保留が存在していない状況は、遊技者にとって不利となるため、遊技者にストレスを与えてしまう。
そこで、第2実施例のパチンコ機1では、大当り遊技中に右打ちして遊技球が右作動ゲート37を通過したことに基づいて第2普図の変動表示が行われると、遊技球が左作動ゲート36を通過したことに基づいて第1普図の変動表示が行われる場合に比べて、当り確率が高くなっている。これにより、大当り遊技中における第2始動口17bの開放頻度が高められるので、第2特図保留の確保が容易となる。その結果、大当り遊技の終了時点で第2特図保留が存在しないことによるストレスを遊技者に与えることを極力防止することができる。
また、第2実施例のパチンコ機1では、通常状態にて右打ちを行うと、第1始動口17aに遊技球が入球せず、第1特図を変動表示させることができないので、通常状態では遊技者に左打ちを行うように促すことができる。加えて、右作動ゲート37は、開放延長機能の作動中と大当り遊技中に限り、遊技球の通過が有効とされ、通常状態では、遊技球が通過しても無効とされる(第2始動口17bが開放状態とされることがない)ので、通常状態での右打ちを抑制することができる。こうすることで、通常状態において第2特図保留が頻繁に発生して遊技者に過度に有利となることを防止できる。更に、通常状態で左打ちを行っていても、左作動ゲート36を遊技球が通過したことに基づいて第1普図の変動表示が行われ、低確率ではあるものの当り図柄が停止表示されると、第2始動口17bが開放されるので、第2始動口17bへの遊技球の入球可能性を持たせることができる。
E.変形例 :
以上、第1実施例および第2実施例のパチンコ機1について説明したが、実施態様はこれに限られるわけではなく、次のような変形例の態様で実施することも可能である。
E−1.第1変形例 :
前述した実施例では、通常状態において遊技球が右作動ゲート37を通過しても無効とすることで、通常状態での右打ちを抑制していた。しかし、通常状態にて右打ちを抑制する構成は、これに限られない。第1変形例では、変動短縮機能および開放延長機能の作動状態ではなく、且つ、大当り遊技中でもない通常状態であると、第2普図で当りが発生した際に第2始動口17bの開放パターンが中開放パターンに設定される確率を低くするようになっている。
具体的には、第1変形例の普図保留関連処理(図6参照)では、S106の判断において、右作動ゲート37を遊技球が通過した場合は(S106:yes)、開放延長フラグの設定や大当りフラグの設定に拘らず、普図当り判定乱数値を取得して、その取得した乱数値を第2普図保留としてRAM203の所定の記憶領域に記憶する(S114)。つまり、通常状態においても、右作動ゲート37を通過した遊技球が有効とされる。
そして、第1変形例の普図変動開始処理(図8参照)では、S1716の判断において、第2普図保留である場合は(S1716:yes)、続いて、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断し、大当りフラグがONに設定されている場合は、図10(b)に示した第2普図用の開放パターン決定テーブルを参照して開放パターンを設定する。一方、大当りフラグがONに設定されていない場合は、通常状態第2普図用の開放パターン決定テーブルを参照して開放パターンを設定する。
図23は、第1変形例の通常状態第2普図用の開放パターン決定テーブルの例を概念的に示した説明図である。図示されるように通常状態第2普図用の開放パターン決定テーブルには、0〜99の開放パターン決定乱数値に対して、短開放パターン(例えば、開放時間が0.5秒)、または中開放パターン(例えば、開放時間が3秒)が対応付けられており、図10(a)の第1普図用の開放パターン決定テーブルと比較すると、図23の通常状態第2普図用の開放パターン決定テーブルの方が中開放パターンに対応付けられている乱数値が少なくなっている。具体的には、第1普図用の開放パターン決定テーブルを参照すると、10/100の確率で中開放パターンが設定されるのに対して、通常状態第2普図用の開放パターン決定テーブルを参照すると、5/100の確率で中開放パターンが設定される。従って、第1変形例の通常状態では、第1普図で当りになるよりも、第2普図で当りになった方が、中開放パターンが設定される可能性が低くなっている。
