次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行うパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
(パチンコ機の概略構成について)
図1に示すように、実施例に係るパチンコ機10は、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤20(図2または図3参照)が着脱可能に保持された本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられている。また、遊技盤20の後側には、各種図柄を表示部13aで変動表示可能な図柄表示装置13(図2参照)が配設されている。中枠12の前面側には、遊技盤20を透視保護するガラス板14aを備えた装飾枠としての前枠14が開閉可能に組付けられると共に、前枠14の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。実施例では、前枠14の下部位置に下球受け皿15の上側に位置して、パチンコ球を貯留する上球受け皿16が一体的に組み付けられており、前枠14の開閉に合わせて上球受け皿16も一体的に開閉するよう構成される。実施例のパチンコ機10では、図柄表示装置13として、液晶画面からなる表示部13aで各種演出表示を行う液晶タイプが採用されている。ここで、図柄表示装置13としては、液晶タイプに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。また、上球受け皿16は、前枠14と別体に形成して中枠12に対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
(遊技盤20について)
前記中枠12に配設される遊技盤20は、ベニヤからなる平板状の板部材で構成され、図2または図3に示すように、盤前面(盤面)にパチンコ球が流下可能な遊技領域20aが画成されている。なお、遊技盤20の後側には、各種遊技部品の設置基盤となる設置部材60が取り付けられ、この設置部材60に前記図柄表示装置13が着脱可能に配設される。遊技盤20の盤前面には、案内レール23,24が配設されると共に、該案内レール23の右方位置に、左端縁が右方に凹む円弧状に形成した盤面飾り部材25が配設され、案内レール23,34および盤面飾り部材25によって遊技領域20aが略円形状に画成される。案内レールは、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール23と、この外レール23の内側に中央下部から左上部にかけて並べて配置された内レール24とからなり、中枠12に配設された図示しない打球発射装置から発射されたパチンコ球が外レール23と内レール24との間に設けた発射通路26を通過して、遊技領域20aの左上部に開口する発射口26aから該遊技領域20aに打ち出され、該遊技領域20a内をパチンコ球が流下して遊技が行われる。なお、遊技盤20の遊技領域20a内には、多数の遊技釘27や風車28等が配設されており、該遊技釘27や風車28等との接触により遊技領域20aを流下するパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成してある。
図2および図3に示すように、前記遊技盤20には、前後に貫通する中央貫通口20b(図4および図6参照)が形成されており、この中央貫通口20bに嵌め合わせて装飾部材(所謂センター役物)30が配設されている。装飾部材30は、前後に開口する窓口30aを画成した枠状に形成され、中央貫通口20bに窓口30aを前後に重ねた状態で遊技盤20に対して着脱可能に配設される。そして、遊技盤20の中央部には、設置部材60に図柄表示装置13を取り付けた際に、図柄表示装置13の前面に設けた表示部13aが、中央貫通口20bおよび窓口30aを介して後側から臨み(図2参照)、該表示部13aで展開される図柄変動などの各種演出を前側から視認し得るようになっている。ここで、パチンコ機10では、図柄表示装置13の表示部13aの中央部が遊技者の目の高さと同じあるいは僅かに見下ろす高さになるよう配置される。
図2および図3に示すように、遊技盤20には、装飾部材30の下方位置に始動入賞装置32が配設され、遊技領域20aの左右方向中央部に開口する始動入賞口32a,32bに遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞することで、図柄表示装置13での図柄変動を開始したり、所定数の賞球の払い出しなどが行われる。また、遊技盤20には、始動入賞装置32の下方位置に特別入賞装置34が配設され、始動入賞口32a,32bの下方位置で遊技領域20aに臨むように特別入賞口34aが設けられている。特別入賞装置34は、大当り時などの所定の遊技状態において、特別入賞口34aを塞ぐ開閉扉35を開放変位して、特別入賞口34aを開放するようになっている。そして、遊技領域20aを流下するパチンコ球が前記特別入賞口34aに入賞することで、所定数の賞球の払い出しなどが行われる。また、遊技盤20には、装飾部材30の左側位置に、パチンコ球が通過可能なゲート36が配設され、遊技領域20aを流下するパチンコ球がゲート36を通過するを契機として、下側の始動入賞口34bに配設された羽根部材33(図3参照)を開放するなどが行われる。更に、遊技盤20には、遊技領域20aの左側下部に普通入賞装置38が配設され、遊技領域20aに開口する普通入賞口38aに該遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞することで、所定数の賞球の払い出しなどが行われるようになっている。なお、実施例では特別入賞口34aの右側にも普通入賞装置38は配設されている。
図2に示すように、遊技盤20の前側から視認可能な位置には、始動入賞口32a,32bに入賞した入賞球の有効保留数を表示する保留表示手段130が、窓口30aを介して前側に臨む図柄表示装置13の表示部13aよりも下側に配設されている。実施例の保留表示手段130は、窓口30aの開口内側下部に配置され、該窓口30aに後側から臨む表示部13aの直下で、始動入賞装置32の始動入賞口32a,32bの上側に位置している。保留表示手段130は、後述する保留レンズ部(発光部)139の点灯の有無によって入賞球の有効保留数を表示するものであり、始動入賞口32a,32bに入賞したパチンコ球の入賞検知に応じて保留レンズ部139が1つずつ点灯されて、表示部13aにおいて入賞球に対応した図柄変動が開始される度に保留レンズ部139が1つずつ消灯される。実施例の始動入賞装置32は、上下2つの始動入賞口32a,32bを有し、上側の始動入賞口32aから入賞した入賞球の有効保留数(実施例では4つ)を左側に並ぶ4つの保留レンズ部139で点灯表示すると共に、下側の始動入賞口32bから入賞した入賞球の有効保留数(実施例では4つ)を右側に並ぶ4つの保留レンズ部139で点灯表示するよう構成される。
図2または図3に示すように、前記遊技盤20には、可動演出装置42,52が配設され、遊技に際して図柄表示装置13の表示部13aに表示される図柄等の遊技演出や大当りなどの遊技状態等に応じた所定のタイミングで、可動演出装置42,52に所定の動作を行わせ、遊技者の興趣を高めるようになっている。実施例の遊技盤20には、前後の軸周りに回転動作を行う第1可動飾り部(飾り部)44を有する第1可動演出装置42が装飾部材30の上縁部略中央に配設され、前後の軸周りに回転動作を行う第2可動飾り部54を有する第2可動演出装置52が装飾部材30の右縁部に配設されている。ここで、第1可動演出装置42は、装飾部材30の上縁部に延在する庇状部70の窓口30a側(下側)で、表示部13aの上側に配置されている。また、第2可動演出装置52は、装飾部材30の右縁部に延在する庇状部70の窓口30a側(左側)で、表示部13aの右側に配置されている。
図4に示すように、第1可動演出装置42は、光を透過可能な第1固定飾り部45で前側を覆われた第1可動発光基板47と、第1可動モータ46によって回転される回転軸44aの前端に取り付けられ、第1固定飾り部45の前側に配置された第1可動飾り部44とを備え、第1可動モータ46の駆動により第1可動飾り部44を回転し得ると共に、第1可動発光基板47の前面に設けられたLED等の第1飾り発光体48から前方へ照射した光によって、第1固定飾り部45および第1可動飾り部44を発光させるようになっている。なお、第1可動演出装置42は、装飾部材30の後述する第1庇片71を発光させる発光手段としても機能する。
(可動演出装置42,52について)
図10に示すように、第2可動演出装置52は、LED等の第2可動発光体を前面に備えた第2可動発光基板(図示せず)の前側を覆うように設けられた第2固定飾り部55と、この第2固定飾り部55の前側に上下に離間して配設された複数(実施例では3つ)の第2可動飾り部54とを備えている。第2可動演出装置52は、第2駆動モータ56(図12参照)の駆動により複数の第2可動飾り部54を同期して回転し得ると共に、第2可動発光体から前方へ照射した光によって第2可動飾り部54および第2固定飾り部55を発光させるようになっている。各可動演出装置42,52は、可動飾り部44,54、固定飾り部45,55、可動発光基板47および可動モータ46,56などの構成部材をまとめて取り扱い可能なユニット構造になっており、装飾部材30に対して各可動演出装置単位で着脱可能に構成されている(図14参照)。
(設置部材60について)
前記遊技盤20の後側には、各種の遊技部品が配設される合成樹脂製の設置部材60が配設され、この設置部材60の後側に図柄表示装置13が着脱可能に配設される。図9に示すように、設置部材60は、前後に貫通する表示開口部62aが略中央部に開設された設置板部62と、この設置板部62の周縁から前方に立設された設置周壁部64とを有し、前側に開口する略矩形箱状に形成されている。設置部材60は、設置周壁部64の前端部に形成された取付片64aを遊技盤20の後面に突き当ててネジ止め固定され、設置板部62と遊技盤20との間に各種遊技部品を配設可能な所要の設置空間を画成している。また、設置部材60は、図柄表示装置13を後側に取り付けた際に表示部13aが表示開口部62aに臨むようになっている。そして、設置部材60を遊技盤20に取り付けた際には、遊技盤20の中央貫通口20b(窓口30a)の後側に重なる表示開口部62aを介して前側から表示部13aが視認可能になっている。
図9に示すように、実施例では、設置部材60の前側に配設される遊技部品として、前記保留表示手段130が設置板部62における表示開口部62aの下側に配設され、表示部13aの右側を発光装飾する電飾手段120が設置板部62における表示開口部62aの左側に配設されている。また、設置板部62における表示部開口部60aの上側には、2つの固定飾り体66,66が左右方向に離間配置されている。そして、装飾部材30に配設された第1可動演出装置42の後部が、設置板部62における表示開口部62a上側の2つの固定飾り体66,66間のスペースを用いて配置されると共に、装飾部材30に配設された第2可動演出装置52の後部が設置板部62における表示開口部62aの右側のスペースを用いて配置される。
(遊技盤20の盤面構成について)
図2に示すように、前記遊技盤20では、遊技領域20aにおいて装飾部材30が右側に大きく張り出すように設けられ、盤面飾り部材25と装飾部材30との間に形成された遊技領域20aの右側流路(遊技領域20aにおける装飾部材30の右側)と比べて、内レール24と装飾部材30との間に形成された遊技領域20aの左側流路(遊技領域20aにおける装飾部材30の左側)が広くなっている。また、遊技領域20aの左側流路には、多数の遊技釘27やゲート36が配設されると共に、ワープ通路とも呼ばれる球誘導路112の球入口112aが開口している。そして、遊技領域20aにおける装飾部材30の下側には、遊技領域20aの左側流路を流下したパチンコ球を始動入賞口32a,32bや特別入賞口34aへ向けて誘導するように遊技釘28(所謂道釘)が配設されている。また、遊技領域20aの左側流路から始動入賞口32a,32bや特別入賞口34aへ向けて流下する過程でパチンコ球が、遊技領域20aの左側下部に開口する普通入賞口38aに入賞し得るようになっている。そして、何れの入賞口32a,32b,34a,38aにも入賞しなかったパチンコ球は、遊技領域20aの最下部に開口するアウト口21から排出されるよう構成される。これに対して、遊技領域20aの右側流路には、遊技釘27や入賞口32a,32b,34a,38aやゲート36等の遊技部品が存在せず、遊技領域20aの右側流路を流下したパチンコ球が装飾部材30および盤面飾り部材25により前記アウト口21に導かれるように構成される。すなわち、前記遊技盤20は、装飾部材30の左側をパチンコ球が流下するようにパチンコ球を遊技領域20aに打ち出して装飾部材30の下方位置に設けられた入賞装置32,34,38の入賞口32a,32b,34a,38aへの入賞を図ると共に、装飾部材30の右側を流下したパチンコ球をアウト口21に導くよう盤面が構成された所謂左打ち仕様である。このように、実施例のパチンコ機10は、遊技領域20aの左側流路を狙ってパチンコ球を遊技領域20aに打ち出して遊技が行われ、遊技領域20aの右側流路にパチンコ球がほとんど流入しないようになっている。ここで、装飾部材30における右縁部に延在する庇状部70と盤面飾り部材25との間は、パチンコ球が2個並ばない間隔に設定され、パチンコ球を1個ずつ通過させるようになっている。
(装飾部材30について)
図10〜図14に示すように、装飾部材30は、遊技盤20の盤前面に固定される台板部68と、この台板部68から前方へ突出して、遊技領域20aから窓口30aの開口内側へのパチンコ球の通過を規制する庇状部70とを有している。また、装飾部材30には、中央貫通口20bの開口形状に合わせた枠状に形成された台板部68から後方へ突出する嵌込部73が設けられている(図12参照)。装飾部材30は、嵌込部73を中央貫通口20bに嵌め合わせると共に台板部68を遊技盤20の盤前面に当接した状態で、台板部68を前側から遊技盤20に対してネジ止めすることで着脱可能に取り付けられる。台板部68は、盤面方向に板面が延在する板状に基本的に形成されており(図13および図14参照)、嵌込部73よりも窓口30aの開口外側へ向けて延出した部位が遊技盤20の盤前面に重なるようになっている。台板部68において遊技盤20の盤前面に重なって遊技領域20aを構成する部位は、外周縁が窓口30aの開口内側から外側へ向かうにつれて後方へ傾くテーパ状に形成され、前側をパチンコ球が通過可能になっている。なお、嵌込部73は、盤面方向と直交する方向へ板面が延在する板状片であって、台板部68から分離不能に該台板部68と一体形成されている。また、装飾部材30には、庇状部70の前側および台板部68の下縁部前側などの適宜部位に、該装飾部材30の前面意匠を構成する意匠片74が着脱可能に取り付けられている。実施例において、装飾部材30における球誘導路112の球入口112aの下側から下縁部にかけての領域は、庇状部70が設けられておらず、台板部68の前面に取り付けられた意匠片74の前側をパチンコ球が通過可能になっている。
図10に示すように、装飾部材30の上縁部中央部位には、前記第1可動演出装置42が庇状部70(後述の第1庇片71)よりも窓口30a側に配設され、庇状部70(第1庇片71)に隣接して第1可動演出装置42の第1可動飾り部44および第1固定飾り部45が前側に臨むように配置されている。また、装飾部材30の右縁部には、前記第2可動演出装置52が庇状部70(後述の第2庇片72)よりも窓口30a側に配設され、庇状部70(第2庇片72)に隣接して第2可動演出装置52の第2可動飾り部54および第2固定飾り部55が前側に臨むように配置されている。また、装飾部材30の上縁部左側部位には、第1センター飾り部(飾り部)76が庇状部(第1庇片71)よりも窓口30a側に配設されると共に、第1センター飾り部76の後側に第1装飾発光基板(発光手段)78が配設され、第1装飾発光基板78の前面に設けられたLED等の第1装飾発光体79から前方に照射された光によって第1センター飾り部76が照らされるようになっている(図11および図14参照)。装飾部材30の上縁部右側部位には、第2センター飾り部85が庇状部70(第2庇片72)よりも窓口30a側に配設されると共に、第2センター飾り部85の後側に第2装飾発光基板88が配設され、第2装飾発光基板88の前面に設けられたLED等の第2装飾発光体89から前方に照射された光によって第2センター飾り部85が照らされるようになっている(図14参照)。このように、装飾部材30の上縁部には、第1可動演出装置42を左右方向に挟んで2つのセンター飾り部76,85が設けられて、表示部13aの上側を第1可動演出装置42および2つのセンター飾り部76,85の発光によって装飾し得るよう構成される。
(庇状部70について)
前記庇状部70は、図柄表示装置13の表示部13aの上側から左右の両側部を囲うように略円弧状に形成され、図2に示すように、実施例の庇状部70は、左側部分が遊技領域20aの上下方向略中央まで延在し、右側部分が遊技領域20aの上下方向下部まで延在した後にステージ100の右側までに亘って延在している。また、庇状部70は、遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球が接触可能な第1領域に延在する第1庇片71が台板部68から分離可能な別体として形成されると共に、遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球が接触する頻度が第1領域よりも低い第2領域に延在する第2庇片72が台板部68から分離不能に一体形成されている。ここで、左打ち仕様の前記パチンコ機10では、装飾部材30の頂部近傍から左側の傾斜部分を狙って遊技領域20aにパチンコ球を打ち出して該パチンコ球を遊技領域20aの左側流路に流下させることから、装飾部材30の頂部から装飾部材30の左側にかけての領域が、パチンコ球が庇状部70に接触する頻度が高い第1領域となる。これに対して、前記遊技盤20では、装飾部材30の頂部から装飾部材30の右側にかけての領域が、パチンコ球が庇状部70に接触する頻度が低い第2領域となる。そして、庇状部70は、装飾部材30の頂部を挟んで左側に延在する第1領域をなす前記第1庇片71によってパチンコ球を遊技領域20aにおける該装飾部材30の左側へ案内すると共に、該頂部を挟んで右側に延在する第2領域をなす前記第2庇片72によってパチンコ球を遊技領域20aにおける該装飾部材30の右側へ案内するよう構成される。
図11および図12に示すように、前記第1庇片71は、盤面方向と直交する方向に板面が延在する板状に形成された本体部71aと、この本体部71bにおける台板部68側の端縁に盤面方向に延出するよう一体形成された取付基部71bを有している。第1庇片71は、取付基部71bが台板部68に対してネジ止め固定され、当該ネジを取り外すことで、台板部68から分離し得るようになっている。第1庇片71は、装飾部材30の頂部から左側縁部略中央部位までに亘って配設され、該頂部からの所要範囲(実施例では表示部13aの上側部位)において左側へ向かうにつれて基本的に下方傾斜するように延在し、当該範囲で接触したパチンコ球を左側へ向けて案内するようになっている。また、第1庇片71は、表示部13aの左側部位が上下方向に延在するように形成されている。ここで、第1庇片71は、光を透過可能に形成されている。そして、第1庇片71は、窓口30a側に隣接配置された第1可動演出装置42の飾り部44,45を照らす第1可動発光体(発光手段)48の光を受けて遊技領域20a側の面が発光すると共に、第1センター飾り部76を照らす第1装飾発光体(発光手段)79の光を受けて遊技領域20a側の面が発光するよう構成されている。実施例の第1庇片71は、透明なプラスチックから構成され、本体部71aにおける窓口30a側の面に並べて形成された凹凸形状による光拡散構造によって光を拡散し得るようになっている。