このように第1変形例のパチンコ機1では、変動短縮機能および開放延長機能の作動状態ではなく、且つ、大当り遊技中でもない通常状態において、左打ちによって遊技球が左作動ゲート36を通過したことに基づいて第1普図で当りになるよりも、右打ちによって遊技球が右作動ゲート37を通過したことに基づいて第2普図で当りになった方が、第2始動口17bに遊技球が入球し難く遊技者にとって不利になっている。そのため、通常状態にて右打ちを抑制することができる。
また、通常状態では、第2始動口17bへの遊技球の入球可能性のあるゲーム性を実現しつつも、第2特図保留が過度に記憶されることを抑制することができる。一方、大当り遊技中は、遊技球が右作動ゲート37を通過することによって、第2特図保留を容易に記憶させることができる。
E−2.第2変形例 :
第2変形例では、通常状態であると、第2普図の当り確率を低下させることによって、通常状態での右打ちを抑制するようになっている。具体的には、第2変形例の普図保留関連処理(図6参照)では、通常状態でも、右作動ゲート37を通過した遊技球を有効とする。そして、第2変形例の普図変動開始処理(図8参照)では、S1700の判断において、開放延長フラグがONに設定されていない場合は(S1700:no)、続いて、大当りフラグがOFFに設定されており、且つ、第2普図保留であるか否かを判断し、何れかを満たさない場合は、図9(a)の低確率用の普図当り判定テーブルを選択し、何れも満たす場合は、通常状態第2普図用の普図当り判定テーブルを選択する。
図24は、第2変形例の通常状態第2普図用の普図当り判定テーブルの例を概念的に示した説明図である。図示されるように、通常状態第2普図用の普図当り判定テーブルには、0〜99の普図当り判定乱数値に対して、「当り」または「外れ」の判定結果が対応付けられており、図9(a)の低確率用の普図当り判定テーブルと比較すると、図24の通常状態第2普図用の普図当り判定テーブルの方が「当り」に対応付けられている乱数値が少なくなっている。具体的には、低確率用の普図当り判定テーブルでは、2/100の確率で「当り」の判定結果が得られるようになっているのに対して、通常状態第2普図用の普図当り判定テーブルでは、1/100の確率で「当り」の判定結果が得られるようになっている。従って、第2変形例の通常状態では、第1普図よりも、第2普図の当り確率が低くなっている。
このように第2変形例のパチンコ機1では、変動短縮機能および開放延長機能の作動状態ではなく、且つ、大当り遊技中でもない通常状態において、左打ちによって遊技球が左作動ゲート36を通過したことに基づき第1普図の変動表示が行われるよりも、右打ちによって遊技球が右作動ゲート37を通過したことに基づき第2普図の変動表示が行われる方が、当りが発生し難く(第2始動口17bが開放され難く)遊技者にとって不利になっている。そのため、通常状態にて右打ちを抑制することができる。
尚、前述した第2実施例に第2変形例を適用する場合には、次のようにすればよい。図20に示した普図変動開始処理のS1701の判断において、第2普図保留である場合は(S1701:yes)、続いて、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断し、大当りフラグがONに設定されている場合は、図21の中確率用の普図当り判定テーブルを選択する。一方、大当りフラグがONに設定されていない場合は、図24の通常状態第2普図用の普図当り判定テーブルを選択する。
E−3.第3変形例 :
第3変形例では、通常状態であると、第2普図の変動時間を長くすることによって、通常状態での右打ちを抑制するようになっている。具体的には、第3変形例の普図保留関連処理(図6参照)では、通常状態でも、右作動ゲート37を通過した遊技球を有効とする。そして、第3変形例の普図変動開始処理(図8参照)では、S1722の判断において、変動短縮フラグがONに設定されていない場合は(S1722:no)、続いて、大当りフラグがOFFに設定されており、且つ、第2普図保留であるか否かを判断し、何れかを満たさない場合は、変動時間を通常時間(例えば、20秒)に設定し、何れも満たす場合は、変動時間を長時間(例えば、10分)に設定する。従って、第3変形例の通常状態では、第1普図よりも第2普図の変動時間が長くなっている。