図13および図14に示すように、前記第2庇片72は、盤面方向と直交する方向に板面が延在する板状であって、台板部68の前面に形成されている。実施例では、台板部68、第2庇片72および嵌込部73がプラスチックから一体的に成形され、第2庇片72が台板部68から分離できないようになっている。第2庇片72は、装飾部材30の頂部から右側下部にかけて右方に凸となる円弧状に延在するよう形成されると共に、装飾部材30の右側下部からステージ100の右端部にかけて上方傾斜するよう形成されている。すなわち、第2庇片72は、装飾部材30の頂部から右方に向かうにつれて下方傾斜する部位でパチンコ球を遊技領域20aの右側へ向けて案内するようになっている。なお、第2庇片72と盤面飾り部材25との間の右側流路を通過したパチンコ球は、遊技盤中央側へ向けて下方傾斜した盤面飾り部材25に案内されてアウト口21に導かれる。また、第2庇片72は、不透明に形成され、窓口30a側に隣接配置された第2可動演出装置52の飾り部54,55を照らす第2可動発光体の光が遊技領域20a側に漏れず、また窓口30a側に隣接配置された第2センター飾り部85を照らす第2装飾発光体89の光が遊技領域20a側に漏れないように構成されている。実施例の第2庇片72は、メッキ等の光を反射し得る加工が少なくとも遊技領域20a側の面に施されており、当該加工によって不透明になっている。
前記第1庇部71を発光させる構成について具体的に説明する。図2に示すように、第1可動演出装置42は、第1固定飾り部45が正面視で円形に形成されると共に、この第1固定飾り部45の中心を通る回転軸44aに支持された第1可動飾り部44が花を模した形状に形成され、第1固定飾り部45の前側に第1可動飾り部44が重なっている(図4参照)。第1固定飾り部45は、透明な板材の後面に凹凸による光拡散加工が施されており、第1可動飾り部44は、半透明に形成されている。第1可動演出装置42は、第1可動発光基板47の前面に設けた第1可動発光体48から前方へ照射した光によって第1固定飾り部45が発光し、第1固定飾り部45を透過した光によって第1可動飾り部44が発光するよう構成される。図10に示すように、装飾部材30には、第1可動演出装置42を囲むように形成された囲み部材90が、台板部68の上縁部中央における第1庇片71の下方位置に配設されている。囲み部材90は、正面視で下部が切り欠かれた円弧筒状に形成され(図2参照)、台板部68の前後に延出している(図4参照)。囲み部材90は、該囲み部材90の内側に後側から取り付けられた第1可動演出装置の上側および左右側部を囲い、上部が第1可動演出装置42と第1庇片71との間に延在している。また、囲み部材90は、第1可動演出装置42の回転軸44aを中心とした180°以上の範囲を囲み得る大きさで形成されており、第1庇片71と隣接する上部の一部に対して左右の側部下側が該回転軸44aを挟んで対向するようになっている。なお、囲み部材90の前面は、第1庇片71の前面に取り付けられた意匠片74と揃っている。
前記囲み部材90は、透明等の光を透過可能なプラスチックの表面の適宜範囲に、光を透過しない不透光加工を施して形成され、実施例では不透光加工として光を反射し得るメッキ加工が行われている。囲み部材90において、台板部68よりも後方へ延出して第1固定飾り部45および第1可動飾り部44の上部および左右の側部を囲う後側壁部91は、第1可動演出装置42に臨む内周面に透明な素地が露出する一方、外周面に前記メッキ加工が施されて(図4および図14参照)、光を透過しないようになっている。また、囲み部材90において、台板部68よりも前方へ延出して第1可動飾り部44の前側に延在する前側壁部92には、第1庇片71の本体部71aに対向する上部に透明な素地を表裏に露出した可動通光部(通光部)93が形成されると共に、その他の部位(左右の側部)の内周面に前記メッキ加工が施された可動反射面(反射面)94が形成されている(図4および図14参照)。すなわち、第1可動演出装置42の飾り部44,45と第1庇片71との間には、光を透過可能な可動通光部93が形成され、この可動通光部93を挟んで第1庇片71に臨む位置に延在する前側壁部92における左右の側部内周面に可動反射面94が設けられる。そして、第1可動発光基板47の第1可動発光体48から前方へ照射した光が、第1固定飾り部45または第1可動飾り部44で拡散して前側壁部92の可動反射面94または後側壁部91の外周面のメッキ加工で反射して、可動通光部93を介して第1庇片71を照らすようになっている。このように、第1可動演出装置42の上側に延在する第1庇片71の頂部近傍部位が、第1固定飾り部45および第1可動飾り部44の発光に伴い発光するよう構成される。
図14に示すように、第1センター飾り部76は、後側に開口する箱状に形成された第1装飾カバー体80と、この第1装飾カバー体80の内側に後側から嵌め合わせられ、第1装飾カバー体80の前面に開設されたカバー開口80aから前側に臨む第1装飾透光体84とから構成され、台板部68に着脱可能に配設されている。図6に示すように、第1装飾カバー体80は、カバー開口80aが形成された前面の外周縁から後方へ延出する壁部81が一体形成され、壁部81において第1庇片71に隣接した上側に延在する上側部位と表示部13a側(窓口30aの開口内側)の下側に延在する下側部位とが対向している。第1装飾カバー体80は、透明等の光を透過可能なプラスチックの表面の適宜範囲に、光を透過しない不透光加工を施して形成され、実施例では不透光加工として光を反射し得るメッキ加工が行われている。第1装飾カバー体80の壁部81には、第1庇片71に対向する上側部位に透明な素地を表裏に露出した装飾通光部(通光部)82が形成され、その他の部位に前記メッキ加工を施して装飾反射面(反射面)83が形成されている。第1装飾透光体84は、全体が光を透過し得るよう形成され、前記カバー開口80aを介して前側に臨む前面にダイヤモンドカットによる光拡散加工が施されている。このように、第1センター飾り部76と第1庇片71との間は、第1装飾カバー体80の装飾通光部82および第1装飾透光体84を介して光を透過可能に構成され、装飾通光部82を挟んで第1庇片71に臨む位置に延在する第1装飾カバー体80の壁部81に装飾反射面83が設けられている。第1センター飾り部76の後側には、第1装飾発光基板78が台板部68に配設され、第1装飾発光基板78の前面に設けられた第1装飾発光体79から前方に照射した光によって、カバー開口80aから前側に臨む第1装飾透光体84を発光させるようになっている。そして、第1装飾発光基板78の第1装飾発光体79から前方へ照射した光を、第1装飾カバー体80の壁部81の装飾反射面83で反射して、第1装飾透光体84および装飾通光部82を介して第1庇片71を照らすようになっている。このように、第1センター飾り部76の上側に延在する第1庇片71の上部左側部位が、第1センター飾り部76の発光に伴い発光するよう構成される。
図14に示すように、第2センター飾り部85は、後側に開口する箱状に形成された第2装飾カバー体86と、この第2装飾カバー体86の内側に後側から嵌め合わせられ、第2装飾カバー体86の前面に開設されたカバー開口86aから前側に臨む第2装飾透光体87とから構成され、台板部68に着脱可能に配設されている。第2装飾カバー体86は、透明等の光を透過可能なプラスチックの表面全体に光を透過しない不透光加工を施して形成され、実施例では不透光加工として光を反射し得るメッキ加工が行われている。第2装飾透光体87は、全体が光を透過し得るよう形成され、前記カバー開口86aを介して前側に臨む前面にダイヤモンドカットによる光拡散加工が施されている。第2センター飾り部85の後側には、第2装飾発光基板88が台板部68に配設され、第2装飾発光基板88の前面に設けられた装飾発光体89から前方に照射した光によって、カバー開口86aから前側に臨む第2装飾透光体87を発光させるようになっている。すなわち、第2センター飾り部85と第2庇片72との間には、光を透過しない第2装飾カバー体86が存在しているので、第2装飾発光体89から前方へ照射した光が第2庇片72側に漏れないようになっている。このように、第2庇片72は、隣接配置された第2センター飾り部85または第2可動演出装置52が発光しても積極的に発光せず、第1庇片71が設けられた第1領域と第2庇片72が設けられた第2領域とで発光の有無が区分されている。
(ステージ100について)
図3に示すように、装飾部材30の下縁部には、遊技領域20aから受け入れたパチンコ球を転動可能で、転動したパチンコ球を遊技領域20aに放出するステージ100が設けられている。ステージ100は、装飾部材30の窓口30aに臨む表示部13aの下側で、装飾部材30の下縁部よりも上側に配置されている。ステージ100は、台板部68の下縁部後側に取り付けられ、パチンコ球を転動案内する転動部103を有する第1ステージ部材101と、この第1ステージ部材101の後側に取り付けられ、パチンコ球が遊技盤20の後側へ落ちないように規制する第2ステージ部材104とから構成されている(図13参照)。また、ステージ100は、転動部103から遊技領域20aの特定領域に案内する王道ルートとも称される球通路110を有しており、実施例では球通路110によって転動部103から始動入賞口32aの上側にパチンコ球を案内するようになっている。なお、球通路110は、パチンコ球を1個ずつ通過可能に構成される。
図13に示すように、前記第1ステージ部材101は、台板部68の下縁部から上方に立ち上がる前壁部102と、この前壁部102の上縁から後方へ延出した転動部103を有し、全体として透明に形成されている。転動部103は、左右の側端部が最も高く形成されると共に、最も低くなるよう形成された一対の放出部103aが中間部に左右に離間して形成されている。放出部103aは、後から前に向かうにつれて下方傾斜するよう形成されて、該放出部103aから高い確率で遊技領域20aにパチンコ球が放出されるよう構成される。また、転動部103は、一対の放出部103aの間に設けられた盛り上がり部分の中央部が前から後に向かうにつれて下方傾斜しており、この傾斜によって転動部103の中央部後側において開口する球通路110の通入口110aに案内し得るようになっている。
図13に示すように、前記第2ステージ部材104は、転動部103の後縁から上方へ立ち上がって、転動部103を転動するパチンコ球の後方変位を規制する後壁部105と、この後壁部105の上縁から後方へ延出し、後壁部105と表示部13aとの間の前後スペースにパチンコ球が落ちないように規制する上壁部106とを有し、全体として透明に形成されている。図6に示すように、第2ステージ部材104は、後壁部105と上壁部106とが連なる角部が円弧状に湾曲するよう形成され、上壁部106の後縁が設置部材60の表示開口部62aに挿入されている。また、第2ステージ部材104には、後壁部105の左右方向中央部前面を凹ませて、上下方向に延在する樋状の縦通路部107が前側へ開口するように形成されると共に、縦通路部107の下端から前方に延出する樋状の前後通路部108が形成されている(図14参照)。すなわち、縦通路部107は、後壁部105よりも後方へ突出している(図7参照)。図5に示すように、第1ステージ部材101と第2ステージ部材104とを組み付けることで、縦通路部107における転動部103の上側に臨む部分が球通路110の通入口110aとなり、転動部103の下面から下方に延出する通路規定片109の後縁と縦通路部107とによって、球通路110における上下方向に延在する流路が画成される。また、上方に開口する前後通路部108に上方から挿入された通路規定片109の下縁と該前後通路部108とによって、球通路110における前後方向に延在する流路が画成され、この流路の放出端が装飾部材30の下縁部中央部において始動入賞口32aの真上に開口する通出口110bに繋がる。なお、球通路110を構成する縦通路部107および前後通路部108についても、透明に形成されている。
(球誘導路112について)
図3に示すように、装飾部材30の左側縁部には、遊技領域20aからパチンコ球を取り込んで該パチンコ球をステージ100の転動部103に案内する球誘導路112が設けられている。なお、球誘導路112は、前記電飾手段120によって発光される第2の発光装飾部としても機能する。球誘導路112は、遊技領域20aからパチンコ球を取り込む球入口112aが装飾部材30の左側縁部における上下方向略中央部に設けられ、左側方に向けて開口する球入口112aから遊技領域20aの左側流路を流下するパチンコ球を受け入れるようになっている(図2参照)。また、球誘導路112は、該球誘導路112によって案内したパチンコ球を排出する球出口112bが転動部103の左端部に設けられており、右側方に向けて開口する球出口112bからパチンコ球を右側方へ向けて付勢した状態で転動部103に受け渡すようになっている。
図11および図13に示すように、前記球誘導路112は、前記球入口112aを含む該球入口112a近傍が台板部68の前面に取り付けられた入口形成部114で画成されている。球誘導路112において台板部68の内周縁に沿ってパチンコ球を下方へ案内する通路本体は、入口形成部114の後側に取り付けられた前面形成部115と、この前面形成部115の後側に取り付けられた中間形成部116と、この中間形成部116の後側に取り付けられた後面形成部117とによって画成されている(図13参照)。入口形成部114は、後方に開口する樋状に形成され、上流側となる左端部を台板部68の外周縁に整合させて該台板部68の前面に取り付けられ、下流側となる右端部が台板部68の開口内側まで延在している。なお、前記第1庇片71の下端は、入口形成部114の左端部上側に連なっており、第1庇片71の下端部下側に球入口110aが開口している(図10参照)。前面形成部115は、後方に開口する樋状に形成され、上部に開設された開口115aを入口形成部114における台板部68の開口内側に臨む右端部の後側に整合させた状態で台板部68に配設されている。中間形成部116は、前後方向に開口した枠状に形成され、前面形成部115の後縁に整合させた状態で台板部68に配設されている。なお、中間形成部116の右側面下部には、球出口110bとなる切り欠きが形成されている。後面形成部117は、前方に開口する樋状に形成され、中間形成部116の後縁に整合させた状態で台板部68に配設されている。すなわち、球通路110は、遊技盤20の前側から視認可能な意匠面113が入口形成部114および前面形成部115で形成され、上面、下面および側面が中間形成部116で形成され、後面が後面形成部117で形成されている。このように、球通路110は、遊技領域20aから受け入れたパチンコ球を入口形成部114と台板部68との間を通して装飾部材30の開口内側へ案内し、前面形成部115の開口115aを介して通路本体に通入させた後、装飾部材30の内周に沿って右下へ向けて案内し、球出口110bから転動部103へ排出するよう構成される。
図5および図8に示すように、球誘導路112の通路本体は、装飾部材30の開口内側における設置部材60の設置板部62前側のスペースを用いて配置され、該通路本体は、遊技盤20の盤前面に当接する台板部68よりも後側に張り出すように形成されている。また、球誘導路112の通路本体は、台板部68の後方に突出する嵌込部73の後縁よりも後方で、遊技盤20の後面よりも後方に張り出すように構成されている。実施例の球誘導路112は、後面形成部117が遊技盤20の後面よりも後側に配置され(図8参照)、該後面形成部117が電飾手段120によって照らされるようになっている。また、球誘導路112の構成部材114,115,116,117は、何れも光を透過可能に形成されており、実施例では後面形成部117が無色透明に形成されると共に、入口形成部114、前面形成部115および中間形成部116が僅かに色の付いた有色透明に形成されている。
(電飾手段120について)
前記電飾手段120は、設置部材60における設置板部62の左側部前面に取り付けられ(図9参照)、遊技盤20の後側に配置されている(図5および図8参照)。図8および図17に示すように、電飾手段120は、主発光装飾部(第1の発光装飾部)124が部材表側(窓口30aの開口内側に向く側)となる右側面に設けられたカバー部材122と、このカバー部材122の部材裏側(窓口30aの開口外側に向く側)となる左側に配置された電飾発光基板(発光基板)126と、この電飾発光基板126の右側面(カバー部材122の部材表側に向く面)に設けられ、右側方(カバー部材122の部材表側)へ光を照射する電飾発光体127,128とを備えている。なお、実施例の電飾発光体127,128は、窓口30aの開口内側へ向けて光を照射するようになっている(図8参照)。
前記カバー部材122は、設置板部62の前面(盤面方向)に対して板面が交差する縦姿勢で配設され(図8参照)、上端が設置板部62の表示開口部62aの上縁よりも上側に位置すると共に下端が表示開口部62aの下縁よりも下側に位置している(図9参照)。なお、カバー部材122は、主発光装飾部124の設置面が前側から後側に向かうにつれて表示開口部62aの開口内側へ向けて傾いている。また、カバー部材122には、複数(実施例では2つ)の主発光装飾部124が設置され、該主発光装飾部124の設置数に合わせて複数段(実施例では2段)の設置面が形成されている。そして、カバー部材122は、光を透過可能に形成されており、実施例では全体が透明になっている。
図8に示すように、前記主発光装飾部124は、ボス部124aを介して意匠面を構成する本体部分がカバー部材122の設置面から離間して支持されており、該設置面と本体部分とが略平行になっている。そして、主発光装飾部124の意匠面は、前側から後側に向かうにつれて表示開口部62aの開口内側に傾いており、該意匠面が右斜め前側に面するように形成されている。実施例では、主発光装飾部124の意匠面に花を模した模様が形成され、前後に並べて配置された2条の主発光装飾部124,124によって遊技盤20と設置板部65との間を目隠しするように覆っている(図5および図8参照)。ここで、主発光装飾部124,124は、遊技盤20を前側から左斜め後方へ見通した際に全体的に視認可能に構成されており(図3参照)、遊技盤を正面から見た際にはほとんど見えないようになっている(図2参照)。主発光装飾部124は、光を透過可能に形成され、実施例では有色透明に形成されている。
図8に示すように、前記電飾発光基板126は、設置板部62の前面に前方に向けて立設されたベース部材121に支持されて、設置板部62の前面(盤面方向)に対して板面が交差する縦姿勢で配設されている。実施例の電飾発光基板126は、板面が前側から後側に向かうにつれて表示開口部62aの開口内側へ向けて傾くように配設されている。図15に示すように、電飾発光基板126は、主発光装飾部124に対向する対向領域126aと、主発光装飾部124に対してカバー部材122の部材表裏方向(左右方向)で重ならない露出領域126bとを有している。露出領域126bは、盤面方向と交差する姿勢にある主発光装飾部124の外周縁よりも外方に延出している。そして、実施例の電飾発光基板126は、露出領域126bが前側の主発光装飾部124の前縁よりも前方へ延出するよう形成されており、露出領域126bの前端部がカバー部材122の前縁よりも前方へ延出している(図8および図15参照)。