このように第3変形例のパチンコ機1では、変動短縮機能および開放延長機能の作動状態ではなく、且つ、大当り遊技中でもない通常状態において、左打ちによって遊技球が左作動ゲート36を通過したことに基づき第1普図の変動表示が行われるよりも、右打ちによって遊技球が右作動ゲート37を通過したことに基づき第2普図の変動表示が行われる方が、変動表示が終了するまでに長時間を要することによって第2始動口17bの開放頻度が低下し、遊技者にとって不利になっている。そのため、通常状態にて右打ちを抑制することができる。
E−4.第4変形例 :
第4変形例では、通常状態にて第2始動口17bに遊技球が入球したことに基づいて第2特図で大当りになると、大当り遊技の利益を低くすることによって、通常状態での右打ちを抑制するようになっている。具体的には、第4変形例の普図保留関連処理(図6参照)では、通常状態でも、右作動ゲート37を通過した遊技球を有効とする。そして、第4変形例の特図変動開始処理(図14参照)では、S3128の判断において、第2特図保留である場合は(S3128:yes)、続いて、開放延長フラグがONに設定されているか否かを判断し、開放延長フラグがONに設定されている場合は、図17(b)に示し第2特図用の大当り図柄決定テーブルを参照して大当り図柄を決定する。一方、開放延長フラグがONに設定されていない場合は、通常状態第2特図用の大当り図柄決定テーブルを参照して大当り図柄を決定する。
図25は、第4変形例の通常状態第2特図用の大当り図柄決定テーブルの例を概念的に示した説明図である。図示されるように通常状態第2特図用の大当り図柄決定テーブルには、0〜99の大当り図柄決定乱数値に対して、4種類の大当り図柄(A〜D)の何れかが対応付けられており、図17(a)の第1特図用の大当り図柄決定テーブルと比較すると、図25の通常状態第2特図用の大当り図柄決定テーブルの方が、大当り図柄A,Bに対応付けられている乱数値が少なくなっている。従って、第4変形例の通常状態では、第1特図で大当りになるよりも、第2特図で大当りになった方が、利益の高い大当り遊技(大当り遊技A,B)となる可能性が低くなっている。
このように第4変形例のパチンコ機1では、変動短縮機能および開放延長機能の作動状態ではなく、且つ、大当り遊技中でもない通常状態において、左打ちによって遊技球が第1始動口17aに入球したことに基づいて第1特図で大当りになるよりも、右打ちによって遊技球が第2始動口17bに入球したことに基づいて第2特図で大当りになった方が、利益の高い大当り遊技(大当り遊技A,B)となり難く遊技者にとって不利になっている。そのため、通常状態にて右打ちを抑制することができる。
尚、大当り図柄の種類(A〜D)に応じて大当り遊技の終了後の変動短縮カウンタに設定する数値を異ならせることで、利益に変化を付けてもよく、通常状態において第2特図で大当りとなった場合は、第1特図で大当りとなった場合に比べて、変動短縮カウンタに小さい数値が設定される大当り図柄に決定され易くしてもよい。
以上、本発明について実施例および変形例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、前述した第1実施例のパチンコ機1では、開放延長機能が作動していないと、第1普図用の開放パターン決定テーブル、または第2普図用の開放パターン決定テーブルを参照して開放パターンを設定するようになっており、開放パターン決定テーブルには、短開放パターンおよび中開放パターンの何れにも開放パターン決定乱数値が割り当てられていた。しかし、第1普図であれば、短開放パターンを設定し、第2普図であれば、中開放パターンを設定するようにしてもよい。尚、第1実施例のように、第1普図用の開放パターン決定テーブルを用いることによって、左打ちによって第1普図で当りになった場合でも、第2始動口17bが中開放パターンで開放される場合を設けることができる。