図8および図15に示すように、前記電飾発光基板126において、対向領域126aの右側面(カバー部材122の部材表側に向く面)には、窓口30aの開口内側となる右側方(部材表側)へ光を照射して主発光装飾部124を発光させる第1電飾発光体127が配設されている。なお、実施例の第1電飾発光体127は、盤面方向から右斜め前方に僅かにずれた方向に光を照射するように構成される。また、電飾発光基板126において、露出領域126bの右側面(カバー部材122の部材表側に向く面)には、窓口30aの開口内側となる右側方(部材表側)へ光を照射する第2電飾発光体128が配設されている。なお、実施例の第2電飾発光体128は、盤面方向から右斜め前方に僅かにずれた方向に光を照射するように構成され、第1電飾発光体127および第2電飾発光体128から照射した光の軸線が平行になっている。すなわち、第1電飾発光体127の光照射方向前側には、主発光装飾部124が配置されているに対し、第2電飾発光体128の光照射方向前側には、主発光装飾部124が配置されていない。ここで、露出領域126bの前端部に配置された第2電飾発光体128の光照射方向前側には、主発光装飾部124だけでなく、カバー部材122も配置されていない。
図8に示すように、前記電飾手段120で発光される第2の発光装飾部としての前記球誘導路112は、第2電飾発光体128の光照射方向前側に位置するよう設けられており、第2電飾発光体128からの光の照射によって発光するように構成されている。実施例の球誘導路112は、左右方向の位置関係が第2電飾発光体128よりも右側(窓口30aの開口内側)で、前後方向の位置関係が第2電飾発光体128よりも前側へずれている。具体的には球誘導路112は、遊技盤20の後面よりも後側へ張り出した後面形成部117が第2電飾発光体128の光照射方向前側に重なるように配置されている。また、球誘導路112は、装飾部材30の左側縁部に設けられており、遊技盤20側に設けられた球誘導路112が設置部材60側に配設された主発光装飾部124の前側に重なっている。ここで、球誘導路112の意匠面113は、第2電飾発光体128の光照射方向と交差する方向に向けて形成されており、第2電飾発光体128によって直接照らされる後面形成部117の前側に該意匠面113が設けられている。すなわち、球誘導路112は、前記入口形成部114および前面形成部115によって形成された意匠面113が遊技盤20の前側に臨むように装飾部材30に設けられ、窓口30aの開口内側を向く主発光装飾部124の意匠面と球誘導路112の意匠面113とで向きが異なっている。
図8に示すように、主発光装飾部124と第1電飾発光体127とが窓口30aの開口内外方向に重なり、第1電飾発光体127からの光によって表示部13aの右側が発光される。これに対して、球誘導路112の後面形成部117と第2電飾発光体128とが窓口30aの開口内外方向に重なっているが、遊技盤20の前側から第2電飾発光体128による発光が視認可能になっている。すなわち、前述の如く光を透過可能に形成された球誘導路112は、透明な意匠面113を介して視認可能な後面形成部117が第2電飾発光体から照射された光によって少なくとも発光するよう構成されている。なお、球誘導路112は、該球誘導路112を構成するプラスチック特有の導光作用により後面形成部117に入射した光によって全体的に発光するよう構成してもよい。
(保留表示手段130について)
図2に示すように、前記保留表示手段130は、図柄表示装置13の表示部13aよりも下側で、前記ステージ100の後側に設けられ、透明なステージ100を介して前側から視認可能になっている。図18に示すように、保留表示手段130は、遊技盤20の前側に臨む前板部133を有すると共にこの前板部133の上縁に連なって上側に臨む上板部134を有する保留カバー132と、この保留カバー132のコーナー部135に設けられ、光を透過可能な保留レンズ部139とを備え、保留カバー132および保留レンズ部139が前側から視認可能になっている。保留レンズ部139は、有効保留数に応じた数が設けられ、実施例では上下2つの始動入賞口32a,32bのそれぞれに対応して4つずつの保留レンズ部139が設けられている。また、保留表示手段130は、保留カバー132の後側に設けられた保留発光基板(発光基板)144と、この保留発光基板144の前面に設けられ、保留レンズ部139に向けて光を照射する保留発光体(発光体)146とを備え(図19〜図21参照)、保留発光体146からの光の照射によって対応の保留レンズ部139を発光するよう構成される。実施例の保留表示手段130は、保留レンズ部139および保留発光基板144が保留カバー132に取り付けられ、保留カバー132を介して設置部材60に対する着脱等、一体的な取り扱いが可能になっている。
図5および図7に示すように、保留カバー132は、前板部133および上板部134が円弧状のコーナー部135を介して連なるよう形成されている。また、保留カバー132は、左右の側部に前板部133および上板部134の間に延在する側板部136が形成されると共に、各側板部136の外側方に取付部137が延出するように形成されている(図18参照)。保留カバー132は、設置部材60における設置板部62の下部に設置され、前記表示部13aよりも下側に配置される。保留カバー132は、表示開口部62aの下縁に上板部134の後縁を揃えると共に、左右の取付部137,137の後縁を設置板部62の前面に突き当てた状態で、取付部137を設置板部62に対してネジ止め固定している。そして、保留カバー132と設置板部62との間には、下方に開口した収納空間Sが画成され、この収納空間Sに前記保留発光基板144が収納される(図8参照)。
図2に示すように、保留カバー132は、設置部材60の表示開口部62aに対して後方から臨む表示部13aの下側に、コーナー部135の稜線が左右方向に延在した姿勢で配設され、装飾部材30の窓口30aに後方から臨んでいる。また、保留カバー132には、左右方向中央部に後方へ凹む凹部133aが形成され、この凹部133aの前側に球通路110が配置されるようになっている。そして、保留カバー132のコーナー部135には、複数の発光開口132aが左右方向に一列に並べて形成され(図18(a)および(b)参照)、各発光開口132aは、下側から上側に向かうにつれて前方へ傾く軸線に沿って貫通している(図8参照)。実施例の保留カバー132では、凹部133aを挟んで左右対称な位置関係で4つずつの発光開口132aが設けられている。全ての発光開口132aは、全て同じ形状および大きさであって、実施例では略八角形状に形成されている。
前記保留カバー132は、発光開口132aの開口縁裏側から前側から後側へ向かうにつれて下方傾斜するように延出形成された筒状保持部138を有し、発光開口132aと筒状保持部138の内部とが繋がっている(図8および図19参照)。筒状保持部138は、発光開口132aの夫々に対応して形成され、実施例では、該筒状保持部138の延出端が保留カバー132の前板部133の下縁と上板部134の後縁とを結んだライン付近に位置している。なお、筒状保持部138は、延出方向と直交する方向に破断した内部断面が、発光開口132aの開口形状および大きさと同じであり、発光開口132aと筒状保持部138の内部とが整合している。更に、筒状保持部138は、不透明に形成されて、光を透過しないよう構成される。このように、保留カバー132には、発光開口132aから筒状保持部138の内部にかけて前斜め上方に軸線が延在すると共に保留カバー132の表裏両側で開口する貫通孔が形成される。なお、保留カバー132は、前側から視認可能な表面にメッキによる光を反射し得る加工が施され、ステージ100の後側および表示部13aの下側を彩る装飾物としても機能している。
前記保留レンズ部139は、発光開口132aを介して前側に露出するように設けられている。すなわち、実施例の保留表示手段130には、凹部133aを挟んで左右対称な位置関係で4つずつの保留レンズ部139が設けられている。保留レンズ部139は、保留カバー132のコーナー部135において、意匠面が前斜め上方に臨むように設けられている。また、実施例の保留レンズ部139は、透明に形成されると共に、ダイヤモンドカットなどによって光を拡散し得る構成とされている。そして、保留レンズ部139は、外周縁から内側に向かうにつれて表側に突出するように形成されて、保留カバー132の表面よりも盛り上がるよう構成される(図8および図19参照)。なお、保留レンズ部139は、外形が略八角形状で、発光開口132aと同じ大きさに形成され、発光開口132aに整合している。
図20に示すように、前記保留レンズ部139は、板状部142に突設された嵌合部140の先端に設けられている。嵌合部140は、略矩形板状の板状部142の前面に該前面に対して直交するように立設されて、前記発光開口132a(筒状保持部138)の開口形状および大きさに合わせて外形が略八角形に形成されている。また、嵌合部140は、先端が保留レンズ部139で塞がれた筒状に形成され、板状部142の後面に嵌合部140の後側開口140aが開口している(図21参照)。そして、保留カバー132における発光開口132aの開口縁裏側から前側から後側へ向かうにつれて下方傾斜するように延出する筒状保持部138に嵌合部140を保留カバー132の後側から嵌合すると共に、該筒状保持部138の延出端(後端)に板状部142を当接することで、保留レンズ部139は発光開口132aに整合するよう保持される(図8および図19参照)。これにより、嵌合部140は、前側から後側へ向かうにつれて下方傾斜した姿勢で保持され、板状部142が下側から上側に向かうにつれて後方へ傾く姿勢で前記収納空間Sに収納される。また、保留レンズ部139は、該保留レンズ部139の外周縁が保留カバー132の発光開口132aの開口縁表側に略揃い、該外周縁よりも盛り上がる中央部が、保留カバー132の表面よりも突出するようになっている。なお、実施例では、保留レンズ部139、嵌合部140および板状部142が一体形成されて、全体として光を透過可能に構成される。