また、前述した第1実施例のパチンコ機1では、開放延長機能が作動していないときの第2始動口17bの開放パターンとして、第2始動口17bの開放時間の異なる短開放パターンと中開放パターンとが設けられていた。しかし、これに限られず、第2始動口17bの開放回数を異ならせてもよい。具体的には、第1普図で当りとなった場合は、第2始動口17bの開放回数が少ない少開放パターン(例えば、開放回数が1回)を設定し、第2普図で当りとなった場合は、少開放パターンよりも開放回数が多い多開放パターン(例えば、開放回数が5回)に設定してもよい。
また、前述した第1実施例および第2実施例のパチンコ機1では、左作動ゲート36に対応する第1普図と、右作動ゲート37に対応する第2普図の2つの普通図柄が設けられていたが、普通図柄が1つの構成としてもよい。この場合は、遊技球が左作動ゲート36および右作動ゲート37の何れを通過したことに基づく普図保留であるかを記憶しておくこととして、遊技球が通過した作動ゲートに応じて普通図柄の変動表示に係る処理(例えば、参照する開放パターン決定テーブルや、参照する普図当り判定テーブル)を選択すればよい。
また、第1実施例と第2実施例とを個別に説明したが、第1実施例の構成と第2実施例の構成とは互いに背反するものではなく、両方の構成を兼ね備えることとしてもよい。
また、前述した第1実施例および第2実施例では、大当り遊技中に右打ちすることにより、第2始動口17bが開放され易くなり、第2特図保留の発生可能性が高くなっていた。しかし、大当り遊技中の全てで第2特図保留の発生可能性が高くなっている必要はない。すなわち、大当り遊技の終了時点で第2特図保留が1つか2つ確保されていればよいことから、大当り遊技の一部(例えば、最初のラウンド遊技や、最後のラウンド遊技)でのみ、第2特図保留の発生可能性が高まるようにしてもよい。例えば、第1実施例では、開放延長機能が作動していないときに第2普図で当りになると、大当り遊技における特定のラウンド遊技中であるか否かを判断し、特定のラウンド遊技中ではない場合は、中開放パターンの選択確率を第1普図で当りとなったときと同等とし、特定のラウンド遊技中である場合は、中開放パターンの選択確率を第1普図で当りとなったときよりも高くしてもよい。また、第2実施例では、開放延長機能が作動していないときに第2普図の変動表示を開始するに際して、大当り遊技における特定のラウンド遊技中であるか否かを判断し、特定のラウンド遊技中ではない場合は、当り確率を第1普図の変動表示のときと同等とし、特定のラウンド遊技中である場合は、当り確率を第1普図の変動表示のときよりも高くしてもよい。このようにすれば、大当り遊技中に第2特図保留数が上限値に達して遊技者に過度に有利となることを防止できる。
さらには、大当り遊技中でも、既に第2特図保留が存在している場合には、第2特図保留の発生可能性を高めなくてもよい。例えば、第1実施例では、開放延長機能が作動していないときに第2普図で当りになると、第2特図保留があるか否かを判断し、第2特図保留がある場合は、中開放パターンの選択確率を第1普図で当りとなったときと同等とし、第2特図保留がない場合は、中開放パターンの選択確率を第1普図で当りとなったときよりも高くしてもよい。また、第2実施例では、開放延長機能が作動していないときに第2普図の変動表示を開始するに際して、第2特図保留があるか否かを判断し、第2特図保留がある場合は、当り確率を第1普図の変動表示のときと同等とし、第2特図保留がない場合は、当り確率を第1普図の変動表示のときよりも高くしてもよい。このようにすれば、大当り遊技中に第2特図保留数が上限値に達して遊技者に過度に有利となることを防止できる。
また、前述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口17a、第2始動口17b、大入賞口31d等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAMに記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、前述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。