前記保留発光基板144は、遊技盤20の後側に取り付けられた設置部材60の設置板部62と保留カバー132との間に、下側から上側に向かうにつれて後方へ傾く傾斜姿勢で配設される(図5および図7参照)。保留発光基板144は、前述の如く嵌合部140を筒状保持部138に嵌め込むことで、下側から上側に向かうにつれて後方へ傾いた姿勢となった板状部142の後面に取り付けられ、これにより保留発光基板144は、前面を保留カバー132のコーナー部135に向けた傾斜姿勢で保持されている。なお、保留発光基板144は、板状部142の後面外周縁に後方へ突出形成された位置決め片142aに外周縁が当接することで、該板状部142に対して位置決めされる。そして、保留発光基板144は、板状部142を挟んで保留カバー132に対してネジ止め固定される。
図8に示すように、保留発光基板144の前面には、保留レンズ部139に向けて斜め上向きに光を照射して該保留レンズ部139を発光させる保留発光体(発光体)146が設けられている。各保留発光体は146、保留レンズ部139の後斜め下側に対向配置され、実施例では、左右方向に離間して並ぶ複数の保留レンズ部139に対応した数の保留発光体146が、保留発光基板144の前面に左右方向に離間配置されている(図20参照)。各保留発光体146は、板状部142の後面に開口する嵌合部140の後側開口140aの内側略中央に嵌り込むように設置され、不透明な筒状保持部138で囲われた嵌合部140の内側空間を該保留発光体146から照射した光が通るようになっている。すなわち、保留レンズ部139は、保留発光体146から前斜め上方へ照射する光の軸線上に位置しており、より具体的には該軸線が保留レンズ部139の外周縁よりも盛り上がった中央部を通っている。また、保留レンズ部139は、保留発光体146の光照射方向前側に所定間隔離して配置され、該保留発光部146から照射された光によって直接照らされるようになっている。なお、保留発光基板144には、後面に抵抗(図示せず)が複数設けられ、複数の保留発光体146や抵抗などの実装部品に合わせて適宜の配線パターンが形成されている。図8に示すように、保留カバー132と設置部材60の設置板部62との間に画成される収納空間Sは、下方に開口しており、保留発光基板144の後面に設けられた抵抗から放出された熱を収納空間Sの下方開口を介して発散し得るようになっている。
前記遊技盤20では、枠状の装飾部材30が画成する窓口30aを介して図柄表示装置13の表示部13aが前側に臨むと共に、該表示部13aの下側に設けられた保留表示手段130が該窓口30aを介して前側に臨むよう構成されている。また、保留表示手段130の前側には、装飾部材30の下縁部に設けられた前記ステージ100が配置されている。保留表示手段130は、ステージ100において転動部103の後縁から立ち上がる透明な後壁部105によって保留カバー132の前板部133前側が覆われ、該後壁部105の後縁から後方に延出する透明な上壁部106によって保留カバー132の上板部134上側が覆われている(図8参照)。なお、ステージ100の後壁部105および上壁部106は、平滑な板状に形成される。ステージ100の後壁部105と保留カバー132の前板部133との離間間隔は、ステージ100の上壁部106と保留カバー132の上板部134との離間間隔よりも広くなっており、後壁部105と前板部133との間の離間空間Tに張り出して前記球通路110の縦通路部107が形成されている。また、ステージ100における後壁部105と上壁部106との角部は、保留カバー132のコーナー部135よりも前側に位置し、コーナー部135の上側を覆う上壁部106を介して保留レンズ部139を照射した保留発光体146の光が透過するよう構成されている。このように、保留表示手段130は、ステージ100を介して遊技者から視認可能になっている。
(実施例の作用)
前記パチンコ機10では、装飾部材30の頂部近傍左側に向けてパチンコ球を遊技領域20aに打ち込み、パチンコ球を装飾部材30の左側を流下させて、始動入賞口32a,32bへの入賞を図る。抽選の結果、大当り状態となった場合には、装飾部材30の頂部近傍左側に向けてパチンコ球を遊技領域20aに打ち込み、パチンコ球を装飾部材30の左側を流下させて、開放された特別入賞口34aへの入賞を図る。一方、遊技領域20aに打ち出したパチンコ球の勢いが強い場合など、装飾部材30の頂部を越えて装飾部材30の右側を流下するパチンコ球は、始動入賞口32a,32bや特別入賞口34aに誘導されることなく、アウト口21から排出されてしまう。このように、左打ち仕様に盤面が構成された前記パチンコ機10では、装飾部材30の頂部から球誘導路112の球入口112a上側までの第1領域において、庇状部70に対してパチンコ球が接触する頻度が高くなる。特に、庇状部70の第1領域において装飾部材30の頂部から表示部13aの上側に延在する部位は、遊技領域20aの左側流路にパチンコ球を案内するよう構成されているので、パチンコ球が接触する頻度が高い。これに対して、遊技盤20では、装飾部材30の頂部から始動入賞口32a,32bよりも下側まで延在する右側下部までの第2領域において、庇状部70に対してパチンコ球がほとんど接触する機会はない。すなわち、前記第1領域に延在する庇状部70は、パチンコ球との高い頻度の接触によって、経時的に傷が付いたり、磨耗したり、場合によっては破損することもある。そして、前記第2領域に延在する庇状部70は、パチンコ球とほとんど接触しないので、前記第1領域のような不具合はあまり生じない。
前記装飾部材30によれば、庇状部70においてパチンコ球が接触する頻度が高い第1領域を構成する第1庇片71が、台板部68と別体に形成されて、台板部68から分離可能になっているので、パチンコ球との接触によって前記不具合が生じた際に、第1庇片71を台板部68から取り外して、新たな第1庇片71を取り付けることができる。この際、異常のない第2庇片72を取り外すことなく、不具合が生じた第1庇片71だけを取り替えることができる。従って、庇状部70全体を取り替える必要がないので、第2庇片72の周辺に配設された意匠片74や第2可動演出装置52などの取り外しは要せず、第1庇片71以外の他の部材の着脱を最小限に抑えることができ、メンテナンス性に優れている。また、庇状部70全体を台板部68と一体形成すると、不具合が第1領域だけに生じても、不具合のない第2領域を含めて装飾部材30全体を取り替えることになってコストが嵩むが、実施例の装飾部材30によれば、第1庇片71を取り替えるだけで足りるので、修繕にかかるコストを抑えることができる。
前記装飾部材30の上縁部に配設された第1可動演出装置42は、第1可動発光体48から前方へ光を照射することで、遊技盤20の前側に臨む第1固定飾り部45および第1可動飾り部44を発光させる。ここで、第1可動発光体48から照射された光は、第1固定飾り部45または第1可動飾り部44で拡散され、第1固定飾り部45および第1可動飾り部44を囲う囲み部材90の内周面に形成された可動反射面94よって反射される。また、囲み部材90には、第1固定飾り部45および第1可動飾り部44と第1庇片71との間に延在する前側壁部92に、光を透過可能な可動通光部93が形成されているので、第1固定飾り部45または第1可動飾り部44で拡散した光や前記可動反射面94で反射した光が可動通光部93を通過して第1庇片71を照らす。これにより、第1庇片71の頂部近傍は、窓口30a側に隣接配置された第1可動演出装置の飾り部44,45を発光させる第1可動発光体48の光を受けて、遊技領域20a臨む上面が発光する。また、前記装飾部材30の上縁部左側に配設された第1センター飾り部76は、第1装飾発光体79から前方へ光を照射することで発光するようになっている。ここで、第1装飾発光体79から照射された光は、第1装飾透光体84で拡散され、第1装飾カバー体80の壁部81内周面に形成された装飾反射面83よって反射される。また、第1装飾カバー体80には、第1庇片71側に延在する壁部81に光を透過可能な装飾通光部82が形成されると共に第1装飾透光体84が透明に形成されているので、第1装飾透光体84で拡散した光や前記装飾反射面83で反射した光が装飾通光部82を通過して第1庇片71を照らす。これにより、第1庇片71の上部右側部位は、窓口30a側に隣接配置された第1センター飾り部76を発光させる第1装飾発光体79の光を受けて、遊技領域20a臨む上面が発光する。
このように、装飾部材30においてパチンコ球が接触する頻度が高く遊技者が注視する第1領域を第1庇片71の発光により好適に装飾することができる。特に、庇状部70の第1領域において装飾部材30の頂部から上縁部左側にかけて部位は、パチンコ球がぶつかったり、該部位に沿ってパチンコ球を案内したりするなど、パチンコ球の流れに大きく関与するので、当該部位を第1庇片71の発光によって発光することで、パチンコ球の動きに伴う興趣をより高めることができる。これに対して、不透明に形成された第2庇片72は、窓口30a側に隣接配置された第2可動演出装置52や第2センター飾り部85が発光しても発光しないので、前記第1領域と第2領域とで発光による装飾態様を区分することができる。また、第1庇片71は、第1可動演出装置42および第1センター飾り部76により発光するものの、遊技領域20aに臨む面は光を反射しない。これに対して、第2庇片72は、表面に施されたメッキ加工により光を反射可能に形成されているので、該第2庇片72周辺の光を反射することができる。このように、第1庇片71と第2庇片72とは、第1庇片71が発光装飾されていない状態においても装飾性に違いがあるので、装飾部材30においてパチンコ球が接触する頻度が高く遊技者が注視する第1領域と余り遊技者が注視しない第2領域との間で差違を際立たせることができる。
前述の如く、装飾部材30の左側をパチンコ球が流下するようにパチンコ球を遊技領域20aに打ち出して装飾部材30の下方位置に設けられた入賞口32a,32b,34aへの入賞を図るパチンコ機10においては、装飾部材30の右側をパチンコ球が流下することがほとんどないので、庇状部70の左側に延在する第1領域に対する遊技者の注目度は、庇状部70の右側に延在する第2領域と比べて非常に高い。このように遊技者の注目度が高い庇状部70の左側に延在する第1領域を発光装飾可能な第1庇片71で構成することで、第1庇片71の発光を遊技者により意識させることができ、高い装飾効果が得られる。また、注目の必要がない前記第2領域が臨む遊技領域20aの右側流路よりも、第1庇片71の発光によって前記第1領域が臨む遊技領域20aの左側流路を強調することができる。
前記装飾部材30には、第1庇片71と飾り部44,45,76との間に光を透過し得る通光部82,93が設けられ、該通光部82,93を挟んで第1庇片71に臨む位置に配置された壁部81,92に光を反射し得る反射面83,94が設けられる。すなわち、当該飾り部44,45,76を発光させる発光体48,78から前方へ照射した光を反射面83,84の反射によって、該発光体48,78の光照射方向前側から外れた位置に配置された第1庇片71を照らすことができる。このように、第1庇片71は、専用の発光体48,78によって発光するのではなく、飾り部44,45,76を照らす発光体48,78を用いて間接的に発光させる構成であるので、装飾部材30の部品点数の増加を抑えることができ、また第1庇片71を発光させることによる装飾部材30の大型化を避けることができる。更に、前側に臨む飾り部44,45,76と遊技領域20a側(上方)に臨む第1庇片71とは異なる方向に向いているが、飾り部44,45,76の外周縁に延在する壁部81,92に設けた反射面83,94による光の反射によって第1庇片71を照らす構成であるので、発光体48,78による飾り部44,45,76への光の照射を妨げることなく、第1庇片71を間接的に照らすことができる。
前記電飾手段120は、電飾発光基板126の対向領域126aに設けられた第1電飾発光体127から光を照射することで、主発光装飾部124を発光させ、これにより表示部13aの左側において遊技盤20と設置部材60との間を覆う主発光装飾部124によって、表示部13aの左側を発光装飾することができる。また、電飾手段120は、電飾発光基板126の露出領域126bに設けられた第2電飾発光体128から光を照射することで、球誘導路112の後面形成部117を発光させることができ、これにより球誘導路112が発光装飾される。このように、電飾手段120は、同じ電飾発光基板126に設けた電飾発光体127,128によって、主発光装飾部124と球誘導路112との異なる2つの部位を発光させることができる。すなわち、発光させる部位に応じて発光基板を夫々設ける構成ではないので、コストを抑えることができる。
前記電飾手段120は、電飾発光基板126における主発光装飾部124と重ならない露出領域126bに設けた第2電飾発光体128によって後面形成部117を直接照らすことができる。すなわち、第1電飾発光体127による主発光装飾部124の発光に際して、第1電飾発光体127から照射した光によって球誘導路112が直接照らされず、第2電飾発光体128による球誘導路112の発光に際して、第2電飾発光体128から照射した光によって主発光装飾部124が直接照らされない。このように、異なる部位に対応した第1電飾発光体127と第2電飾発光体128とを同じ電飾発光基板126に設けても、第2電飾発光体128を前記露出領域126bに配置することで、主発光装飾部124と球誘導路112との夫々を適切に発光させることができる。従って、第1電飾発光体127だけを点灯することで、球誘導路112を発光しない状態で主発光装飾部124だけを発光させることができ、第2電飾発光体128だけを点灯することで、主発光装飾部124を発光しない状態で球誘導路112だけを発光させることができ、両電飾発光体127,128を点灯することで、主発光装飾部124と球誘導路112とを同時に発光させることができる。
前記第1電飾発光体127により照らされた主発光装飾部124によって窓口30aの内周部左側を発光装飾し得ると共に、第2電飾発光体128により照らされた球誘導路112によって装飾部材30の前面を発光装飾し得る。ここで、遊技盤20と設置部材60との間に設けられた第2電飾発光体128からは、遊技盤20や装飾部材30が間に存在しているので、装飾部材30の内周部において前側へ向くよう形成された球誘導路112の意匠面113を直接照らすことはできない。すなわち、球誘導路112は、前側に向く意匠面113が第2電飾発光体128によって照らされないが、透明な意匠面113を介して第2電飾発光体128によって直接照らされて発光した後面形成部117を視認できるので、前側から視た際に該意匠面113が発光しているように感得される。このように、電飾手段120は、第1電飾発光体127の光照射方向前側に配置され主発光装飾部124を発光させるだけでなく、第1電飾発光体127と同じ方向へ光を照射する第2電飾発光体128によって、球誘導路112の遊技盤20よりも後方へ突出した後部を照らすことで、該第2電飾発光体128の光照射方向前側から外れた球誘導路112の意匠面113を発光しているように見せることができる。また、同じ電飾発光基板126に設けた電飾発光体127,128から同じ向きに照射した光によって、窓口30aの開口内側に意匠面が向いた主発光装飾部124と、前側に向いた球誘導路112の意匠面113とを発光装飾することができる。すなわち、主発光装飾部124と球誘導路112との間で意匠面の向きが相違していても、第1電飾発光体127と第2電飾発光体128とで光の照射向きを変える必要はなく、また意匠面の向きに合わせて複数の電飾発光基板を用いる必要もない。従って、主発光装飾部124および球誘導路112の2つの異なる部位を発光装飾するのであっても1枚の電飾発光基板126で足り、電飾手段120の部品点数を抑えて構成を簡易にできる。
前記カバー部材122、主発光装飾部124および電飾発光基板126は、遊技盤20と設置板部62との間のスペースを用いて設置部材60に設置され、球誘導路112は、遊技盤20に配設された装飾部材30に設置されている。このように、同じ電飾発光基板126に設けた電飾発光体127,128によって発光される主発光装飾部124と球誘導路112とを、設置部材60側と遊技盤20側とに振り分けることで、前後のスペースを有効利用して主発光装飾部124および球誘導路112を設置し得る。また、球誘導路112は、主発光装飾部124の前側に重なるように設けられているので、球誘導路112の後側に発光体を有する発光基板を配設することはできない。仮に、主発光装飾部124の後側に発光体を配設すると、主発光装飾部124と球誘導路112との夫々を独立して発光させることはできない。実施例の電飾手段120によれば、主発光装飾部124よりも前方へ延出する露出領域126bに設けられた第2電飾発光体128によって、主発光装飾部124の前側に重なるように設けた球誘導路112を良好に発光させることができる。このように、球誘導路112の後側に発光体を配設するスペースがなくても、球誘導路112の後方から外れた位置に配設された第2電飾発光体128によって球誘導路112を発光させることができる。また、球誘導路112の後側には、遊技者から視認されると意匠性を損なう発光基板を配置する必要がないので、球誘導路112全体を透明とすることができる。
前記球誘導路112は、第2電飾発光体128からの光によって後面形成部117が照らされ、発光した後面形成部117を透明な意匠面113を介して視認可能になっている。球誘導路112は、前側を向く透明な意匠面113を介して該球誘導路112で案内されるパチンコ球を視認可能であるが、後面形成部117が発光することで、球誘導路112を案内されるパチンコ球が見易く、遊技領域20aから球誘導路112を介してステージ100に渡るパチンコ球の流れに遊技者の興味をより惹き付けることができる。しかも、球誘導路112を通過するパチンコ球によって発光した後面形成部117の前側が遮られるので、発光とのコントラストによりパチンコ球をより見易くすることができる。
前記保留表示手段130は、始動入賞口32a,32bへのパチンコ球の入賞検知に応じて保留発光体146から光が照射されて対応の保留レンズ部139が点灯することで、点灯した保留レンズ部139の数によって有効保留数を確認できるようになっている。前述の如く遊技に際して遊技者が最も見ている時間が長い表示部13aは、遊技者に負担をかけないように遊技者の目の高さあるいは僅かに見下ろす高さに設定される。すなわち、表示部13aよりも下側に配置された前記保留表示手段130では、遊技者が保留レンズ部139を確認する際に見下ろすことになる。保留レンズ部139は、保留カバー132のコーナー部135に設けられているので、保留表示手段130を見下ろす遊技者と正対し、例えば保留レンズ部139を前板部133に平面的に設ける場合と比べて斜め上側から視認し易い。保留レンズ部139が前斜め上側に向いているので、遊技者が高い位置から保留レンズ部139を見下ろしても該保留レンズ部139を上側から面として視認可能であるので見易く(図8参照)、また遊技者が低い位置から保留レンズ部139を見ても該保留レンズ部139を前側から面として視認可能であるので見易い(図2参照)。このように、遊技者の体格や姿勢によって目の位置が上下しても、保留レンズ部139を確認し易い。
前記保留レンズ部139は、対応の保留発光体146から前斜め上向きに照射された光によって発光するので、保留レンズ部139を見下ろす遊技者の視線と保留発光体146から照射した光の向きとが合って、保留レンズ部139が発光しているか否かを判別し易い。すなわち、保留レンズ部139には、表示部13aからの光や他の発光手段の光を受けて該光を反射して光っているように見えることがあるが、保留発光体146からの照射した光が遊技者の目線と合うので、保留発光体146からの光が判り易い。また、保留レンズ部139での点灯表示が判り易いので、保留レンズ部139の前側に設けられたステージ100の転動部103でのパチンコ球の転動や、遊技者が見下ろした先にある始動入賞口32a,32bへのパチンコ球の入賞態様などを視野に入れつつ、保留表示手段130によって有効保留数を簡単に確認することができる。また、保留レンズ部139は、保留カバー132の表面よりも盛り上がるように立体的に形成されているので、遊技者から一層見易くなり、対応の保留発光体146による発光状態にあるかまたは消灯状態にあるかが判り易い。
前記保留表示手段130は、保留カバー132の前板部133の前側がステージ100の透明な後壁部105で覆われると共に、上板部134の上側がステージ100の透明な上壁部106で覆われている。そして、保留レンズ部139は、平滑に形成された上壁部106を介して斜め上側から視認可能であり、該保留レンズ部139に対して保留発光体146から斜め上向きに照射した光が上壁部106を透過する構成されているので、ステージ100における後壁部105と上壁部106との角部が保留レンズ部139に重なる場合と比べて、上壁部106の存在によって保留レンズ部139がゆがみ難く、また保留発光体146から照射された光に対する影響を抑えることができる。すなわち、保留レンズ部139をステージ100の上壁部106で覆っても該保留レンズ部139を斜め上側から見易い。
前記保留発光基板144を傾斜姿勢で設けることで、保留レンズ部139と保留発光体146との間隔を確保しつつ、保留カバー132と設置部材60の設置板部62との間のスペースを有効利用して比較的大きな保留発光基板144を設置することができる。このように、保留レンズ部139と保留発光体146とがある程度間隔をあけて配置されているので、保留発光体146から照射した光によって保留レンズ部139の一部だけが点状に光ることを防止でき、保留レンズ部139全体を発光させることができる。保留発光基板144を収納する収納空間Sは、前側が保留カバー132の前板部113で区画されると共に上側が上板部134で区画され、後側が設置板部62で区画されており、このような収納空間Sでは、前板部133の下縁と上板部134の後縁とを結んだ斜め方向に最もスペースを確保し得る。すなわち、収納空間S内に配設される部材の中で最も大きい板状部142を、前板部133の下縁と上板部134の後縁とを結んだ斜め方向に板面を向けた傾斜姿勢で板状部142で配設することで、この板状部142で傾斜姿勢で保持し得る保留発光基板144の大きさも大きくすることができる。例えば、保留発光基板144を設置板部62と平行な垂直姿勢で配置した場合は、配置に必要な前後スペースを小さくし得るものの、配置に必要な上下スペースが大きくなり、前後スペースについても保留レンズ部139と保留発光体146との離間間隔を確保するためにそれほど小さくできるものではない。同様に、保留発光基板144を設置板部62と直交する水平姿勢で配置した場合は、配置に必要な上下スペースを小さくし得るものの、配置に必要な前後スペースが大きくなり、上下スペースについても保留レンズ部139と保留発光体146との離間間隔を確保するためにそれほど小さくできるものではない。すなわち、収納空間Sに保留発光基板144を傾斜姿勢で配設することで、保留レンズ部139と保留発光体146との間隔を確保するという条件と、有効保留数に応じた複数の保留発光体146や抵抗等の実装部品または配線パターンなどを設けることができる保留発光基板144の十分な大きさを確保する条件とを満たしつつ、保留カバー132の前後および上下寸法をコンパクトにできる。
前記保留表示手段130は、前後にコンパクトであるので、前側にステージ100を設けることができ、また前側に設けたステージ100における転動部103の前後幅を広く設定することも可能となる。また、保留発光基板144を傾斜姿勢で設けることで、前述の如く保留発光基板144を水平姿勢で設ける場合と比べて保留カバー132の前後幅をコンパクトにできるので、ステージ100の後壁部105と保留カバー132の前板部113との間に球通路110を設けるスペースを確保することができる。そして、ステージ100の後壁部105と保留カバー132の前板部133との間の離間空間Tに張り出して球通路110を設けることで、転動部103の前後幅をより大きくすることができる。このように、転動部103の前後幅を広くすれば、該転動部103で転動するパチンコ球の動きがより多彩になり、興趣を増すことができる。
前記保留カバー132の筒状保持部138に先端に保留レンズ部139が形成された嵌合部140を嵌め込むことで、保留レンズ部139は保留カバー132の表裏方向と交差する方向への変位が規制される。また、保留カバー132の筒状保持部138の延出端に板状部142を当接することで、保留レンズ部139は保留カバー132の表側への移動が規制され、保留レンズ部139が発光開口132aに対して位置決めされる。このように、筒状保持部138と嵌合部140との嵌合並びに筒状保持部138の延出端と板状部142との当接によって、保留レンズ部139を保留カバー132に対して適切に位置決めすることができる。そして、板状部142に保留発光基板144を取り付けることで、保留発光体146が対応の保留レンズ部139に相対すると共に、保留レンズ部139と保留発光体146とが所定間隔で離間するように保持され、保留レンズ部139と保留発光体146とを適切に位置決めすることができる。更に、保留発光体146は、嵌合部140の後側開口140aに嵌り込むように設置されるので、嵌合部140を囲う不透明な筒状保持部138によって保留発光体146から保留レンズ部139までの間を区画することができるので、個々の保留レンズ部139を明輝させることができる。
(変更例)
なお、遊技機の構成としては、実施例のものに限らず、種々の変更が可能である。
(1)電飾発光基板126の露出領域126bに設けられた第2電飾発光体128によって照らされる第2の発光装飾部は、実施例のように球誘導路112に限定されず、設置部材60、遊技盤20または装飾部材30に配設された飾り部材や可動体などであってもよい。
(2)実施例では、第1の発光装飾部(主発光装飾部124)を設置部材60側に設けると共に、第2の発光装飾部(球誘導路112)を遊技盤20側に設けたが、第1の発光装飾部および第2の発光装飾部の両方を設置部材60側または遊技盤20側の一方にまとめて設けてもよく、第1の発光装飾部を遊技盤20側に設けると共に第2の発光装飾部を設置部材60側に設けてもよい。
(3)実施例では、第1電飾発光体127および第2電飾発光体128から窓口30aの開口内側へ向けた右側方へ光を照射したが、光の照射方向は、窓口30aの開口内側へ向けた左側方、上方あるいは下方であってもよい。また、光の照射方向は、前方であっても、窓口30aと関わりのない上下左右方向であってもよい。
(4)遊技盤20の盤面構成は、実施例の左打ち仕様に限定されず、所謂右打ち仕様であってもよい。右打ち仕様の遊技盤は、大当りしていない状態で装飾部材30の左側を遊技球が流下するように遊技球を遊技領域20aに打ち出して装飾部材30の下方位置に設けられた始動入賞口32a,32bへの入賞を図ると共に、大当り状態で装飾部材30の右側を遊技球が流下するように遊技球を遊技領域20aに打ち出して特別入賞口34aへの入賞を図るように構成される。装飾部材30の右側へパチンコ球を流下させる右打ち仕様の遊技盤であっても、大当り状態よりも大当りしていない状態が長くなることから、庇状部70において装飾部材30の頂部から左側部にかけての第1領域が装飾部材30の頂部から右側部にかけての第2領域よりも遊技球が接触する頻度が高くなる。
(5)第2庇片72を光透過可能に構成することで、該第2庇片72についても第2可動演出装置52や第2センター飾り部85の発光に伴って第1庇片71と同様に発光する構成であってもよい。特に右打ち仕様の遊技盤では、第1庇片71の発光と第2庇片72の発光とを切り替えることで、遊技者に対して狙う方向を示唆することができる。
(6)実施例では、装飾部材30の頂部から左側部の球誘導路112の球入口112aまでに亘って第1庇片71が延在する構成であるが、第1庇片71を表示部13aの上側部位だけに配設し、遊技釘等の配置によって表示部13aの左側部位が第2領域となるのであれば、表示部13aの左側部位を第2庇片72で構成してもよい。すなわち、第1庇片71および第2庇片72の配置は、パチンコ球との接触頻度との関係で適宜設定される。
(7)第1庇片71と飾り部44,45,76との間に設けられる通光部82,93は、間に位置する部材を光透過可能に形成するのに限らず、何も設けない空間でもよい。
(8)実施例では、保留表示手段130を設置部材60に配設したが、保留表示手段130を装飾部材30等の遊技盤20側に配設してもよい。
(9)保留表示手段130は、表示部13aよりも下側であれば、表示部13aの真下からずれた位置に配設してもよい。
(10)実施例では、保留表示手段130の前側にステージ100が配設されたが、保留表示手段130の前側に何も配設されない構成であってもよい。
(11)実施例の保留カバー132のコーナー部135は、円弧状に湾曲形成したが、前板部133と上板部134との角を直線的に面取りした形状であってもよい。
(12)実施例では、遊技機としてパチンコ機を例示して説明したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機、スロットマシン機等の各種遊技機を採用し得る。